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人生で大切なことは全てメタルから教わった

すみません、タイトルはちょっと盛りました。「全て」は言い過ぎですね。色々な人、様々なことから日々人生で大切なことを学ばせて頂いています。

でも、20数年に渡ってメタルを聴き続け、メタル・シーンというものの趨勢を見てきたことで、メタルを聴いていなかったら知ることができなかった、人生にとって大切なことを知ることができたと思っています。

その「メタルが教えてくれたこと」をお伝えすることで、METALGATE BLOGとしての最後のエントリーにしようかな、と思います。

世の中で評価されていないものの中にも、自分にとって良いものはあるということ。

私がメタルを聴き始める前から、「ヘビメタ」といえばキワモノ音楽の代名詞でした。某バラエティ番組の影響もあり、メタルという音楽に触れる以前から「ヘビメタ」という言葉は知っていましたが、自分の人生には無縁のものだろうと思っていました。

しかし、気付いたときには無縁だったはずの「ヘビメタ」にすっかり人生を捧げ、メタル無しでは生きていけない身体になっていたのです。いや冗談ではなく、十代から二十代初頭の時期、身体がメタルを欲していました。あれはもう「好き」なんて言葉では語り切れない境地でしたね。

今でも「メタルが好き」というと周りの人は少なからず引きます。引かないまでも「ゲテモノ好き」扱いに近い好奇の目で見られます。それは私にしてみればメタルの魅力がちゃんと認知されていないことに端を発する風評被害のようなものですが、そういう現実の状況は簡単に変えることはできません。

だから私は、世の中の評判を参考にはしても、完全には信じません。周りの人や世間が最悪だ、というものや人であっても、実際に自分で体験して/会ってみるまで評価はしません。何しろ世の中でこれだけ偏見を持たれているメタルが、自分にとってはまさに最高の音楽だったわけですから。


自分が最高と思うのものでも、他人にとってはそうでないこともあるということ

前の話とは反対の事実ですが、これもまた重要なことです。

私はメタルが世の中で評価されないのは、その魅力がちゃんと知られていないからだ、と思っています。だからこそ、その魅力を伝えるべくわざわざこうしてサイトを作っているわけです。

もちろんサイトを作る前から、周りにいる友人などにオススメのメタルを聴かせて「布教」に努めていたことは言うまでもありません。

ただ、実際それでメタルの魅力に目覚める者もいないではありませんでしたが、「全く良さがわからない」というリアクションをされることの方が多かったですし、あるいは自分がオススメと思っていた曲ではない曲が好き、などと言われたり、あるいは自分が好きではないバンドによってメタルに目覚める、などということが往々にしてありました。

そう、今となっては当たり前のことですが、人の感性は千差万別なのです。私が最高だと思うものを最低だと思う人、逆に私が最低だと思うものを最高だと感じる人がいるのです。それは、偏見や無理解の問題ではなく、ただの差異なのです。

人間、往々にして自分が好きなものや自分の考えを理解しない人間を馬鹿だと思って見下してしまうことがあります。しかし、それはただの価値観や好みの相違であって、そこに優劣はありません。

学問や思想などのフィールドだと、勉強量の多寡なども影響するので優劣の問題に帰せられてしまうこともありますが、音楽という純粋に感性のフィールドで長年他者と向き合ってきたことで、価値観や感性の差異は優劣と無関係である、ということを心から納得することができたのは私の人生にとって大きかったな、と思っています。その認識なしで、まともなコミュニケーションなどありえませんから。


人生、どのタイミングでピークがやってくるかわからないということ

これは特に2000年代後半以降感じたことなのですが、人生っていつ報われるかわからないものだなあと、メタル・シーンを観ていて感じています。

端的な話をすると、私が好きなGAMMA RAYが(カイ・ハンセンが、というべきでしょうか)、クリエイティビティの頂点にあったのはぶっちゃけ90年代だと思っています。

しかし、母国ドイツのチャート的な意味で最も成功しているのはむしろ近年のことであり、そういう意味で、必ずしもやったことのクオリティと、世の中の評価というのは結び付かないし、成功する・しないというのはタイミングの問題だったりするのだな、ということをメタル・シーンを見ていて感じさせられました。

