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SECRET SPHERE & SERENITY 来日公演 at 初台The DOORS 2023.12.15

イタリアのシンフォニック・メタル・バンド、SECRET SPHEREと、オーストリアのシンフォニック・メタル・バンド、SERENITYのジョイント・ライブという、私のためにあるような神企画をEVPさんが実現してくれたので、足を運んできました。

初台The DOORSは「東上線沿線の会」というMASAKI(アニメタル他)プロデュースのイベントで2005年に一度訪れたことがあり、その後2012年にリニューアルしているとのことですが、とにかく狭かったという印象がありました(公称キャパは350人とのこと)。

平日は会社があるのでスーツもしくはそれに類するような服装(この日はジャケパンでしたが)をしていますし、この時期は当然さらにアウターも着ています。ノートパソコンなどが入ったリュックも持っているので、あまり狭いライブハウスには行きたくないというのが本音。

真剣に翌日の土曜日に行われる名古屋公演に遠征しようかということも検討しましたが、土日に予定が入ってしまったので、初日の東京公演を観ることにしました。

幸い仕事は順調に片付き、開演の18:30の5分遅れくらいで入場。場内はパンパンではないがまあまあ人が入っており、既にプレイを始めているILLUSION FORCEのパフォーマンスはフロア後方の物販スペースの前で観ていました。

ILLUSION FORCE

9月に観に行ったEDU FALASCHI & NORTHTALEの来日公演でも前座で出演していたのですが、その日は私が遅刻したため観ることができませんでした。

そんなわけでEvoken Fest 2019以来で彼らのライブを観るわけですが、その時と同様、非常に好感度の高いメロディック・パワー・メタルをプレイしていました。

ちょっとハシり気味な勢いのあるドラムといい、狭いなりに回ったり大きめのアクションを連発するギタリストといい、随所で高度なスキルを披露するアメリカ人ベースといい、30分という短いステージだからこそのエネルギッシュなパフォーマンスを披露してしました。

そして多くの曲で驚異的なロングノートのハイトーン・スクリームを響かせる韓国人ヴォーカリストのインパクトは相変わらず凄まじいものがありました。

わずか5曲、そして直近のセカンド・アルバムよりもファースト・アルバムからの楽曲が多いセットリストでしたが、個人的にはセカンド・アルバム収録のオリエンタルな名曲"Cosmos"が一番印象に残りました。


SERENITY

30分弱の転換を経て登場したのはオーストリアのSERENITY。転換の間、ドリンクの購入や物販に向かう人たちの動きを上手く利用し、フロアの中ほどへ前進を果たしました。

個人的に彼らはデビュー時から追いかけているバンドのひとつで、このバンドを観られるというのが、私としてはできればこの歳では回避したい、狭いハコでの長時間立ちっぱなしライブ鑑賞を決断させる大きな理由でした。

フライヤーの作りなどを見ると、今回の彼らの立ち位置はSECRET SPHEREのジャパン・ツアーのサポート・アクトという形のようですが、実際の所、彼らの最新作"NEMESIS A.D."はドイツのナショナル・チャートで12位を記録するなど、欧州ではそこそこの成功を収めており、ドイツはおろか本国イタリアのチャートにすら入ったことがないSECRET SPHEREより活動規模的には「格上」の存在。

にもかかわらず前座扱いでの来日に応じてくれたのは「日本でライブをやってみたい」という気持ちが強かったからなのでしょう。ありがたいお話です。

そして結論から言うと、素晴らしいライブでした。正直、オーストリアという国はあまり有名なメタル・バンドを輩出したことがないという意味では「メタル後進国」(つまり恐らく自国内でのライブの機会も多くない)だし、シンフォニック・メタルというジャンルも、どちらかというとライブよりスタジオ・アルバムの作り込みで勝負するタイプのジャンルだと思っているので、あまりライブ・パフォーマンスには期待できないんじゃないか…などと思っていました。

しかし蓋を開けてみると、こんな小さなライブハウスで演ってもらうことが申し訳なくなるほどの堂々たるパフォーマンスで、最新作からの"Fall Of Man"で始まったオープニングからすぐにグイグイステージに引き込まれました。

ヴォーカルのゲオルグ・ノイハウザーはその少し鼻にかかったように聞こえる甘さのある声質から、勝手にV系ヴォーカリストのようなナルシストを想像していたのですが、むしろ「オーストリア陸軍の将校です」と言っても通りそうな(?)ガッシリした体躯の堂々たるフロントマンで、実に巧みにオーディエンスを煽り、盛り上げていました。

そしてナルシストなんてとんでもない、新加入のマルコ・パストリーノ(G, Vo 元SECRET SPHERE, 現TEMPERANCE他)と「俺たちハゲ仲間(意訳)」とじゃれ合うなど、結構笑いのツボも押さえている人でした(笑)。

そしてこれまた偏見満載で申し訳ないのですが、こういう甘い歌声はスタジオ・アルバムではいい感じながら、ライブでは弱く聞こえるんじゃないか…と危惧していたのですが、これまた杞憂で、アルバム音源と変わらぬ素晴らしい歌声で、いい意味で裏切られた感じです。

そんなゲオルグが「ベリータイトなスケジュール」と形容する50分程度の持ち時間で、最新作の曲を中心に、セカンド・アルバムからのクラシックも挟みつつ、最新作収録の、シンフォニック・メタル史上最もポップな(?)"Reflections (of AD)"や、私が2013年の年間ベスト・チューンに選んだ名曲"Legacy of Tudors"までプレイしてくれたので、個人的には満足というか納得。ゲオルグ以外のメンバーのコーラス・ワークの素晴らしさも特筆すべきポイントでした。

いや、これはフルセットのショウを観たくなりますね。KAMELOTやRHAPSODY OF FIREが好きな方であれば、このバンド自体はあまり聴いたことがなくてもライブを観に行くべき、と断言できるクオリティのライブでした。


SECRET SPHERE

私が偏愛するバンドのひとつであるSECRET SPHEREのライブを観るのはこれで3回目。

ただ、過去2回のライブにおけるヴォーカリストはミケーレ・ルッピ(元VISION DIVINE, 現WHITESNAKE)で、それはもちろん素晴らしいパフォーマンスを見せてもらったのですが、私が彼らを偏愛するきっかけになった初期2作を歌っていたヴォーカルではなく、バンドとしてももはや「ミケーレ・ルッピ・バンド」といった趣でした(それはそれで良かったのですが)。

そして今回、オリジナル・シンガーのロベルト・ラモン・メッシーナを復帰させて以降では初となる来日、しかも、日本で15,000枚を売り上げたというセカンドの"A TIME NEVER COME"を全曲演奏するという、私のようなオールド・ファンにとってはなかなか食指が動く触れ込みになっており、狭いライブハウスに長時間立ちっぱなしという、中年にはキツい環境に耐えているわけです(苦笑)。

