LOUD PARK 16 二日目の感想

実は前日の一日目は、疲れが溜まっている中、朝食もとらずにすきっ腹でいきなり飲んだのが悪かったのか、最初のビールを飲んだ後、頭痛になってちょっと体調不良でした。

その反省を活かして(?)、地元駅のカフェで優雅にモーニングなど食べていたらまんまと遅刻、せっかく今年から始まった企画、「出れんの?ラウパ」バンドを2日連続で見逃してしまいました。

建前上の1バンド目であるSAVAGE MESSIAHがプレイを開始した直後、会場に到着、例によって自分の指定席に向かいました。ちょうどいいことに、SAVAGE MESSIAHがプレイするBIG ROCK STAGE側なので、そのまま座って鑑賞。

SAVAGE MESSIAH
LOUD PARKへの出演が発表される前あたりからTwitterで日本人のメタラーを盛んにフォローしていた彼ら(私のアカウントにも何度もフォロー/リムーブを繰り返していましたが、無視してしまいました…)。日本でライブをやることに対してはかなりモチベーションを高くしていたと思われます。

そして実際、充実のパフォーマンスでした。NWOBHMをちょっとスラッシュ寄りにしたような、現代のイギリスのバンドとは思えないピュア・メタルな音楽性でマニアの注目を集めていましたが、その実力がフロックではないことをこの場で証明しました。

完璧なまでにメタルであり、(相対的に)フレッシュな若手であるこういうバンドが1バンド目に来るのはすごく適役な感じがします。朝っぱらからサークル・ピットも生まれ、盛り上がっていました。何ともすがすがしい、気持ちのいいライブでした。


NOCTURNAL BLOODLUST
日本のヴィジュアル系エクストリーム・メタル・バンド。割と評判がいいのでサブステージであるEXTREME STAGEに足を伸ばしてみました。

元々はメタルコア・バンドとしてスタートし、ヴィジュアル系の装いは後付けだったらしいですが、メンバーの皆さんイケメンで、中でもよく回る上手(かみて)のギタリストはかなりコテコテのメイクをしていらっしゃる。

そして度々モニターに抜かれる最前列では、いわゆる「バンギャ」な皆さんが一心不乱にヘドバンをしており、その後ろでエクストリーム・ミュージック好きの若者がサークル・ピットや、バンドに煽られるウォール・オブ・デスを繰り広げている。

「オレらこんなオープニングアクトなんて扱いに納得する気ねえからよ」「2016年ラウドパークに出ました、なんて肩書きはいらねえンだよ」みたいなヴォーカルの人のイキり散らかしたオラオラなMCはV系の伝統としてもちょっと若気の至り感がハンパなく、苦笑せざるを得ませんでしたが…。

目をつぶって聴けば楽曲や演奏はエクストリーム・メタルとして充分なクオリティに達しており、普通にカッコよかったです。こういうイケメン兄ちゃんがどんどんメタルやってくれれば、日本におけるメタルの扱いもちょっと変わるのかもしれません(?)。

とりあえず3、4曲観てメインステージに帰還。


KUNI
LOUD PARK皆勤賞である私が、歴代の中でも屈指のワースト・アクトだったと感じているKUNIを観にわざわざNOCTURNAL BLOODLUSTを途中抜けしてメインステージに戻ったのは、決してKUNIのラスト・ステージだったからではありません。

それは、今回KUNIのバンドのヴォーカリストを務めているのが、かつてKUNIのアルバムに参加したことがあるジェフ・スコット・ソート様だったからです(ちなみに他のメンバーはダレン・スミスにトニー・モンタナ)。

イングヴェイのRISING FORCEの初代ヴォーカリストであり、TALISMANをはじめ数々のプロジェクトでの活動実績を持つジェフ・スコット・ソートは私のフェイバリット・シンガーの一人で、近年はなかなか来日できるような活動をしていないため、この機会にぜひ一度観てみたいと思っていました。

そしてこうして観てみると、やはりジェフは堂々としてカッコいい。楽曲はいささか類型的で、KUNIのギターは相変わらず大学のサークル活動に毛が生えたレベルだが、ジェフが歌うことで説得力が生まれている。こうして考えると前回のマーク・スローターはちょっと「軽かった」のかもしれません。

モデルみたいなお姉ちゃんがステージに登場するなど、業界人ならではのコネをフル活用したステージは、とりあえず前回よりマシだったような。

最後に演奏されたKISSのカヴァー、「Rock And Roll All Night」がプレイされた後、KUNIが「引退宣言」を喋り始めたが、そのコメントが終わらないうちにジェフがMCでカットインして強制終了させてしまったのには失礼ながら笑ってしまいました。


THE DEAD DAISIES
ジョン・コラビ、マルコ・メンドーサ、ブライアン・ティッシー、ダグ・アルドリッチ等、往年のHR/HMファンであれば名前くらいは聞いたことがあるはずの面子によるオールド・ファッションなハード・ロック・バンド。

彼らのルーツなのであろう70年代スタイルのブルージーでロックン・ロールなハード・ロック・サウンドは、特筆すべき何かがあるわけではありませんが、安定感のあるパフォーマンスで、ビールを飲みながらまったり観るにはいい感じでした。


TERRORIZER
グラインド・コアの元祖のひとつとも言うべきバンド。エクストリーム・ミュージックにおける伝説のドラマーであるピート・サンドヴァル見たさに再びEXTREME STAGEへ。

ピートが着ている明るい色のタンクトップに面喰いつつ、その強烈な轟音ブラストを浴びてきました。
ただ、さすがに50代になってこのドラミングはちょっとしんどいのではないか、という観もありましたが…。

正直なところ私にはどの曲も同じに聞こえるので、3~4曲でメインステージに引き返す。


LACUNA COIL
前回出演したLOUD PARK07の二日目においては、個人的にはANTHEMと並ぶベスト・アクトであり、その日のライブを収録したDVDも購入してしまったほど気に入ったイタリアのゴシック系オルタナティヴ・メタル・バンド。

今回は何やら「バイオハザード」(バンドではなくゲーム/映画のほう)のようなというかSLIPKNOTのようなというか、ホラー映画風の白いツナギみたいな衣装にメンバー全員が身を包んでいる。

髪を赤く染めたクリスティーナ・スカビア(Vo)は、さすがにモニターのアップで観るとちょっとオバサン化していたものの、それでもなお充分にチャーミング。

アメリカでも成功を収めたバンドに相応しい安定感のあるライブを繰り広げていたものの、前回観たときには今まさにピークに達せんとする「勢い」のようなものが感じられたのですが、メンバー・チェンジのせいかセットリストのせいか、今回はちょっとそういう特別な何かは感じられなかったのが残念。


RIOT
前回出演時から新作を出したわけでもないのに再びの出演。なんでも、『FIRE DOWN UNDER』完全再現を条件にクリエイティブマンからオファーがあったのだという。

たしかに同作は初代ヴォーカリストであるガイ・スペランザ在籍時のアルバムの中では楽曲の平均点が高い作品だが、完全再現するほどの作品かというと…?

恐らくはギャラの安そうな割にある程度の集客力がありそうな彼らを呼ぶための「口実」だったのでしょうね。一応同作がリリースされてから35周年という「節目」だし。

ただ、個人的には前回と同じセットリストでよかったというか、『FIRE DOWN UNDER』は地味な曲もあるので、途中眠くなってしまったというのが正直な所。せっかく当時のギタリストであるリック・ヴェンチュラ氏までお越しいただいたのに申し訳ないですが…。

しかし、完全再現終了後にプレイされた「Thundersteel」と「Warrior」、この2曲がプレイされるだけで「いいライブだった…」と思えてしまうのですから、名曲を持つバンドは強いですね。その1、2曲だけで何十年も食えそうです(いや、恐らくRIOTのメンバーはバンドだけでは食えていませんが)。


SIXX A.M.
ニッキー・シックスのバンド。建前上は「ソロではなくバンド」のようだが、ステージ上での存在感を見る限り、やはりこのバンドは「ニッキー・シックスのバンド」という感じである。存在感が段違いだ。

80年代の良さと90年代の良さを統合・止揚した21世紀ならではの普遍的なハード・ロック・サウンドをプレイしており、その辺のバランス感覚はさすがにニッキー・シックス。ジェイムズ・マイケル(Vo)にD.J.アシュバ(G)というメンバーの人選も、そのニッキーの狙いどころを実現するにあたって最適な人材といえよう。

全米チャートでもそれなりの成果を出しており、80年代のHR/HMスターが名前を変えて成功した数少ない例になっているあたりは、さすがニッキーというべきか。

エロそうなお姉ちゃんも登場してのステージは、80年代ほど享楽的でないにしても(むしろちょっと内向的な暗さも表現されている)、当時のファンが楽しめるものに違いない。

でもやっぱり、MOTLEY CRUEほどの「バンド・マジック」は感じられなかったかな…。


ULI JOHN ROTH
伝説のギター仙人、ウリ・ジョン・ロート。正直、こういったいわゆる「メタル・フェス」にはあまり似つかわしくないアーティストだが(?)、一度観てみたいとは思っていたので、こうして出演してくれることはありがたい。

スカイ・ギターという特殊な機材を使っているせいなのか、ウリ以外にも2人、合計3本ものギターがあるせいか、サウンドチェックに時間がかかっていて開演が遅れる。定刻を10分以上遅れてスタート。

基本的には「Tokyo Tapes Revisited World Tour」の一環のステージということで、セットリストは全てウリがウルリッヒ・ロートと名乗っていた(というかこっちが本名?)SCORPIONS時代の楽曲のみ。個人的にはELECTRIC SUN時代の曲や、中途半端に頓挫している(?)シンフォニック・プロジェクトの曲も聴きたかったが、世の中的なニーズが大きいのはやはりSCORPIONS時代の楽曲なのでしょう。

複数の扇風機を足元に設置し、髪をたなびかせながら(もはやバンダナではごまかしきれないほど前頭部は後退していましたが…)他のバンドで使用されているそれと同じものとは思えない美しいトーンで陶酔するかのようにギターを奏でる様はまさに仙人。

その「仙人オーラ」を支えるのがスカイ・ギターにエフェクター、そして扇風機(笑)という、いわば「道具の力」(だけではないが)であるというのは味わい深い事実ですが、彼の音楽に知識も興味もない人であっても、そのギターの音色が特別であることは理解できたのではないかと思います。

ウリの脇を固める2人の弟子(?)ギタリストのうちの一人、ニクラス・ターマンがヴォーカルを兼ねていたわけですが、その歌声もなかなか強力で印象的でした。


SYMPHONY X
このブログを長年ご覧いただいている方の中にはご存じの方もいらっしゃると思いますが、このバンドのLOUD PARK出演はほぼ10年来の宿願でした。

なぜそこまでこのバンドをLOUD PARKで観たかったか。もちろん彼らの音楽や演奏力が素晴らしいから、というのはもちろん、「SYMPHONY X」という中二病めいたバンド名から「クラシカルで軟弱なメロディアス系マニア向けのバンド」という先入観・誤解を持っていそうな人たちに、彼らの音楽が下手なエクストリーム・メタル・バンドにも引けを取らないほどのアグレッションを備えた存在であることを見せつけてもらいたい、と思っていたからです。

そしてまあ、そういう誤った先入観を抱いていた人は、まるでプロレスラーかマフィアのようなラッセル・アレン(Vo)がステージに登場した瞬間に、彼らがそこらの単なる「メロディアス系」とは違うことを感じ取ったのではないでしょうか。

