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EDU FALASCHI & NORTHTALE来日公演 at 新宿BLAZE 2023.9.17

元ANGRA~ALMAHのエドゥ・ファラスキのソロ・プロジェクトであるEDU FALASCHIと、NORTHTALEの来日公演を観てきました。

本来は2月に予定されていたはずがビザの関係で延期になり、この時期に行われることになったのですが、何しろHELLOWEEN来日公演の翌日、当初はスルーするつもりでした。

しかし、先日発売されたEDU FALASCHIのニュー・アルバム"ELDORADO"がかなり良かったので、勢いでチケット購入してしまいました。40代の中年になっても若気の至りが止まりません。

当然前日はHELLOWEENで完全燃焼、その疲労で爆睡して昼近くにのこのこ起きて、そこからWOWOWの録画を観ながらライブレポートを書いたりしていた上に、ちょっと想定外のプチトラブルがあって現地到着が遅れる。

幸か不幸か、いや当事者にとっては確実に不幸なのですが、ロストバゲージなどがあった関係で開演が遅れているということで、サポート・アクトであるILLUSION FORCEが終わったくらいの遅刻で済む。

ILLUSION FORCEも良いバンドなので観たかったですが、きっと12月のSECRET SPHERE & SERENITYの時にも観られると思うので、良しとしましょう(?)。

(バンド用の)メイクをしてなかったのでその場では気づきませんでしたが、チケットのもぎりをやっていたのはANCIENT MYTHのVoの方でしたね。

Allegiance Reign

2019年にEvoken Fest 2019のExtra Showで観たことがある「戦国バトル・メタル・バンド」。この日はかなりバタバタだったようで、サウンドチェックでリハーサルしてました(しかも照明の指示をステージ中にMCでやってました/苦笑)。

「日本のRHAPSODY OF FIRE」と呼んでもいい音楽性で、本物の甲冑に身を包んだその出で立ちは、少々出オチ感があるものの、なかなかインパクトがあります。

勇壮でシンフォニックなメタル・サウンドと、自虐的な笑いを取りに行くMCのコンビネーションで徐々にオーディエンスのハートをつかんでいき、後半はかなり盛り上がっていました。

バンド・コンセプトも楽曲もしっかりしているし、20年前ならキングレコードからメジャー・デビューできたんじゃないですかね。

ちょっとだけ難を言うとしたら、戦国色(?)の強い曲の方がインパクトがあるのですが、メタルとしてカッコいいのは戦国色の薄い、「モロにラプソ」な曲である、という点ですかね(苦笑)。

あと、先日無職になって落ち武者になってしまった上に、マーチャンダイズのTシャツを誤発注して在庫をダブつかせてしまったという踏んだり蹴ったりなギタリストさんはなかなかお上手だし時代劇声(?)の良いキャラなのですが、この音楽をやる上ではもう一人ギターがいた方がいいと思います。


NORTHTALE

これまた2019年のEvoken Festで観た北欧風(?)多国籍メロディック・パワー・メタル・バンド。

ただ、当時はVoが元TWILIGHT FORCE、現FINAL STRIKEのクリスチャン・エリクソンでしたが、現在はブラジルのメロディック・パワー・メタル・バンド、TRAUMERの日系人ヴォーカリスト、ギルエルメ・ヒロセにメンバー・チェンジしています。

スタジオ・アルバムで聴く分にはクリスチャン・エリクソンに遜色ない感じでしたが、クリスチャンはフロントマンとしてかなり華があったので、ライブでは見劣りするのでは…と思っていましたが、これが意外なほど(と言っては失礼ですが)素晴らしい。

まず歌が上手い。声もよく出ているし、音程も安定していて、とても丁寧に歌っている印象。

フロントマンとしてのパフォーマンスも堂々としたもの…というか、このパフォーマンス、オーディエンスの煽り方は完全にティモ・コティペルト(STRATOVARIUS)のクローン(笑)。当然、オーディエンスは盛り上がります。

ビル・ハドソン(G)の今時珍しいくらい「俺様はギター・ヒーローだ!」という主張を感じる弾きっぷりも個人的には好感度高く、この手のバンドにしては珍しく、バンド・メンバーのキャラがちゃんと立っているのが良い。

疾走曲の気持ちよさといったらかなりのもので、今ライブでこれだけ気持ちよく疾走感を感じさせてくれるバンドってそんなにいないんじゃないですかね。

曲はちょっとあまりにもSTRATOVAIUSだったりANGRAだったりEDGUYだったり、元ネタが割れすぎですが、この手のバンドは変な個性を出すより「教科書通り」に行ったほうが良いものになるし、そもそもそれらのバンドが既に方向転換していたり、活動休止していたりするので、彼らが古き良きメロスピの後継者として受け止めるべきなのかもしれません。

ちなみに、アルバムではIRON MAIDENの"Judas Be My Guide"をカバーしていましたが、本日のライブでは"Wasted Years"をプレイしていました。

私は後ろの方から見ていたのですが(新宿BLAZEは元映画館なので、後方に傾斜がついていて後ろでも見やすいのです)、フロアはめちゃくちゃ盛り上がってましたし、個人的にも気持ちよくアタマを振れました。これ観れただけで「HELLOWEEN疲れ」を押して来た甲斐がありましたね。

メンバーも手応えを感じていたようで、とても嬉しそうでした。このバンドにはもっと売れてほしいですね。


EDU FALASCHI

そして真打ち、EDU FALASCHIのショウがスタートしたわけですが、これがもう完全にANGRAのトリビュート・バンド状態。

何しろ全14曲のセットリスト中、10曲がANGRAの曲。冒頭"Live And Learn"~"Acid Rain"~"Waiting Silence"~"Heroes Of Sand"と、4曲立て続けにANGRAの曲がプレイされた日には、「もしかして今日はANGRAの曲しかプレイしない気ではあるまいか…」とすら危惧してしまいました。

いや、まあ、もちろんANGRAの曲をプレイしてくれることは期待していたわけですが、せっかくEDU FALASCHI名義でリリースした2作のアルバムと1作のEPも優れた出来だったのだし、ここまでANGRAシフトでなくてもよかったのではという気も。

ちょっとサウンドのバランスが悪く、開演当初はエドゥの歌が殆ど聞こえず(これはすぐに改善されましたが)、下手のギターは変な音が出ていて、それが改善された後もなんだかサウンドがアンバランスに大きいままで、ちょっと気になりました。

エドゥの歌は…うーん、「決め」のハイトーンはちゃんと出すんだけど、逆に言うと歌唱そのものはだいぶグダグダ。これは声が出ないのか、セーブしてラフに歌っているのか、どちらなのでしょう?

終盤、亡きアンドレ・マトスを"Rebirth"させるために呼ばれたシャーマン(霊媒師)、と紹介されて登場したSHAMANのティアゴ・ビアンキ(Vo)の方がはるかに情感溢れる歌唱を聞かせてくれました。

まあ、エドゥの歌については全盛期の輝きがないことは「想定内」だったので、期待していたのはバックの演奏。これはもうバッチリでした(先述のバランスの悪さを除く)。

高難度のANGRAの楽曲を涼しい顔でプレイしていく(もっとも、ドラマーとキーボーディストは元々エドゥ在籍時のANGRAのメンバーだったわけで、当然と言えば当然なのですが)様は、往年のANGRAもかくやと思わせるものがありました。

メンバー紹介の際に「世界最高のパワー・メタル・ドラマー」と紹介されたアキレス・プリースターのプレイはパワーも安定感も勢いも完璧に兼ね備えていましたし、同じくメンバー紹介で「6弦の魔術師」と紹介されたロベルト・バローズも、圧巻の速弾きを連発していました。

天上人クラスのテクニシャンであったキコ・ルーレイロのフレーズを難なく弾きこなすばかりか、それ以上の音数を詰め込むことさえたやすく実現してしまうのですから、まさに恐るべき腕前です。

ただまあ、ちょっと弾き過ぎというかプレイに品がないので、キコが脱退してもMEGADETHから声が掛かることはなさそうですが(笑)。

なんだかんだ言って、終盤"Spread Your Fire"で「Fire!」して、ラストを"Nova Era"で絞められてしまうと「楽しかったです」と小並感なセリフしか出てこないんですけどね(笑)。


