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BEAST IN BLACK 来日公演 at 赤羽ReNY alpha

本エントリーのタイトルは、これまでのこのブログのフォーマットに則るのであれば、『SUOMI FEAST 2019 Day2 at 赤羽ReNY』になって然るべきなのですが、あえて『BEAST IN BLACK 来日公演』とさせていただきます。

開演後2時間後くらい経ってから会場入りしたため、5バンド出演するイベントのうち実質2バンドしか観ていないという事情もありますし、何よりBEAST IN BLACKが素晴らしすぎたため、この判断に至りました。

Twitterで最初のバンドがXの"Blue Blood"のカヴァーを披露したと聞いて、行けばよかったかな、とも思いましたが、後の祭り。

いや、EVP主催のイベントではよくあることですが、スタンディングで5バンドとか、普通に無理ですよ。20代ならともかく(苦笑)。

BEAST IN BLACKとSWALLOW IN THE SUN以外のバンドはまるで知らなかったので、ダイヤの原石である可能性はあるのですが、まあ研磨されてダイヤになってから観ればいいだろ、と割り切ることにしました。

というわけで私が会場である赤羽ReNY alphaに到着したのは19時ちょっと前くらい。3バンド目であるBLOODRED HOURGLASSがラストから2曲目をプレイしていたタイミングだ。

メロディック・デス・メタルという触れ込みだったが、デス声というよりはスクリームっぽいVoのスタイルや、短髪のメンバーが多いこともあって、どちらかというとメタルコアに近い印象を受けました。

ただ、楽曲の随所で切り込んでくる叙情的なリード・ギターのメロディは確実に「北欧の血」を感じさせるもので、なかなか悪くなかったのですが、会場の盛り上がりはちょっとお義理っぽい感じだったかな。メンバーはそれなりに盛り上がりに手応えを感じていたっぽいですが、それはお互いにとって幸福なことでしょう。

BLOODRED HOURGLASS終了後、人波をかき分けてドリンクカウンターに行き、ドリンクチケット(コイン)をミネラルウォーターに換える。スーパーに行けば2リットルのミネラルウォーターが6本は買える金額のチケットを500mlのいろはすに引き換えるのは複雑な気分ではあるが、この後まだ3時間はある公演で利尿作用のあるアルコールを飲みたいとは思えなかったので仕方がない(苦笑)。

ミネラルウォーターを抱えて、会場後方の一段高くなっているエリアへ移動。背の低い女性の後ろに陣取ることでステージは見やすい位置である。

キャパ600人の会場で、ほぼほぼ満員に見えるくらいに入っているので500人以上は入っているだろう。これが多いのか少ないのかと言えば少ない気がしますが、会場規模は適切だったと言えるでしょう。

近年のメタルのライブにしては年齢層が若い気がしますし(といってもアラサーが多いかな、というくらいですが…)、女性の比率も高かった(とはいえ10~15%程度と思われますが…)ように見えました。

そして照明が落ち、SWALLOW IN THE SUNが始まる。新しい会場なのでステージのバックはLEDでバンドロゴが映し出されている。

照明が落ちてBGMが止まると当然オーディエンスは沸くわけだが、なぜかなかなかメンバーが現れず、妙な静寂が訪れる。

しばらくして辛気臭い音楽が流れ出し、それがSWALLOW IN THE SUNのショウにおけるイントロダクションになっていた。

ようやくメンバーが登場し、奏で出した音楽は、およそショウのスタートに相応しくないスローで陰気な曲。

いや、私の知る限り彼らの楽曲に陽気でファストな曲などというものは皆無なのですが。

暗い。とにかく暗い。思春期(10代半ばから20代前半までは思春期でした/笑)の頃はこういう音楽に浸ることができたが、近年は正直ここまで暗い音楽に感情移入が難しい。

もちろん、最新作"WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT"は母国フィンランドでチャートのNo.1に輝き、欧州最大のマーケットであるドイツでも33位まで上昇するヒットとなっている結成からもうじき20周年を迎えるバンドだけあって、ライブパフォーマンスや楽曲の水準は高い。

