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ココロ惹かれる80年代洋楽サウンドの決定盤

「80年代風」というワードは、特に『BURRN!』誌に掲載されるタイプのHR/HMを語る際にはよく使用されるものである。

へヴィ・メタルという音楽自体、基本的には80年代に成立したジャンルなので、同誌が使う際には基本的に「古き良き時代」というニュアンスで使われることが多い。

ただ、実際に「80年代風な音」と言われた時にイメージする音というのは、人によって微妙に異なるのではないかと思われる。

冷静に考えれば、IRON MAIDENだって、BON JOVIだって、SLAYERだって80年代に登場・活躍したバンドなのである。さすがにSLAYERの音を「80年代っぽい」と形容する人は見たことがないものの、「80年代っぽい」と言われてイメージする音が人によって異なっていたとしても無理はない。

とはいえ、実際には(少なくとも80年代に物心がついていた以上の世代の人間は)「ポップでキャッチーなメロディ」とか、「デジタル・シンセサイザーの音色」「エコーの効いたゴージャスなサウンド」といった要素をして「80年代っぽい」と感覚的に判断していると思うし、そういう意味では上記に挙げたバンドで該当するのはBON JOVIだけだと言えるだろう(一部IRON MAIDENも該当するが)。

私自身がHR/HMを聴き始めたのは90年代に入ってからなので、80年代を原体験しているとは言えないのだが、80年代の前半には物心がついていたので、テレビや街角で流れている音楽を通して「80年代の音楽」に触れていたし、自分の音楽的な嗜好のベースを作ったのはこの時期の音楽だと感じている。

というか、80年代というのは私の小学校時代とほぼ重なっており、その時期は私にとって日々起こる何もかもが新鮮で、中学校や高校時代のような受験のプレッシャーもなく、イノセントに毎日が楽しかった記憶の時代だったりします(かなり美化されていますが)。

そして当時の日本はいわゆるバブル景気の時期で、(今思い返すと)世の中に活気があったし、両親の仕事や健康にも何の問題もない、「全てが上手くいっている。これからもきっと上手くいく」と思える幸福な時代でした。

実際にはそれは色々な意味で錯覚だったわけですが、そういう客観的な事実とは関係なく、私にとって「80年代のサウンド」というのは、「楽しかった時代の幸福な感覚」、いわばポルトガル語でいう「サウダージ」(温かい家庭や両親に守られ、無邪気に楽しい日々を過ごせた過去の自分への郷愁や、大人に成長した事でもう得られない懐かしい感情を意味する言葉―Wikipediaより)を呼び起こすものなのです。

と、私以外の人には心底どうでもいい80年代サウンドへの思い入れを語ってきたわけですが、そんな「80年代サウンド」を理解する上では、HR/HMだけを聴いていると、本質が見えてこない部分があります。

まあ別に本質などわかっていなくても何ひとつ困らないのですが、私のように「80年代サウンド」に惹かれる人間にとっては、当時流行っていたポップ・ミュージックの全てに「ときめきのエッセンス」が感じられるわけです。

80年代タイプのHR/HMを中心に扱っている当サイト/ブログの読者であれば、私と同じニュアンスではないにせよ、同じように80年代のポップ・ミュージックにも思い入れのある方も多いのではないかと思っているのですが、そんな方に最高のコンピレーション・アルバムが本日発売になりました。

まるで通販番組みたいな流れですが(笑)、私は別にレコード会社からお金をもらっているわけではなく(Amazonへのアフィリエイトリンクは貼っていますが)、純粋にその選曲に感激したのでこうしてわざわざ長文を書こうと思ったのです。

そのコンピレーション・アルバムのタイトルは「ナンバーワン80s PERFECTヒッツ」。

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3枚組で、それぞれ「全米・全英でNo.1を獲得した大ヒット曲」「日本で大ヒットした洋楽曲」「その時代の映画主題歌として広く知られた曲」というテーマで分類されてまとめられており、この編集が素晴らしい。

海外ではそれほどでもなくても、日本では大ヒットという「BIG IN JAPAN」現象はこの頃から(いや、ベンチャーズの昔からですが)明確に存在したので、この整理の仕方こそが、当時日本にいた洋楽ファンにとって「流行った曲」を網羅できるベストな方法なのではないでしょうか。

