FC2ブログ

PRIMAL FEAR / SINNER 来日公演 at duo MUSIC EXCHANGE 2018.11.11

ドイツのメタル・マイスター、PRIMAL FEARの来日公演を観てきました。

ここ1ヶ月ほどの間にANGRA、PRIMAL FEAR、PRETTY MAIDS、KAMELOTと、私の好きなメロディック系メタル・バンドの来日公演が相次いでいて取捨選択に困ってしまうのですが(まあそもそも最近小忙しくて平日のANGRAは諦めざるを得なかったのですが)、11月11日は日曜日だし、何しろ「メタルの日」なので、そんな日に観に行くにはPRIMAL FEARというメタルの権化みたいなバンドは最適だろう、ということで観に行くことを決めました。

今回"Very Special Guest"(要は前座ですが)としてSINNERという、「未だ見ぬ強豪」が観られる、というのもライブに足を運ぶことを決意するにあたって結構大きなオプションでした。

そういえばSINNERおよびPRIMAL FEARのリーダーであるマット・シナーはベーシスト、11月11日は「ベースの日」でもあるので(ベースの弦が4本であることを考えれば理由は明らかかと思います)、今日はこのライブに足を運ぶのは必然だったと言えるでしょう(?)。

SINNER

私が入場して3分ほどで照明が落ち、彼らのショウのスタートを告げる『モンティ・パイソン』の曲である「Always Look On The Bright Side of Life」が流れ、SINNERのメンバーが登場。

彼らの代表作のひとつである1986年の『COMIN' OUT FIGHTING』のタイトル曲でライブはスタート。ベテランらしい風格がありつつ、ロートル感のないエネルギッシュなパフォーマンスで、一気に場内のオーディエンスを掌握する。

続くはやはり代表作のひとつであるクラシック・アルバム『TOUCH OF SIN』(1985)からの「Bad Girls」。個人的にはあのアルバムからであればもっとカッコいい曲があるとは思うが、80年代らしい曲で、場内に多いアラフィフと思われるおじさま方にとってはすんなり入っていけるのではないかと思われる。

そして充分あたたまったオーディエンスに、最新作からのスピーディーな「Tequila Suicide」で一気にギアを上げる。この辺のショウ運びの上手さはまさに老練と言うに相応しい。ステレオタイプながらわかりやすいMCもオーディエンスから活発な反応を引き出していた。

初期の名曲「Danger Zone」では、それまで下手(しもて)の奥でコーラスをしていたラテン系美女がメイン・ヴォーカルをとる。それまでのコーラスは女性らしい高音でサビを補強しているだけという感じだったのが、ここではマット・シナーの男臭い歌声のイメージを裏切らないロックな歌唱を響かせ、オーディエンスを驚かせる。

若い女性(23歳)ならではの愛嬌もありつつ、ロック・シンガー然とした華がある彼女のパフォーマンスに、私のハートは一気に撃ち抜かれてしまいました(笑)。

この時は気付きませんでしたが、彼女はファビオ・リオーネ(元RHAPSODY OF FIRE、現ANGRA)とのプロジェクト、ETERNAL IDOLで歌っていたジオルジア・コルレオーリ嬢だったんですね。なんならこのまま全曲歌ってくれて構わなかったのですが、その後は再びマット・シナーのヴォーカルで「Concrete Jungle」と「Knife in My Heart」をプレイ。

「Knife in My Heart」で、あえてオーディエンスに静かになることを求める趣向も印象的で、こういうちょっとした工夫でショウにフックをもたらすあたりもベテランならではの手腕だな、と感心しました。

彼らのライブの定番であるビリー・アイドルの大ヒット曲「Rebel Yell」のカヴァーも盛り上がった後、「Germany Rocks」(歌詞は「Tokyo Rocks」に変更)と、LED ZEPPELINのカヴァーである「Rock and Roll」が、半ばアンコールのようなノリ(オープニング・アクトにもかかわらず)プレイされた。

特に後者「Rock and Roll」では再びジオルジア・コルレオーリ嬢がメイン・ヴォーカルを務め、ロック・シンガー然としたカッコ可愛さを振りまいていたので、有名曲ということもあって大盛り上がりでした。

全体的に今どき珍しいほどに骨太なハード・ロック然としたパフォーマンスで、ぶっちゃけSINNERの曲は知らなかった人も多いのではないかと思われますが、約1時間に及ぶ尺も含め、単なる前座以上の満足感をもたらしてくれました。


PRIMAL FEAR

SINNERの終演後、HELLOWEENやKISSなど、HR/HMクラシックばかりがBGMとして流れる中、ステージのバックドロップがSINNERからPRIMAL FEARのものに転換されると、歓声が上がる。

そこからまたしばらく待たされたものの、SINNERのパフォーマンスから30分ほど経って、PRIMAL FEARのショウが開始する。

と言っても、マット・シナー(Vo, B)をはじめ、トム・ナウマン(G)、フランチェスコ・ジョヴィーノ(Dr)の3名はPRIMAL FEARのメンバーでもあるので、SINNERのライブの終わりに「数分後に会おう」と言われていた通り、「再会」である。連続ステージお疲れ様です。

ショウのオープニングは、(なぜか)定番である「Final Embrace」でスタート。歌が始まるタイミングで登場するラルフ・シーパース(Vo)の存在感というか筋肉のゴツさは非常に印象的。

本日はサウンドもいたって良好で、ソリッドなザクザク感が非常に気持ちいい。ラルフ・シーパースの金属系ハイトーン(?)と共に、これぞメタルの醍醐味という感じ。

これまでリリースしてきた12作のアルバムから、『BLACK SUN』、『SEVEN SEALS』、『UNBREAKABLE』の3作を除く全作から満遍なく選曲しつつ、最新作『Apocalypse』から5曲と、セットリストの1/3をプレイするあたりは、デビューから20年以上のキャリアを経てなお新曲で勝負できる現役感が頼もしい。

これでマグナス・カールソン(G)を目の当たりにすることができたら完璧だったのですが、まあそれは叶わぬ望みというやつなのでしょう。近年のアルバムの充実は彼の貢献あってのものであることは恐らく間違いないので「そういう人」だと割り切るしかないんでしょうね。

このバンドの絶対的な強みであるラルフ・シーパースはパワーやピッチの安定感とも、これまで観たベストとは言い難いもので、楽曲のキーも下がっているので、さすがに50代に入って多少の衰えはあるのかもしれませんが、要所要所でキメるハイトーン・スクリームの強力さは余人の追随を許さぬ金属感。

とはいえ一度は生で観て(聴いて)みたいと思っていた「Back From Hell」みたいな超絶ハイテンション曲は流石にもう望めないんでしょうね(苦笑)。

その歌唱の強靭さはもちろん、フロントマンとしても素晴らしく、楽曲のキメに合わせて繰り出されるポージングも、その堂々たる体躯なればこそ様になるというもの。

MCも日本語をちょいちょい織り交ぜてコミュニケーションをとってくれるのですが、この日のオーディエンスは年齢こそ高めだったものの非常に士気が高く、盛り上がりはかなりのもの。その盛り上がりを受けてラルフも「スゲー!」と感嘆してくれました(笑)。

ただ、「ありがとうございます」は完全に「アリガトウゴイザマス」と間違って記憶しているようでしたが(苦笑)。

もはやSCORPIONSの「荒城の月」と同様、来日公演の定番となっている「朧月夜」をアカペラで歌い切った後、メタル・アンセム「Metal Is Forever」で本編が終了。

熱気冷めやらぬオーディエンスの「PRIMAL FEAR」コールによってすぐにステージへの帰還を余儀なくされたバンドがプレイし始めたのは、このバンドのレパートリーで最もドラマティックと言っていいだろう名曲「Fighting the Darkness」。この曲の中間部、「The Darkness」のパートは本当にカッコいい。