そして実際、ここで展開されたライブはその期待を裏切らないアグレッシヴなものでした(何しろ音がデカい!)。そういう客層の人たちは反対側のステージ前でKILLSWITCH ENGAGE待ちをするかEXTREME STAGEに行っていたのでサークル・ピットこそ発生しませんでしたが、個人的にはそういう盛り上がりがあってもおかしくないくらいのサウンドだったと思います。

最新作の曲が中心の前半も悪くはなかったですが、やはり名盤「PARADISE LOST」の曲が演奏された中盤でさらに盛り上がり、神盤「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」からの「Out Of The Ashes」、「Of Sins And Shadows」、「Sea Of Lies」の3曲は感涙ものでした。

特にショウの後半、全体的にテンポアップしていたのは、前のウリ・ジョン・ロートで時間が押したせいでしょうか。

元々ちょっと孤高の雰囲気がある音楽の上、ギターもベースもほとんど持ち場を離れずにストイックに演奏に徹し、フロントマンは夜の街で会ったら財布を置いて逃げ出したくなるようなイカツさで、しかも本日のサウンドはあまり良くなかったため、どこまでファン以外の人たちにその魅力が伝わったかわかりませんが、彼らが単なる「メロディアス系」みたいな雑なカテゴリーに収まるバンドではない、という凄みのようなものは伝わったのではないかと思います。


KILLSWITCH ENGAGE
SYMPHONY Xで燃え尽きた後、いったんアリーナ外に出てスマホを眺めつつクールダウンしていると、視線を感じる。顔を上げると、このサイト/ブログの読者であるプロの音楽クリエイター/ミュージシャンの方だ。

ひとしきり今回のラウパの話題(主にDOKKEN/苦笑)で盛り上がると、その方が裏方の音楽制作で関わっており、先月にはかのアニサマで幕張メッセのステージに立ったという「BanG Dream!(バンドリ)」というコンテンツの宣伝をされました。来年あたりこのブログがバンドリ応援ブログに変わっていたらこれがきっかけです(笑)。

自分の指定席に戻ると、足元が濡れている。そして必然的に床に直置きしていたバッグの下がグッショリ。どうやら隣に座っている女性(暗かった上にまじまじと見たわけではないので年齢は不明ですが、自分が把握する限りポジティブな反応を示していたのがSIXX:AMとWHITESNAKEだけなのできっと私より年上でしょう)が床に置いていたドリンクのカップを倒したようだ。昨日の朝の女性といい、どうしてどいつもこいつも前のイスに付いているカップホルダーを使わないのか。

と、憤りつつ一旦外に出てトイレから少々トイレットペーパーを拝借、臭いからするとおそらくZIMAと思われる液体で濡れたバッグを拭きながらKILLSWITCH ENGAGEを観る。

このバンドは過去のLOUD PARKで2度ほど観ているが、ジェシー・リーチ(Vo)復帰後のステージを観るのは初めて。前任のハワードよりもエクストリーム・ミュージックのフロントマンらしい佇まいがあって、アダム(G)も以前観たときより落ち着いたステージングになっていた観があり、ステージ全体が引き締まった気がする。

そしてサウンドも先ほどのSYMPHONY Xより格段に良好で、何より剛柔のメリハリが効いた楽曲が大いにオーディエンスを盛り上げていた。指定席から観ていると終始アリーナ前方ブロックで大型のサークル・ピットが2つ渦巻いているのがよく見えて壮観。

人間誰しも第一印象というのは強いもので、私にとっての初LOUD PARKである06年には非常にメタルコア・バンドが多く出演していたために、個人的にはこういうバンドが普段なかなか見られない巨大なサークル・ピットを生み出すのがLOUD PARK、というイメージが今でも強かったりします。そのため、このKILLSWITCH ENGAGEのようなステージこそがLOUD PARKらしい、と感じますね。とても充実したパフォーマンス、オーディエンスの盛り上がりだったと思います。


DIZZY MIZZ LIZZY
前のKILLSWITCH ENGAGEが演奏中、反対側のステージにおけるステージセット/ステージ映像のチェックの様子が、ちょっと普通のバンドと違うぞ、と思っていました。そもそもトリ以外のバンドが映像を使った記憶がありません。

そして彼らのライブがスタートすると、なんと昨日のSCORPIONSでさえ使わなかったパイロがバーンと炸裂。各メンバーを映し出す映像がバックに配され、ライティングも含めまるでトリのような豪華セット。

なんでもこれらの機材は彼らが自腹で持ち込んだのだという。母国デンマークの人気バンドだからこそできる芸当だが、彼らが日本のファンを大切に思っていればこそ実現したものに違いない。ありがたいありがたい…と言いつつ、途中この後のNIGHTWISHとWHITESNAKEに備えて食事に抜け出したことは内緒です。

食事から戻ってくると「Rotator」が終わり、なんとWHITESNAKEの定番曲であるボビー・ブランドの「Ain’t No Love In The Heart Of The City」が歌われる、すわ、これはこの後出演するWHITESNAKEへのオマージュか、と思いきや、どうやら「Silverflame」につながる演出として他の公演でも歌っているらしい。それがこの後出演するデイヴィッド・カヴァデールに対するあてつけになってしまうことをこの時ティム(Vo / G)はまだ知らない…。

最後は名曲「Glory」。他の国でのライブではラストにやる曲ではないが、ここ日本ではこの曲が一番の人気曲ということでセットリストまでカスタマイズしている。本当に日本のファンに対して特別扱いをしてくれているなあ、と感銘を受けました。

途中抜けしていたので偉そうなことは言えませんが、パフォーマンスも非常にタイトで、ファンにとってはたまらないステージだったのではないでしょうか。


NIGHTWISH
SYMPHONY Xと並ぶ、本日のお目当てでした。今年行なわれた単独来日公演は仕事が忙しくて行けなかったので…。

何でも、フロール・ヤンセン(Vo)は現在妊娠中(お相手はSABATONのドラマーだそうな)とのことで、このツアーが終わったらしばらくバンドは活動停止するとのことで、そういう意味でも貴重なステージと言えるでしょう。

そして始まったステージは、過去に3度見たライブ同様、メタル大国フィンランドのトップ・バンドに相応しい貫禄と風格を感じさせる素晴らしさ。

クラシックと呼べる曲が「Wishmaster」と「Once」しかなかったのはやや物足りなかったものの、彼らの楽曲はどれも素晴らしいので、退屈する瞬間などは全くない。

フロールはターヤ、アネットという全く個性の違う前任シンガーの楽曲をどちらも大きな違和感を与えずに歌いこなすことができるという意味でも、186cmを超える女性としてはかなり大柄なその体躯が、160cmあるかどうかも怪しい小人のようなギタリストのエンプと絶妙な視覚的コントラストを生んでいるという意味でも、バンドに完璧にフィットしている。

最新作のエンディングを飾る20分超えの超大作「The Greatest Show On Earth」途中のシアトリカルなパートではゴリラのようなモンスター(?)の着ぐるみが登場したものの、どう考えてもフロールやマルコ・ヒエタラ(B, Vo)の方が強そうなので、あまり危機感が出ない。単にステッカーをアリーナにバラ撒いて帰っていっただけでした(笑)。

彼らがプレイする音楽は楽曲の新旧を問わず、たとえ初めて聴く人であってもそこにストーリーがあり、ドラマがあることを否応なしに感じ取れるであろうメロディ、展開、アレンジがある。特に映像などが使われているわけではないにもかかわらず、まるで映画か演劇を観ているような気分になり、感情が揺さぶられる。

なぜ音楽を聴いているか、それは感情を揺さぶられるからだ、という、とても根源的な事実に気付かせてくれる、メタルを超えた音楽として普遍的な魅力と圧倒的なスケール感に溢れるショウでした。陳腐な言葉ですが、感動のステージです。


WHITESNAKE
正直な所、NIGHTWISHのステージが素晴らしかったので、前回デイヴィッド・カヴァデールが衰えていることをまざまざと見せつけられていたWHITESNAKEの存在は、バンド名通り「蛇足」に思えてしまっていました。

とはいえ、私のフェイバリット・シンガーの一人であるミケーレ・ルッピ(元VISION DIVINE, 現SECRET SPHERE)がキーボード奏者として参加したラインナップを観るのは初めてなので、(反対側ながら)指定席でビールを飲みながら観ることにする。

期待値ほぼゼロで観始めたステージだったが、1曲目が「Bad Boys」。あのリフ、そして「アウアウアウ~!」を聴くと反射的に血沸き肉躍らざるをえない。一気にボルテージが上がる。デイヴィッドの声も思ったより出ているように思える。

まあ、実際にはデイヴィッドの声が出ているように感じたのは楽曲およびコーラス隊のフォローによる錯覚で、ショウが進むともはやデイヴィッドの声から艶や伸びが全く失われていることを否応なしに痛感させられる。声が伸びないのでシャウトに逃げるのだが、そのシャウトもカイ・ハンセンかブラック・メタルか、みたいな感じで痛々しいことこの上ない。

ただ、新しめの曲を排し、アメリカ進出後の商業的黄金時代の楽曲ばかりで固めたセットリストはやはり魅力的。特に本編終盤の「Crying In The Rain」、「Is This Love」、「Give Me All Your Love」「Here I Go Again」というアルバム『WHITESNAKE』ラッシュでは名曲を数多く持つバンドの強さを感じずにはいられませんでした。

このセットリストでいくとなれば、たしかにダグ・アルドリッチよりもNIGHT RANGERから引き抜いたジョエル・ホークストラのようなフラッシーなギタリストの方がサウンドにマッチする。心なしかジョエル・ホークストラはヘアスタイルや衣装など、ちょっとジョン・サイクスを意識していたようにも見えました。

ここしばらく白シャツなどのカジュアルな服装だったデイヴィッド・カヴァデールの衣装も黒のメタル・ミュージシャンの衣装っぽいものになっており、今回の『The Greatest Hits Tour 2016』というツアーのコンセプトは80年代後期の「ゴージャスWHITESNAKE」のリバイバルなのでしょう。

当時オールド・ファンはWHITESNAKEのゴージャス化を必ずしも歓迎しなかったようだが、この期に及んでWHITESNAKEにブルース・フィーリングが薄れることに文句を言う輩もいるまい。

当時と寸分たがわぬドラム・ソロを見せるトミー・アルドリッジは、さすがにソロ後半の素手で叩くパートあたりではちょっとしんどそうでしたが、ライブ全体を通してデイヴィッドより年長の66歳とは思えぬエネルギッシュなプレイをキープしており、ちょっと感心しました。

「裏お目当て」だったミケーレ・ルッピはBIG ROCK STAGE側の指定席からは全く見えず、時々モニターに映し出される姿を見るのみでしたが、衰えたデイヴィッドを手厚くサポートするコーラスの軸として確かな存在感を放っており、「いっそ代わりに歌ってくれ」とさえ思ってしまいました(もっとも彼の声はWHITESNAKEにはあまり合わないと思いますが)。

アンコールは「Still Of The Night」、そして「Burn」と、HR/HM史上に残る名曲2連発で締め。なんだかんだ言いつつもこれだけの名曲をやられたら満足せざるを得ませんね。

デイヴィッドの声に限界を感じつつも、前日のドン・ドッケンと違って「ファンを楽しませようと精一杯頑張っている」というプロフェッショナルな姿勢は伝わってきたので、その点にも納得はできました(むしろ、もはや余生を楽しむに充分なお金は稼いでいるだろうに、これだけしんどそうなステージを続けることの意味については疑問を抱かざるをえないのですが)。

