Lonesome_Blue "SECOND TO NONE"(2022)アルバム・レビュー

年初なので(?)、前エントリーのLORNA SHOREに続き、このブログ的には変わり種なものをもうひとつ。
声優としても活躍している野村麻衣子(Vo)と広瀬ゆうき(B)、DESTROSEやDisqualiaといったガールズ・メタル・バンドでの活動歴があり、ソロでも活動する成美(G)、スタジオ/ツアーサポートドラマーとして活動し、真空ホロウというバンドのメンバーでもあるMIZUKI(Dr)によるガールズ・ロック・バンド。
本作は昨年6月にリリースされたデビューEPに続く、ファースト・フル・アルバムになります。
全体的にはHR/HM色の強いポップ・ロック・バンドという感じで、B'zがHR/HMであると感じられる感性の方であればHR/HMと言い切ってしまっていいサウンドだと思います。
声優がヴォーカルというとアニソン・バンドのようですが、アニメの主題歌に起用できそうなキャッチーさはありつつも、声質含め「甘さ」は控えめで、個人的には普通にJ-ROCKとして聴けました。
てか、ヴォーカルはともかく声優がベースって珍しいですね。プレイ的には、やはり元々プロとして活動していた手数の多いドラムのプレイが際立っている印象です。
#5 "Mine"みたいな哀愁歌謡ロックみたいな曲がヴォーカルの声質にハマりがいいような気がしますが、R&Rフィーリングのある曲から軽くラップ風のパートが入るようなモダンな曲、パワー・メタル然とした疾走曲まで、バラエティに富んだ(しかしバラードはない
)楽曲はどれもなかなか高品質。
ちなみにヴォーカルは上智大学中退という英語ができそうな経歴を活かしてか(?)全編英語で、そのせいもあってか海外のメタル・サイトなどでもそれなりに話題に取り上げられている感じで(私がこのバンドを認知したのも海外のメタル・ニュースサイトの見出しでした)、YouTubeのコメント欄なども英語の書き込みが目立ちます。
その辺はLOVEBITESが切り開いた流れなのかなと思いつつ、ちょっと意地悪な見方をすると、海外のメタル・ファンから見たらBABYMETALの亜流的に捉えられるのかもしれません。「メタル×アイドル」とか「メタル×メイド」とか「メタル×声優」のように、メタルとは異質なものの掛け合わせが欧米人にとっては斬新で意外性のある存在に映るのだと思います。
そういうのを「真のメタルとは認めない」という価値観があることは承知していますが、日本のメタルが欧米と差別化していくには、やはりそういうメタルとは異質な要素を掛け合わせていくしかないのではないかという気がします。結局、「真のメタル」路線で欧米に受け容れられた日本のバンドはLOUDNESSという突然変異級の才能を持ち、世界的なメタル・ブームの波に乗ることができたバンドだけだったということを考えると。
ちなみに名前だけ知っていたこのバンドのMVに触れるきっかけになったのは、年末SIGHのレビューを書いた際にMVを確認した際、「SIGHを聴いている方にオススメ」的にYouTubeにリコメンドされたことでした。
YouTubeにとっては同じ「日本のメタル系アーティスト」というカテゴライズだったのだと思いますが、SIGHの川島未来さんなんかはまさにこういうレコード会社に作られたようなバンドをメタルとして認めない筆頭の存在と思われ、AIも人の嗜好を読むことはできても、空気までは読めないんだなと思いました(笑)。
▼デビューEP収録曲で、ヴァイオリニストのAyasaが参加したこの曲、なかなかカッコいいシンフォニック・パワー・メタル・チューンなのですが、やたらとカラフルでファンシーな映像とのギャップが凄いです…。
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