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METAL WEEKEND 2019 at Zepp DiverCity Tokyo 2019.9.15.

2018年9月21日~24日の4日間に渡ってZEPP DIVERCITY TOKYO開催されたワードレコーズ主催による"METAL WEEKEND"が、今年は『BURRN!』35周年記念イベントという形で、今年も9/14(土)、9/15(日)の2日間に渡ってZEPP DIVERCITY TOKYOで行なわれ、初日はLOUDNESS、二日目はHAMMERFALLがヘッドライナーということで、私は2日目に足を運びました。

そして東京テレポート駅に着いてみると、なんだか様子がおかしい。メタルTシャツを着た人間もちらほら目につくものの、むしろメタルとは全く縁のなさそうなウェイな若者たちで駅のホームが埋め尽くされている。

若者が来ていたTシャツを見て気付いたが、今日はULTRA JAPAN 2019の日でもあったのだ。恥ずかしながら(?)一度行ったこともあるのですが、そういえばあのイベントもこの時期のお台場だった。

駅からしばらくウェイの群れに紛れて進み、ダイバーシティ東京 プラザの前でウェイと分岐…のつもりだったが、ダイバーシティ東京 プラザの内部も、ULTRA JAPANを途中抜けしているウェイに占拠されており、肩身の狭い思いで(?)、駅からの動線的に一番奥にあるZepp DiverCity Tokyoへ。

手前のフードコートで軽く腹ごしらえでもしようかと思っていたが、フードコートはウェイに完全制圧されており、とても無理。

素直にそのまま会場入りすると、直前に発表されたオープニング・アクトのNEMOPHILAなるガールズ・メタル・バンドがプレイしている。ちょうど最後の曲が始まるタイミングで、1曲しか聴いていないので感想を述べる資格もないのですが、元気でよろしい、という感じでした。

METAL SOULS

若井望(G)と、ロニー・ロメロ(Vo)のペアということでDESTINIAなのかと思いきや"METAL SOULS"だそうで。要はメタル・クラシックのカヴァーをやるプロジェクトのようです。

1曲目、さて何が来るかと身構えていたら、聴いたことのないギター・リフ。DESTINIAの曲でもないし、なんだろうと思っていたら、ヴォーカルが入ってきたらすぐに分かったQUEENの"We Will Rock You"。

ご存知の通り本来はソロ以外ギターの入っていない曲ですが、大幅にアレンジを変えて、ギター中心にドライブするアップ・テンポのロック・チューンに仕上げている。

オリジナルの魅力を活かすアレンジとは言い難いが、昨今のQUEEN人気にあやかって会場を温めようということなのでしょう。

その後、"The Final Countdown"(EUROPE)、"Fool For Your Loving"(WHITESNAKE)、"Looking For Love"(M.S.G)と、80年代HR/HMファンなら鉄板の名曲を立て続けにプレイ。どれも良い出来でしたが、ロニー・ロメロの声質に一番合っていたのはM.S.Gですかね。

その後、スペシャルゲストとしてヴァイオリニストのAyasaが登場、KANSASでもプレイするのかと思いきやGARY MOOREの"Over The Hills And Far Away"のあのイントロのドラム・ビートが鳴り響いて「そう来たか!」と納得。

ゲイリーの少しくぐもったヴォーカルは、熱唱型のロニー・ロメロにはちょっと歌いづらそうでしたが、今日イチで印象的なパフォーマンスでした。

その後、Ayasa嬢のヴァイオリンをフィーチュアしたまま、DESTINIAの"Judgement Day"と"Metal Souls"をプレイ。往年の名曲でこの会場にいるリアルタイム組のハートをつかんで、そのままDESTINIAの購買につなげる作戦ですねわかります(笑)。

MCは基本ロニー・ロメロがメインで喋ったのですが、メンバー紹介はロニーが「日本語をあまり知らないから」と若井望に振ったのに、なぜか若井望はほぼ英語でメンバー紹介をするという怪奇現象(苦笑)。客席はほぼ日本人だったのですが。

ベースとドラムはロニー・ロメロが現在居住しているスペインのミュージシャンだったのですが、耳慣れないスペイン語の名前を、中途半端に流暢なジャパニーズイングリッシュでコールされたので全く名前が聞き取れませんでした(苦笑)。

まあ、MCなんぞどうでもいいんですが、楽曲もパフォーマンスもいいのに、若井望のギターが「泣かない」んですよねえ…。まあ作曲もデザインも英語も空手もできて、ギターのテクニックも充分でルックスも華があるのですから、そこまで求めるのは酷というものかもしれませんが。