なぜかこの期に及んでステージ袖からジオルジア・コルレオーリ嬢が盛んにスマホでPRIMAL FEARのステージの写真を撮っているのが微妙に気になりましたが(私が気付かなかっただけでそれ以前から撮影していたのでしょうか?)。

ラストは「Metal Is Forever」に続く新たなるメタル・アンセム「In Metal We Trust」。この曲は大好きなのでライブで聴くことができてありがたい。

純度100%のヘヴィ・メタルにオーディエンスも満足気に映りましたが、どうしてこのバンドが700人そこそこしか入らない小さなハコでライブをやっているのか、ということについては納得がいかないですね。

ヘヴィ・メタルとしてはちょっと健康的というか真っ当過ぎて、いかがわしさとかEvilさが足りないのがいけないんでしょうか…。


ちなみに本日、ライブ会場内で見かけたメタルTシャツは、PRIMAL FEARのものが多かったのは言うまでもないのですが、それ以外もJUDAS PRIESTやRIOT、SAXON、WARLOCK(!)など相当に正統派メタル色の強いものでした(一方でBABYMETALのものも見かけましたが/笑)。

primalfearsinner2018.jpg
スポンサーサイト

SINSAENUM来日公演 with SIGH, にゃんごすたー at 渋谷クラブクアトロ 2018.11.7

sinsaenum2018_2.jpg

このブログを定期的にチェックして下さっているような方であれば、今週このブログにライブ・レポートがアップされるとしたら、それはANGRAのものだろうと思っていたと思います。

しかしまさかのSINSAENUM。DRAGONFORCEのメンバーが含まれるとはいえ、「メロディック」という冠詞の付かないデス・メタルです。

なぜANGRAではなくSINSAENUMを観に行ったのか? それはいわゆる大人の事情というやつです。

18時の開場と同時に、オープニング・アクトである近年ちょっと話題のゆるキャラ、「にゃんごすたー」のステージが始まるということで、色々なものをブッチしてほぼ定時で会社を飛び出し、小雨の降る中クラブクアトロに向かう。

開場時間になって会場入りしても、まだにゃんごすたーの演奏は始まらず、場内BGMとしてIRON MAIDENの『FEAR OF THE DARK』アルバムが流れている。

にゃんごすたー

場内が3割~4割埋まり始めたタイミングで「りんごの唄」(古~い大ヒット歌謡曲ですね)が流れる中、この日のための特別仕様な着ぐるみ(コープスペイント風?)に身を包んだにゃんごすたーが登場。

なぜこんなゆるキャラが出演しているかというと、「にゃんごすたーは青森県黒石市の(非公認)ゆるキャラ」、にゃんごすたーが所属するビーイングの社長は黒石市出身、そのビーイングとSINSAENUMの所属するワードレコーズは浅からぬ縁がある、にゃんごすたーはSINSAENUMのドラマーであるジョーイ・ジョーディソンのファン、みたいなつながりで出演が決まったようです。

まず1曲目はYouTube動画もバズっていた、「アンパンマンマーチ」をツカミとしてプレイ。前半はかわいらしく普通にプレイするものの、後半はブラスト・ビート炸裂というお子様号泣必至の(?)アレンジだ。

しかし本領はこれから。CARCASSの「Heartwork」、PANTERAの「5 minutes Alone」、IN FLAMESの「Embody The Invisivle」、SLAYERの「Raining Blood」と、エクストリーム・メタル・ファン歓喜必至の名曲が次々とプレイされる。

「Embody The Invisivle」の前に違う音源が流れちゃったり、演奏中スティックが飛んで行ってしまったり、「Raining Blood」では冒頭ちょっと勢い余って音源より速いテンポで叩いてしまったりと、30分弱ほどの時間の中で様々なトラブルはありましたが、着ぐるみを着てこのプレイは凄い。

やはり着ぐるみを着てこれらの楽曲をプレイするのは暑いのか、曲間にはドライヤーで着ぐるみの中に冷風を送り込んでいました(笑)。

同じ「非公認ゆるキャラ」であるふなっしー(にゃんごすたーは青森県黒石市の非公認ゆるキャラ)とコラボした「Caramel」をプレイした後、ラストにARCH ENEMYの「Nemesis」をプレイして終了。

まあ、言ってしまえばYouTubeやニコニコ動画でいう「叩いてみた」でしかないわけですが、名曲ばかりなので楽しめたことは事実です。

少数ながら、赤い猫耳を付け、赤いサイリウムを振り回すような熱心なファンもいたのですが、彼女たちにとって本日にゃんごすたーがプレイした楽曲は受け容れられるものだったのでしょうか。


SIGH

日本を代表するブラック・メタル・バンドとして海外でも評価の高いバンドゆえ、一度観てみたいと思っていました。

私のように主にネットでメタルの情報を取る人間には、このSIGHの中心人物である川島未来氏(Vo)はむしろライターとしてその名を目にする機会が多く、もはやライターとして認知している人もいるのではないかと思っています。

そのエクストリーム・メタルに限らない圧倒的な音楽知識によって、ディープなミュージシャンからディープな話を引き出すことができる才人ゆえ、そういう人がどのようなライブ・パフォーマンスをするのか、ちょっと興味がありました。

シンフォブラの名盤として名高い『HUNGMAN'S HYMN』以外のアルバムは聴いたことがない私でしたが、そのアルバムからの曲もプレイしてくれたので「知ってる曲がない」状態になることはなかったのでひと安心。

もっとも、知らない曲にもちゃんとフックがあって、川嶋未来氏は無愛想に見えて、意外にちゃんとリスナーを意識したソングライティングをしているということはあらためて感じさせられました。

一方で、ステージング自体はだいぶB級というかアングラなもの。東京大学で物理学の博士号を取得しているという才媛、Dr.Mikannibalの血糊を浴びるパフォーマンスをはじめ、学生時代に付き合いで一度観たことがあるアングラ芝居に通じる独特の空気感がありました。このムードは意図せず結果論としてこうなっている部分もありつつ、狙って作っているものなのでしょう。

Dr.Mikannibalが歌っている時など、しばしば川嶋未来氏が脇に置いてあるキーボードをプレイするのですが、別に氏が歌っている時でもバッキングのキーボード・サウンドは同期で鳴っているし、別に凄いソロを弾いているというわけでもないので、別にライブでは全部同期にして弾かなくていいんじゃないかという気もしたり(笑)。

また時折、川嶋未来氏がフルートを、Dr.Mikannibalがサックスを吹くのですが、サウンドバランスが悪かったのか、なんか鳴ってるかな~という程度でほとんど聞こえず。

ノーマル・ヴォイスで歌うパートについては正直、日本人バンドにありがちなショボさを感じてしまい、コーラスも同期音源で足した方がいいんじゃないかという気がしましたが、極力生で演るというのが「こだわり」なのでしょう。

ちなみに下手(しもて)後方ので観ていたのですが、フロアに立っている柱が邪魔でベースの人は1秒も見えませんでした。


SINSAENUM

DRAGONFORCEのベーシスト、フレデリク・ルクレールを中心としたデス・メタル・バンド(プロジェクト?)で、ジョーイ・ジョーディソン(Dr: 元SLIPKNOT, 現VIMIC)に、アッティラ・シハー(Vo: MAYHEM)、ショーン・Z(Vo: 元CHIMAIRA, 現DAATH)、ステファン・ピュリエ(G: LOUDBLAST)、ハイモット(B: SETH)という、エクストリーム・メタル界隈では知られた面々が集っている。

