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映画『ボヘミアン・ラプソディ』感想

今更ですが、大ヒット中の映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観てきました。2日連続で。

2日とも東京ミッドタウン日比谷にあるTOHOシネマズ日比谷で、昨日の土曜日に最新・最高の音響設備であるドルビー・アトモスで1回目を、そして本日の日曜日に「応援上映」で2回目を観てきた次第です。

とはいえ実は私はQUEENの大ファン、というほど熱心なファンでもないのですが、アルバムはあらかた聴いたことがあるし、当時の上司がファンだったので、新宿コマ劇場で上演されたミュージカル、『ウィ・ウィル・ロック・ユー』も2005年と2006年の両方観ています。

この映画のタイトルである「Bohemian Rhapsody」や、そのミュージカルのタイトルである「We Will Rock You」なんて、あまりに個性的過ぎて、もはや好きとか嫌いとかいう領域を超えて耳に、記憶に、心に残ってしまうとんでもない曲です。

THE BEATLESなどと共に、史上最も伝説的なロック・バンドのひとつだけに、恐らくこれを超えるロック・ムービーというのは今後なかなか出てこないだろう、ドルビー・アトモス上映や応援上映が行なわれる音楽ムービーが(私の興味の持てるジャンルで)どれだけ出てくるだろうか、と考えると、2日連続鑑賞というイレギュラーな行動に出たのもやむを得ないことでしょう(?)。

ストーリーについては、伝記ものなのでネタバレもクソもないというか、このブログを読むくらい音楽を愛している人なら、当然QUEENのヒストリー的なものはなんとなくは知っていると思いますし、そもそも公開から1ヶ月経っている大ヒット映画なので皆さんご覧になっているでしょう。

フレディのバックグラウンドが軽く描かれた後、QUEENのメンバーおよびメアリーとの出会い、QUEENの成功とから、フレディの孤独感による迷走と、バンドメンバーとの衝突、そして和解からのLIVE AIDという流れは、多少の脚色(LIVE AIDの前の活動停止状態は完全に史実とは異なるが)や時系列の変更はあれ、基本的に実話ベースなので、「プロが考えた作り話」である一般的な映画ほどにドラマティックなわけではない。

とはいえやはりロック好き、特にバンド経験者にとっては共感できるシーンも多くて興味深いし、何と言っても役者が演じているとは思えないライブ・シーンの迫力は見事なもので、ラストのLIVE AIDのシーンは否が応でも感動させられてしまう。

極論すれば、それまでのエピソードは全て最後のLIVE AIDのシーンで感動するための材料だったのではないか、という気さえするんですよね。観客は徐々に温められて、最後のステージで沸騰する、という仕組みです。

そしてドルビー・アトモスは期待通りの素晴らしい音響で、かつて『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』を観た時以来の極上音響でした。

翌日の「応援上映」はドルビー・アトモスではなかったわけですが、まあ新しい劇場だけに充分いい音ではありました。違いがわからないというほど耳が肥えていないわけではありませんが。

「応援上映」を観るのは初めてなので、どんなものかとやや身構えて最後列で観ましたが、開演時(あの20世紀FOXのジングルがQUEENっぽいギター・サウンドで鳴らされる)に拍手が起こり、あとはライブ・シーンでサイリウムがチラホラ振られたり、手拍子が起こったりという程度(あとは演奏シーンが終わると拍手が起こる)で、てっきり大合唱が起こるのかと思っていたのでちょっと拍子抜け。

まあ、隣の人の微妙な歌声(かどうかわかりませんが)を聴かされるのもアレなので、ある意味安心しましたが…。

これは日比谷という民度の高いエリアの劇場だったからおとなしかったのか、それとも公開から1ヶ月経って、本当に熱心なファンはもう気が済むまで観終わっていて来場していないからなのかは不明です。大合唱だった、という劇場もあるんでしょうか。

私は割と空気を読む方なので、ほどほどに手拍子するにとどめておきました(笑)。

「QUEENの映画」というよりは「フレディ・マーキュリーの映画」ではありますが、70年代・80年代は現役のバンドとして人気があり(当時を知る人によればやや色物っぽい存在感だったようですが)、90年代はフレディ・マーキュリーの死によって伝説になり、2000年代はドラマの主題歌で大ヒット、そして2010年代はこの映画が大ヒットと、この50年間で最も継続的に日本人の関心を集めた海外のロック・バンドはQUEENだったと言えるかもしれません。