そしてラウドガールのお姉ちゃんが何やらしゃべっているのを背に、満足感を抱いて会場を後にし、家路につきました。三連休で翌日休みというのが本当にありがたいですね。


しかし今年は例年にもまして充実したパフォーマンスを見せてくれるバンドが多く、宿願であったSYMPHONY X、そしてSCORPIONSを観ることもでき、個人的な満足度の高い年でした。

正直な所、もう積極的に観たいと思えるバンドはこれでひと通り見尽くしたかな、という感もあって、来年以降はもっとリラックスしてこのイベントを楽しめるな、という気がします。今までのようにガツガツと、できるだけ多くのバンドを観ることに執心するというよりは、時折外の「世界市」を覗きに行くくらいの心の余裕を持って臨みたいと思います(と言いつつラインナップによっては食事の時間も惜しんでステージに貼りつくことになるのだろうと思いますが/苦笑)。

でも本当に、このLOUD PARKというイベントのおかげで、自発的には観なかったであろうバンドの素晴らしいライブに沢山触れることができ、自分のメタル人生は明らかに豊かになったと思います。本当にありがとう、LOUD PARK。イベントが続く限り(そして諸々の事情が許す限り)通い続けたいと思います。

◆LOUD PARK 16 公式サイト
http://www.loudpark.com/16/
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LOUD PARK 16 一日目の感想

ふと目を覚ますと既に9時過ぎ、慌てて飛び起きる。

ここ2、3日睡眠時間2~3時間の激務が続いており、昨夜帰り着いてからの記憶がほとんどない。ちゃんとベッドで寝ていたのが不思議なくらいだ。

当然目覚ましもかけていなかったのだが、普段土日は昼まで寝ているのが常なだけに、逆にこの時間に目覚めたのは奇跡的。やはり深層心理レベルでLOUD PARKがインプットされていたということなのでしょう(?)。

シャワーを浴びて歯を磨き、身仕度をして家を出る。あいにくの雨である。

さいたまスーパーアリーナに辿り着くと、ちょうど(オープニングアクトを除く)1バンド目であるSONS OF TEXASが最後の曲を演奏している所だった。パッと聴きでもなかなかカッコいい音を出していたので、最初から観られなかったことが悔やまれる。

指定席ユーザーなので、自分の席に向かうと、途中の席に座っているお嬢さんの飲み物のカップを倒してしまい、スニーカーがグッショリ。

てか何で前の席に付いているカップホルダーを使わずに足元に置いているんだ、という思いもありつつ、お金払いましょうか、と申し出るも断られ、いささか気まずい思いで着席。荷物を置いてアリーナに降りる。

今年はなんだか格闘技イベントのように女の子が開演前にバンド名が書かれたボードを持ってステージに表れる演出になっている。ツイート検索してみると柳いろはというグラドルで、ラウンドガールならぬ「ラウドガール」なのだとか。

個人的にはどうでもいいが、こういう華というかセクシーな要素がなくなったことがHR/HMに若いファンが入って来なくなった一因ではないかという気もするので、バンドに予算のしわ寄せが行かない範囲でどんどんやってください。

ZARDNIC
ベネズエラ出身のDJ。基本的にはEDMというか、いわゆるクラブ・ミュージック畑の人だが、ヘヴィなサウンドを持ち味とし、HR/HMバンドのリミックスも手掛けている。

冒頭、ACCEPTの「Metal Heart」のイントロ(チャイコフスキーの「スラブ行進曲」)が流れる中登場し、「つかみに来たな」と感じる。

そしてDJプレイが始まるが、正直一般的なHR/HMファンにとってDJというのはせいぜい開演前のBGMを流す人、くらいの認識で、「ショウはいつ始まるの?」的な微妙な空気が流れ続ける。

サウンド自体は結構カッコいいと思うものの、踊る気がない人間にはどう聴いていいかわからないというのが正直な所。次第にスペースに余裕があるやや後ろの方で身体を揺らし始める人が現れるものの、全体的な盛り上がりは今ひとつ。DJだけをするにはだだっ広いステージも、本人の表情が読み取れないマスクも、全てがこのフェスに対してはマイナスに作用していた気がする。

3曲ほど観て、LORDS OF BLACKがプレイしているサブステージ、「KINGDOM STAGE」
に向かう。


LORDS OF BLACK
ヴォーカルのロニー・ロメロが、新生RAINBOWのヴォーカリストに抜擢されたことで注目を集めたスペインのバンド。

サブステ後方の屋台でビールとツマミ的なものを買って、飲みながら観ていました。

ヴォーカルのみに注目が集まっているが、他のメンバーの力量も確かで、手堅いパフォーマンスを展開している。

正直サウンドがあまり良くないのだが、それでも埋もれずに確かな存在感を放つロニー・ロメロの歌唱はさすがで、安心して楽しむことができました。

個人的にはRAINBOWの曲をプレイしてくれることをちょっと期待していたのですが、40分程度の持ち時間しかなかったのでそれはなし。まあしょうがないですよね。


ALDIOUS
サブステージは転換の時間帯なのでメインステージに戻って、ガールズ・メタル・バンドの代表格、ALDIOUSのステージを観る。

以前観たときとVoとDrが変わっており、Drはかの超有名ドラマー、テリー・ボジオの義理の娘だという。

Voの水色のドレスを始め、メタル・バンドには珍しい華やかな衣装が目を引いたし、ピンクの衣装を着たToki(G)がいつスクリーンに抜かれても満面の笑顔なのが好感度高く、個人的には印象良かったです。

Yoshi(G)のあまりまとまってない感じのMCも、「思い」みたいなものは伝わってきました。てか彼女らももう7年目なのですね。J-POPとしての成功を望むのはなかなか難しそうなのがちょっと残念ですが。


MYRATH
本日SCORPIONSと並ぶ最大の目当てと言っても過言ではないチュニジアのプログレッシヴ・メタル・バンド。

イントロのアラビアンなSEが流れる中、日本人のベリーダンサーが登場。大層美しい。ベリーダンサーが登場する演出は海外のライブでもやっているようだが、まさか日本の、30分程度のステージでもやってくれるとは感謝感激。

そしてクラウドファンディングで制作した傑作MVが印象的な、最新作のオープニング・トラックである「Believer」でショウがスタート。

いや~、演奏も上手いし、ヴォーカルのフロントマンとしてのオーディエンス・コントロールも慣れたもんだし、とてもチュニジアなんていう片田舎(失礼。実際には首都など大都市は結構都会なのだろうと思います)のバンドとは思えないレベルの高さ。

途中ベリーダンサーの再登場もあり、その旋律のエキゾチックなムードもあって、ひょっとすると彼氏に無理矢理連れてこられた彼女や奥さんのような「メタルに興味がない人」にとっては一番インパクトのあるライブだったのではないでしょうか。

時間が短いのと、サウンドが今ひとつだったのが残念ですが、個人的な期待には100%応えてくれる素晴らしいショウでした。再来日希望!


CAIN’S OFFERING
カルト・レジェンドCANDLEMASSはフルで観たかったものの、私の生き様的にこのバンドを完全に切ることはできない。MYRATH終演と同時に再びサブステに走る。

サブステに辿り着くと、ちょうどヤニ・リマタイネン(G)が「Stolen Waters」の長いギター・ソロを弾きまくっているところでした。

「Oceans of Regret」、「Antemortem」そして「I Will Biild You Rome」と、何とか3曲をフルで観ることができ、あらためてこのバンドの楽曲が自分好みのメロディで満ちていることを再認識。


CANDLEMASS
CAIN’S OFFERINGが終わると、今度はメインステージにダッシュ。忙しい。

エピック・ドゥームの開祖としてマニアの評価は異様に高い伝説のカルト・バンド。欧州では確固たる支持基盤があり、2005年の再結成(2回目)後はコンスタントに活動していたが、ドゥーム系のバンドの人気が低い日本ではその姿を目の当たりにすることはできなかったが、LOUD PARK担当者の趣味で(?)夢の来日が実現した。

ドゥームとはいえ、彼らの音楽はCATHEDRAL以降の「ドゥーム・デス」とは異なり、リフ・ワークこそヘヴィなれども歌メロもあれば、アップテンポなパートもあるし、結構聴きやすい。

特に現在ヴォーカルを務めるのは日本では「YNGWIE MALMSTEENの『FACING THE ANIMAL』で歌っていた人」という認識が一番強いであろうマッツ・レヴィンで、その普遍性のある上手いヴォーカルはこのバンドの「意外な聴きやすさ」をわかりやすく観衆に伝えていたのではないかと思われます。

個人的に「家や通勤時に聴きたい音楽」ではないのですが、ライブ自体はかなりカッコよく、自己判断の結果ではありますが、最初から観られなかったことが惜しまれます。


MASTERPLAN
RAGEとMASTERPLANが丸被りという、独産メタル・ファンにとっての悩みどころで私はMASTERPLANをチョイス。

同じドイツのパワー・メタル・バンドではあるものの、その音像は結構異なっているので好みが明確であれば迷うことはない…というよりは、単に来日がレアである方を選んだというのが正直な所ですが。

最新作からの「Keep Your Dream Alive」と、かつてローランド・グラポウ(G)が在籍していたHELLOWEENで書いた「The Chance」のカヴァーを除き、全てデビュー・アルバムからの楽曲という「超初期重視」なセットリストは、自分たちの音楽が一番日本で受け容れられていた時期を正しく理解した結果なのでしょう。

初期のヴォーカリストはかの歌神ヨルン・ランデだが、現シンガーのリック・アルツィもヨルンに劣らぬパワーの持ち主で、その声量はヨルンに勝るとも劣らない。

ただ、なにぶんサウンドが(これまで全体的に良くなかった中でも)最悪で、今ひとつ彼らの音楽の魅力が伝わりにくかった上、これは以前観に行った単独公演の際にも感じたのだが、彼らのステージ・パフォーマンスというのは「盛り上がりに欠ける」もので、今ひとつ胸が熱くならなかったというのが本音。

ラスト曲として「Crawling From Hell」がコールされたタイミングでサブステを後にし、メインステージに戻る。


RAGE
メインステージに戻ると、RAGEがラスト曲と思しき「Higher Than The Sky」をプレイしている。とりあえずあのサビは歌わずにいられない。

するとその「Higher Than The Sky」の途中でDIOの「Holy Diver」が挿入され、ギターの人が歌い出す。そしてその歌が超上手くてビックリ。声もいいし、もはやピーヴィーよりこの人に歌わせた方がいいんじゃないか? と思ってしまいました(笑)。

ぶっちゃけMASTERPLANよりRAGEを観た方が満足度高かったかも…。


ARMOURED SAINT
まさかこのバンドを日本で観ることができるとは思っていませんでした、というCANDLEMASSと並ぶ本日の「レアモンスター」枠。

まあ、元ANTHRAXのヴォーカリストが在籍しているということである程度の知名度はあるので、その辺を評価しての抜擢でしょうか。

最近の楽曲に中途半端なモダンさがあるのと、ジョン・ブッシュはともかく、なぜかジョーイ・ヴェラ(B)までANTHRAXに影響されたかのような服装・ステージングなのがちょっと気に食わないが、2人のギタリストの佇まいに「80年代B級正統派」の残り香がプンプンしているのは良い。このバンド名でモダン化するのは良くないと思います(笑)。

全体的には中堅らしい可もなく不可もない無難なパフォーマンスだったが、「March Of The Saint」のイントロ(ムソルグスキーの『キエフの大門』)を省略したのはいただけない。