EVP主催のライブでは毎回そうですが、複数バンドのライブ(と、その間の転換)の時間立ちっぱなしで脚が棒になりました(苦笑)。

12月のSECRET SPHERE & SERENITYの時もきっとこうなるんでしょうねえ…。今から戦々恐々です(笑)。

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HELLOWEEN 来日公演 at 日本武道館 2023.9.16

HELLOWEENのUNITED FORCES TOUR 日本武道館公演を観てきました。

「ついにHELLOWEENが日本武道館の舞台に立つ!」というのが今回の来日公演の最大の「売り」だったわけですが、個人的にはそこまで「日本武道館」にありがたみは感じていなかったんですよ、正直。

別にもっと大きな会場は国内にいくつもあるし、国内アーティストに限って言えば(誰とは言いませんが)「え、この程度のアーティストが武道館でやれるの?」みたいな例もいくつも見てきているので。

しかし、かつてTHE BEATLESもそのステージに立ち、CHEAP TRICKが"CHEAP TRICK AT BUDOKAN"という名作ライブ・アルバム(中身は大半が大阪公演のものだったようですが)で国際的に有名にしたこの会場が、こと海外のアーティストにとってシンボリックな意味合いを持つことは事実。

私がHELLOWEENのライブを最初に観たのは"THE TIME OF THE OATH"(1996)に伴うツアーの東京公演、今は亡き東京ベイNKホール(キャパ6,000人強)での公演で、その後それを超える規模の会場でのライブは行われていません。

20万枚以上を売り上げてバンド史上(日本では)最も売れたアルバム(正確な記録はないものの、ロングセラーで相当な枚数を積み上げているという"THE KEEPER OF THE SEVEN KEYS"2作を除く)のツアーより大きな会場でプレイできるというのは、本人たちにとっても感慨深いものがあることでしょう。

物販は開始14時に並んだ時点で3時間待ちという惨状だったようなので、31℃超え、しかも湿度の高い不快な暑さだったこの日のコンディションだと、その後のライブを楽しむ上で差し障りが出かねないと思っていたので最初から諦め、「どうせ後日ネット販売があるだろ」と見越して華麗にスルー、開演30分ほど前に現地に到着。

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席は南東ブロックの2階席というお世辞にも良いとは言えない席。私が過去に観た武道館のライブはMR.BIG、JUDAS PRIEST、DEF LEPPARD & WHITESNAKEのものですが、どれも2階席か1階席で横から見るアングルになる席で、どうも武道館とは相性が良くないようです(苦笑)。

て言うか、アリーナ席と1階席と2階席、さらに正面とそうでない席、全部分けて売ってほしいんですけどね。今回もしかするとアリーナは全て料金倍のプレミアムシート扱いだったのかもしれませんが、それでも1階席と2階席が同じ料金というのは心情的になんとなく釈然としないものがあります。

まあ、今回WOWOWでのライブ中継があり、LOUD PARKの放送があった時期以来久方ぶりにWOWOWを契約し、予約録画してあるので「見やすいアングル」はそちらで保証されています。そういう意味で、ファンとしては「現場にいて見届ける」ことに意味があり、もはやステージがちゃんと見えるかどうかはどうでもいい話(?)だと割り切ることにしました。

私はシャイなので、移動中はシャツを上から羽織っていましたが、席に着くとシャツを脱ぎ、2年前に上野のマルイで行われたHELLOWEENポップアップショップで購入し、今日まで未開封だった「Seven Keys Tour ‘87」の復刻ツアーTシャツを開陳する(誰に?)。

定刻である18時近くになり、BGMでGUNS N' ROSESの"Welcome To The Jungle"が流れ始めるとなんとなく場内が盛り上がり始めて手拍子が起こり、18時を少し過ぎた所で場内が暗転、記念すべきコンサートが幕を開ける。

オープニング曲は最新作"HELLOWEEN"からの"Skyfall"。オールド・ファンとしては"Halloween"で始まった前回のツアーほどの「うおおおお!!」感はないものの、このライブはあくまでアルバム"HELLOWEEN"のツアーであることを考えれば順当な選曲。

そしてもちろん、"Skyfall"は、10分以上の尺を飽きさせずに聴かせる彼らならではの巧みな構成力を見せつける素晴らしい楽曲で、自然と「う~ん、さすがだな」という気持ちにさせられる。

間奏部で、アンディ・デリス(Vo)とマイケル・キスク(Vo)の両フロントマンが会場内の全ての方角、全ての階層に向けて挨拶ともとれるジェスチャーを送り、オーディエンス全員を意識していることをアピールする。場内の一体感を作る上でこういうの大事ですね。

そして2曲目にして早くもバンド史上屈指の人気曲にして「明るいスピード・メタル」のお手本とも言うべき名曲"Eagle Fly Free"が炸裂し、オーディエンスがさらに湧き上がる。

正直、アンディには引き出せなかったこの楽曲の「飛翔感」がマイケルの伸びやかなハイ・トーンによって見事に引き出されている。感無量。

演奏終了後、マーカス・グロスコフ(B)がベースを弾く中、カイ・ハンセン(G, Vo)とアンディが交互にMCを取り、初めて日本武道館のステージに立ててとても光栄だ、ということを述べ、再び新作からの"Mass Polution"へ。

ロックン・ロール・フィーリングがあり、「Go, Go, Go, Go」という合いの手や曲名を叫べばいいわかりやすいサビ、そして「Make Some Noise」という煽りが含まれるこの曲は確かにライブ向きで、このツアーで演奏しない手はないだろう。

そして"Future World"に"Power"という、それぞれマイケル・キスク時代、アンディ・デリス時代を代表するポップ・ナンバーが立て続けにプレイされ、場内のボルテージは盛り上がりっぱなし。

続けてプレイされたのはちょっと意外な"Save Us"。"THE KEEPER OF THE SEVEN KEYS PT.2"にボーナス・トラック扱いで収録されていたこの曲は、なぜボーナス・トラック扱いだったのかよくわからないカッコいいスピード・ナンバーで、サビのコーラスもシンプルで合唱しやすいため、当然盛り上がる。

そこから展開されたのは「カイ・ハンセン・タイム」で、ギターを持たず、専任ヴォーカリスト然として登場したカイ・ハンセンが歌う初期曲メドレー。それまでの赤いジャケットから、黒いノースリーブのベストに着替えたカイは近年年齢を重ねるごとに「ロックスター」っぽいビジュアルを志向している印象。

"Metal Invaders"~"Victim Of Fate"~"Gorgar"~"Ride The Sky"とプレイされ、当然人気曲"Ride The Sky"ではひと際大きな盛り上がりを見せる。ちなみに"Gorgar"からはギターを持ちました。

さらにダメ押しで"Heavy Metal (Is The Law)"がプレイされ、「これはきっとかつて日本武道館でプレイされた中で最もB級なメタルだろうな…」と思うとなんだか微笑ましくなりました。

いや、本当に彼らのようなワールドワイドなポップ・ミュージック基準ではB級としか言いようがない存在がこうして日本を代表するコンサート・ホールでプレイして、当日券込みとはいえソールドアウトさせているという事実は、彼らの音楽がいかに日本人にとって特別なものであるかということを証明していると思います。

そしてこの「B級メタルタイム」を中和するかのように始まったのがアンディ・デリスとマイケル・キスクが椅子に座って、アコースティック・セット風にプレイされた名バラード、"Forever One"。

個人的にはこれはアンディのリサイタルでもよかったように思いますが、今回(も)アンディとマイケル(とカイ)のフィーチャー度バランスにはかなり気を使っている印象だったので、こういう形になったのでしょうね。

アンディからオーディエンスに、スマホのライトを点けることがリクエストされ、場内が一斉に煌めきだす。ただ、この曲はバラードにしてはテンポが速いので、律儀にドラムに合わせてスマホを揺らそうとすると結構腕が疲れます(苦笑)。

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THE ALFEEの高見沢か往年のプリンスかという変形ギターと群を抜く長身が印象的なサシャ・ゲルストナーによるギター・ソロ・タイムを挟んで、新作から"Best Time"がプレイされる。アルバムで聴いた時と同様、"I Want Out"の元ネタになったと言われるGARY MOOREの某曲に似てるな…とあらためて思いました(笑)。