以下、楽曲リストをそのままソニーミュージックの公式サイトから転載したもの。

▼DISC1:GLOBAL HITS<全米&全英両シングル・チャート1位獲得曲>
01. ビリー・ジーン|マイケル・ジャクソン         
02. ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ|ワム!  
03. ギヴ・ユー・アップ|リック・アストリー         
04. へヴン・オン・アース|べリンダ・カーライル
05. カーマは気まぐれ|カルチャー・クラブ         
06. すてきなSomebody|ホイットニー・ヒューストン
07. ザ・リフレックス|デュラン・デュラン         
08. アイ・オブ・ザ・タイガー|サバイバー         
09. ハロー(出逢いの扉)|ライオネル・リッチー  
10. 愛の残り火 |ヒューマン・リーグ         
11. コール・ミー|ブロンディ                
12. アイ・ウォナ・ノウ|フォリナー         
13. レッド・レッド・ワイン|UB40         
14. ダウン・アンダー|メン・アット・ワーク         
15. カモン・アイリーン|ディキシーズ・ミッドナイト・ランナーズ
16. 愛のかげり|ボニー・タイラー         
17. ロック・ミー・アマデウス|ファルコ         
18. ふたりの世界|ティファニー          
19. 胸いっぱいの愛|バングルス     
    

▼DISC2:JAPAN HITS<オリコン・シングル・チャート(洋楽部門)1位獲得曲)>
01. ダンシング・シスター|ノーランズ
02. 君の瞳に恋してる|ボーイズ・タウン・ギャング
03. BAD|マイケル・ジャクソン
04. ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン|シンディ・ローパー
05. アイ・ライク・ショパン|ガゼボ
06. オーバーナイト・サクセス|テリー・デサリオ
07. ギヴ・ミー・アップ|マイケル・フォーチュナティ
08. サイキック・マジック|G.I.オレンジ
09. ファイナル・カウントダウン|ヨーロッパ
10. 愛は吐息のように~トップガン・愛のテーマ|ベルリン
11. ラッキー・ラヴ|カイリー・ミノーグ
12. エリー・マイ・ラヴ~いとしのエリー|レイ・チャールズ 
13. ロックバルーンは99|ネーナ
14. ダンシング・ヒーロー(素敵なハイエナジー・ボーイ)|アンジー・ゴールド
15. カサブランカ|バーティ・ヒギンス
16. ステイ・ウィズ・ミー|エイス・ワンダー
17. トイ・ボーイ |シニータ
18. ニューヨーク・シティ・セレナーデ|クリストファー・クロス


▼DISC3:MOVIE HITS<80年代大ヒット映画の主題歌>
01. デンジャー・ゾーン|ケニー・ロギンス
02. ネバーエンディング・ストーリーのテーマ|リマール
03. グーニーズはグッド・イナフ|シンディ・ローパー
04. 愛はとまらない|スターシップ
05. 愛と青春の旅だち|ジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズ
06. ココモ|ビーチ・ボーイズ
07. セント・エルモス・ファイアー(マン・イン・モーション)|ジョン・パー
08. ゴーストバスターズ|レイ・パーカー,Jr.
09. フラッシュダンス…ホワット・ア・フィーリング|アイリーン・キャラ
10. ステイ・ウィズ・ミー|ピーター・セテラ
11. タイム・オブ・マイ・ライフ|ビル・メドレー&ジェニファー・ウォーンズ
12. スタンド・バイ・ミー|ベン・E.キング
13. べスト・キッド~ザ・モーメント・オブ・トゥルース|サバイバー
14. ポリス・ストーリーのテーマ|ジャッキー・チェン
15. コブラのテーマ~アメリカズ・サンズ|ジョン・キャファティー&ザ・ビーバー・ブラウン・バンド
16. ラ・バンバ|ロス・ロボス
17. フットルース~メイン・テーマ|ケニー・ロギンス
18. イン・ディス・カントリー~明日への勝利|ロビン・ザンダー
19. バーニング・ハート|サバイバー
20. ランボー 誓いのテーマ|ビル・メドレー


わかる人にはわかると思いますが、これは強力なラインナップですよ。今まで数多くの80’Sオムニバスを購入してきた私にしてみれば、最初からこれを出してくれ、と言いたくなるまさに決定盤。