途中、メンバーの子供と思われる小学生くらいの少年がギターを抱えて登場してました。


DANGER DANGER
裏でやっているEXODUSの方がこのイベントらしく盛り上がるのだろうと思いつつ、個人的な趣味嗜好を優先してDANGER DANGERを選択。

1曲目から私の好きな「Crazy Nights」で始まり、彼らの楽曲で一番好きな「Rock America」もプレイ、ラストは「Bang Bang」に「Naughty Naughty」という、曲名だけ見るとちょっとバカっぽい彼らの代表曲2連発と、ファンのニーズを正しく理解した初期曲中心のセットリストで満足度高し。

ヴォーカルのテッド・ポーリーは常にプロフェッショナルな笑顔をキープして素敵なフロントマンを演じており、演奏陣のプレイもハイレベル。特にロブ・マルセロのギターは「ある一線を超えた人」だけが出せるスーパー・テクニカルな速弾きの連発で、「ちょっと弾きすぎじゃね?」と思いつつもエキサイトさせられました。

ただ、途中そのロブのギターがトラブって、他のメンバーが無理矢理トークでつなぐことになったり、足元の扇風機が故障?してステージ上にずっとスタッフが修理で居座ったりと、なんだかトラブルが多くて気の毒なステージでした。


SHINEDOWN
一応メインステージには戻ってみたものの、EXODUSがまさに終了する瞬間で、その後SHINEDOWNまでしばらく待ち。

そしてSHINEDOWNが登場すると、なぜかドラムを除くメンバーがまさかのスーツ姿。

これはもしかしてバンド名の「SHINE」と「社員」を掛けているのか!? だとしたら日本人向けのサービスとしてはレベル高すぎるぞ! と思いつつ(真偽は不明)、そういった演出も含め、アメリカの現役人気バンドならではのパフォーマンスは非常にハイレベルで、音楽の趣味とは関係なく楽しめました。

ただ、次のQUEENSRYCHEのために4曲ほどで移動せざるをえませんでしたが…。


QUEENSRYCHE
かつてHR/HM史上に残るコンセプト・アルバム「OPERATION : MINDCRIME」で絶大な評価を獲得し、「EMPIRE」では全米TOP10シングルも生まれ、300万枚に及ぶ売上を記録したこのバンドが、サブステ、しかもトリですらない扱いとは、時の流れの非情さを感じさせずにはいられません。

しかし、さすがというべきか、裏のSHINEDOWNとファン層が被っていないためと言うべきか、このサブステにおける人集まりは本日最高。正直トリのBLIND GUARDIANより人が多かったです。

このバンドもDANGER DANGER同様、デビュー作から「EMPIRE」までという初期楽曲で固めた(1曲目のみ最新作から)、「自分たちはクラシック・ロック」と腹を括ったセットリスト。

「I Don’t Believe In Love」と「Another Rainy Night」が聴きたかったというのは個人的なわがままとしても、アルバム「RAGE FOR ORDER」から「Screaming In Digital」をやるくらいなら「Walk In The Shadows」のほうが良かったのでは?

演奏はタイトで、かつては全米をアリーナ規模で回っていたバンドならではのキャリアを感じさせられましたが、中でも看板シンガーであったジェフ・テイトに代わって加入したトッド・ラ・トゥーレの「ジェフそっくりさん」ぶりは(YouTube等で観て知っていたとはいえ)驚きの域で、「Queen Of The Reich」の冒頭のハイトーン・スクリームでは皆度肝を抜かれたのではないでしょうか。本日のベスト・ヴォーカリストは彼ですね。

しかしベースのエディ・ジャクソンがいなかったのはナゼ…?


BLIND GUARDIAN
QUEENSRYCHE 終了後にメインステージに戻ればCHILDREN OF BODOMも観られたはずなのですが、さすがに往復にくたびれたのと、今観ておかなければ晩ごはんを食べるタイミングを逸しそうなので、そのままサブステ後方の屋台で適当に食事。

そして始まるBLIND GUARDIAN。QUEENSRYCHEの時に比べて人が減っていて少し寂しい。

どうせ1曲目は最新作からの曲で始まるんだろ、と高を括っていたら、いきなり響き渡る私が高校生の時に身体に刻み込まれたリフ。

最近のライブで「IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE」の完全再現をやっていることは把握していたが、まさか持ち時間の少ないラウパでそれをやるとは。

最近の彼らの楽曲と違ってしっかり覚えている曲ばかりだし、彼ら自身のパフォーマンスもかなり垢抜けて、いちパワー・メタル・バンドとして優れたライブを展開していた。実際前回出演した(07年)ときより引き締まったパフォーマンスだったと思う。

ただ、彼らの音楽世界って、本当は映像やらセットやらが豪華に使われていた方が引き立つと思うんですけどね。

完全再現が終わった後、ラストに名曲「Mirror, Mirror」をプレイしたのですが、持ち時間が余っていたっぽいので「Varhalla」もやってくれればよかったのに…。オーディエンスが少なかったからご機嫌を損ねたのでしょうか。


DOKKEN
BLIND GUARDIANが終わってメイン・ステージに戻ると、DOKKENの「MR.SCARY」がプレイされていた。

インストのその曲を聴いている分には何の問題もないが、続く「It’s Not Love」で、私が危惧していた問題が何ら解決されていないことを知る。

ドン・ドッケンの声が出ていない。いや、聴いていない人が想像するようなレベルではなく、本当に出ていないのだ。サビのコーラスはジェフ・ピルソンをはじめとした他のメンバーがフォローしてくれるからまだしも、ドンが一人で歌うパートは聴くに耐えない。

続く名曲「In My Dreams」冒頭のあの印象的なコーラスも、ドンの声が欠けているために厚みに欠けるものに。

「In My Dreams」が終わるとドンがオーディエンスに「バイバイ」と声をかける。そのままバイバイしてくれて何の問題もなかったのだが、それはジョークだったらしく、最後に「Tooth And Nail」がプレイされる。他のメンバーのプレイに衰えが感じられないだけに一層ドンの衰えが引き立つ。

「今回は特別な再結成だから、ドンも一念発起して頑張るのではないか」というファンのかすかな期待を完全に裏切る惨状が呈されていたわけだが、当の本人は一切悪びれることなくニッコニコだったことに「人はここまで厚顔になれるのか」と戦慄を禁じ得ませんでした。


SCORPIONS
長年トリ候補に挙げられていながら、ギャラや会場などの条件面で折り合わないという噂で流れて続けてきたSCORPIONSがついにラウパ降臨。個人的にも現実に観ることが可能なHR/HM系の大御所としては「未だ見ぬ最後の大物」という感じで、非常に楽しみにしていました。

どうせなら全盛期である30年前に観たかった、というのは私の年齢的な問題で叶わぬ夢としても、せめて私がHR/HMを聴き始めた90年代に観ておければという思いはある。とはいえ結局2007年に行なわれた来日公演まで、何度かあった機会を全て見送ってきたのも事実で、「SCORPIONSなんてアルバム出せば来るんだからいつでも観れるだろ」と高を括っていた当時の自分に「観たいものは次観られる機会を得たときにすぐ観ること!」と説教したい気分でいっぱいです。

実際の所、衰えが全くないと言ったら嘘になる。ステージ・アクションも過去のライブ映像などで観られるようなキレはないし、クラウス・マイネの歌声もかつての張りは失ってちょっとのっぺりしている(もう「Virgin Killer」は歌えないでしょうね)。

しかし、彼らが60代後半の年齢であることを考えたら、このクオリティは驚異的(特に先にドン・ドッケンの惨状を目の当たりにした後では!)で、全盛期の面影は今なおちゃんとある。そしてクラウスの歌声には天性の声質によるマジックがまだまだ感じられる。若い頃にキレキレなのはある意味当たり前で、この年齢でこれだけのパフォーマンスができることこそが特別だとすれば、ある意味このタイミングだからこそ特別なものを観ることができたと言えなくもない。

本公演は一応「50th Anniversary Tour」の一環としてのショウで、基本的なセットリストは同ツアーの基本構成を踏襲している。この期に及んでも最新作から3曲もプレイしているあたりの「現役感」に対する意識は凄いですが、このツアー中に正式メンバーになったミッキー・ディー(Dr)に敬意を表して(いや、建前上はレミーに対する追悼ですが、実際はそうでしょう)彼が以前在籍していたMOTORHEADの「Overkill」をセットリストに組み込む、といった柔軟さもまた特筆すべきでしょう。

そして日本公演の定番である「荒城の月」も当然のようにやってくれたし(それに続いたのが「Send Me An Angel」に「Wind Of Change」というバラード2連発だったために、ちょっとおとなしい時間帯になってしまいましたが)、やはり何よりスペシャルだったのはアンコール2曲目で登場したウリ・ジョン・ロート(G)との共演でしょう。

今回のラインナップが発表された時点で同じフェスに参加するということで予想はされていましたが、こうして実現してみると、リアルタイムのファンではない私のような人間でも「特別な瞬間を目の当たりにしている」という実感がありました。

そういうサプライズがなくとも、特別に花道が用意されたステージ・セットも含め、大御所ならではの貫禄と実力が充分に伝わってくる充実のライブでしたが、このウリのゲスト出演によって、我々日本のファンにとって「特別な記憶」として刻み込まれたことは間違いありません。

噂ではSLAYERの4倍と言われる過去最高額のギャラ(彼らのキャリアと成功の規模を考えれば当然ながら)が発生したという噂ではありますが、そのギャラに相応しい、過去最高の大団円を提供してくれた素晴らしいショウでした。

LOUD PARK 16に向けて

年に一度のメタラーの祭典としてすっかり定着したLOUD PARK、いよいよ開催まで1ヶ月を切り、タイムテーブルも発表されて(気分的に)盛り上がってきましたね。

タイムテーブルといえば、行く直前にタイムテーブルの画像をスマホに保存しておくと便利ですよ。入口の所で紙のタイムテーブルを渡されますが、場内は薄暗くて見づらいので、スマホで見た方が見やすいです、とやってる人はやってるちょっとしたTipsを。

その他、初開催だった06以来の皆勤賞である私がまとめたLOUD PARKのしおり(?)をこのブログで以前書いていますので、もし初参加の方などがいらっしゃいましたらご参考までご覧ください。

LOUD PARKの手引き
http://metalgateblog.blog107.fc2.com/blog-entry-991.html

今年の出演ラインナップに関しては、ついに恒例の「アモット枠」が完全撤廃されたのが、長年通い続けてきた人間にとっては一番大きな変化ですかね。同時期にSPIRITUAL BEGGERSが来日するにもかかわらずあえてLOUD PARKに出さなかったのは前回結構さびしい人集まりだったからでしょうか。

ファースト・アルバムの再録アルバムを作っているというARMAGEDONを出すというのもアリだったのではないかと思いますが(ファースト収録曲ならそこそこ盛り上がりそうですし)、毎年アモット兄弟を調整するのも面倒臭いのでスパッと切ったのでしょう。

ヘッドライナーがSCORPIONSにWHITESNAKEというのは、1990年ならともかく2016年のフェスとしてどうなの、という気もしますが、SCORPIONSはHR/HMファンとして一度は観ておきたいバンドでしたし、WHITESNAKEもミケーレ・ルッピがいるラインナップを観るのは初めてなので、個人的にはまあこれでもいいかなと。

プロモーター的には今回の目玉のひとつは「オリジナル・メンバーによる再結成DOKKEN」だと思いますが、何しろ前回の出演時におけるドン・ドッケンの歌はこのフェス史上のワーストと言っても過言ではないほど酷かったので、なかなかモチベーションが上がりません。まして裏がBLIND GUARDIANでは…。