以前、ドイツのベテラン・メタル・バンドが好調であるというエントリーを書きましたが、一般に20代で成功をつかむことが多いポピュラー・ミュージック業界において、50歳が見えてくるようなタイミングで成功をつかむ人たちもいる。

そういったバンドは、メタル不遇の時代を乗り越えて、地道に活動してきたバンドがほとんどで、もちろんそういうバンドの全てが報われているというわけではないにせよ、そういう報われ方もあるんだな、という実例がドイツのベテラン・パワー・メタル・バンドでした。

私の人生も、それほど劇的なものではないにせよ、好不調の波はあったりするわけですが、不調の時でも腐らずに、そういうときもあるさ、タイミングが悪いだけ、と自分に言い聞かせて自分にできることを割り切って地道にやっていく、そういう強さをドイツのメタル・バンドから教わりました。


トレンドを後追いしてもうまく行かないということ

これは、90年代にメタル・ファンであった人なら多くの人が痛感させられているのではないでしょうか。

グランジ/オルタナティブ・ブーム。91年から96年くらいにかけてヘヴィ・ロック・シーンにおいて猛威を振るったトレンドです。

このブームの中で、数多くのメタル・バンドが解散や活動停止に追い込まれていきました。

しかし、このブームの何がダメだったかって、それはNIRVANAやSOUNDGARDENといった、トレンドを主導したバンドではないのです。むしろそれらのバンドはメタル・ファンである私の目から見ても(好き嫌いは別として)悪くないバンドだったと思います。

ダメだったのは、そのトレンドに乗っかって、全く自分たちの本質的な魅力から離れた中途半端な「グランジ/オルタナティブ風」アルバムを出してファンにそっぽを向かれたHR/HMバンドでした。

まあ、ダメなアルバムを挙げて行ったらそれだけで一本特集記事が組めますが、パッと思いついたのはDOKKENとQUEENSRYCHEですかね。

ただ、90年代以降最も成功したメタル・アルバムであるMETALLICAの「ブラック・アルバム」も、ある意味「グランジ/オルタナティブ風」アルバムでした。あのアルバムにALICE IN CHAINSやSOUNDGARDENからの影響が皆無だといったら嘘になるでしょう。

ではなぜMETALLICAは成功し、それ以外のバンドはダメだったのか?

METALLICAはその時点で既に不動のカリスマ性を築き上げていた。「ブラック・アルバム」の曲が良かった。それは事実です。しかし、それらの要素と同じくらい重要なのが、同作がリリースされた91年の時点では、まだグランジ/オルタナティブのサウンド自体が世間一般的には目新しいものだった、ということです。

92年以降はもうグランジ/オルタナティブはメインストリーム化し、HR/HMの退潮は誰の目にも明らかでした。そんなタイミングでグランジ/オルタナティブ寄りのアルバムを出しても、後追い感が否めず、正直そういう行為自体が「ダサかった」と言わざるを得ません。

きっとMETALLICAは、本気でグランジ/オルタナティブのサウンドが「クールだ」と思ったのでしょう。だからあれだけ早いタイミングで自分のものにして、シーンを先取りすることができた。

一方、グランジ/オルタナティブの魅力が理解できず(そのこと自体は別に悪いことではありませんが)、とりあえず流行ってるから俺たちも乗ってみるか、という感じで「グランジ/オルタナティブ風」のアルバムをリリースしたバンドは総コケ。

そりゃそうです。バンドが元々持っていた魅力を放棄して、それでいてグランジ/オルタナティブの魅力の本質も実はよくわからずに、レコード会社の圧力に負けて上っ面だけ模倣したサウンドを出しても、HR/HMファンにもそっぽを向かれ、グランジ/オルタナティブのファンにも相手にされないのは当然のこと。

もちろんあの時代、頑なにHR/HMにこだわった所で、商業的に厳しかったであろうことは確かでしょう。グランジ/オルタナティブに転向せずとも、解散やインディー落ちに追い込まれていたであろうことは想像に難くありません。まして、メジャー・レーベルに所属していたら、レコード会社の意向を無視することは現実的には難しかったでしょう。

それでもここから「流行りモノに後追いで乗っかっても成功しない」「自分の本質と違うことを無理矢理やってもうまく行かない」という教訓を、我々は学ぶことができるのではないでしょうか。