まあ、よく見てみるとマドンナ、プリンス、ボン・ジョヴィ、U2という、入っていてもおかしくない、というか入っているべきビッグ・ネームの曲が欠けているのですが、個人的な思い入れを抜きにして、客観的には入っているべき楽曲はかなり網羅的に押さえられているのではないかと思います。

いや、ポリスの「見つめていたい」は外して欲しくなかったかな…。まあいい。

HR/HM系の音楽は多くありませんが(というか明確に該当するのはEUROPEのアレくらいで、フォリナーとかサバイバーなんてのは『BURRN!』に載ってこそいたもののHR/HMとは言い難いですね)、「80年代」というワードに心ときめく方はぜひ。

でも実際の所どうなんですかね。私はある意味後追いなのでこうして素直に「良いなあ」と思えるわけですが、本当にリアルタイムに80年代からメタルにどっぷりだった、という人にとっては「ケッ、こちとらこんな軟弱な音楽聴いてらんねーからメタル聴いてたんだよ!」って感覚なのでしょうか。

でも、そんな人も今聴いたら素直に懐かしいと思えたりするのではないでしょうか。

※本コンピレーション収録曲の中でも、特に個人的に「80年代っぽい」と感じる2曲





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GROUNDBREAKERのデビュー・アルバム国内盤が9月5日発売

昨日アップしたGIOELI-CASTRONOVOについてのエントリーの最後に触れた、今年期待しているメロハー作品のひとつがこのアルバム。

ロバート・サール(G)にハーマン・フリン(Dr)というWORK OF ARTのメンバーが、FMやSHADOWMANで知られる英国の名ヴォーカリスト、スティーヴ・オーヴァーランドを迎えて結成されたプロジェクト。

これまた『FRONTIERS MUSIC』から天才アレッサンドロ・デル・ヴェッキオのプロデュースでリリースされるアルバムなのですが、先行公開されているMVの楽曲を聴く限り、WORK OF ARTの臭いがプンプンの80年代AOR風サウンドで、個人的にはかなり期待が膨らんでいます。

GROUNDBREAKERのデビュー・アルバム、”GROUNDBREAKER”の日本盤は9月5日(水)にキングレコードからリリースされます。





GIOELI-CASTRONOVO / SET THE WORLD ON FIRE

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HARDLINEやAXEL RUDI PELLのヴォーカリストとして知られるジョニー・ジョエリと、かつてBAD ENGLISHやJOURNEYでプレイし、現在は先日来日したばかりのTHE DEAD DAISIESやREVOLUTION SAINTSで活躍するドラマーにして優れたヴォーカリストでもあるディーン・カストロノヴォによるプロジェクトのデビュー・アルバム。

ALLEN-LANDE、KISKE-SOMERVILLE、KIMBALL-JAMISON、LIONE-CONTIといった、これまで数多く送り出されてきた「ヴォーカリスト・デュオ企画」同様、『Frontiers Music』からのリリースである。まあ、現在HARDLINEもREVOLUTION SAINTSも同レーベル所属なので、それは当然といえば当然か。

二人の接点はかつて1992年にリリースされたHARDLINEのデビュー・アルバムでディーン・カストロノヴォがドラムをプレイしていたというほぼその一点。

なんかもっと話題性のありそうな組み合わせも作れそうなのに、そういうマニアしかわからない接点を突いてくるあたり、やはりマニア向けの商売ということなのか、『Frontiers Music』のオーナーであるセラフィノ・ペルジーノ氏が純粋にこの組み合わせにメロディアス・ハードを歌わせたい、と思ったのかもしれない。

ちなみに2人のバックは、ドラムはディーン・カストロノヴォ自身がプレイしているのは当然として(?)、他パートは『Frontiers Music』のお膝元であるイタリアの敏腕ミュージシャンが迎えられている(本作のプロデューサーでもあるKeyのアレッサンド・デル・ヴェッキオを除くと、日本ではほぼ無名な人たちだが)。

先行して公開されていた#2 “Through”、および#1 "Set The World On Fire"の出来が素晴らしかったので期待していたが、その期待にバッチリ応える高品質のメロディアス・ハード・ロック作品に仕上がっている。

ディーン・カストロノヴォというと、往年のロック・ファンにはBAD ENGLISHやJOURNEYなどのドラマーという印象が強いわけだが、そこに生まれる期待にもバッチリ応えるであろう、極上の産業ロック・アルバムである。