BEAST IN BLACK

5月にSUOMI FEAST 2019で観たばかり。9月にも来ると知っていたら5月はパスしたのに…などと思っていたのですが、いやいや、これはこの日演奏された9曲なんかじゃとても満足できないでしょ。

とにかく曲良し、演奏良し、パフォーマンス良しの三拍子揃ったステージで、終始盛り上がりっぱなし。

ライブにおける曲・演奏・パフォーマンスというのは、どれかひとつ飛び抜けたものがあるバンドは他の2つは「そこそこ」でもライブとしては楽しめるのですが、このバンドはどれも素晴らしいのだから楽しめないはずがない。

私くらい無駄にライブ鑑賞の数を重ねると、変に目や耳が肥えてしまって、学生時代に観たライブのように単純に感動できないこともあるし、下手するとちょっと冷めた目で観ていることもあったりするのですが、お金を払ったのに楽しまないのは損だし、アーティストや心から楽しんでいるファンの人たちに申し訳ないからとりあえず盛り上がろう! みたいな気分の時もあるというのが正直な所です。

しかしやはりこれだけ非の打ち所がないライブを観ると、感性の衰えた(スレた?)アラフォーでもやっぱり理屈なしにアガるのです。

いや~、これは20曲近くプレイしてくれたSuomi Feastに行ってなかったら「なんで俺は行かなかったんだ…俺のバカバカ!」と自分を責めることになっていたに違いありません。

まったくこの夜の内容のレポートにはなっていませんが、たまにはこういうのもいいでしょう。なんなら「超良かった」のワンセンテンスでも充分だったと思うくらいです(笑)。

ただ、あえて今夜ならではのエピソードをひとつ挙げるなら、彼らがプレイするちょっと前にMETAL SOULSがプレイするEUROPEの"The Final Countdown"を聴いてたがゆえに、本日2曲目にプレイされた"Eternal Fire"の元ネタがこの会場にいる全ての人に気付かれてしまったということですね(笑)。


MYRATH

「アフリカ大陸のメタル・バンド」という言葉から想像されるクオリティを完全に凌駕する、チュニジアのプログレッシヴ・メタル・バンド。ライブを観るのはLOUD PARK 16以来だ。

ステージはよくあるバンドのロゴとか新作のアートワークの垂れ幕がぶら下がっている工夫のないしつらえではなく、ステージ後ろにイスラムっぽい建物が描かれた垂れ幕がかかっており、そのセンターで切れ込みが入っていて、そこから人(主にダンサー)が出入りすることができるようになっているという、ある種演劇のステージのようなもの。

そして彼らの音楽を聴き、MVを観たことがある人であればご存知の通り、彼らの音楽は(プログレッシヴ・メタルなのに)コンパクトにもかかわらず、非常に物語性豊かなもので、スタジオ盤の印象を全く損なうことのない精度の高い演奏がオーディエンスをたちまちアラビアン・ナイトの世界にいざなう。

まあ、この世界観に入り込めない人にとっては「全曲"Gate Of Babylon"にしか聴こえない」という感じなのかもしれませんが…。

要所要所に登場するセクシーなベリーダンサー(1人しかいないのが残念。これが6人、せめて4人いればさらに凄いインパクトだったと思うのですが、まあ予算もあることですし仕方ないでしょう)のダンスも、今回は衣装のバリエーションも豊かに彼らの音楽世界に色を添え、オーディエンスの視線をステージに釘付けにする。

「全曲"Gate Of Babylon"にしか聴こえない」人も、きっと彼女のダンスは楽しんだに違いありません(笑)。

入場時に、最新作"SHEHILI"の日本盤ボーナス・トラックだった"Monster In My Closet"の日本語バージョンの歌詞と「一緒に歌ってください!」というメッセージが印刷された紙が渡されたのだが、なかなか素人が簡単に歌えるような楽曲でもなく、合唱は小さめ(苦笑)。とはいえこのライブにかける意気込みが伝わってきて、ザヘル(Vo)がやや怪しいながらもわざわざ日本語で歌い上げてくれたことは胸が熱くなりました。

個人的な感覚では"Believer"をラストに持ってきたほうがよかったんじゃないかという気がしましたが。まあ、その辺はバンドのこだわりなのでしょう。

BEAST IN BLACKのように無邪気に盛り上がる、というタイプのライブではありませんでしたが、これはこれで非常に楽しめる、印象深いステージでした。

日本でも、国際的にも、BEAST IN BLACKの方が人気が高いと思われるのにMYRATHの方が出番が後なのは、BEAST IN BLACKを後にすると、「BEAST IN BLACKから来る」オーディエンスが多発する可能性があったからではないかと思っているのですが、さてどうでしょう。


