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EVOKEN FEST 2018 at 恵比寿LIQUID ROOM 2018.9.1

昨年、FREEDOM CALLをヘッドライナー、TWILIGHT FORCEをセカンド・ヘッドライナーに開催され、近年のメタル系の公演としては珍しい前売り完売の大成功を収めたEVOKEN FEST 2017。

そして昨年劇的な復活を遂げたNOCTURNAL RITESをヘッドライナーに、ORDEN OGANをセカンド・ヘッドライナーに開催されたEVOKEN FEST 2018に足を運んできました。

NOCTURNAL RITESはFREEDOM CALLより日本でビッグだし、ORDEN OGANは欧州ではTWILIGHT FORCEよりビッグなので、当然今年も前売り完売になるだろうと予想して私にしては珍しくチケット発売当日にすぐチケットを購入したのですが、蓋を開けてみたら当日券が出ていました。

本公演に関するクラウドファンディングもあっという間に目標額に達していたのに、解せぬ…。

まあ、正直14時開演の22時終演予定という長丁場なスタンディングのライブを満員スシ詰めの状態で観るのはしんどいので個人的には悪い話ではないのですが。

土曜日は私は平日より遅めに起きて、『王様のブランチ』をBGVに掃除や洗濯をするというのがルーティンで、本日もそうして13時くらいに出発しようか、と思っていたのですが、13時になってふとチケットが見当たらないことに気付く。

私は通常ネットで購入したチケットを、公演当日にコンビニで発券して会場に行くのですが、今回は郵送で受け取ってしまったために、勝手が狂った感じです。

結果的に2時間近く部屋をひっくり返すことになり、「なんでこんな所に…」という場所で発見して、家を出たのは15時ごろ。
もう2バンド目のCRYONIC TEMPLEが始まってますがな。

会場に急行したい所ながら、長丁場に備えて腹ごしらえ。恵比寿は都内屈指のグルメ激戦区ながら、ランチタイムはとうに終わっている。時間もないので、恵比寿駅前にあるスペシャルな吉野家でサクッと食べてリキッドルームに向かう。

入場すると、既に3バンド目であるDRAGONLANDが始まっている。


DRAGONLAND

2000年代初頭に日本では結構人気があったスウェーデンのメロディック・パワー・メタル・バンド。
バンドの音楽的中心人物の一人であるオロフ・モロク(G)はもう一つのバンドであるAMARANTHEが忙しいためか不参加。

2003年に行なわれた伝説の『Melodic Metal Festival in Japan』における初来日公演は、ほぼ素人のようなパフォーマンスという評判だったので全く期待していなかったのですが、プレイも安定していて普通にカッコいい。まあ15年も経ってますからね。

特にアルバムだと弱さを感じていたヴォーカルが思いの外しっかり歌えていたのはポジティブな驚き。

ラストは『STARFALL』アルバムの日本盤ボーナス・トラックだったX JAPANの「Rusty Nail」のカヴァー。プレイする前にX JAPANのステージ演出のパロディまであって、これ今日のためだけにわざわざ作ったんかい、と思わず失笑。

このヴォーカルの人、日本語の母音「オ」の音を「ウ」で発音してしまっているので、日本語ネイティブとしてはそこに違和感を覚えつつ、日本人へのファンサービスとしては嬉しい心遣い(もっとも、ただでさえ持ち時間が少ないのにこの曲をやるのであればオリジナルを聴きたい、という意見もあるとは思います。ちなみにギターソロは省略されていました)。


VHALDEMAR

スペインのメロディック・パワー・メタル・バンド。こちらも2000年代初頭の「クサメタル/漢メタル」ブームの時期には日本盤も出ていましたが、2010年に活動を再開して以降は日本ではほぼ無視された状態。

私自身近年の彼らはほぼノーチェックでしたが、元々の彼らに対する印象は悪いものではなかったので、結構期待していました。

そして実際、その期待にはバッチリ応えるライブでした。ヴォーカルは見た目からして暑苦しかったですが、全力投球なパフォーマンス(曲間のMCはゼイゼイ言ってました/笑)で激しくエアギターをし、ミネラルウォーターを噴き上げてオーディエンスを煽り、しまいにはフロアに降りてフロア中を歩き回り、フロア後方のバー・スペースのテーブルの上に立って歌うという熱演ぶり(あとで会場側から怒られたのではないでしょうか…)。曲が進むにつれてオーディエンスが盛り上がっていくのが見て取れました。

童顔小太りなギタリストもルックスに反して(?)かなりの腕前で、スウィープやタッピングなどを派手に駆使したテクニカルなプレイを連発して見せ場を作っていました(それに対してドラムはちょっと力不足でしたが…)。

ライブを観る前は「メロスピ化したMANOWAR」というイメージでしたが、ライブで観ると思いのほかメロディック・パワー・メタル然としていて、キーボードがイェンス・ヨハンソン(STRATOVARIUS)スタイルの前傾キーボードであることからも推察される通り、STRATOVARIUSのようなキャッチーさが強く感じられて、それがオーディエンスを盛り上げた一因だったように思います。

ヴォーカリストの熱演が盛り上がりの原動力ながら、実はこの音楽性であればもっとクリーンなヴォーカルの方が人気が出るのでは…? と思ってしまいましたが、「今日の敢闘賞は?」と訊かれたら多くの人がこのバンドの名前を挙げるのではないかと思います。


CIVIL WAR

スウェーデンの大人気バンド、SABATONを脱退したメンバーによって2012年に結成されたバンド。

戦争を歌詞テーマに据えたバンド・コンセプト、現代ミリタリーなコスチュームのSABATON に対し、19世紀欧米の軍隊のようなコスチュームに身を包むなど、SABATONに対する当てつけのようなバンドであるという点で、RUNNING WILDに対するX-WILDのような存在と言える(RUNNING WILDの知名度さえ微妙な今の日本でこの比喩がピンと来る人がどれだけいるのかわかりませんが…)。

このバンドのオリジナル・シンガーはASTRAL DOORSやWUTHERING HEIGHTSなどで、マニアの間では実力者として知られるニルス・パトリック・ヨハンソンだったが、彼は2016年に脱退し、現在はBEYOND TWILIGHTやADAGIO、FIREWINDのツアー・メンバーなどで知られるケリー・サンダウン・カーペンターが加入している。

正直な所、事前段階においてはニルス・パトリック・ヨハンソンで観たかったなあ…と思っていたのですが、ステージが始まってみると、そのケリー・サンダウン・カーペンターが抜群に素晴らしい。

歌神ヨルン・ランデをさえ彷彿させる力強い歌唱に、キビキビしたステージ・アクション、積極的にオーディエンスを煽るパーフェクトなフロントマンぶりは、現在の欧州メタル・シーンでトップクラスの人材ではないかと思いました。

往年のトミー・リー(MOTLEY CRUE)を彷彿させる、一人コスチュームなしで半裸なドラマーのパワフルかつ華のあるプレイも良かったし、演奏以外の部分で妙に自己主張の激しいキーボーディストもなんだか微笑ましくて、戦車が登場しコントが行なわれるSABATONほどではないにせよ、なかなか見ていて楽しめるステージになっている。

