RHAPSODY OF FIREからファビオ・リオーネ(Vo)が脱退

イタリアを、いや、シーンを代表するシンフォニック・メタル・バンド、RHAPSODY OF FIREからヴォーカリストであるファビオ・リオーネが脱退を表明しました。

詳しい脱退理由については説明されておらず、ファビオ・リオーネは自身のFacebook上でRHAPSODY OF FIREでの活動に誇りを感じていること、そしてメンバーたちへの感謝を表明しています。

…というと「きれいな別れ」のようですが、バンドは本来最新作『INTO THE LEGEND』に伴う欧州ツアーをこれから行なう予定になっており、そのスケジュールはいったん白紙になるということで、なぜこのタイミングで?という気もします。

つい先日「ETERNAL IDOL」なる新プロジェクトの発表がありましたが、割と地味な、言っては失礼ですがいかにもサイド・プロジェクトっぽい雰囲気のものなので、これをやることがRHAPSODY OF FIREという彼がかれこれ20年近くに渡って「メインのお仕事」にしてきたバンドを辞める理由にはならなそうです。

そうなると、彼が他に現在所属する(?)バンドがVISION DIVINEとANGRAであり、活動の規模(すなわち収入の額)から考えるとANGRAをメインにしていく、ということが考えられます。

ANGRAの最新作『SECRET GARDEN』ではゲスト・シンガー的な扱いでしたが、いよいよ正社員に登用されたのでしょうか?

もちろんどちらのバンドも大好きですが、個人的にはANGRAよりはRHAPSODY OF FIREの音楽性のほうがファビオのスタイルには合っていたと思うだけに、ANGRAへの正式加入が脱退理由だとしたら諸手を上げて喜ぶことはできません。てかむしろANGRAのことがちょっと嫌いになってしまいそうです(苦笑)。

個人的な感覚では、ANGRAでやっていくくらいならまだルカ・トゥリッリのRHAPSODYに合流してくれるほうがまだ納得感と期待感がありますよ。

いやマジでRHAPSODYというバンドが描いてきた勇壮なシンフォニック・メタルにファビオ・リオーネの歌声は完璧にマッチしていたと思うんですよ。「Emerald Sword」が神曲たりえたのは彼が歌っていたからこそだと思います。

張りと艶があり、力強さと色気を兼ね備えたその声はまさに「勇者の声」であり、凡百のメタル・シンガーのようにシャウトに逃げず、朗々とドラマを歌い上げることができる卓越した人材でした。もし私が誰かのように歌えるのであればファビオのように歌いたいと思っていましたし、男性Voによるシンフォニック・メタルを志す人であれば皆「ファビオ・リオーネのように歌えるヴォーカリストを迎えたい」と思うのではないでしょうか。

いやまあ、本人は何しろRHAPSODYで最初にリハーサルをした際に「こんな歌は完全なるクソだ!」とマイクを床に叩きつけたという逸話があるので、そこまでこのスタイルにこだわりはないのかもしれませんが…。

しかしどうなっちゃうんでしょうねえ、RHAPSODY OF FIRE。かつてルカ・トゥリッリ(G)が脱退し、ルカ、アレックス・スタロポリ(Key)、ファビオ・リオーネ(Vo)の「三頭政治」が崩れたときでさえショックでしたが、この上ファビオまで欠くことになってはちょっと将来を悲観せざるをえません。

まあ、ロイ・カーンという個性・実力を兼ね備えたシンガーを失ったKAMELOTでさえ何とかなったのですから、ひょっとしたら逸材が見つかるのかもしれませんが…。

◆ニュースソース
http://www.blabbermouth.net/news/singer-fabio-lione-exits-rhapsody-of-fire/

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TRAUMER / AVALON

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ビクター・エンターテインメントのお客様相談窓口にアプローチしてきたというエピソードがネタになっているブラジル出身のメロディック・パワー・メタル・バンドのセカンド・アルバムにして本邦デビュー作。