HAMMERFALL

先月最新アルバム"DOMINION"をリリースしたばかりのHAMMERFALL。彼らを観るのもLOUD PARK 15以来ということで、失われたもの(LOUD PARK)の大きさをあらためて噛み締める。

それまでワードレコーズの新譜リーダートラック紹介の様相を呈していた場内BGMが、HAMMERFALLの前だけメロハー/AOR大会になったのは何故でしょう。

HAMMERFALLのショウは、最新作のオープニング・ナンバーである"Never Forgive, Never Forget"でスタート。最新作のオープニング曲でライブを始めるというのは非常にオーソドックスな選択だ。

「決して許さない、決して忘れない」という曲名はなんだか後ろ向きな印象だが、イングヴェイにも「お前は憶えてないだろうが、俺は決して忘れない」なんて曲があるし、スウェーデン人は意外と根に持つタイプなのかもしれない(笑)。

この曲はとりあえず速いのでカッコいいのだが、サビに爆発力がないので、きっと次のアルバムのツアーではセットリストから外れるでしょう(笑)。

彼らもなんだかんだ20年選手だけあってプレイすべき曲はいっぱいあるので、本日も新作からの曲が特に多いというわけではなく、キャリア全体からのグレイテスト・ヒッツ的なショウになっており、その辺はファンの求めるものを提供しているということなのだろう。

こうして代表曲を聴くと、あまりそういう面がフォーカスされることはない気がするが、彼らの楽曲のメロディの良さ、そしてフックラインの巧みさは際立っており、それが受けている国とそうでない国は割と明確に分かれているものの、受けている国における人気の高さがよく理解できる。

BATTLE BEASTの時も思ったのだが、やっぱり弦楽器隊が曲のキメに合わせてシンクロしたアクションをするのは気持ちいいですね。私が学生時代(1996年、オルタナ/メロコア全盛期でした)、バンドサークルの先輩には「ダサ過ぎる」と言われましたが、これをダサいと感じる人とは一緒にライブを観られませんね。やっぱりメタルはこうでなきゃ。

そして今夜特筆すべきは、ヨアキム・カンス(Vo)のフロントマンぶり。オーディエンスの煽り方、イジり方は完全にトップ・バンドのそれで、STRATOVARIUSのティモ・コティペルトなどにも通じるが、地位が人を作るというか、正直歌唱者としての生来のポテンシャルという意味では今夜のラインナップで一番下だと思われるヨアキム・カンスだが、フロントマンとしてはピカイチでした。

いや、歌声自体もかなりコンディションが良かった感じで、インタビューで言っていた「俺は今でも成長している」という発言が、単なるインタビューにありがちな常套句ではなく、事実であることを証明していたと思う。

ステージ全体として、オーソドックス過ぎるほどにオーソドックスなピュア・メタル・ショウなのだが、北欧と中欧限定とはいえ、これでチャートの上位に食い込み、数千人・数万人のオーディエンスが集まる国があるというのはある意味感動的。

「新しさ」は1ミリもないが、安心して観られるし、とても楽しい。それで何か問題があるのだろうか?


帰り道もULTRA帰りのウェイたちと一緒になったわけですが、私のような90年代以降にメタルを好きになった人間はともかく、今夜この会場にもたくさんいたと思われる、メタルというジャンルが誕生し、全盛を迎えた80年代リアルタイムのメタル・ファンは当時なりのウェイだったのではないかと思われ、どうしてメタルは今でもこれだけ素晴らしいアーティストがいるのに、ウェイな若者を取り込むことができなかったんだろうなあ…などと思ってしまう1日でした。

そしてさらに思ったのは、現状の高齢化した日本のメタル・マーケットに対しては、LOUD PARKのような規模のフェスティバルより、会場的にも時間的にもこれくらいのイベントの方がちょうどいいのかもしれない、ということでした(三連休の最終日にはやらない、というスケジューリング含めて)。

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Evoken Fest 2019 Extra Show at 吉祥寺 club SEATA 2019.9.1

前日に続き、Evoken Fest 2019の"Extra Show"と位置付けられたライブに行ってきました。

"Extra Show"というのはヘッドライナーであるALESTORMが不在であるために番外編的な扱いになっているようで、この日のトリはEvoken Fest皆勤賞となるイタリアのDERDIANだ。

