ALCHEMY CRYSTAL / 志鋼の扉

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都内を中心に活動する、コーラス専任メンバーを含む5人組のデビュー・ミニアルバム。

中心人物であるHAL(G)は沢田泰司(B:元X, LOUDNESS, DIRTY TRASH ROAD他)の晩年の活動のひとつだったTAIJI with HEAVEN'Sのメンバーでもあった人物。

それ以外のメンバーも高度な音楽的訓練を受けた、インディーズでの活動実績のあるメンバーばかりで、演奏力は高い水準で安定していて安心して聴くことができる。

DrのKeisuke Tsuboiは、VOMIT REMNANTSというデス・メタル・バンドで、欧米を中心に活動していた(日本人のバンドなのにウィキペディアは英語版とドイツ語版のみ存在している)実績もあるようだ。

音楽的にはメロディック・パワー・メタルという形容が一番近いと思われ、そのKeyサウンドをフィーチュアし、クラシカルなエッセンスを漂わせつつもギター・オリエンテッドなサウンドは、歌詞がオール日本語であることもあいまって、日本語詞で歌っているときのGALNERYUSを彷彿させることもある。

メタル然とした楽曲からバラードまで、どの曲においても、起承転結の明確な練られたギター・ソロは聴き応えがある。

ただ、このバンドを凡百のメタル・バンドと一番差別化しているのは、ヴォーカルのスタイルで、声楽科を卒業していると聞くとさもありなん、というクラシックっぽい(テノールとかバリトンとかそういう感じのアレ)朗々とした、シャウトやスクリームをしない歌唱は、このバンドの大きな個性と言えるだろう。

もちろん個性というのは往々にして諸刃の剣なので、このヴォーカル・スタイルが受け付けない、というリスナーもいるかもしれないが、日本のインディー・メタル・バンドでは貴重な歌唱力の持ち主であることは確かだろう。

このクラシカルなメタル・サウンドとヴォーカル・スタイルが、日本語であることもあって時折VERSAILLESのようなV系メタル・バンドを連想させることもあり、そういうバンドを好むリスナーには受け入れやすいかもしれない。

本作のラストを飾る#6「不滅花」という曲を聴いていて、その曲名もあって、ふとRaphaelがメロディック・パワー・メタル・スタイルのまま成熟したらこんなサウンドになっていたかも…などと思ったり。

自主制作盤としては音質も良好な部類だが、Drのトリガー・サウンドがやや人工的なのが個人的にはちょっと気になる。

なお、蛇足ですが、中心人物であるHALさんは当サイトの記事を多分全てご覧いただいている読者様とのことで、本作の制作にあたって当サイトの記事内容なども参考にしていただいたとのことです。

◆ALCHEMY CRYSTAL公式サイト
http://xththys.wix.com/alchemy-crystal

◆本作収録「誇り高くあれ」PV

ギター・ソロの美味しい所で終わってしまうので、続きは音源で(笑)。


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GAUNTLET / ARISING FOR THE FAITH

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福岡のメロディック・パワー・メタル・バンドのシングルCD-R。

バンドとしては2010年から活動を開始し、何度かのメンバーチェンジを経つつ、これまでに2枚のミニアルバムを発表している。

ライヴなどもある程度コンスタントに行なっているようだが、変わったところでは昨年10月にZepp Fukuokaにて行われたゴールデンボンバーFCツアーの福岡公演にて樽美酒研二扮するナルシス研二のバックバンドを務めたこともあるという。

1月31日に発売された本作は、ヴォーカルがこれまで発表した音源で歌っていた人物から、この音源で歌っているYUTAにメンバー・チェンジして以来初の音源となる。

音楽性はいわゆるメロディック・パワー・メタルで、Voの雰囲気が似ていることもあってYAMA-B在籍時のGALNERYUSやMinstreliXなどを彷彿とさせるが、楽曲自体はより海外の同系バンドのそれに近いものを感じる。

まだメンバーは20代前半と若いにもかかわらず、なかなか演奏のレベルも高く、それでいて若さならではの勢いが感じられる力強いサウンドは聴いていて非常に気持ちがいい。

新たに加入したシンガーの歌唱も、ビブラートのかけ方がややナルシスティックで好き嫌いが分かれるかもしれないが、声域・声量とも非凡なものがあり、このバンドのサウンドを世界で勝負できるポテンシャルに押し上げている。

現在ベーシストが不在で後任を探しているようですが、早くメンバーを補充し、活発な活動とフル・アルバムの制作を期待したいと思います。

大きなお世話かもしれませんが、日本でこの手の音楽をやる限りGALNERYUSとの比較は避けられない中、「GA」から始まるバンド名は余計にGALNERYUSフォロワー的な印象を強めてしまうような気がしてちょっと損してしまうような気がします。

◆本作タイトル曲「Arising For The Faith」[YouTube]

