SECRET SPHERE / THE NATURE OF TIME

secretsphere09.jpg

早いもので、ミケーレ・ルッピ(Vo: 元VISION DIVINE)がこのバンドに加入してからもう5年になる。ミケーレ・ルッピがキーボーディストとしてWHITESNAKEに加入するというアクシデント(?)がありつつも、名盤2nd「A TIME NEVERCOME」の再録盤を含めれば3作目、さらにはライブ・アルバムもリリースしていることを考えると順調な活動ぶりだ。

前作「PORTRAIT OF A DYING HEART」(2012)は、従来のSECRET SPHEREサウンドを継承しつつ、それを意図していたとは思わないが、ミケーレがかつて在籍していたVISION DIVINEのサウンドにも近いプログレッシヴ風味のパワー・メタル・サウンドで、ファンの期待に応えたかどうかはともかく裏切りのないサウンドだった。

名盤2nd「A TIME NEVERCOME」を思わせる4部構成のコンセプト・アルバムとして制作された本作はよりプログレッシヴ・メタル風味を強め、「パワー・メタル・チューンもプレイするプログレッシヴ・メタル」といった感じである。

とはいえ、バリバリの変拍子や楽器隊の超絶技巧の応酬でスリリングに聴かせるというタイプではない(インストの#9などそういう曲もあるが)「雰囲気プログレッシヴ・メタル」という趣で、あくまで主役はミケーレ・ルッピの歌声である。そういう意味ではもっと広く、単純に「メロディック・メタル」と形容してしまっていいのかもしれない。

前作に引き続き、近年、イタリアン・メタル・シーンのクオリティ・アップの陰の立役者となっている観のあるシモーネ・ムラローニ(G: DGM)が所有する「DOMINATION」スタジオでレコーディングされたサウンドは、かつてイタリアン・メタルの総本山的な存在だったルイジ・ステファニーニの所有する「New Sin」スタジオで録音されたシケシケの音とは比べ物にならない上質ぶりで、ミケーレの卓越した歌唱ともあいまって、もはやサウンド全体にAクラスの風格が漂う。

正直、初期の姿からは想像もつかないほどに(Keyによるオーケストレーションを大きくフィーチュアしたメロディック・メタルという基本線は変わっていないにもかかわらず)垢抜けたそのサウンドは、いわゆる「メロスピ」のファン(私のような)にはちょっと地味に響くというか、「コレジャナイ感」を覚えるというのが正直な所だが、まるで映画を観ているかのようなスケール感を感じさせるという点においてはイタリアのメタル・シーンではトップ・クラスといえる。あまり安易にスルメ盤という言葉は使いたくないのだが(往々にして単なる地味であることに対する言い訳であることが多いので)、聴き込むほどに味わいの深まる音楽である。

強力なコーラス/セカンド・ヴォーカル要員でもあったマルコ・パストリーノ(G:TEMPERANCE)が脱退し、後任が補充されていないことがライブにおける不安要因かな。【82点】

◆当サイト/ブログの読者にはまずはコレかな、の「Courage」のリリック・ビデオ


◆本作収録「The Calling」のMV


◆本作収録「Kindness」のMV


スポンサーサイト

米Loudwireが「パワー・メタル・アルバム歴代TOP25」を発表

アメリカのメタル系オンライン・マガジン「Loudwire」が「Top 25 Power Metal Albums of All Time」という記事を公開しました。

このサイトはアメリカのメタル系サイトとしてはかなり大手の部類に入るサイトなわけですが、どうも安易なランキング記事ばかり多くて個人的にはあんまり評価していなかったのですが、テーマがパワー・メタルとあっては興味を惹かれずにいられません。

そして実際に公開されたランキング結果は以下の通り。

01. Helloween, 'Keeper of the Seven Keys: Part II' (1988)
02. Blind Guardian, 'Imaginations From the Other Side' (1995)
03. Helloween, 'Keeper of the Seven Keys: Part I' (1987)
04. Gamma Ray, 'Land of the Free' (1995)
05. Symphony X, 'The Odyssey' (2002)
06. Stratovarius, 'Visions' (1997)
07. Lost Horizon, 'A Flame to the Ground beneath' (2003)
08. Symphony X, 'The Divine Wings of Tragedy' (1997)
09. Rhapsody, 'Power of the Dragonflame' (2002)
10. Nightwish, 'Oceanborn' (1998)
11. Sonata Arctica, 'Winterheart's Guild' (2003)
12. Blind Guardian, 'Follow the Blind' (1989)
13. Manowar, 'Kings of Metal' (1988)
14. Falconer, 'Falconer' (2001)
15. Crimson Glory, 'Transcendence' (1988)
16. Sonata Arctica, 'Ecliptica' (1999)
17. Manowar, 'Hail to England' (1984)
18. Kamelot, 'Epica' (2003)
19. Primal Fear, 'Black Sun' (2002)
20. Edguy, 'Mandrake' (2001)
21. Angra, 'Temple of Shadows' (2004)
22. Savatage, 'Hall of the Mountain King' (1987)
23. Running Wild, 'Port Royal' (1988)
24. DragonForce, 'Inhuman Rampage' (2006)
25. Heavenly, 'Dust to Dust' (2004)