吉祥寺に来るのは、かつてBLOOD STAIN CHILDを観に吉祥寺CRESCENDに来て以来なので、ほぼ10年ぶりだ。その前に来たのもさらに10年前なので、私にとって吉祥寺は期せずして「10年に1回来る街」になっている。いや、家庭を持って住むにはほぼ最高の街だと思うんですけどね。

当然、今回の会場であるclub SEATAも初めての会場だが、吉祥寺のメインストリート的な通り沿いなので迷うこともない。駅から会場に向かう途中、POWERWOLFなどという、だいぶ濃いバンドのTシャツを着た人とすれ違い、この人はもしや今日の会場も渋谷と勘違いしているのではなかろうか…と勝手に心配してしまいました(笑)。

会場に着くと、同じフロアに吉祥寺を代表する居酒屋(焼鳥屋?)の名店、「いせや」の支店が同じフロアにある。

残念ながら本日はおひとり様での参加ながら、もし友人と一緒に着ていたなら、ライブ後はここに吸い込まれること確実である(笑)。

地下の会場ということもあってか、昨日の渋谷ストリームホールとは違って天井が低い。そしてステージの前の梁(モニターが設置されている)が超ジャマで、ただでさえ狭いステージがさらに狭く見えるという意味であまり好ましくない会場だ。

Allegiance Reign

2017年にデビューした日本の「戦国バトル・メタル・バンド」。

甲冑(プラスチックのオモチャではなく本物らしい)に身を包んだ、その独特の和風な出で立ちは個性的ながら、この手の「独自の世界観」系のバンドは、「信者」以外にとってはサムくて観ていられないこともあるのでちょっと危惧していたが、杞憂だった。

RHAPSODY OF FIREとTURISASを足して2で割ったような勇壮なシンフォニック・メタルはなかなかのクオリティだし、YAMA-B(元GALNERYUS)そっくりの歌声を持つVoのMCは、デーモン閣下を思わせるユーモアのセンスがあり、バンドの世界観をすんなりオーディエンスに受け容れさせていた。

下手(しもて)のギターのMCも、時代劇っぽくて面白く(別に面白いことを言っているわけではないのだが、その時代がかった言い回しがなんとも味があって面白い)、その世界観とは全く無縁の(和風の要素皆無、シンフォニック・メタル風味全開)サウンドはかなりのインパクトでした。エイエイオー。


EPIDEMIA

クラウドファンディングで多額のお布施をした方の要望によってEVPが招聘し、来日が実現したロシアのバンド。

ロシアの情報というのはなかなか入ってこないので事実なのかわからないが、本国ロシアでは千人単位のオーディエンスがを前にアリーナ・クラスの会場でライブを行なう人気バンドらしく、本日このせいぜい600人くらいしか入らない会場がスカスカ、つまり恐らく300人くらいしかいない会場でプレイしてもらうのはなんだか申し訳ない気持ちになってしまう。

メタル・バンドとしての基本スタイルは、地理的に近いドイツや北欧のバンドに影響を受けたメロディック・パワー・メタル・スタイルのようだが、ドイツや北欧のその手のバンドがあまりやらないような、ちょっとダンサブルなパーティー・ソングや、「日本を舞台にしたMVを作った」と紹介された曲はポップ・ロック然としていたし、バラードは70年代のSCORPIONSみたいで、良く言えば型にはまっていない、悪く言えば方向性の定まっていない楽曲をプレイしている。

ライブの進め方というか、オーディエンスの乗せ方も、普通のバンドであればバラードでやるような、両手を挙げて左右に揺らすような動きをテンポの速いパートで求めたり、ちょっと西側諸国のバンドとは違っている感じで、これを「ロシアならではのオリジナリティ」と評価するか、「ロックのライブのお作法をわかってない、田舎臭いパフォーマンス」と感じるかはその人次第か。

ただ、垢抜けないながらも楽曲(特にメロディ)には耳を引くものがあったし、超テクというわけではないが、キャリアの長いバンド(結成は1993年)だけあって演奏も安定しており、何よりエルフみたいな容貌のヴォーカリストの伸びやかなシルキー・ヴォイスが素晴らしく、彼らのパフォーマンスに悪印象を抱いた人はいなかったのではないか。

実際会場はかなり盛り上がっており、前方にはロシア語の歌を合唱するようなコアなファンも集まっており、オーディエンスの人数はともかくリアクション自体はバンドを満足させる熱量があったように思う。