とはいえ、次のSCORPIONSをいい場所で見ようと思ったらBLIND GUARDIANを最後まで観るのは厳しい。ラスト2曲は「Mirror, Mirror」に「Valhalla」という名曲だと思われるだけに最後まで観たいのは山々なのですが。

今年のタイムテーブルについては、当然3ステージ制ならではの「痛い被り」が出ています。個人的にはMYRATHとCAIN'S OFFERINGの被り、SHINEDOWNとQUEENSRYCHEの被り、RAGEとMASTERPLANの被りという、初日にダメージが集中しています。

まあ、CAIN'S OFFERINGについては単独で拝んできたので、ここはわざわざ遠くチュニジアからお越しいただくMYRATHを優先したいと思います。コティ兄貴とイェンス先生には会いに行きたいですが、MYRATHの後もCANDLEMASSが出るのでは、頑張ってサブステへの最短ルートでちょい抜けしても1曲観るのが限界ですかね…。

他の2つの被りについてはまあ、当日の気分で決めます。一から十まで事前に決め込むより、押さえるポイントは決めつつも、その場のノリで決める部分もあるスケジューリングの方が好きなので。

あとは当日まで、よく知らないアーティスト、最近の音源を聴いていないバンドの予習に勤しみたいと思います。

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LOUD PARK 15 二日目の感想

2日目はあいにくの雨。私のブログを読んでいない同行の友人は実質捨てることになるビニール傘を持ってきて「え、持って入れないの?」などと言っている。

前日の反省(入場に時間がかかり、オープニングアクトに間に合わなかった)を活かし、昨日より30分早く出発。雨の中なかなか入場させてくれない糞オペレーションに苛立ちつつ、なんとかオープニングアクトであるGYZEにギリギリ間に合うタイミングで入場する。

GYZE
アルバムが良かったので期待していました。トリオ・バンドということもあっていささかステージの広さを活かしきれていないような気もしましたし、演奏も最初はちょっと硬いような気がしましたが尻上がりに良くなっていきました。

昨日のUNITED同様、朝っぱらというのにサークル・ピットが生まれていましたが、それに飽きたらず「伝説を作りたいと思います」と、ウォール・オブ・デスを要求し、あまりダイナミックなものではなかったものの何とか実現させる。

彼らのことを全く知らなかった友人も「ギターボーカルが完全にアレキシだけど、いいね」と言っていましたが、やはりメロディを弾いているときちょっと音が薄くなるので、ギターをもう一人入れた方がいいんじゃないですかね…。まあコストも上がるし、腕前はもちろんメンバーにはルックスも求めたいと言っていたのでなかなか難しそうですが。

オープニングアクトゆえにわずか3曲でしたが、もっと長く観ていたかったですね。


WE ARE HARLOT
アメリカではかなり人気があるメタルコア・バンドだったASKING ALEXANDRIAのフロントマンだったダニー・ワースノップを中心に結成されたバンドで、この新バンドではメタルコアではなく、80年代を彷彿させるキャッチーなハード・ロックを展開しているということ、しかもドラムが元AQUARIA~REVOLUTION RENAISSANCEのブルーノ・アグラということでちょっと興味を持っていたバンドだ。

GYZE終わりで買ってきたケバブデラックスとビールによる朝食をとりつつ、指定席でゆっくりと鑑賞。

前評判通りキャッチーなアリーナ・ロックで、演奏もタイトでなかなか楽しめたが、この手の音楽を主食としない私のようなリスナーを虜にするほどの求心力は感じられず、まあまだデビューして間もないのでその辺はこれからでしょうか。

アメリカやイギリスのバンドにありがちですが、MCで使われる英語のボキャブラリーが高度過ぎて日本人にはちょっとわかりにくかったような。


ARMAGEDON
恐らく、昨夜の「ARCH ENEMY再結成イベント」にクリストファー・アモット(G / Vo)を呼ぶ必要があるので、「ついでだし出てもらいましょう」みたいな流れで出演が決まったのではないかと思われます。

ただ、オープニングアクトであったGYZEはおろか、反対側のステージの「浜田麻里待ち」の人たちよりオーディエンスが少なく、かなり厳しい状況。ヴォーカルの人がサークルピットを促しても無反応だし。

よく聴けば曲は悪くないのですが、いかんせんフェスで盛り上がるにはちょっと地味かも。

昨夜ARCH ENEMYのステージでの盛り上がりを体感したクリスとしては忸怩たる思いがあったのではないでしょうか。


浜田麻里
昨年のSUMMER SONICで観たライブの印象が良かったので期待していました。そしてその期待にほぼ完全に応えるステージだったと言っていいでしょう。

ほぼ、というのは、ちょっと音のバランスが悪かったから。浜田麻里ほどの強力なシンガーでなければ、演奏の音に埋もれてしまったかもしれません。

私が観たSUMMER SONICの際にもかなりHR/HM色の強い楽曲にフォーカスしていましたが、本日はさらにその傾向が顕著で、SUMMER SONICではプレイしていた彼女最大のヒット曲「Return To Myself」もなし。メロディックで勢いのあるHR/HM系の楽曲を中心に(「Nostalgia」はアカペラのショート・バージョンで披露。衰えぬ歌唱力のアピールかと思われるが、正直普通にやってくれた方がよかったかも…)ショウは進行する。

そして後半は本日のサプライズ、高崎晃(LOUDNESS)のゲスト参加。浜田麻里はかつてデビュー当時にLOUDNESSの故樋口宗孝のバックアップを受けていましたし、近年のアルバムやライブにゲスト参加していたので、SOLDER OF FORTUNE名義で高崎晃がこの会場にいることを考えると予想していたファンも多かったことでしょう。

しかし何がサプライズって、まさか80年代当時を思わせる衣装(と、ヅラ)で出てきたことですよ。タイムスリップかと思いました(笑)。心なしか高崎晃がずっとニヤニヤしていたのは、ステージが楽しいというより衣装が気恥ずかしくての照れ笑いだったのかもしれません(?)。

御年53とは思えない歌声とルックスを維持しており(ステージ・アクションはいささか古臭いのですが)、そしてバック・コーラスを務める妹の浜田絵里がこれまた本人以上かというハイトーンを響かせていて圧巻でした。往年の名曲、「Don’t Change Your Mind」のサビのスクリームにはシビれましたね。大満足です。


KAMELOT
近年のアルバムにかつてほどの輝きを感じていないことは認めつつ、基本的には私はKAMELOTのファンで、ロイ・カーン在籍時も、トミー・カレヴィック加入後のライブも観ている。

逆に観たことがあるだけに今回特別観なくては、というほどのモチベーションは特になく、また、彼らのちょっとナルシスティックな孤高の世界観が、彼らのファンばかりではないフェスの会場で好意的に受け止められるのか、という点についてはやや懐疑的だった。

しかし、ショウが始まるとそんな煮え切らない気持ちはたちどころに吹っ飛んでしまった。まずサウンドがいい。バランスのとれたアンサンブルでメタルとして理想的な音圧が実現している。

そしてパフォーマンスがいい。特に何か変わったことをしているわけではないが、非常にまとまりのある、メタル・バンドらしいパフォーマンスをしている。特に前回観たときにはややカリスマ不足に感じたトミー・カレヴィックが、格段に存在感を増している。「イチ、ニイ、サン」からの投げキッスにはヘテロの男ながら思わず赤面してしまいました(笑)。

ステージから降りてきて、花道(?)をPAブース前まで出張ってファンと触れ合ったミュージシャンは今回私が見た限りトミーだけで、前回観たときよりも格段にフロントマンとしての自信をつけているように映りました。

1曲目の「Veil Of Elysium」からグイグイ彼らの世界に引き込まれ、頭を振らずにいられない。変にムーディーな曲を挟まず、比較的ストレートにアップテンポな曲を集めたセットリストも考えられている。

名曲「Forever」における掛け合いでひとつのハイライトを迎えたが、その後アリッサ・ホワイト=グルーズのゲスト参加でショウに新たな華が加わったのも非常に良かったと思う。

もはや準メンバーに近い(?)アリッサだが、なにぶんARCH ENEMYとKAMELOTは出演日が違うので登場するかどうかは五分五分かと思っていた。私なら確実に自分が出演しない日は観光に行きますからね(笑)。しかしアリッサは私などよりはるかに勤勉だったようだ。

KAMELOTの暗黒面を彩るデス声は昨日ARCH ENEMYでたっぷりと観ているのでさほどありがたみはないが、THE AGONISTを脱退してしまった今、アリッサのノーマル・ヴォイスでの歌声が聴けるのはKAMELOTだけ!(?) 堪能させていただきました。

贅沢を言えば「Karma」と「Center Of The Universe」もやってほしかったが、充分満足感のある、引き込まれるパフォーマンスでした。


PRETTY MAIDS
このバンドも一度観てみたいと思っていて、近年来日した際にはいずれも予定が合わず観ることができなかったため、この機会に観られるのはラッキーだった。

一時期ちょっと低迷していた彼らだが、ここ数年はかなり好調を維持していることもあって、セットリストは割と新しい曲が多め。

このバンドの要であるロニー・アトキンスのヴォーカルが冒頭今一つ通りが悪く(マイクのせいでしょうか?)、そのせいでちょっと盛り上がりきれなかったが尻上がりに良くなっていったと思います。

プレイされた曲がどちらかというとパワー・メタル寄りというよりはメロディアス・ハード寄りの曲が多かったことも、ちょっとインパクトを弱めていた気がします。正直、KAMELOTのパフォーマンスが意外なほどエネルギッシュだっただけに、ちょっと見劣りしてしまった観は否めません。

全体的にはベテランらしい手堅いショウ運びで、ちゃんと盛り上げていったのですが、熱心なファンが集う単独公演ではなく、興味本位の観客も多いフェスで新しめの曲をオーディエンスに歌わせようとしたのは個人的にちょっと感心しません。

盛り上がったのはやはり「Back To Back」そして『BURRN!』誌の年間ベスト・チューンに選ばれた名バラード(カヴァーですが)「Please Don’t Leave Me」といったクラシックでした。私も「Please Don’t Leave Me」については生で聴きたいと思っていましたが、私が親しんでいた「SIN-DECADE」に収められていたバージョンより気持ちテンポが速く、それでいて歌は「OFFSIDE」に収録されていたアコースティック・バージョンがベースになっていたのでちょっと違和感も。

とはいえ、なんだかんだ言ってラストの「Future World」を聴く頃には満足していたんですけどね。「Future World」って「キーボードを効果的に使ったヘヴィ・メタル」のお手本みたいな曲ですよね。


THE LOCAL BAND
「80年代ヘア・メタルの名曲をカヴァーする、アレキシ・ライホ(CHILDREN OF BODOM)のサイド・プロジェクトという予備知識しかありませんでした。

裏でやっているDARK TRANQUILLITYも観たかったのでどうしようかちょっと悩みましたが、80年代ヘア・メタルは大好きなのでひとつお手並み拝見、とサブステに移動せず、メインアリーナに残留。次のSOLDIER OF FORTUNEはかなり観たかったので、どうせすぐに戻ってくるから移動するもめんどくさいしな…という思いもありました。

ライヴはSetlist.fmで予習していた通り、MOTLEY CRUEの「Shout At The Devil」でスタート。アレキシ以外のメンバーが誰なのかは予習していなかったのですが、VoがRECKLESS LOVEのオリ・ヘルマンであることに気付く。この人はやはり華がありますね。

その後POISONやらGUNS ‘N ROSESやらDEF LEPPARDやらSKID ROWやらの曲がプレイされるわけですが、やはりちょっとショウに緊張感がなく、「お遊び」感が否めない。