楽曲自体もSABATONのようなKeyをフィーチュアしたキャッチーなパワー・メタルをベースにしつつ、フォーキッシュな要素を大胆に取り入れてフックあるものに仕立てており、実はこのバンドの曲はほとんど知らなかったのですが、かなり楽しめてアルバムを聴いてみたくなりました。

欧州での人気は本家SABATONに及ばないようですが、個人的にはこのバンドのほうが日本人好みなのではないかとさえ思いましたね。本日一番プロフェッショナルなショウでした。


DERDIAN

個人的に本日一番心配していたのがこのバンド。

というのも、スタジオ音源を聴くだけでB級(いやC級…?)感がハンパなく、とても本日共演するバンドたちと同レベルのライブを見せられるとは思えなかったからだ。

そして案の定、ステージの幕が開くと同時に始まった演奏をしている人たちは、服装のバラバラ感といい、落ち着きのないステージングといい、一般人なヘアスタイルのメンバーの存在といい、ヴォーカルが頭に巻いた日の丸のハチマキといい、アマチュア・バンドにしか見えず、個人的には失笑を禁じえなかった。

演奏も、かろうじて破綻こそしていないものの、自分たちの楽曲を再現できるギリギリの所でやってます、という感じがありありと見て取れる。

とはいえ、棒立ちで演奏しているわけではないし、途中キーボードがトラブってステージが中断したときも、ありがちなファンへの感謝メッセージとはいえ、ヴォーカルがなんとかMCでつないでいたし、一応多少のライブ経験はあるのかな、という感じではありましたが。

しかし、そんな私のちょっと冷めた感覚とは裏腹に、実は本日ここまででもトップクラスの盛り上がりを見せており、随時「DERDIANコール」が巻き起こって(バンド名が短くて呼びやすいからというのも大きいと思いますが)おり、メンバーは本当に嬉しそう。

まあ、このバンドの楽曲・メロディが持つ「クサさ」が現在のメロディック・パワー・メタル・シーンにおいてトップクラスであることは確かで、その中毒性にヤラれてしまった人にとっては、このちょっと拙いステージングも、見方を変えれば一生懸命な親しみやすさを感じさせるのかもしれません。

ヴォーカルはピッチこそ時々フラついていたものの、声は素晴らしく良く出ていて、ラストで見せたハイトーンのロング・スクリームは全身全霊感あふれるなかなか見事なものでした。誰か彼にグレーのTシャツは汗染みが目立つからやめたほうがいいですよ、と伝えてあげてください。

この謎の求心力、どこかで見覚えが…と思ったらSKYLARKですね。同じイタリア出身で、クサさだけが取り柄(失礼)という点でも完全に一致しており、日本のメタル・ファンの中にはこういうC級感を愛する層というのが一定ボリュームで存在するのかもしれません。


ORDEN OGAN

最新作『GUNMAN』が本国ドイツのチャートで8位に初登場しており、本日のメンツで商業的に一番成功しているのは実はこのバンド。本人たちとしてはこのフェスのラインナップでなぜ自分たちがトリではないのか、きっとプロモーターに説明を求めたのではないかと思います(笑)。

欧州ではBLIND GUARDIANの正統な後継者とみなされており、アルバムのアートワークが常に(初期ブラガのアートワークを手掛けていた)アンドレアス・マーシャルによるものであるあたり、本人たちもそれを確信犯でやっているのでしょう。

このバンドが結成された1996年というのはBLIND GUARDIANがドイツでブレイクした時期とほぼ重なっているので、ある意味20年以上に渡って大好きなブラガの背中を追いかけ続けてきた、犬並みに一途なバンドです。

実は本日、ステージ後ろの垂れ幕は常にORDEN OGANのステージ全体を覆いつくす大型のものが掛けられており、その上にこれまで登場したバンドの垂れ幕が掛けられるという妙な形だったのですが、それがバンドの商業的成功の規模を表すものだということは言うまでもありません。このバンドは大きいステージを想定したセットを作る余裕があるのです。何しろ垂れ幕が大きいだけではなく、それ以外にもステージ・セットが用意されていたのですから。

そして本日のライブは、その人気の理由も頷ける、魅力的なものでした。これは完全に「わかりやすいBLIND GUARDIAN」。ブラガほど壮大でも劇的でもないものの、パワー・メタル然とした突進力と合唱しやすいサビメロは現在のBLIND GUARDIANが失ってしまった魅力を現代に伝えるものになっている。

ヴォーカルの声質も「まろやかなハンズィ・キアシュ(BLIND GUARDIAN)」といった感じで、伸びの良さは本家以上。ほんのり赤い、リンゴほっぺな風貌もハンズィを彷彿させ、それ以外のメンバーもみな善良そうな田舎臭さ素朴さを感じさせるあたりも、往年のジャーマン・メタル・バンドの雰囲気を継承している感じがします。

なぜか本日ベーシストであるニールスがギターをプレイしており、ベースレス(同期音源)のツイン・ギターになっていましたが、これは彼らのライブではよくあることなのでしょうか? ヴォーカリストのセーブは「2本も弦が多くていいだろ?」などとうそぶいていましたが。

ラストの「The Things We Believe In」でオーディエンスに合いの手コーラスを求める際には事前にレクチャーとリハーサルを行なうあたりも丁寧で好感が持てました。やはりこういう合唱系のバンドはオーディエンスに一体感が生まれますね。

全ての楽曲においてアタマの振りどころ、拳の突き上げどころが明確で、ライブでの盛り上がりを意識したソングライティングができていると思われるのがこのバンドの強みですね。それだけにライブを体験する機会が少ない欧州以外ではその魅力が充分に理解されない可能性がありますが。

敢えて難癖をつけるのであれば、バスドラにトリガーを効かせすぎで、ツーバスを連打されるとまるで機関銃の一斉掃射を喰らっているようなやかましさを感じてしまったことですかね(苦笑)。


NOCTURNAL RITES

昨年、約10年ぶりの復活を果たしたスウェーデンのメロディック・パワー・メタル・バンド。

10年のブランクを経てなお、その代替バンドの見つからない素晴らしさは語り継がれており、リアルタイムでは若くて(≒お金がなくて/地方に住んでいて)見られなかったという層を含め、一度は観てみたい、という人は多かったのではないかと思われます。

最新作からの「Before We Waste Away」でショウはスタート。個人的な趣味から言えばもっと勢いのある曲で始めて欲しかったが、贅沢は言うまい。

というか、本日のセットリストは前任シンガー時代の楽曲がないことを「当然のこと」と理解すれば、現実的に望みうるほぼベストなものだったと思うが、曲順についてはもう少しメリハリ的な意味で改善の余地があったような。

13曲プレイしたのに5曲目に「Avalon」、6曲目に「Still Alive」をプレイされてしまうと、前半にショウのハイライトが来てしまって、「この後何を期待すればいいんだ…」状態に。いや、それでもプレイされるどの曲も素晴らしくて、結果的には最後まで盛り下がる瞬間などなかったのですが。

