LOUDNESS / RISE TO GLORY -8118-

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DEEP PURPLEやALICE COOPER、DEF LEPPARD、FOREIGNERといったクラシック・ロックから、GAMMA RAYやSTRATOVARIUS、ANGRA、DRAGONFORCEといった当サイト/ブログ御用達(?)のパワー・メタル系アーティスト、THE BRAND NEW HEAVIESにINCOGNITOといったアシッドジャズまで、幅広いアーティストが所属するドイツの『ear MUSIC』から世界同時発売される、LOUDNESSの通算27作目のフル・アルバム。

アルバム・タイトルに付いている「8118」というのは、彼らのデビューが1981年で、現在が2018年、という所から来ているのでしょう。

ここ数年、『THUNDER IN THE EAST』30周年に始まる限定盤の発売や、それに伴うメモリアル的なニュアンスの強いライブを行なってきた関係か、あるいは海外のフェスにおいても求められている楽曲が80年代のクラシックであるということを肌で感じたせいか、本作では1992年の『LOUDNESS』以来、最も80年代的といっていいサウンドが展開されている。

無駄な(?)ヘヴィさはなく、ソリッドでメリハリの効いたギター・リフをメインにしつつ、ヴォーカル・ラインも近年稀にみるメロディ重視の姿勢が感じられ、「高崎さん、本当にやりたいことやってますか?」と逆にこっちが心配になるほど(笑)。

まあ、とはいえ90年代以降のエッセンスも入っているし、80年代回帰な部分については久方ぶりのワールド・ワイド・リリースということで、ファンのニーズに当てに行ったものだとしても、実際それで私は楽しめているのだから文句はないのですが。

高崎晃のギターもギンギンで、本人をして「今世紀に入って一番弾いた」と言わしめる、間奏の域を超えたフラッシーなテクニカル・プレイが満載で、その点においてもファンの留飲を下げることだろう。

先に「無駄なヘヴィさはない」と書きましたが、そう、LOUDNESSは「ラウドネス」であって「ヘヴィネス」ではないのですよ。彼らのライブを体験した人であれば、彼らのライブがエクストリーム・メタル系のバンドと比べてもラウドであることは実感しているはず。

そういう意味で、本作のサウンドは正しく「ラウドネス」であり、個人的にはやはりこのサウンドこそがこのバンドに求められているものだと思うし、追求すべき音だとも思う。正直90年代以降のこのバンドの音って、若いバンドに張り合って無理しているようにも映りましたからね。

惜しむらくは「Crazy Docter」や「Crazy Night」のようなキラー・チューンに欠けることで、本作に満足しきれない要素があるとすれば、そこかなぁ。まあ、デビューから40年近いキャリアを重ねている人たちに全盛期と同じマジックを求めちゃいけないのかもしれないんですが。

随所に「おお、このリフ・パターンは…」「この展開は…」と往年の名曲を想起させる瞬間があったりして、私のように80年代のサウンドにしか思い入れのないファンが聴いても楽しめる作品に仕上がっていることは間違いないんですけどね。【84点】

◆本作収録『Soul On Fire』のMV


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EPICA vs ATTACK ON TITAN SONGS

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オランダの人気シンフォニック・メタル・バンド、EPICAが、日本の人気アニメ(コミック)『進撃の巨人』の楽曲をカヴァーした企画EP。

なぜにEPICAが日本のアニメ楽曲をカヴァーしたのか、その辺の経緯が不明だが、オリジナルのLINKED HORIZON(SOUND HORIZONがタイアップ曲をプレイする際に使用する名義)のサウンドにはシンフォニック・メタルからの影響が明確に感じられるので、音楽的な親和性はある。

とはいえ、LINKED HORIZON/SOUND HORIZONの主宰であるRevoのクリエイトする楽曲に比べるとEPICAの音楽というのは重厚さの強いもので、果たしてどこまでマッチするのか、好奇心半分で聴いてみた。

結論から言うと、さすがにキャリア・実力とも申し分ないポテンシャルを持つバンドだけに、オリジナルの魅力を生かしつつ、バンドのカラーもちゃんと示した、どちらのファンも気分を害することはないであろう優れたカヴァーに仕上がっている。

収録曲はEPICAの楽曲に比べるとキャッチーで、メタル的な要素についてもどちらかというとEPICAのスタイルよりメロディック・パワー・メタル的な要素が強いのだが、普段はあまりプレイしないそういうタイプの楽曲も違和感なくこなしており、個人的な嗜好からするとEPICAのオリジナルより魅力的に響く瞬間さえあったりする。

紅白歌合戦でも歌われた、近年のアニメソングで最大級のヒット曲である#1「Crimson Bow And Arrow(紅蓮の弓矢)」に関しては、やはりあの「イェーガー!」のキメがなくなっているのが物足りなく(笑)、個人的には#2「Wings Of Freedom(自由の翼)」の方が満足度は高かった。