続けて彼らのドイツにおける最大のヒット・シングルである"Dr. Stein"がプレイされた後、カイ・ハンセンが「残念なおしらせだが、次の曲が今夜の最後の曲だ。…公式にはね」と告げてプレイされたのは、前回の「PUMPKINS UNITED TOUR」同様、"How Many Tears"。

これまでも何かが込み上げてきて胸がいっぱいになる感覚は何度もあったのですが、この曲が始まり、あの叙情的な間奏パートに入ると、いよいよ堰を切ったように涙と鼻水が止まらなくなり、何度も鼻をかむことになりました。しかもその間奏パートの途中でカイ・ハンセンが(GAMMA RAY)の"Heading For Tomorrow"のテーマ・メロディをブッ込んでくるもんだからもう…。

一度袖にはけた後、ほどなくしてちょっと寂しげな、聞き覚えのあるメロディが流れてくる。そう、"Perfect Gentleman"だ。これまた「アンディのいるHELLOWEEN」だからこそ作り得た、隠れた(?)名曲ですね。

中間部での"Perfect!"掛け合いは、変拍子なのでタイミングを外さないよう注意して頑張りました(笑)。

"MASTER OF THE RINGS"からの選曲であれば、いつかこのラインナップでの"Where The Rain Grows"が聴きたいですね。昨年は何公演かプレイしていたようなのですが。

そしていよいよプレイされたのは、バンド史上、いや、メタルの歴史上最高の大作曲と言っても過言ではないであろう超名曲、"Keeper Of The Seven Keys"。

いや、前回のツアーでも聴いてるんですよ? 聴いてるんですけど、やはりこのめくるめくドラマが眼前で展開されていく様には胸が熱くなるのを抑えられません。私の意志と関係なく鼻腔に湧き出してくる涙とも鼻水ともつかぬものによって、ポケットティッシュをまるまるひとつ消費してしまいました。

曲のエンディングでメンバー紹介が行われたのですが、紹介されたメンバーからひとりひとり袖にはけていき、最後に取り残されるサシャがなんとなく気の毒な感じでした(?)。

もうこれで終わっても文句はない、という気分でしたが、再度ドラム・キットにダニー・ルブレが登場、ドラム・ソロを展開する。

先ほどのサシャのギター・ソロといい、どうしても昔からいるメンバーにフォーカスされてしまいがちな今回のツアーで、新しいメンバー(と言っても、二人とももう20年近く在籍しているのですが)にもちゃんとスポットライトが当たるように、という配慮ですね。

カイとマイケルが復帰するからといってアンディとサシャを追放しなかったHELLOWEENならではの心配り、この辺も日本人の感覚的には非常に好ましいものに映ります。

ダニーはドラム・ソロ中に何度か「吠えた」のですが、生声がちゃんと2階席に届くのですから大した声量です。

そしてそのソロ中に場内に運び込まれたオレンジ色の「パンプキン・バルーン」が解き放たれて始まったのは、もはや彼らのショウの締めの定番というべき名曲"I Want Out"。

場内を跳ね回るバルーンと、メンバーとの掛け合いが場内の多幸感と一体感を一層盛り上げ、クライマックスを演出する。大団円です。
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いや、予想以上に感動しましたね。なんだかんだ、カイとマイケルのいるHELLOWEENも二度目だし、冒頭触れた通り個人的にはさほど武道館という場所に特別な思い入れもなかったのですが、終わってみれば感無量でした。

右隣の人はメッチャ大声で歌いまくり、左隣の人は持ち込み禁止のプロ仕様カメラで写真を撮りまくり、前の席の人はしょっちゅうスマホで中国語(台湾語?)のFacebookやLINE、Wikipediaを開いてるという、私の周囲に限って言えば問題のあるオーディエンスばかりでしたが(苦笑)、場内のオーディエンス全体で見れば本当に素晴らしかったと思います。

だいたいこのクラスの会場になると、「出演アーティストには興味ないけど、連れに誘われてきちゃいました」とか「有名な曲しか知らないけど、ノリで来ちゃいました」みたいなオーディエンスが混入して微妙に客席のボルテージを下げてしまうものなのですが、今日に関しては相当HELLOWEENが好きな人しか集まっていなかったのではないでしょうか。

それは15,000円以下の席がないという強気な価格設定が逆に功を奏したのかもしれません(笑)。ご祝儀/お布施感覚を持てるほどのファンしか参加できないというか。それでソールドアウトしているのですから素晴らしいですね。

オーディエンスのHELLOWEEN Tシャツ着用率の高さも相当なものでしたしね。非常にロイヤリティの高い親密で熱心な空間でした。

今、録画していたWOWOWの中継を見ながらこの文章を綴っているのですが、抜かれるオーディエンスを見ると女性が多いものの、2階席にいた人間の体感としては女性は1割程度、どう多く見積もっても2割弱でした。アリーナは女性が多かったのか、WOWOWのカメラが意図的に女性を抜いていたのか、さてどちらでしょう?(笑)。

(いや、例え1割程度だとしても、近年のクラシック・メタルのコンサートとしてはだいぶ多いですけどね。とはいえ90年代のHELLOWEENのライブは3割以上女性だった印象ですが)

とにかく最高の夜をありがとう。カイ・ハンセンの関与が増えているというニュー・アルバムを楽しみに待っています。

ARCH ENEMY 来日公演 at Zepp DiverCity Tokyo 2023.3.3

ARCH ENEMYのZepp DiverCity Tokyo公演に行ってきました。

ここしばらくかなり激務が続いており、会社を出たのは18:40頃。もう開演時間まで20分ほどしかない。

タクシーに乗り、高速道路使って飛ばしてくれと運転手に伝えるも、都心のこの時間帯は慢性的に道が混んでいるので、実際には法定速度くらいでしか進まない。

なんとか19時ギリギリに到着し、先に入っている友人が上手(かみて)側の一番後ろにいる、とLINEを送ってきていたので後ろ側の扉から入場しようとするも、場内パンパンでとても扉の前から進めない。

私の後から入ってきた人で強引に奥に進もうとした人もいましたが、私のすぐ脇にいたオッサンがそれを阻止するという心の狭い動きをしていたため、遅く入ってきた人は扉前に滞留することになっていました。

入場してほどなくBGMでLOUDNESSの"Crazy Nights"が流れる。この開演時間直前に、日本のバンドが歌う、ライブについての曲が流れるというのは偶然ではなく「演出」なのでしょう。関係があるのかどうかわかりませんが、大阪公演には高崎晃(G)が観に来ていたようですね。

そして照明が落ち、オープニングSEが流れた後、ステージにかかっていた"PURE FUCKIN' METAL"の垂れ幕が落ちると同時に"Deceiver, Deceiver"でショウがスタートする。

ちなみに先述した通り、私がいるのは後方であり、私はあまり背が高い方ではないので、男ばかりのこの会場だとステージの様子はほぼ見えない。時々メンバーの頭が見える程度だ。つま先立ちをして背伸びをすれば多少観えるものの、ライブの最中ずっとつま先立ちをしているわけにもいかない(苦笑)。

2曲目の"The World Is Yours"の後、軽くアリッサがMCを挟んでもはやクラシック・ナンバーと言っても過言ではない名曲"Ravenous"がプレイされる。この曲のイントロはオーディエンスの集中力を一気に楽曲に集める力がある。その後アリッサ加入後最初のアルバムから"War Eternal"が演奏される間、私はもう見えないステージを追うのを諦め、無心に久方ぶりのヘッドバンギングに打ち込む。

そして最新作から私のお気に入りのフックを持つ"In the Eye of the Storm"をプレイした後、アリッサが「ニューアルバムから今夜この場にいるみんなにこの曲を捧げるわ」的なMCを挟んで"House of Mirrors"が始まる。この曲の歌に入る直前のスクリームは完全にノーマル・ヴォイスだ。

"My Apocalypse"の冷厳なギター・リフが場内を引き締めた後、「ニュー・アルバムから速い曲をやるわよ」というMCで歓声が上がり、"The Watcher"がコールされる。