会場全体を漆黒のヴェールで包み込むかのような陰鬱なサウンドは日本のなんちゃってダークなバンドには出せない深刻な重さが醸し出されており、その点はさすがフィンランドのバンドだな、と思ったものの、個人的にはライブで聴きたいタイプの音楽ではなかったというのが正直な所。

とはいえ場内には首都圏のネクラが勢ぞろいしていたようで(笑)、楽曲が終わるごとに結構大きな歓声が上がり、その音楽性に反して(?)かなり盛り上がっていました。

SWALLOW IN THE SUNの世界観を存分に伝えたステージから、転換の20分ほどを経て、いよいよお目当て、BEAST IN BLACKのショウが始まる。

最新作"FROM HELL WITH LOVE"のオープニング・ナンバーである"Cry Out For A Hero"で始まったステージは、先ほどのSWALLOW IN THE SUNのステージとは打って変わったエネルギッシュなもので、さながら葬式からパーティーへの転換(笑)。

"Cry Out For A Hero"の歌が始まる瞬間に、ステージの袖から(さほど広いステージではないにもかかわらず)ダイナミックなジャンピング飛び込みで登場したヤニス・パパドプロスのヴォーカルが素晴らしい。

ウド・ダークシュナイダー(ACCEPT, U.D.O)を彷彿させる金属的なスクリームから、女性かと聞き紛うかのようなソフトなファルセットまで、文字通り七色の歌声をライブでもしっかりと使い分け、エモーショナルにオーディエンスを盛り上げる。

楽曲がどれもキャッチーであるため、オーディエンスとしても盛り上がりやすく、フロア全体で拳を突き上げ、メロイックサインを掲げ、手拍子し、サビやリード・ギターのフレーズを合唱する。正直このバンドのポテンシャルに対して小さすぎる会場ではあったと思うが、この規模だからこその一体感があったと言えるだろう。

アントン・カバネン(G, Vo)、カスペリ・ヘイッキネン(G)、マテ・モルナール(G)の弦楽器隊は、メタル・ライブ名物(?)の、「楽曲のキメに合わせて揃ってネックを持ち上げる」というアクションを何度も披露、カスペリとマテは「背中合わせで演奏」という腐女子歓喜の(?)パフォーマンスも何度か見せてくれて、「そう、これがメタルのライブだよ!」という醍醐味を感じさせてくれました。

新作から加入したドラマーのアッテ・パロカンガス(元BEFORE THE DAWN, THUNDERSTONE)も、スティックを回したり放り上げたり、自分の頭を叩いてみたりという「見せる」ドラマーで、その躍動感あるリズムのみならず、パフォーマンスでも見せ場を作っていました。

もちろん、単にパフォーマンスがいいだけではなく、天才アントンと、フィンランドを代表するシュレッドの使い手、カスペリ・ヘイッキネンのテクニカルな速弾きソロの応酬はテクニカルな見地からも見所たっぷり。

まだ2作しかアルバムを出していないものの、どちらも名曲揃いなので、中だるみする瞬間がない。本来ならBATTLE BEASTの初期曲だってプレイしようと思えばプレイできるのではないかという気がするが、あえてそれをせずともセットリスト上まったく問題がない。

個人的に彼らの楽曲に多いダンサブルというかディスコティックなリズムの楽曲が大好きで、予想通りそれらは非常にライブ映えしていた。こういう曲はメタラー以外にもアピールするのではないかと思っているが、イメージ的には完全にメタルである彼らの楽曲がメタラー以外に聞かれるきっかけがないのが今の世の中かもしれません。

バラードの"Ghost In The Rain"なんてハリウッド映画のエンディングなどで流れてもいいくらいのポピュラリティとクオリティがあると思うんですけどね。この日のライブでも、とても先ほどまで強烈なスクリームをカマしていた人とは思えない(笑)甘い歌声で魅了してくれました。まさに虹色ヴォイス。