ジョニー・リンドクヴィストのヴォーカルはやはり唯一無二の輝きで、そこに衰えが感じられなかったのは嬉しいのですが、サビはオーディエンスに歌わせる主義のようで、そこは個人的には若干不満。歌うのはやぶさかではないが、我々はあなたの声をもっと聴きたいのですよ。

これがヴィンス・ニール(MOTLEY CRUE)やドン・ドッケン(DOKKEN)のように「自分の声が出ないから客に歌わせている」というのであれば諦めもつきますが、ジョニーは明らかに声は出そうですからね…。ただでさえ同期音源のコーラスもちょっと大きすぎで、サビでのジョニーの歌声は埋もれがちでしたし。

かつてLOUD PARK 07で観た時には正直ステージの広さを生かせていないというか、ありていに言うと持て余し気味に見えましたが、本日は非常に良い感じで、さらにその昔、HAMMERFALLの前座として来日し、クアトロで観た時の印象も良かったので、ステージがあまり広くないほうがこのバンドのパフォーマンスにはちょうどいいのかもしれません。

ベースの"New World Messiah"ニルス・エリクソン・リッドマンとジョニーは本当に仲が良さそうで、ニルスがジョニーにゴロニャンと近寄ってはジョニーに突き飛ばされる、という微笑ましい絡みがショウの間何度も繰り返されていました。

本日一番フィーチュアされていたのは新加入のペル・ニルソン(SCAR SYMMETRY, KAIPA)で、メインのソロは全て彼、ギター・ソロ・タイムまで設けられていて、MESHUGGAHのツアー・メンバーに起用されたのも頷ける超絶技巧を存分に見せつけてくれました(前任のニルス・ノーベリにこだわる方には「エモーションが足りない」と言われそうですが)。

ギターとヴォーカルの掛け合いや、オーディエンスとのコール&レスポンスなどはまるで70年代のハード・ロック・バンドのようなオールド・ファッションなもので、その辺は私も含め「古臭い」と感じる人もいそうですが、これこそが王道なHR/HMライブの醍醐味であり、今となってはむしろ新鮮なのかもしれません(少なくとも非王道なアンダーグラウンド寄りの活動をしてきたペル・ニルソンにとっては新鮮な体験なのではないでしょうか)。

トータルで見て、トリの名に恥じない感動的な音楽を提供してくれた素晴らしいライブでしたが、このバンドが日本以外ではサッパリ、というのは日本人の感性では理解不能ではあります。

まあ、日本では10万枚以上売るほどの大人気だったFAIR WARNINGも欧米ではサッパリでしたし、こういうエモーショナルで熱い叙情性というのは欧米では共鳴者が少ないものなのかもしれません。

そういう意味で、FAIR WARNINGやこのバンドは、欧米のメタル・ファンに支配的な価値観や感性が「正しい」わけではない、ということを日本人に感じさせてくれる、ある意味貴重なバンドと言えるかもしれません(?)。


事前においては、ライブでの実力が未知数なバンドが多くていささか不安がありましたが、蓋を開けてみると非常に充実したパフォーマンスの数々を観ることができ、観に行って良かったと思えるイベントでした。

ただ、それだけに問題点も多く感じてしまいました。

まずは、そもそもこれだけのパフォーマンスができて、楽曲のクオリティも高いバンドたちがこの数集まって、給料日からそれほど離れていない週末土曜日に行なわれるこのイベントに、1,000人も入らないこの会場がソールドアウトしない、ということ。

まあ、マーケティングに関わる仕事をしている身として仮説を述べると、この手のメロディックなメタル・サウンドに親しんできた世代(仮にクサメタル世代と呼びましょうか)は、現在仕事や子育てが忙しい時期に入っていて、趣味に割ける時間やお金が極めて限られているから、と考えられます。

アメリカで90年代HR/HMの人気が低かったのも、実はグランジ/オルタナティブが流行ったから、というよりは、HR/HM的なサウンドを好む世代が仕事・子育てに忙しくなっていた期間だったからで、2000年代中盤に至って再びヘア・メタルなどが注目されるようになったのは、その世代の子供が手がかからなくなり、仕事も現場から管理職(あるいは窓際族)になって時間的・経済的に余裕が出て再び音楽を聴く時間が取れるようになったから、というのが大きいと思われます。

この日も、一部20代くらいと思われる若い人がチラホラ見受けられたのが救いではありましたが、コアな年齢層は30代から40代と思われ、そろそろ立ちっぱなしのライブが体力的にしんどくなるお年頃。

然るに、この公演規模だと椅子付きの会場や、いわゆる大型フェスのように休憩できるスペースが設置できる会場を使うのは夢のまた夢。しかも音楽性の近いバンドが集まっているために、「このバンドは観なくてもいいや」というバンドが存在しないため、流動性ゼロでずっと立ちっぱなし。

なまじステージ前方や柵の周辺など、「いい位置」を確保してしまうと、連れがいない限り一度その位置を離れてしまうと復帰できないため、トイレにいくことさえままならない。そんな状況だと利尿作用のあるビールなどを飲むことも躊躇われる。この日も13時の開場から22時過ぎの閉演まで、飲まず食わず、トイレも行かず、みたいな人類として、いや、生物として苦しい状況におかれていた人もいたのではないでしょうか。

もしかすると、先述した通り昨年ソールドアウトしたこのイベントが今年そうならなかったのは、昨年参加してしんどい思いをした人が今年は敬遠したからなのではないか、などという可能性も考えられます。

『THRASH DOMINATION』などにも通じる話ですが、音楽の好みというものがかなり世代と結びついたものである以上、何か若年層が大量流入するようなエポックメイキングな事件が起こらない限り、今後さらに来場するファンの高齢化が進むことは避けられないと思われ、そうなるとこういう長時間のスタンディングを要求される公演スタイルは早晩限界を迎えると思われます。

とはいえ、異なるジャンルのバンドを混ぜてしまうと集客が落ちることが懸念され、音楽スタイル的にビルボード・カフェやブルーノート東京のような「オトナの会場」で椅子に座って食事しながらまったりと観る、みたいな公演スタイルは難しいという事情もあり、今後のメタル・ライブがいかにあるべきか、いや、いかに存在し続けられるのかについて、色々と考えさせられてしまうイベントでした。

皆さん、観られる時に観ておいた方がいいですよ。

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LONG LIVE COZY POWELL -A Tribute To RAINBOW- at 下北沢GARDEN 2018.8.9

仕事帰りにRAINBOWのトリビュート・バンド(プロジェクト)のライブを観てきました。

このライブの開催を知ったのは、Twitterのタイムラインに偶然流れてきた、岡垣正志(Key : TERRA ROSA)氏のツイートによる告知でした。

行ってみようかな、と思ったのは、先日書いたDOLL$ FESTAのライブレポのエントリーを書いている時に偶然見つけた、METALLIC SPINがプレイする「Spotlight Kid」の映像における下山武徳(Vo : SABER TIGER)の歌がなかなかに素晴らしかったことがきっかけです。

