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METAL WEEKEND 2019 at Zepp DiverCity Tokyo 2019.9.15.

2018年9月21日~24日の4日間に渡ってZEPP DIVERCITY TOKYO開催されたワードレコーズ主催による"METAL WEEKEND"が、今年は『BURRN!』35周年記念イベントという形で、今年も9/14(土)、9/15(日)の2日間に渡ってZEPP DIVERCITY TOKYOで行なわれ、初日はLOUDNESS、二日目はHAMMERFALLがヘッドライナーということで、私は2日目に足を運びました。

そして東京テレポート駅に着いてみると、なんだか様子がおかしい。メタルTシャツを着た人間もちらほら目につくものの、むしろメタルとは全く縁のなさそうなウェイな若者たちで駅のホームが埋め尽くされている。

若者が来ていたTシャツを見て気付いたが、今日はULTRA JAPAN 2019の日でもあったのだ。恥ずかしながら(?)一度行ったこともあるのですが、そういえばあのイベントもこの時期のお台場だった。

駅からしばらくウェイの群れに紛れて進み、ダイバーシティ東京 プラザの前でウェイと分岐…のつもりだったが、ダイバーシティ東京 プラザの内部も、ULTRA JAPANを途中抜けしているウェイに占拠されており、肩身の狭い思いで(?)、駅からの動線的に一番奥にあるZepp DiverCity Tokyoへ。

手前のフードコートで軽く腹ごしらえでもしようかと思っていたが、フードコートはウェイに完全制圧されており、とても無理。

素直にそのまま会場入りすると、直前に発表されたオープニング・アクトのNEMOPHILAなるガールズ・メタル・バンドがプレイしている。ちょうど最後の曲が始まるタイミングで、1曲しか聴いていないので感想を述べる資格もないのですが、元気でよろしい、という感じでした。

METAL SOULS

若井望(G)と、ロニー・ロメロ(Vo)のペアということでDESTINIAなのかと思いきや"METAL SOULS"だそうで。要はメタル・クラシックのカヴァーをやるプロジェクトのようです。

1曲目、さて何が来るかと身構えていたら、聴いたことのないギター・リフ。DESTINIAの曲でもないし、なんだろうと思っていたら、ヴォーカルが入ってきたらすぐに分かったQUEENの"We Will Rock You"。

ご存知の通り本来はソロ以外ギターの入っていない曲ですが、大幅にアレンジを変えて、ギター中心にドライブするアップ・テンポのロック・チューンに仕上げている。

オリジナルの魅力を活かすアレンジとは言い難いが、昨今のQUEEN人気にあやかって会場を温めようということなのでしょう。

その後、"The Final Countdown"(EUROPE)、"Fool For Your Loving"(WHITESNAKE)、"Looking For Love"(M.S.G)と、80年代HR/HMファンなら鉄板の名曲を立て続けにプレイ。どれも良い出来でしたが、ロニー・ロメロの声質に一番合っていたのはM.S.Gですかね。

その後、スペシャルゲストとしてヴァイオリニストのAyasaが登場、KANSASでもプレイするのかと思いきやGARY MOOREの"Over The Hills And Far Away"のあのイントロのドラム・ビートが鳴り響いて「そう来たか!」と納得。

ゲイリーの少しくぐもったヴォーカルは、熱唱型のロニー・ロメロにはちょっと歌いづらそうでしたが、今日イチで印象的なパフォーマンスでした。

その後、Ayasa嬢のヴァイオリンをフィーチュアしたまま、DESTINIAの"Judgement Day"と"Metal Souls"をプレイ。往年の名曲でこの会場にいるリアルタイム組のハートをつかんで、そのままDESTINIAの購買につなげる作戦ですねわかります(笑)。

MCは基本ロニー・ロメロがメインで喋ったのですが、メンバー紹介はロニーが「日本語をあまり知らないから」と若井望に振ったのに、なぜか若井望はほぼ英語でメンバー紹介をするという怪奇現象(苦笑)。客席はほぼ日本人だったのですが。

ベースとドラムはロニー・ロメロが現在居住しているスペインのミュージシャンだったのですが、耳慣れないスペイン語の名前を、中途半端に流暢なジャパニーズイングリッシュでコールされたので全く名前が聞き取れませんでした(苦笑)。

まあ、MCなんぞどうでもいいんですが、楽曲もパフォーマンスもいいのに、若井望のギターが「泣かない」んですよねえ…。まあ作曲もデザインも英語も空手もできて、ギターのテクニックも充分でルックスも華があるのですから、そこまで求めるのは酷というものかもしれませんが。