力強さと叙情性、アメリカンな要素とヨーロピアンな要素が絶妙にブレンドされた楽曲群は、天才アレッサンド・デル・ヴェッキオを中心に、『Frontiers Music』お抱えのミュージシャン/ソングライターたちによって作られており、その仕上がりは職人の技と呼ぶほかない完成度の高さ。アップテンポからバラードまで、当然ながら捨て曲はない。

腕利きとはいえ無名のミュージシャン中心の演奏陣、12曲収録とはいえ、うち2曲はカヴァー(#6 “Need You Now”はアメリカの大人気カントリー・グループ、LADY ANTEBELLUMによる2009年の全米大ヒット曲、#12”Let Me Out”はオーストラリアの人気ポップ・ロック・デュオ、THE VERONICASがオリジナル)、そして全く購買意欲を刺激しない、オッサン二人がそのまま映った地味なアルバム・ジャケット(苦笑)と、微妙に「力が入っていない商品」っぽさもあるのだが、そのカヴァー曲(特に前者)も素晴らしかったりするし、音楽のクオリティはこのレーベルの平均点を軽くクリアしている。

これは産業ロック系メロディアス・ハード(要するにJOURNEYの音)のファンであれば必聴です。今年リリースされたメロハー系のアルバムでは個人的に一番ツボかも。まあ、今年はこの後いくつか期待できるメロハー系のアルバムが控えていますが…。【87点】





HMVのメタル担当者のTwitterが(ある意味)すごい

私がやっているTwitterアカウントというのは、基本的にメタルの情報発信をしているアカウントを複数フォローして、自分が気になった、引っ掛かった情報をリツイートする、という運用をしています。

そんな私がリツイートする頻度が高い2大アカウントは、謎のカルチャー情報サイトamassのものと、HMVのメタル担当者のアカウントです。

海外のメタル・ニュースを素早く日本語に訳して紹介してくれるamassが一番役立つ情報源であるとは思うのですが、個人的に最近すごいと思っているのは実はHMVのメタル担当者のアカウントだったりします。

というのも、いわばビジネス用のアカウントであるにもかかわらず、商売っ気よりもメタル愛をはるかに強く感じるからです。

普通、CDショップのSNSアカウントの役目というのは基本的にリリース情報と入荷情報を発信することだと思います。それだけに徹しているかどうかはともかく、ディスクユニオンやタワーレコードのアカウントなどはまずそこを押さえています。

もちろんHMVのアカウントもそれはやっているのですが、まったく網羅的ではなく、むしろ「こんなマニアックなもの紹介していったい何枚売れんの?」というものをプッシュしているのが目立ちます。

今日び、5000枚売れたらかなりのヒットとされるHR/HMの界隈で、マニアックなタイトルの売り上げ枚数なんて確実に3桁だと思います。しかもHMVのチャネルを通して売れる枚数なんて下手したら2桁台前半でしょう。1枚平均2500円で売っているとして、CDショップの取り分が3割くらいとしたら、儲けの金額なんて知れたもの。

それでも手間暇かけてプッシュする。これはもう愛としか言いようがないですね。もちろん全てのアーティストをプッシュしているわけではないので、プッシュされなかったバンドにとっては愛が足りてないのかもしれませんが(笑)。

もし私がこの方の上司だったとしたら、こういう趣味的な仕事の仕方は生産性が低いのでやめろと言うでしょうし、アカウントを見るとかなり早い時間から遅い時間まで働いていらっしゃるようですが、このアカウントに費やしている時間は業務時間とはみなさないので残業時間から引いておくぞ、と器の小さいことを言わざるを得ないと思います。しかし、いちメタル・ファンとしては、各CDショップ横並びで同じような新作リリース情報を発信されるよりも読んでいて面白い。

このカテゴリーにおける実売枚数としてはバカにできないであろう『BURRN!』誌がプッシュしているような嬢メタル・バンドとか、ましてやBABYMETALなんてガン無視ですからね(笑)。それで日本盤もリリースされないようなエクストリーム・メタル・バンドのアルバムや、曲がりなりにも25年くらいメタル・ファンをやっているにもかかわらず名前すら聞いたことがないようなNWOBHMバンドの再発音源の紹介に力を入れるという偏りっぷり。