私の後から来場した人も多いようで、SERENITYからSECRET SPHEREへの転換の間に場内アナウンスで前方に詰めるよう促される。

だいぶ人口密度が上がった関係で、パーソナルスペースがかなり狭くなり、この後ずっと右足に重心をかけるような立ち方をすることなったため、右足だけ脚が短くなりそうでした(苦笑)。

そんなこんなで20時半くらいに開始したSECRET SPHEREのショウの幕開けは、最新作"BLACKENED HEARTBEAT"のイントロ"The Crossing Toll"から、MVになったリーダー・トラック的なパワー・メタル・チューン"J.'s Serenade"。

最初ちょっとギターの音がデカ過ぎる? と思ったが徐々に調整され、今更ながらこのライブハウス、サウンドはかなり良好であることに気付く。PAさんが優秀なんでしょうか。

2曲目に最新作のタイトル・チューン"Blackened Heartbeat"がプレイされた後、5th "SWEET BLOOD THEORY"(2008)からの"Welcome To The Circus"という変化球(?)を交え、前作"LIFEBLOOD"のタイトル曲がプレイされる。

そして、「日本だけの特別な試みだ」という、"A TIME NEVER COME"の完全再現が始まる。

ただ、イントロ曲に続く人気曲"Legend"は大いに盛り上がったものの、その後はなんとなく場内の盛り上がりがイマイチ。

まあ、同作はアゲアゲ合唱系パワー・メタル・ナンバーが満載、というタイプのアルバムではなく、むしろこの手のバンドにしてはかなり多彩なタイプの楽曲を揃えていて、だからこそアルバムを通して飽きずに聴ける魅力があるのですが、ライブ映えしない曲も多いというのはひとつの事実。

個人的にはミケーレ・ルッピ在籍時のライブでは聴くことができなかった、本作随一のお気に入り曲"The Brave"を聴くことができたのが嬉しかったのですが、この曲もライブではどこで腕を上げればいいのか、どこを合唱すればいいのかわからない曲。

というかロベルト在籍時の曲は歌い回しというかヴォーカル・メロディが彼独特なものが多く、全体的に他の人には歌いづらい、というのもまた事実なのですが(あのミケーレ・ルッピでさえアレンジを変えていました)。

ただ、そこはフロントマンの腕の見せ所というか、先にプレイしたSERENITYのゲオルグが実に絶妙に手拍子や声出しを誘導していたのに対し、ロベルトはちょっとオーディエンスへの働きかけが少なかったように思います。

この手のバンドにしては珍しいあからさまなラブ・バラード"The Mystery Of Love"をプレイする際の「もし隣に恋人がいるなら、キスするチャンスだ」というMCもフロアに寒風を吹かせるばかりで、日本人の私が聞いてもあからさまにイタリア語訛りな英語のMCもどう反応していいか微妙な感じのものが多かった印象。

人気作だと聞いていたのにあまり盛り上がらないオーディエンスに、ロベルトはややフラストレーションを感じているように見受けられましたが、その原因の何割かはロベルトのフロントマンとしての技量不足なんじゃないかという気もしました。

まあ、技量というよりはキャラの問題というか、私の位置からは見えませんでしたが、ロベルトは往年の一青窈のごとく裸足だったそうで(彼が裸足で歌うスタイルだということはどこかで聞いたことがありました)、ちょっとエキセントリックというか、自分のスタイルへのこだわりが強い気難しい人なのかも、という印象でした(昔からあまりメタル・ミュージシャンぽくないアピアランスでしたし)。

ただ、彼の名誉のために言っておくと、ロベルトは評論家筋からヘナチョコ扱いされることも少なくない細めのハイトーン・ヴォイスの持ち主ですが、その歌唱はいたって安定しており、安心して聴くことができましたし、時にレコーディング音源以上に表現力を感じることもありました。

個人的には、やはりミケーレ・ルッピよりもロベルトの声でこそSECRET SPHEREという感覚があるため、アンコール的にプレイされた「これぞロベルト節」満載の"Recall of the Valkyrie"はたまらないものがありました。

ちょっと文章がロベルトにフォーカスしてしまいましたが、私の位置からよく見えたベーシストのアンドレア・ブラットは非常にイケメンでカッコよかったです(笑)。なお右前方に背が高い人が立っていたため、上手(かみて)にいたギターのアルド・ロノビレはほとんど見えませんでした(苦笑)。

ミケーレ・ルッピ在籍時よりちょっとサウンド的な物足りなさを感じたのは、今回ギターが1本なのと、コーラスができるメンバーがいなかったのが大きく、そういう意味でギターが弾けて歌も上手なマルコ・パストリーノを失った穴は大きかったかもしれません。


会場を出ると、SERENITYのメンバーがライブハウスの前で気さくにファンとの写真撮影やコミュニケーションに応じていました(私自身はあまりミュージシャンとの直接交流に興味がないので素通りして帰宅しましたが)。

SERENITYの方が良かったというのは偽らざる感想ながら、SECRET SPHEREもパフォーマンス自体は良く、個人的には充分楽しむことができ、非常に満足度の高い夜でした。

今夜のライブを終えての個人的な気がかりとしては、こんな素敵なカップリングでも平日とはいえ東京で300人くらいしかオーディエンスが集まらないという、シンフォニック・メタルというジャンルの人気低迷を痛感する事実と、意外に盛り上がらなかったオーディエンスにSECRET SPHEREのメンバーが「せっかく頑張ってこの来日のためだけに"A TIME NEVER COME"完全再現の練習してきたのに…」と失望していないか、ということですね。

そして自分がいつまでこんな長時間立ちっぱなしのライブに耐えられるのか、というのも気がかりですし(苦笑)、こんなサイト/ブログを20年近く書き続ける私くらいそこそこ熱意のあるメタル・ファンでさえキツいと感じるなら、私より年長の方やライトなファンの方はなおさらなわけで、日本におけるメタル・ファンの平均年齢を考えると、このEVPスタイルの興行は今後10年どころか5年ともたないような気がしてなりません(今後若いファン層が開拓できれば別ですが…)。

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DEF LEPPARD & MOTLEY CRUE 来日公演 at Kアリーナ横浜 2023.11.3

KAMELOTのライブ終了から1時間強、まだその余韻も冷めやらぬまま、私はふと気づくと1カ月ほど前に開業したばかりのKアリーナ横浜にいました。

ちょっと盛りました。私は横浜にあまり土地勘がなくプチ迷子になっていたので、「ふと気づくと」なんてスムーズな移動ではありませんでした。

横浜駅から東口のポルタ地下街、そして横浜センタービル、はまみらいウォークを渡ってさらに日産グローバル本社のギャラリーを通り抜け、アンパンマンこどもミュージアムの先にKアリーナはあるのですが、そんな他事業者の施設の中を通って来いとはHPに書けないのか、まったく行き方がわからず、Google Mapがなかったら私はきっと横浜東口で野垂れ死んでいたことでしょう。