個人的にも本日の目当てはこのバンドで、その期待に応えるステージだったことは間違いない。

まあ、それは「ロシア料理もたまに食べると美味しいよね」みたいな感覚で、西側諸国の一線級のバンドと同じレベルのパフォーマンスだったかと問われるとそんなことはなかったのですが、また何年後かに来日してくれたらまた観たいし、できればフルセットのショウを観たいと思わせる魅力は確実にあったと言っておきます。


MANTICORA

昨日、飯タイムにしてしまったために見逃してしまったバンド。いや、今日観れることがわかっていたからこそ飯タイムにしたというのが本当の所ですが、それでも飯タイムにしてしまったのはそれなりの期待値でしかなかったというのもまた事実。

このバンドも2000年代初頭のパワー・メタル・ブームの際には日本盤が出ていて、「デンマークのBLIND GUARDIAN」的な評判でマニアには注目されていたので、当時は私も聴いていました。

ただ、そのサウンドは確かにBLIND GUARDIAN風ではあったものの、ブラガの持つドラマ性や叙情性ではなく、アグレッシブな面やプログレッシブな面が強調されたサウンドで、個人的な琴線にはあまり触れなかったというのが期待値が低かった理由。

しかし、そんな低い期待値を全面的に謝罪したくなるステージだった。ドラムのツーバスがオート連打モードでも付いているのではないかという強烈さで、その強靭なビートに支えらえたスラッシュ・メタルさえ彷彿させるほどのアグレッシブなパフォーマンスは猛烈なヘドバン欲を刺激し、こんなに激しくアタマを振ったのはいつ以来だろう…という勢いでヘッドバンギングしていた。

翌日の首の筋肉痛は間違いなくこのバンドのせいです(笑)。

ブロンドの長髪と、シアトリカルで個性的なアクションが印象的なヴォーカリスト以外のメンバーは「普段はIT企業で働いてます」といった感じの爽やかな短髪の欧米人だが、大して売れているとも思えないこのバンドの活動を続けているのも納得のパフォーマンスだった。

スタジオ盤ではイマイチでも、ライブだと素晴らしいと感じられるバンドの典型例ですね。予想外の満足度でした。

Voの人が途中、1曲だけネズミ男みたいな恰好になったのは意味不明でしたが(歌詞が理解できてれば意味がわかったのかもしれません)。


NORTHTALE

昨日観ているので、外に出て食事しててもいいのだが、この会場は再入場時にまたドリンク代を取られるのと、何より昨日のパフォーマンスが素晴らしかったので再びじっくり鑑賞。

昨日と内容は同じなので詳細は語りませんが、昨日同様にデビューしたてとは思えない(メンバー各々はそれなりのキャリアがあるので当たり前と言えば当たり前ですが)完成度の高いステージだったのですが、より広い会場だった前日の方がよりパフォーマンスが映えていたと感じたあたりは、バンドのスケール感を逆説的に証明するものだったと思います。

パワー・メタルの次世代を担う大器に育ってほしいし、日本で正当な評価を得てもらいたい所です。


BLOODBOUND

BGMでPRETTY MAIDSの"Raise Your Flag"とRUNNING WILDの"Riding The Storm"という、メタルを聴き始めの時期に聴いていた名曲が立て続けに流れ、BGMの選曲が昨日と全く同一であることに気付く。

BLOODBOUNDはスウェーデンのパワー・メタル・バンド。デビュー以来、アルバムが出るたびに買っている、つまりそれだけの魅力があるバンドなので当然お目当てのひとつ。本日はEPIDEMIAとBLOODBOUND、このどちらが欠けてもこの会場に足を運ばなかったでしょうね。

できれば初代のヴォーカリストであるアーバン・ブリードで観たかったが、現Voのパトリックも良いシンガーなので不満というわけではない。ただ、そのパトリックがスキンヘッドに、受験生がするような日の丸ハチマキを巻いて登場したのはちょっと失笑。

BLOODBOUNDのライブ・パフォーマンスというのは、スタジオ盤の印象に極めて忠実である。すなわち、楽しめるが、失礼ながらA級の風格は感じない。そういう意味で、NORTHTALEにはA級のポテンシャルがあるということを逆説的に感じさせられました(笑)。

しかし、このブログを読む程度にマニアな方であればB級にはB級の魅力があることはご承知の通りで、そういうA級ならざるランクのバンドを観られることがEvoken Fest…というかEVPが興行するライブの醍醐味。そういう意味でEVPの事業停止は惜しまれます。

セットリストは現Voのパトリック加入後の楽曲が中心で、近年押し出されるようになった「メタル」や「ドラゴン」など、わかりやすいアイコンを掲げてオーディエンスを煽る彼らのパフォーマンスはメタラーであれば嫌いになれない類のもの。