たしかにここ3曲ほど、彼らのレパートリーの中では「速くない曲」が続いていたが、それでもダレるどころか、ライブの勢いが損なわれる感じは一切なかったのは、やはり彼らの楽曲の魅力がテンポの速さや単純な攻撃性に依存していないからこそだろう。

その"The Watcher"に続いたのは前作"WILL TO POWER"からの"The Eagle Flies Alone"で、この曲のリフは「ヘッドバンギングしやすいテンポ」だ。中間のメロディックなパート含め、フックに富んだ曲で、意外なほどライブで映えている。

曲を知らない人であれば「ギター・ソロ・タイムかな?」と思ってしまいそうなイントロから始まったのは、最新作"DECEIVERS"の冒頭を飾る、同作の作風を象徴するクラシック・メタル色の強い"Handshake With Hell"。

このJUDAS PRIEST的な(というか、ありていに言えば"Electric Eye"的な)ギター・リフを主軸とした楽曲の目玉は何と言ってもアリッサがサビをノーマル・ヴォイスで歌っていることだろう。アリッサの女性的なしなやかさと男性的な芯の強さを兼ね備えた歌声の魅力は、ギター・ソロ前のメロウなパートを含め、私のようなメロディック・メタル派のリスナーにとってはやはりグッと来る。

「地獄と握手」というタイトルもキャッチーだし、これは新たな代表曲としてセットリストの定番になっていくのではないでしょうか。

続く"Sunset Over the Empire"では途中でブレイクが入り、アリッサが「みんなの歌声が聞きたいわ」と曲中でリフレインされるメロディックなフレーズをオーディエンスに歌わせる。

この曲に限らず、ロイヤリティの高いオーディエンスは彼らの楽曲のメロディックなギター・フレーズを常に歌っていたものの、基本的に人間が歌うことを想定していないメロディやフレーズも多いので、「それ歌うのは無理があるやろ」というシーンも多いのですが、この曲についてはわざわざ歌わせるだけあって、ゆったりとしたメロディなので歌い甲斐(歌わせ甲斐?)がある。

続いてプレイされた"Blood on Your Hands"における"Remember"の合唱(というか雄叫び)といい、彼らの楽曲にはこういうメタルのライブ独特の双方向性を意識していると思われるフックがあるのがやはり巧妙。

「みんな信じられないくらい素晴らしいわ。またすぐに戻ってきてみんなに会いたい」という、ライブの終わりが近いことを匂わせるMCの後、本編ラスト曲として"As the Pages Burn"がプレイされる。この曲のエンディングのギター・パートにはクラシック・メタルとしての醍醐味のようなものが感じられる。

いったんメンバーがステージ袖に引っ込み、3分ほどアンコール待ちの時間を挟んで、現在の女性ヴォーカルをフィーチュアしたARCH ENEMYの原点となった名盤"WAGES OF SIN"から"Enemy Within"、そして"Burning Angel"というアルバムの1曲目、2曲目が流れ通りに演奏される。このオープニングからのコンビネーションはメロディック・デス・メタルのアルバム史上でも最も強力なインパクトを持つもののひとつだけに、このセットリストは神。

続く"Dead Eyes See No Future"はサビで曲名の「デス声合唱」が起きるという意味で、やはりデス・メタル離れしたフックを持つ名曲と言っていいだろう。まさにクラシック・タイムである。よく考えたら彼らももうじき30年選手、音楽性が音楽性だけにそういう印象は薄いものの、キャリア的にはもはや立派な「クラシック・ロック」バンドである。

さらに「他の日にも来ていた人いる? 明日会う人もいるかもね!」「私が加入した"WAR ETERNAL"が出てからもうすぐ10年になるのよ、信じられる?」といった、アンコールならではのリラックスした双方向型のMCを入れつつ、"WAGES OF SIN"から"Dead Bury Their Dead"がプレイされた後、ジェフ・ルーミス(G)のギター・ソロ・タイムを経て、実質マイケル・アモットのギター・ソロ・タイムである"Snow Bound"へ。

この泣きまくりのギター・インスト曲が名曲"Nemesis"へのイントロであることはファンにとっては周知の通りで、彼らのレパートリーの中はおろか、おそらくメロディック・デス・メタルというジャンルの中でも最もアンセム色の強い楽曲である"Nemesis"の"All for One, One for All"な連帯感で会場がひとつになった後、彼らのライブのエンディングSEの定番である"Fields of Desolation"が流れてきて今夜のライブは終了。

非常に充実した内容のライブで、アリッサ・ホワイト=グラズとジェル・ルーミスを擁する現在の編成は、もしかすると過去最強なのではないかと思わせられるものがありました。

冒頭に記した通り、今夜のライブはほぼメンバーの頭部と、時々高い所に立ったアリッサの上半身くらいしかメンバーの姿は見えず、そういう意味で彼らのライブ・パフォーマンスを「観た」と言うことはいささか憚られるのが事実です。

一方で、この頭を振りたくなる感覚というのは自宅で配信ライブを観ている時には生じないもので、そういう意味ではやはりライブというのは「現地でないと味わえない感覚を味わわせてくれるもの」であることを再確認することができ、ライブを「観た」とは言えなくとも、「体感した」ことは間違いないと思っています。

このブログのライブレポート履歴を振り返ると、HR/HMアーティストの単独公演に足を運ぶのは2019年10月に観に行ったNIGHT RANGER以来、約3年半ぶり。

それからHR/HM系ではないライブはいくつか観ていますが、それもコロナ前であることに変わりはなく、随分と久方ぶりになります。大学生になって以降は年に4~10回くらいはライブに足を運んでいたことを考えると、この3年間は本当にメタル・ファンのライフスタイルを変えてしまったと思います。

そんな人がどれだけいるのかわかりませんが、ここ3年の間にメタルを好きになった人の中には、ライブというものを一切体験したことがない人がかなりいるのではないかと思われるわけですが(もっとも、地方在住の方にとってそれはコロナ前からそうだったりするのかもしれませんが)、それは本当にもったいないことだと思いますし、アーティストの側から見てももファンのロイヤリティを高めることに対するチャンスロスだったに違いありません。

ようやくマスクを外すこともある程度公認され、都心では海外からの旅行客もよく見かけるようになってきましたが、今後このような事態が二度と発生しないことを願わずにはいられません。

まあ、今夜に関して言えば、やや体臭キツめの方が私の近くにいらっしゃったので、マスクがあってよかった、と思ってしまったりもしたわけなのですが(笑)。

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DOWNLOAD JAPAN 2022 at 幕張メッセ 8/14感想

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コロナ禍によって長いこと開催されていなかった日本のメタル・フェスティバル復活第1弾となるDOWNLOAD JAPAN 2022。

本来であればもはや開催されるというだけで即、行くことを決めて然るべき案件ですが(?)、行くかどうかは相当迷いました。チケットを買ったのは前々日の金曜日です。

行くことを躊躇った理由は大きく3つでした。

【1】規模・ラインナップに対する不満
1ステージ8バンドって、ショボくない…? LOUD PARK 06なんて2日間3ステージで36バンドだよ…? 本家イギリスのダウンロードだと50バンド以上出ているのに…。しかも個人的に「すごく観たいバンド」はいないんですよね…。

【2】日程的な理由
お盆時期とはいえ、翌日平日の日曜日。フェスの翌日なんて基本的に廃人状態なので、翌日休めなかったらとても当日全力で楽しめない、というもの。

【3】コロナ状況的な理由
ここに来てオミクロン株亜種BA.5への置き換わりによって感染が拡大しているのはご承知の通りで、私の周りでも次々と感染者が出ています。ちょっと仕事状況的に感染している場合ではないので、感染のリスクはとりたくない、という事情もありました。

これは個人的に観たいバンドがいるかどうかという話を除けば、きっと私だけの問題ではなく、特に地方在住の方が遠征参加を諦める理由としては充分過ぎるものではないかと思われ、実際チケットが売れていないという話は漏れ聞こえていました。

しかしまあ直前になり、幸い翌日休みが取得できるメドがついたこと(オンライン会議は1件外せませんでしたが…)、幸い自身は感染することなく、良好な体調で迎えられそうだということで、参加を決めました。