音楽専用の施設で2万人収容は世界でも最大級だそうで、個人的には会場自体を体験できることも本日の目的ではありました。KアリーナのKはデベロッパーであるKENコーポレーションの頭文字のようですね。もはやKENアリーナでもよかったのでは。

会場の隣にはヒルトン横浜が建っており、もし私が地方在住だったらここに泊まるというのも選択肢だったかもしれません。

物販は12時開始にもかかわらず朝8時には人が並び始めていたようで、90分~120分待ちだったとか。

90分並んで後日通販されるかもしれないものを1万円分(以上)買う人もいれば、その間に1万円で90分の別のコンサートを観る私のような人もいる。普通に横浜観光した人もいるでしょう。人生いろいろですね。

私が買ったのはSS席という、字面だけ見ると相当良さそうな席ですが、その実態は「2階席」で、距離を別にすれば決して見づらくはないのですが、なんとなくSSという響きにはそぐわない席(苦笑)。

まあ、実はチケット買ったのは前日なので、文句を言えた義理ではないのですが、これなら素直にアリーナ席→S席→A席→B席という名前にしてくれた方が感情的には納得が行く気がしました。「A」とか大学の成績なら大喜びですが、今回の座席表の割り振り見るとマジでクソ席って感じですし。

ちなみにクラブチッタでドリンクチケットと引き換えたハイネケンは入口で没収されました(苦笑)。


DEF LEPPARD

ということでプチ迷子になった私が自分の席にたどり着いた頃には、もはやステージ脇のスクリーンで開演までのものと思われるカウントダウンが始まっていました。

え、カウントダウンしてるけど、そんなジャストオンタイムに始まるロック・コンサートなんてあるの? と思っていたら本当にジャスト17時にショウが始まりました。GUNS N' ROSESも見習ってほしい。

オープニング曲は最新アルバム"DIAMOND STAR HALOS "からの"Take What You Want"。往年のヒット曲ではなく最新作からの曲でショウをスタートするのは「現役バンド」としての矜持だと思いますが、個人的には"Stageflight"あたりでエキサイティングに始めて欲しかった所(もう10年くらいプレイしてないようですが…)。

しかし、2曲目に"ADRENALIZE"(1992)からの"Let's Get Rocked"、3曲目に"HYSTERIA"(1987)からの"Animal"、4曲目に"PYROMANIA"からの"Foolin'"と、彼らの大ヒット作をさかのぼるようなセットリストでオーディエンスの心を鷲掴み。

ジョー・エリオットのヴォーカルはちょっと苦しそうというか、15年前に観た時は普通に歌っていた高音をファルセットというか裏声でなんとかこなしている、という感じ。

しかし、64歳という年齢を考えればやむなしか。ドン・ドッケンのようにオクターブ下で歌ったりしないあたり、プロ根性を感じます。もらっている金額が違う、と言われればそれまでですが。

そして日本では今はなき『タモリ俱楽部』のおかげで大人気曲になっている"Armagedon It"から、最新作の"Kick"、そして全米シングル・チャート的には彼ら最大のヒット曲(1位)である名バラード、"Love Bites"から、90年代、原点回帰を感じさせた"Promises"と、認知度の高い曲とそうでもない曲を交互に繰り出すセットリストはちゃんとバランスが考えられている印象。

音楽とは関係ない所でインパクトを受けたのはレーザーによる光の演出。会場が新しいからなのか、単にいい機材を使っているからなのか不明ですが(コロナ禍直前にさいたまスーパーアリーナで観たU2も凄かったので、後者ですかね)、ライブは音楽が一番重要と言いつつ、こういう演出で体験価値が増すのは事実で、彼らの場合"HYSTERIA"アルバムの世界観には特にマッチすると思いました。

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セットリストを考えるのはリック・サヴェージ(B)であることが多いというインタビューを読みましたが、そのリックは上下白のスーツで遠目には他のメンバーの誰よりも目立っていました。いや、以前観た時にもステージでの佇まいが一番カッコよくて存在感を発揮していましたが。

ただ途中、最新作からの"This Guitar"をアコースティック・セットでやられてしまうと、あまり大きな声では言えませんが、テキストに声量はないので書いてしまうと「KAMELOT疲れ」が出て眠くなってしまいました。

折悪しく、その後しばらく個人的に思い入れの薄い曲ばかりが続いたため、その時間帯はステージに対する集中力を欠いていたことは認めざるを得ません。

しかし、個人的フェイバリット・チューンである"Hysteria"のアルペジオが聞こえてくると俄然意識がハッキリする。そしてその後は"Pour Some Sugar On Me"、 "Rock Of Ages"、 "Photograph"という鉄板の流れで一気に巻き返しました。

これだけ名曲が連打されるということは、きっとアンコールはないんだろうな、という予想通り、きっちり90分、18:30に終了し、場内アナウンスでステージ転換による30分間の休憩が告げられました。

なにせ観るのが15年ぶりだったので、すっかり白髪になってしまったジョー・エリオットを筆頭に「老い」を感じてしまったのは事実ですが、メンバー全員還暦越えであることを考えれば、この楽曲再現力は見事なもので、ファンであれば暖かく受け容れられるクオリティのステージだったと思います。

音楽専用アリーナを謳うだけあって、サウンドも申し分ない素晴らしさでしたね。


MOTLEY CRUE

キッチリ30分後の19時に場内が再び暗転し、スクリーンにニュース風の映像が流れてショウがスタート。30分休憩というと結構ありそうな気がしますが、恐らくトイレも売店も混雑していることを考えると「どちらか」しか難しかったのではないでしょうか。

ちなみに私はKAMELOT、DEF LEPPARDとフルセット(3/4セット?)のライブを立て続けに観て疲れていたので、この事態を想定して用意していたアミノバイタルを飲んでおとなしく休んでいました。

オープニングは"Wild Side"。コンサートの幕開けにはピッタリの、ダイナミックなロック・チューンで場内のボルテージはいきなりMAXへ(MVのようにドラムは回転しませんでしたが)。

続くのは誰もがシャウトしてしまう"Shout At The Devil"ですから、盛り上がらないはずはありません。ドラムの両脇にスペースを与えられたダンサーのお姉さんも素晴らしいスタイル、キレのいいダンスで、ステージを華やかに彩っています。

DEF LEPPARDが最新作からの曲を律儀に3曲ちりばめていたのとは対照的に、MOTLEY CRUEは完全にグレイテスト・ヒッツ・ショウに徹しており(新しい曲はNetflix映画の主題歌だった"The Dirt"のみ)、それでも不思議とロートル感がないのはやはりバンドのキャラゆえなのでしょうか。