ただし今回の来日では「個人的な事情」でアッティラ・シハーは帯同せず、Voはショーン・Z一名のみ。

にゃんごすたーの段階では4割程度だった客入りがSINSAENUMの出番になって7割程度まで増えてくる。なんとなく客層的にやはりSLIPKNOTのドラマーだったジョーイ・ジョーディソン目当ての人が多いのかな、という感じで、ジョーイが登場し、場内を煽るとフロアからこれまでにない熱狂的な反応が巻き起こる。

一応YouTubeに上がっていたMVは一通りチェックして臨んではいたものの、なにぶん私の守備範囲から外れるタイプのエクストリーム・メタル・サウンドゆえ、そのパフォーマンスに特にケチをつける要素は見当たらなかったものの、ちょっと冷めた目で見ていました。

5~10人程度の少人数でモッシュが行なわれ、その限られた若者たちだけはやたらとクラウドサーフを繰り返していて、この子たちはちゃんと音楽を聴いているのかしらん、という感じでしたが、まあこういうのが全くないとエクストリーム・メタルのライブとしてはちょっと寂しいというのも事実なので、私を巻き込まない限りにおいては大いに盛り上がっていただきたいですね(笑)。

てか、このバンドももし今年LOUD PARKが出ていたら単独公演ではなくそっちに出演していたんじゃないでしょうか。

このバンドはメロディックな要素を排したデス・メタル・サウンドながら、あまりアングラ感はなく、ドロドロした邪悪さみたいなものもあまり感じさせないので、ある意味マニア以外にも聴きやすいように感じました。

そういう意味では、SIGHはこのバンドのリスナーとは相性が悪かったかもしれないな、などと思ったり。


振り返ってみて、この夜一番楽しめたのはにゃんごすたーだったかもしれない、というのは内緒です(笑)。

BABYMETAL - DARK NIGHT CARNIVAL at さいたまスーパーアリーナ 2018.10.28 感想

先日、YUI-METALの脱退という大ニュースが発表されたBABYMETALの、「WORLD TOUR 2018 in JAPAN」の追加公演という形で発表された「BABYMETAL WORLD TOUR 2018 in JAPAN EXTRA SHOW “DARK NIGHT CARNIVAL”」(長い)を観てきました。

YUI-METAL脱退のニュースが発表された翌日にチケットが一般発売になったので、果たしてマイナスワンのBABYMETALはどういうことになるのか興味がわいてチケットを取りました。

もちろん、SABATONと、GALACTIC EMPIREが出演することも、チケット購入の後押しになったことは言うまでもありません。

そして本日さいたま新都心駅に降り立つと、「今年も10月にさいたまスーパーアリーナにメタル・フェス(もどき)を観に来たなあ…」という、LOUD PARK皆勤賞男ならではの(?)妙な感慨を覚えました。

時期柄ハロウィン(HELLOWEENではなくHALLOWEEN)ということで、来場者も仮装OKということになっている。

アリーナ前のけやきひろばを見渡すと、たしかにBABYMETALのメンバーのコスプレをした女の子も目につきましたが、こういう人たちは普段のライブにはいないのでしょうか?

それ以外にも神バンドを意識したと思しき白塗りのコープスペイントをした人や、GALACTIC EMPIREに敬意を表してかライトセーバーを持った人などもいましたが、まあ大半は「忘年会の仮装」レベルで、コミケなどいわゆるオタク系のイベントにいるような完成度の高いレイヤーさんはほとんどいませんでした(どうでもいい)。

開場時間まで、想定される長丁場に備えて腹ごしらえをしようとけやきひろば地下の飲食店に向かうと、同じフロア内にある2ヶ所の男子トイレがどちらも超絶大行列になっていてビックリ。やはりというか客層は男ばかり。

食事が終わっても、開場時間から開演時間まで1時間半と結構間があるので、小一時間ほど近くのカフェで時間をつぶし、開演30分ほど前に場内へ向かう。

開場から1時間近く経っているにもかかわらず結構並ばされたわけですが、来場者はアラフォーぐらいと思われる男性がメインという意味ではLOUD PARKに近い。

まあ、これが「ラウパに来るような人たちに支持されているから」なのか、元々女の子のアイドル・グループの客層というのがこういうのものなのか、私はあまり他のアイドルのライブに行ったことがないのでわかりませんが…。

入場してみると、一般発売で買ったチケットなので予想通りのクソ席。上手(かみて)側400レベルというラウパでは使用されない高層レベルの席で、高所恐怖症の人なら結構怖いんじゃないの、という高さと角度。

場内BGMはメタルで、HELLOWEENやMEGADETHなどが流れていたが、開演時間を少々過ぎ、METALLCAの「Enter Sandman」が流れる途中で場内が暗転、モニターに「GALACTIC EMPIRE」のロゴがフィーチャーされ、スターウォーズのキャラクターのコスプレをしたメンバーたちが登場して歓声を浴びる。

GALACTIC EMPIRE

かの有名映画『スター・ウォーズ』の帝国軍キャラクターの衣装を身に纏い、テーマ曲や劇中曲をメタル・アレンジで演奏するバンドで、2017年にアルバム・デビュー、今年セカンド・アルバムを出し、一部で話題になっていたバンド。

まあ、正直イロモノ感は否めませんが、スター・ウォーズのキャラクターが楽器を演奏しているというシュールな絵面も面白いですし、メイン・テーマ曲や「ダース・ベイダーのテーマ」などは『スター・ウォーズ』を観たことがないというような人でさえどこかで耳にしているだろう有名曲なので、中途半端に有名な中堅メタル・バンドを呼ぶよりはなじみがいいかもしれません。

とはいえ、なにぶん全曲インストなので、本日やった30分以上の尺でプレイされたらダレたかも。

インストで勝負しているだけあって、演奏は達者なものだし、『スター・ウォーズ』ファンならニヤリというかクスリとしてしまいそうな小芝居や演出などもあって30分間観る分には結構楽しめたんですけどね。どちらかというと、メタル・フェスよりは『スター・ウォーズ』マニア向けのイベントで盛り上がるタイプのバンドな気がします。

演出のひとつとしてMOSH'SH PIT(アリーナスタンディング)に投げ込まれた「デス・スター」を模した巨大ビーチボールが、あっという間にスタンディングエリアの外に飛び出していき、スタッフが再投入するもまた一瞬ではじき出され、1曲ともたず早々に撤収されていったのは失笑を禁じえませんでしたが…。


SABATON

いったん通路に出て売店でビールを買い(東京ドームで観た時はアルコール禁止でしたが、今日は大丈夫でした)、席で飲んでいると、キッチリ30分のインターバルで二番手のSABATONがスタート。

残念ながら今回は名物の「戦車ドラム」は持ってこられなかったようで(というか、BABYMETALのステージセットと共存できなかったのでしょう)、セットなしのシンプルなステージ。

とはいえ、定番のオープニング・チューン「Ghost Division」におけるヨアキム・ブローデン(Vo)のあのエネルギッシュなアクションを見たら、オーディエンスはたちまち鼓舞されていく。

勇壮かつキャッチーなわかりやすい楽曲ばかりなこともあり、自然とスタンディングの人たちの腕も上がる。

前座ということもあって、彼らのショウの定番であるメンバー間のコント的なやりとりもありませんでしたが、比較的新しいメンバーであるトミー・ヨハンソン(G)の紹介を兼ねてひとボケかましたり、楽曲をプレイしている最中にクリス・ローランド(G)がなぜかヨアキム・ブローデンをタックルで押し倒して、そのままクリスがヨアキムに馬乗りになった状態で演奏を続けたりといったちょっとした趣向はあり、ストイックなメタル・バンドとは異なるユーモラスで親密な雰囲気を演出する。

「日本の歴史についての曲だ」というMCで始まった「Shiroyama」は、期せずして今年の大河ドラマネタでもあり、場内の反応もすこぶる良い(モニターに映し出されるイメージ映像は日本史に対する誤解に満ちたものでしたが)。