BEAST IN BLACK

5月にSUOMI FEAST 2019で観たばかり。9月にも来ると知っていたら5月はパスしたのに…などと思っていたのですが、いやいや、これはこの日演奏された9曲なんかじゃとても満足できないでしょ。

とにかく曲良し、演奏良し、パフォーマンス良しの三拍子揃ったステージで、終始盛り上がりっぱなし。

ライブにおける曲・演奏・パフォーマンスというのは、どれかひとつ飛び抜けたものがあるバンドは他の2つは「そこそこ」でもライブとしては楽しめるのですが、このバンドはどれも素晴らしいのだから楽しめないはずがない。

私くらい無駄にライブ鑑賞の数を重ねると、変に目や耳が肥えてしまって、学生時代に観たライブのように単純に感動できないこともあるし、下手するとちょっと冷めた目で観ていることもあったりするのですが、お金を払ったのに楽しまないのは損だし、アーティストや心から楽しんでいるファンの人たちに申し訳ないからとりあえず盛り上がろう! みたいな気分の時もあるというのが正直な所です。

しかしやはりこれだけ非の打ち所がないライブを観ると、感性の衰えた(スレた?)アラフォーでもやっぱり理屈なしにアガるのです。

いや~、これは20曲近くプレイしてくれたSuomi Feastに行ってなかったら「なんで俺は行かなかったんだ…俺のバカバカ!」と自分を責めることになっていたに違いありません。

まったくこの夜の内容のレポートにはなっていませんが、たまにはこういうのもいいでしょう。なんなら「超良かった」のワンセンテンスでも充分だったと思うくらいです(笑)。

ただ、あえて今夜ならではのエピソードをひとつ挙げるなら、彼らがプレイするちょっと前にMETAL SOULSがプレイするEUROPEの"The Final Countdown"を聴いてたがゆえに、本日2曲目にプレイされた"Eternal Fire"の元ネタがこの会場にいる全ての人に気付かれてしまったということですね(笑)。


MYRATH

「アフリカ大陸のメタル・バンド」という言葉から想像されるクオリティを完全に凌駕する、チュニジアのプログレッシヴ・メタル・バンド。ライブを観るのはLOUD PARK 16以来だ。

ステージはよくあるバンドのロゴとか新作のアートワークの垂れ幕がぶら下がっている工夫のないしつらえではなく、ステージ後ろにイスラムっぽい建物が描かれた垂れ幕がかかっており、そのセンターで切れ込みが入っていて、そこから人(主にダンサー)が出入りすることができるようになっているという、ある種演劇のステージのようなもの。

そして彼らの音楽を聴き、MVを観たことがある人であればご存知の通り、彼らの音楽は(プログレッシヴ・メタルなのに)コンパクトにもかかわらず、非常に物語性豊かなもので、スタジオ盤の印象を全く損なうことのない精度の高い演奏がオーディエンスをたちまちアラビアン・ナイトの世界にいざなう。

まあ、この世界観に入り込めない人にとっては「全曲"Gate Of Babylon"にしか聴こえない」という感じなのかもしれませんが…。

要所要所に登場するセクシーなベリーダンサー(1人しかいないのが残念。これが6人、せめて4人いればさらに凄いインパクトだったと思うのですが、まあ予算もあることですし仕方ないでしょう)のダンスも、今回は衣装のバリエーションも豊かに彼らの音楽世界に色を添え、オーディエンスの視線をステージに釘付けにする。

「全曲"Gate Of Babylon"にしか聴こえない」人も、きっと彼女のダンスは楽しんだに違いありません(笑)。

入場時に、最新作"SHEHILI"の日本盤ボーナス・トラックだった"Monster In My Closet"の日本語バージョンの歌詞と「一緒に歌ってください!」というメッセージが印刷された紙が渡されたのだが、なかなか素人が簡単に歌えるような楽曲でもなく、合唱は小さめ(苦笑)。とはいえこのライブにかける意気込みが伝わってきて、ザヘル(Vo)がやや怪しいながらもわざわざ日本語で歌い上げてくれたことは胸が熱くなりました。