これとか。


これとか。


しまいには自社のプライスを高いとか言っちゃったり(笑)。



現在HMVを経営する株式会社ローソンエンタテインメントの社長がこのアカウントの運用状況を知ったら、「お前の給料BABYMETALの売上から出とるんやぞ。仕事ナメとんか」(なぜか関西弁)と怒られてしまうのではないか、と心配ですが、そんな社内の重圧(?)に負けず頑張ってほしいです。

そして、このアカウントがほぼ毎日のようにやっている「本日X月Y日はZZ年前に(バンド名)の(アルバム名)がリリースされた日です」みたいなツイートは、そのアルバムを「久しぶりに聴いてみるか」と思わせる、なかなか良い企画だと思います。



こんな小ネタも勉強になります。


紹介したアルバムが果たして実際にHMVで買われるのか、というとやや疑問ですが、自分が若い頃に好きだったアルバムを聴いて再びメタル愛が再燃し、「久しぶりにメタルのCD買うか」という気分になるかもしれませんからね。短期的な成果を狙う販促施策としてはやや迂遠ではありますが、中期的な視座におけるマーケティング施策としては意外と侮れないのではないかと。

惜しむらくは、これだけ熱を入れて運用しているにもかかわらず、競合であるタワーレコードのHR/HMアカウントはおろか、ほぼ東京にしかないディスクユニオンのHR/HMアカウントにさえフォロワー数で後れを取っていること(2018年8月11日現在)。後者なんて最近はビールとかグッズの情報ばかりなのに…(苦笑)。

まあ、このマニアックな運用だとフォロワー数を追求するのは難しいとは思いますが、なかなか面白いアカウントだと思いますので、もしTwitterのアカウントを持っていて、まだフォローしていないという人はフォローしてみてはいかがでしょうか。

ぶっちゃけ私とはメタルに関する趣味のベクトルはかなり違う気がしますが、だからこそ発見があったりします。以下、最近「発見」させてもらったバンドのMVをいくつか貼っておきます。

◆THE CRUEL INTENTIONS

いわゆる北欧スリージー・ロケンロー系だが、なかなかフックがある。ソロをはじめ、ギター・ワークに北欧のDNAが感じられるのがいい。Voの声はアクが強いが、聴いているとクセになる。これは日本盤が出ていいレベル。

◆VODUN

これはメタルというよりヘヴィ・ロックと呼ばれる音かもしれませんが、途中にスラッシュ・メタル的なパートがあったり、意外とメタルの影響は明確に感じる。いずれにせよ、メタルとしてもヘヴィ・ロックとしても圧倒的な個性(女性シンガーの風貌も…)。これはマジで新しくて、インパクトは近年でNo.1。ちなみにアフリカのバンドではなくイギリスのバンドです(笑)。

◆TRAGEDY OF MINE

ドイツのメロディック・デス/メタルコア・バンド。マイナー・レーベルからのデビュー作とは思えないほどにMVのクオリティが高い。サウンドもまだ個性は薄いものの、新人離れした完成度。

こういう趣旨のエントリーなので、いつものようにAmazonへのリンクを貼るのは自粛しておきます(笑)。


しかしどうやってこんなマイナーなバンド発掘しているんでしょうねえ。マジで取り扱うメタル系のCD全部チェックしてるんでしょうか。そんなことしてたら時間がいくらあっても足りないと思いますが…。

なお、私もかつてはゴールドメンバーズカード会員だったのですが、今ではしがないPontaカード保有者です。
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LONG LIVE COZY POWELL -A Tribute To RAINBOW- at 下北沢GARDEN 2018.8.9

仕事帰りにRAINBOWのトリビュート・バンド(プロジェクト)のライブを観てきました。

このライブの開催を知ったのは、Twitterのタイムラインに偶然流れてきた、岡垣正志(Key : TERRA ROSA)氏のツイートによる告知でした。

行ってみようかな、と思ったのは、先日書いたDOLL$ FESTAのライブレポのエントリーを書いている時に偶然見つけた、METALLIC SPINがプレイする「Spotlight Kid」の映像における下山武徳(Vo : SABER TIGER)の歌がなかなかに素晴らしかったことがきっかけです。

そしてここ数日、なぜか脳内ヘビーローテーションがRAINBOWの「All Night Long」で(別に彼らの楽曲の中で特別好きな曲というわけでもないのですが、脳内ヘビーローテーションというのは必ずしも大好きな曲とは限らないのがミステリーです)、なんとなく気分が「RAINBOWモード」になっていました。