ヴォーカリストはギルエルメ・ヒロセ、キーボーディストはネルソン・ハマダと、名前で一見してわかる日系人で、特に後者は外見が完全に日本人である。

てっきりビクターへのコンタクトも日系人ならではの日本語で行なわれたのかと思いきや、普通にWeb翻訳サービスを使ったそうで、どうやら日本語が話せるわけではないようだ。まあ、TRIVIUMのキイチだって最初は日本語サッパリ、だったからそんなものでしょう。

2009年にブラジルのサンパウロで結成され、2012年に現在のラインナップが揃い、初音源となるEP『ELEAZAR』を発表、2014年にファースト・フル・アルバム『THE GREAT METAL STORM』をリリースし、マニアの間では既に注目される存在だったようだ。

レコード会社が今回「売り」にしているのは件のお客様相談窓口への突撃エピソードに加え、ボーナス・トラックとしてSTRATOVARIUSの「Father Time」、HELLOWEENの「Eagle Fly Free」、ANGRAの「Carry On」という、このメロパワ界隈における超有名クラシックばかり臆面もなく3曲もカヴァーしていることである。

正直、これらの楽曲のカヴァーは自分たちの曲の印象を薄くしてしまう上に、演奏力がオリジナルのバンドより劣っていることを浮き彫りにしてしまっており、諸刃の剣といった観もあるが、非常に素直なカヴァー(もはやコピー)なので、オリジナルのファンであれば素直に楽しめることだろう。

バンド自体のスタイルが、このSTRATOVARIUS、HELLOWEEN、ANGRAという3つのバンドのどれに近いかというとそれは明らかにSTRATOVARIUSで、所々パクリ寸前なメロディを散見させつつ、アルバム全編に渡って非常にピュアなメロディック・パワー・メタルを聴かせてくれる。

現時点では全く無個性だし、まだまだ洗練されていないものの、演奏力・サウンドともこの手のサウンドのマニア的には及第点なレベルに達しているし、私のようなこの手のキレイめメロディック・メタル・サウンドをこよなく愛する向きには充分楽しめるクオリティを有している。

正直、彼らが「一線級」に昇格するためにはまだまだメロディ、パワーともに物足りなさが否めないが、最近活況とは言い難いこのジャンルにおける数少ない「光るものがある」バンドであることは確かで、最近あまりこの手の新しいバンドと契約していないビクターが契約に踏み切ったのも、自分たちが日本に広めたメロディック・パワー・メタルの正統的な継承者としてのポテンシャルを評価したからだろう。

というわけで私も点数は期待料込みで。STRATOVARIUSタイプのサウンドが趣味でない方にとってはマイナス3点て所かも。【81点】

◆本作の試聴用ムービー


BABYMETAL来日公演 at 東京ドーム -RED NIGHT- 2016.9.19

タイトルの「来日公演」は、先日「来日記念盤」がリリースされていたので、その意向を尊重しました(笑)。

私はこれまで2012年1月の「Woman's Power」、2013年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」に「SUMMERSONIC」に「LOUD PARK」、2014年の「SUMMERSONIC」、そして今年のフジロックと、都合6回ほどBABYMETALのライブを観ていますが、単独公演に足を運んだことはありませんでした。

メタルのチケットというのは大抵ソールドアウトしないので、当日のスケジュールが見えてから買っても充分間に合うというか、ぶっちゃけ当日券で入れることが多いのですが、彼女らのライブに関してはすぐにソールドアウトしてしまうため、スケジュールの読みづらい多忙な身としては行けるかどうかもわからないライブのチケット争奪戦に参加することが躊躇われたからです。

しかし、今回会社の先輩から「ダメもとでチケットの先行予約申し込んだら取れちゃったからさ、一緒に行かない? メタル好きでしょ?」と声をかけられ行くこととあいなりました。