まあ知っている名曲ばかりなのでつまらなくはなかったのですが、これはあんまり真剣に観るようなバンドじゃないなと思って途中でビールを買いに出て、飲みながら観ていました。

あまり事前情報が充分でなかった割には人付きは悪くなく、それはひとえに曲の魅力だったのではないかと思います(アレキシのコア・ファンもいたと思いますが)。


SOLDIER OF FORTUNE
マイク・ヴェセーラ(Vo)が高崎晃と山下昌良をバックに、あるいは高崎晃と山下昌良がマイク・ヴェセーラを復帰させての実質「第2期LOUDNESS」再結成プロジェクト。

実は私はLOUDNESSのアルバムでは「SOLDIER OF FORTUNE」が三本の指に入るくらい好きなのでこのプロジェクトには結構期待していました。

マイク・ヴェセーラは私が最初に見たイングヴェイの「SEVENTH SIGN」ツアーの頃からさほど見た目の印象は変わらず(あの時は変なヒゲを生やしていましたが)。高崎晃は先刻の浜田麻里のときの80年代風の衣装から、いつものドレッドヘアの格好にわざわざ着替えていました。

ドラムはてっきりLOUDNESSの現ドラマーである鈴木政行かと思いきや、なぜかSADSのGO氏が叩いている。なんか最近Twitter見てると清春(SADS)と高崎晃がよく絡んでいるし、その辺の縁でしょうか。あるいはGO氏がやっていた(いる?)SUNS OWLがLOUDNESSのトリビュート・アルバムに参加していたし、元々縁があるのかもしれません。

しかし、オープニング・ナンバーが「Down ‘N’ Dirty」とは…。いや、当時のライブ盤である「LIVE LOUDEST」もそうだったから意外ではないのだが、何もこんな退屈な曲で始めなくても…。

その後も割と地味な曲がたて続き、直前にアルコール注入していただけにノックアウト寸前に。こんなことならDARK TRANQUILLITYを観に行ってウィゴウしておけばよかった…という思いが脳裏をかすめるも後の祭り。

記憶がちゃんとあるのは「Crazy Night」のあのリフが鳴り響いて以降ですね。やはり名曲は強い。

しかし、その「Crazy Night」におけるマイク・ヴェセーラの歌唱はかなり酷かったと言わざるをえません。というか1曲めからちょっと調子っ外れでしたが…。

昔から薄々思っていましたが、この人は「ハイトーンでシャウトできる」人ですが、「ハイトーンで歌える」人じゃないんですよね…。正直「Crazy Night」のワースト・カヴァー(彼らの場合カヴァーと言っていいのかわかりませんが)でした。

その後、マイクが「巨人の星」のメロディを歌い出し、「なんだなんだ、まさかANIMETAL USAでもやる気か?」と思いましたが、どうやらそれはちょっとした「客いじり」だったようで、ついにこのプロジェクトの名前でもある名曲「Soldier Of Fortune」が登場。

てっきりこの曲がオープニング・ナンバーかラスト・ナンバーになると思っていただけに、なんだか中途半端なタイミングで出てきたな、という感じでしたが、言ってみればさっきの「Crazy Night」が本編のラスト、この「Soldier Of Fortune」がアンコール1曲目、みたいな意識なのかもしれません(?)。

さすがに「持ち歌」だけあって、歌は「Crazy Night」よりはマシでした。ギター・ソロもかなり完コピに近く、今ではもうあのやたらとフラッシーなソロは本人も弾けないんじゃないかという疑惑も抱いていただけに、その点は嬉しかったですね。

その後「ON THE PROWL」に収録されていた英語版「In The Mirror」、そして正直この曲をやるとは思っていなかった怒涛のパワー・メタル・ナンバー「S.D.I」で幕切れ。

名曲が連打された後半は良かったですが、前半は本日のタイムテーブル中でも屈指の退屈さだったような…。


SABATON
実は本日一番期待していたのは彼らでした。何しろヨーロッパにおけるその人気は日本では想像もできないほどで、その圧倒的な支持を裏付けているのがライブ・パフォーマンスだと聞いていたからだ。

というか、前のSOLDIER OF FORTUNEがプレイしている時点で既にステージに戦車(型のドラムキット。戦車なのにYAMAHAと書いてある/笑)が出現しており、期待がさらに膨らんでいた。

SOLDIER OF FORTUNEが終わってしばらくすると、彼らのショウのオープニングの定番であるEUROPEの「The Final Countdown」が流れてさらにワクワク感を盛り上げる。

そして1曲目「Ghost Division」でスタートし、ミリタリー服風の衣装に統一されたメンバーが演奏を開始し、ヴォーカルのヨアキム・ブロデンが飛び出してステージ狭しとアクションをキメまくると、もはや場内はSABATONに釘付け。あっという間に場内のオーディエンスを掌握してしまった。

実際、アリーナ前方にはかなりアツいオーディエンスが集まっていたようで、「Swedish Pagans」のコーラスを歌ってみせてヨアキムを驚かせていた。きっと「日本ではSABATONは全然知られていない」と言われていたのだろう、ヨアキムは終始オーディエンスに対して盛んに感謝と賞賛の意を表していました。それがまた本当に嬉しそうな所が微笑ましい。

途中、まるまる1曲ぶんの時間を使ってギターを使ったちょっとしたコントまで披露する頃には場内みんなSABATONに夢中(笑)。わかりやすい英語のMCによる的確な煽りもあって、最後まで盛り上がりは続き、アリーナに「SABATON」コールが満ちあふれました(07年のときのSAXONコールを思い出しました。どちらも語呂が似ているだけに、呼びやすいんでしょうね)。

トドメはライブの終盤、ヨアキムがサングラスを外した瞬間でしたね。強面なサングラスの下に隠されていたあの優しげでつぶらな瞳を見たとき、「おっかない熊かと思っていたら実はパンダだった」みたいなギャップに場内が爆笑の渦に包まれました。

曲もパフォーマンスもライブでの盛り上がりにピッタリでしたが、ヨアキム・ブロデン、これほどまでに初見のオーディエンスのハートをつかんだフロントマンも稀でしょう。最高のエンターテインメタル・ショウでした。


DIZZY MIZZ LIZZY
SOLDIER OF FORTUNEとSABATON(あとGYZEと浜田麻里)が今日のお目当てだった私としては、それらのバンドが全て終わった今となっては、あとのバンドは(失礼ながら)ボーナス・トラック。いいライブが観れたら儲けもの、くらいの気持ちで肩の力を抜いて指定席で観始めたのがDIZZY MIZZ LIZZY。

デビュー作を日本で10万枚売った実績があるだけに出番はそこそこ後ろな訳ですが、何しろSABATONが場内全体を巻き込む大盛り上がりだっただけに、その直後はキツいんじゃないの~? と思って観ていましたが、さすがにデンマークを代表する人気バンドのひとつだけあって、特に変わったことをするでもなく、すぐに空気を切り替えていました。

GYZE終了後、メシを食ってからずっと寝ていた友人がここでようやく起きて「サブステ行ってくるわ」と席を立つ。

DIZZY MIZZ LIZZYに関しては、音楽が必ずしもHR/HMとは言い切れない(というかはっきり言ってオルタナティブ・ロックでしょう)ため、果たしてこの会場で受けるのかな? といささか心配していましたが、なかなかの盛り上がりで杞憂でした。

実際、「タイトなパフォーマンス」という形容がピッタリで、マイペースにプレイしている風ではありますがちゃんとグルーヴしていて、随所で「巧さ」を感じさせるパフォーマンスでした。

他の国では3曲目くらいでサラッとプレイしている「Glory」がラスト・ナンバーなのは、きっと日本で随一の人気曲だからでしょうね。


DRAGONFORCE
これまたLOUD PARKの常連と言っていい人気バンド。

だが定刻を過ぎてもなかなか始まらない。どうやら機材の調子が良くないようだ。

定刻に遅れること10分ほどしてようやく「Tomorrow’s King」でショウがスタート…と思いきや、ハーマン“イケメン”リのギターの音がロクに出ておらず、1曲終了した時点でいきなりピットインタイムに突入。

マーク“マー君”ハドソンの、かなり上達した日本語トークや、ヴァディム・プルジャーノフのジャズ風なKeyの即興で間をつなぐも、いささか不完全燃焼かつ微妙な空気になってしまったことは否めない。

優に1曲分はあったであろうインターバルを経て、「Heros Of Our Time」でショウが再開。果たして削られた曲は何だったのか(「Fury Of The Storm」か「Seasons」か「Cry Thunder」ではないかと推察)。

サウンドは終始無駄に高音が出ていて薄っぺらく、今ひとつ。パフォーマンスも初めて彼らを観たLOUD PARK06の時ほどグダグダではないが、個人的に観た中ではベスト・パフォーマンスだった09年の来日公演の仕上がりには程遠い感じで少々残念でした。

とはいえ「Through The Fire And Flames」から「Valley Of The Damned」というラスト2曲での盛り上がりはかなりのものでした。このバンド、エクストリーム系ではないのに(ある意味エクストリームですが)サークル・ピットができるんですよね。支持層が若いということなのかもしれませんが、このテンポに合わせてのサークルって、全力疾走なんじゃないでしょうか…。皆さんよく倒れませんね…。


CARCASS
HELLOWEENはもう何度も観ているし、本日一度もサブステージに足を運んでいないので、DRAGONFORCE終わりでサブステに移動。

当初はここで友人と合流する予定でしたが、友人がNAPALM DEATHのときに最前列まで行けてしまったので、このまま最前列で観るとLINEで連絡してきたので、私は後ろの方で見物。

途中から観たCARCASS、ギターが二人とも背格好が似ていて、どちらもブロンドの長髪のため、遠目からだと見分けがつかない(苦笑)。ドラムもなかなかイケメンさんで、フロントマンであるジェフ・ウォーカー(Vo / B)が一番汚い(失礼)ルックスというのが笑える。

ライブ・パフォーマンスそのものに関しては、演奏・サウンドとも申し分なく、文句なしにカッコいい。

ただ、最前列にいるという友人が映らないか、ついついモニターを見てしまいがちだったこと、そして何より、私の斜め前で終始曲に合わせて(?)不思議な踊りを踊っている人がいて、そちらにもついつい目を奪われてしまったため、残念ながら充分にショウに集中できていたかというとそうは言えないというのが正直な所です(苦笑)。


HELLOWEEN
CARCASS終わりでメインアリーナに駆けつけると、サシャ・ゲルストナー(G)のギター・ソロ・タイムでした。

その後「Future World」に「I Want Out」という、大好きではあるものの正直聴き飽きた曲がプレイされて終了。アンディは結構声が出ていたのではないかと思います。

後でメドレーの一部ではあるものの、私の大好きな「Sole Survivor」をプレイしたと聞いて、もっと早く戻ってくればよかった…と後悔の念に苛まれました。


MEGADETH
記念すべき第10回目の開催ということで、初回と同じSLAYERとMEGADETHというヘッドライナーになりました! と強調しているものの、最新号の『BURRN!』のインタビューを読む限り、当初予定してたヘッドライナーがNGになったため彼らに落ち着いた…というのが真相っぽいMEGADETH。

脱退したクリス・ブロデリック(G)とショーン・ドローヴァー(Dr)の後任にキコ・ルーレイロ(G : ANGRA)とクリス・アドラー(Dr : LAMB OF GOD)を迎えるという衝撃の人事で話題性はあり、来年1月に発売されるニュー・アルバムを前に観てみたい気持ちはありました。