そもそもQUEENってこのサイト/ブログで扱うようなHR/HMアーティストなのか、という疑問を持つ方がいそうなくらいにビッグで伝説的な存在になっているわけですが、まあハード・ロックだった時期がある、あるいはハード・ロック的な楽曲がある、ということは言えると思いますし、少なくともハード・ロックの要素があったことは間違いないと思うので、このサイト/ブログで扱うべきアーティスト、映画であると考えています。

ということで、万が一HR/HMではないので興味がない、などと思っている方は上映しているうちに映画館で観て、その音楽の持つエネルギーを感じていただきたいと思います。

細かい話ですが、『ウェインズ・ワールド』のウェイン役だったマイク・マイヤーズが「Bohemian Rhapsody」に難癖をつける役で出演しているのは、きっと偶然ではないのでしょうね(笑)。

なお、この『ボヘミアン・ラプソディ』についてのエントリーの前のエントリーがイタリアの「ラプソディ」についての内容になっているのは偶然です(笑)。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』公式サイト



こちらはオリジナルのLIVE AIDにおけるQUEENのステージですが、これを観るといかに映画が「完コピ」であるかということがよくわかります。




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映画『スパイナル・タップ』感想

なぜかオリジナルの公開(アメリカ)から34年経った中途半端なタイミングで日本初劇場公開されている『スパイナル・タップ』を新宿武蔵野館で観てきました。

ヘヴィ・メタルと何かしらの形でゆかりのある映画というのはぼちぼちあるのですが、映画としてマトモに評価されているのは『アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち』とこの作品くらいのものでしょう(あと強いて言えば『ウェインズ・ワールド』?)。

今日はたまたま仕事が早く切り上げられたから21時の回を観に行ったのですが、「映画の日」でチケット代が1000円だからか、上映開始から既に2週間以上経った平日夜の回にもかかわらず半分以上の席が埋まっている。

内容については、ロキュメンタリー(ロック・ドキュメンタリー)を装ったモキュメンタリー(モック・ドキュメンタリー=ニセのドキュメンタリー)で、架空のバンド「スパイナル・タップ」のツアー・ドキュメンタリー的な内容になっている。

基本的にアメリカ人と日本人のユーモア・センスというか笑いのツボは異なるので(当時日本公開されなかった理由のひとつだろうと思われる)、アメリカ人ほどに本作で笑える日本人は少ないと思われるが、ボリュームの目盛りが11まであるアンプ、発注時に単位を間違えてミニチュア・サイズで出来上がってしまったステージ・セット、楽屋からステージまでの導線で迷子になるメンバーなど、劇場内でも笑いが起きた、わかりやすいシーンも結構ある。

しかし、本作が特にミュージシャンに高い人気を得たのは、ヴォーカリストとギタリストの確執、やたら交代するドラマー、トレンドに合わせて節操なく変わっていく音楽性、メンバーの彼女がバンド活動に口出ししてきてメンバー間の仲が悪くなることなど、当時の「バンドあるある」な話が盛り込まれていたからだという。

DOKKENのジョージ・リンチはこの映画を観て「自分たちの映画だ」と思ったそうだし、オジー・オズボーンやディー・スナイダー(TWISTED SISTER)も楽屋からステージまでの導線で迷子になったことがあるという(笑)。

極めつけは、METALLICAのメガ・ヒット作である『ブラック・アルバム』のアートワークは、本作で描かれる彼らの真っ黒なジャケットのアルバム『SMELL THE GLOVE』へのオマージュだというエピソードが、本作のHR/HM界隈への影響力を示す最たるものだろう。

その『SMELL THE GLOVE』が真っ黒なジャケットになった理由が、「オリジナルのアートワークがあまりにスキャンダラスだから」というのも、SCORPIONSのファンを筆頭に、レコード会社との軋轢エピソード含めて、歴の長いHR/HMファンなら「あるある」な話だと思うことだろう。

ネタバレながら本作のラストは大成功の日本公演で幕を閉じるのだが、欧米では「終わった」バンドが、日本だけで人気がある、みたいな現象も含めて、「ロックあるある」な話であると個人的には強く感じさせられた。