そして「悪い報せと良い報せがある。悪い報せは、もう俺たちがプレイする時間がほとんどないってことだ。そして良い報せは、この後素晴らしいバンドが登場する。BABYMETALだ!」という、彼らがフェスにトリ以外で出演した時の定番のMCから「To Hell And Back」プレイされると、MOSH'SH PITの後半ブロック前方では小規模ながらもサークルピットが生まれるなど、場内の盛り上がりは最高潮に(スタンドは座ったままでしたが…)。

もはやSABATONのライブなんじゃないかという熱い盛り上がりにヨアキムも「すぐに日本に戻ってこなきゃな!」と嬉しそうでした。

このバンドがここまでオーディエンスの心を掴むのは、エネルギッシュでサービス精神に溢れたパフォーマンス、わかりやすい楽曲もさることながら、ヨアキムがオーディエンスに「マイフレンド」と呼びかけることにうさん臭さがなく、オーディエンスが盛り上がると本当に感動しているように見えるし、「俺たちは本当に日本が大好きなんだ」という、大抵の外タレが口にする言葉にさえ社交辞令っぽさがなく、ちゃんと真実味があるという、陳腐な言葉でいうと「人徳」があるからなんじゃないかと思います。

多分これってどの国のライブでも言ってるんでしょうし、SABATONはメンバー・チェンジも結構多いので、私などはパブリック・イメージほどヨアキムも単純に「いいひと」ではないのではないかと思っていますが、こういう「まごころ」を感じさせることができるというのは、ひとつの才能だと思います。


BABYMETAL

ビールの利尿作用が効いてきて、トイレに出ると、目を疑うほどの長蛇の列。さいたまスーパーアリーナを1/3周くらいしそうな勢い。物販かよ。

とはいえまだ18:20くらい。きっとキリのいい19:00に始まるんだろうから、さすがに40分あれば間に合うだろ…と思っていたら、ようやく半分くらい進んだ18:40分過ぎに場内から大歓声が聞こえてくる。

「うそやん」と、思わずなぜか関西弁で呟いた瞬間、列からトイレを諦めた大量の離脱者が場内に駆け戻っていき、グッと列が短縮される。しかしまだ30人以上は残っている。

私もここで戻るべきだったかもしれないのだが、ここまで20分以上並んだトイレを諦めてライブを観て膀胱炎になってもしかたないと思い、サンクコストかも、とは思いつつ残った人たちの列に並ぶ。

そして私が席に戻った時には1曲目(?)の「Distortion」がまさに終わろうというタイミングで、実質2曲目、「ギミチョコ!」からの鑑賞でした。

ネット上の噂は目にしていたが、かつてSU-METAL、MOA-METAL、YUI-METALの3人がいた場所には、黒っぽい衣装を着た7人の女の子たちがいる。

結局最後までMOA-METAL、YUI-METALの区別があやふやだった(さすがにアップで見ればわかるようになったものの、ステージを遠目で観ているとお手上げ)私だけに、当然マイクを持って歌っているSU-METAL以外は皆同じ女の子に見えてしまう。せめて衣装の色か髪型を変えてくれ。

これってMOA-METAL的にはどうなんですかね。よく見ると微妙にプライオリティ高く扱われているのかもしれませんが、もはや完全にSU-METALのバックダンサーズのOne of Themみたいな感じですよ。

これがあくまで、彼女らが描く「METAL RESISTANCE SAGA」の「ダークサイド」エピソード限定の体制なのか、恒久的な新体制なのかはわかりませんが、私がMOA-METALだったら(SU-METALを除く)1/2から1/6に降格された気分になってしまいそう。

そしてまたわからないのがメイトと呼ばれるコアなファンの心境。メイトの大半がメタル・ファンではなくアイドル・ファンであるとするなら、女の子が増えるのはウェルカム、ということになるのでしょうか?

メタル・ファン的な感覚で言うと、(神バンドと違って)音楽に関わらないメンバーが増えるのは、よくある大人数のアイドル・グループに近づいたような気がして、少なくともカッコよくなったとは思えない。とりあえず間違いなく言えるのは、私にはこの7人の名前と顔が全員一致する日はきっと来ないことでしょう(苦笑)。

まあ、大人数アイドル・グループと言っても、印象としてはAKB48というよりは安室奈美恵 with スーパーモンキーズという感じですが…。

「ギミチョコ!」の後、新曲?と思われる耳慣れない曲を挟み、私のフェイバリット・チューンである「紅月」がプレイされる。

イントロの静かなパートが終わった後「アカツキだーっ!」とSU-METALがシャウトするのは、X JAPANのアレを知っている人なら笑うトコロ。楽曲や歌声が素晴らしいのはもちろん、パイロが派手に炸裂して見応えも充分。

そして「紅月」の後にこれまたマイナー調の新曲、「Starlight」が続くと、なんとなく場内がしんみりしたムードに。個人的にはこういう「シリアスなBABYMETAL」が好きだが、「ギミチョコ!」で入ってきたような人たちにとってはどうなのでしょうか。

そんな思いを吹き飛ばすかのように、「スター・ウォーズ」パロディの映像を挟んで、ネタ曲(?)である「META! メタ太郎」が始まる。

この曲の途中で、GALACTIC EMPIREのダース・ベーダーと、SABATONのヨアキム・ブローデンがゲストで登場。とはいえヨアキムが登場時にバズーカ(もちろんオモチャ)を一発ぶっ放した後は特に何をするでもなく、「この演出、必要?」状態。

特に見せ場もなくダース・ベイダーとヨアキム・ブローデンが引っ込んだ後、「メギツネ」「KARATE」と、人気の高いMV曲が続けてプレイされ、場内がヒートアップ。そして追い討ちをかけるかのようにプレイされた「Road Of Resistance」ではブロックごとにWOD、そしてそのままサークルピットが生まれるなどフロアは熱狂の坩堝、SU-METALの英語のMCに煽られてスタンド含めオーオーと合唱する場内のボルテージはいよいよMAXに。

個人的にもようやくエンジンがかかってきた感じで、さてこの後どう楽しませてくれるのか、と思った瞬間、暗転したステージに一人SU-METALがスモークに包まれて登場、幻想的なライティングの中、「The One」を歌い始める。

おや? これって彼女らのライブの「締めの曲」じゃなかったっけ? まだ始まってから1時間くらいしか経ってないよ? もしかしてまさかのアンコールあり? などと当惑していたら、普通に客電が点いて終演のアナウンスが。

個人的には肩透かしというか、だいぶ食い足りないのですが、まあ、パフォーマンス自体は申し分なかったし、セットリストも、振り返ってみれば最低限やるべき曲は押さえていたという気もします。

個人的には新編成(?)での「イジメ、ダメ、ゼッタイ」がどうなるのかを見届けたかったのですが、このプロジェクトのダンスとフォーメーションの難易度を考えると、新加入(?)の子たちにとってこれ以上のショウは厳しいのかもしれません。

SU-METALの歌が、天性のピュアネスを損なうことなくさらに上手くなっていたことは収穫でしたが、新しい体制が必ずしも以前より魅力的とは思えず、むしろさらにマニアックな方向に進んでいるように映ったのが気がかりではあります。今回の衣装やメイクもあんまり可愛くないし。

とはいえアミューズ的には新たに5人の女の子を売り出すチャンスということになるのでしょうから、これまで以上に活動が活性化することが期待できるのかもしれません。


しかしまさか16時半開演で3バンド見て、20時前に会場を出ることになるとは予想外でした。こんなに早く終わるならSABATONはフルセットでプレイしてもよかったのではないかと思ってしまいましたが、まあ翌日は平日なので、社会人が大半を占めるであろうオーディエンスの中にはむしろ体力的にありがたい、という人もいたのではないでしょうか。