脱退?したミック・マーズに代わってギタリストを務めているジョン5(元DAVID LEE ROTH, MARILYN MANSON, ROB ZOMBIE)のミック・マーズとは異なる意味での違和感に近い存在感も、バンドの印象をリフレッシュすることに貢献していたかもしれません。

とりあえず、前に演奏したDEF LEPPARDのステージで一番目立っていたのが白いスーツを着ていたリック・サヴェージだと書きましたが、このMOTLEY CRUEのステージでも白い衣装を着ていたジョン5が(少なくとも2階席からの遠目では)一番目立っていました。「大きいアリーナのステージで着るべきは白い服」。一生使うことはないであろう知識を得ましたね(笑)。

ヘヴィではあってもどこか温かみで有機的な味わいのあるサウンドだったミックのギターに比べ、ジョン5のギターは硬質で無機的に響く印象でしたが、それもまたMOTLEY CRUEの楽曲をモダンにアップデートしていたと言えるでしょう。

ギター・ソロ・タイムでは恐るべきハイ・テクニックを惜しげもなく見せつけ、ミックとは全くタイプが違うギタリストであることを証明していましたが、少なくとも声高に「ジョンは合わない、ミックを戻せ」という人はSNS上では多数派ではない印象です。

翌日11月4日のギター・ソロ・タイムでは三味線を弾いてみせるなんて余興もあったようですが、この日はシンプルに速弾き三昧でした。

セットリストの中間部に挟んでいた、彼ら初のTOP40シングルであるBROWNSVILLE STATIONのカバー、"Smokin' In The Boys Room" に始まるカバー曲メドレーも、THE BEATLESの"Helter Skelter"、 SEX PISTOLSの"Anarchy In The U.K."という、レコーディング実績のある曲から、RAMONESの"Blitzkrieg Bop"、 そして何とヒップホップ・グループであるBEASTIE BOYSの"Fight For Your Right"と、実はいずれも80年代までの懐メロながら、ヤンチャな印象を与える選曲なのがセンスいいですね。

トミー・リー(Dr)は「ヤバイ!」を連呼して、2週間前から日本に来て日本を堪能しているという「日本愛」を叫び、ニッキー・シックス(B)はオーディエンスの女性を一人「カモン」とステージに上げてハグして一緒に写真を撮るなど、音楽パフォーマンス以外の部分でもショウの中に「印象に残る瞬間」を作っていて、それもまた上手いな、と思いました。

ヴィンス・ニールの歌は相変わらずテキトーでしたが、声は結構出ていて(後半ややバテてましたが)、実はMOTLEY CRUEを観るのもほぼ15年ぶりなのですが、(元から歌えてなかった分)衰えが感じられなかったのはポジティブな驚きでした。

クライマックス、"Same Ol' Situation (S.O.S.)"から"Girls, Girls, Girls"という強力なパーティー・ロック・チューンを連発した後の"Primal Scream"は蛇足な気がしましたが、最後に世界一盛り上がれるロック・チューンと言っても過言ではないかもしれない超名曲"Kickstart My Heart"をやられてしまうと全てオーイエーです。

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蛇足と言えば、"Girls, Girls, Girls"ではNasty Habitsのお姉さんたちはどんなにエロい恰好をしてくれるのかと期待と何かを膨らませていたら、まさかのこの日一番露出度の少ない衣装に肩透かしを喰らった気分になったのは私だけでしょうか(笑)。

それはともかく、やっぱり楽しかったですね。前述の通りKAMELOT、DEF LEPPARDからの3戦目で、(ほぼ立ってるだけとはいえ)結構疲れていたのですが、疲労や眠気は全く感じませんでした。やっぱり人間、楽しい時には脳内麻薬的なものが出るんですね。

公称「駅から11分」の道のりを混雑で30分近くかけて歩いた帰り道の道すがら、近くにいた人たちが「いや~、モトリーのが断然良かったな。デフレパはなんかお行儀がいいっつうか」と話していましたが、私もほぼ同感です。「断然」までは付きませんが(DEF LEPPARDファンの方すみません)。

「事後の感想」に限らず、場内の歓声の大きさなどから察するに、少なくともこの日に関しては「DEF LEPPARDよりMOTLEY CRUEの方が好きな人」が多数派だったような気がしました。

アメリカでのアルバム・セールスやチャート成績で言えばDEF LEPPARDの方が上ですが、こと日本ではよりキャラが立っていたMOTLEY CRUEの方が人気がある気がします(これまでの来日公演の会場規模もモトリーの方が大きかったと思います)。

翌日11月4日は出演順が逆だったようですが、MOTLEY CRUE→DEF LEPPARDでの場内テンションダウンがなかったか、微妙に気になる所です(まあ、DEF LEPPARDも良いことは間違いないので、普通に盛り上がったことは間違いないと思いますが)。

できればこのカップリング、1990年くらいに観たかったですね。私はまだメタルのメの字も知らない子供でしたが(笑)。

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KAMELOT来日公演 at クラブチッタ 2023.11.3 の感想

11月3日は文化の日、ということで文化的なイベント(?)に参加しようとKAMELOTの来日公演に足を運びました。

川崎なんてクラブチッタ以外のために来ることがないので、最後にクラブチッタに足を運んだのはコロナ禍前の2018年に遡る、約5年ぶりとなります。

本日のKAMELOTの公演は、同日にMOTLEY CRUEとDEF LEPPARDの公演がある関係で13時開場・14時開演という異例のスケジュール。こんな早い時間に川崎に着いたのは初めてです(笑)。

バンドとしては不本意なんじゃないかという気がしますが、日本のメタル・マーケットというのは今でも80年代リアルタイム組の人が中心を占めていて、世代交代されていないという事情をレコード会社なりプロモーターなりが説明してご理解をいただいた、ということなんでしょうかね。

とはいえMOTLEY CRUEとDEF LEPPARDとKAMELOTを1日で掛け持ちする奴なんかいるのかという気もしますが、両方観たい人がいるのは確かだと思うので、KAMELOTが割を食ったことは間違いないでしょう。

そんなわけで(?)会場の入りはパッと見7割、詰めたら6割以下という感じではないでしょうか。寂しい限り。

開演前の場内BGMは親和性の高い欧州のパワー・メタルやゴシック・メタルではなく、EVANESCENCEやAVENGED SEVENFOLDといったアメリカのバンドが中心。まあKAMELOTもアメリカのバンドではあるんですけどね。

そのBGMが止まり、謎の気まずい無音時間がしばらく流れた後、メンバーが三々五々ステージに現れて、"HAVEN"(2015)からの名曲、"Veil of Elysium"で幕を開ける。