残念ながらクリス・アドラーは本日帯同しておらず、誰だかわからない人がドラムをプレイしていましたが、キコ・ルーレイロはちゃんといる。意外と違和感がないのは、もはやMEGADETHのギタリストって何代目だよ、という感じになってしまっているからでしょう(苦笑)。

ショウは「Hunger 18」でスタート。名曲ゆえ当然の盛り上がりと言いたいところではありますが、1曲目が始まる前からサークル・ピットが形成されたSLAYERと違い、サークル・ピットやモッシュは起こっていない。音楽性の違いと言ってしまえばそれまでだし、別にサークル・ピットやモッシュの有無が必ずしも盛り上がりを意味するわけでもないが、トリだというのになんとなく寂しい。

とはいえ6曲目の「She-Wolf」でようやくピットが発生。近年、容色も歌声も衰えが顕著なデイヴ・ムステインではあるが、まあ何とか歌えている(ここ数年の例にもれずキーは下がっているが)。

キコ・ルーレイロはやはり正確無比のプレイを披露しているが、特に彼自身の色が出ているという印象はなく、やはり「お仕事」をしている観は否めない。どこかでちょろっとANGRAのリフとかフレーズとか絡めてくれればきっと盛り上がったと思うのですが、きっとそういうスタンドプレイはデイヴに怒られるんでしょうね(苦笑)。

直前にリリースされた、新ラインナップによる新作「DYSTOPIA」からのニュー・シングル「Fatal Illusion」はプレイされず、キャリア全体のグレイテスト・ヒッツ・ショウに徹した感じですが、そんな中でわざわざ最新作「SUPER COLLIDER」からTHIN LIZZYのカヴァーである「Cold Sweat」をプレイしたのは意外でした。

終盤の「Peace Sells」および「Holy Wars... The Punishment Due」では、ラストスパートとでも言うべきサークル・ピットが発生し、2日間に渡るフェスティバルの終幕に相応しい盛り上がりを演出していました。

さすがにトリと言うべき隙のないライブでしたが、演奏の背景に流れているドラマ仕立ての映像、何だか既視感あるなー、と思っていたら、昨年のSUMMER SONICで観たものがそのまま使われていました。いや、演出が共通なのはいいのですが、最後にメンバー紹介カットがあり、それが前メンバーのままなのはいささか興ざめでした(苦笑)。


昨日に比べるといささか人が少なく感じたのは、サブステとメインで上手く人がバラけたからなのか、あるいは実際本日は人が少なかったのか(個人的には2日目の方がラインナップが充実していると思うので理解不能ですが)、どちらなのかわかりませんが、いずれにせよ例年と比べても盛況の部類と思われ、いい形で10周年を飾れたのではないかと思います。

これが保守的なラインナップで出演バンドをまとめた効果なのか、あるいは一部で囁かれるBABYMETALによってメタルへの注目度が上がった結果なのかわかりませんが、この分ならとりあえず来年も開催されることは確実でしょう(?)。

LOUD PARK 06がもう10年前と言われると、時の流れの速さに慄然としますが、10年間皆勤できたという事実にはある種の達成感もあります。皆勤ということ自体にこだわるつもりはありませんが(というか不可抗力もあると思うので)、できればこれからも参加し続けたいですね。何だかんだ言って、個人的には年で一番楽しめるイベントなので。

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LOUD PARK 15 一日目の感想

いよいよやってきたメタラーにとって年に一度のお祭り、LOUD PARK。

例年仕事が忙しく、前日も終電やタクシー帰りで、なかなか1バンド目から行くこともままならないことも多かったのですが、今年は翌日が祝日ということもあり、いつも翌日に取っていた休みを前日にして、フル充電で出陣。

というわけで例年の異なり、オープニングアクトの開演15分前には会場に着いていたのですが、例年と異なっていたのは私だけではなく会場側も然りで、これまで見たことのない行列ができていました。こんなに奥の方まで回されたのは初めてです。

結局入場に30分以上かかり、入場したときにはオープニングアクトであるFRUITPOCHETTEのライブは最後の曲になっていました(それを場内ではなく通路で聴いた感じです)。積極的に観たいとまでは思っていませんでしたが、観られるものなら観ておこうと思っていただけに残念です。

朝食としてケンタッキーのチキンフィレサンドとビールを購入し、とりあえず荷物と上着を置きに指定席へ。MCのサッシャ氏が注意事項などをしゃべっている。

2、3曲UNITEDを観て、本日最初の目的であるGALNERYUSが出演するKINGDOM STAGEへ。メロディック・メタルのイメージってやっぱり王国とかそういうファンタジー的なものなんですかね。だとしたら発端はやはりHELLOWEENの「KEEPER OF THE SEVEN KEYS」、そしてBLIND GUARDIAN、ダメ押しがRHAPSODYなんでしょうね。

ここさいたまスーパーアリーナでの3ステージが初めての人(本日同行していた友人とか)は「サブステの入口どこだよ」と、入場の際にもらった不親切な地図(タイムテーブルの裏)を凝視していましたが、私は前回を経験してるので行き方がわかっているので問題ない。

KINGDOM STAGEは日が差し込む空間なので明るいのがメタルのライブとしては不似合いだが、まあWACKENなんかの野外フェスもそうなのでさほど問題はない。

GALNERYUS
仮にもメジャー所属のバンドということもあり、サブステージの1バンド目としては充分オーディエンスが集まっている。このKINGDOM STAGEのMCは、かつてサッシャ氏が別件で来れなかった際にMCをやっていたDJ BOO氏。彼のMCに導かれてショウが始まる。

現在のラインナップにおける代表曲と言っていいだろう「Destiny」で幕を開け、楽器隊各人の超絶技巧が炸裂する間奏パートで一気に会場がヒートアップする。楽器のテクニックによってオーディエンスを盛り上げることができるというのはやはり凄い。

小野正利のヴォーカルはちょっとフラット気味で絶好調とは言えなかったが、さすがのハイトーンを随所で披露していたし、ユーモアを交えたMC(これがゆえにGALNERYUSのライブというのはメタル・バンドというよりはJ-ROCKっぽい印象があるのですが)も会場の雰囲気を和やかにしていました。

12月にコンセプト・アルバムとなる新作を発表し、上海・香港・台湾といった海外を含むツアーを行なうという案内からプレイされた新曲「Raise My Sword」がまた彼らに期待される要素が凝縮された素晴らしい曲で、新作に対する期待も高まるステージでした。


OUTRAGE
KINGDOM STAGEはバンドとバンドの間が空くので、なんとなくもったいないな、という貧乏性な考えからいったんメインアリーナに戻って、その時プレイしていたOUTRAGEを観る。

このバンドもこのLOUD PARKの常連になりつつあるので何度か観たことがありますが、観るごとによく言えばシブ味が出ているというか、ちょっと悪く言えば枯れてきているような印象があって、ロック・バンドとしてはともかくメタル・バンドとしてはどうなんだろうなあ、という気がします。

個人的に一番観たい彼らの曲で、時折プレイしているらしい「Blind To Reality」を今回も観ることができず残念でした。


HOUSE OF LORDS
SLAYERの単独公演のサポートで話題になっていたGOJIRAを2曲ほどチェックして、再びKINGDOM STAGEへ移動。

このバンドは、毎回新作が出るたびにYouTubeなどでMVをチェックしては「悪くないけど、買うほどでもないかな…」と思ってスルーしてしまい、アルバムを通して聴いたことがなかったので、この機会にちゃんと聴いてみたいと思っていた。

3曲目の「Go To Hell」から観ましたが、意外と80年代残党組にありがちなロートル感がなくていい意味で驚きました。典型的なメロハー曲ばかりではなく、ちょっとヘヴィでミステリアスな感触のある曲や、土臭いアメリカンな曲も魅力的に聴かせられる実力は本物。このフェスではあまり聴くことのできないラブ・バラードもしっかり楽しませてくれました。

ジェイムズ・クリスチャンのハスキーなヴォーカルが上手いことは以前から承知していましたが、こうして生で見て観るとサウスポーのギタリスト、ジミ・ベルの強引なまでに弾き倒すシュレッドと、パワフルなドラマー、B.J.ザンパによる手数の多いフィルインが、凡庸なメロディアス・ハードになりそうな所でスパイスとなって効いていました。

主役である(?)ジェイムズの歌声も想像以上にエモーショナルな表現力があって、これでオッサン体型でなければ完璧だったのですが(笑)。

いや、本当に期待以上によかったです。今更過去のアルバムをチェックしてみようかな。せめて日本語版のウィキペディアができるくらいには人気出てほしいです、ホント。


ANTHEM
HOUSE OF LORDSが終わると、メインアリーナには戻らずそのままKINGDOM STAGEにとどまり、パエリアやソーキそばなど、昨年までの会場にはなかった飲食の屋台を物色。一番体力がつきそうな豚の味噌焼き丼をオーダー。

その後ぼちぼちANTHEMが始まりそうなタイミングで上手(かみて)側前方に移動。PAブースのちょっと前くらいに陣取る。

ANTHEMを観るのはLOUD PARK07以来で、森川之雄が歌うANTHEMを観るのは初めて。アルバムを聴いて森川の方が安定感があるのはわかっていたので歌唱については心配していなかったが、キャラ立ちという点ではどうか? と確認するような気分で観ていた。

森川時代の楽曲中心の選曲になるかと思いきや、1曲目が「Steeler」、続く2曲目は「Bound To Break」と予想を裏切る(しかしなかなかアツい)立ち上がり。新旧織り交ぜた選曲のバランスもよく、プレイも相変わらず全力投球・完全燃焼といった気迫があって気持ちのいいライブでした。

危惧した通り、森川之雄はルックス的にも坂本英三ほどの華はなく、MCやパフォーマンスもやや紋切型でしたが、このバンドは意図的にメタルのステレオタイプを演じようとしている節があるので(?)、余計なスタンドプレイやバンドイメージにそぐわないMCをしない森川の方が「柴田美学」には適しているのかも。

森川ANTHEMで個人的に一番好きな「Hunting Time」が聴けなかったのは残念でしたが、「Venom Strike」が聴けたのは嬉しかったですね。新しいアルバムからの曲も過去の曲と比べて聴き劣りするどころか、むしろトップクラスにいいんじゃない? と思えたあたり、このバンドの底力をあらためて思い知らされるライブでした。


HAMMERFALL
BACKYARD BABIESはともかくTESTAMENTはちょっと観たかったのですが、レア度も加味すると本日一番観たいバンドはHAMMERFALLだったので、そのままKINGDOM STAGEで待機。

前回観たのは2003年なので、もう干支が一周していることに気付いて思わず遠い目。当時のメンバーは既にヨアキム・カンス(Vo)とオスカー・ドローニャック(G)しか残っていない。

新作からの「Hector’s Hymn」でショウがスタート。このバンドの場合、欧州パワー・メタルの代表格的なバンドにもかかわらず、ライブにおける音圧みたいなものはやや軽めで、下手をするとギターが1本しかない(それもさほど攻撃的なプレイヤーではない)ANTHEMよりも迫力がない。

ライブ・パフォーマンス自体も伝統的なHMの流儀に則ったもので、何か特に斬新な要素があるわけではない(というかむしろ保守本流)のだが、その「様式美」具合がなんともメタル者の琴線に触れるのも確か。あまり聴き込んでいないアルバムからの、曲名が思い出せない曲であっても、サビまでいけば「ああ、この曲知ってるわ」と思い出すことができるキャッチーな楽曲の魅力もあって、自然と気持ちが高揚してくる。