VIGILANTE / OF INSANITY AND JUSTICE

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日本を代表するプログレッシヴ・メタル・バンドと言っても過言ではないであろうVIGILANTEの、2010年の「RETROSPECTIVE INTO CHAOS Vol.1」(ライヴ会場限定販売の、過去楽曲のリメイクEP)以来2年ぶり、純粋な新曲マテリアルという意味では2008年のアルバム「IV」以来となる新音源EP。

このバンドは1988年に結成されていたそうだが、私がその存在を認知したのは彼らのファースト・アルバムである「CHAOS- PILGTIMAGE」が1998年にリリースされ、BURRN!誌でも高く評価されていたのを目にしたときである。

そして日本発のプログレッシヴ・メタルということで興味を持って聴いてみると、これがハイレベルで驚いた。楽曲も練られているし、もちろんこの手のジャンルに挑むだけあって演奏力も高く、何よりヴォーカルが日本人離れしたハイトーンを聴かせているため、パッと聴きでは欧米のバンドかと錯覚するほどだった。

プログレッシヴ・メタルというと誰もが思い浮かべるDREAM THEATER的な要素もありつつ、どちらかというとそのDREAM THEATERに影響を与えたであろうFATES WARNINGを思わせるその楽曲は日本のメタル・バンドにありがちな歌謡曲臭は皆無で、そのことが「本格感」につながると同時に、バンドの音楽的ポテンシャルに相応しい商業的成功への壁になっているような印象を個人的には抱いていた。

そもそも日本ではプログレッシヴ・メタルというジャンルそのものが、ただでさえ大きくはないメタル・マーケットの中でさえマイナーな存在であり、そういう環境の中、結成から20年以上の長きに渡ってある程度コンスタントに活動してきただけでも敬意を表するに値する。

その後彼らはプログレッシヴ・メタルとしての基本線はそのままに、VICIOUS RUMORSあたりを思わせるパワー・メタル的なエッジを強化、近年ではエクストリーム・メタル的なリフ・ワークやデス声の導入など、モダンな攻撃性の導入にも意欲的な姿勢を見せている。

そして本作もEPゆえ収録曲は3曲と少ないながら、これまでの流れを汲んだ「VIGILANTEの最新型」を凝縮した内容に仕上がっている。

パワー・メタリックな#1、モダンな感触の#2、ドラマティックな#3と、楽曲のタイプは異なりつつ、とにかくどの曲にもエナジーとアグレッションが漲っており、プログレ云々を差し置いても聴き応えがある。

中でもプログレッシヴなリフ・ワーク、デス声、モダンなグルーヴ感、叙情的でスケール感のあるサビと、様々な要素が混在しつつも5分半程度にまとめた#2はまさに現在のVIGILANTEのスタイルを凝縮した一曲と言えるだろう。

私は一度だけ彼らのライヴを観たことがあるが、本作に収録された楽曲はいずれもライヴで映えるであろうことが容易に想像できる楽曲ばかりである。

本作をディスクユニオンで購入すると12曲入りのライヴDVDが特典として付いてくる(数量限定)そうなので、ご興味のある方はお早めに。

◆VIGILANTEの公式サイト
http://vigilantemetal.com/


DIAMOND / AWAKENING TO FLY

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2007年4月に北海道札幌市でギタリストのDAIKIを中心に結成された4人組。メンバー・チェンジを繰り返しつつデモ音源のリリースや、道内を中心としたライヴ活動を続け、本作は2011年4月に揃った現ラインナップによる初のアルバム作品。

アルバムといってもiTunes Storeを通じてリリースされるいわゆる「デジタル・アルバム」で、これまでのマテリアルからメンバーによって6曲に絞り込まれた、ミニ・アルバム・サイズの作品である。

基本的な音楽性はメロディック・パワー・メタルにカテゴライズされるものだが、エッジの効いたギター・ワーク、前のめりな突進力のあるドラミングもあって、より剛直なパワー・メタルという印象。北海道出身で、Voが女性であることもあって、久保田陽子在籍時のSABER TIGERを目指しているのかと思わせる瞬間もある。

もっとも、本作で歌っているINは同じ女性といっても久保田陽子のような圧倒的な歌唱力でリスナーをねじ伏せるタイプではないので、最近の若いリスナーにはむしろ先日脱退したRami在籍時のALDIOUSに近い印象を持つ人もいるかもしれない。

収録された6曲は結成以来のレパートリーから厳選されただけあってどの曲にもフックがあり、飛翔感のあるサビが印象的な疾走チューン#1、個人的には本作のベストと思える、これまたスピード・チューンの#2でツカミはOK。

翳りのあるメロディと起伏のある展開で聴かせる#3も聴き応えがあるし、ヘヴィなリフをフィーチュアしつつ、サビでは流麗なメロディを聴かせる#4におけるギター・ソロは本作の白眉といえる。