そんな彼が「めったにプレイしない曲で、俺にとって歌うのが難しい曲だ」と言ってプレイしたのはデビュー作収録で、彼らの持ち歌で最も攻撃的なパワー・メタル・チューン"Zodd The Immortal"。

漫画『ベルセルク』(ヤニスは「アニメ」と言っていましたが)に登場する「不死身のゾッド」をそのままモチーフにしたこの曲が、日本の今夜のオーディエンスに対する特別なプレゼントだったようです。

彼らの楽曲では異色のスピード・ナンバーで、ACCEPTを思わせる剛直なギター・リフがフィーチュアされた楽曲だが、こうしてライブで聴いてみると、やはりメロディックなサビのパートなどはSTRATOVARIUSに通じるフィンランドのパワー・メタルらしさがあって非常に私好み。この曲がプレイされたのは今夜のみということで、「当たり」を引いた気分(笑)。

また、本日はベーシストであるマテの誕生日だったようで、アンコールのタイミングでサプライズのケーキが登場。ただ、ケーキを持ってきたスタッフは何を考えていたのか(あるいは何も考えていなかったのか)肝心のローソクに火が点いておらず、「どないせぇっちゅうねん」状態(苦笑)。

とりあえずオーディエンスでハッピーバースデーを合唱し、和やかに盛り上がりましたが(ケーキはそのまま何もされず撤収)。

アンコールでプレイされた、彼らの名前を全世界のメタル・マニアに知らしめた名曲"Blind And Frozen"はまさにハイライトで、「リフ良し、メロ良し、ドラマあり」な彼らの音楽(この3つが全て高いレベルで共存できているバンドって少ないんですよね)をあらためて強く印象付け、ラストは"End Of The World"で締め。この曲でショウを終えるのが今のところ「お約束」のようです。

場内を何度も満たした"BEAST IN BLACK"コールをはじめとするオーディエンスの熱狂ぶりはメンバーにも感銘を与えたようで、実際YouTubeでライブ映像を見てみてもその盛り上がりはチャート的には日本よりはるかに成功している母国フィンランドやドイツのそれに引けを取るものではなく、限られたマニア限定とはいえ、日本のファンのロイヤリティをバンドに強く印象付ける一夜になりました。

実際、近年のメタル・バンドというのは全体的に楽曲や演奏はハイレベルですが、ここまで日本人好みなバンドというのは稀。久しぶりに他人に薦めたくなるバンドがライブでも魅力的であることを確認できた、充実のライブでした。

終演後場内を見渡すと、これだけポップでキャッチーなサウンドにもかかわらず、メロデス系を中心にエクストリーム系のバンドのTシャツを着たファンがかなり多く、そういう層も巻き込めるバンドという意味でも、このバンドは日本のファンと特別な関係を築くことができるバンドになりそうだという予感がします。

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BLACK EARTH "Burn On The Flame"のMV

現在ジャパン・ツアー中のBLACK EARTHが先日リリースした"PATH OF THE IMMORTAL"から、新曲"Burn On The Flame"のMVが公開されています。

このブログを読んでいるような人であれば今更説明不要かと思いますが、BLACK EARTHはARCH ENEMYの名盤3rd"BURNING BRIDGES"リリース時のメンバーで、ヨハン・リーヴァ(Vo)在籍時の初期3作の楽曲をプレイするプロジェクト。

"PATH OF THE IMMORTAL"は新作ではなく、その初期3作からのベスト選曲に新曲2曲を追加した、実質的にはARCH ENEMYの初期ベスト的な企画盤です。

基本的には日本でしかライブも行なっておらず、好意的に解釈すれば初期3作の時点では日本だけでしか売れていなかった彼らが初期を支えてくれた日本のファン(と、Trooper Entertainmentの宮本氏)に報いる活動であり、穿った見方をすれば、ヨハン・リーヴァ(とクリストファー・アモット?)の活動支援的な側面もある活動である。