個人的な感覚では"Believer"をラストに持ってきたほうがよかったんじゃないかという気がしましたが。まあ、その辺はバンドのこだわりなのでしょう。

BEAST IN BLACKのように無邪気に盛り上がる、というタイプのライブではありませんでしたが、これはこれで非常に楽しめる、印象深いステージでした。

日本でも、国際的にも、BEAST IN BLACKの方が人気が高いと思われるのにMYRATHの方が出番が後なのは、BEAST IN BLACKを後にすると、「BEAST IN BLACKから来る」オーディエンスが多発する可能性があったからではないかと思っているのですが、さてどうでしょう。


HAMMERFALL

先月最新アルバム"DOMINION"をリリースしたばかりのHAMMERFALL。彼らを観るのもLOUD PARK 15以来ということで、失われたもの(LOUD PARK)の大きさをあらためて噛み締める。

それまでワードレコーズの新譜リーダートラック紹介の様相を呈していた場内BGMが、HAMMERFALLの前だけメロハー/AOR大会になったのは何故でしょう。

HAMMERFALLのショウは、最新作のオープニング・ナンバーである"Never Forgive, Never Forget"でスタート。最新作のオープニング曲でライブを始めるというのは非常にオーソドックスな選択だ。

「決して許さない、決して忘れない」という曲名はなんだか後ろ向きな印象だが、イングヴェイにも「お前は憶えてないだろうが、俺は決して忘れない」なんて曲があるし、スウェーデン人は意外と根に持つタイプなのかもしれない(笑)。

この曲はとりあえず速いのでカッコいいのだが、サビに爆発力がないので、きっと次のアルバムのツアーではセットリストから外れるでしょう(笑)。

彼らもなんだかんだ20年選手だけあってプレイすべき曲はいっぱいあるので、本日も新作からの曲が特に多いというわけではなく、キャリア全体からのグレイテスト・ヒッツ的なショウになっており、その辺はファンの求めるものを提供しているということなのだろう。

こうして代表曲を聴くと、あまりそういう面がフォーカスされることはない気がするが、彼らの楽曲のメロディの良さ、そしてフックラインの巧みさは際立っており、それが受けている国とそうでない国は割と明確に分かれているものの、受けている国における人気の高さがよく理解できる。

BATTLE BEASTの時も思ったのだが、やっぱり弦楽器隊が曲のキメに合わせてシンクロしたアクションをするのは気持ちいいですね。私が学生時代(1996年、オルタナ/メロコア全盛期でした)、バンドサークルの先輩には「ダサ過ぎる」と言われましたが、これをダサいと感じる人とは一緒にライブを観られませんね。やっぱりメタルはこうでなきゃ。

そして今夜特筆すべきは、ヨアキム・カンス(Vo)のフロントマンぶり。オーディエンスの煽り方、イジり方は完全にトップ・バンドのそれで、STRATOVARIUSのティモ・コティペルトなどにも通じるが、地位が人を作るというか、正直歌唱者としての生来のポテンシャルという意味では今夜のラインナップで一番下だと思われるヨアキム・カンスだが、フロントマンとしてはピカイチでした。

いや、歌声自体もかなりコンディションが良かった感じで、インタビューで言っていた「俺は今でも成長している」という発言が、単なるインタビューにありがちな常套句ではなく、事実であることを証明していたと思う。

ステージ全体として、オーソドックス過ぎるほどにオーソドックスなピュア・メタル・ショウなのだが、北欧と中欧限定とはいえ、これでチャートの上位に食い込み、数千人・数万人のオーディエンスが集まる国があるというのはある意味感動的。

「新しさ」は1ミリもないが、安心して観られるし、とても楽しい。それで何か問題があるのだろうか?


帰り道もULTRA帰りのウェイたちと一緒になったわけですが、私のような90年代以降にメタルを好きになった人間はともかく、今夜この会場にもたくさんいたと思われる、メタルというジャンルが誕生し、全盛を迎えた80年代リアルタイムのメタル・ファンは当時なりのウェイだったのではないかと思われ、どうしてメタルは今でもこれだけ素晴らしいアーティストがいるのに、ウェイな若者を取り込むことができなかったんだろうなあ…などと思ってしまう1日でした。

そしてさらに思ったのは、現状の高齢化した日本のメタル・マーケットに対しては、LOUD PARKのような規模のフェスティバルより、会場的にも時間的にもこれくらいのイベントの方がちょうどいいのかもしれない、ということでした(三連休の最終日にはやらない、というスケジューリング含めて)。

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HAMMERFALL "DOMINION" アルバム・レビュー

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スウェーデンを代表するヘヴィ・メタル・バンド、HAMMERFALLの、"Napalm Records"移籍後第2弾となる、通算11作目のフル・アルバム。

