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BONFIRE / LEGENDS

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ドイツの中堅メロディアス・ハード・ロック/ヘヴィ・メタル・バンド、BONFIREによる2枚組カヴァー・アルバム。

なんでまた日本盤も出ないこんな作品を取り上げるのかということですが、まずは選曲を見てください。

DISC1
01. Africa (TOTO)
02. Hold The Line (TOTO)
03. Rosanna (TOTO)
04. Man On The Silver Mountain (RAINBOW)
05. I Surrender (RAINBOW)
06. Stone Cold (RAINBOW)
07. Death Alley Driver (RAINBOW)
08. Black Masquerade (RAINBOW)
09. Burning Heart (SURVIVOR)
10. Eye Of Tiger(SURVIVOR)
11. Caught In The Game(SURVIVOR)
12. Doctor Doctor (UFO)
13. Lights Out (UFO)
14. Rock Bottom (UFO)
15. Child In Time (DEEP PURPLE)

DISC2
01. Jet City Woman (QUEENSRYCHE)
02. Silent Lucidity (QUEENSRYCHE)
03. Eyes Of A Stranger (QUEENSRYCHE)
04. Tears In The Rain (ROBIN BECK)
05. The First Time (ROBIN BECK)
06. Save Up All Your Tears (ROBIN BECK)
07. Hot Cherie (HARDLINE)
08. Dr. Love (HARDLINE)
09. Hallelujah (Leonard Cohen)
10. Rebellion (GRAVE DIGGER)
11. Heavy Metal Breakdown (GRAVE DIGGER)
12. Love Don't Lie (HOUSE OF LORDS)
13. I Wanna Be Loved (HOUSE OF LORDS)
14. King Of Dreams (DEEP PURPLE)
15. Frei Wie Die Geier (PUHDYS)
16. Erinnerung (PUHDYS)
17. Alt Wie Ein Baum (PUHDYS)

まず変わっているのは、普通のカヴァー・アルバムってだいたい1アーティスト1曲であることが大半なのに、各アーティスト2~5曲ずつ収録されているという構成。

そしてDEEP PURPLEやUFOといったロック史に残る大御所から、HOUSE OF LORDSやHARDLINEといったメロハー・マニアしか知らないようなバンドまで、知名度のバラバラさもかなりのもの。

何よりAORのTOTOと、ゴリゴリのパワー・メタルであるGRAVE DIGGERが共存しているという神秘。

この選曲を見て思い出したのが、私が中高生の頃に作っていた「お好みテープ」でした。

21世紀に入ってから物心がついたような若い方には通じないかもしれませんが、90年代までは音楽の複製媒体としてはカセットテープが主流で、当時音楽が好きな人であれば大抵、自分が好きな曲だけを集めたオムニバス・テープを作った経験があるはずです。

まあ、今でいう「プレイリスト」ですね。

『BURRN!』誌の編集後記における「編集部員が今月聴きまくる10曲」も、元々はその感覚から始まっていました。

お金のない学生時代、友達とCDの貸し借りなどをして集めた音源から、カッコいいと思った曲だけを集めたテープというのが、こんな感じの節操のない選曲になりがちでした(笑)。だって友達みんな音楽の趣味がバラバラですからね。

そんな懐かしさで思わずポチってしまったわけですが、その選曲も、各バンドの代表曲を集めているようで、RAINBOWから「Death Alley Driver」や「Black Masquerade」なんかをセレクトしているあたりにグッと来る。

個人的にはどちらも名曲ですが、あまり代表曲扱いはされないし、カヴァーされている例も寡聞にして見たことがありません。

どうやら調べてみると、このカヴァー・アルバムは「バンドが影響を受けた曲を集めた」という、カヴァー曲によくある趣旨のものではなく、BONFIRE & FRIENDS名義による A NIGHT WITH ROCK LEGENDSというツアーをプロモートするために作られたアルバムのようです。

そのイベントはこのアルバムに収録された曲を歌っているボビー・キンボール(TOTO)、ジョー・リン・ターナー(RAINBOW/DEEP PURPLE)、デイヴ・ビックラー(SURVIVOR)、フィル・モグ(UFO)、ジェフ・テイト(QUEENSRYCHE)、ジョニー・ジョエリ(HARDLINE)、クリス・ボルテンダール(GRAVE DIGGER)、ジェイムズ・クリスチャン(HOUSE OF LORDS)といったヴォーカリストがBONFIREをバックにこれらの曲をプレイする、というツアーのようです。