これが欧州のメタル・サイトのセレクトであれば特に驚きませんし、ただでさえ更新を控えているこのブログでいちいち触れなかったと思います。

しかしLoudwireはアメリカのサイトです。そしてここで挙げられているアルバム群はリアルタイムではほとんどアメリカのメタル・ファンには知られていなかったはずなのです。

私と同じかそれ以上の世代の方であれば、この手のバンドは「アメリカ人にはわからない」音楽なのだ、と一種の「諦め」みたいな感情を抱いていたと思います(ですよね?)。

それがこのランキング結果。もちろんあのバンドがない、あのアルバムがない、というこの手のランキング企画に必ず付きまとう問題はありますし、細かいことを言えばおいおいPRIMAL FEARやHEAVENLY、SAVATAGEあたりもそのアルバムじゃないだろ、とか、SYMPHONY Xってパワー・メタルなのか?(それもTOP10に2枚もランクインしている!) みたいなツッコミを入れたくなる部分もありますが、そもそもアメリカでHEAVENLYの存在を知っている人がいたというだけでも驚きです。

そして、GAMMA RAYで「LAND OF THE FREE」を選んだり、LOST HORIZONみたいな欧州でさえカルト・バンドだったバンドを7位に選出しているあたり、「わかっている」と認めざるをえません。RUNNING WILDでこのアルバムを選ぶというのは「こだわり」を感じますね。

いや~、陳腐な感想ですが、インターネットって本当に世界を一つにしたんだなって思いますね。
やはりパワー・メタルの魅力というのは世界のどこに行っても「わかる人にはわかる」ということなんでしょう。
もちろん「わかる人」の比率は国によって異なるんでしょうけど…。

◆元記事
http://loudwire.com/top-power-metal-albums-all-time/

◆日本での紹介記事
http://amass.jp/91148/

※Loudwireが2016年3月に公開した、「10 Greatest Power Metal Bands」紹介映像

NOCTURNAL RITES、復活

スウェーデンのパワー・メタル・バンドNOCTURNAL RITESといえば、コンスタントに活動していた2007年までは当サイトの年間ベスト・アルバムの常連で、少なくともここ日本では安定した人気を持っていたバンドでした。

ただ、当サイトで2007年ベスト・アルバムに選出した充実作『THE 8TH SIN』を発表し、LOUD PARK 07に出演後の2008年、バンドの創設者で中心人物だったギタリストのニルス・ノーベリが脱退、実質的に活動停止状態に陥っていました。

その後、2010年にクリス・ローランドが後任ギタリストとして発表され、何回かライブは行なったようですが、そのクリスが同じスウェーデンの人気バンド、SABATONに加入して忙しくなったこともあり、再び開店休業状態に。

その後5年以上何の音沙汰もなく、これは消滅したかな…と思っていましたが、今週になってバンドのFacebookが更新され、クリス・ローランドが(1枚のアルバムに参加することもなく)脱退し、後任としてSCAR SYMMETRYのペア・ニルソンが加入、新たに『AFM Records』と契約し、9月にニューアルバム『PHOENIX』をリリースすることが発表されました。

『PHOENIX』、「不死鳥」というタイトルは彼らの状況を考えるといかにも、なタイトルですね。個人的にはLOST HORIZONと並ぶ「復活してほしいバンド」の双璧の存在だったので、嬉しい限りです。

SCAR SYMMETRYのギタリストということであれば技術的には何の心配もないと思いますが、SCAR SYMMETRYはどちらかというとモダンなスタイルのサウンドだったので、果たしてNOCTURNAL RITESにマッチするのかという一抹の不安もあります。

ただ、2010年の時点で新作用の楽曲はほぼ完成している、と言っていたので(だったら出してくれと言いたい所ですが)、ひょっとすると新作のソングライティングにはペア・二ルソンはあまり関与していないのかもしれません。

Facebook上の写真を見ると、ジョニー・リンドクヴィスト(Vo)が結構老け込んでいるように見えますが、あの熱い歌声が健在であることを願うばかりです。

日本盤のリリースも既に決定しているようですが、9月20日のリリースって、LOUD PARKの出演にピッタリなタイミングだと思いませんか?(誰に訊いているんだ)

※ニュースソース
https://www.facebook.com/nocturnalritesofficial/

BLABBERMOUTH.NETですら取り上げられないマイナーっぷりが悲しい。

◆バンドの状況にこの曲名がピッタリですね、の名曲「Still Alive」


◆新曲「Before We Waste Away」のofficial lyric video