もちろんシモーネの美声が堪能できるバラードの#3「If Inside These Walls Was A House…(もしこの壁の中が一軒の家だとしたら)」も素晴らしい。

このEP発売を記念したスペシャル・コンサートとしての来日公演も実現し、TSUTAYA O-EASTがほぼほぼ満員になっていたというから、ここ日本においてはNIGHTWISH、WITHIN TEMPTATIONに続く人気女性Voシンフォニック・メタル・バンドの地位を固めたと言えるだろう。

本作をきっかけにEPICAは新しいファン層を獲得し、LINKED HORIZON/SOUND HORIZONのファンにとっては「洋楽メタル・アーティストにカヴァーされた」ことで箔がついたと誇らしく思えるのであれば、企画者の狙いやバンド選択の経緯はどうあれ、Win-Winな結果になったと言えるのかもしれない。

VOLCANO / IRREGULAR

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最近ハイペースでのリリースが続いている印象の、屍忌蛇(G)率いるVOLCANOによるカヴァー・アルバム。

屍忌蛇と言えば知る人ぞ知る(?)カヴァーの達人で、これまで『STAND PROUD!』(1998)、『DUAL WORLD』(2014)という、クラシックなメタルのファンであればたまらないカヴァー・アルバムをリリースしてきているわけですが、なぜにVOLCANOでカヴァー・アルバムを作る必要があったのか。

まあ、『STAND PROUD!』や『DUAL WORLD』みたいにゲストを集めて作るよりラクに作れる、というのはあるのかもしれません。

そして、ベタと言ってもいいほどに有名曲を集めていた『STAND PROUD!』や『DUAL WORLD』と違い、割と渋めなアーティストや、有名バンドでもマイナーな楽曲が含まれているのが本作の特徴。

選曲はメンバーがそれぞれ持ち寄ったそうで、屍忌蛇の選曲が#1「1789」、#4「Don’t Tell Me You Love Me」、#8「I’ll See The Light Tonight」。NOVの選曲が#2「Invaders」、#10「Home Sweet Home」、AKIRAの選曲が#3「Headhunter」、#6「Hard Blow」、#7「Bring Me The Night」、SHUNの選曲が#5「Rise And Fall」、#9「I’ll Kill You」となっている。

メンバーで候補曲を持ち寄るなんて、大学でバンドサークルに入っていた時の「選曲会」を思い出してちょっと懐かしい気持ちになりました。AKIRAさんの選曲が一番ガチなメタラーを感じさせますね。

正直、IRON MAIDENが「Invaders」なのと、HELLOWEENが「Rise And Fall」なのは理解に苦しみましたが、前者はメイデン自体あまりプレイすることなく、カヴァーもほとんどされていないから、後者はあまり明るい曲をプレイしないVOLCANOがカヴァーしたら面白そう、という意図で選んだそうで、それなりに「狙い」はある模様。

どちらの楽曲も、オリジナルよりアグレッシヴな印象になり、屍忌蛇の一人ツイン・リードも冴え渡っていて、なかなか楽しめる仕上がりです(しかしそれでも「Invaders」のサビは、歴史に残るメタル・アルバムのオープニング・チューンとしては弱いと思う)。

SILVER MOUNTAINの「1789」は、かつてGALNERYUSもカヴァーしていましたが、やはりSILVER MOUNTAINで1曲カヴァーするならこの曲なんですかね? まあB級感というか、ぶっちゃけアマチュアっぽい曲ですが(コーラスとか…)、間奏部のフランス国歌を含め、インパクトはありますけどね。

そのシャウトの強力さゆえに、あまり器用なシンガーという印象のないNOVさんですが、NIGHT RANGERの#4「Don’t Tell Me You Love Me」やMOTLEY CRUEの#10「Home Sweet Home」といったポップな曲も(イカツくはなっていますが/笑)ソツなく歌いこなしていて、確かな歌唱力をあらためて証明している。

個人的には、オリジナルへの愛着もあり、YNGWIE MALMSTEENの#8「I’ll See The Light Tonight」からXの#9「I’ll Kill You」という、「I’ll」で始まる2曲(この曲タイトル並びはわざと?)の流れがハイライトでしたね。

いずれのカヴァーも、オリジナルよりアグレッシヴでありつつ泣きの要素も増量された屍忌蛇らしいというかVOLCANOらしい仕上がりで、個人的には期待値を超える満足感を得られました。

どうでもいいですが、KROKUSの#3「Headhunter」って、ネタ元は絶対にJUDAS PRIESTの「Exciter」ですよね。



B'z / DINOSAUR

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2018年一発目のレビューは、まさかの(?)B'z。昨年11月末にリリースされた、フルアルバムとしては通算20作目となる作品。