彼らのディスコグラフィーで一番冴えない仕上がりだった(と、個人的には思っている)"INFECTED"(2011)を手掛けたアメリカ人プロデューサー/ミュージシャンのジェイムズ・マイケル(SIXX:AM)を再び共同プロデュースに起用したと聞いて、一抹の不安を感じていたが、結果論で言えば全くの杞憂、彼ららしさに満ちたピュア・メタル・アルバムに仕上がっている。

先行シングルとして公開された"(We Make) Sweden Rock"は、タイトルだけ見るといささか不遜な響きながら、歌詞を読むと、80年代初頭からのスウェーデンのHR/HMアーティストのバンド名や楽曲タイトルがそこかしこに織り込まれており、言うなれば自分たちを含むヘヴィ・メタル・バンドこそがスウェーデンのロック・シーンを作ってきたんだ、という気概を示す、アンセム的な楽曲。

こういうキャッチーな曲を狙って作れる所がこのバンドが成功を収めた要因だと考えており、それ以外の曲も、ACCEPT風だったりYNGWIE風だったりとネタ元は割と明白ながら、楽曲全体で見るとパクリにはなっていないソングライティングはここ数年でさらに磨きがかかっているように思われる。

速い曲からヘヴィな感触の曲、キャッチーな曲にバラードと、メタル・バンドに求められる範囲の中でバラエティを作り、どのタイプの楽曲にもちゃんとフックを設けてアルバム全体を飽きさせずに聴かせる手腕はもはや職人芸であり、ヨアキム・カンスの声質を生かした哀愁風味のメロディはクサくなり過ぎずにキャッチーに響く。

前作は母国スウェーデンで6位と、彼らにしてはやや不調なチャート成績だったが(彼らの歴史の中で出来は良い部類だったと思うが)、本作は2位を獲得、ドイツでも4位と、過去最高レベルの成功を収め、スウェーデンのメタル・キングとしての地位が盤石なものであることを示す充実のアルバム。【85点】





Evoken Fest 2019 Extra Show at 吉祥寺 club SEATA 2019.9.1

前日に続き、Evoken Fest 2019の"Extra Show"と位置付けられたライブに行ってきました。

"Extra Show"というのはヘッドライナーであるALESTORMが不在であるために番外編的な扱いになっているようで、この日のトリはEvoken Fest皆勤賞となるイタリアのDERDIANだ。

吉祥寺に来るのは、かつてBLOOD STAIN CHILDを観に吉祥寺CRESCENDに来て以来なので、ほぼ10年ぶりだ。その前に来たのもさらに10年前なので、私にとって吉祥寺は期せずして「10年に1回来る街」になっている。いや、家庭を持って住むにはほぼ最高の街だと思うんですけどね。

当然、今回の会場であるclub SEATAも初めての会場だが、吉祥寺のメインストリート的な通り沿いなので迷うこともない。駅から会場に向かう途中、POWERWOLFなどという、だいぶ濃いバンドのTシャツを着た人とすれ違い、この人はもしや今日の会場も渋谷と勘違いしているのではなかろうか…と勝手に心配してしまいました(笑)。

会場に着くと、同じフロアに吉祥寺を代表する居酒屋(焼鳥屋?)の名店、「いせや」の支店が同じフロアにある。

残念ながら本日はおひとり様での参加ながら、もし友人と一緒に着ていたなら、ライブ後はここに吸い込まれること確実である(笑)。

地下の会場ということもあってか、昨日の渋谷ストリームホールとは違って天井が低い。そしてステージの前の梁(モニターが設置されている)が超ジャマで、ただでさえ狭いステージがさらに狭く見えるという意味であまり好ましくない会場だ。

Allegiance Reign

2017年にデビューした日本の「戦国バトル・メタル・バンド」。

甲冑(プラスチックのオモチャではなく本物らしい)に身を包んだ、その独特の和風な出で立ちは個性的ながら、この手の「独自の世界観」系のバンドは、「信者」以外にとってはサムくて観ていられないこともあるのでちょっと危惧していたが、杞憂だった。

RHAPSODY OF FIREとTURISASを足して2で割ったような勇壮なシンフォニック・メタルはなかなかのクオリティだし、YAMA-B(元GALNERYUS)そっくりの歌声を持つVoのMCは、デーモン閣下を思わせるユーモアのセンスがあり、バンドの世界観をすんなりオーディエンスに受け容れさせていた。