開場は16時だが、物販には二人とも興味がないので17時くらいに水道橋駅近くのスタバで集合し、会場である東京ドームへ。開場から結構時間が経っているにもかかわらず(開場が遅れていたようだが)入口付近はまだまだ混雑していて、自分たちの指定ゲートへ行くにはどこに並べばいいのかよくわからない状態でした。

列の最後尾を見つけて無事入場すると、ビニール製のコルセットが渡される。どうやらこれが光る仕組みになっているようだ。

2012年7月に行われた、シングル「ヘドバンギャー!」リリース記念のプレミアムライブ「LEGEND~コルセット祭り」以来の趣向であり、一昨年の武道館公演でも同様にコルセットが配られていたと聞いている。

「とりあえずビールでも飲もうか」と場内の売店に向かうと、本日は主催者の意向によりアルコール販売はなしとのこと。

仕方がないので席について開演を待つ。1塁側内野スタンドの後方で、決してステージに近くはないが、見づらい感じではない。360度タイプのステージで、三方向に花道が延びている。中心部はタワー状の建物になっている大がかりなステージだ。

BGMはSLAYERやらDRAGONFORCEやらJUDAS PRIESTやらSLIPKNOTやらIRON MAIDENやらMETALLICAやら、有名メタル曲ばかりが流れているが、特に周囲に反応はなく、ここに来ているのはやはり「メタルのファン」ではなく「BABYMETALのファン」なのだな、と。

初期のファンはどちらかというとメタル好きの比率が高かったのではないかと思いますが、さすがに東京ドーム公演をやれるほどにビッグになってしまうと、比率としては限りなく一般社会におけるメタル好きの構成比に近づいていくのはやむを得ないことでしょう。

開演時間である18時を20分ほど過ぎてようやく客電が落ちる。恒例の映像からのスタートで、『シン・ゴジラ』ネタが早くも取り入れられているあたり、相変わらず旬ネタに敏感である(笑)。

そしてKOBA-METALから、この東京ドーム公演においては、本日と明日の2日間でひとつの物語が構成されることが説明され、ファースト・アルバムとセカンド・アルバムの全曲がプレイされること、そしてそれぞれの曲は1回しかプレイされないこと、MCやアンコールは無いことが告げられる。

…てことは1日あたりアルバム1枚分の曲数しかプレイしないってこと? 演出やら映像やらで多少時間は伸びるにせよ、ちょっと短くね? てか元々2日目は「追加公演」のはずなのに、2日ワンセット扱いなのはおかしくね? などと思ってしまいました。

若干釈然としない思いがありつつも、ショウがスタートする。あたかも塔のように高く組まれたステージ・セットの上部から3人が登場したため、おそらくアリーナ前方の人は最初まったく本人たちが見えなかったのではないか(笑)。しかしこのセット、高所恐怖症だったら絶対にNGな高さだ。

オープニングは定番の「BABYMETAL DEATH」ではなく「Road Of Resistance」だ。個人的には「BABYMETAL DEATH」はイントロダクションとしては長すぎると感じていたのでこれはいい。

ただ、この曲を今日プレイしたということは、同じメロディック・スピード・メタル・チューンの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は明日かな~などという思考が脳裏をかすめる(そしてその予感は正しかった)。

続いて「ヤバッ!」に「いいね」と、どちらかというとポップな曲が続く。SU-METALの声の伸びは素晴らしく、明らかに前回観たフジロックの時よりコンディションは良さそうだ。

会場があたたまったところで私の好きな「シンコペーション」がプレイされる。ちょっとV系っぽいこの曲はオーディエンス的には合いの手などを入れやすいパートがないため、ライブ映えはイマイチかもしれない。