とはいえ、昨日今日は関東に台風が来るという話で、さすがに台風の中行くのはちょっと、と思っていましたが、今朝には拍子抜けするほど何事もなく晴れていました。

という、いくつもの偶然と幸運によって足を運んだ下北沢GARDEN。個人的には下北沢ってUK.PROJECTのお膝元だけにパンク系の街というイメージがあって、そんな街でRAINBOWなんていうコテコテのハード・ロックを聴くというのはなんだか妙な感じ。

開演時間5分前に到着し、当日券で入場。フロアに入場すると、椅子が並べられていることに戸惑う。

下北沢GARDENはスタンディングで最大500人収容と称するかなり大きめのライブハウス。椅子の数と、立っている人の数を数えてみると、ざっと150人くらいか。メンバーのキャリアを考えるとなかなかに寂しい客入り。下手すると赤字なのでは。

ライブ中のMCでは「動員が少ないから椅子で誤魔化しているなんてセコい話じゃありません。平日で皆さん仕事でお疲れでしょうから椅子をご用意しました」と冗談めかしていましたが、300枚以上チケットが売れていたら、きっと椅子は用意されなかったでしょうね(苦笑)。

開演時刻を10分ほど過ぎたあたりで70年代なBGMが止み、照明が落ちてエルガーの『威風堂々』が流れる。そして映画『オズの魔法使い』の劇中歌として有名な「Over The Rainbow(虹の彼方に)」が流れる中メンバーが登場するのはもはやRAINBOWのステージがどのようなものだったか知る人であればお約束といえる。

とりあえず開演のタイミングでみんな椅子から立ち上がってひと安心(笑)。

ちなみに本日のメンバーは以下の通り。

Vo : 下山武徳(SABER TIGER)
G : 島紀史(CONCERTO MOON)
Key : 岡垣正志(ex.TERRA ROSA, JILL'S PROJECT)
B : 浅野勇人(ex.Fatima Hill, HARD GEAR)
Dr : 工藤義弘(EARTHSHAKER)

ちょっとしたジャパメタ・ドリーム・チームですが、下山&島って、これはDOUBLE DEALERですねこれは。まさか私がDOUBLE DEALERを見ることになるとは(違)。

オープニングは『ON STAGE』アレンジの「Kill The King」。個人的にはスタジオ盤のイントロの方が好きですが、名曲中の名曲なので当然盛り上がる。

2曲目は私のここ数日の脳内ヘビーローテーション(どうでもいい)「All Night Long」。リフは非常に「らしい」一方で、歌メロがとてもポップ&キャッチーで、ライブ向きの曲ではある。

下山が挟んだMCで、本日の趣旨が今年没後20年となるコージー・パウエルのトリビュートであることを知る(遅)。ということはジョー・リン・ターナー時代の曲はやらないのか、とちょっと落胆する、実はジョー時代の曲に好きなものが多い私。

実際、本日プレイした「Mistreated」や「Catch The Rainbow」みたいな曲は、多分リッチー・ブラックモアにとっては「演っていて楽しい曲」だったのだと思いますし、こういう曲を楽しめる人が「ロックをわかってる」ということになるのだと思いますが、その2曲をやるなら「Eyes Of The World」と「Lost In Hollywood」をやってほしかったというのが私の本音。

下山武徳のヴォーカルは、DOUBLE DEALERのアルバムを聴いて感じていたほどに暑苦しくはないというかパワフルではないと思ってしまいましたが、日本人でこれ以上の歌唱を望むのはなかなか難しいというのもまた事実でしょう。

そして尻上がりに調子を上げていったのは、本日このライブの前に2時間通しのリハーサルをして、そこでもちゃんとシャウトしていたという事実をMCで聞くと、ある意味驚異的でした(本人もライブが終わり際に一番調子が出る、と言っていました)。

「Gate Of Babylon」をライブで聴けたのはなかなかの感動。"JILL"岡垣氏のキーボード・サウンドがオリジナルにそっくりなのがまたポイント高い。オルガンの上にシンセを乗せたセッティングも個人的にはレトロ目新しい。どうでもいいですが、GALNERYUSのYUUKI氏といい、様式系キーボーディストの間ではああいう髪型が流行っているのでしょうか?