こうして振り返ると、GALACTIC EMPIREにSABATONというのは、それぞれ異なる意味で非メタラーにも受け容れられやすいメタル・バンドで、日本でBABYMETALと共演するには秀逸なカップリングだったのではないかと思います。


ちなみに場内で目にしたメタルTシャツは90%がBABYMETAL、5%がSABATON、残り5%がその他という感じでした。その他で目にしたのもIRON MAIDEN、GUNS N' ROSES、HELLOWEEN、SLAYERといった、比較的メジャー所ばかりでしたね。なお一番インパクトがあったのはロニー・ジェイムズ・ディオの写真が全面プリントされたTシャツを着たおじさんでした。

darknightcarnival181028.jpg

EVOKEN FEST 2018 at 恵比寿LIQUID ROOM 2018.9.1

昨年、FREEDOM CALLをヘッドライナー、TWILIGHT FORCEをセカンド・ヘッドライナーに開催され、近年のメタル系の公演としては珍しい前売り完売の大成功を収めたEVOKEN FEST 2017。

そして昨年劇的な復活を遂げたNOCTURNAL RITESをヘッドライナーに、ORDEN OGANをセカンド・ヘッドライナーに開催されたEVOKEN FEST 2018に足を運んできました。

NOCTURNAL RITESはFREEDOM CALLより日本でビッグだし、ORDEN OGANは欧州ではTWILIGHT FORCEよりビッグなので、当然今年も前売り完売になるだろうと予想して私にしては珍しくチケット発売当日にすぐチケットを購入したのですが、蓋を開けてみたら当日券が出ていました。

本公演に関するクラウドファンディングもあっという間に目標額に達していたのに、解せぬ…。

まあ、正直14時開演の22時終演予定という長丁場なスタンディングのライブを満員スシ詰めの状態で観るのはしんどいので個人的には悪い話ではないのですが。

土曜日は私は平日より遅めに起きて、『王様のブランチ』をBGVに掃除や洗濯をするというのがルーティンで、本日もそうして13時くらいに出発しようか、と思っていたのですが、13時になってふとチケットが見当たらないことに気付く。

私は通常ネットで購入したチケットを、公演当日にコンビニで発券して会場に行くのですが、今回は郵送で受け取ってしまったために、勝手が狂った感じです。

結果的に2時間近く部屋をひっくり返すことになり、「なんでこんな所に…」という場所で発見して、家を出たのは15時ごろ。
もう2バンド目のCRYONIC TEMPLEが始まってますがな。

会場に急行したい所ながら、長丁場に備えて腹ごしらえ。恵比寿は都内屈指のグルメ激戦区ながら、ランチタイムはとうに終わっている。時間もないので、恵比寿駅前にあるスペシャルな吉野家でサクッと食べてリキッドルームに向かう。

入場すると、既に3バンド目であるDRAGONLANDが始まっている。


DRAGONLAND

2000年代初頭に日本では結構人気があったスウェーデンのメロディック・パワー・メタル・バンド。
バンドの音楽的中心人物の一人であるオロフ・モロク(G)はもう一つのバンドであるAMARANTHEが忙しいためか不参加。

2003年に行なわれた伝説の『Melodic Metal Festival in Japan』における初来日公演は、ほぼ素人のようなパフォーマンスという評判だったので全く期待していなかったのですが、プレイも安定していて普通にカッコいい。まあ15年も経ってますからね。

特にアルバムだと弱さを感じていたヴォーカルが思いの外しっかり歌えていたのはポジティブな驚き。

ラストは『STARFALL』アルバムの日本盤ボーナス・トラックだったX JAPANの「Rusty Nail」のカヴァー。プレイする前にX JAPANのステージ演出のパロディまであって、これ今日のためだけにわざわざ作ったんかい、と思わず失笑。

このヴォーカルの人、日本語の母音「オ」の音を「ウ」で発音してしまっているので、日本語ネイティブとしてはそこに違和感を覚えつつ、日本人へのファンサービスとしては嬉しい心遣い(もっとも、ただでさえ持ち時間が少ないのにこの曲をやるのであればオリジナルを聴きたい、という意見もあるとは思います。ちなみにギターソロは省略されていました)。


VHALDEMAR

スペインのメロディック・パワー・メタル・バンド。こちらも2000年代初頭の「クサメタル/漢メタル」ブームの時期には日本盤も出ていましたが、2010年に活動を再開して以降は日本ではほぼ無視された状態。

私自身近年の彼らはほぼノーチェックでしたが、元々の彼らに対する印象は悪いものではなかったので、結構期待していました。

そして実際、その期待にはバッチリ応えるライブでした。ヴォーカルは見た目からして暑苦しかったですが、全力投球なパフォーマンス(曲間のMCはゼイゼイ言ってました/笑)で激しくエアギターをし、ミネラルウォーターを噴き上げてオーディエンスを煽り、しまいにはフロアに降りてフロア中を歩き回り、フロア後方のバー・スペースのテーブルの上に立って歌うという熱演ぶり(あとで会場側から怒られたのではないでしょうか…)。曲が進むにつれてオーディエンスが盛り上がっていくのが見て取れました。

童顔小太りなギタリストもルックスに反して(?)かなりの腕前で、スウィープやタッピングなどを派手に駆使したテクニカルなプレイを連発して見せ場を作っていました(それに対してドラムはちょっと力不足でしたが…)。

ライブを観る前は「メロスピ化したMANOWAR」というイメージでしたが、ライブで観ると思いのほかメロディック・パワー・メタル然としていて、キーボードがイェンス・ヨハンソン(STRATOVARIUS)スタイルの前傾キーボードであることからも推察される通り、STRATOVARIUSのようなキャッチーさが強く感じられて、それがオーディエンスを盛り上げた一因だったように思います。

ヴォーカリストの熱演が盛り上がりの原動力ながら、実はこの音楽性であればもっとクリーンなヴォーカルの方が人気が出るのでは…? と思ってしまいましたが、「今日の敢闘賞は?」と訊かれたら多くの人がこのバンドの名前を挙げるのではないかと思います。


CIVIL WAR

スウェーデンの大人気バンド、SABATONを脱退したメンバーによって2012年に結成されたバンド。

戦争を歌詞テーマに据えたバンド・コンセプト、現代ミリタリーなコスチュームのSABATON に対し、19世紀欧米の軍隊のようなコスチュームに身を包むなど、SABATONに対する当てつけのようなバンドであるという点で、RUNNING WILDに対するX-WILDのような存在と言える(RUNNING WILDの知名度さえ微妙な今の日本でこの比喩がピンと来る人がどれだけいるのかわかりませんが…)。

このバンドのオリジナル・シンガーはASTRAL DOORSやWUTHERING HEIGHTSなどで、マニアの間では実力者として知られるニルス・パトリック・ヨハンソンだったが、彼は2016年に脱退し、現在はBEYOND TWILIGHTやADAGIO、FIREWINDのツアー・メンバーなどで知られるケリー・サンダウン・カーペンターが加入している。

正直な所、事前段階においてはニルス・パトリック・ヨハンソンで観たかったなあ…と思っていたのですが、ステージが始まってみると、そのケリー・サンダウン・カーペンターが抜群に素晴らしい。

歌神ヨルン・ランデをさえ彷彿させる力強い歌唱に、キビキビしたステージ・アクション、積極的にオーディエンスを煽るパーフェクトなフロントマンぶりは、現在の欧州メタル・シーンでトップクラスの人材ではないかと思いました。