だが、トミー・カレヴィックのマイクの調子が悪いのか、PAの問題か、ヴォーカルがほとんど聞こえない。せっかくのカッコいいコーラス・メロディも、ゲストのコーラス要因であるメリッサ・ボニーの歌声ばかりが聞こえていた。

そんな感じで序盤はトミーのヴォーカルが聞こえづらい状態が続いたが、3曲目くらいで持ち直す。ただ、3曲目の"Opus of the Night (Ghost Requiem)"でも結局メリッサの歌声の方がハッキリと聞こえることについては変わらず、これはぶっちゃけ元々のポテンシャルの問題だと感じざるを得ませんでした(苦笑)。

7曲目に演奏された"New Babylon"ではメリッサのグロウルが披露され、それまでの女性らしい歌声とのギャップで場内のオーディエンスは少なからずインパクトを受けたのではないでしょうか。

ここまでトミー加入後の曲を中心に演奏されてきましたが、その"New Babylon"に続いて演奏された"Karma"ではひと際大きな歓声が上がり、日本ではやはりロイ・カーン時代の楽曲の方が認知されている印象でした。

かく言う私も、歌詞を覚えているのは"EPICA"の曲(全曲ではありませんが)くらいまでだということを告白します。

そういう意味で、本日のライブのハイライトは、新加入のドイツ人ドラマー、アレックス・ランデンバーグ(元ANNIHILATOR, AT VANCE, AXXIS, LUCA TURILLI'S RHAPSODY, 現CYHRA, MEKONG DELTA他)のドラム・ソロに続いて披露された"March Of Mephisto"だったと言えるでしょう。

アルバムではDIMMU BORGIRのシャグラットが担当したグロウル・パートを見事にこなしたメリッサ・ボニーは、ラメが輝くスタイル抜群でないと着こなせないコスチューム含め、本日のMVPでした。

新作"THE AWAKENING"を聴いただけではあまり彼女の存在を意識していなかった人は、きっと本日の公演後、彼女のメイン・バンドであるAD INFINITUMなど、彼女の音源をチェックしたのではないでしょうか(笑)。実際、女性メタル・シンガーの中でトップクラスの実力者だと思います。

アレックス・ランデンバーグは10月30日、トミー・カレヴィックは11月1日と誕生日が近いこともあり、バンマスのトーマス・ヤングブラッド(G)が場内に"Happy Birthday"を歌わせますが、どちらの名前を歌っていいかわからず、名前を歌うパートでグダグダに(苦笑)。

本編ラストの"Forever"(やけにテンポ速くなかったですか?)では、彼らのライブ定番のオーディエンスとの掛け合いパートの前にQUEENの"We Will Rock You"が挿入される。

オーディエンスとのコール&レスポンスも、2015年にLOUD PARKで観た時にはもっと音楽的だった(今でもあの時に歌わされたメロディが鼻歌で出てくるほど)のが、どちらかというと「客いじり」に近い無茶ぶり系のものになっていました。

前任シンガーのロイ・カーンは明らかに普通ではないというか、孤高のカリスマという感じでしたが、トミー・カレヴィックは一個人としては陽キャというか「爽やかな良い人」だと思われ、加入当初はロイ・カーンを意識している感じもありましたが、加入から10年経った今はだいぶ自身のキャラを出している感じで、良くも悪しくもライブ全体の雰囲気は私がロイ・カーン在籍時に観たライブよりもかなり明るい(いや曲調はご存知の通り明るくないので語弊がありますが)、親しみやすい雰囲気になっていました。

"We Will Rock You"は、「今のKAMELOTのノリだからこそ」ということなのでしょう。

アレックス・ランデンバーグの前任のケイシー・グリロ(現QUEENSRYCHE)ほどタメの効いていない、典型的なパワー・メタル・スタイルのドラミングも、少しKAMELOTサウンドの表情を変えていた気がします。

まあ、実はKAMELOTはその劇的なイメージに対して楽曲の多くは3分台~4分台とコンパクトで、意外とわかりやすくてライブ映えするバンドなので、親しみやすさを増すことはバンドの本質と大きく矛盾するものではないのだろうと思いますが。

アンコールは"Phantom Divine (Shadow Empire) "、"One More Flag in the Ground"(この曲では、曲名にちなんで日本国旗が振られました)、そして再びメリッサ・ボニーの見せ場がある"Liar, Liar"で終幕。

翌日4日の公演では名曲"Center of the Universe"もプレイしたそうで、その点は大変遺憾です(苦笑)。

いや~、しかし本当にメリッサいいですね。かつて同じくKAMELOTのライブで観たアリッサ・ホワイト=グラズのパフォーマンスも素晴らしかったですが(前回2018年の来日公演に帯同したONCE HUMANのローレン・ハートは未見)、彼女も全く見劣りしません。

なんなら「アリッサとメリッサ」というユニットでも結成しませんか? 語呂もいいですし、なんて与太話をしたくなるくらいです(笑)。

終演後、ドリンクカウンターでハイネケンを持ち帰って家で飲むために受け取り、会場を出ると、前方にMOTLEY CRUEのTシャツを着た男性と、同じくMOTLEY CRUEのパーカーを来た女性のカップルが足早に駅に向かっていました。

やっぱりこのライブの後にMOTLEY CRUEとDEF LEPPARD観に行く人いるんだなあ、隣の駅とはいえ、ご苦労さんですね、と心の中で呟きつつ、私も彼らの後を追うように駅に向かいました。

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EDU FALASCHI & NORTHTALE来日公演 at 新宿BLAZE 2023.9.17

元ANGRA~ALMAHのエドゥ・ファラスキのソロ・プロジェクトであるEDU FALASCHIと、NORTHTALEの来日公演を観てきました。

本来は2月に予定されていたはずがビザの関係で延期になり、この時期に行われることになったのですが、何しろHELLOWEEN来日公演の翌日、当初はスルーするつもりでした。

しかし、先日発売されたEDU FALASCHIのニュー・アルバム"ELDORADO"がかなり良かったので、勢いでチケット購入してしまいました。40代の中年になっても若気の至りが止まりません。

当然前日はHELLOWEENで完全燃焼、その疲労で爆睡して昼近くにのこのこ起きて、そこからWOWOWの録画を観ながらライブレポートを書いたりしていた上に、ちょっと想定外のプチトラブルがあって現地到着が遅れる。

幸か不幸か、いや当事者にとっては確実に不幸なのですが、ロストバゲージなどがあった関係で開演が遅れているということで、サポート・アクトであるILLUSION FORCEが終わったくらいの遅刻で済む。

ILLUSION FORCEも良いバンドなので観たかったですが、きっと12月のSECRET SPHERE & SERENITYの時にも観られると思うので、良しとしましょう(?)。