好きなことをやるより、求められることをやるべきだということ

これはメタル・シーンがどうこうというか、端的に言うとマイケル・キスクという人を見ていて一番感じたことですね。

マイケル・キスクという希代のハイトーン・ヴォーカリストが、その適性にもかかわらずあまりメタルを好んでいないことはよく知られています。

そしてHELLOWEENの音楽性を迷走させた(これは必ずしもマイケルだけのせいではないのかもしれませんが)挙句に脱退して、HR/HMファンには退屈な、かといってHR/HM以外の音楽ファンに受けるかというとそれもまた疑問なソロ・キャリアを始めました。

ソロ活動なわけですから、予算等の制約はあるにせよ、基本的にそこでマイケルは「やりたいこと」をやっていたはずです。しかし、『BURRN!』誌のインタビューなどを読む限り、あまりマイケルはハッピーに見えませんでした(マイケルはいささか偏屈な性格の持ち主なので、ハッピーさを素直に出さなかっただけかもしれませんが)。

むしろ、AVANTASIAやUNISONICで好きではないはずのメタルを歌わされている現在の方が楽しそうな印象を受けます(直接話したわけではないので実際のところはわかりませんけれども)。

そして少なくとも、ファンとしては現在のマイケルの活動状況のほうがハッピーであることは間違いありません。

マズローの欲求段階説というのは、懐疑的な意見もありますが、基本的に私は納得していて、やはり人間「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」「自我欲求(承認欲求)」が満たされた上でないと、その上の「自己実現欲求」を満たすことはできないと思うんですよね。

マイケルはいわば、メタルを歌うことで得られる承認欲求を放棄して、自己実現欲求を満たすことに挑んでいたのだと思います。それは普通の人間にはやはり無理があります。

人間、ある程度の年齢になると、可能性の幅というのは狭まってきます。一個人にとって社会的に求められる「自分ができること」というのは、そんなに多くないのです。

マイケルには(それほど広くはないとはいえ)多くのファンに期待される能力があった。しかしあえてそれを無視した。結果的にそのことでマイケルもファンも誰もハッピーにならなかったと思います。

もしマイケルがHELLOWEENなりGAMMA RAYなり、あるいはそれ以外のバンドでもいいのですが、彼の歌声に相応しい、メロディックなメタルを歌い続けた上で、二足のわらじでああいうソロ・プロジェクトをやる分には、きっとファンも好意的に受け止めたのではないかと思います。

マイケルに限らず、多くのバンドが「原点回帰」することで再び注目を集めている状況を考えると、やはり色々なことをやって成功できる人というのは極めて限られていて、普通の人は「自分が一番周りの評価を得られること」で勝負するべきなのだと思います。

こういう考え方には異論もあると思います。人間生まれてきたからには周りを気にせずやりたいことをやるべきだ、と。就職活動の時期なんかには特にそういう意識が高まりますね。

ただ、そういう人でも「やりたいことをやる前に、やるべきことをちゃんとやることが大切」という言い方であれば、ご理解いただける部分もあるのではないでしょうか。

では「やるべきこと」とは何か。「やりたいこと」は自分一人で決まることですが、「やるべきこと」は、社会が決めます。社会というと大げさな感じですが、社会とはつまるところ「人の関わり」のことですから、自分に関係する人たち、と考えればいいでしょう。自分のことを支えてくれる人たち、と考えると、どう向き合うべきかがわかりやすいと思います。

人は社会に求められる役割を果たして初めて、自分のやりたいことを追求する資格を得る。もちろん、その2つが一致していることが理想的ですが、もし食い違ったときには周囲の、自分を支えてくれる人たちの期待に応えることを選ぶほうが、自分も含め多くの人を幸せにする、という現実をマイケル・キスクというサンプルを通じてわかりやすい形で実感することができました。


以上、何だか説教臭くなりましたが、私がメタルを聴き続けていて学んだ、「人生で大切な(と思う)こと」です。

これらはひょっとするとメタル以外からも学べることなのかもしれませんが、私の場合は人生で一番深く長く関わったものがメタルだったので、メタルから教わりました。

上記のこと以外にも、アメリカやイギリスといった有名な国だけでなく、ドイツや北欧をはじめとする大陸ヨーロッパ諸国、ブラジルをはじめとする南米など、あまり日本で注目されない地域にも優れた文化がある、という意識を持てたのはメタルのおかげですね。