往年のトミー・リー(MOTLEY CRUE)を彷彿させる、一人コスチュームなしで半裸なドラマーのパワフルかつ華のあるプレイも良かったし、演奏以外の部分で妙に自己主張の激しいキーボーディストもなんだか微笑ましくて、戦車が登場しコントが行なわれるSABATONほどではないにせよ、なかなか見ていて楽しめるステージになっている。

楽曲自体もSABATONのようなKeyをフィーチュアしたキャッチーなパワー・メタルをベースにしつつ、フォーキッシュな要素を大胆に取り入れてフックあるものに仕立てており、実はこのバンドの曲はほとんど知らなかったのですが、かなり楽しめてアルバムを聴いてみたくなりました。

欧州での人気は本家SABATONに及ばないようですが、個人的にはこのバンドのほうが日本人好みなのではないかとさえ思いましたね。本日一番プロフェッショナルなショウでした。


DERDIAN

個人的に本日一番心配していたのがこのバンド。

というのも、スタジオ音源を聴くだけでB級(いやC級…?)感がハンパなく、とても本日共演するバンドたちと同レベルのライブを見せられるとは思えなかったからだ。

そして案の定、ステージの幕が開くと同時に始まった演奏をしている人たちは、服装のバラバラ感といい、落ち着きのないステージングといい、一般人なヘアスタイルのメンバーの存在といい、ヴォーカルが頭に巻いた日の丸のハチマキといい、アマチュア・バンドにしか見えず、個人的には失笑を禁じえなかった。

演奏も、かろうじて破綻こそしていないものの、自分たちの楽曲を再現できるギリギリの所でやってます、という感じがありありと見て取れる。

とはいえ、棒立ちで演奏しているわけではないし、途中キーボードがトラブってステージが中断したときも、ありがちなファンへの感謝メッセージとはいえ、ヴォーカルがなんとかMCでつないでいたし、一応多少のライブ経験はあるのかな、という感じではありましたが。

しかし、そんな私のちょっと冷めた感覚とは裏腹に、実は本日ここまででもトップクラスの盛り上がりを見せており、随時「DERDIANコール」が巻き起こって(バンド名が短くて呼びやすいからというのも大きいと思いますが)おり、メンバーは本当に嬉しそう。

まあ、このバンドの楽曲・メロディが持つ「クサさ」が現在のメロディック・パワー・メタル・シーンにおいてトップクラスであることは確かで、その中毒性にヤラれてしまった人にとっては、このちょっと拙いステージングも、見方を変えれば一生懸命な親しみやすさを感じさせるのかもしれません。

ヴォーカルはピッチこそ時々フラついていたものの、声は素晴らしく良く出ていて、ラストで見せたハイトーンのロング・スクリームは全身全霊感あふれるなかなか見事なものでした。誰か彼にグレーのTシャツは汗染みが目立つからやめたほうがいいですよ、と伝えてあげてください。

この謎の求心力、どこかで見覚えが…と思ったらSKYLARKですね。同じイタリア出身で、クサさだけが取り柄(失礼)という点でも完全に一致しており、日本のメタル・ファンの中にはこういうC級感を愛する層というのが一定ボリュームで存在するのかもしれません。


ORDEN OGAN

最新作『GUNMAN』が本国ドイツのチャートで8位に初登場しており、本日のメンツで商業的に一番成功しているのは実はこのバンド。本人たちとしてはこのフェスのラインナップでなぜ自分たちがトリではないのか、きっとプロモーターに説明を求めたのではないかと思います(笑)。

欧州ではBLIND GUARDIANの正統な後継者とみなされており、アルバムのアートワークが常に(初期ブラガのアートワークを手掛けていた)アンドレアス・マーシャルによるものであるあたり、本人たちもそれを確信犯でやっているのでしょう。

このバンドが結成された1996年というのはBLIND GUARDIANがドイツでブレイクした時期とほぼ重なっているので、ある意味20年以上に渡って大好きなブラガの背中を追いかけ続けてきた、犬並みに一途なバンドです。

実は本日、ステージ後ろの垂れ幕は常にORDEN OGANのステージ全体を覆いつくす大型のものが掛けられており、その上にこれまで登場したバンドの垂れ幕が掛けられるという妙な形だったのですが、それがバンドの商業的成功の規模を表すものだということは言うまでもありません。このバンドは大きいステージを想定したセットを作る余裕があるのです。何しろ垂れ幕が大きいだけではなく、それ以外にもステージ・セットが用意されていたのですから。

そして本日のライブは、その人気の理由も頷ける、魅力的なものでした。これは完全に「わかりやすいBLIND GUARDIAN」。ブラガほど壮大でも劇的でもないものの、パワー・メタル然とした突進力と合唱しやすいサビメロは現在のBLIND GUARDIANが失ってしまった魅力を現代に伝えるものになっている。

ヴォーカルの声質も「まろやかなハンズィ・キアシュ(BLIND GUARDIAN)」といった感じで、伸びの良さは本家以上。ほんのり赤い、リンゴほっぺな風貌もハンズィを彷彿させ、それ以外のメンバーもみな善良そうな田舎臭さ素朴さを感じさせるあたりも、往年のジャーマン・メタル・バンドの雰囲気を継承している感じがします。

なぜか本日ベーシストであるニールスがギターをプレイしており、ベースレス(同期音源)のツイン・ギターになっていましたが、これは彼らのライブではよくあることなのでしょうか? ヴォーカリストのセーブは「2本も弦が多くていいだろ?」などとうそぶいていましたが。

ラストの「The Things We Believe In」でオーディエンスに合いの手コーラスを求める際には事前にレクチャーとリハーサルを行なうあたりも丁寧で好感が持てました。やはりこういう合唱系のバンドはオーディエンスに一体感が生まれますね。

全ての楽曲においてアタマの振りどころ、拳の突き上げどころが明確で、ライブでの盛り上がりを意識したソングライティングができていると思われるのがこのバンドの強みですね。それだけにライブを体験する機会が少ない欧州以外ではその魅力が充分に理解されない可能性がありますが。

敢えて難癖をつけるのであれば、バスドラにトリガーを効かせすぎで、ツーバスを連打されるとまるで機関銃の一斉掃射を喰らっているようなやかましさを感じてしまったことですかね(苦笑)。


NOCTURNAL RITES

昨年、約10年ぶりの復活を果たしたスウェーデンのメロディック・パワー・メタル・バンド。

10年のブランクを経てなお、その代替バンドの見つからない素晴らしさは語り継がれており、リアルタイムでは若くて(≒お金がなくて/地方に住んでいて)見られなかったという層を含め、一度は観てみたい、という人は多かったのではないかと思われます。

最新作からの「Before We Waste Away」でショウはスタート。個人的な趣味から言えばもっと勢いのある曲で始めて欲しかったが、贅沢は言うまい。

というか、本日のセットリストは前任シンガー時代の楽曲がないことを「当然のこと」と理解すれば、現実的に望みうるほぼベストなものだったと思うが、曲順についてはもう少しメリハリ的な意味で改善の余地があったような。

13曲プレイしたのに5曲目に「Avalon」、6曲目に「Still Alive」をプレイされてしまうと、前半にショウのハイライトが来てしまって、「この後何を期待すればいいんだ…」状態に。いや、それでもプレイされるどの曲も素晴らしくて、結果的には最後まで盛り下がる瞬間などなかったのですが。

ジョニー・リンドクヴィストのヴォーカルはやはり唯一無二の輝きで、そこに衰えが感じられなかったのは嬉しいのですが、サビはオーディエンスに歌わせる主義のようで、そこは個人的には若干不満。歌うのはやぶさかではないが、我々はあなたの声をもっと聴きたいのですよ。

これがヴィンス・ニール(MOTLEY CRUE)やドン・ドッケン(DOKKEN)のように「自分の声が出ないから客に歌わせている」というのであれば諦めもつきますが、ジョニーは明らかに声は出そうですからね…。ただでさえ同期音源のコーラスもちょっと大きすぎで、サビでのジョニーの歌声は埋もれがちでしたし。