これまでバンドと共作したことがあるとか、一緒にツアーをしたことがある(多分ドイツ・ツアーの前座をBONFIREが務めた、ということではないかと思われます)など、何かしら縁があってのことのようですが、腐っても全米No.1や全英No.1を歌ったことがある人を含むこれだけの人数を11月の2日から21日に渡ってほぼ3週間ブッキングするというのは結構なパワープレイですね。BONFIREのメンバーないしはマネージャーのコミュ力がハンパない、ということなのでしょうか。

SURVIVORの「Burning Heart」はデイヴ・ビックラー時代の曲ではありませんが、その辺は楽曲の知名度を優先させたということなのでしょうか(笑)。

しかし、ジョー・リン・ターナーがDEEP PURPLEに在籍していたからといって、自身が歌った「King Of Dreams」はともかく「Child In TIme」をやるのはさすがにどうなんですかね。これは単にBONFIREのメンバーがやりたかっただけなのでしょうか。

ちなみにPHUDYSというのは1965年から2016年まで活動していた、旧東ドイツを代表するベテラン・ロック・バンドのようです。

ジェフ・バックリィのカヴァーでも有名なレナード・コーエンの名曲「Hallelujah」は、ジョニー・ジョエリがAXEL RUDI PELLでカヴァーしていたから選曲されているんでしょうね。

ロビン・ベックは80年代にコカ・コーラのCMに使用された「First Time」が西ドイツ(当時)のチャートでNo.1に輝く大ヒットを記録し、ドイツでは「一発屋」としてその世代の人には知名度が高いようです。

とまあ、そんな小ネタを語るには事欠かないアルバムなわけですが、本作では歌も含めてBONFIREがプレイしており、多様性に富むこれらの楽曲を非常にソツなくプレイしており、特にシンガーの上手さ、器用さに舌を巻きます。

そして単純に名曲揃いなので、BGM的に流していても楽しめる一枚となっています(二枚ですが)。この選曲を見てオッと思うような人には安心してオススメできますが、本当は若い人に聴いてもらって、気に入った曲のオリジナルにさかのぼってもらいたいアルバムです。

※ツアーの告知映像

だいぶ再生回数少ないですが、集客は大丈夫なのでしょうか。






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Unlucky Morpheus / CHANGE OF GENERATION

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元LIGHT BRINGERのFuki(Vo)と現GALNERYUS / THOUSAND EYES のFumiya(Dr)が在籍し、ヴァイオリニストも擁するメロディック・スピード・メタル・バンド、Unlucky Morpheusが結成10周年の節目に発表したフル・アルバム。

元々は東方Project(ゲーム)の音楽のメタル・アレンジをする同人サークルとして誕生したプロジェクトながら、現在はオリジナルを中心に活動しているようなので、もはや「バンド」と言っていいだろう(「同人」という言葉の定義には幅があるが、個人的には制作物が二次創作であるか否か、が同人活動か、一般的な創作活動かを分けると考えている)。

中心人物であるギタリストの紫煉(旧名:平野幸村)はX JAPANをきっかけにANGRA、RHAPSODY、SONATA ARCTICAといったバンドに傾倒したという私に非常に近い音楽遍歴を持っており、それだけにこのバンドの音はズバリ私の琴線ど真ん中のサウンドを叩きつけてくる。

ちょっとゴシックというか、ヴィジュアル系っぽい暗い叙情性を、シンフォニックなアレンジに包んで、クサいメロディが猛然と疾走するそのスタイルは、私が20代前半くらいの頃に求めていた音楽スタイルそのもの(個人的嗜好から女性ヴォーカルは想定していませんでしたが、もちろんFukiの歌声は素晴らしい)。

スピード・チューンを中心に、ヘヴィな曲、美麗なバラード、テクニカルなインストなども織り交ぜ、しかし統一された世界観を感じさせるサウンドの完成度は見事の一言。

過去作品のリメイクや、別プロジェクト(FREEDOM CREATORS)への提供曲の再録も含んだ、まさに集大成的、ある種ベスト・アルバム的な趣さえある密度の濃い作品に仕上がっている。