(バンド用の)メイクをしてなかったのでその場では気づきませんでしたが、チケットのもぎりをやっていたのはANCIENT MYTHのVoの方でしたね。

Allegiance Reign

2019年にEvoken Fest 2019のExtra Showで観たことがある「戦国バトル・メタル・バンド」。この日はかなりバタバタだったようで、サウンドチェックでリハーサルしてました(しかも照明の指示をステージ中にMCでやってました/苦笑)。

「日本のRHAPSODY OF FIRE」と呼んでもいい音楽性で、本物の甲冑に身を包んだその出で立ちは、少々出オチ感があるものの、なかなかインパクトがあります。

勇壮でシンフォニックなメタル・サウンドと、自虐的な笑いを取りに行くMCのコンビネーションで徐々にオーディエンスのハートをつかんでいき、後半はかなり盛り上がっていました。

バンド・コンセプトも楽曲もしっかりしているし、20年前ならキングレコードからメジャー・デビューできたんじゃないですかね。

ちょっとだけ難を言うとしたら、戦国色(?)の強い曲の方がインパクトがあるのですが、メタルとしてカッコいいのは戦国色の薄い、「モロにラプソ」な曲である、という点ですかね(苦笑)。

あと、先日無職になって落ち武者になってしまった上に、マーチャンダイズのTシャツを誤発注して在庫をダブつかせてしまったという踏んだり蹴ったりなギタリストさんはなかなかお上手だし時代劇声(?)の良いキャラなのですが、この音楽をやる上ではもう一人ギターがいた方がいいと思います。


NORTHTALE

これまた2019年のEvoken Festで観た北欧風(?)多国籍メロディック・パワー・メタル・バンド。

ただ、当時はVoが元TWILIGHT FORCE、現FINAL STRIKEのクリスチャン・エリクソンでしたが、現在はブラジルのメロディック・パワー・メタル・バンド、TRAUMERの日系人ヴォーカリスト、ギルエルメ・ヒロセにメンバー・チェンジしています。

スタジオ・アルバムで聴く分にはクリスチャン・エリクソンに遜色ない感じでしたが、クリスチャンはフロントマンとしてかなり華があったので、ライブでは見劣りするのでは…と思っていましたが、これが意外なほど(と言っては失礼ですが)素晴らしい。

まず歌が上手い。声もよく出ているし、音程も安定していて、とても丁寧に歌っている印象。

フロントマンとしてのパフォーマンスも堂々としたもの…というか、このパフォーマンス、オーディエンスの煽り方は完全にティモ・コティペルト(STRATOVARIUS)のクローン(笑)。当然、オーディエンスは盛り上がります。

ビル・ハドソン(G)の今時珍しいくらい「俺様はギター・ヒーローだ!」という主張を感じる弾きっぷりも個人的には好感度高く、この手のバンドにしては珍しく、バンド・メンバーのキャラがちゃんと立っているのが良い。

疾走曲の気持ちよさといったらかなりのもので、今ライブでこれだけ気持ちよく疾走感を感じさせてくれるバンドってそんなにいないんじゃないですかね。

曲はちょっとあまりにもSTRATOVAIUSだったりANGRAだったりEDGUYだったり、元ネタが割れすぎですが、この手のバンドは変な個性を出すより「教科書通り」に行ったほうが良いものになるし、そもそもそれらのバンドが既に方向転換していたり、活動休止していたりするので、彼らが古き良きメロスピの後継者として受け止めるべきなのかもしれません。

ちなみに、アルバムではIRON MAIDENの"Judas Be My Guide"をカバーしていましたが、本日のライブでは"Wasted Years"をプレイしていました。

私は後ろの方から見ていたのですが(新宿BLAZEは元映画館なので、後方に傾斜がついていて後ろでも見やすいのです)、フロアはめちゃくちゃ盛り上がってましたし、個人的にも気持ちよくアタマを振れました。これ観れただけで「HELLOWEEN疲れ」を押して来た甲斐がありましたね。

メンバーも手応えを感じていたようで、とても嬉しそうでした。このバンドにはもっと売れてほしいですね。


EDU FALASCHI

そして真打ち、EDU FALASCHIのショウがスタートしたわけですが、これがもう完全にANGRAのトリビュート・バンド状態。

何しろ全14曲のセットリスト中、10曲がANGRAの曲。冒頭"Live And Learn"~"Acid Rain"~"Waiting Silence"~"Heroes Of Sand"と、4曲立て続けにANGRAの曲がプレイされた日には、「もしかして今日はANGRAの曲しかプレイしない気ではあるまいか…」とすら危惧してしまいました。

いや、まあ、もちろんANGRAの曲をプレイしてくれることは期待していたわけですが、せっかくEDU FALASCHI名義でリリースした2作のアルバムと1作のEPも優れた出来だったのだし、ここまでANGRAシフトでなくてもよかったのではという気も。

ちょっとサウンドのバランスが悪く、開演当初はエドゥの歌が殆ど聞こえず(これはすぐに改善されましたが)、下手のギターは変な音が出ていて、それが改善された後もなんだかサウンドがアンバランスに大きいままで、ちょっと気になりました。

エドゥの歌は…うーん、「決め」のハイトーンはちゃんと出すんだけど、逆に言うと歌唱そのものはだいぶグダグダ。これは声が出ないのか、セーブしてラフに歌っているのか、どちらなのでしょう?

終盤、亡きアンドレ・マトスを"Rebirth"させるために呼ばれたシャーマン(霊媒師)、と紹介されて登場したSHAMANのティアゴ・ビアンキ(Vo)の方がはるかに情感溢れる歌唱を聞かせてくれました。

まあ、エドゥの歌については全盛期の輝きがないことは「想定内」だったので、期待していたのはバックの演奏。これはもうバッチリでした(先述のバランスの悪さを除く)。

高難度のANGRAの楽曲を涼しい顔でプレイしていく(もっとも、ドラマーとキーボーディストは元々エドゥ在籍時のANGRAのメンバーだったわけで、当然と言えば当然なのですが)様は、往年のANGRAもかくやと思わせるものがありました。

メンバー紹介の際に「世界最高のパワー・メタル・ドラマー」と紹介されたアキレス・プリースターのプレイはパワーも安定感も勢いも完璧に兼ね備えていましたし、同じくメンバー紹介で「6弦の魔術師」と紹介されたロベルト・バローズも、圧巻の速弾きを連発していました。

天上人クラスのテクニシャンであったキコ・ルーレイロのフレーズを難なく弾きこなすばかりか、それ以上の音数を詰め込むことさえたやすく実現してしまうのですから、まさに恐るべき腕前です。

ただまあ、ちょっと弾き過ぎというかプレイに品がないので、キコが脱退してもMEGADETHから声が掛かることはなさそうですが(笑)。

なんだかんだ言って、終盤"Spread Your Fire"で「Fire!」して、ラストを"Nova Era"で絞められてしまうと「楽しかったです」と小並感なセリフしか出てこないんですけどね(笑)。