かつてLOUD PARK 07で観た時には正直ステージの広さを生かせていないというか、ありていに言うと持て余し気味に見えましたが、本日は非常に良い感じで、さらにその昔、HAMMERFALLの前座として来日し、クアトロで観た時の印象も良かったので、ステージがあまり広くないほうがこのバンドのパフォーマンスにはちょうどいいのかもしれません。

ベースの"New World Messiah"ニルス・エリクソン・リッドマンとジョニーは本当に仲が良さそうで、ニルスがジョニーにゴロニャンと近寄ってはジョニーに突き飛ばされる、という微笑ましい絡みがショウの間何度も繰り返されていました。

本日一番フィーチュアされていたのは新加入のペル・ニルソン(SCAR SYMMETRY, KAIPA)で、メインのソロは全て彼、ギター・ソロ・タイムまで設けられていて、MESHUGGAHのツアー・メンバーに起用されたのも頷ける超絶技巧を存分に見せつけてくれました(前任のニルス・ノーベリにこだわる方には「エモーションが足りない」と言われそうですが)。

ギターとヴォーカルの掛け合いや、オーディエンスとのコール&レスポンスなどはまるで70年代のハード・ロック・バンドのようなオールド・ファッションなもので、その辺は私も含め「古臭い」と感じる人もいそうですが、これこそが王道なHR/HMライブの醍醐味であり、今となってはむしろ新鮮なのかもしれません(少なくとも非王道なアンダーグラウンド寄りの活動をしてきたペル・ニルソンにとっては新鮮な体験なのではないでしょうか)。

トータルで見て、トリの名に恥じない感動的な音楽を提供してくれた素晴らしいライブでしたが、このバンドが日本以外ではサッパリ、というのは日本人の感性では理解不能ではあります。

まあ、日本では10万枚以上売るほどの大人気だったFAIR WARNINGも欧米ではサッパリでしたし、こういうエモーショナルで熱い叙情性というのは欧米では共鳴者が少ないものなのかもしれません。

そういう意味で、FAIR WARNINGやこのバンドは、欧米のメタル・ファンに支配的な価値観や感性が「正しい」わけではない、ということを日本人に感じさせてくれる、ある意味貴重なバンドと言えるかもしれません(?)。


事前においては、ライブでの実力が未知数なバンドが多くていささか不安がありましたが、蓋を開けてみると非常に充実したパフォーマンスの数々を観ることができ、観に行って良かったと思えるイベントでした。

ただ、それだけに問題点も多く感じてしまいました。

まずは、そもそもこれだけのパフォーマンスができて、楽曲のクオリティも高いバンドたちがこの数集まって、給料日からそれほど離れていない週末土曜日に行なわれるこのイベントに、1,000人も入らないこの会場がソールドアウトしない、ということ。

まあ、マーケティングに関わる仕事をしている身として仮説を述べると、この手のメロディックなメタル・サウンドに親しんできた世代(仮にクサメタル世代と呼びましょうか)は、現在仕事や子育てが忙しい時期に入っていて、趣味に割ける時間やお金が極めて限られているから、と考えられます。

アメリカで90年代HR/HMの人気が低かったのも、実はグランジ/オルタナティブが流行ったから、というよりは、HR/HM的なサウンドを好む世代が仕事・子育てに忙しくなっていた期間だったからで、2000年代中盤に至って再びヘア・メタルなどが注目されるようになったのは、その世代の子供が手がかからなくなり、仕事も現場から管理職(あるいは窓際族)になって時間的・経済的に余裕が出て再び音楽を聴く時間が取れるようになったから、というのが大きいと思われます。

この日も、一部20代くらいと思われる若い人がチラホラ見受けられたのが救いではありましたが、コアな年齢層は30代から40代と思われ、そろそろ立ちっぱなしのライブが体力的にしんどくなるお年頃。

然るに、この公演規模だと椅子付きの会場や、いわゆる大型フェスのように休憩できるスペースが設置できる会場を使うのは夢のまた夢。しかも音楽性の近いバンドが集まっているために、「このバンドは観なくてもいいや」というバンドが存在しないため、流動性ゼロでずっと立ちっぱなし。

なまじステージ前方や柵の周辺など、「いい位置」を確保してしまうと、連れがいない限り一度その位置を離れてしまうと復帰できないため、トイレにいくことさえままならない。そんな状況だと利尿作用のあるビールなどを飲むことも躊躇われる。この日も13時の開場から22時過ぎの閉演まで、飲まず食わず、トイレも行かず、みたいな人類として、いや、生物として苦しい状況におかれていた人もいたのではないでしょうか。

もしかすると、先述した通り昨年ソールドアウトしたこのイベントが今年そうならなかったのは、昨年参加してしんどい思いをした人が今年は敬遠したからなのではないか、などという可能性も考えられます。

『THRASH DOMINATION』などにも通じる話ですが、音楽の好みというものがかなり世代と結びついたものである以上、何か若年層が大量流入するようなエポックメイキングな事件が起こらない限り、今後さらに来場するファンの高齢化が進むことは避けられないと思われ、そうなるとこういう長時間のスタンディングを要求される公演スタイルは早晩限界を迎えると思われます。

とはいえ、異なるジャンルのバンドを混ぜてしまうと集客が落ちることが懸念され、音楽スタイル的にビルボード・カフェやブルーノート東京のような「オトナの会場」で椅子に座って食事しながらまったりと観る、みたいな公演スタイルは難しいという事情もあり、今後のメタル・ライブがいかにあるべきか、いや、いかに存在し続けられるのかについて、色々と考えさせられてしまうイベントでした。

皆さん、観られる時に観ておいた方がいいですよ。

evokenfest2018.jpg

LONG LIVE COZY POWELL -A Tribute To RAINBOW- at 下北沢GARDEN 2018.8.9

仕事帰りにRAINBOWのトリビュート・バンド(プロジェクト)のライブを観てきました。

このライブの開催を知ったのは、Twitterのタイムラインに偶然流れてきた、岡垣正志(Key : TERRA ROSA)氏のツイートによる告知でした。

行ってみようかな、と思ったのは、先日書いたDOLL$ FESTAのライブレポのエントリーを書いている時に偶然見つけた、METALLIC SPINがプレイする「Spotlight Kid」の映像における下山武徳(Vo : SABER TIGER)の歌がなかなかに素晴らしかったことがきっかけです。

そしてここ数日、なぜか脳内ヘビーローテーションがRAINBOWの「All Night Long」で(別に彼らの楽曲の中で特別好きな曲というわけでもないのですが、脳内ヘビーローテーションというのは必ずしも大好きな曲とは限らないのがミステリーです)、なんとなく気分が「RAINBOWモード」になっていました。

とはいえ、昨日今日は関東に台風が来るという話で、さすがに台風の中行くのはちょっと、と思っていましたが、今朝には拍子抜けするほど何事もなく晴れていました。

という、いくつもの偶然と幸運によって足を運んだ下北沢GARDEN。個人的には下北沢ってUK.PROJECTのお膝元だけにパンク系の街というイメージがあって、そんな街でRAINBOWなんていうコテコテのハード・ロックを聴くというのはなんだか妙な感じ。

開演時間5分前に到着し、当日券で入場。フロアに入場すると、椅子が並べられていることに戸惑う。

下北沢GARDENはスタンディングで最大500人収容と称するかなり大きめのライブハウス。椅子の数と、立っている人の数を数えてみると、ざっと150人くらいか。メンバーのキャリアを考えるとなかなかに寂しい客入り。下手すると赤字なのでは。