この手の音楽として、ほぼ完璧と言っても過言ではない仕上がりながら、個人的な思いを言わせてもらうと、天外冬黄ことFukiのヴォーカルは明るいメロディでその魅力が最大化すると思っているので、それは活かしてほしかった。

と言っても、このプロジェクトに明るい曲はもちろん求めていないのだが、現状のように徹頭徹尾マイナー調で責め立てるのではなく、要所要所に明るいメロディを取り入れることで、コントラストによって哀愁がさらに引き立ち、楽曲のスケール感が増すのではないかと期待している。

アルバムタイトルに、過去曲のリメイクである"Change Of Generation"を持ってきたのは、メタルのジェネレーション(世代)を変えてやる、という意気込みを表している、というようなことを先日のDOLL$ FESTAのステージで言っていました。

たしかに現在メタルのオーディエンスというのはアラサーからアラフィフあたりが中心となっており、音楽としてはどう考えても若者向けであるにもかかわらず、若い世代に対する求心力を失っているのは事実。

まあ、それは今でもメタルというジャンルの「顔」として君臨しているのが80年代以前にデビューしたアーティストばかりなので、ある意味やむを得ないことではありますが…。

彼らの音楽が新しい世代のファンの開拓、そして新たなメタル・ヒーローの誕生の呼び水となることを心から期待しつつ、いかに優れた作品を作ろうとも、それにはまず広く聴いてもらわないことには始まらないんだよなあ…と、我々の世代(90年代に思春期・青春を送った世代)を「開拓」したB'zやX JAPANの偉業に思いを馳せてしまう今日この頃です。【90点】




ちなみにこの楽曲のモチーフは『Fate/stay night』で、歌詞にもそのタイトルが密かに織り込まれている。


個人的にFukiの衣装とメイクはこの曲のMVがベストですね(どうでもいい)。

CREYE / CREYE

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2015年にギタリストのアンドレアス・ガルストランド(元GRAND DESIGN)を中心に結成されたスウェーデンのメロディアス・ハード/AORバンドのデビュー・アルバム。

本作以前にリリースされたEP「STRAIGHT TO THE TOP」(2017)がマニアの間で話題になっていたバンドで、もはや大手といっていい『Frontiers Music』が契約したのも頷ける上質なAORサウンドを聴かせてくれる。

上記のEPではART NATIONのアレクサンダー・ストランデルが歌っていたが、本作ではALIENの初代シンガーだったジム・ジッドヘッドの息子(!)だというロビン・ジッドヘッドがヴォーカルを務めている。

スティーヴ・ハリスの娘や息子、ブルース・ディッキンソンの息子などもそれぞれメタル・ミュージシャンとしてデビューしていますが、いよいよHR/HMの世界も二世が幅を利かせる時代になったのでしょうか。

そのロビン・ジッドヘッドの歌声は父親に比べてやや線が細く、客観的にはアレクサンダー・ストランデルの方が高く評価されるのかもしれませんが、個人的にはこのバンドのサウンドにはマッチしていると思う。

とにかくピュア80'Sというサウンドで、楽曲・サウンドとも洗練を極めており、ロックが元々持っていた持つ無骨さ、泥臭さ、猥雑さが完全にろ過消毒されたクリーンなサウンドであり、そこに北欧ならではの哀愁を漂わせた甘いメロディが乗るのだから、もはや「爽やか」と形容していいほどの清涼飲料水的音楽。

こういうサウンドを軟弱なものとして忌避、あるいは蔑視する人も多いと思いますが、個人的にはこういう方向にロックが進化し続けなかったことでロックはポップ・ミュージックの王道から転落し、R&BやEDMにメインストリームの座を明け渡すことになったのではないかと思っています。

そう、80年代までロックは洗練・大衆化に向かい、実際大衆に支持されていたのです。それが90年代に入り、グランジ/オルタナティブ革命によって70年代以前のサウンドに揺り戻されてしまった。

それはある意味ロックの原点に立ち返る動きで、一部にそういう動きがある分にはよかったと思うのですが、ロック・シーン全体がそうなってしまった結果、ロックから子供が聴いてもわかるような大衆性は失われてしまった。