下手(しもて)のギターのMCも、時代劇っぽくて面白く(別に面白いことを言っているわけではないのだが、その時代がかった言い回しがなんとも味があって面白い)、その世界観とは全く無縁の(和風の要素皆無、シンフォニック・メタル風味全開)サウンドはかなりのインパクトでした。エイエイオー。


EPIDEMIA

クラウドファンディングで多額のお布施をした方の要望によってEVPが招聘し、来日が実現したロシアのバンド。

ロシアの情報というのはなかなか入ってこないので事実なのかわからないが、本国ロシアでは千人単位のオーディエンスがを前にアリーナ・クラスの会場でライブを行なう人気バンドらしく、本日このせいぜい600人くらいしか入らない会場がスカスカ、つまり恐らく300人くらいしかいない会場でプレイしてもらうのはなんだか申し訳ない気持ちになってしまう。

メタル・バンドとしての基本スタイルは、地理的に近いドイツや北欧のバンドに影響を受けたメロディック・パワー・メタル・スタイルのようだが、ドイツや北欧のその手のバンドがあまりやらないような、ちょっとダンサブルなパーティー・ソングや、「日本を舞台にしたMVを作った」と紹介された曲はポップ・ロック然としていたし、バラードは70年代のSCORPIONSみたいで、良く言えば型にはまっていない、悪く言えば方向性の定まっていない楽曲をプレイしている。

ライブの進め方というか、オーディエンスの乗せ方も、普通のバンドであればバラードでやるような、両手を挙げて左右に揺らすような動きをテンポの速いパートで求めたり、ちょっと西側諸国のバンドとは違っている感じで、これを「ロシアならではのオリジナリティ」と評価するか、「ロックのライブのお作法をわかってない、田舎臭いパフォーマンス」と感じるかはその人次第か。

ただ、垢抜けないながらも楽曲(特にメロディ)には耳を引くものがあったし、超テクというわけではないが、キャリアの長いバンド(結成は1993年)だけあって演奏も安定しており、何よりエルフみたいな容貌のヴォーカリストの伸びやかなシルキー・ヴォイスが素晴らしく、彼らのパフォーマンスに悪印象を抱いた人はいなかったのではないか。

実際会場はかなり盛り上がっており、前方にはロシア語の歌を合唱するようなコアなファンも集まっており、オーディエンスの人数はともかくリアクション自体はバンドを満足させる熱量があったように思う。

個人的にも本日の目当てはこのバンドで、その期待に応えるステージだったことは間違いない。

まあ、それは「ロシア料理もたまに食べると美味しいよね」みたいな感覚で、西側諸国の一線級のバンドと同じレベルのパフォーマンスだったかと問われるとそんなことはなかったのですが、また何年後かに来日してくれたらまた観たいし、できればフルセットのショウを観たいと思わせる魅力は確実にあったと言っておきます。


MANTICORA

昨日、飯タイムにしてしまったために見逃してしまったバンド。いや、今日観れることがわかっていたからこそ飯タイムにしたというのが本当の所ですが、それでも飯タイムにしてしまったのはそれなりの期待値でしかなかったというのもまた事実。

このバンドも2000年代初頭のパワー・メタル・ブームの際には日本盤が出ていて、「デンマークのBLIND GUARDIAN」的な評判でマニアには注目されていたので、当時は私も聴いていました。

ただ、そのサウンドは確かにBLIND GUARDIAN風ではあったものの、ブラガの持つドラマ性や叙情性ではなく、アグレッシブな面やプログレッシブな面が強調されたサウンドで、個人的な琴線にはあまり触れなかったというのが期待値が低かった理由。

しかし、そんな低い期待値を全面的に謝罪したくなるステージだった。ドラムのツーバスがオート連打モードでも付いているのではないかという強烈さで、その強靭なビートに支えらえたスラッシュ・メタルさえ彷彿させるほどのアグレッシブなパフォーマンスは猛烈なヘドバン欲を刺激し、こんなに激しくアタマを振ったのはいつ以来だろう…という勢いでヘッドバンギングしていた。

翌日の首の筋肉痛は間違いなくこのバンドのせいです(笑)。

ブロンドの長髪と、シアトリカルで個性的なアクションが印象的なヴォーカリスト以外のメンバーは「普段はIT企業で働いてます」といった感じの爽やかな短髪の欧米人だが、大して売れているとも思えないこのバンドの活動を続けているのも納得のパフォーマンスだった。