ショウの途中で出てきた、彼らのアルバムのアートワークにおけるマスコット・キャラクター(?)、ノスフェラトゥ君は、ステージが狭いせいか「何しに出てきたん?」という程度の存在感でした(笑)。

ラストは彼らのテーマ曲というべき名曲"Nosferatu"でしたが、チューニングが下がっていたのでちょっと違和感を覚えてしまったことは内緒です。


そしてこの後は本日のトリ、DERDIANの登場となるわけですが、翌日は月曜日ですし、昨年も観ているので、失礼ながらパスさせていただきました。

吉祥寺駅までの帰りがけ、大学時代に時々行っていた野方ホープの支店があったので、そちらでラーメン食べて帰宅。

本日はキャパに対して5割からせいぜい6割程度の入りだったので、バンドとバンドの間の転換時間は地べたに座れた分、昨年よりラクでしたが、まあこの客入りではビジネスとしては続けられないよなあ…という感じでした。

オールスタンディングの会場で、このバンド数でやるなら、体力のある若者向けのバンド中心でないと厳しいでしょう。然るに本日集まっていたオーディエンスは、ALESTORM効果があった昨日より高く、30代から40代の仕事で疲れている世代が中心。

体力の衰えたこの世代を相手にするには指定席型の会場が好ましいですが、そもそもそういう世代の人は仕事や育児などで忙しいので、椅子のある会場を埋めるほどの動員はなかなか見込みづらい。

そういう意味で、現代の日本でマニアックなパワー・メタルのフェスティバルというのはビジネス的にはなかなかの無理ゲーで、採算度外視…とまでは言わないにせよ、「儲かるかどうかより、呼びたいかどうかだ」の姿勢で招聘をしてくれたEVPが実現してくれたこの数年間の奇跡に感謝するしかありません。

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Evoken Fest 2019 at 渋谷ストリームホール 2019.8.31

前エントリーを受け)そんなわけで行ってきました、Evoken Fest 2019二日目。

会場は渋谷ストリームホールという、東急電鉄による渋谷駅南側再開発によって昨年9月に開業した、オフィス・商業・ホテルの複合施設、渋谷ストリームの中にあるライブハウス。

渋谷駅直結とあるものの、初めて行く施設なので、どこから直結しているのかよくわからず(16b出口、と言われてすぐに「ああ、あそこね」という人は通勤などで毎日使っている人くらいではないでしょうか…)、ちょっと右往左往して到着。

大規模再開発なので、入っている飲食店もなかなかいい感じだし、開業してまだ1年も経っていないのでキレイ。

フロアに入ると、700人収容ってこんなものか、という程度の広さながら、天井が高い上に、邪魔な柱や梁もなく、かなり見やすい感じ。

ILLUSION FORCE

昨年活動を開始し、今年の5月にデビュー・アルバムをリリースした日本のメロディック・パワー・メタル・バンド。

日本の、と言ってもヴォーカリストは韓国人、ベーシストはアメリカ人と、多国籍な編成のようだ。

私も含め、最初はフロアも(前方で盛り上がっているコアなファンと思われる人を除き)「様子見」という感じでしたが、90年代のSTRATOVARIUSあたりを思わせる明朗なメロディック・パワー・メタル・サウンドは初見の人間にもわかりやすい魅力があり、破綻のないパフォーマンスもあって次第にフロアから上がる腕も増え、盛り上がってくる。

ヴォーカリストがフロアに向けてハイトーンのスクリームをアピールすると、フロアからも結構凄いハイトーン・スクリーム(約1名)が返ってきてビックリ、そしてVoさんが負けじと超ロングノートのハイトーンをキメる、などのやりとりも生まれつつ、コマのようにくるくるよく回る上手のイケメンなギター、子熊のようなルックスながら、アンジェロ・ラッシュめいた手つきでテクニカルなプレイをキメるベーシスト(後で調べた所、バークリー音楽院を卒業しているとか)など、日本のこの手のバンドにしては珍しく「ただ演奏しているだけ」にならないステージングを見せてくれる所はポイント高い。

そして何より、ステージが始まってほどなく一度機材トラブル?で袖にフェイドアウトしていった下手側のギタリストによる「俺らも昨年まではそっち(フロア)側にいたんです」「ロッピーでチケット買って、うわーTWILIGHT FORCEが見れる~!とか言ってたんです(笑)」「だからこうしてこのステージに立てて本当に嬉しいです」といった微笑ましい発言によってオーディエンスの共感を獲得、「このフェスを成功させるために、バトンをつないでいきたいと思います」みたいな好感度の高い物言いは社会人レベルが高い感じでした(笑)。