原点回帰、それは古き良き時代を取り戻すということである一方、一面では「退行」であり、少なくとも「大衆的なわかりやすさ」が減退したことは間違いない。

まあ、ロックとは元々そういうアンチ・コマーシャリズム的なスピリットを内包しているものだったのだから、このバンドの音楽のように完全に毒を抜いて聴きやすい商業性を推し進めること自体、ある意味「自ジャンル否定」的な無理、いわばアイデンティティ・クライシスを内包していたのかもしれません。

しかし個人的には(というか世代的に)自分が意識的に音楽を聴き始めるようになる以前に、テレビやラジオ、そして街角などで自然に親しんでいたタイプのサウンドなので、どうしても心惹かれてしまうのです。

さらに個人的な思い入れを語るなら、このバンドが多用するKeyサウンドがまたツボなんですよ。こういう人工的でスペーシーなキラキラしたサウンドは、大いなる宇宙へと飛躍する輝かしい未来をイメージさせて、なんとも希望を感じるんですよね。

そういう希望に満ちた幸せな未来を信じられた最後の時代が80年代だと思うんですよね。今となってはそれは「誤解された未来」であり、80年代を実体験していない人にとってはこのやたらと大仰な輝きを放つサウンド自体、時代錯誤でレトロフューチャーな感覚なのかもしれませんが…。

個人的には今年のベスト・メロハー作ですね。とはいえここで書いた文章に共鳴しない人は点数を真に受けないほうがいいかもしれませんが(笑)。【87点】








MICHAEL ROMEO / WAR OF THE WORLDS, PT.1 [EXPLICIT]

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SYMPHONIY Xのギタリスト、マイケル・ロメオのソロ名義としては1994年の『THE DARK CHAPTER』以来となるアルバム。

マイケル・ロメオといえばシーン屈指のテクニカル・ギタリスト、『THE DARK CHAPTER』がそうであったようにギター・インストものであろうと勝手に思い込み、あまりマークしていなかったが、ほぼ全曲歌入りであると聞き、興味を持って聞いてみた。

そしたらこれがかなりナイスな仕上がり。個人的にはなんでこれをSYMPHONY Xでやらないの、というのが最初の感想だった。

H.G.ウェルズの科学小説『宇宙戦争』をテーマにしたコンセプト・アルバムの第1弾という、ロメオらしいちょっとオタク的なテーマ設定もあり、所々『す、スター・〇ォーズのサントラ?』みたいな印象の箇所もあるが(笑)、そのテーマの壮大さが音楽のスケール感に結び付いている。

イントロである#1のシンフォニックなオーケストレーションからして「そうそう、これこそ「SYMPHONY X」というバンド名に期待されているものでしょ!」と膝を叩いてしまった。

続く#2「Fear The Unknown」が美しいサビ・メロを備えたスピード・チューンという時点で既に傑作認定してしまいそう(笑)。

本作で歌っているリック・カステラーノなるシンガーの声はラッセル・アレン(SYMPHONY X)にそっくりで、ラッセルほどガナり立てないので聴きやすい。楽曲自体が近年のSYMPHONY Xよりメロディアスなので必然的にガナらず丁寧に歌っているということなのかもしれない。

しかし、SYMPHONY Xの初代ヴォーカリストだったロッド・タイラーも力量的にはともかくタイプ的にはラッセル・アレンと似たような声質だったし、マイケル・ロメオにとってはこういう声が「理想の声」なんでしょうかね。

ちなみにベースはBLACK LABEL SOCIETYのジョン・ディサルヴィオが、ドラムはTNTやRIOT、YNGWIE MALMSTEEN、ジェイムズ・ラブリエのソロなど数々のバンドでの活動実績があり、ジェイソン・ルロ(Dr)が体調を崩していた時期にSYMPHONY Xのツアーに代打で参加していた経験のあるジョン・マカルーソがプレイしている。

音楽性自体もSYMPHONY Xと同系統のヘヴィでネオクラ風味のあるプログレッシヴ・メタルを基本に、ダブステップのような新しい音楽の要素を取り入れた#4「F*cking Robot」(実はこの曲のヴォーカル・パートのメロディが一番耳に残った)や、#6「Believe」におけるSYMPHONY Xではあまり見られない明るめのメロディなどが、孤高の世界観を持っているがゆえに、ファン以外には単調に聞こえがちなサウンドに上手く起伏を作っている。