スタジオ盤ではイマイチでも、ライブだと素晴らしいと感じられるバンドの典型例ですね。予想外の満足度でした。

Voの人が途中、1曲だけネズミ男みたいな恰好になったのは意味不明でしたが(歌詞が理解できてれば意味がわかったのかもしれません)。


NORTHTALE

昨日観ているので、外に出て食事しててもいいのだが、この会場は再入場時にまたドリンク代を取られるのと、何より昨日のパフォーマンスが素晴らしかったので再びじっくり鑑賞。

昨日と内容は同じなので詳細は語りませんが、昨日同様にデビューしたてとは思えない(メンバー各々はそれなりのキャリアがあるので当たり前と言えば当たり前ですが)完成度の高いステージだったのですが、より広い会場だった前日の方がよりパフォーマンスが映えていたと感じたあたりは、バンドのスケール感を逆説的に証明するものだったと思います。

パワー・メタルの次世代を担う大器に育ってほしいし、日本で正当な評価を得てもらいたい所です。


BLOODBOUND

BGMでPRETTY MAIDSの"Raise Your Flag"とRUNNING WILDの"Riding The Storm"という、メタルを聴き始めの時期に聴いていた名曲が立て続けに流れ、BGMの選曲が昨日と全く同一であることに気付く。

BLOODBOUNDはスウェーデンのパワー・メタル・バンド。デビュー以来、アルバムが出るたびに買っている、つまりそれだけの魅力があるバンドなので当然お目当てのひとつ。本日はEPIDEMIAとBLOODBOUND、このどちらが欠けてもこの会場に足を運ばなかったでしょうね。

できれば初代のヴォーカリストであるアーバン・ブリードで観たかったが、現Voのパトリックも良いシンガーなので不満というわけではない。ただ、そのパトリックがスキンヘッドに、受験生がするような日の丸ハチマキを巻いて登場したのはちょっと失笑。

BLOODBOUNDのライブ・パフォーマンスというのは、スタジオ盤の印象に極めて忠実である。すなわち、楽しめるが、失礼ながらA級の風格は感じない。そういう意味で、NORTHTALEにはA級のポテンシャルがあるということを逆説的に感じさせられました(笑)。

しかし、このブログを読む程度にマニアな方であればB級にはB級の魅力があることはご承知の通りで、そういうA級ならざるランクのバンドを観られることがEvoken Fest…というかEVPが興行するライブの醍醐味。そういう意味でEVPの事業停止は惜しまれます。

セットリストは現Voのパトリック加入後の楽曲が中心で、近年押し出されるようになった「メタル」や「ドラゴン」など、わかりやすいアイコンを掲げてオーディエンスを煽る彼らのパフォーマンスはメタラーであれば嫌いになれない類のもの。

ショウの途中で出てきた、彼らのアルバムのアートワークにおけるマスコット・キャラクター(?)、ノスフェラトゥ君は、ステージが狭いせいか「何しに出てきたん?」という程度の存在感でした(笑)。

ラストは彼らのテーマ曲というべき名曲"Nosferatu"でしたが、チューニングが下がっていたのでちょっと違和感を覚えてしまったことは内緒です。


そしてこの後は本日のトリ、DERDIANの登場となるわけですが、翌日は月曜日ですし、昨年も観ているので、失礼ながらパスさせていただきました。

吉祥寺駅までの帰りがけ、大学時代に時々行っていた野方ホープの支店があったので、そちらでラーメン食べて帰宅。

本日はキャパに対して5割からせいぜい6割程度の入りだったので、バンドとバンドの間の転換時間は地べたに座れた分、昨年よりラクでしたが、まあこの客入りではビジネスとしては続けられないよなあ…という感じでした。

オールスタンディングの会場で、このバンド数でやるなら、体力のある若者向けのバンド中心でないと厳しいでしょう。然るに本日集まっていたオーディエンスは、ALESTORM効果があった昨日より高く、30代から40代の仕事で疲れている世代が中心。

体力の衰えたこの世代を相手にするには指定席型の会場が好ましいですが、そもそもそういう世代の人は仕事や育児などで忙しいので、椅子のある会場を埋めるほどの動員はなかなか見込みづらい。

そういう意味で、現代の日本でマニアックなパワー・メタルのフェスティバルというのはビジネス的にはなかなかの無理ゲーで、採算度外視…とまでは言わないにせよ、「儲かるかどうかより、呼びたいかどうかだ」の姿勢で招聘をしてくれたEVPが実現してくれたこの数年間の奇跡に感謝するしかありません。

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