そしてここ数日、なぜか脳内ヘビーローテーションがRAINBOWの「All Night Long」で(別に彼らの楽曲の中で特別好きな曲というわけでもないのですが、脳内ヘビーローテーションというのは必ずしも大好きな曲とは限らないのがミステリーです)、なんとなく気分が「RAINBOWモード」になっていました。

とはいえ、昨日今日は関東に台風が来るという話で、さすがに台風の中行くのはちょっと、と思っていましたが、今朝には拍子抜けするほど何事もなく晴れていました。

という、いくつもの偶然と幸運によって足を運んだ下北沢GARDEN。個人的には下北沢ってUK.PROJECTのお膝元だけにパンク系の街というイメージがあって、そんな街でRAINBOWなんていうコテコテのハード・ロックを聴くというのはなんだか妙な感じ。

開演時間5分前に到着し、当日券で入場。フロアに入場すると、椅子が並べられていることに戸惑う。

下北沢GARDENはスタンディングで最大500人収容と称するかなり大きめのライブハウス。椅子の数と、立っている人の数を数えてみると、ざっと150人くらいか。メンバーのキャリアを考えるとなかなかに寂しい客入り。下手すると赤字なのでは。

ライブ中のMCでは「動員が少ないから椅子で誤魔化しているなんてセコい話じゃありません。平日で皆さん仕事でお疲れでしょうから椅子をご用意しました」と冗談めかしていましたが、300枚以上チケットが売れていたら、きっと椅子は用意されなかったでしょうね(苦笑)。

開演時刻を10分ほど過ぎたあたりで70年代なBGMが止み、照明が落ちてエルガーの『威風堂々』が流れる。そして映画『オズの魔法使い』の劇中歌として有名な「Over The Rainbow(虹の彼方に)」が流れる中メンバーが登場するのはもはやRAINBOWのステージがどのようなものだったか知る人であればお約束といえる。

とりあえず開演のタイミングでみんな椅子から立ち上がってひと安心(笑)。

ちなみに本日のメンバーは以下の通り。

Vo : 下山武徳(SABER TIGER)
G : 島紀史(CONCERTO MOON)
Key : 岡垣正志(ex.TERRA ROSA, JILL'S PROJECT)
B : 浅野勇人(ex.Fatima Hill, HARD GEAR)
Dr : 工藤義弘(EARTHSHAKER)

ちょっとしたジャパメタ・ドリーム・チームですが、下山&島って、これはDOUBLE DEALERですねこれは。まさか私がDOUBLE DEALERを見ることになるとは(違)。

オープニングは『ON STAGE』アレンジの「Kill The King」。個人的にはスタジオ盤のイントロの方が好きですが、名曲中の名曲なので当然盛り上がる。

2曲目は私のここ数日の脳内ヘビーローテーション(どうでもいい)「All Night Long」。リフは非常に「らしい」一方で、歌メロがとてもポップ&キャッチーで、ライブ向きの曲ではある。

下山が挟んだMCで、本日の趣旨が今年没後20年となるコージー・パウエルのトリビュートであることを知る(遅)。ということはジョー・リン・ターナー時代の曲はやらないのか、とちょっと落胆する、実はジョー時代の曲に好きなものが多い私。

実際、本日プレイした「Mistreated」や「Catch The Rainbow」みたいな曲は、多分リッチー・ブラックモアにとっては「演っていて楽しい曲」だったのだと思いますし、こういう曲を楽しめる人が「ロックをわかってる」ということになるのだと思いますが、その2曲をやるなら「Eyes Of The World」と「Lost In Hollywood」をやってほしかったというのが私の本音。

下山武徳のヴォーカルは、DOUBLE DEALERのアルバムを聴いて感じていたほどに暑苦しくはないというかパワフルではないと思ってしまいましたが、日本人でこれ以上の歌唱を望むのはなかなか難しいというのもまた事実でしょう。

そして尻上がりに調子を上げていったのは、本日このライブの前に2時間通しのリハーサルをして、そこでもちゃんとシャウトしていたという事実をMCで聞くと、ある意味驚異的でした(本人もライブが終わり際に一番調子が出る、と言っていました)。

「Gate Of Babylon」をライブで聴けたのはなかなかの感動。"JILL"岡垣氏のキーボード・サウンドがオリジナルにそっくりなのがまたポイント高い。オルガンの上にシンセを乗せたセッティングも個人的にはレトロ目新しい。どうでもいいですが、GALNERYUSのYUUKI氏といい、様式系キーボーディストの間ではああいう髪型が流行っているのでしょうか?

ただ、下山武徳本人もMCで言っていた通り、RAINBOWの曲は間奏が長く、ライブハウスなのでステージも狭いだけに動くこともままならず、ヴォーカリストはかなり手持ち無沙汰感がある。しかしそれでも変に挙動不審な動きをせず、客の煽りも適度な感じで、なかなかいいフロントマンぶり。

MCをどちらかというと笑いを取る方向に持っていくのは好き嫌いあるかもしれませんが、オーディエンスの年齢層の高さや、恐らく熱心な「顔見知り」のようなファンが多いであろう環境を考えるとそれもやむなしか(人数こそ少ないものの、盛り上がり自体はなかなかのものでした)。

というか、本日の主役というか、このプロジェクトの発起人であるEARTHSHAKERの工藤義弘が喋る喋る。そして関西人ならでは漫才的なセンスで下山武徳と掛け合い、MCタイムは始終客席から笑いが起きていました。フル活用していた「ON/OFFできるマイク」は名古屋や大阪でも登場するのでしょうか(あの場にいた人しかわかりませんね/苦笑)。

その工藤義弘のドラムは、コージー・パウエルのトリビュートといいながら別にセットなど真似ているわけではなく、プレイも時折コージー・パウエルっぽさを垣間見せるものの、(彼のプレイは初見なので確信はありませんが)自身のスタイルで叩いているようでした。

正直EARTHSHAKERのアルバムを聴いて「ドラムが凄い!」と思ったことはなかったのですが、パワーといいシンバルワークといいグルーヴといい、相当に非凡なものがあり、自らをコージー・パウエルになぞらえるというハードルの高い企画をやろうとするのは伊達じゃないなと思いました。

ライブ本編ラストの「Still I'm Sad」の途中に挿入された、チャイコフスキーの「序曲1812年」に合わせた有名なドラム・ソロもなかなか見応え・聴き応えがありました(ちなみにアンコールは「Long Live Rock 'n' Roll」 )。

ただ、工藤義弘発案の企画とはいえ、ステージ上の音楽をリードしていたのはやはりギタリストである島紀史(CONCERTO MOON)でした。

彼を見るのは、かつてCONCERT MOONがSTRATOVARIUSの来日公演で前座をやった時以来なので、ほぼ20年ぶり。しかしその外見的な印象は当時とほとんど変わっていない。未だに若々しいと言うべきか、昔から割と老けてたと見るかは意見の分かれるところでしょう(笑)。演奏中の“顔芸”も当時のままでした(笑)。

