TRICK OR TREAT / RABBIT’S HILL PT.2

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リリース元を「Valery Records」から大手「Frontiers Records」に移して(日本では引き続きキングレコード)発表された、前作から引き続き英国の児童文学『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』の物語をベースにしたコンセプト・アルバム第2弾。

プロデュースを手掛けているのは前作に引き続きシモーネ・ムラローニ(G : DGM, EMPYROS)。

前作発表時点で「多くのアイディアが生まれて1枚に収まらなかった」ために2部作にすると言っていたにもかかわらず4年近いリリース間隔が空いたのは、やはりVoのアレッサンドロ・コンティがLUCA TURILLI’S RHAPSODYとの掛け持ちだからだろうか。

前作はデビュー当時のようなマイケル・キスク在籍時のHELLOWEEN直系のサウンドから距離を置き、ややサウンドの多様性を求めた印象が強い作品だった。

本作もANCIENT BARDSのサラ・スクワラドーニ(Vo)をゲスト・シンガーに迎えたパワー・バラードの#3、MEGADETHを彷彿させるインストの#8、ニー・カッコ(Vo : SONATA ARCTICA)がゲスト参加した少しフォーキッシュな#9など、前作の拡散路線を踏襲しつつも、しかし全体としてはメロディック・パワー・メタル色の強い感触の作品に仕上がっている。

のっけからいきなり緊張感を高めてくる切迫感に満ちたスピード・チューンの#1、MVも制作されたリード・トラックの#6、ゲスト参加したティム・オーウェンズ(元JUDAS PRIEST, ICED EARTH)のパワー・ヴォーカルが冴える#7、そしてHELLOWEEN譲りの構築美を見せる10分におよぶ#10といった勢いのある楽曲がそのイメージを形作っている。

一方で、アレッサンドロ・コンティのマイケル・キスク似のハイトーンにピッタリなポジティブなキャッチーさのある#3「Cloudrider」のような楽曲もいいし、コンセプト作のストーリー後半だからか、全体的に劇的な印象が増しているのが良い。

前作に引き続きオープニングの疾走曲の後にいきなり牧歌的なアコースティック・チューンが来てしまうという緊張感を削ぐ曲順でなければなお良かったのだが、そんな不満もさして大きな問題とは感じさせない充実作である。

正直あまり成功しているとは言い難い、ローカル・バンド同然の活動状況ではあるが、イタリアにおいてはANCIENT BARDSと並ぶ若手(?)のホープ認定。【86点】

◆本作収録「The Great Escape」のMV


◆本作収録「Never Say Goodbye」のMV


◆本作収録「United」のリリック・ビデオ


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めたる3兄弟

日本のメロディック・デス・メタル、いや、メタル界きってのホープといっても過言ではないGYZEが妙な動画を作っていました。


「背伸びして聴くクラシック」で吹きました。

この動画と連動して、渋谷のスクランブル交差点に屋外看板広告も出稿していたようです。

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※私自身は見ていないので、公式サイトより引用

彼らはルックスが良いので普通にバンドのメンバー・ショットの広告を出した方が良かったのではないかと思いますが…。
狙いはわかりますが、私が担当したらこういうクリエイティブにはしませんね。こういうクリエイティブにするにはまだバンドの知名度が足りな過ぎる。

ハッシュタグをつけてTwitterでの拡散を狙っているのはわかりますが、それならTwitterのプロモツイートも同時出稿すべきですし(やってたらすみませんが、私くらいのメタル・ファンで、毎日Twitterを開いている人間が接触してない時点でやってないも同然かと思います)、YouTubeのTrueView広告の同時展開も必須でしょう。

メタルあるあるとして、日本のメタラーなら思わず笑ってしまう動画に仕上がっていますし、「だんご三兄弟」という国民的な知名度を持つ楽曲のデス・メタル・カヴァーとして、話題になるポテンシャルもあったと思いますが、ちょっとお金の使い方が中途半端だったために、動画の再生回数を見る限りあまり成功したとは言い難い企画になってしまっています。