ピアノをフィーチュアしたパワー・バラードの#5はX JAPANのようなクラシカルな路線というよりはGLAYなどのもっとメジャー志向のJ-ROCKバンドを思わせるメロディで、パワフルな楽曲が大半を占める本作にアルバムとしての起伏をつける役割を担っている。

そしてアルバムの最後を力強く締める#6は本作で最もストレートな突進力に満ちた疾走曲で、効果的に使用されたKeyが楽曲のテンションを高めている。

ソングライターであるDAIKIは、パワー・メタリックな疾走感にこだわりつつも、時にV系にカテゴライズされるバンドからの影響も感じさせる、日本人ならではのメロディ・センスによって楽曲にフックを作り出し、そのギター・ワークも、荒削りながら随所で煽情的なフレーズを聴かせ、楽曲を引き立てている。

惜しむらくはヴォーカルの弱さで、リズム感、ピッチともに不安定な、お腹から出ているとは思えない細い歌声が、楽曲の魅力を引き出し切れていないのは明らか。今後の精進が望まれる。

全体的にはまだまだ荒削りで、E.Z.O.やSABER TIGERのような、同じ北海道から全国的な知名度を得たバンドの背中は遠いものの、暗黒の90年代を経て、00年代以降徐々に充実の度合を増しつつある日本のアンダーグラウンドなメタル・シーンの「厚み」を感じさせてくれる、まさにダイアモンドの原石のような作品である。

◆DIAMONDのMySpace(本作のサンプル音源あり)
http://www.myspace.com/diamondjapan/

◆DIAMONDの公式サイト
http://diamondjapan.web.fc2.com/

DRAGONLANCE / CHAPTER OF SKYLAND

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都内を中心に活動するメロディック・スピード・メタル・バンドの7作目の音源となる5曲入りEP。

5曲入りといっても、#1、#3、#5はインストのため、実質的には2曲入りのシングルに近い。

とはいえ、プロローグと銘打った#1、エピローグと銘打った#5は、ギタリストの及川氏があるファンタジー・ボイス・ドラマ用(?)に作曲したマテリアルをアレンジし直して収録したというシンフォニックな楽曲で、映画やRPGゲームのサウンドトラックのようなスケール感のある楽曲に仕上がっている。

20秒程度の短いインタールード的な楽曲である#3は、彼らの初音源である2002年発表の「HOLY BLOOD」のデモ版のオープニングだった曲とのこと。

タイトル曲である#2「Chapter Of The Skyland」は2000年の1月、#4「Definition Of Honor」は1998年4月に作曲されたものだそうで、10年以上前に書かれていた曲のようである。

当時はまさにメロディック・パワー・メタルという音楽が全盛期で、北欧やイタリアなどから次々とマニア心をくすぐる魅力的なバンドがデビューしていた時期で、本作に収められたサウンドはその当時のサウンドを思い起こさせるもの。

個人的には、シンフォニックなKeyをフィーチュアした疾走感あふれるそのサウンドは、バンド名の類似もあってか、初期のDRAGONLANDに近い印象を受けた。

ブックレットによると#2「Chapter Of The Skyland」は中心人物である及川氏によると「いつか形にできる状態が整ったら形にしたい」と長年温めていた楽曲だそうで、緊張感あふれるイントロから、強力な疾走を聴かせつつ、中間部やエンディングのインスト・パートにおいてプログレッシヴな要素も感じさせるドラマティックな曲。

もう一方の歌入りの楽曲である#4「Definition Of Honor」はかの有名なアーサー王伝説に登場する聖剣エクスカリバーをモチーフにした楽曲だそうで、疾走しつつもドラマティックに展開する歌メロが聴き所。

ちょっと全体的に1つの楽曲にメロディを詰め込もうとし過ぎていて、どこがサビなのかわからなくなるメリハリの不足が気になるものの、この手の音楽が好きな向きであればくすぐられるメロディや展開が随所に登場し、楽しめる。

Voはなかなか強力なハイトーンの持ち主だが、高音域がややヒステリックに響くため、好き嫌いが分かれるかもしれない。

なお本作はデビュー当時からこのバンドに関わっている、日本のプログレッシヴ・メタル・バンドVIGILANTEのギタリスト大本浩史氏とバンドの共同プロデュース。

そして現在正式メンバーを欠いているベースとドラムにはそのVIGILANTEのベーシストである海野真とドラマーである藤野隼司をゲスト・プレイヤーに迎えている(VIGILANTEのメンバーにレコーディングの参加を仰いでいるのは今回が初めてではないようだ)。

キャリアも10年以上に及び、シングル7枚分のマテリアルもあり、しかも過去の音源の多くははほぼ手困難のようなので、キャリアを総括するフルアルバムの制作が待たれる存在である。

◆本作のプロモーション映像 [YouTube]


◆DRAGONLANCE公式サイト
http://sound.jp/dragonlance/