アルバムの終わりがややクライマックス感に欠けるのは続編が控えているからなんでしょうね。「PT.2」自体はもうほぼほぼ出来上がっているようですが、完成した本作をしっかり受け止めてからリリースするということなので(リアクションによっては多少アレンジなどを変えるつもりがある、ということでしょうか?)、すぐには出ないようです。

マイケル・ロメオとしては、通常のSYMPHONY Xのアルバムよりもオーケストレーションが派手にフィーチュアされているということで「ソロ・アルバム」にしたのかもしれませんが、これくらいならSYMPHONY X名義でリリースしても許容範囲というか、むしろ日本のファンなどは歓迎だったりするのではという気がするのですが…。

欧米ではSYMPHONY Xの「ヘヴィ・サイド」こそが評価されているということなんでしょうかねえ…。たしかに欧米で売れるようになったのはヘヴィさが目立つようになってからですが。

てか、これの日本盤が出ないってのが解せぬ。HR/HMはソロ名義のアルバムは売れない傾向があるとはいえ、このクオリティの音楽で日本盤が出ないのはもはや社会問題ではないでしょうか。【85点】





PRIMAL FEAR / APOCALYPSE

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もはやドイツを代表する正統派ヘヴィ・メタル/パワー・メタル・バンドと言っていいであろう、PRIMAL FEARの通算12枚目となるフル・アルバム。

前作『RULEBREAKER』(2016)からメンバー交代はなく、マグナス・カールソン、アレックス・バイロット、トム・ナウマンのトリプル・ギター体制で制作されている。

元々キャリアのあるメンバーによって結成されたバンドなので、デビュー作の時点からあらゆる面において高い水準に達していたバンドだが、ここ数作の充実ぶりは、もはや「安定感がある」などという、ベテランにありがちな形容ですまされるべきレベルではなく、特にここ3作については毎回「最高傑作なのでは?」と感じさせられているのだから舌を巻く。

事前にMVが公開されていた#4 “King Of Madness”や#8 “Hounds Of Justice”で今回も間違いのないアルバムを届けてくれそうだと予感していたが、その予感を上回るクオリティをアルバム全体として感じさせてくれるのだから、このバンドのポテンシャルは底が知れない。

個人的にはやはりイントロダクションである#1 “Apocalypse”に続く#2 “New Rise”が彼らの楽曲の中では必ずしも主流ではないメロディック・スピード・メタル然とした疾走曲なのがポイント高い。こうしてのっけから気分を上げてくれるアルバムはやはり印象がいい。

余談ながら海外(カナダ)のレビューサイトで、この”New Rise”が弱いのでオープニング曲を変えるべきだった、という意見を見かけ、世の中にはやはり色々な感性があるものだと感じさせられました。

その後も彼ららしいソリッドなメタル・ナンバーを核に、ややキャッチーな味わいの曲から、ドラマティックなバラード、エピカルな曲まで、正統派ヘヴィ・メタルという文脈の中で許される充分なバラエティがあり、そのいずれも高品質なのだから、自分のバンドでメイン・ソングライターをやっていたレベルのミュージシャンが複数いるバンドはやはり強い。

どうでもいいですが、8分におよぶエピック・チューン#10 “Eye Of The Storm”のイントロはHELLOWEENの”A Million To One”を思い出させますね。

デラックス・エディション収録の3曲のボーナス・トラックも、アルバム本編から外れた理由はなんとなく理解できるものの、それぞれ単体で充分に聴く価値があるクオリティの楽曲で、ファンであれば必携だろう。

また今回バラードの#6 “Supernova”が悲壮美に満ちていてとても良いのですが、これまた日本盤ボーナス・トラックである「オーケストラ・ヴァージョン」が原曲に輪をかけて素晴らしくて、こちらを本編に収録した方が良かったのでは、と思ってしまいました。

なお本作は本国ドイツのチャートで10位と、バンド史上初のTOP10ヒットを記録。特に話題性や新しさなどなくても、その質にちゃんと評価がついてきているというのが素晴らしいですね。【88点】