埋もれさせるにはもったいないので微力ながらこのブログで取り上げてみます。
メタル好きなら笑える動画だと思いますので、このブログを定期的にご覧いただいているくらいのメタル・ファンでまだ観ていない方はぜひ。

ネタバンドだと思われるとアレなので、普通のMVも貼っておきます。



VOLCANO / JUGGERNAUT

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泣きのギターを弾かせたらまさに天才!(天才!)、その酒癖はまさに天災!(天災!)、と言われる(?)屍忌蛇(元GARGOYLE, ANIMETAL)率いるVOLCANOの、このバンドにしては珍しく、約1年という短期間のインターバルで発表されたフル・アルバムとしては通算5作目。

インターバルが短いことから練り込みが甘いのではないか、と危惧される所だが、ところがどっこい、むしろ前作、前々作以上に1曲1曲の構築、楽曲のバラエティとも考えられていて、間に他のプロジェクトを挟まなかったことでかえってVOLCANOとしての「密度」が上がったのではないか、などと思ってしまうような力作である。

映画音楽を思わせるドラマティックなイントロの#1に続く、のっけからNOVの壮絶な絶叫が轟き渡る#2「Sacred Eternity」には名作1stを彷彿させる趣があるし、そのまま引き続きブルータルな#3「Get Mad Child」(このタイトルは、デモの仮タイトルが「玄米茶」だったことに由来しているらしい…)への流れでツカミはバッチリ。

#5「I Miss」の往年のIN FLAMESを彷彿させる「慟哭の」イントロにはグッと来るし、ライナーノーツにある通りRAINBOWの「Spotlight Kid」やALCATRAZZの「Jet To Jet」を彷彿させるリフ(というか、後者は前者の翻案だと思うが)を持つ#7「Blood Soldier」はこのバンドのレパートリーの中では最も正統派寄りの楽曲で、個人的なツボにはドンズバである。

屍忌蛇の愛犬としてファンには知られる安兵衛の吠え声をフィーチュア(?)した#8「Bigger Roar」や#10「Knee Strike」のようなアグレッシヴな曲もいいが、個人的にはVOLCANOとは別にRAINBOWやSCORPIONSスタイルの正統派HR/HMプロジェクトも聴いてみたい、と思わせるほどに本作はメロディが練り込まれている。

#11「Coming Hill」のような、このバンド初のバラード(!)が収録されているあたりも、現在の屍忌蛇が「メロディ・メイキング好調期」にあることを端的に示しているが、それでいてアルバムトータルの印象としては前作「MELT」と同等にソリッドである。

もちろん、屍忌蛇のギター・ソロも相変わらず「歌って」おり、ギター・ソロが単独の楽曲として成立しそうなほどである。1曲で2曲分楽しめる、まさに「一粒で二度おいしい」楽曲ばかりだ。

NOVの、二井原実(LOUDNESS)にヤスリをかけてさらに強靭に磨き上げたかのような歌声も衰え知らずで素晴らしい。日本に上手いシンガーは他にもいれど、ここまで「強い」声を持っているのは彼くらいのものなのではないだろうか。

個人的には1st「VIOLENT」のインパクトが強すぎた(聴いた年齢の問題も大きい)ためにその評価を超えられずにいるが、本作が「VIOLENT」以来の傑作であることは間違いない(そういえばジャケットのアートワークの雰囲気も似ている)。

なお、#4「Shadow」は2005年に発表されたEP「VIPER’S PATH」のディスクユニオン限定特典CD-Rに収録されていた「How Can You Deny The Things That You Don't Even Know」のリメイク。【86点】

◆本作収録「Sacred Eternity」のMV

アカウント含め、全くオフィシャル感のないMVである…。誰かもっと屍忌蛇の才能をプロモートすることのできるスタッフを用意してあげてほしい…。