EVP主催のライブでは毎回そうですが、複数バンドのライブ(と、その間の転換)の時間立ちっぱなしで脚が棒になりました(苦笑)。

12月のSECRET SPHERE & SERENITYの時もきっとこうなるんでしょうねえ…。今から戦々恐々です(笑)。

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HELLOWEEN 来日公演 at 日本武道館 2023.9.16

HELLOWEENのUNITED FORCES TOUR 日本武道館公演を観てきました。

「ついにHELLOWEENが日本武道館の舞台に立つ!」というのが今回の来日公演の最大の「売り」だったわけですが、個人的にはそこまで「日本武道館」にありがたみは感じていなかったんですよ、正直。

別にもっと大きな会場は国内にいくつもあるし、国内アーティストに限って言えば(誰とは言いませんが)「え、この程度のアーティストが武道館でやれるの?」みたいな例もいくつも見てきているので。

しかし、かつてTHE BEATLESもそのステージに立ち、CHEAP TRICKが"CHEAP TRICK AT BUDOKAN"という名作ライブ・アルバム(中身は大半が大阪公演のものだったようですが)で国際的に有名にしたこの会場が、こと海外のアーティストにとってシンボリックな意味合いを持つことは事実。

私がHELLOWEENのライブを最初に観たのは"THE TIME OF THE OATH"(1996)に伴うツアーの東京公演、今は亡き東京ベイNKホール(キャパ6,000人強)での公演で、その後それを超える規模の会場でのライブは行われていません。

20万枚以上を売り上げてバンド史上(日本では)最も売れたアルバム(正確な記録はないものの、ロングセラーで相当な枚数を積み上げているという"THE KEEPER OF THE SEVEN KEYS"2作を除く)のツアーより大きな会場でプレイできるというのは、本人たちにとっても感慨深いものがあることでしょう。

物販は開始14時に並んだ時点で3時間待ちという惨状だったようなので、31℃超え、しかも湿度の高い不快な暑さだったこの日のコンディションだと、その後のライブを楽しむ上で差し障りが出かねないと思っていたので最初から諦め、「どうせ後日ネット販売があるだろ」と見越して華麗にスルー、開演30分ほど前に現地に到着。

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席は南東ブロックの2階席というお世辞にも良いとは言えない席。私が過去に観た武道館のライブはMR.BIG、JUDAS PRIEST、DEF LEPPARD & WHITESNAKEのものですが、どれも2階席か1階席で横から見るアングルになる席で、どうも武道館とは相性が良くないようです(苦笑)。

て言うか、アリーナ席と1階席と2階席、さらに正面とそうでない席、全部分けて売ってほしいんですけどね。今回もしかするとアリーナは全て料金倍のプレミアムシート扱いだったのかもしれませんが、それでも1階席と2階席が同じ料金というのは心情的になんとなく釈然としないものがあります。

まあ、今回WOWOWでのライブ中継があり、LOUD PARKの放送があった時期以来久方ぶりにWOWOWを契約し、予約録画してあるので「見やすいアングル」はそちらで保証されています。そういう意味で、ファンとしては「現場にいて見届ける」ことに意味があり、もはやステージがちゃんと見えるかどうかはどうでもいい話(?)だと割り切ることにしました。

私はシャイなので、移動中はシャツを上から羽織っていましたが、席に着くとシャツを脱ぎ、2年前に上野のマルイで行われたHELLOWEENポップアップショップで購入し、今日まで未開封だった「Seven Keys Tour ‘87」の復刻ツアーTシャツを開陳する(誰に?)。

定刻である18時近くになり、BGMでGUNS N' ROSESの"Welcome To The Jungle"が流れ始めるとなんとなく場内が盛り上がり始めて手拍子が起こり、18時を少し過ぎた所で場内が暗転、記念すべきコンサートが幕を開ける。

オープニング曲は最新作"HELLOWEEN"からの"Skyfall"。オールド・ファンとしては"Halloween"で始まった前回のツアーほどの「うおおおお!!」感はないものの、このライブはあくまでアルバム"HELLOWEEN"のツアーであることを考えれば順当な選曲。

そしてもちろん、"Skyfall"は、10分以上の尺を飽きさせずに聴かせる彼らならではの巧みな構成力を見せつける素晴らしい楽曲で、自然と「う~ん、さすがだな」という気持ちにさせられる。

間奏部で、アンディ・デリス(Vo)とマイケル・キスク(Vo)の両フロントマンが会場内の全ての方角、全ての階層に向けて挨拶ともとれるジェスチャーを送り、オーディエンス全員を意識していることをアピールする。場内の一体感を作る上でこういうの大事ですね。

そして2曲目にして早くもバンド史上屈指の人気曲にして「明るいスピード・メタル」のお手本とも言うべき名曲"Eagle Fly Free"が炸裂し、オーディエンスがさらに湧き上がる。

正直、アンディには引き出せなかったこの楽曲の「飛翔感」がマイケルの伸びやかなハイ・トーンによって見事に引き出されている。感無量。

演奏終了後、マーカス・グロスコフ(B)がベースを弾く中、カイ・ハンセン(G, Vo)とアンディが交互にMCを取り、初めて日本武道館のステージに立ててとても光栄だ、ということを述べ、再び新作からの"Mass Polution"へ。

ロックン・ロール・フィーリングがあり、「Go, Go, Go, Go」という合いの手や曲名を叫べばいいわかりやすいサビ、そして「Make Some Noise」という煽りが含まれるこの曲は確かにライブ向きで、このツアーで演奏しない手はないだろう。

そして"Future World"に"Power"という、それぞれマイケル・キスク時代、アンディ・デリス時代を代表するポップ・ナンバーが立て続けにプレイされ、場内のボルテージは盛り上がりっぱなし。

続けてプレイされたのはちょっと意外な"Save Us"。"THE KEEPER OF THE SEVEN KEYS PT.2"にボーナス・トラック扱いで収録されていたこの曲は、なぜボーナス・トラック扱いだったのかよくわからないカッコいいスピード・ナンバーで、サビのコーラスもシンプルで合唱しやすいため、当然盛り上がる。

そこから展開されたのは「カイ・ハンセン・タイム」で、ギターを持たず、専任ヴォーカリスト然として登場したカイ・ハンセンが歌う初期曲メドレー。それまでの赤いジャケットから、黒いノースリーブのベストに着替えたカイは近年年齢を重ねるごとに「ロックスター」っぽいビジュアルを志向している印象。

"Metal Invaders"~"Victim Of Fate"~"Gorgar"~"Ride The Sky"とプレイされ、当然人気曲"Ride The Sky"ではひと際大きな盛り上がりを見せる。ちなみに"Gorgar"からはギターを持ちました。