現在行なわれているジャパン・ツアーも北海道は小樽、九州は福岡の他に熊本と、往年のMR.BIGやYNGWIE MALMESTEENを思わせるきめ細やかな地方巡業を行なっており、彼らこそ現存する最後のBIG IN JAPANと呼ぶべきでしょう(BIGというほどの会場規模ではありませんが…)。

この新曲MVは、過去の来日公演(つまりこの曲はまだ演奏されていない)の映像を編集したものなので、音と映像は噛み合っていない。

すなわち彼らのライブの雰囲気を伝えて現在のジャパン・ツアーのチケット販促を行なうために簡易的に作られたものと言えるでしょう。

私は初回の来日公演、LOUD PARK 17の「シークレット・アクト」としてのライブも観ているし、最近割と忙しいのでパスする予定ですが、もしまだ未見で観に行くかどうか迷っている人がいたら観に行くことをお勧めします。きっと期待を裏切ることはないと思います。

この新曲自体も、「やっぱり『アーチ・エネミー』じゃなく『アーク・エネミー』だよなあ~」みたいなことを言う人(笑)を納得させるクオリティというか、楽曲の方向性からしてちゃんと狙いすました仕上がりになっているのではないでしょうか。



JUPITER "Zeus-Legends Never Die-" アルバム・レビュー

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Versaillesのメンバーを中心に結成されたV系メロディック・メタル・バンドの、2015年のアルバム"THE HISTORY OF GENESIS"以来、約4年ぶりとなる通算3作目のアルバム。

前作発表後、ツイン・ギター・チームであるHIZAKIとTERU以外のメンバーは一新されており、ヴォーカルには元CONCERTO MOONのKUZEこと久世敦史が迎えられている。

ヴィジュアル系バンドがヴォーカリストを変えるというのは極めてレアなケースだが(そこそこメジャーになったバンドではMALICE MIZERくらい?)、やはりこのバンドはメタル・バンドだということなのだろう(?)。

ジャパメタ畑の、パワー・シャウター系Voの加入効果は明白で、シンフォニック風味のメロディック・パワー・メタルという基本線は変わっていないにもかかわらず、そのサウンドは格段にストロングな印象に変貌している。

#4"Drastic Night"のような、70年代風味さえ感じさせるようなハード・ロック然とした曲や、#5"SHOW MUST GO ON"のようなモダン・メタル路線の楽曲は、前任Voの声では様にならなかったタイプのものだろう。

シンガーの適性に合わせた結果か、前2作で目についたポジティヴ明朗系の楽曲が控えめになり、#7、#8、#9とデス声をフィーチュアしたヘヴィな楽曲が立て続くあたりも本作のアグレッシヴな印象を強化しており、メタル・ファンにとっては「本格感」が増したと感じられる。

要所要所に配されたメロディック・パワー・メタル然とした楽曲は相変わらず魅力的であり、ラストの11分に及ぶ大作" Zeus:I.Legend Never Die / II.Conversations with God"では本作のオープニング・ナンバーである先行シングル"Theory of Evolution"のフレーズが取り入れられるなど、アルバムとしての構成も考えられていて、心機一転のアルバムに相応しい力作といえよう。

しかし、Amazonのレビューなどを見ると、メタル・ファンと思しき人たちが好意的なレビューを多数寄せているにもかかわらず、前作までとりあえずTOP40入りしていたオリコン・チャートの数字を見ると80位止まりで、やはりこのバンドの支持層はV系ファンであってメタル・ファンではないのかな、という残念な結果に。

メロディック・メタルとしてのクオリティはGALNERYUSや陰陽座に並ぶレベルだけに、このメタル・ファンにもV系ファンにも「畑違い」と思われているような状況はもどかしいものがあります。

ここまでメタルな音で勝負するならもはやバンギャに媚びようもないし、HIZAKIのお姫様風やTERUのRPGゲームのキャラクターみたいな、ステージに上がるまで2時間以上かかりそうなメイクはやめてもう少しカジュアルなメイクにしてもいいのではないかという気もするのですが、大きなお世話ですかね。【86点】