それに、実質LOUD PARKの後継イベントである(?)このDOWNLOAD JAPANがあまりの不入りで今後行なえない、などということになったら、「自分が行かなかったせいかもしれない…」と自分を責めることになりそうですし(笑)。

前日に行なわれた『ROCK IN JAPAN』最終日が台風で中止になったのを考えれば、台風一過の日に実施することができたというのもラッキーな話じゃありませんか。


◆出発~到着まで

なかなか思うように事が運ばないのがフェスというもの(?)。免疫力強化のおまじないに葛根湯を飲んで出発したものの、なぜか私は(オープニング・アクトを除く)1番手、THE HALO EFFECTの出番を11時だと勘違いして、余裕をかまして10:30くらいに幕張に着く電車に乗ってしまい、電車の中でTwitterを見て青ざめました。

まあ、二度寝で午後起きして観たいバンドをほとんど見逃した前回よりマシか、と気を取り直す。この辺の「自分に対する説得が上手くなる」ことが「大人になる」ということなのかもしれない(?)。

京葉線の電車の中は夢の国に向かう人ばかりで、およそ同じ目的地を目指していると思われる人は2人くらいしか見当たらない。

そして海浜幕張駅に降りてみると、こんなに人のいない海浜幕張駅初めて見た…という、とてもイベント開催日とは思えない光景。

幕張メッセ自体も、ダウンロードフェスの看板もバナーも何もなく、建物外に人気(ひとけ)もないので「もしかして中止になっちゃったのかな…?」と不安になるレベル。

中に入ってみるとさすがにチラホラとメタルTシャツの人がウロチョロしていましたが、当日券売場もガラガラ、待ち時間ほぼゼロで入れる状態と、ある意味快適ながら非常に寂しい状態。

イベントのマスコットキャラクターであるダウンロードドッグの頭部をかたどったゲートを抜け、場内に入ると、やはり閑散としている。

ただ、入口ゲートから見て左奥にある物販コーナーだけは人がひしめいていて、「今THE HALO EFFECTがプレイしているはずなのに物販に並んでいるなんて…」という思いを抱きつつ、ステージのあるスペースへの駆け込む。


◆THE HALO EFFECT

一昨日にデビュー・アルバムをリリースしたばかりの、イエスパー・ストロムブラード(G)、ニクラス・エンゲリン(G)とピーター・イワース(B)とダニエル・スヴェンソン(Dr)という元IN FLAMESのメンバーと、ミカエル・スタンネ(Vo: DARK TRANQUILLITY)によるニュー・バンド。

依存症の問題を抱えているイェスパー・ストロムブラードは今回の来日には帯同せず、THE HAUNTEDのパトリック・ヤンセンが代役を務めている。

実は本日のラインナップで一番観たかったのがこのバンドだったのですが、私が到着したタイミングは3曲目、"A Truth Worth Lying For"が終わりかけで、"Conditional"がコールされるタイミングでした。

私はライブ中は耳栓派ですが、このバンドに関してはだいぶ控えめな音量で、耳栓を使う必要は感じませんでした。

IN FLAMESを思わせるメロディックなリード・ギターのフレーズがフィーチュアされた楽曲から、どちらかというと DARK TRANQUILLITYを思わせるメランコリーにフォーカスされた楽曲まで、アルバムに収録された全曲がプレイされたわけですが、アルバムで聴くとややインパクトが弱く感じた後者のタイプの楽曲も、ライブで聴くと思いの外沁みるというか、意外に映えていて楽しめました。

ミカエルが途中「こいつら、みんな15歳くらいからの頃からの知り合いなんだ」とメンバーを紹介しましたが、その割にはあまりバンドらしい親密さはなく、お仕事感とは言わないまでも「ただ演奏に集中している」という感じだったのがちょっと寂しい感じでしたが、ミカエルのフロントマンぶりは文句なしにカッコよかったですね。

オーディエンスも非常に暖かく彼らを迎えていましたが、サプライズで"Embody The Invisible"とか"Punish My Heaven"あたりをやってくれたら盛り上がりは倍増したでしょうねえ…。

終演後、とりあえず場内を一通りぐるりと周り、フードトラックやトイレの位置などを確認。


◆CODE ORANGE

ここ数年のメタル/ヘヴィ・ロックシーンで最も評価の高いバンドのひとつである彼ら。その海外での高い評判を聞き、「そんなにいいのか?」とYouTubeで主だったMVを視聴してみたものの、正直今一つピンと来ていませんでした。

その魅力を確認しようとステージ下手(しもて)の前方のブロックへ行って観てみる。

するとやはりというか、近年のメタル・バンドが失ってしまった「危険な雰囲気」があり、なかなかカッコいい。というか、そもそもメタルというよりはハードコアとインダストリアルを融合したようなサウンドなのですが、緩急はあるものの、そのメリハリが特にドラマ性に繋がらず、起承転結みたいなわかりやすい展開をしない楽曲も、意外なほどライブ映えしていました。

2曲目には早くもモッシュピットが発生するなど盛り上がっており、バンドも「サークルピット!」とオーディエンスを煽る。

いいのか?と思いきや、やはりいいわけではなさそうで、セキュリティスタッフが登場してサークルを止めようとする(完全に止められはしないようでしたが…)。

だんだん人の数が増えてきて、空間が密になってきたので、後方に移動して鑑賞。ヴォーカルの人は「Let Me Hear You Scream!」と盛んにオーディエンスを煽っていて、「コロナ対策でみんなおとなしいのが気に食わないのかな…」などとなぜか観客であるこっちが申し訳ない気持ちになってしまいました。

最後の方は(アルコールを扱っているのがここだけであるがゆえに)混雑しているオフィシャルバーに並び、ドリンクチケットをビールに引き換えながら聴いてました。


◆AT THE GATES

CODE ORANGE終演後、オフィシャルバーで引き換えたビールを持って外のフードコーナーへ行き、空いていたお好み焼き屋でマヨたま焼きそばを購入してサクッと食事。

前回のレポを振り返ると、前回もこのマヨたま焼きそばを購入しており、マヨネーズも卵も焼きそばも好きな私にとって引かれやすいメニューなんだな、と後で思いました(笑)。

そして食べ終わると会場に戻り、今度はステージ上手(かみて)前方で待機。

ステージの背景に、全曲演奏が予告されていた名盤"SLAUGHTER OF THE SOUL"のアートワークが映し出されると(控えめに)歓声が上がる。

そして、アルバム冒頭のSEから、名曲"Blinded by Fear"が始まると一気にボルテージが上がる。

ただ、この曲に限らず本作収録の速い曲は、速過ぎてスネアドラムの連打に合わせてヘッドバンギングすることはとても不可能で(小刻みに頷いているというか、痙攣しているみたいなことになる/笑)、どうノっていいものかよくわかりませんでしたが、この硬質でヘヴィなサウンドはただ身を浸しているだけでも気持ちいい。

チェックのシャツにキャップを被り、お腹周りに肉(脂肪?)を蓄えたトーマス・リンドバーグの風貌はあまりカッコいいとは思えませんでしたが(苦笑)、MCを最低限に控えたことで、完全再現される"SLAUGHTER OF THE SOUL"の勢いが削がれなかったのは良かったと思います。

全曲演奏を終えた後のラストの曲は"The Night Eternal"で、なんだか辛気臭い終わり方だなと思ってしまいましたが…。


◆SOULFLY

正直、あまり期待していませんでした。いや、ライブ・パフォーマンスはきっと悪くないんだろうな、と予想しつつ、そのトライバルなヘヴィ・サウンドというのが私にとってはあまり魅力的に響かないというか、どの曲も似たような感じに聴こえてしまうというのが本音。

そんなわけで、ちょっと疲れてきたので後方で寝転がりながら観始めました。

失礼ながら、なんだったら寝落ちしてもいいくらいの気分で観始めた(聴き始めた)ライブでしたが、とにかく出音がカッコいい。
AT THE GATEの研ぎ澄まされた攻撃性とはまた異なる、オーガニックで骨太な感触のあるヘヴィさは聴いていて単純に気持ちよかったです。