CONCERTO MOONで観た時は、バンドの音楽がそうであるがゆえにイングヴェイ・マルムスティーン的な速弾きの印象が鮮烈でしたが(正直、ティモ・トルキを圧倒していました。ティモ・トルキには「凄く上手いけど、あまりにもイングヴェイ的で個性がない」とディスられていましたが)、本日は見事にリッチー・ブラックモアになりきっていました。

きっとマニアに言わせれば「トーンが…」とか「タメが…」とか色々あるのかもしれませんが、個人的には納得のプレイですね。間奏が長い曲では「ギター・ソロ、ここまで」的なジェスチャーを他のメンバーに出しているように見えました。

ベースの人はキャリア的も一番地味で、RAINBOWというバンド自体ベースが目立つバンドではなかっただけにステージ上でも地味でしたが、プレイは確かで、ルックスも渋カッコよかったです。この人も下山武徳同様札幌拠点の人で、札幌では有名な塗装屋さんだとか(笑)。

そんな高いミュージシャンシップに支えられたRAINBOWの演奏はなかなかにテンションの高いもので、現在再結成しているRAINBOW本家のライブよりも(YouTubeに上がっているものをいくつか観たくらいですが)良いのではないかと感じます。

そういう意味で、もはや観ることができない「三頭政治」時代のRAINBOWのライブを現代に疑似体験する、という意味では(現在の)本家を凌駕し、世界的に見ても屈指のレベルにあるものを観られたのではないかと思っています(とはいえ、映像作品などで観るオリジナルのオーラのようなものとは次元が違うというのもまた事実ですが)。

楽しめたことは間違いないとして、あえて不満を挙げるなら、神曲「Stargazer」の後に「A Light In The Black」を続けてくれなかったことかなー。個人的にはあの2曲は組曲のようなものなので、セットで聴きたかったというのが本音。

明日10日(金)は名古屋、明後日11日(土)は大阪でライブがあるようなので、私のようにRAINBOWのライブを疑似体験してみたいという方は足を運んでみてはいかがでしょうか。

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DOLL$ FESTA 2018.7.29 at クラブチッタ 感想

以前一度書きましたが、私が2010年代に入って最も気に入っているバンドの一つがDOLL$BOXXでして、今回ボブ・ディランに惹かれつつもフジロックを蹴ってDOLL$BOXX主催のフェス(というか対バンイベントですが)DOLL$ FESTAに足を運んできました。

この週末は台風ということで、先週はどうなることやら、と危惧していましたが、メンバーの心がけが良かったのか首都圏については台風の影響は大してなく、今日は普通に晴れていた(とはいえ、西日本から来ようとしていた人は影響を受けたのかもしれません)。

このブログの読者にはあまり馴染みがないかもしれないので一応説明しておくと、DOLL$BOXXとは国内きってのテクニカルなガールズ・バンド、Gacharic Spin と、元LIGHT BRINGER、現Fuki Communeのヴォーカリスト、Fukiによるプロジェクトで、このイベントはそのDOLL$BOXXをヘッドライナーに、Gacharic SpinとFuki Commune、さらにFukiが掛け持ちで在籍しているUnlucky Morpheus、そしてGacharic SpinとSHOW-YAのヴォーカリスト、寺田恵子によるプロジェクト、寺田リック・スピンの計5バンドが出演するというもの。

つまり、出演5組のうち3組のヴォーカリストがFuki、3組の演奏陣がGacharic Spinという、出演バンドの割には出演者の少ないイベントです(笑)。

このイベントの前に買い物などしていたら到着が予定より遅れてしまい、開演時刻ギリギリの15時に到着。当日券込みでソールド・アウトになった(した?)場内は盛況で、前の方に進むこともできず入り口近くの後方で開演を迎えることに。

ちなみに客層は40代~50代と思われる男性が大半で、典型的な嬢メタルの客層。このイベントのTシャツ着用率の高さが高いロイヤリティと「お布施」に対する高いモチベーション(タニマチ意識?)を感じさせる。

Fuki Commune

1バンド目はFuki Commune。アルバムは未聴だったが、YouTubeでちょろっと聴いた曲でアニソンみたいなポップな曲をやるプロジェクトなんだな、と高を括っていたら、意外とメロスピな曲が多くて耳を引かれる瞬間が多かった。

ドラムが非常に私好みのタイム感の持ち主なのを筆頭に演奏のクオリティも高く、音量がいささか大きめで耳栓なしでは厳しかったが、普通にメタルのライブとして楽しめた。「Bloody Rain」なる新曲もカッコよかったし。

赤いドレスをまとったFukiも魅力的だった…と言いたい所だが遠くてあまりよく見えず。クラブチッタは天井高いんだからステージをもっと高くしてほしい。「お立ち台」に立った時だけ見えたパフォーマンスは、なんとなく仕事で何度か観た声優アイドルを思わせるものだったが、オーディエンスがサイリウムを振り回すようなことはなく一安心…だったのですが。この時点では。




寺田リックスピン

Fuki Commune終演後、タバコ組やトイレ組が場外に出たのに乗じてフロア中央あたりまで進出する。

2番手はイベントでSHOW-YAとGacharic Spinが共演したことをきっかけに結成された、SHOW-YAのヴォーカルである寺田恵子とGacharic Spinのコラボ・プロジェクト(ロゴがなぜかBABYMETAL風)。

要はGacharic Spinのメンバーをバックに寺田恵子がSHOW-YAの曲とGacharic Spinの曲を歌うという、プロジェクト名通り「そのまんま」な企画。

そしてGacharic Spinの曲がプレイされると、オーディエンスの1/4くらいがサイリウムを振り回し始める(苦笑)。

SHOW-YAの曲は、SHOW-YA自身もライブではプレイしたことがないという「地下水道の月」(名バラードです)みたいなレアな曲もプレイされ、「その後で殺したい」なんかはだいぶアレンジが変わっていて面白い。

AC/DCの「Whole Lotta Rosie」のカヴァーなんかもカッコよかったが、思いのほかメタルTシャツ着用率の低いこの会場でどれくらいニーズがあったのかは?