MYRATH "SHEHILI" アルバム・レビュー

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ここ日本でもかなり話題になった前作"LEGACY"リリース後、LOUD PARK 16、さらに2018年4月に行なわれたPagan Metal Horde vol.3と、2回も来日公演を行なったチュニジアのプログレッシヴ・メタル・バンドの通算5作目となるフル・アルバム。

DREAM THEATERやKAMELOTなどと比較されるメロディックなプログレッシヴ・メタル・サウンドに、彼らのルーツであろうアラビアンなメロディ・センスを融合したサウンドの基本線はもちろん変わることなく、前作で一気に増したポピュラリティを順当に受け継いだ作品に仕上がっている。

ただ、特にアルバム後半ややメロウな歌モノ路線の楽曲が多かった前作に比べると、彼らの本質であるプログレッシヴ・メタルとしてのエッジが気持ち強まった感があり、個人的には本作の方がメタル・アルバムとして「締まって」いると感じる。

前作に収録されていた、恐らくキャリアを代表することになるであろう名曲"Believer"は、クラウドファンディングによって制作費を調達して作られたMVがまた素晴らしかったが、本作からのMV曲"Dance"や"No Holding Back"はその"Believer"のMVのストーリーを継承するものとなっており、もはやハリウッド映画ばりのスケール感を感じさせる。

こういうMVを観ているからこその先入観もあるかもしれないが、彼らの音楽は決して長尺ではなく、むしろプログレッシヴ・メタルとしては異例なほどにコンパクトであるにもかかわらず、イマジネーションを刺激するドラマ性を感じさせ、聴くだけで違う世界に連れて行ってくれるのが素晴らしい。

そしてその世界観に雰囲気と説得力を与えているザヘル・ゾルガティのヴォーカルも、欧米のプログレッシヴ・メタル・バンドにはあまり見ないタイプのエモーショナルな熱唱によって感情に訴えてくる。

しかしこんな凝ったMV、ひと昔前だったらそれこそ何百万枚もアルバムを売るようなトップ・バンドしか作れなかったはずなのに、北アフリカのマイナー・バンド(いや、この世界ではそこそこ有名ですが、一般レベルでは無名と言っていいでしょう)が作れてしまうんですから、すごい時代になりましたね。

チュニジアはアフリカと言っても地中海を隔ててヨーロッパに接していて、旧宗主国であるフランスとの縁は今でも強い欧州色の強い国なのであまり辺境扱いするのは不当なのですが、とはいえ恐らくかの地ではインターネット普及以前にはメタルについての情報はほとんどなかったはずで、そういう意味で「メタルが始まったばかり」のエリア。

そういうエリアは世界中にまだまだたくさんあり、そういう地域から次々とMYRATHのようなハイ・クオリティなバンドが登場するとしたら、英米日のようなメタルが「過去の音楽」になってしまった国のメタル・ファンは今後そういう「これからのエリア」に注目していくことになりそうな予感がします。【87点】





▼本国チュニジアでのライブの様子。結構規模の大きな会場で、ステージにはダンサーの他、ゲスト・ミュージシャンも多数の豪華セット、オーディエンスもかなり熱く盛り上がっており、彼らが母国で相当な人気を誇っていることが感じられます。

さすがにMVに出てくるようなドラム・セットやキーボードまでは用意できないようですが(笑)。


『BURRN!』19年6月号の感想

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先日、Twitterをチェックしていたら「トレンドワード」(多くの人が話題にしているワード)に「BURRN!」というワードが上がってきました。

かれこれ10年近くTwitterやっていてこんなことは初めてです。

『BURRN!』も公式Twitterアカウントを持っていますが、まあ有効活用されているとは言い難いですし(編集部員の趣味を垂れ流すのは公式アカウントのオフィシャル感を損なうだけなのでマジでやめたほうがいいと思います)、「めたるったー」なる読者投稿企画も、一部の常連読者の承認欲求を満たすためだけに機能している印象しかありません。

てか、Web上に投稿されたテキストをわざわざ印刷物に起こすって、生産性ゼロどころかマイナスじゃないですか?