ただ、下山武徳本人もMCで言っていた通り、RAINBOWの曲は間奏が長く、ライブハウスなのでステージも狭いだけに動くこともままならず、ヴォーカリストはかなり手持ち無沙汰感がある。しかしそれでも変に挙動不審な動きをせず、客の煽りも適度な感じで、なかなかいいフロントマンぶり。

MCをどちらかというと笑いを取る方向に持っていくのは好き嫌いあるかもしれませんが、オーディエンスの年齢層の高さや、恐らく熱心な「顔見知り」のようなファンが多いであろう環境を考えるとそれもやむなしか(人数こそ少ないものの、盛り上がり自体はなかなかのものでした)。

というか、本日の主役というか、このプロジェクトの発起人であるEARTHSHAKERの工藤義弘が喋る喋る。そして関西人ならでは漫才的なセンスで下山武徳と掛け合い、MCタイムは始終客席から笑いが起きていました。フル活用していた「ON/OFFできるマイク」は名古屋や大阪でも登場するのでしょうか(あの場にいた人しかわかりませんね/苦笑)。

その工藤義弘のドラムは、コージー・パウエルのトリビュートといいながら別にセットなど真似ているわけではなく、プレイも時折コージー・パウエルっぽさを垣間見せるものの、(彼のプレイは初見なので確信はありませんが)自身のスタイルで叩いているようでした。

正直EARTHSHAKERのアルバムを聴いて「ドラムが凄い!」と思ったことはなかったのですが、パワーといいシンバルワークといいグルーヴといい、相当に非凡なものがあり、自らをコージー・パウエルになぞらえるというハードルの高い企画をやろうとするのは伊達じゃないなと思いました。

ライブ本編ラストの「Still I'm Sad」の途中に挿入された、チャイコフスキーの「序曲1812年」に合わせた有名なドラム・ソロもなかなか見応え・聴き応えがありました(ちなみにアンコールは「Long Live Rock 'n' Roll」 )。

ただ、工藤義弘発案の企画とはいえ、ステージ上の音楽をリードしていたのはやはりギタリストである島紀史(CONCERTO MOON)でした。

彼を見るのは、かつてCONCERT MOONがSTRATOVARIUSの来日公演で前座をやった時以来なので、ほぼ20年ぶり。しかしその外見的な印象は当時とほとんど変わっていない。未だに若々しいと言うべきか、昔から割と老けてたと見るかは意見の分かれるところでしょう(笑)。演奏中の“顔芸”も当時のままでした(笑)。

CONCERTO MOONで観た時は、バンドの音楽がそうであるがゆえにイングヴェイ・マルムスティーン的な速弾きの印象が鮮烈でしたが(正直、ティモ・トルキを圧倒していました。ティモ・トルキには「凄く上手いけど、あまりにもイングヴェイ的で個性がない」とディスられていましたが)、本日は見事にリッチー・ブラックモアになりきっていました。

きっとマニアに言わせれば「トーンが…」とか「タメが…」とか色々あるのかもしれませんが、個人的には納得のプレイですね。間奏が長い曲では「ギター・ソロ、ここまで」的なジェスチャーを他のメンバーに出しているように見えました。

ベースの人はキャリア的も一番地味で、RAINBOWというバンド自体ベースが目立つバンドではなかっただけにステージ上でも地味でしたが、プレイは確かで、ルックスも渋カッコよかったです。この人も下山武徳同様札幌拠点の人で、札幌では有名な塗装屋さんだとか(笑)。

そんな高いミュージシャンシップに支えられたRAINBOWの演奏はなかなかにテンションの高いもので、現在再結成しているRAINBOW本家のライブよりも(YouTubeに上がっているものをいくつか観たくらいですが)良いのではないかと感じます。

そういう意味で、もはや観ることができない「三頭政治」時代のRAINBOWのライブを現代に疑似体験する、という意味では(現在の)本家を凌駕し、世界的に見ても屈指のレベルにあるものを観られたのではないかと思っています(とはいえ、映像作品などで観るオリジナルのオーラのようなものとは次元が違うというのもまた事実ですが)。

楽しめたことは間違いないとして、あえて不満を挙げるなら、神曲「Stargazer」の後に「A Light In The Black」を続けてくれなかったことかなー。個人的にはあの2曲は組曲のようなものなので、セットで聴きたかったというのが本音。

明日10日(金)は名古屋、明後日11日(土)は大阪でライブがあるようなので、私のようにRAINBOWのライブを疑似体験してみたいという方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

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