今のところ音楽そのものにあまり個性は感じられないのですが(パワー・メタルにそんなものはいらない、という説もありますが)、日本のバンドとしては楽曲もパフォーマンスもかなり完成度高くまとまっていて、この日のパフォーマンスで新たなファンを獲得できたのではないかと思います。


VICTORIUS

続いてはドイツのメロディック・パワー・メタル・バンド、VICTORIUS。ILLUSION FORCEの時点ではハコの半分くらいだったオーディエンスが7割くらいまで埋まってきた。

2017年の4th "HEART OF THE PHOENIX"までは割と普通の欧州型メロディック・パワー・メタルという感じだったが、昨年リリースされたEP "DINOSAUR WARFARE"で、音楽性はそのままに急にイメージを変え、「恐竜メタル」なる打ち出しでちょっとDRAGONFORCE的なネタっぽいセンスを漂わせるバンドに変貌した。

何よりビックリしたのは、私の記憶だと黒髪ロングヘアだったはずのヴォーカリストが金髪のショートヘアになっており、まるでアイドル・バンドのメンバーかのような爽やかイケメンルックスになっていたこと。

とはいえもちろん音楽が急にアイドル・バンドになるはずもなく(笑)、サウンドは疾走感の強いメロディック・スピード・メタル然とした勢いのあるもので、フロアは大盛り上がり。

そのヴォーカリストと、頭の片側をイマっぽく刈り上げた上手のギタリストがステージを動き回ってメタル・バンドらしからぬ華やかで明るい雰囲気を醸し出しつつ、下手のギタリストはいかにもメタル・ミュージシャン然としていて、メンバー同士ちゃんと仲良くできているのかしら…などと余計な心配をしてしまいました(笑)。

スタジオ盤で聴くとちょっと軽い(音質の話ではない)印象もあるのだが、そのドイツのバンドには珍しいカラッとしたフィーリングで繰り広げられるパワー・メタル・サウンドは、そのメタルバンド然としていないルックスとあいまって、この手のバンドには珍しい密室感を感じさせずに盛り上がることができ、これはこれでひとつの新しいパワー・メタルの在り方を示唆するバンドだな、と思いました。

爽やかなルックスのパワー・メタル・バンドが増えれば、若い女の子のパワー・メタル・ファンも増えるかもしれませんし(?)、この路線で頑張ってほしいです。


MANTICORA

昨年、約8年ぶりのニュー・アルバムをリリースしたデンマークのパワー・メタル・バンド。

ただ、私はVICTORIUSの終演後、ステージのあるフロアを出て、ひとつ下のドリンクカウンターと物販スペースのあるフロアにポツンと出店している、EVP主催イベント初の「フェス飯」であるケバブ屋(LOUD PARKに出店していた業者ではない)でケバブサンドを購入し、食事タイムにしていました。

本当はステージ転換の間にサクッと食べて、彼らの開演までには戻るつもりだったのですが、ドリンクカウンターのビールサーバーが調子が悪かったようで(まだ新しい会場のはずなのに…)、ドリンクカウンターが大渋滞。これに並んでいたらMANTICORAの開演に間に合わないことは確実(ちなみにケバブ屋も大渋滞でした)。

ケバブのような塩っ気の強いものをビールなしで食べるのは不可能なので(?)、どうせ翌日も観ることだし、とMANTICORAを最初から観ることは諦めた。

ビールサーバーの不調はかなり長く続き、私の前に並んでいる人の数人は諦めてハイボールなど他のアルコールを注文していましたが、私は別にアルコールが飲みたいわけではなくビールが飲みたいので、スタッフが感じているプレッシャーをあえて無視しつつ粘り続け、20分近くかけてようやく1杯のビールを手に入れる。

ビールを飲みつつケバブを頬張っている間、上の階からMANTICORAのプレイが漏れ聞こえていたが、この聴こえ方だと轟音と調子っぱずれ(に聞こえる)な叫び声が響いてくるだけで、魅力的な音楽には聞こえないというのが正直な所(苦笑)。

食べ終えた後、よくTwitterやYouTubeで見かけるキングレコードのメタル担当者の人が誰かを関係者控室に招き入れるのを横目にしつつ、ステージのフロアに戻る。

戻ると既にラストの曲である"Through the Eyes of the Killer - Revival of the Muse That is Violence"。フロントマンであるラース・F・ラーセンがなにやらシアトリカルな怪しいアクションを繰り広げており、本日時点ではとりあえずそれだけが印象に残りました。