そしてマックス・カヴァレラのフロントマンぶりがまた見事で、「アリガトー」など簡単な日本語を交えて親しみを作りつつ、オーディエンスを鼓舞し、巻き込んで盛り上げていく手腕はある種カリスマ的なものを感じました。ラスト曲の"Jumpdafuckup"では私もマックスに言われるがままにしゃがみ、ジャンプしてしまいましたね。

昨年脱退したマーク・リゾ(G)に代わってツアー・ギタリストとして参加していたのが元FEAR FACTORYのディーノ・カザレスで、そのFEAR FACTORYの曲もプレイしていたあたりが、マックス・カヴァレラという人のカリスマにつながる度量なんじゃないかな、と思ったりしました。

しかしラスト曲前の"Eye For An Eye"ではオーディエンスに掛け合い歌唱を要求していましたが、プロモーター側から「声出し禁止」と言われていることって伝わってないんですかね? 伝わっていた所でおとなしく言うことを聞くようなロック・ミュージシャンなんていない、というだけのことかもしれませんが…。

肉食な音を聴いてちょっと疲れが出てきたので、いったん会場外に出て、メッセ内のコンビニ(デイリーヤマザキ)で栄養ドリンクを買ってチャージしました。


◆STEEL PANTHER

バンドの演奏終了後、なぜか必ず流れるBLACK SABBATHの"Paranoid"のBGMにも、演奏開始前に毎回出て来る「モッシュしちゃダメ」おじさんのアナウンスにもだんだん飽きてきた頃合で、空気を換えるヘア・メタル。

というか、最新作"HEAVY METAL RULES"(2019)はもう3年も前のリリースで、日本盤もマトモにはリリースされていなかった(輸入盤帯付き仕様とかだったような)だけに、なんでこのタイミングで出演するんだろう?と思っていましたが、登場してみるとそんな事情はどうでもいいってくらい楽しい。ここまで割とヘヴィでシリアスなバンドが立て続いた中、ちょっと場違いなノリの彼らはまさに一服の清涼剤(?)。

キャッチーなグラム・メタル・サウンドは、「声援禁止」とか「モッシュ・クラウドサーフ禁止」と書かれたボードを持って場内をグルグル回っているイベント・スタッフにとって「ようやくただの轟音じゃない、歌っぽいバンドが出てきた…」と思えたのではないでしょうか(笑)。

「俺たち、プレイステーションや芸者、寿司も大好きだから、日本が大好きだ」「(日本語で)オッパイミセテ」「フシダラナオンナ」といったMCでも場内の笑いをとっていましたが、正直な所、オーディエンスの大半は(私も含め)その英語漫談の面白さの半分も理解できていなかったのではないかと思います。

途中、ドラマーがキーボードをプレイしてバラードを歌った時も、多くのオーディエンスは「ああ、バラードだな」なんなら「いい歌だな」くらいに思っていた雰囲気でしたが、歌詞が実はスイートなメロディとはおよそ似つかわしくない、お下劣極まりない内容だということが理解できていたらきっと爆笑に包まれていたことでしょう。

彼らのライブのハイライトは2つあり、ひとつは海外の公演でも披露していた、オジー・オズボーンの物真似による"Crazy Train"のカバー(アクションがよく似ている)、そしてもう一つは、"Asian Hooker"およびラストの2曲で登場した日本人ポールダンサーのお姉さん4名のパフォーマンスでした。

私は過去に2回くらい、こういうポールダンスが披露される場に行ってそのパフォーマンスを見る機会があったので知ってはいましたが、とにかくエロいというよりも体幹と筋力凄そう…という感じで、いずれにせよオーディエンスに強いインパクトを与えたことは間違いありません。

せっかくサッチェル(G)がテクニカルなギター・ソロを披露していても、目はついついお姉さんを追ってしまっていましたからね…(苦笑)。

しかしいずれにせよ彼ら(彼女ら?)の存在が、本日のフェス全体の印象を大きく変えたことは間違いありません。終演後は会場入り口ゲートで、そのポールダンサーのお姉さんたちとの撮影会という新たなコンテンツも提供されていましたし(笑)。


◆MASTODON

グラミー賞のメタル・パフォーマンス部門受賞経験もある、現代メタル・シーンの代表格とも言うべき彼ら。

LOUD PARK 06で、裏被りのない時間帯だったのでなんとなく観ていた記憶はありますが、ほとんど印象に残っていません。

その時に予習した"LEVIATHAN"(2004)と"BLOOD MOUNTAIN"(2006)は聴きましたし、当時話題になっていた感があった"CRACK THE SKY"(2009)もチェックした記憶があります。が、いずれも印象に残っていません。

評論家筋には非常に高く評価されているバンドだし、「なんだか凄そうなムード」は感じます。そして今、目の前で演奏しているバンドからもオーラのようなものを感じます。そして部分的にはカッコいい、と思えるパートもあったりするのですが、どうにも「曲」としての輪郭がつかめない。

やはり私には高尚というか、ちと敷居の高い音楽で、凄いからといって必ずしも好きになれるわけではない、ということですね。

終わり10分ほど前にまたオフィシャルバーでビールを買い求め、ラウパ時代からの定番といえる『イスタンブールGINZA』の屋台でケバブデラックスを買って食べる。50円値上がりしてました。


◆BULLET FOR MY VALENTINE

彼らのライブを観るのはSUMMER SONIC 2013以来。その時は広大なマリンスタジアムのステージで、同日同ステージに出ていたONE OK ROCKやマキシマムザホルモンの1/4~1/5くらいしか人を集められてなくて気の毒だった記憶があります。

しかし本日に関して言えば大盛況といった感じに見えるのは、単純に会場が小さいからかもしれませんが、単純にBFMVが大人気だったというか、「メタルの未来」的にもてはやされていた2000年代後半あたりにメタルにハマった人が多かったということなのかもしれません。

1曲目が、私のフェイバリット・ナンバーである"Your Betrayal"だったので私もPAブース横くらいまで前進し、(声を出せない代わりに)腕を振り上げて盛り上がりました。

ライブが進むにつれて思ったのが、「こんなにドラムがパワフルで上手かったっけ?」ということ。スタジオ盤はカッコいいけど、ライブだとちょっと迫力不足、という印象だったのが、随分逞しくなっている。

いくつかの問題作から、このバンドがどこまで本気でメタルを追求しているのかちょっと疑わしいと思っているのですが、このドラマーのおかげでメタル・バンドとしてのポテンシャルは間違いなく上がっていて、ある種私好みのパワー・メタリックな快感すら感じました。

ラスト、"Teas Don't Fall"から、そのドラマーの真骨頂となった怒涛の"Scream Aim Fire"がクライマックスだったわけですが、なんか彼らも「初期の名曲」でショウに人を呼ぶ中堅バンドに収まってしまいつつあるのがちょっと寂しい感じがしましたね。もっとビッグになれるポテンシャルはあったと思うのですが。

そして"Teas Don't Fall"のプレイ中、背景映像になぜかSTEEL PANTHERが使っていた映画『マトリックス』風の背景映像(緑色の文字が上から下に流れていくアレです。流れていく文字は「6」と「9」だけでしたが/笑)がちょいちょい混入して「何事?」と思わされました。


◆DREAM THEATER

そしていよいよ本日のトリ、DREAM THEATER。

LOUD PARKで何度も感じていた、「体力削られまくった後のSLAYERって、まあまあキツいよな…」という感覚、正直キツさのベクトルは違えど、DREAM THEATERにも同じことが言える。

しかも直近のセットリストは予習していたのですが、私のフェイバリットである"IMAGES AND WORDS"(1992)や"SCENES FROM A MEMORY"(1999)からの曲はなく、"AWAKE"からの"6:00"を除くと2000年代以降の(私の感覚で)新しい曲ばかり、かつ10分超え、あるいはほぼ10分クラスの大作揃い。これはかなりの耐久力を要する内容。

そもそもメタル・フェスのトリにDREAM THEATERってどうなの? という意見については、武道館でやったこともあるくらいの集客力があって、しかも他のメタル・バンドには決して提供できないような凄いパフォーマンスを見せてくれるわけですから、何の問題もないと思っています。むしろLOUD PARKのトリでDREAM THEATERより動員力があるバンドはむしろ少なかったんじゃないですかね。

