NOCTURNAL RITES、復活

スウェーデンのパワー・メタル・バンドNOCTURNAL RITESといえば、コンスタントに活動していた2007年までは当サイトの年間ベスト・アルバムの常連で、少なくともここ日本では安定した人気を持っていたバンドでした。

ただ、当サイトで2007年ベスト・アルバムに選出した充実作『THE 8TH SIN』を発表し、LOUD PARK 07に出演後の2008年、バンドの創設者で中心人物だったギタリストのニルス・ノーベリが脱退、実質的に活動停止状態に陥っていました。

その後、2010年にクリス・ローランドが後任ギタリストとして発表され、何回かライブは行なったようですが、そのクリスが同じスウェーデンの人気バンド、SABATONに加入して忙しくなったこともあり、再び開店休業状態に。

その後5年以上何の音沙汰もなく、これは消滅したかな…と思っていましたが、今週になってバンドのFacebookが更新され、クリス・ローランドが(1枚のアルバムに参加することもなく)脱退し、後任としてSCAR SYMMETRYのペア・ニルソンが加入、新たに『AFM Records』と契約し、9月にニューアルバム『PHOENIX』をリリースすることが発表されました。

『PHOENIX』、「不死鳥」というタイトルは彼らの状況を考えるといかにも、なタイトルですね。個人的にはLOST HORIZONと並ぶ「復活してほしいバンド」の双璧の存在だったので、嬉しい限りです。

SCAR SYMMETRYのギタリストということであれば技術的には何の心配もないと思いますが、SCAR SYMMETRYはどちらかというとモダンなスタイルのサウンドだったので、果たしてNOCTURNAL RITESにマッチするのかという一抹の不安もあります。

ただ、2010年の時点で新作用の楽曲はほぼ完成している、と言っていたので(だったら出してくれと言いたい所ですが)、ひょっとすると新作のソングライティングにはペア・二ルソンはあまり関与していないのかもしれません。

Facebook上の写真を見ると、ジョニー・リンドクヴィスト(Vo)が結構老け込んでいるように見えますが、あの熱い歌声が健在であることを願うばかりです。

日本盤のリリースも既に決定しているようですが、9月20日のリリースって、LOUD PARKの出演にピッタリなタイミングだと思いませんか?(誰に訊いているんだ)

※ニュースソース
https://www.facebook.com/nocturnalritesofficial/

BLABBERMOUTH.NETですら取り上げられないマイナーっぷりが悲しい。

◆バンドの状況にこの曲名がピッタリですね、の名曲「Still Alive」
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UNLEASH THE ARCHERS / APEX

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『MAD MAX』の世界観を思わせる(パロディ?)「Tonight We Ride」のMVがYouTubeで400万回以上の再生を記録するなど話題になったカナダはバンクーバー出身バンドの通算4作目、『Napalm Records』からのワールドワイド・リリースとしては2作目となるフル・アルバム。

アルバム・デビューは2009年ながら、結成は2007年にさかのぼるということで、もはや10年選手。先述の通り、前作が欧州を中心としたメタル・ファンの間で話題になったことで予算が増えたのか、VOLBEATやAMARANTHE、EPICA、DELAINといったバンドを手掛ける売れっ子、ヤコブ・ハンセンをミキシング&マスタリングに迎え、前作の弱点だったサウンド・プロダクションの弱さが解消されているのがまず明確な進歩。

日本デビュー作となった前作『TIME STAND STILL』は、なかなか魅力のあるアルバムではあったが、少々楽曲のクオリティにバラつきが感じられる作品だった。しかし、前作発表後、ベーシストの交替を経て発表された本作においては楽曲クオリティ、特にメロディ面の充実において顕著な成長が感じられる一枚に仕上がっている。

大枠のジャンルとしては「パワー・メタル」に一番近いと思われるが、まるでNWOBHMのバンドのアルバムかと思われるようなジャケットのアートワークが象徴するように、よりプリミティブでオーセンティックなヘヴィ・メタルを感じさせるサウンドである。

一方で、前身バンドはデス・メタルだったというだけあって、所々デス系のスクリームが入るし、リフ・ワークは時にスラッシーと言ってもいいほどのエッジを感じさせることもあり、北欧やドイツのメロディック・パワー・メタルのような小奇麗かつ大仰なサウンドにならず、「メタル魂」とでも呼ぶべきものを感じさせるのがこのバンドの魅力。

個人的にはこういうメタル然としたバンドのヴォーカルは男であってほしいと思うクチで、それはつまりこういう「男の世界」に女性ならではの愛嬌や甘さ、可愛らしさは不要と思っているということなのだが(私が日本の「嬢メタル」と呼ばれるバンドにあまり惹かれないのもその嗜好ゆえである)、このバンドの看板である女性ヴォーカリスト、ブリトニー・スレイズの歌声は、もしかすると前情報なしで聴けば男性だと間違う人がいるかもしれない「熱さ」があり、このメタル魂溢れるサウンドにマッチしている。