冒頭でも述べた通り、本作は純粋に映画として高く評価されていて、映画史に残るカルト映画的なポジションを確立している。その辺の話はウィキペディアでも読んでいただくとして、本作が「メタルな映画なのか?」ということこそがこのブログの読者の方にとっては重要なことだろう。

ただ、残念ながらその問いに対しては「否」と答えざるを得ない。

確かに本作は基本的にHR/HMバンドのモキュメンタリーである。何度も映し出されるライブ映像シーンで演奏される音楽は、本作が制作された1984年当時、まさに人気絶頂を迎えようとしていたHR/HMと思しきサウンドである。

だが、本作で描かれているのはそういう人気絶頂のHR/HMに対する風刺やパロディであって、ジョークとユーモアに貫かれている。

それに対して、私が愛しているHR/HMという音楽は、いかに傍から見て滑稽であろうと、その音楽世界は決してジョークではなく「マジ」なのであり、「マジ」であるからこそアツい魅力に満ちているのだ。

とはいえ、現実社会に生きる人間としてHR/HMのカッコよさと滑稽さの紙一重な部分は認識しておくべきだし、単純に映画として面白かったりするので、HR/HMファンの一般教養(?)としてこの機会にご覧になってはいかがでしょうか。

ちなみに、私はDVD持ってるのに観に行きました(笑)。

映画『スパイナル・タップ』公式サイト

※映画館内の展示風景
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映画『サラエボの叫び』感想

久々に映画の感想です。

シネマート新宿で6月9日から1週間限定上映されている映画『Scream for Me Sarajevo(サラエボの叫び)』を観てきました。

IRON MAIDENのヴォーカリストとして知られるブルース・ディッキンソンが、93年に一度IRON MAIDENを脱退した後、ロイ・Z(TRIBE OF GYPCIES)と共に制作した"BALLS TO PICASSO"(1994)リリース後に、当時ほぼ無名な若いメンバーと結成したSKUNKWORKS。

この映画はそのSKUNKWORKSのメンバーと共に94年、内戦中のユーゴスラヴィア(当時)の都市サラエボで行なったライブにまつわるドキュメンタリーである。

『アンヴィル!~夢を諦めきれない男たち~』の成功以降、メタル・バンドのドキュメンタリー映画みたいなものがやたらと制作・公開された時期があったが、近年はそれも落ち着き、『We Are X』を除くと個人的には久しぶりの「メタル映画」である。

とはいえ、実は「メタル映画」を期待して観に行ったわけではない。むしろ「戦争映画」を期待していた。

幸いなことに、この文章をお読みになっている方の大半と同様、私は戦争を体験したことはなく、戦争についての知識は本や映画で触れた情報にとどまる。

ただ、そういうメディア越しの情報というものは俯瞰的だったり、あるいは脚色されていたり、そもそも主人公自体が軍人あるいはちょっと特別な存在だったりしてリアリティに欠ける。私のような一般人が現代の戦争に巻き込まれた時にどうなるのか、私が知りたいのはそういうものだった。

これも映画ではあるが、ドキュメンタリーであり、かつハリウッド映画のように多額の予算をかけていないだけに、逆に「演出」のない生々しい「戦争」が垣間見えるのではないかと思ったのだ。

そして実際、現地のメタル・ファンに対するインタビューを中心に構成される映像は、私が期待していたものに近いものではあった。

実際に身近な人間が亡くなったり、自分に被害が及ぶまでは、なかなか「ここが戦場である」という実感が持てなかった、という声などは、きっとそうなんだろうな、と思えるものだった。

一方で、そういう現ボスニア・ヘルツェゴビナの人たちのインタビューが中心の構成というのは、なかなかに地味であり、正直途中で眠くなってしまった瞬間もあったことを告白する。

いや今週割と根詰めて企画書などを作ることが多くて寝不足だったんですよね(言い訳)。

きっとライブのシーンがメインではないのだろう、と予想はしていたが、その予想以上にライブ・シーンは少なく、当時のバンドはIRON MAIDENの曲もプレイしないので、「映画館の音響でメタルが聴ける」ことを期待して観に行った向きには期待外れだったことだろう。

『FLIGHT 666』の映画館上映は最高だったし、IMAXの音響で観た『スルー・ザ・ネヴァー』は、もう一生これ以上の音響でメタルを聴くことはないだろう、と思わせる素晴らしさだっただけに、その点はちょっと残念。