そんなわけで始まったDREAM THEATERのライブは、最新作"A VIEW FROM THE TOP OF THE WORLD"からの"The Alien"で幕を開け、のっけから超絶技巧が炸裂。

DREAM THEATERのライブを観たことがない人は、「DREAM THEATERって、ライブで観るような音楽じゃないんじゃない? 家で『鑑賞』すべき音楽だと思うんだけど…」みたいなことを言いがちなのですが(というか私もそう思ってました)、意外なほど「パフォーマンス」としての見応えがあるんですよ。

ジェイムズ・ラブリエ(Vo)も、あんな長い曲の歌詞と曲構成を憶えているだけで凄いのに、結構ステージを動き回ってオーディエンスを盛り上げてくれますし、キーボードなんていうおよそ「魅せる」場を作りようもないように思えるパートを担当する還暦オーバーのジョーダン・ルーデスでさえ時にキーボードごと回転し、時にショルダーキーボードに持ち替えて前面に出て来る。

凡庸な演奏者であればテンポにあわせて音符を追いかけるのが精いっぱいになってしまいそうな高難度曲も、彼らのような卓越した演奏者であればライブでエモーショナルに聴かせることができる。

そもそもこの演奏を生で見られる、それだけで彼らのライブというのは観る価値があるんです。本来、音楽のライブというのは素晴らしい演奏を体験する場なんですからね。

彼らの音楽のイマジネーションを広げるための演出として用意されていると思しき背景のイメージ映像が、この2022年にPS2クオリティのCGなのがちょっと気になる所ですが(苦笑)、彼らの音楽はテクニカルかつプログレッシブでありつつも、ちゃんと起承転結というかストーリー性が感じられ、目を閉じれば映像などなくとも自然とイマジネーションは広がってくる。

とまあ、相変わらず非の打ち所がないパフォーマンスを繰り広げていたわけなのですが、本日に関しては音がデカすぎた(苦笑)。個人的にこれまで音がデカいと感じたMACHINE HEAD、LOUDNESS、MANOWARなどを超えるとまでは言いませんが、それらに匹敵するレベルの大音量で、しかも本日出演した全てのバンドが出した音符の数を凌駕するのではないかという勢いの音数が連打されるのだから正直耳に優しくない。

最近公私共にストレスが多いせいか、その超高密度な音の塊に消化しきれないような息苦しさを覚え、いったん場外に離脱して距離を取る。

音量が音量なので、場外に出てもその演奏は丸聞こえで、音楽を聴く分には何の問題もない。

最新作のタイトル曲からの、"BLACK CLOUDS & SILVER LININGS"(2009)収録の"The Count of Tuscany"という20分級の大作2連発という狂気の(?)クライマックスが終わると、アンコールを求める拍手が前方を中心に巻き起こっている。なんてみんなタフなんだ。

そしてそのアンコールの求めに応じて演奏されたのは"Pull Me Under"。20分級の大作2曲の後ということで、さしものメンバーも疲れていたのか、少々ラフな感触ではありましたが、その辺もアンコールっぽいということで、みんなが知っている(?)クラシックで盛り上がって締めることができました。

他の国では"The Count of Tuscany"が「アンコール曲」だったわけですが、正直(素晴らしいイマジネーションを備えた曲とはいえ)その曲では後味が「疲労感」になっていた気がします(苦笑)。


◆エピローグ

「行く前は微妙だと思っていたラインナップでも、行けば結局楽しい」という、LOUD PARK時代から感じていた「法則」は今回もしっかり生きていました。

というか、個人的にはライブ自体が2020年の3月以来、ほぼ2年半ぶりだっただけに、この音圧を再び体験できただけでなかなかグッと来るものがありました。

正直、もはやサマソニの1ステージにしてくれたほうがイベントとしての体験価値が上がるんじゃないかという気もしていたりするのですが(苦笑)、こうして「メタル」に特化したフェスが行なわれるのは本当に貴重なことだと思います。

終演後、次回の『DOWNLOAD JAPAN』は来春の開催であることが発表されましたが、元々2019年の第1回も、コロナ禍で中止になった2020年も3月実施だったわけで、次回からは「本来の形」に戻る、ということなのでしょう。

もしかすると、ここまでメタル度の高い『DOWNLOAD JAPAN』はこれが最初で最後でした、ということになるのかもしれず、そういう意味では貴重な体験をしたのかもしれません。

ベストアクト? どれも甲乙つけ難い内容でしたが、一番「話したくなるネタ」が多かったという意味でSTEEL PANTHERを推しておきましょう(笑)。





◆当日のフォトギャラリー
https://www.downloadfestivaljapan.com/photogallery

GAMMA RAY 30周年公演 "30 YEARS OF AMAZING AWESOMENESS"感想

GAMMA RAYのデビュー30周年公演"30 YEARS OF AMAZING AWESOMENESS"が有料ストリーミング配信で行なわれるということで、ユーロで料金を払って(もちろんクレジットカードです)観てみることにしました。

個人的には無観客ライブのオンライン配信という手法については懐疑的で、これだけYouTubeに様々なアーティストの過去のライブ映像が無数にアップされている状況下、お金を払ってまで観る価値があるとは思っていなかったというのが正直な所です。

まして今回、ライブがスタートするのがドイツ時間で8月27日(木)の20時、日本だと27時になるということで、翌日に普通に仕事がある身としてはリアルタイム視聴は難しく、アーカイブ映像を観るしかないとなると、いよいよ過去のライブ映像を観るのと何が違うのか、という感覚になってしまうわけで。

とはいえ、今回は30周年記念公演というメモリアルなライブのゲストとして初代ヴォーカリストであるラルフ・シーパース(現PRIMAL FEAR)が参加するということで、ラルフ在籍時のライブを観たことがない身としては興味をそそられるし、そもそもフランク・ベックなるヴォーカリスト加入後のライブも観たことがないので、「過去のライブ映像」だとしても観ておきたいかなと思って課金を決断しました。

パフォーマンスが行なわれる会場は、ドイツ中西部の都市デュッセルドルフにあるISSドームという会場で、主にアイスホッケーの試合に使われるアリーナ。収容人数12,500人というから、恐らくGAMMA RAYが単独でプレイする会場としては通常よりかなり大きな会場である。

どうやらこの会場はGAMMA RAYのためだけに借りられたわけではなく、このライブを主催しているNine Lives Entertainment、Headline Concerts、Twisted Talent Entertainmentによる合同オンライン興行プロジェクト、WORLD WIDE LIVEが、メタル以外のポップ・アーティストなども含む様々なアーティストの有料ライブ配信を行なうために一定期間会場を押さえているようで、おそらくまとめて会場レンタルする分、費用を抑えているのでしょう。

金曜日の仕事も遅かったので、実際に視聴できたのは土曜日の夜。缶ビールを用意し、ログインして再生開始ボタンをクリックすると、表示された映像尺は2時間25分。

「おお、そんなに長いライブをやったのか。さすが30周年公演やな」と思って画面を見つめていると、「STREAM WILL START SOON(もうすぐ始まるよ)」という表示のまま時間が過ぎていく。

そこでタイムスライドバーを少しずつ進めてみると、22分過ぎまではこの表示のまま。これってリアルタイムだと27時23分から始まったということなのか、このアーカイブ映像が27時の23分前から視聴可能状態になっていたということなのか。時間が時間だけに前者ならきっとキレてましたね(多分そんなことはなく、きっと後者なのだと思いますが…)。

WORLD WIDE LIVEの他公演告知映像の後、女性MCが登場。まずは公演前のインタビュー映像が流れたのですが、ラルフ・シーパースやカイ・ハンセンとフランク・ベックのような出演者のほか、何故かヨルグ・マイケル(元STRATOVARIUS他)が登場したのはちょっとしたサプライズでした。

ようやく始まったライブはオープニングSEの"Induction"から"Dethrone Tyranny"という、アルバム"NO WORLD ORDER"(2001)のオープニングの流れでスタート。11台のカメラでシューティングされているということで、基本的にはステージの全景というよりもここのメンバーが抜かれるカットが多いため、パッと見の印象は通常のライブ映像とあまり変わらない。