まあ、そんな教訓云々をさておいても、純粋にサウンドが与えてくれた興奮・感動・快感・カタルシス、そういったものこそがHR/HMの魅力そのものであり、そのサウンドにどれだけ私が人生において救われ、鼓舞され、勇気づけられたか、それはとても文章では語り尽くせません。

私の人生に大きなものをもたらしてくれたメタルに対する無限の感謝を表明し、300万に及ぶ、メタルという決して間口の広くない音楽に特化した個人ブログとしては望外のPVに恵まれた「METALGATE BLOG」としての最後のエントリーにしたいと思います。これまでご愛読いただいた読者の皆さんにもあらためて御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

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コミックマーケット80 8/13

昨年はサマソニに足を運びましたが、今年はコミケに足を運びました(笑)。

かつて担当しているクライアントがブース出展しているときに行ったことはありましたが、その時は冬だったので、夏コミは初体験。
夏コミの灼熱地獄&異臭事件多発ぶりは噂に聴いていたので、何もなければ正直遠慮したいイベントでした(苦笑)。

今年も、関係している企業ブース(主に媒体社)へのご挨拶、程度の「大義名分」はありましたが、直接的に担当している企業は今回出展していないので、業務的な意味では別に行かなくともさして問題はない。

にもかかわらずなぜ足を運んだかというと、まあいくつか興味のあるコンテンツがあり、決定的なものはないにせよ「行く理由」が複数あったからですね。

コミケにおける午前中の阿鼻叫喚は回避したかったので、悠々の午後来場。とはいえ凄い人だ。
昨年は3日間で60万人超えだったというから、LOUD PARKが2日で3万人程度しか集客できないことを考えると、メタラーとオタク、どちらがマイノリティであるかは一目瞭然(苦笑)。

私は長年大手ゲームメーカーを担当しているので、東京ゲームショウやジャンプフェスタなど数々のイベントでコスプレイヤー自体は見慣れているが、今日はやたらと女装した男性が目につき、「男の娘」ブームの高まりを肌で感じる(あまり感じたくなかったが…/笑)。

さらっと関係の企業ブースで知っている人たちに軽くご挨拶をして、個人的な目的のために東展示棟へ。
企業ブースエリア以外の、いわゆる同人エリアに立ち入るのは実は初めてだ。

最初の目的は、ネット上ではかなり名高い「メタル姫」。

私がメタル姫を知ったのは割と遅くて、彼(女)が男であることをカミングアウトしてからですが、そのギター・プレイに関してはさすがYouTubeでの動画総再生回数が3000万回を超えるというだけある求心力に満ちたもので、新作がアップされるとチェックしてました。

クラシックなハード・ロック中心の選曲もいいし、安いギターを使っているのにこれだけ素晴らしいトーンを作れるとは、その天性と思しきリズム感を含め、かつてギター弾きだった身として感銘を受けざるをえませんね。

残念ながら本人は来場していなかったようですが、とりあえず『免罪符』と題されたCD+DVDのセットを購入。

次の目的は、新作「EPSILON」が素晴らしかったBLOOD STAIN CHILDの中心人物であるRyu(G)が「式部」という名前で参加している同人サークル、「SAVE THE QUEEN」。

一応メジャー・レーベルからアルバムを出している「プロ」なのに、気だるげにアクエリアスなんぞ飲みながらフツーに「売り子」をやっているRyu氏の姿にちょっと苦笑しつつ、1stアルバムと、新しいシングルを購入。

その時は他にお客さんもいなかったので話しかけてみようかとも思いましたが、年上の男に「ブラステのファンです」と言われても「どうも」としか言いようがないだろうし、私のサイトやブログについて知っているとも思えなかったので自重しておきました。

そして最後の目的は、このブログにたまにコメントを寄せてくださる【S】さんのサークルであるAYUTRICA

【S】さんは、なぜか新作音源をリリースするたびに楽曲ファイルを送ってくださっていて、それでいて特にこのサイトやブログでの紹介を依頼してくるわけでもなかったのですが、その音楽のクオリティの高さには毎回感銘を受けていました。