寺田恵子のためにあるような曲、「年齢不詳の魔女になりたい」は、途中に聖飢魔IIの「蝋人形の館」が挟まれ(「お前も蝋人形に…してやらない」)、個人的には非常に楽しめた。

SHOW-YAの代表曲、「私は嵐」と「限界LOVERS」はかなりオリジナルに忠実なアレンジで、オリジナルよりキレのいい演奏で楽しませてくれました(笑)。


Unlucky Morpheus

ゴシック・シンフォ風味のメロディック・スピード・メタル・プロジェクト。Fukiは先ほどのFuki Communeとは打って変わって黒い衣装を身にまとい、金髪のカツラをかぶっている。

どうやらいわゆる同人系のプロジェクトらしく、GALNERYUS / THOUSAND EYESのドラマーでもあるFUMIYAを除くと、メンバーが全員陰キャな感じ(笑)。

素に近いと思われるFukiのMCは、アッパー系コミュ障みたいな妙なテンションが個人的にはちょっと見ていて(聞いていて)落ち着かない(苦笑)。

でも音楽はクラシカルなメロディック・スピード・メタルとして非常にクオリティが高く、この手のサウンドは学生時代の私だったら思いっきりハマったと思われます(もちろん今も好きですが)。




Gacharic Spin

Unlucky Morpheus終演後、いったん場外に出て、ドリンクチケットをコーラに変えてカフェインと糖分をチャージ。ソールドアウトと言いつつギュウギュウではないので、再び先ほどと同じ真ん中辺りのポジション取りに成功する。

そして始まったGacharic Spin。いや、メチャクチャ楽しいですね、これ。彼女らの音楽はメタル指数でいったら本日一番低いのかもしれませんが、もはやジャンルとか関係なく全人類が楽しめるエンターテインメントという感じ。

キャッチーな楽曲、キレッキレの演奏、そして何よりメンバーが凄く楽しそうに演奏していること。寺田リックスピンの時から思っていましたが、特にギターの笑顔が素晴らしいですね。日々のビジネスで荒んだ心が癒されます。

昨年「コンサートに頻繁に行く人は幸福度が高いことが科学的に証明」という眉唾なニュースがありましたが、このバンドのライブは確かに幸福度を上げる気がします(笑)。

中でもハンバーガーの着ぐるみ(?)を着た、歌って踊れるキーボーディスト、オレオレオナの振り切ったパフォーマンスはインパクト絶大。

キーボードを前に傾けて弾いている時の運指を見せる、というのはイェンス・ヨハンソン(RISING FORCE~STRATOVARIUS)および彼に影響を受けたHR/HMキーボーディストによってよく見ますが、キーボードを横に(いや、縦というのか、あれは?)立ててソロをプレイするのは初めて見ました。

さらに、ダンサー(肩書はパフォーマー)がリュックのようにキーボードを背負い、四つん這いになった状態で背中のキーボードをオレオレオナが弾く、というのも私にとって斬新なパフォーマンスでした。メンバー全員歌えるだけに、まさに全員主役状態でステージ上が百花繚乱のごとく、「常にどこかで何かが起きている」状態。

このむやみやたらな全力投球感、かつて一度映像作品で観たことがある、ももクロのステージに通じるものを感じました(褒め言葉になっているかどうかわかりませんが…)。

本日に関しては私の右隣にいた人がずっと「振り付け」を踊り続けていて、しばしば私の方に勢いよく振り出されてくるその腕の動きをよけることに神経を使う必要があったのが若干の難点でしたが(苦笑)。ライブで楽しみたい、という人はこのバンドのライブを観るべきです。マジで。

もうここまでで充分満足でしたが、この後DOLL$BOXXがあるというのですから、6800円というチケット価格はきわめて良心的。




DOLL$BOXX

そして本命、DOLL$BOXX。約5年前にその存在を知ってから、ずっと観たいと思っていた夢が叶いました。

夢という割にはこれまでのライブを見逃していたのは、私があまり嬢メタル界隈のニュースを積極的に取らないという怠慢によるものですが(苦笑)。

そしてそのライブは5年越しの期待にバッチリ応えるものでした。

アルバムで私の心をとらえたFukiの歌唱は、本日3ステージ目にして(!)ピッチの安定感という面では最高のクオリティ。だんだん調子が上がってきたということなのか、ちょっと疲れているくらいのほうがパワーをコントロールしやすいのか、それともこのバンドの楽曲が一番合っているということなのかわかりませんが、心の琴線にダイレクトにドロップキックしてくるような強烈な歌声に、胸が熱くなるのを抑えられませんでした。

MCについては、何やら「クールなキャラ」を演じていましたが(とはいえ、わざと失言しては自らの頬を打つ、という小芝居で笑いを取ることは怠らない)、Fuki CommuneやUnlucky Morpheusの時のような素のトークよりもむしろステージMCとしては締まっていて、この人は歌手よりも声優の方が向いているのでは、という気がしてしまったり。

奇跡の歌声を持つFukiと、奇跡の演奏力を持つGacharic Spinのコラボレーションは、まさにマジカルと呼ぶに相応しいケミストリーで、FukiとGacharic Spinのメンバーの性格や音楽的な方向性はあまり合わない(少なくとも長期的にはどこかでぶつかりそう)と思われるだけに、レギュラーなプロジェクトにはならないだろうという意味でも非常に貴重なものを観た気分です。

メンバー全員カッコよかったですが、パワーもキレも女性離れしたテクニカルなドラミングをしながらヴォーカルもやり、時にスクリームし、時にラップし、要所ではスティック回しまでキメる はな さんにはつい恋に落ちそうでした(笑)。



アンコールでは出演者全員がステージに上がり、DOLL$BOXXのメンバーに、Fuki CommuneとUnlucky Morpheusのギター、そして寺田恵子御大を迎えてのセッション。

なお、DOLL$BOXXのTOMO-ZO(G)と、はな(Dr)は「疲れて帰った」とのことで(笑)、「たまたま通りかかった」北欧(の方)からメタルの素晴らしさを伝えに来た、METALLIC SPINのカワイ・トモーゾ(G)とノーズ(Dr)が代役として参加。この辺はこれまでの事情を知らない人には「?」な感じですね(苦笑)。

セッションでプレイされたのはM.S.G.の「Armed And Ready」。まさか「私は嵐」のリフに似ているから、という選曲でしょうか?。 METALLIC SPINらしい選曲といえばそうですが。

※METALLIC SPIN参考映像


5時間立ちっぱなしは少々しんどかったですが(約1か月後のEvoken Festはもっと長くなるのだろうか…)、とても素敵な「ひと夏の思い出」になるライブでした。どのバンドも、観るなら次は単独で観たいかな。

SEPULTURA 来日公演 at duo MUSIC EXCHANGE 2018.5.23

諸事情あってブラジルを代表するエクストリーム・メタル・バンド、SEPULTURAのライブを観に行ってきました。

諸事情あってメタルのライブを一度も観たことがないという女性と2人で関係者席での鑑賞です。

オープニング・アクトとしてまずはUNITEDの登場。彼らのライブを観るのはLOUD PARK 15以来ですかね。

華には欠けるものの、ソリッドでストイックなスラッシュ・メタル・サウンドが気持ちいい。
ギター・ソロでツイン・リードのハモりが聴ける曲が多いのがいいですね。

ステージ中央前方では盛んにモッシュなども起きていましたが、前座ゆえに盛り上がりはそこそこ。

その空気に対して「オッサンたち温存しようとすんなよ。温存しようとしてんの見え見えなんだよ。ド平日だけど関係ねえ、今週捨てようぜ」というMCで笑いを取るテクはベテランならでは。

7月に7年ぶりのニュー・アルバムが出ることを告知を挟みつつ、40分ほどプレイして終了。

UNITEDのステージが終了して程なく、伊藤政則氏が御降臨されました。

よりによって私の真ん前に着席されたため、基本的にSEPULTURAのライブ中、伊藤政則氏の後頭部しか見てません。

セットチェンジを経てSEPULTURAの17年ぶりという来日公演がスタート。
17年ぶりということは、『BEAST FEAST』以来なんですね。

このバンドの場合、マックス・カヴァレラ(Vo, G)が1996年に脱退してからは、むしろそのマックスが始めたSOULFLYがSEPULTURAのファンを継承するような形になったため、日本では人気が急落。それは必ずしも日本に限ったことではなかったが、特に「ヴォーカリスト=バンドの顔」という意識が強い日本ではその傾向が顕著だった。