ライブ中のMCでは「動員が少ないから椅子で誤魔化しているなんてセコい話じゃありません。平日で皆さん仕事でお疲れでしょうから椅子をご用意しました」と冗談めかしていましたが、300枚以上チケットが売れていたら、きっと椅子は用意されなかったでしょうね(苦笑)。

開演時刻を10分ほど過ぎたあたりで70年代なBGMが止み、照明が落ちてエルガーの『威風堂々』が流れる。そして映画『オズの魔法使い』の劇中歌として有名な「Over The Rainbow(虹の彼方に)」が流れる中メンバーが登場するのはもはやRAINBOWのステージがどのようなものだったか知る人であればお約束といえる。

とりあえず開演のタイミングでみんな椅子から立ち上がってひと安心(笑)。

ちなみに本日のメンバーは以下の通り。

Vo : 下山武徳(SABER TIGER)
G : 島紀史(CONCERTO MOON)
Key : 岡垣正志(ex.TERRA ROSA, JILL'S PROJECT)
B : 浅野勇人(ex.Fatima Hill, HARD GEAR)
Dr : 工藤義弘(EARTHSHAKER)

ちょっとしたジャパメタ・ドリーム・チームですが、下山&島って、これはDOUBLE DEALERですねこれは。まさか私がDOUBLE DEALERを見ることになるとは(違)。

オープニングは『ON STAGE』アレンジの「Kill The King」。個人的にはスタジオ盤のイントロの方が好きですが、名曲中の名曲なので当然盛り上がる。

2曲目は私のここ数日の脳内ヘビーローテーション(どうでもいい)「All Night Long」。リフは非常に「らしい」一方で、歌メロがとてもポップ&キャッチーで、ライブ向きの曲ではある。

下山が挟んだMCで、本日の趣旨が今年没後20年となるコージー・パウエルのトリビュートであることを知る(遅)。ということはジョー・リン・ターナー時代の曲はやらないのか、とちょっと落胆する、実はジョー時代の曲に好きなものが多い私。

実際、本日プレイした「Mistreated」や「Catch The Rainbow」みたいな曲は、多分リッチー・ブラックモアにとっては「演っていて楽しい曲」だったのだと思いますし、こういう曲を楽しめる人が「ロックをわかってる」ということになるのだと思いますが、その2曲をやるなら「Eyes Of The World」と「Lost In Hollywood」をやってほしかったというのが私の本音。

下山武徳のヴォーカルは、DOUBLE DEALERのアルバムを聴いて感じていたほどに暑苦しくはないというかパワフルではないと思ってしまいましたが、日本人でこれ以上の歌唱を望むのはなかなか難しいというのもまた事実でしょう。

そして尻上がりに調子を上げていったのは、本日このライブの前に2時間通しのリハーサルをして、そこでもちゃんとシャウトしていたという事実をMCで聞くと、ある意味驚異的でした(本人もライブが終わり際に一番調子が出る、と言っていました)。

「Gate Of Babylon」をライブで聴けたのはなかなかの感動。"JILL"岡垣氏のキーボード・サウンドがオリジナルにそっくりなのがまたポイント高い。オルガンの上にシンセを乗せたセッティングも個人的にはレトロ目新しい。どうでもいいですが、GALNERYUSのYUUKI氏といい、様式系キーボーディストの間ではああいう髪型が流行っているのでしょうか?

ただ、下山武徳本人もMCで言っていた通り、RAINBOWの曲は間奏が長く、ライブハウスなのでステージも狭いだけに動くこともままならず、ヴォーカリストはかなり手持ち無沙汰感がある。しかしそれでも変に挙動不審な動きをせず、客の煽りも適度な感じで、なかなかいいフロントマンぶり。

MCをどちらかというと笑いを取る方向に持っていくのは好き嫌いあるかもしれませんが、オーディエンスの年齢層の高さや、恐らく熱心な「顔見知り」のようなファンが多いであろう環境を考えるとそれもやむなしか(人数こそ少ないものの、盛り上がり自体はなかなかのものでした)。

というか、本日の主役というか、このプロジェクトの発起人であるEARTHSHAKERの工藤義弘が喋る喋る。そして関西人ならでは漫才的なセンスで下山武徳と掛け合い、MCタイムは始終客席から笑いが起きていました。フル活用していた「ON/OFFできるマイク」は名古屋や大阪でも登場するのでしょうか(あの場にいた人しかわかりませんね/苦笑)。

その工藤義弘のドラムは、コージー・パウエルのトリビュートといいながら別にセットなど真似ているわけではなく、プレイも時折コージー・パウエルっぽさを垣間見せるものの、(彼のプレイは初見なので確信はありませんが)自身のスタイルで叩いているようでした。

正直EARTHSHAKERのアルバムを聴いて「ドラムが凄い!」と思ったことはなかったのですが、パワーといいシンバルワークといいグルーヴといい、相当に非凡なものがあり、自らをコージー・パウエルになぞらえるというハードルの高い企画をやろうとするのは伊達じゃないなと思いました。

ライブ本編ラストの「Still I'm Sad」の途中に挿入された、チャイコフスキーの「序曲1812年」に合わせた有名なドラム・ソロもなかなか見応え・聴き応えがありました(ちなみにアンコールは「Long Live Rock 'n' Roll」 )。

ただ、工藤義弘発案の企画とはいえ、ステージ上の音楽をリードしていたのはやはりギタリストである島紀史(CONCERTO MOON)でした。

彼を見るのは、かつてCONCERT MOONがSTRATOVARIUSの来日公演で前座をやった時以来なので、ほぼ20年ぶり。しかしその外見的な印象は当時とほとんど変わっていない。未だに若々しいと言うべきか、昔から割と老けてたと見るかは意見の分かれるところでしょう(笑)。演奏中の“顔芸”も当時のままでした(笑)。

CONCERTO MOONで観た時は、バンドの音楽がそうであるがゆえにイングヴェイ・マルムスティーン的な速弾きの印象が鮮烈でしたが(正直、ティモ・トルキを圧倒していました。ティモ・トルキには「凄く上手いけど、あまりにもイングヴェイ的で個性がない」とディスられていましたが)、本日は見事にリッチー・ブラックモアになりきっていました。

きっとマニアに言わせれば「トーンが…」とか「タメが…」とか色々あるのかもしれませんが、個人的には納得のプレイですね。間奏が長い曲では「ギター・ソロ、ここまで」的なジェスチャーを他のメンバーに出しているように見えました。

ベースの人はキャリア的も一番地味で、RAINBOWというバンド自体ベースが目立つバンドではなかっただけにステージ上でも地味でしたが、プレイは確かで、ルックスも渋カッコよかったです。この人も下山武徳同様札幌拠点の人で、札幌では有名な塗装屋さんだとか(笑)。

そんな高いミュージシャンシップに支えられたRAINBOWの演奏はなかなかにテンションの高いもので、現在再結成しているRAINBOW本家のライブよりも(YouTubeに上がっているものをいくつか観たくらいですが)良いのではないかと感じます。

そういう意味で、もはや観ることができない「三頭政治」時代のRAINBOWのライブを現代に疑似体験する、という意味では(現在の)本家を凌駕し、世界的に見ても屈指のレベルにあるものを観られたのではないかと思っています(とはいえ、映像作品などで観るオリジナルのオーラのようなものとは次元が違うというのもまた事実ですが)。

楽しめたことは間違いないとして、あえて不満を挙げるなら、神曲「Stargazer」の後に「A Light In The Black」を続けてくれなかったことかなー。個人的にはあの2曲は組曲のようなものなので、セットで聴きたかったというのが本音。

明日10日(金)は名古屋、明後日11日(土)は大阪でライブがあるようなので、私のようにRAINBOWのライブを疑似体験してみたいという方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

180809llcp.jpg