映画の内容に立ち戻ると、多少なりとも国連軍のフォローはあったとはいえ、命の危機がある場所にバンドを連れていくというブルース・ディッキンソンの判断が適切なものだったのかというと、賛否両論あると思う。

バンド自身はもちろん、観客が集まるコンサート会場に、テロリストが一人紛れ込んでいたら、大きな悲劇につながった可能性もあるわけで。

結果論で言えば、ブルースのライブは無事に行なわれ、集まった現地のメタル・ファンを大いに勇気づけたようで、お話としては美しくまとまっているが、個人的には釈然としない部分もあったのが正直な所。

まあ、ロック・バンドなんて無茶をしてナンボという面もあるのは事実で、ブルース・ディッキンソンは頭のいい人だけに、そういう「話題作り」のために敢えてリスクをとったのかもしれません。

結果として、ブルース自身にとって印象深い体験となり、こうして映画のネタにもなったという意味ではリスクをとった甲斐はあったということなのかもしれませんが、SKUNKWORKSは売れませんでしたね…。



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映画『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』感想

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「METALLICAの映画」として話題の『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』を観てきました。

当初は公開初日に観に行こうかと思っていたが、学生時代にメタル好きだった友人2人に声をかけてみると「観たい」というので、予定を合わせて観に行くことにした。

しかし、お互い別の会社に勤める社会人だけに、なかなか日程が合わせられず、公開から2週間が経ってしまった。

メタルの世界ではビッグなMETALLICAとはいえ、一般人にとっての存在感はそれほどでもないだけに、映画の興行自体はパッとせず、東京ではもともと3館しかなかった上映館は2週間目にして2館になっており、社会人の勤務時間後に観られそうなのは109シネマズ木場しかなかった。

その109シネマズ木場の開始時間も、終電までの労働を常とする私にとってはなかなかハードルの高いもので、仕事を振り切るように会社を飛び出し、小走りに移動してどうにか間に合ったという感じだ(途中駅での乗り換えも結構距離があったし、駅からイトーヨーカドーの中にある映画館までもそこそこ距離がある)。

友人のうち一人は先に着いていたが、もう一人は15分ほど遅れるとのことだったので、先に館内に入り、着いたらケータイに連絡をもらって迎えに出ることにした。

いくつかの予告編が上映された後、映画が始まる。スペシャルなアリーナ・ライブという設定のもと、ちょっとしたストーリーのイントロの後、バンドの演奏が始まる。

オープニングは「Creeping Death」だ。曲が名曲であることに異論はないが、とにかく音の良さに度肝を抜かれる。

いや、これまで何度かIMAX 3Dの映画は観たことがあって(直近では『パシフィック・リム』で観た)、そのサウンドの迫力は予想していたが、これは予想以上だ。こんなに素晴らしい音響は、実際のライブはもちろん、大型家電店にあるホームシアターの体験コーナーでCDを聴いたときでさえ体験することができなかった。

この曲のプレイ中に遅れてきた友人が来たが、とてもこの曲が終わるまでは迎えに出ることができませんでした(笑)。それほどに衝撃的な音響だった。

この映画には『アメイジング・スパイダーマン2』などに出演していたデイヴ・デハーンが演じるバンドのツアー・スタッフ(いわゆるローディー?)のトリップなる青年が、バンドの大切な荷物を積んだ車がガス欠で来れなくなっているので、ガソリンを届けてこい」というお使いのミッションを受けるストーリーが、バンドのコンサートの裏で展開している。

しかし、正直な所、ライヴ・ビデオを映画として構成するためのアレンジ以上のものではなく、全体的にストーリーが意味不明であり、主人公がほぼひと言もしゃべらないこともあって、ある種ドラマ仕立ての音楽PVのようなもの、という印象を受けた。

とはいえ、ライブを楽しむにあたっての邪魔になるような退屈な映像というわけでもなく、「Master Of Puppets」から「Battery」というショウのハイライトとクロスしているシーンなどはかなりスリリングだった。

日本では大人気アイドルくらいでしか実現しない360度全方位型のステージに、パイロがド派手にバンバン上がり、楽曲に合わせて「MASTER OF PUPPETS」のジャケットを思わせる十字架が生えてきたり、ショウの途中で「…AND JUSTICE FOR ALL」のジャケットに描かれている女神像が組み上げられて崩壊してみたりと、日本ではなかなかお目にかかれない豪華なステージ・セットをIMAX 3Dの迫力で観ることができるというのも見所。