かく言う私も現ヴォーカリストのデリック・グリーンが加入して以降のSEPULTURAのアルバムをまともに聴いたことはなく、4曲目の"Territory"がプレイされるまでは「知ってる曲がない」状態。

もっとも、曲を知らないと楽しめないような音楽性でもなければ、そんなレベルのバンドでもないわけで。

700人収容というあまり大きくないハコとはいえ場内はほぼ満員という感じだったし(とはいえあれだけモッシュが起きていたということはギュウギュウではなかったということだと思いますが)、開演前の「SEPULTURAコール」はかなりの熱量で、私がよく行くようなメロディック・メタル系のライブよりもオーディエンスの熱気は段違いに高かったです。

Voのデリック・グリーンがとにかくゴツい。黒人がバスケットボールのユニフォーム着ている時点で既にメタル・ミュージシャンには見えないわけですが、そのガタイのゴツさはバスケ選手というよりも完全にヘビー級のプロボクサー。恐らくフィジカルでの殴り合いになったら最強のミュージシャンは彼なのではないでしょうか。

マックス・カヴァレラの復帰がかなわないのは、コイツとモメるのが怖いからなんじゃないかとさえ思える迫力でした。
いや、時折見せる笑顔などを見ると結構いい人なんじゃないかという気もしたのですが。

ただなあ…そのガタイに対して歌声は割と普通というか想定の範囲内というか。言葉を選ばずに言えばあんまり個性がないんですよね。この手のサウンドのヴォーカルは声にパワーさえあれば充分なのかもしれませんが、なんか物足りない。まあ、この手のジャンルの歌声に個性を求めるのは酷なのかもしれませんが。

時折ただでさえ狭いステージをさらに狭くしているパーカッションを叩き、トライバル感の演出に貢献するものの、前任のマックス・カヴァレラと違ってギターをプレイしないので、ギター・ソロの時に音が薄くなってしまうのは如何ともしがたい。

いや、アンドレアス・キッサーのギターはかなり良かったですよ。一見ラフに、しかしその実、正確かつ強靭なリフを刻むサウンドは変な湿度がなく爽快なまでにザクザクしていましたし、一方でワウをかけて弾くことが多いギター・ソロのトーンには泣きとまでは言わないもののエモーショナルな味わいがあってちゃんと聴かせてくれる。

一緒に観ていた女性も、メタルこそ初体験ながら、ライブ自体は年間40本くらい観ている音楽リテラシーの高い人なので、「ギターいいね」と、そのギター・プレイの魅力はちゃんと伝わっていました。

そしてその彼女をさらに驚かせたのはエロイ・カサグランデのワイルド極まりないドラム。ワイルドに叩いているようでいてリズムは正確、そしてそのアタックの強さは、スラッシュ・メタル・ドラマーの中でも屈指の実力者として知られたイゴール・カヴァレラの穴を埋めるに充分な力量でした。

しかしこの逞しいドラマーが、2007年のLOUD PARKで観たANDRE MATOSのバックでドラムを叩いていた16歳の少年とは…。

あの時は美少年と言ってもいいような華奢な感じだったのに、白人の加齢に伴うトランスフォームは日本人の想像を超えるものがあります(苦笑)。

やはり感銘を受ける所があったのか、同じく関係者席で観ていた某ミュージシャンも、ギタリストであるにも関わらずずっとエア・ドラムをしていました(笑)。と言ってもUNITEDの時からエア・ドラムでしたが。

そして新旧織り交ぜた本編ラストでプレイされたスラッシュ・メタル史上屈指の名曲、「Arise」の殺傷力はやはり尋常ではなく、私も思わず「着席ヘッドバング」というシュールな行動をせずにいられませんでした。

「Arise」を終えてステージに引っ込んだ後の「SEPULTURAコール」もかなりのアツさで、デリック・グリーンが「Absolutely Amazing!」と言っていたのもまんざら社交辞令じゃなかったのかもしれません。

アンコール1曲目に「Slave New World」がプレイされた後、日本に戻ってこれた喜びと、本日の盛況に対する感謝の意を表した後、「日本のファンのために特別なことをするよ」とアナウンス。

アンドレアス・キッサーが「俺たちの前に素晴らしいプレイをしてくれたUNITEDのシンガー、マサを呼ぶよ」というと、袖からUNITEDの湯浅正俊が現れる。

「日本のメタル・ゴッド、マサ・イトーに捧げるよ」と言って何を始めるかと思いきや、コールされたのは「ウルトラセブンの歌」。

最新作『MACHINE MESSIAH』の日本盤ボーナス・トラックだったようですね。だいぶ前だけど彼らと同じブラジル出身のハードコア・バンドR.D.P.(Ratos De Porao)もカヴァーしてましたが、ブラジルではウルトラセブンが人気なのでしょうか(それともそのR.D.P.のっバージョンをカヴァーしたという感じなのでしょうか)。

湯浅氏がオーディエンスに「お前ら歌えるよな? 俺もコレ(スマホの画面)見ながらだけど」と言って笑いを取りつつ、ハードコア・バージョンの「Urtra Seven No Uta」をプレイ。

とりあえずオーディエンスは「セブン♪セブン♪セブンセブンセブン♪」の箇所だけ合唱(笑)。

なお、同行していた女性の感想は「(UNITEDの)ヴォーカルの人、喋っている時はすごくいい声なのに、どうして歌う時は変な声で歌うのかな? これがデス声ってやつ?」

…違います。

捧げられた当人である伊藤政則氏はこの曲が終わるとそそくさと退出して行かれました。

その後最新作からの曲が1曲プレイされ、締めはもちろん彼らの音楽的評価を格段に高めた名盤『ROOTS』からの「Ratamahatta」と「Roots Bloody Roots」。

私は「Arise」のようなストレートなスラッシュ・ナンバーの方が好みですが、これらの曲に個性とインパクトがあることは認めざるを得ない。

いや~、でもやはり流石でしたね。ぶっちゃけ座ってエクストリーム・メタルの知らない曲を聴いたら寝てしまうんじゃないかと危惧していましたが、全然眠くなりませんでした。

ぶっちゃけ招待された時は「SEPULTURAかあ…。ここ20年くらい聴いてないしなあ…」とやや後ろ向きな気分でしたが、オーディエンスの盛り上がりのアツさも含め、予想外に良いライブでした。やはり国際的に成功しているキャリアの長いバンドのライブは観て後悔することはありませんね。