私が最後に聴いたB'zのアルバムは2000年にリリースされた11作目の『ELEVEN』以来なので、約18年ぶり、21世紀になってから初めて聴く彼らのアルバムだ。

いや、別に聴くのを避けていたわけではなく、単に積極的に聴くほどのモチベーションがなかったというだけなんですけどね。

てか、1997年の『SURVIVE』から『ELEVEN』までの3作も、CD屋でバイトしてなかったら聴かなかったな、きっと。いや、特に『SURVIVE』はかなりいいアルバムだと思いましたけどね(ビリー・シーンやパット・トーピーといったMR.BIGのメンバーが参加して話題となった『Brotherhood』もなかなか)。

今回のテーマは「70年代ハード・ロック」とのことで、全体的にキャッチーさを抑えた、力強いロック・サウンドでまとめられている。

アルバムのオープニングを飾るタイトル曲のイントロにおける、LOUDNESSの「Loudness」のそれを彷彿とさせる強烈なアーミングは、やはり恐竜の咆哮をイメージしたのだろうか。恐竜はこういうゴジラ的な声を出すような声帯は持っていなかったという説もありますが、まあその辺は雰囲気ということで(笑)。

基本的には掲げたテーマ通り、シンプルなリフを軸にしたハード・ドライヴィンなロック・サウンド中心に構成されており、時折スパイス程度にファンキーだったりジャジーだったりするのは、70年代当時、まだロックのジャンル分化が今ほど明確ではなかった時代ならではのハード・ロックを志向していればこそ、だろう。

ただ、ぶっちゃけ私が好きなB’zサウンドというのは『RISKY』(1990)から、『RUN』(1992)くらいまでの一番ポップだった頃のもので、好きな楽曲を3つ挙げろと言われたら「BAD COMMUNICATION」、「BLOWIN’」、「孤独のRunaway」というかなりチャラめなもの。

あ、彼らを好きになるきっかけとなった「LADY NAVIGATION」も外せないですね。これも彼らの曲の中でも最もチャラい部類のものですが。でもこのシングル、表題曲はもちろん、B面曲、いや彼らの用語でいう「2nd beat」の「Pleasure ‘91~人生の快楽」も時代を感じさせてまたイイんですよ。最初に聴いた中学生の頃は歌詞に出てくる「マーシャル」の意味さえ知らなかったんですが(笑)。

話が逸れましたが、そういう私個人の嗜好的な意味でいうと本作の楽曲は正直な所ちょっと地味である。いや、サウンドはハードなので、ある意味派手だけれども、キャッチーさ、ありていに言うと歌謡曲っぽさに欠ける。

前作『EPIC DAY』から本作までの間にリリースされたシングルの全てが収録されているわけではないあたりも含め、売れ線のアルバムを作ろうという意識はなかったのだろう。

もっとも、彼らの場合キャッチーな売れ線のシングルはフルアルバムに収録されないことが多く、先に私が好きだということで挙げた楽曲もベスト・アルバムにしか収録されていなかったりするので、それは今に始まったことではないのですが。

ただ、聴き込んでいくと今回、松本氏のギター、特に何気ないバッキングのプレイなどが骨太な感じで凄くいいなあ、と。サウンドも相変わらず聴けば一発で彼だとわかる独特のトーンで、こんなにギターの存在感があるJ-POPは今時なかなかない。

とはいえ一聴して耳を引くのはシングル曲である#2「CHAMP」のイントロやAメロなどに顕著なキャッチーな哀愁感で、やはり彼らの最大の魅力はこういうちょっと都会的な哀愁だと思うんですよね。B’zに「ロック」を期待する人には満足度の高いアルバムだと思いますが、個人的にはもっとこういうキャッチーな哀愁を盛り込んでほしかったかな。

ちなみに本作では、レギュラーのサポート・メンバーであるシェーン・ガラース(Dr : YNGWIE MALMSTEEN, MICHAEL SCHENKER GROUP他)にバリー・スパークス(B : YNGWIE MALMSTEEN, MICHAEL SCHENKER GROUP, DOKKEN他)の他、JANE’S ADDICTIONのクリス・チェイニー(B)、元ROB ZOMBIE、現OZZY OSBOURNEのトミー・クルフェトス(Dr)が参加している。

なお、本作の初回限定盤には『ROCK IN JAPAN 2017』における、彼らのライブステージ映像(DVD / Bru-ray)が特典として付属している。このステージはROCK IN JAPAN 2017参加者の間でかなり評判が高く、実はこれを観たかったので本作を購入した次第です(笑)。