一部の役所とか古い企業では、Excelで表組みだけ作って、中に入れる数字は電卓で手計算して入力する、みたいなスーパー非効率な仕事をしているというホラーみたいな都市伝説を聞いたことがありますが、それに近いものを感じます。

話が逸れましたが、そんな『BURRN!』がTwitterのトレンドに上がるなんて「すわ、これはついに休刊か」と思ってタップしてみたら、なんのことはない(?)、B'zが表紙になります、というだけの話でした。

元々は洋楽誌というカテゴリーだった『BURRN!』ですが、『BURRN! JAPAN』が復活してからも普通に日本のバンドは載っているし、LOUDNESSにANTHEMと、日本人が表紙になる「布石」は着々と打っていたわけで。

それでもトレンドに上がってきたのは、単純にB'zファンが表紙になることに反応している(最近はB'zが表紙を飾れるようなJ-POP雑誌ってあまりないですからね。『WHATS' IN』とか『CDでーた』とかがご存命の時であればいざ知らず)のと、恐らくオールド・ファンや、狭量なメタル・ヘッズによるものと思われる『BURRN!』が彼らを表紙にすることに対するネガティブな意見がそれなりに盛り上がっていたからですね。

まあ、この雑誌の売上が低下していることは皆薄々感じているであろうこの状況でB'zを表紙にするというのは販売部数の減少に耐えかねてJ-POPアーティストの軍門に下って靴を舐めた、という風に映るであろうことは想像に難くなく、「この雑誌も終わった」と感じる人もいるだろうとは私も思いました。

特にB'zと言えば、批判的な人からは常にHR/HMアーティストの楽曲のパクリがあげつらわれる、「いわくつき」の存在だけに尚更。

私は彼らはパクっているわけではなく、オマージュであるという意見の持ち主であり、そのことはかつてこのブログでも書いたことがあります。

とはいえ、この雑誌を未だに買い続けているような熱心なHR/HMファンにとってB'z、ひいてはJ-POPというのは否定すべき存在であろうことは言うまでもなく(?)、この表紙によってそういうコア読者からの支持を失ってしまうのではないかという危惧が生まれたとしてもおかしくありません。

まして今でもこの雑誌を買い支えている人というのは、どちらかというとそういう「メタル純血主義」みたいな意識の強い人たちなのではないかと思われ、そういう読者に配慮してきたからこそ、この雑誌は保守的な誌面作りをしてきたのではないかと思っています。

それが、これまで一度も掲載したことのないB'zをいきなり表紙にする、というのはかなりの勇断。

これは、令和という新しい時代を迎えるに当たって、ついに編集方針を変更したのか、誌面刷新かと、ちょっと期待して買って読んでみました。

しかし、結果論から言うと、全体としては何も変わっていませんでした。ただ巻頭にB'zのインタビューがあるというだけ。

そのインタビューも、特にB'zのお二人が持っているであろうHR/HMなルーツの話に触れることもなく、新譜と今後のライブに関する当たり障りのないやり取りだけ。まあ、もしかするとそれ以外の話題に触れることはNG、みたいな条件でのインタビューだったのかもしれませんが。

インタビュアーは広瀬編集長ですが、B'zの旧譜を全然聴いていなくても(実際大して聴いていないと思いますが)できるような質問・話しかしておらず、恐らくB'zのファンにとっては物足りない、薄味な内容だったのではないかと思います。

インタビューの後に、メタル・ファンにオススメなB'zのアルバムや楽曲の紹介、音楽面におけるB'zとHR/HMの接点、みたいな記事でも付いていればまだしも、そういった工夫もなく。

B'zのインタビューの後に、彼らのファンにもなじみが深いであろうAEROSMITHのラスヴェガス公演のライブ・レポートという、特に今掲載する必然性のない記事を持ってきていることが言ってみれば「配慮」なのかもしれません。