◆最新アルバムからの「Phantom Self」のMV


◆スラッシュ・メタル史上に残る名曲「Arise」のMV


HELLOWEEN 来日公演 “PUMPKINS UNITED WORLD TOUR 2018” 3.27 at Zepp DiverCity 感想

というわけで観てきました、HELLOWEENの“PUMPKINS UNITED WORLD TOUR 2018” in JAPAN最終日。

通常チケット発売日に寝坊した結果論ではありますが、初日と最終日を観られるというのは悪くなかったな、と思ってます。

ただ、今日は前回と違って仕事が片付かず無念の遅刻。到着した時には2曲目の「Dr.Stein」がプレイされていました。

2曲目と言っても、1曲目は大作「Halloween」なので、まあまあ遅刻している。
てか、マジで初日オンタイムで行けてよかったです。1回しかないチャンスで「Halloween」を見逃していたら、悔やんでも悔やみきれませんでした。

遅刻しているので入り口付近の後ろの方で鑑賞(整理番号は結構若かったのですが…)。パッと見満員っぽい感じながら、よく見ると人口密度はそこまでギュウギュウではないので、頑張ればもうちょっと前に行けそう。

とはいえ、コインロッカーが全部埋まっていたのでバッグを持ち込まざるをえず、スーツ姿でもあったので無理のない範囲でじりじりと真ん中の方へにじり寄っていくくらいが関の山でした(苦笑)。

ライブの大まかな流れは、初日に観た時と一緒なので、本日は省きます。

セットリストは毎回ちょっとずつ変わっていたようですが、終わってみて見比べると、私が行った初日が一番イレギュラーなセットリストだったようです(と言っても8割がた同じですが)。

「Where The Sinners Go」は本日だけプレイされたスペシャルな曲ですが、正直なぜこの曲?、って感じ。
個人的にはHELLOWEENの全楽曲の中でも下から数えたほうがいいくらいの曲だと思っているのですが…。

他に、前回プレイしなかった曲に限って触れると、「Kids Of The Century」と「I'm Alive」という古めの曲2曲はやっぱり盛り上がりましたね。

特に後者は私を洋楽ヘヴィ・メタルにのめりこませ、ギターまで買わせるきっかけになった「衝撃の曲」なので、その感動はひとしおでした。

というか、私が行った初日以外は「I'm Alive」をプレイしていたみたいなので、これで今日プレイしなかったら成仏し損ねるところでした(笑)。

2回観に行ったにもかかわらず一番観たかったこの曲がプレイされなかったら、私は死後永遠にお台場を漂う地縛霊になっていたことでしょう。

私はこれまで1アーティストのツアーを複数回観に行ったことはほとんどありませんが(1999年の聖飢魔IIと、2002年のARCH ENEMYくらいでしょうか)、今回は2回観ておいて大正解でした。

まあ、その「I'm Alive」に関して言えば、割と荒っぽい演奏でしたけどね。
というか、本日は初日に比べて全体的に粗が目立ったかな。さすがにメンバーも7公演目ということでお疲れだったのでしょうか。

と言っても疲れが見えたのはヴォーカルをやっている三人、カイ、マイケル、アンディの3人だけですが。

特にカイの歌は、初日より結構アレでしたね。まあ2000年前後にはかなりマシになっていた歌声も、近年どんどんラフになっていますし、元々カイの歌唱に対する期待値というのはそれほど高くないので別にいいのですが。カイ時代の曲をやってくれるというだけでアーライ!です(笑)。

カイとヴァイキーのツイン・リードのハモリもかなりグダグダでしたが、一番の見せ場と言っても過言ではないアンコールの「Keeper Of The Seven Keys」の後半のツイン・リードはかなりキレイにハモれていたので、最終的には満足です(笑)。

私は「Eagle Fly Free」より「I'm Alive」、「Power」より「Where The Rain Grows」という、ちょっとだけ主流派ではないファンですが、やはりライブにおける「Eagle Fly Free」と「Power」の盛り上がりは頭一つ抜けてましたね。特にマイケル・キスクの歌う「Eagle Fly Free」は、これを聴けただけでチケット代の元が取れたと感じた人も多いのではないでしょうか。

「Eagle Fly Free」、失礼ながらアンディが歌うと低空飛行な感じに響くのですが、マイケル・キスクが歌うと大空高く羽ばたいているように聴こえるんですよね。ヴォーカルってやっぱり大きいです。

前回も感じましたが、全体的にゲスト扱いであるカイ・ハンセンとマイケル・キスクが立てられているというかフィーチュアされているという感じではありつつ、ちゃんと全員仲が良さそうで、ステージの雰囲気はすこぶる良い。

楽曲の曲調と、メンバーのキャラクターの双方があいまって、ヘヴィ・メタル・バンドとしてはあり得ないほどに親しみやすい空気があるのが、やはりこのバンドの絶対的な個性ですね。「なんかちょっと怖い感じで近づきにくい…」というヘヴィ・メタルのイメージを(特にここ日本で)変えたバンドという意味で、やはりHELLOWEENの存在感というのは特別な感じがあります。

ちなみに今日は2階席でなくフロアだからかもしれませんが、初日より女性客が多かった印象。

さすがに皆さんそれなりに妙齢な感じではありますが(笑)、HELLOWEENがいなかったら、この手のパワー・メタル系のバンドを聴く女性ってもっともっと少なかったのではないかという気がします。

そんなこんなで本日も大満足。強いて心残りを挙げるとすれば、ラストの「I Want Out」の時に投げ込まれたバルーンに全くタッチできなかったことでしょうか(笑)。前の方の皆さん、もっと後ろにも回してくださいよ(笑)。

あと本日別な意味で印象に残ったのは、私の近くでずっとスマホを掲げていた外人客。

人込みをかき分けてきたスタッフに注意されていましたが、「ワタシ日本語モ英語もワカリマセーン」という顔芸で軽やかにスルー(ここでスマホを奪い取る、みたいなことができないのが日本人の弱さですね)。

てっきり録画か録音をしているのかと思いきや、どうやらSkypeとかFaceTime的なもので友人にライブを見せていた模様。

どう考えてもその友人の分も金払えよ、って感じではあるのですが、現代ではこういうこともできるんだ、と妙な感銘を受けてしまいました(苦笑)。

まあ、そんなことは些細なことで、とにかく本当にいい体験でした。バンドの演奏やパフォーマンスの完成度でこのライブ以上のものというのはいくらでもあると思いますが、企画、演出、そして何よりこのメンバーでこの楽曲が聴ける、ということ自体に25年来のファンとしては感無量にならざるを得ません。

Web上の評判を見ても、ネガティブな感想はほとんど見られず、大好評と言っていいツアーだと思います。

実際、近年のメタル系のツアーとしては珍しいほどチケットの売れ行きもよかったと思いますし(福岡公演がなかったのが不思議なほど。空いてるハコがなかったんでしょうか)、これはそれほど遠くない未来にまたこのメンバーでのライブが観られるのではないかという気がします。

とりあえず、マイケル・キスクとカイ・ハンセンのいるHELLOWEENを観ることができた、メタラーとしての私はもうこれで成仏できると思います(笑)。

ずっとメタルを、HELLOWEENを好きでよかった、と心から思える素晴らしい体験でした。
集金でもいい。またやってほしい。