さらにダメ押しで"Heavy Metal (Is The Law)"がプレイされ、「これはきっとかつて日本武道館でプレイされた中で最もB級なメタルだろうな…」と思うとなんだか微笑ましくなりました。

いや、本当に彼らのようなワールドワイドなポップ・ミュージック基準ではB級としか言いようがない存在がこうして日本を代表するコンサート・ホールでプレイして、当日券込みとはいえソールドアウトさせているという事実は、彼らの音楽がいかに日本人にとって特別なものであるかということを証明していると思います。

そしてこの「B級メタルタイム」を中和するかのように始まったのがアンディ・デリスとマイケル・キスクが椅子に座って、アコースティック・セット風にプレイされた名バラード、"Forever One"。

個人的にはこれはアンディのリサイタルでもよかったように思いますが、今回(も)アンディとマイケル(とカイ)のフィーチャー度バランスにはかなり気を使っている印象だったので、こういう形になったのでしょうね。

アンディからオーディエンスに、スマホのライトを点けることがリクエストされ、場内が一斉に煌めきだす。ただ、この曲はバラードにしてはテンポが速いので、律儀にドラムに合わせてスマホを揺らそうとすると結構腕が疲れます(苦笑)。

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THE ALFEEの高見沢か往年のプリンスかという変形ギターと群を抜く長身が印象的なサシャ・ゲルストナーによるギター・ソロ・タイムを挟んで、新作から"Best Time"がプレイされる。アルバムで聴いた時と同様、"I Want Out"の元ネタになったと言われるGARY MOOREの某曲に似てるな…とあらためて思いました(笑)。

続けて彼らのドイツにおける最大のヒット・シングルである"Dr. Stein"がプレイされた後、カイ・ハンセンが「残念なおしらせだが、次の曲が今夜の最後の曲だ。…公式にはね」と告げてプレイされたのは、前回の「PUMPKINS UNITED TOUR」同様、"How Many Tears"。

これまでも何かが込み上げてきて胸がいっぱいになる感覚は何度もあったのですが、この曲が始まり、あの叙情的な間奏パートに入ると、いよいよ堰を切ったように涙と鼻水が止まらなくなり、何度も鼻をかむことになりました。しかもその間奏パートの途中でカイ・ハンセンが(GAMMA RAY)の"Heading For Tomorrow"のテーマ・メロディをブッ込んでくるもんだからもう…。

一度袖にはけた後、ほどなくしてちょっと寂しげな、聞き覚えのあるメロディが流れてくる。そう、"Perfect Gentleman"だ。これまた「アンディのいるHELLOWEEN」だからこそ作り得た、隠れた(?)名曲ですね。

中間部での"Perfect!"掛け合いは、変拍子なのでタイミングを外さないよう注意して頑張りました(笑)。

"MASTER OF THE RINGS"からの選曲であれば、いつかこのラインナップでの"Where The Rain Grows"が聴きたいですね。昨年は何公演かプレイしていたようなのですが。

そしていよいよプレイされたのは、バンド史上、いや、メタルの歴史上最高の大作曲と言っても過言ではないであろう超名曲、"Keeper Of The Seven Keys"。

いや、前回のツアーでも聴いてるんですよ? 聴いてるんですけど、やはりこのめくるめくドラマが眼前で展開されていく様には胸が熱くなるのを抑えられません。私の意志と関係なく鼻腔に湧き出してくる涙とも鼻水ともつかぬものによって、ポケットティッシュをまるまるひとつ消費してしまいました。

曲のエンディングでメンバー紹介が行われたのですが、紹介されたメンバーからひとりひとり袖にはけていき、最後に取り残されるサシャがなんとなく気の毒な感じでした(?)。

もうこれで終わっても文句はない、という気分でしたが、再度ドラム・キットにダニー・ルブレが登場、ドラム・ソロを展開する。

先ほどのサシャのギター・ソロといい、どうしても昔からいるメンバーにフォーカスされてしまいがちな今回のツアーで、新しいメンバー(と言っても、二人とももう20年近く在籍しているのですが)にもちゃんとスポットライトが当たるように、という配慮ですね。

カイとマイケルが復帰するからといってアンディとサシャを追放しなかったHELLOWEENならではの心配り、この辺も日本人の感覚的には非常に好ましいものに映ります。

ダニーはドラム・ソロ中に何度か「吠えた」のですが、生声がちゃんと2階席に届くのですから大した声量です。

そしてそのソロ中に場内に運び込まれたオレンジ色の「パンプキン・バルーン」が解き放たれて始まったのは、もはや彼らのショウの締めの定番というべき名曲"I Want Out"。

場内を跳ね回るバルーンと、メンバーとの掛け合いが場内の多幸感と一体感を一層盛り上げ、クライマックスを演出する。大団円です。
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いや、予想以上に感動しましたね。なんだかんだ、カイとマイケルのいるHELLOWEENも二度目だし、冒頭触れた通り個人的にはさほど武道館という場所に特別な思い入れもなかったのですが、終わってみれば感無量でした。

右隣の人はメッチャ大声で歌いまくり、左隣の人は持ち込み禁止のプロ仕様カメラで写真を撮りまくり、前の席の人はしょっちゅうスマホで中国語(台湾語?)のFacebookやLINE、Wikipediaを開いてるという、私の周囲に限って言えば問題のあるオーディエンスばかりでしたが(苦笑)、場内のオーディエンス全体で見れば本当に素晴らしかったと思います。

だいたいこのクラスの会場になると、「出演アーティストには興味ないけど、連れに誘われてきちゃいました」とか「有名な曲しか知らないけど、ノリで来ちゃいました」みたいなオーディエンスが混入して微妙に客席のボルテージを下げてしまうものなのですが、今日に関しては相当HELLOWEENが好きな人しか集まっていなかったのではないでしょうか。

それは15,000円以下の席がないという強気な価格設定が逆に功を奏したのかもしれません(笑)。ご祝儀/お布施感覚を持てるほどのファンしか参加できないというか。それでソールドアウトしているのですから素晴らしいですね。

オーディエンスのHELLOWEEN Tシャツ着用率の高さも相当なものでしたしね。非常にロイヤリティの高い親密で熱心な空間でした。

今、録画していたWOWOWの中継を見ながらこの文章を綴っているのですが、抜かれるオーディエンスを見ると女性が多いものの、2階席にいた人間の体感としては女性は1割程度、どう多く見積もっても2割弱でした。アリーナは女性が多かったのか、WOWOWのカメラが意図的に女性を抜いていたのか、さてどちらでしょう?(笑)。

(いや、例え1割程度だとしても、近年のクラシック・メタルのコンサートとしてはだいぶ多いですけどね。とはいえ90年代のHELLOWEENのライブは3割以上女性だった印象ですが)

とにかく最高の夜をありがとう。カイ・ハンセンの関与が増えているというニュー・アルバムを楽しみに待っています。