ただ、やはり歓声がないし、ステージ全景が見えるような引きのシーンになると、無観客であることの違和感というか、見慣れない感じがあり、今年初めてテレビで無観客のプロ野球や大相撲の映像を観た時に感じたようなもの寂しさを感じずにはいられなかった。

カイ・ハンセンも、なんだか複雑な表情をしており、見慣れない光景にちょっと戸惑っている感じが伝わってくる。

2015年にフランク・ベックという専任ヴォーカリストを加入させたにもかかわらず、カイ・ハンセンは未だにステージの中央に立っており、楽曲の歌い出しもカイが一人で歌う。

フランクは、サビやヴァースの一部など、「アルバムでは高音で歌っているが、ライブではカイがフェイクしてしまう箇所」を補う役目が中心のようだ。これはなかなか専任シンガーにとっては手持無沙汰になりがちなポジションである。「セカンド・ヴォーカリスト」という触れ込みだったが、「単なるコーラス・メンバーよりは出番があるよ」くらいの立ち位置である。

まあ、今どきギターが3人いたり、ラッパーやDJがいたり、ヴァイオリン奏者やなんだかよくわからない民俗楽器の演奏者がいたりと、メタル・バンドの編成のあり方も多様化しているので、フランク本人が「シンガーだがフロントマンではない」という立ち位置に納得しているのであれば、こういう役割分担もアリなのかもしれません。

もともと「カイ一人で長いツアーを歌いきるのが大変だから」という理由で加入したにもかかわらず、HELLOWEENの"PUMPKIN UNITED"が始まってしまったために、GAMMA RAYは長いツアーをやらなくなってしまったのは皮肉ですが(苦笑)。

"Dethrone Tyranny"の後、"New World Order"という"NO WORLD ORDER"からの楽曲がもう一発続いた後、最新作(といっても6年前ですが)の"EMPIRE OF THE UNDEAD"から"Avalon"、そして"Master Of Confusion"がプレイされる。

1曲終わるごとに、視聴者がリアルタイムで送っていると思われる写真と、メッセージがそれぞれ4つ5つ表示された画面が挿入されるのですが、どうやらステージからはその画面が大型モニターで映し出された状態で見えているらしく、それがバンドが確認できる「オーディエンスのリアクション」のようだ。

「オーディエンスとのコミュニケーション」がライブの醍醐味なので、こういう仕掛け/仕組みは必要なのだと思いますが、一方でライブ・シーンの映像がブツ切りになってしまうので、人によっては煩わしいと感じそう。マルチ・モニターであれば1画面でライブを、もう1画面で他のオーディエンスの反応を見る、みたいなこともできそうですが、それはそれでパフォーマンスに集中できない気もしますし、なかなか難しいですね。

11台分のカメラ・クルーやPAスタッフなど、もちろん運営スタッフは会場におり、時々小さくはあるものの歓声なども聞こえてきたので、場内は完全に無人というわけではなく、関係者なども多少いるようだ。カイをはじめとするバンドのメンバーも、そのモニターや場内にわずかながらいる人たちに向けてプレイをする、というスタンスで、なんとなくライブ・パフォーマンスのペースを徐々につかんでいったように見えました(何しろGAMMA RAYにとっては名実ともに初めての無観客ライブだったようなので)。

単なる習慣なのか、モニターの向こうで観ているオーディエンスに対する意識的なアピールなのか、カイやフランクがコーラス・パートなどでオーディエンスに合唱を促すような身振り手振りをするのはいささか滑稽ではありましたが…。

"TO THE METAL"(2010)収録の"Empathy"(カイはこの曲がどのアルバムに収録されていた曲か正確に憶えていないようでした/苦笑)がプレイされた後は、フランク・ベックが「俺が好きなアルバムの曲だ」と、名盤"LAND OF THE FREE"(1995)からの"Rebellion In Dreamland"と、"Land Of The Free"がプレイされ、個人的にはこの辺りで缶ビールの酔いも回り、テンションが上がってくる。

そしていよいよ本日のスペシャル・ゲスト、ラルフ・シーパースが登場、デビュー作"HEADING FOR TOMORROW"(1990)の実質的オープニング・トラック"Lust For Life"がプレイされる。

うーん、フランクには失礼だが、やはり存在感が違う(単純にガタイがデカいからというのも大きいですが)。私が最初に聴いた彼らのアルバムが"HEADING FOR TOMORROW"ということもあり、この曲には思い入れがある。

セカンド・アルバムからの"One With The World"を挟み、再び"HEADING FOR TOMORROW"からの"The Silence"。その後どんどん希薄化していったGAMMA RAYのQUEEN的側面が最も強く表れた曲で、これはラルフの歌で歌われてこその説得力。こういうポジティブな感動を生むメタル・バラード(単純にバラードという感じの曲ではないですが)って、本当に希少だと思います。

なぜかいったんラルフが引っ込んで、"POWERPLANT"(1999)収録の"Armageddon"がプレイされた後、再びラルフが戻ってきて、あの印象的なコーラスと共に"HEADING FOR TOMORROW"がプレイされる。

もしかするとバンド側の意識としては"Armageddon"が「本編ラスト曲」で、この"Heading For Tomorrow"からは「アンコール扱い」なのかもしれないな、などと思ったり。

"Heading For Tomorrow"が終わると、彼らのライブのエンディングの定番である"Send Me A Sign"(なぜこの曲が定番エンディング曲になったのか、事情知っている人がいたら教えてください)がプレイされる。あれ、もう終わり? という気分になりましたが、動画のタイムゲージを観ても確かに終わりのタイミング。

これまで観た彼らのライブでハイライトになっていた"Future World"や"I Want Out"といったHELLOWEEN曲がないのはPUMPKIN UNITEDが実現した今となっては不思議ではないし、期待もしていなかったのですが、昨年何度か行なわれていたライブで必ずプレイされていた"Heaven Can Wait"と"Man On A Mission"、"Heavy Metal Universe"がプレイされなかったのはちょっと残念。

ファンにあるまじきことを言ってしまうと、彼らはライブ・パフォーマンス自体が無茶苦茶カッコいい、というタイプのバンドではないので、ライブの満足度というのはほぼ選曲の良さに比例してしまうため、そういう意味で本日のライブは最高とは言い難いものがありました。

しかしまあ、彼らにとってもこういう無観客ストリーミング・ライブというものが初めてだったのと同様、私にとっても初めての体験だったので、経験としては新鮮で、さらにはフランク・ベックがいるGAMMA RAYを観られたし、ラルフ・シーパースが歌うGAMMA RAYを観られたという意味でも、19.99ユーロ(2,500円くらいですかね)以上の価値は確実にありました。

というか、本来30周年イヤーとなればもっと大々的にツアーをやって儲けられたはずなのに、この配信ライブくらいしかイベントができないとしたら、非常にもったいないというか、気の毒ですよね。彼らに限らず、アニバーサリーイヤーがこのコロナ禍に重なってしまったアーティストは本当に不本意だろうと思います。

カイ・ハンセンがショウの途中のMCで「5,000人のファンが観てくれている」ということを言っていましたが、それはリアルタイムで観ている人が5,000人ということなのか、私のようにアーカイブで観る非リアルタイム組も含めての5,000人なのか、いずれにせよ実際にワールド・ツアーをやれていたらもっと多くの人に観てもらえたはずだと思うのですが。

そんな彼らに少しでもお布施をして、音楽活動継続の協力ができたという意味でも、このライブを視聴した甲斐はあったかなと思います。

しかしライブ中に寄せられていたコメント、大半がヨーロッパと中南米からのもので(特にブラジルやアルゼンチン、チリ、ニカラグア、ホンジュラス、ベネズエラといった中南米が多かったのは、ファン層が若いのだろうと思います)、30年前には彼らのメイン・マーケットだったはずの日本からのものが1件もなかったのは、時差の問題で仕方がないとはいえ、ちょっと寂しい気持ちになりましたね。

1件だけ、香港からのメッセージがあり、それにはカイ・ハンセンも「おお、香港からもコメントが来てる!」と反応していました。それが「ド深夜であるアジアから来てて凄い、ということなのか、今、中国本土との関係で話題になっているニュースなエリアから来てることに対して感銘を受けたのかは定かではありませんが…。

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