しかもブログに残してくださるコメントから察するに、私などよりはるかにHR/HM歴が長く、HR/HMに限らない幅広い音楽的素養を備えた方だと思われます。

そんな人からなんとなくただ音源を聴かせてもらっているだけでは申し訳ないと思っていたので、基本的に私はあまりネット上で知り合った人とリアルで会うことに対して積極的なタイプではないのですが、機会があればご挨拶しよう、と思っていたのです。

そんなわけで生まれて初めて「METALGATE管理人のadoreです」と声に出して挨拶してしまいました。なんか気恥ずかしいものですね(苦笑)。

せっかくなので何か買っていこうと思い、作り手自身に「オススメはどれですか?」という失礼な質問(そんなの全部に決まってる)をぶつけてみるという暴挙に出た所、非常に誠実に「個人的に渾身の1曲はこれです」と『黒曜石の歌』というシングルを薦めていただき、また「メタル的にはというか、ゴシックっぽいのが好きなら」と、セカンドアルバムである『THE ROSE GARDEN OF NIGHTMARE』もオススメしてもらったので、その2枚を購入。

とりあえず一通りの目的は果たしたし、ぼちぼちイベント終了の時間も近づいていたので、ササッと撤収(とはいえ当然りんかい線は大混雑でしたが)。

帰りがけ、新宿のISETAN MEN'Sで買い物に立ち寄ったのですが、さっきまでいた空間とのグルーヴの違いになんとなく笑ってしまいました(笑)。

帰宅後は、伊勢丹のデパ地下で買ったスイーツ(笑)を食べながら買ってきた音源の鑑賞に勤しみました。

STRATOVARIUS / POLARIS オンライン・リスニング・パーティ(本文)

STRATOVARIUSのニュー・アルバム「POLARIS」をオンライン・リスニング・パーティで試聴した感想を。

ただし、前エントリーに書いたような事情で、1回だけしか聴いていない状態での印象であることをあらかじめご了承ください。

さて全体の感想だが、簡潔に述べるなら、音楽的な中心人物が脱退してしまったことを感じさせない、力強いメロディック・メタル作品である。

脱退したティモ・トルキの後任として加入したギタリストのマティアス・クピアイネンは、やはり技術的にはかなり高度なものを持っており、少なくとも演奏力の面では、パワー・ダウンするどころかむしろ向上していると言っていい。

そして、ティモ・コティペルト(Vo)、イェンス・ヨハンソン(Key)、ヨルグ・マイケル(Dr)といった以前からの個性的なプレイヤーたちが、私たちファンが抱いている「STRATOVARIUSの音」のイメージをしっかりとキープしている。

個人的には、マティアスがかなりソングライティングにも貢献しているという話を聞いていたので、彼のMySpaceから、彼の趣味であると推測されるプログレ・メタル的な色が強くなるのではと想像していた。

そして実際、今回の試聴に先立って公開されていた本作のオープニング・チューン「Deep Unknown」は、ややプログレッシヴな感触のあるスケール感のある楽曲だった。

ただ、今回アルバムを通して聴いてみると、たしかに従来よりプログレ色が強まっているように感じられるものの、全体としてはスピード・チューンからキャッチーな曲、美しいバラード、そして組曲形式の大作までバラエティに富んだ、あくまで従来の「STRATOVARIUS節」を踏襲した作品という印象が強い。

個人的には、彼ららしいキャッチーさが気持ちいい「Higher We Go」を1曲目に持ってきた方がアルバムの「ツカミ」が良くなったのではないかという気がするが、「EPISODE」アルバム収録の名バラード「Forever」を彷彿させる「When Mountains Fall」で幕を閉じる演出は心憎いし、この美しいエンディングのためにあえて4曲目に収録されたと思われる日本盤ボーナス・トラック「Second Sight」さえもキャッチーな佳曲で、捨て曲はない。

とはいえ、かつてティモ・トルキが作曲した楽曲にあった独特の哀感に満ちた叙情性は減少しており、そのことをして物足りなく感じるファンもいるかもしれない。実際、私自身にもそういう気持ちはある。

しかし一方で、本作にみなぎるポジティヴなフィーリングはこれまでの彼らにはなかったもので、クサみが薄れて明るくなったようにも響くこのサウンドは、より幅広いリスナーにアピールする可能性を秘めていると思う。

