FC2ブログ

H.E.A.T "H.E.A.T II" アルバム・レビュー

heat06.jpg

前作”INTO THE GREAT UNKNOWN”(2017)から、ベスト・アルバムとライブ・アルバムのリリースを挟んでリリースされた通算6作目のオリジナル・アルバム。

前作、前々作はHR/HMにとどまらない、より幅広いロック・サウンドに挑戦した意欲作で、それを演じ切ることができるバンドのポテンシャルもあって、メジャー感のある仕上がりではあったが、正直ファンには賛否両論だった。

その反応を踏まえたのか、本作では彼らに期待される80年代型の王道メロディアス・ハード・ロック路線に徹している。

そしてその決断は大正解で、本作は昨今稀に見るアリーナ型ハード・ロックの名盤に仕上がっている。

彼らの持つメジャー感が最大限に活かされたダイナミックなサウンドはもはや「北欧メロハー」などという狭い枠にはとても収まらない、贔屓目なしに全盛期のBON JOVIやDEF LEPPARDといったバンドに引けを取らないスケール感を放っている。

まず1曲目のタイトルが”Rock Your Body”ってのがいい。DEF LEPPARDの名盤 ”PYROMANIA(邦題「炎のターゲット」)”の1曲目は”Rock! Rock! (Till You Drop)”だし、BON JOVIの名盤 ”SLIPPERY WHEN WET(邦題「ワイルド・イン・ザ・ストリーツ」)”の1曲目は”Let It Rock”と、この手のロック名盤の1曲目はロック・アンセムと相場が決まっているのだ(?)。

それでいて北欧に多い「ヘア・メタル・リバイバル」みたいなバンドと違って懐古趣味やパロディ的なニュアンスは皆無で、「70年代だろうが80年代だろうが90年代だろうが2020年だろうが、カッコいいロックってのはこういうもんだろ」と、何の衒いも疑いもなく真っ向から叩きつけてくるかのようなすがすがしさがある。

90年代、NIRVANAの登場以降、ロックはすっかり「陰キャの音楽」になってしまっており、いかに枚数は売れようと、「クラスの地味な奴ら」が聴く音楽で、スクールカースト上位にいるパリピな連中が聴くのはR&BやHIP-HOP、EDMだった。

しかし、このアルバムで鳴っている音は、まさに「クラスの真ん中にいる人気者の音」なのである。

いや、実際にパリピがこのアルバムを聴くとは思えないが(苦笑)、とにかくこのアルバムには楽曲や演奏の質が高いだけのHR/HMアルバムとは一線を画す力強く華やかなオーラがある。

それは過去の彼らのアルバムにさえなかったもので、そういう意味では80年代以来、ほぼ30数年ぶりに世の中に出てきた奇跡のサウンドだ。

これを外部ソングライターの手を借りることもなく、プロデュースもメンバー(ギタリストのデイヴ・ダロンとキーボーディストのヨナ・ティー)の手によるもの、というのが素晴らしい。

まるでセカンド・アルバムかのようなアルバム・タイトルも、このサウンドを聴けば合点がいく。そう、彼らはネクスト・レヴェルに達し、セカンドステージに入ったのだ。

『BURRN!』誌のクロスレビューで、レビューした3人全員が90点以上をつけたのも納得である。

来月行なわれる来日公演が、現在猛威を振るうコロナウィルスの影響で中止にならないことを願うばかりである。【90点】


昨年9月にこの曲を聴いた時点で、本作が傑作であることを予感しましたね。コーラス・アレンジがちょっと往年のTREATを彷彿させます。







スポンサーサイト



2020年2月後半の注目タイトル

今月はこれから個人的に楽しみにしているタイトルが短期間に次々と国内盤リリースされます。

ただでさえ遅れ気味なレビューはとても追いつかないと思うので(苦笑)、こういう形でコンパクトに紹介してみます。

H.E.A.T "H.E.A.T II" (2月19日発売)

スウェーデンのメロディアス・ハード・ロック・バンドのニュー・アルバム。昨年から小出しにリリースされている楽曲がどれもこれも秀逸で、この手のメジャー感あるアリーナ系メロハー久々の大当たりなんじゃないかと期待してます。




DIRTY SHIRLEY "DIRTY SHIRLEY" (2月19日発売)

ジョージ・リンチ(G : 元DOKKEN, LYNCH MOB)と、このブログでも一度取り上げたクロアチア出身の若手実力派シンガー、ディノ・イェルシッチ(ANIMAL DRIVE)によるプロジェクト。某B!誌のH編集長がこのディノ・イェルシッチを「とんでもない逸材」と絶賛し91点を献上しています。