エクストリーム・メタル的なエッセンスをちりばめつつも、基本的にはIRON MAIDENなどに通じるドラマティックなメタル・サウンドは、やや長尺の楽曲が多いにもかかわらず、最後まで緊張感を失うことなく聴かせてくれる。

どの曲にも「オッ」と思わせる煽情的なパートがあるものの、一撃必殺のキメ曲に欠けるのがちょっともったいない。まあそれは次作以降の課題ということで。

日本盤ボーナス・トラックはQUEENSRYCHEの「Queen Of The Reich」のカヴァーで、5オクターブの音域を誇るブリトニー嬢の実力を示すにはピッタリの選曲。

まだ粗削りな部分もあるけど、そういう面も含めて魅力だと思えるバンド。日本で人気が出るにはバンド名が日本人になじみの薄い単語で構成されている上に略しにくいという問題がある気がするが、LOUD PARKで観たいぞ!【84点】

◆MVにするにはちょっとツカミの悪い「Cleanse The Bloodlines」


◆シングルとして切るならこの曲の方がわかりやすいかも、の「The Matriarch」のリリック・ビデオ


◆メイデニックな展開がたまらないタイトル曲「Apex」のOfficial Audio


RHAPSODY OF FIRE / LEGENDARY YEARS

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ファビオ・リオーネ(Vo)とアレックス・ホルツヴァース(Dr)脱退後、ニュー・シンガーとしてジアコモ・ヴォーリ(Vo)とマヌ・ロッター(Dr)を迎えた新生RHAPSODY OF FIREの、往年の名曲を現編成で再録した、いわゆるリ・レコーディング・ベスト的なアルバム。

新たな出発に際しては、新ラインナップの真価を問うような完全新作で勝負するべし、という意見も多いことと思うが、デビュー20周年という節目のタイミングという、こういうベスト的な作品を出すには格好の時期でもあり、かつ、それだけの歴史を持つバンドとなると、ライブにおいては往年のクラシック・ナンバーをプレイすることを期待されるのは不可避であり、自分たちが過去の名曲をちゃんとプレイできることを証明することが、CDの売上よりもライブの動員をメインの収入源とせざるをえない昨今の音楽ビジネス業界においては優先度が高いと判断されたのだろう。

しかも、現在ファビオ・リオーネはルカ・トゥリッリ(G:LUCA TURILLI'S RHAPSODY)と共にRHAPSODY名義で"20th Anniversary Farewell Tour"を行なっているというややこしい事態があり、過去の名曲をプレイする「競合」がいるという状況もこうしたアルバムを作る後押しになったのかもしれない。

選曲が、RHAPSODY名義だった『EMERALD SWORD SAGA』時代(デビューから『POWER OF THE DRAGONFLAME』まで)の楽曲に偏っているのも、ファビオやルカの動きを意識したものかもしれない。決して、過去の音源のライセンス料の問題などを意識しての判断ではないと信じたい(笑)。

経緯はさておき結果としての本作の仕上がりであるが、決して悪くはない。パワー・メタル・バンドのリ・レコーディングというのは往々にしてテンションが下がっていてガッカリさせられることが多いのだが、本作に関しては良くも悪しくもオリジナルを忠実に再現しようという強い意志が感じられ、多くの楽曲でそれは成功している。

そして初期の楽曲においてはプロダクションが向上しているし、オーケストレーションやクワイアの質も上がっている。そういう意味でクオリティが上がっている、と言える面もある(もっともそれは他のリ・レコーディング作品の多くにおいてもそうなのだが)。

しかし本作において注目されるのは、やはりヴォーカリストだろう。

新加入のジアコモ・ヴォーリはなかなか良いシンガーだ。多くの楽曲を無難に歌いこなしている。もし彼が新人バンドのヴォーカリストとしてデビューしたのであれば何の問題もなく普通に良いヴォーカリストとして評価されたことだろう。

ただ、やはりあのファビオ・リオーネの後任を務めるにはいささか個性が弱い。いや、個性があればいいというものではなく、このバンドの音楽にフィットする個性でなくては意味がないのだが、前任のファビオが奇跡的なまでにこの音楽にフィットした歌声の持ち主だったために、単に上手いだけのシンガーだと物足りなさを感じてしまうのは否めない。

現ラインナップが「ちゃんとやれる」ことを証明するという目的は果たしているアルバムだが、一方で「過去を超えてはいない」こともまた証明してしまっているアルバムで、これでは来日公演が組まれたとしても、既に決定しているファビオとルカのいるRHAPSODYによる"20th Anniversary Farewell Tour"を蹴ってこちらに馳せ参じるファンというのは多くなさそうである。

とはいえ一向に第2弾ラインナップが発表されないLOUD PARKに出演する、ということであればもちろん観たいし、「ファビオのいないラプソなんて…」という日本のファンのネガティブな思いを払拭する機会があるとしたらそれしかないような気がするんですけどね。

◆本作収録「Land Of Immortals」のOfficial Audio