せめて今回うっかり買ってしまうだろうB'zのファンの興味を引くような特集でも組んでいるならまだしも、特集はこの雑誌の35周年カウントダウン企画「編集長が語るBURRN!の35年間」って、もはや私くらいの年齢の読者の感覚的にはつい先日まで30周年企画を2年くらいに渡ってやってましたよね…? というウンザリ感に満ちたもの。

てか、編集長の思い出話なんて企画でもなんでもない代物が「特集」扱いって、作り手として色々と終わり過ぎなのでは…。

もし、B'zが表紙になったことに憤っているこの雑誌のコア読者(80年代組)の人たちを慮ってこういう懐古的な文章を特集にしたのだとしたら、他にできることがあったんじゃないかと思います。

こういういつもとは違う読者の獲得ができそうな表紙のタイミングでクロスレビューのトップにPOSSESSEDという、過去最高レベルにマイナーなバンドをピックアップしているあたりも、「攻めの姿勢」というよりは、天邪鬼にしか見えないのがこの雑誌の人徳のなさですね。

肝心のB'zはレビューしない、というのはアーティスト側の意向なのか、編集部の意向なのか。

実際、今月めぼしいアーティストのリリースがなく、過去最高級にネタがなかったためにこういう表紙になったのかもしれません。

個人的にはせっかく『Download Festival Japan』のレポートが載っているんだから、SLAYERにしておけばよかったんじゃないのという気もしますが、断られたのでしょうか(さすがにJUDAS PRIESTは2月号で表紙になったばかりなのでインターバル短すぎですし…)。

以前、編集長だったかそれ以外の編集部の誰だったか忘れましたが「読者からなぜ日本のこのバンドを『BURRN!』は扱わないんだ、という問い合わせをもらうことがあるが、バンドや事務所側から『BURRN!』では扱わないでくれ」と言われていることも多い」というような話をしていた記憶があります。

「ハードな音、ヘヴィな音は出しているがバンドのイメージとして古臭いHR/HMだと思われたくない」というアーティストもいるでしょうから、それは理解できなくもないですが、もしかするとB'zもかつてはそういうスタンスだったのかもしれません。

今この雑誌の大広告主である某レコード会社の社長はB'zとゆかりの深い人なので、その人が仲立ちをすることで今回の表紙とインタビューが実現したのかな、などと勝手に妄想していますが、これは結局誰が得したんだろう…という感じです。

近年とみにこの雑誌の表紙がベテランばかりなのは、結局CHILDREN OF BODOMやDRAGONFORCEを表紙にした号は売れ行きが悪かったから、ということなのだろうと思いますが、聞く所によると『ボヘミアン・ラプソディ』人気にあやかってQUEENを表紙にした1月号はいつもより売れ行きがよかったらしいので、やはり表紙の間口は広げるべきだ、と思ったのかもしれません。

ただ、この雑誌の場合QUEENやB'zにつられて買った、ジャンルとしてのHR/HMには興味がない人が、そのまま「面白い雑誌だな」と買い続けてくれることが期待できる内容ではないだけに、むしろ半ば惰性で買っている古参の固定読者に「買うのをやめる理由」を作るだけになってしまいそうな気がします。

まあ、もうこれ以上減りようがないだろう、という所まで固定読者も減っているのかもしれませんが。

あんまりクサしていても仕方がないので良かったと思う所にも触れておくと、GHOST、SAVAGE MESSIAH、MYRATH、BATTLE BEAST、HALESTORM、FROZEN CROWNといった比較的新しめの注目バンドはちゃんとカラーで扱っている、という所でしょうかね。

GHOSTなんかはもっと大きく扱ってもいいくらいだったんじゃないかと思いますが。

あと、『2』になってから初めてなんじゃないかというくらい超久しぶりに『ROCKOMANGA!2』でちょっと笑いました。『Download Festival Japan 2019』に行っていない人には笑えないかもしれませんが…(笑)。


▼終わり5年ほど欠けてますが、平成を振り返るのにピッタリな映像ですね。


▼アマゾンのレビューも、星1つと5つが拮抗する絵にかいたような賛否両論で面白い。