BLACK SWAN "SHAKE THE WORLD" (2月19日発売)

ロビン・マッコーリー(Vo)、レブ・ビーチ(G)、ジェフ・ピルソン(B)という、いずれも「大スターとは言えないが、80年代HR/HMファンであればみんな知ってる」絶妙な知名度の実力者が揃ったいぶし銀(?)バンド。




SERENITY "THE LAST KNIGHT" (2月21日発売)

オーストリアのシンフォニック・メタル・バンドの7作目。毎度叙情的でドラマティックなサウンドがお気に入りです。




VOLCANO "GODSPEED" (2月21日)発売

我らが屍忌蛇アニキ率いるVOLCANOの8作目。最近機会があって初期のGARGOYLEを聴き返したんですけど、やっぱこの人の泣きメロフレーズ作りの才能は天才的ですよ。



ヘヴィ・メタル50周年?

「ヘヴィ・メタルが生まれた日はいつか」

この問いに対して万人が同意する絶対的な答えは恐らく存在しないでしょう。

「この時には間違いなく始まっていた」と言えるタイミングは「NWOBHMが始まった時」と言えるわけですが、何をもってNWOBHMの始まりとするのか、という新たな問題が発生してきます。

一番確実な、遅い(新しい)タイミングを選ぶなら、NWOBHMの象徴であるIRON MAIDENのデビュー・アルバム "IRON MAIDEN"と、JUDAS PRIESTのアグレッシヴな面がフィーチュアされた代表作"BRITISH STEEL"がリリースされた1980年4月14日でしょう。この時点でまだヘヴィ・メタルが生まれていない、という人はさすがに皆無だと思うので。

個人的には、JUDAS PRIESTが音楽的に現在「ヘヴィ・メタル」とされているサウンドに近いものをかなり明確に打ち出し、レザーのコスチュームに身を包み、ステージでハーレーに乗る演出を始めた"KILLING MACHINE"がリリースされた1978年9月9日というのも有力な候補になりえるのではないかと思っています。

しかしあえて一番古い日付になる説を探るなら、BLACK SABBATHがデビューしたタイミング、でしょう。

「ヘヴィ・メタルの元祖はどのバンドか」という問いに対しては、一部の強引な、あるいはトリッキーな意見を除き、たいていJUDAS PREISTかBLACK SABBATHの名前に答えが集約されます。

ヘヴィ・メタルのイメージやサウンド・フォームを直接的に創ったのはJUDAS PRIESTだと思いますが、JUDAS PRIESTはデビュー当時においては必ずしもヘヴィ・メタル的ではなかったので、そういう意味でJUDAS PRIESTのデビュー時をもって「ヘヴィ・メタルの誕生日」とする説はあまり聞かないような気がします。

一方、BLACK SABBATHのデビュー・アルバムは、全体的にはヘヴィ・ブルーズ・ロックといった趣ながら、やはり冒頭を飾るバンド名を冠したタイトル曲"Black Sabbath"の圧倒的なインパクトによって、「これはヘヴィ・メタル(的)だ」と言われたらなんとなく納得してしまいそうな雰囲気があります。

実際、ヘヴィなギター・リフをメインにした、オカルト風の楽曲というと、「それはヘヴィ・メタルやないか」と言いたくなることはたしかです。

そういう意味でBLACK SABBATHのデビュー・アルバムがリリースされた1970年2月13日というのは、ヘヴィ・メタルの(少なくともインスピレーション的な意味での)誕生日と言ってもいいかもしれません。

いや、そしたらBLACK SABBATHが結成された日とか初ライブの日でもいいんじゃないの、という意見も出そうですが、せっかく「13日の金曜日」というそれらしい日(1970年の2月13日は金曜日)を選んでデビューしたわけですから、ここはそれを大切にしましょう。

そう考えると本日でもうヘヴィ・メタルが生まれてから半世紀。感慨深いものがありますね。

なお、ヘヴィ・メタルの誕生日かどうかはさておき、BLACK SABBATHのデビュー50周年に関しては、普段内容の薄い記事が多い(失礼)BARKSのこのコラムはトリビアが多くてなかなか面白かったです。

【コラム】祝・50周年!ブラック・サバスって、何が凄いの?

Rolling Stoneのこの記事も興味深い。

ブラック・サバス50周年、革命的なデビューアルバム制作秘話