いずれにせよ、サウンドから感じられるバンドの雰囲気はこれまでになく良さそうだし、前回2007年以来の来日公演に対する期待が俄然高まってきた。仕事が入りませんように。


◆STRATOVARIUS「POLARIS」アルバム情報ページ:
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A016778.html

STRATOVARIUS / POLARIS オンライン・リスニング・パーティ(序文)

STRATOVARIUS & AMORPHIS ニュー・アルバム発売記念 オンライン・リスニング・パーティ&アルバム・レビュー・コンテスト。

両バンドの日本での所属レコード会社であるビクター・エンターテインメントが、期間限定で今月リリースされる上記2バンドのニュー・アルバムをフルストリーミング再生するオンライン・リスニング・パーティを開催。そしてリスナーが自分のブログやSNSの日記に書いたレビューを募集してレビュー・コンテストを実施すると聞き、メタル系ブログの端くれである当ブログとしても参加してみることにしました。

ましてや当ブログでは以前から「STRATOVARIUS関連」というカテゴリを設けているほどの親?STRATOVARIUSなブログ。
とりあえずSTRATOVARIUSの方だけでも参加するのが筋というものでしょう(?)。

本来は昨日15日(金)の19時からスタートだったようだが、MySpaceのシステム障害により開始が遅れ23時からのスタートとなったようですが、私はいつも通り終電過ぎまで仕事をしていたのでその点は関係なし。

結局仕事の後、同僚と朝まで飲みに行ってしまったので、本日は昼過ぎまで爆睡。
そして起きるとすぐにPCを立ち上げ、早速ストリーミングをしているVICTOR ROCKSのMySpaceにアクセスし、まずは1回全曲通して聴いてみました。

その後、残念ながら仕事が入っていたのでしばらく外出。21時過ぎに戻ってきてもう一度アクセスしようとしましたが、アクセス集中のせいかエラーに。そしてこの文章を書いている23時半過ぎになってもエラーから回復せず。

最初もトラブルなら最後もトラブルと、だいぶお粗末な話で、比較的年齢層が高めでオトナなファンが多いSTRATOVARIUSだったからいいようなものの、アーティストによっては大騒ぎになったのでは。

まあ、オンライン・リスニング・パーティという試み自体がググってもほとんど日本では前例のない(海外ではボチボチあるようです)実験的な試みであるようなので、トラブルが起こるのもある程度やむをえないのかもしれませんが、どれくらいの人間がアクセスしてくるのかという見立てと、MySpaceというインフラがどの程度の負荷に耐え得るのかの検証はちゃんとなされていたのか、ちょっと疑わしい気がします。

私は広告代理店というポジションでいろんな業界の人とお仕事をさせてもらっていますが、芸能事務所とレコード会社の人が一番感覚的というか、テキトーに仕事をしているような印象を抱いているので(苦笑)。
まあそういうノリというか動きが求められる(あるいはそうせざるをえない)業界なんだろうな、ということは理解しているつもりですが。

そもそもこういうイベントって、ちゃんと実行責任が持てる自分たちのインフラでやるべきで、MySpaceみたいな他社インフラに依存して行うのはいかがなものかという気がするなあ。
MySpace側に対してちゃんとフィーを払って、サーバの増強などを含めた協力を約束してもらっている、というなら話は別ですが。

いずれにせよ、このオンライン・リスニング・パーティとレビュー・コンテストを連動する、という企画自体は、BtoCtoC(企業から消費者、そしてそこからさらに他の消費者へ)という現代的なマーケティング/プロモーションの好例になりえる、かなり面白い企画だと思うので、うまくいってほしいのですが。

あと、レビュー・コンテストは賞品が出るそうですが、普通こういうキャンペーンって参加者のモチベーションを上げるために何がもらえるか事前に告知するものなのではないですかね? 私は単にブログのネタとして参加するので、別にどうでもいいですが(苦笑)。

前置きが長くなってしまったので、肝心のSTRATOVARIUSの新作「POLARIS」の感想は次のエントリーで書きます。


◆コンテストの詳細について(VICTOR ROCKS MySpace Blog)
http://blogs.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.view&friendId=1000851652&blogId=488632790

◆コンテスト応募フォーム
https://www.jvcmusic.co.jp/rock/vr_album_review/