彼らのライブはかつて一度観たことがありますが、その音圧、パフォーマンスは完全にHR/HMのそれです。正直『ROCK IN JAPAN』というか、その運営元である『ROCKIN’ ON』がプッシュ/サポートするアーティストというのはB’z的なアリーナ・ロックというか、スタジアム級のロック/ポップ・アーティストに対するアンチテーゼだと思っていたのですが、平成も終わりに近づき、もはやポップ・ミュージックにメジャーとマイナーの境界線がなくなったということでしょう。

実際、私は2度ほど『ROCK IN JAPAN』に行ったことがありますが、そこに集まる若者たちは、お気に入りのバンドはあれど、ジャンルにはこだわりのなさそうな感じの、良くも悪しくも「普通の若者」という感じで、目の前にあるものが楽しそうなら観る、というスタンスに感じられました。そしてB’zはちゃんと彼らのハートをつかみ、アウェー感のない盛り上がりが映像に収められています。私も「Ultra Soul」で「ハァイ!」したい(笑)。

しかし稲葉氏はイケメンなのにチャラさがなくて、歳をとってもハゲずデブらず、ロックスターなのに高学歴と、マジで女性にとっては理想の旦那さんですよねえ。この音楽性でMCが敬語なのが個人的には違和感なのですが(笑)。

◆本作収録「Dinosaur」のMV

イントロで松本氏が使っているのはLOUDNESSの高崎晃氏のランダムスター。やっぱり「オマージュ」なんですね。

◆本作収録「CHAMP」のMV


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THE DARK ELEMENT / THE DARK ELEMENT

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元NIGHTWISHのアネット・オルゾン(Vo)と元SONATA ARCTICAのヤニ・リマタイネン(G)によるプロジェクトのデビュー作。

「フィンランドのビッグ・バンドをクビになった者同士」という共通点のある二人ですが、アネットの歌声というのは北欧系の哀愁メロディにとても合うと思っている私にとってはその手のメロディの書き手であることをCAIN’S OFFERINGで照明したヤニ君とのコラボというのはいかにも相性が良さそうで、最初にこのプロジェクトが発表された時から期待していましたが、この手の秀逸なマッチングを仕掛けるのはやはり『Frontiers Records』。

二人以外のメンバーはヨナス・クフルベリ(B)にヤニ・フルラ(Dr)という、CAIN’S OFFERINGのライブでサポートを務めていた二人。そういう意味では、ティモ・コティペルト(Vo)とイェンス・ヨハンソン(Key)という、STRATOVARIUSという「本職」がある人を省いて、暇そうな(?)アネットを迎えたCAIN’S OFFERINGという見方もできなくない(ちなみにアルバムではヤニ・リマタイネン自身がKeyをプレイしている)。

このメンツであれば、CAIN’S OFFRINGよりライブを含めてコンスタントな活動ができそうで、その辺の期待も高まります(売れれば、でしょうけど)。

ただ、音楽的には単純にCAIN’S OFFERINGのアネット版、というわけではなく、むしろどちらかというとアネット在籍時のNIGHTWISHに近い印象。

とはいえNIGHTWISHほど大仰ではなく、メロディはむしろSONATA ARCTICAっぽいキャッチーな哀愁を湛えた流麗さがあって、そういう意味では「NIGHTWISH meets SONATA ARCTICA」という、この二人の名前に求められるだろうサウンドが実現している(CAIN’S OFFERINGのアネット版を期待していた人も多いと思うが)。

いや~、しかしヤニ・リマタイネンは本当にいいメロディ・メーカーですね。本作にも私のような北欧哀愁愛好家の琴線に触れるメロディが満載されていて、ついついリピートを誘われます。適度にモダンなアレンジも新鮮でいいと思います。

アネットの透明感のある可憐な歌声も相変わらず魅力的で、あれだけオールド・ファンに叩かれながらも何だかんだ言ってアネット在籍時のNIGHTWISHが商業的にはターヤ時代より成功していたことが、その声がメタル・ファンにとどまらない多くの人の心を捉えるものであることを証明している。

強いて粗探しをするなら、ちょっと楽曲の「色」が画一的で、決して似たような曲ばかりというわけではないにもかかわらずアルバムとしてのメリハリにやや欠けることですかね。

バンド名の通りというか、歌詞のムードはやや暗めというか恨み言っぽく、それは曲調にマッチしているのですが、アネットのNIGHTWISH脱退の経緯を知っている人間には何となくNIGHTWISHに対して向けられたメッセージなんじゃないかと思えてしまいます。

しかし実際に歌詞を書いているのはヤニ・リマタイネンなので、実はヤニからSONATA ARCTICAへの恨み言なのかもしれません(笑)。そういう意味では本作はヤニの心の中の「The Dark Element」なんでしょうか。【85点】

◆本作収録「My Sweet Mystery」のMV


◆本作収録「The Ghost And The Reaper」のMV