ついでに、ラーズ(Dr)の頭頂部を映し出すことを恐れない(笑)、上方からのアングルも豊富に使用したダイナミックなカメラワークも臨場感と迫力たっぷりで、この映画の狙いだったという「映画館の観客をステージに上げてみる」というコンセプトはほぼ完璧に成功していると言えるのではないか。

上映終了後、遅れてきた友人が「ストーリーがイマイチよくわからなかったんだけど、アタマから観ればわかるの?」と訊いてきたが、それに対しては「大丈夫、最初から観てもよくわからない」と二人で断言できました(笑)。

「バンドの大切な荷物」とは何だったのか、結局明かされませんしね。

まあ、本作に関してはとにかく極上のサウンドでMETALLICAを楽しめる、ということが最大の魅力じゃないですかね。いかにオーディオ・マニアな方でもさすがにIMAX 3Dクラスの音響設備が自宅にある人はまずいないでしょうし(笑)、これはやはりいつかBlu-Rayが出るのを待とう、というような代物ではなく、ライブ同様、実際に映画館に足を運ぶことで一番楽しめるものじゃないですかね。

一部の映画館では12月7日限定で「スタンディングOK、ヘッドバンギングOK、シャウトOK」な「ライヴスタイル上映」が行なわれると聞き、「シャイな日本人が映画館でそんな恥ずかしいことできるのかね?」と思っていましたが、この素晴らしさならむしろ私も立ち上がってアタマを振り、声を出したかったですね。

いつまで上映が続くかはわかりませんが、METALLICAのファンはもちろん、「音が良い」ということはどういうことかを体験したいメタル・ファンにはぜひともIMAX3D上映をしている映画館に足を運んでほしいと思います。

◆『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』日本語公式サイト
http://metallica-never.jp/

◆本作の予告編映像


◆インタビュー&メイキング映像


◆サマソニでコラボ(?)したBABYMETALによるプロモ映像

たしかに「IMAX 3Dで観なきゃダメ、ゼッタイ」ですね。


映画『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』感想

先日、日本武道館で来日公演を行なったJOURNEYのドキュメンタリー映画「ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン」を観に行ってきました。

公開初日である3月16日、18時20分の回という割といい時間で、新宿ピカデリーの中ではあまり大きくないスクリーン5(157席)が8割くらいの埋まり方。あんまりロングランは期待できないかも。

入口でステッカーをもらったけど、場内の観客の年齢層の高さ(40代~50代が大半だと思われる)を考えると、ステッカーなんかもらっても使いどころがないのでは(苦笑)。

基本的には資料映像とインタビューをつなぎ合わせたいわゆる「ドキュメンタリー」で、ANVILのように「映画」として作られた作品という印象はなく、どちらかというとファン向けの作品という感じ。

とはいえ、ファンならずとも現在JOURNEYのフロントマンを務めるアーネル・ピネダの生い立ちや人柄には胸を熱くさせられることはたしかで、「JOURNEYのヴォーカルはスティーヴ・ペリー以外認めない」という人でも、この映画を観て彼に対して悪意を持つことは難しいのではないだろうか。

フィリピンの貧しい家庭に育ち、母親の病死によって、医療費のために住んでいた安アパートを追い出され一家離散、13歳で親元を離れてホームレス生活を送っていた時期があるという、およそ日本ではありえない貧乏のどん底から、40歳にしてアメリカでも屈指のビッグなロック・バンドのフロントマンに抜擢されるという、ほとんどありえないような現代のシンデレラ・ストーリーは、現実でありながら確かにそれ自体映画のようなお話。

しかもそれが自らJOURNEYのヴォーカルになろうとオーディションに応募したというわけではなく、友人が彼の実力を少しでも多くの人に知ってもらおうと、通信環境の悪いネットカフェから1日がかりでYouTubeにアップロードした動画が、シンガーを探していたニール・ショーン(G)の目に留まって、JOURNEY側からアプローチされる、なんていうのがなんともインターネット時代ならではの奇跡。