気付くと結構な人数が集まっており、しかも皆積極的にメロイック・サインを高らかに掲げ、楽曲やMCに対する反応もすこぶる士気が高い。失礼ながら、彼らって日本でこんなに人気あったっけ? とちょっと訝しく思ってしまったほど(苦笑)。メンバーも欧州では考えられない早い時間での出演ながら、まんざらでもなさそうだ。

「Renegade」と「Let The Hammer Fall」を除くと比較的新しめの楽曲が多かったと感じましたが(インストをプレイしていたときに、「Dragon Lies Bleeding」のサビメロが挿入されましたが)、「Bushido」なんかは日本を意識してセットリストに組み込んでくれたのでしょうか。個人的にはフルの「Dragon Lies Bleeding」や「Heeding The Call」が聴きたかったですが、この短い持ち時間では「Hearts On Fire」が聴けただけで御の字ですかね。

ようやく日本でも彼らがパワー・メタルの大物であることが認知されたのか…と感慨深いものがある(なんせ2003年の来日公演ではNOCTURNAL RITESとの豪華カップリングにもかかわらずクアトロがソールドアウトしなかったのですから!)大盛り上がりのステージでした。気持ちよく盛り上がれるピュア・メタル・ショウで、KINGDOM STAGEに集うようなメロディ派の人で失望した人はほとんどいなかったのではないかと思います。

彼らのライブ終わりで再び現れたDJ BOO氏が、34キロのダイエットに成功したという、まあ凄いと言えば凄いのですが、正直このフェス的にはどうでもいい話を披露していました。


ROYAL HUNT
引き続きKINGDOM STAGEに滞留し、ちょっと立ち疲れしていたので疲労回復のためにパエリア屋で売っていたチョコバナナクレープを注文。注文してからバナナを切って作り始めるので注文してから出てくるまで時間がかかるが、生クリームもチョコソースもかなりリッチに入れてくれて満足度が高かった。コーヒーが欲しかったですね(笑)。

「今ならドリンク冷えてますよー! いやいつでも冷えてるんですけど!」というオフィシャルバーのお姉ちゃんたちの掛け声に苦笑しつつ、途中での離脱を想定して後ろの方でROYAL HUNT待ち。HAMMERFALLよりROYAL HUNTが後に出てくるフェスなんて日本だけだろうな、などと思いつつ、個人的にはそれで助かったわけですが。

そしてROYAL HUNTをしばし鑑賞。「The Misson」で始まり、「Half Past Loneliness」、「River Of Pain」と観て4曲目の「Tearing Down The World」の途中でKINGDOM STAGEを後にしました。

とにかく今回印象的だったのはやはりD.C.クーパーですね。あの歌舞伎でいう見栄を切るというか、戦隊モノのヒーローを思わせるステージ・アクションは相変わらずちょっと気恥ずかしくもカッコいい。

歌声も絶好調で、伸びのあるハイトーンの切れ味は以前SILENT FORCEで観たときよりも冴え渡っていた気がします。

ただ、個人的な意見として言っておきたいのは、「PARADOX」は完成度の高いコンセプト・アルバムで、日本で高く評価されたアルバムですが、個々の楽曲は暗くてそれほどキャッチーではないので、ライブではファーストからサードまでの楽曲をやってくれたほうがデビュー時からのオールド・ファンとしては嬉しいよ、ということですね。


CHILDREN OF BODOM
同行していた友人がこのバンドを観たがっていたのと、それに続くARCH ENEMYの場所取りの意味を含めてメインアリーナへ戻る。しかし、その時メインアリーナはトリの時間かと思うほどの大盛況で、ANTHRAXがプレイしているULTIMATE STAGE側のアリーナには下りることさえままならない。

仕方ないのでしばらく待っているとANTHRAXの出番が終わり、燃え尽きた人たちが続々場外に出てくるのを待ってアリーナへ。後方ブロックの前方でARCH ENEMY待ちをしつつCHILDREN OF BODOMも見える位置をキープ。

CHILDREN OF BODOMのショウは単独およびLOUD PARKで何度も観ているが、近年はどうも今一つ高まらない。最初に観た2003年の頃のようなテンションが今の彼らにはないから、というのもあるが、客観的に観れば今でも彼らのパフォーマンスは充分にカッコいい部類で、個人的に高まらない理由は一重に選曲によるものだろう。実際「Hate Me!」がプレイされたときはかなりアガったので。

「Lake Bodom」が聴けたのは嬉しい誤算だったが、「ARE YOU DEAD YET?」以降の楽曲についてはどれも今一つアツくなれないのは、単に趣味の問題か、それとも彼らのソングライティング力が衰えているのか、こればかりは客観的に判断できません。

途中、日本語でかなりのロングトークを披露したヤンネ・ウィルマン(Key)の日本語力はなかなかのもの。「ドモアリFuckin’ガトー」ばかりのアレキシにも見習ってもらいたいところです(笑)。その際、脱退したローペ・ラトヴァラ(G)の穴を埋める形でプレイしていたサポート・ギタリストのアンティ・ウィルマンが「これは、僕の弟のアンティです」と紹介されていたが、サポート・メンバーということもあってか本日は非常に地味な扱いでしたね…。


ARCH ENEMY
我が心の師、カイ・ハンセン率いるGAMMA RAYがKINGDOM STAGEでプレイしている時間帯ですが、私はGAMMA RAYとARCH ENEMY、どちらのライブも複数回観た結果、ライブについては圧倒的にARCH ENEMYが良い、という結論が出ているので迷わずこちらを選択しました。

そして何と言ってもARCH ENEMYと言えばLOUD PARK名物。

ほぼ毎年出演しているのはマイケル・アモット(G)であってARCH ENEMYではありませんが、やはりこのLOUD PARKの顔的なバンドをひとつ選ぶとしたらこのバンドなのではないでしょうか。

昨年に続きトリ前(昨年は不幸な事件によって実質トリになりましたが)で出演した彼らは、今回10回目を迎えるLOUD PARKのためにオリジナル・ヴォーカリストであるヨハン・リーヴァ、そして現在は脱退しているクリストファー・アモット(G)をゲストに迎えたスペシャル・ステージを披露するという話題で盛り上がっていました。

とはいえ個人的にはジェフ・ルーミズ(G)を迎えたラインナップでのライブを観るのも初めてということで期待しており、新旧ラインナップで「一粒で二度おいしい」(このフレーズの元ネタを知っているのって何歳くらいまでなんだろう…)状態。

オープニングが「Yesterday Is Dead And Gone」というのは個人的にはやや微妙だったが、その後「Burning Angel」、「War Eternal」という曲の並びで一気に盛り上がり、「Ravenous」で最初の頂点を迎える。サウンドはイマイチだが、本日のこの会場ではいい方か。それでもジェフ・ルーミズの正確無比なプレイは際立っている。

昨年のLOUD PARKではアリッサ(Vo)の髪の色は深めのブルーでしたが、本日はちょっとターコイズブルーのような明るい色になっており、なんだかちょっと初音ミクを思い出しました(笑)。最近Web上のコミコンとかのレポート記事でよく見る「海外のコスプレイヤー」みたいというか。

パイロやスモークもバンバン使っていて、ステージ背後のビジョンにはリリック・ビデオなどが映し出される豪華仕様。完全にトリ並の待遇だったと思います。

その後「Stolen Life」を挟んでいよいよ本日のお楽しみ、ヨハンとクリスの登場タイム。ヨハンはだいぶ老けた写真を見たことがあったので不安だったが、いざ登場してみるとARCH ENEMY在籍時とほとんど変わらない印象(むしろちょっと垢抜けていたような。白髪染めたんですかね?)。

「Eureka」とか「Pilgrim」とか「Angelclaw」といったちょっと変化球気味の曲も聴きたかったですが、「Bury Me An Angel」に「Immortal」というごく順当な選曲。まあそれはしょうがない。クリスは脱退してからさほど経っていないこともあってか、いたって普通にプレイしていた感じでしたが、ヨハンはやはり晴れ舞台に立ってなんだか嬉しそうで、声もちゃんと出ていました。

一方佇まいがどうにもアングラで、ヨハンがこのままフロントマンをやっていたらARCH ENEMYの今の地位はなかっただろうな、とも思ってしまいましたが。

その後新しめの曲を中心にセットリストは進み、名曲「Nemesis」で締めかと思いきや、最後に再びヨハンとクリスが登場、今度はアリッサとジェフもそのままステージに残った「全員集合」状態で「Fields Of Desolation」をフル演奏。7人で演奏する意味はそれほどなかったと思いますがなんだか豪華で、もう本日終了かと思うほどのクライマックス感がありました。お腹いっぱいです。


SLAYER
指定席を取っていたにもかかわらず、結果的に本日はほとんど立ちっぱなしだったので体力の限界を感じ、ようやく席に戻って座っての鑑賞。幸いにして本日の指定席はSLAYERの出演するBIG ROCK STAGE側である。

席に戻る途中、ドリンクチケットを使っていないことに気が付いたのでオフィシャルバーに立ち寄ってビールと引き換える。ビールを飲みながらSLAYERなんて最高じゃありませんか?

しかし、疲れているときに座ってアルコールを飲んで爆音に身を浸すとどうなるか、ご想像いただければわかると思いますが、たちどころに眠くなってきます。朦朧とした状態でステージを見ていると、5回くらいヘドバンした後にギターのネックを前に振るケリー・キングの妙に規則的な動きが早送りで動く人形のように見えてきてなんだか催眠術にかけられている気分(笑)。

結局3曲ともたずに寝落ちし、途中「War Ensemble」のタイトルコールや「Chemical Warfare」といったよく知っている曲でハッと目覚めるも、断続的に眠りに落ち、目覚めると「Hell Awaits」をプレイしていました。その後「ラブソングだ」というMCから「Dead Skin Mask」がプレイされるとまた睡魔が襲ってきたのですが、「Raining Blood」のイントロで再び覚醒する。

思い起こせばLOUD PARK06でも、二日目に疲労の限界で立ちながら意識が遠のいていた私の意識を呼び戻したのはこの「Raining Blood」の不穏極まりないイントロでした。今でもこの曲を聴くと2006年の幕張メッセで大観衆の向こうに見える彼らの光景がまざまざと脳裏に浮かびます。

06のように「Raining Blood」で締めかと思いきや、そのまま「Black Magic」につながり、「South Of Heaven」へと続き、オーラスは名曲「Angel Of Death」でした。このタイミングでステージのバックにハイネケンのロゴっぽいデザインに「ハンネマン」と描かれたイラストが出現し、ジェフ・ハンネマンへの弔意が表現される。

ここに泣きのギターでも被せれば本当は効果的なのでしょうが、そういう湿っぽいことはせず、容赦ないスラッシュ・サウンドが展開されるあたりがSLAYERのSLAYERたるゆえんですね。1曲目から出現していたサークル・ピットも、もはやサークル(円)とは呼び難い、なんだかわけのわからない形になって蠢いており、これはこれで上から観ていて圧巻でした。

しかし、ショウの半分近く寝落ちしていた私が言うのもナンですが、ゲイリー・ホルト(G)のギター・ソロ、アルバム音源と全然違くないですか? まあジェフ・ハンネマンもアルバム通りに弾いている感じではなかったので「ライブではテキトーに弾く」というのが「SLAYERの正解」なのかもしれませんが。

「Angel Of Death」が終わると、例によってトム・アラヤ(Vo / B)が丁寧に「ドウモアリガトウ。オヤスミナサイ」と告げてショウが終わる。あらゆる余韻も感傷も吹き飛ばす、帝王ならではのステージでした。