続くはやはり新作から私のフェイバリット・ナンバーである「Amore -蒼星-」がプレイされる。この曲がプレイされたということは「紅月」は明日か。

てっきり大合唱になるのかと思いきや、少なくとも1階席ではまったく歌声が起こらない。合唱の起きないメロスピのライブなんてちょっと寂しいものがあるが、これくらい会場規模が大きくなるとYouTubeにMVが上がってない曲は知らない人や、歌詞をちゃんと覚えていない人が大半を占めるようになるのもやむを得ないか。

一緒に観ていた会社の先輩の「バラードにこんな激しいビートをつけるってすげぇよな」というコメントを聞き、なるほど、メロスピというのは一般人には「激しいバラード」に聴こえるのか、と新鮮な驚きを感じるとともに、かつてYOSHIKIが「紅」を作曲した際に周囲から「なんでこのメロディでそんなに速くするの? バラードにすればいいのに」と言われたというエピソードを思い出しました。

YUI-METALとMOA-METALによるNU-METALチューン「GJ!」で、5万人の三三七拍子が響き渡ったの後、ファースト収録のゴシック・プログレッシヴ・メタル・チューン「悪夢の輪舞曲」がプレイされる。ノリやすい曲ではないため、盛り上がったとは言い難いが、これはなかなか俺得な選曲だ。

『スターウォーズ』ネタの映像が流れた後「4の歌」がプレイされる。YUI-METALとMOA-METALに煽られて場内は「よんよん!」「フォー!」と盛り上がる。ある意味本日一番盛り上がりというか、場内の一体感を感じる瞬間だったかもしれない。

ライブにおいては神バンドの超絶技巧を見せつけるソロから始まるのが「お約束」になっている「Catch Me If You Can」を挟んで人気曲「ギミチョコ!」そしてセカンド・アルバムのリード・トラックである「KARATE」がプレイされる。ここまでどちらかというとメジャーな曲が少な目だったことのバランスをとるかのような選曲だ。

そしてクライマックスを感じさせる映像が流れた後、ライブ初披露らしい「Tales Of The Destinies」がプレイされる。女子高生くらいの女の子がこんな変拍子バリバリのプログレッシヴ・チューンをライブで歌えるということ自体が驚きなのに、ダンスの振付まで付いているのだから恐ろしい。神バンドの演奏にも鬼気迫るものがあり、この曲・この瞬間が本日のハイライトだったと言えるだろう。

そして、5万人を超えるオーディエンスが装着したコルセットがさながら煌めく星のように白く発光する中、本日のライブを締めくくったのはアルバムの流れ通り(実質組曲?)「THE ONE」。まさに感動の演出である。

あまりメンバーが花道に出てくるタイミングは少なく、また中心部のタワーが邪魔になってあまりメンバーがよく見えない時間帯が長かったのが不満と言えば不満だが(ライトスタンドやレフトスタンドの人たちはちゃんと彼女たちが見えていたのでしょうか?)、コンサートの構成としては短さをあまり感じさせない、充実感のあるものに仕上がっていたと思う。

もちろん、「イジメ、ダメ、ゼッタイ」や「メギツネ」、「ヘドバンギャー!」みたいな人気曲が聴けなかった、という不満を持つ人も、初見の人も多いであろう東京ドームのオーディエンスの中にはいると思われるが、個人的なことを言えばそれらの楽曲はこれまで何度も聴いているので、これまで聴く機会のなかった楽曲が多かった本日の選曲は悪くなかった(強いて言えば「META! メタ太郎」を聴いてみたかったが…)。

とはいえ僕がプロデューサーだったら、こういう初見の人やライトなファンがいっぱい集まる大会場のライブでは、普通にグレイテスト・ヒッツな選曲でやると思いますが、まあその辺がこのプロジェクトならではのこだわりなのでしょう。

いずれにせよ東京ドームでメタル(ハード・ロックではない)を聴くことができるという、なかなかレアな喜びは充分に噛み締めました。

残念ながら2日目「BLACK NIGHT」の公演を観ることはできませんが、果たして何が起きるのか、ネット上の声やレポートを楽しみにしていたいと思います。