そして何より胸を打つのは、アーネルの人柄だろう。上記のように貧乏のどん底を経験し、その後麻薬中毒になったり、離婚を経験したり、声が出なくなって医者に歌うことを諦めろと言われるなど、普通の人であれば立ち直れない、少なくとも人格が少しばかりねじ曲がってしまってもおかしくない経験をしていながら、アーネルはあくまでもポジティブで、明るく人懐こい笑顔を絶やさない。

有名なロック・バンドのフロントマンとして毎晩のように何万というオーディエンスの前で歌うようになっても、決して増長することなく、常に謙虚な態度でいることも、これまで苦労をしてきたからこそなのだろう。

この映画を観て、アーネル・ピネダのWikipediaを調べてみると、映画で語られる彼の過去は、やや不幸な面ばかりがフォーカスされている観があり、それは演出上のものだろう。

彼、もしくは彼がフィリピンでやっていたバンドは、フィリピンのメジャー・レーベルに所属していたし、ちょっとしたヒット曲なども出してはいたようだ(そういう経験がなくては、いかに歌が上手かろうとさすがにJOURNEYのフロントマンは務まるまい)。

1990年にはINTENSITY FIVEというバンドで来日して、ヤマハのコンテストで最優秀ヴォーカリスト賞を受賞していた、などというのは、映画中では語られないが、今となっては知る人ぞ知るエピソードだろう。

とはいえ、映画中で彼が「山あり谷ありの人生だった」と語る「山」の部分でさえ、JOURNEYでの活躍に比べれば、子供が砂場に作る程度のもので、JOURNEYでの活躍とは比べるべくもない。

そしてそのJOURNEYでの活動も、決して全てが喜びに満ちているわけではない。彼を認めないJOURNEYファンからの中傷、そして何千何万というオーディエンスの期待を裏切れないというプレッシャー、そして愛する家族と離れ、異国で長期のツアーに出なくてはならないという苦労。

作中でアーネルが睡眠導入剤とステロイド剤をやめられない、とこぼしているシーンがあるが、それはJOURNEYのシンガーというポジションがいかに精神と肉体の両面に負担をかけるものであるかを端的に伝えるものだろう。

さらに、JOURNEYにおいては「アーネル・ピネダ」としての個性は求められず、あくまでスティーヴ・ペリーのクローンに徹しなくてはならないという立場も、考えようによっては辛いことだろう(彼は「その方が仕事として割り切れてよかった」と述懐しているが…)。

この映画中では完全に「なかったこと」にされているが、アーネル・ピネダの前任シンガーだったジェフ・スコット・ソートがバンドに定着できなかったのは、きっと彼にスティーヴ・ペリーのクローンとしてやっていける資質がなかったから、ということなのだろう(むろん、それはジェフ・スコット・ソートというヴォーカリストの力量を否定するものでは一切ない)。

本作をキレイにまとめると「歌を諦めずに、世界レベルの実力を養い続けたからこそ、チャンスをものにできたサクセス・ストーリー」ということになり、それは一面の真実である。

ただ、アーネル・ピネダは別にJOURNEYに加入することを夢見て頑張ってきたわけではないだけに、本人も言っているように「宝くじに当たった」ような話で、このストーリーから何か教訓めいたメッセージを見出そうとしてもいささか無理がある。

とはいえ、そんなものを求めずとも、観て素直に「よかったね!」と思える「いい話」であることは確かで、音楽が好きで、世の中にはまだまだ夢があることを諦めたくない人にはぜひ観てもらいたい映画です。

ところで、本作の終わりに、本作のタイトルにもなっている彼らの名曲「Don’t Stop Believin’」は20世紀の楽曲で最もダウンロードされた数が多い楽曲である、ということが表示されるが、それってマジですか? 楽曲単位とはいえTHE BEATLESやマイケル・ジャクソンを超えているのだとしたらそれは相当すごいことですね。

当サイト/ブログはHR/HMをメインにしているサイトなので取ってつけたように付け足しておくと、HR/HMの中でもメロディアス・ハードと呼ばれるような音楽のファンであれば、そのオリジネイターというべきJOURNEYの名曲群は、ベスト・アルバムでも何でもいいので、ぜひ一度聴いてみてもらいたいな、と思います。

◆映画『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』公式サイト
http://journey-movie.jp/


◆映画『ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン』予告編映像 [YouTube]


◆ラスヴェガスでの「Separate Ways」のライヴ映像 [YouTube]


◆マニラでの凱旋公演における「Don't Stop Believin'」のライヴ映像 [YouTube]