NORTHTALE

元TWILIGHT FORCEのクリスチャン・エリクソン(Vo)と、元CELLADORのビル・ハドソン(G)を中心に結成されたメロディック・パワー・メタルの新星。

つい先日リリースされたばかりのデビュー・アルバムがかなり良かったので期待していたが、その期待に応えるステージだった。

豊かなブロンドの長髪に赤い革ジャンを着たクリスチャンにはこの手のバンドのフロントマンには珍しい華があったし、楽曲のギター・ソロ・パートになるとかならずステージのセンターに出てきて表情豊かに弾きまくるビル・ハドソンも、濃いめのマスクにマッチョな肉体がヌーノ・ベッテンコートを彷彿させ、昨今珍しい「ギター・ヒーロー」の趣があった。

速い曲からキャッチーな曲まで、変にヘヴィな要素もプログレッシヴな要素もロックンロールな要素もない、ピュアなメロディック・パワー・メタル・サウンドは、歌メロに漂う北欧ならではの哀愁含め90年代のSTRATOVARIUSを彷彿させ、個人的にはドストライクな音。

今のところ個性と呼べるものは見当たらないが、クサすぎないし、クリスチャンとビル以外のメンバーもルックス悪くなく、実際のライブ・パフォーマンス含めてバンドとして見栄えがする貴重な存在なので、ぜひ長続きさせてブレイクしてほしい。

まだ1枚しかアルバムを出しておらず、持ち曲が少ないからか、それとも「プレイヤー推し」をしたいのか、50分ほどの短いステージにもかかわらずギター・ソロ・タイムとドラム・ソロ・タイム(ドラムはイングヴェイのバックやW.A.S.P.のツアー・メンバーなどの活動で知られるパトリック・ヨハンソン)があったのも、結果的には他のバンドのライブとの差別化になっていた。

個人的には本日のベストと言ってもいいパフォーマンスで、まだアルバムが出て間もないにもかかわらず合唱も起き、フロアは大いに盛り上がっていたが、ステージ後ろにぶら下がっていた垂れ幕バナーは小さすぎて殆ど用をなしていなかったのはご愛嬌(笑)。


GRAVE DIGGER

HELLOWEENやRUNNING WILDと並ぶ、ドイツのメタル第一世代と呼ぶべきベテラン・バンド。RAGEのオープニング・アクトとして来日して以来、23年ぶりの来日公演である。

本国ドイツではメタル・ヘッズたちの確固たる評価を得て、安定した人気を誇るバンドだが、正直日本人受けするサウンドとは言い難いこともあってか、かなり長いインターバルが空いてしまったため、ファンにとっては待望の来日。

私は彼らのファンというほどの熱量はないものの、「ジャーマン・メタル」をメタラーとしてのルーツと考えている身として、一度は観ておきたいと思っていたので、こういう機会で観られるのはありがたい。

ショウは最新作の曲ではなく、その前作に当たる、本国ドイツで彼らの歴史上最高のチャート成績(15位)を収めたアルバム"HEALED BY METAL"(2017)のタイトル・トラックでスタート。

その後、ちょっとJUDAS PRIESTの"Turbo Lover"を思わせる"Tattooed Rider"、ヘヴィな"The Clans Will Rise Again"と続き、「やはりもう歳だから速い曲はやらないのか…」と思いかけた所で登場する"Lawbreaker"。

現代パワー・メタル的な感覚では速い部類に入らないテンポかもしれないが、最近の彼らの楽曲では勢いのある方の楽曲であり、サビがシンプルでコーラスしやすいこともあってフロアは大いに盛り上がる。

続いたのが"TUNES OF WAR"(1996)収録の"The Bruce (The Lion King)"というかなり渋めな選曲なのは、現在、映画『ライオン・キング』がヒットしているからでしょうか?(たぶん違う)

クリス・ボルテンダール(Vo)はビシビシとオーディエンスを煽り、その盛り上がりを確かめては「よくやった」とばかりに優しく微笑む様子に「昔は怖かったけど、今は丸くなって優しくなった先生」みたいな感じを受けました(笑)。

現体制になってからの代表曲、"Highland Farewell"を経てラスト3曲は、彼らのメロディック・パワー・メタルとしての代表曲"Excalibur"、BLIND GUARDIANからの影響が顕著なRebellion (The Clans Are Marching)、そして彼らのデビュー以来のテーマ曲と言うべき"Heavy Metal Breakdown"という鉄板の定番曲で締め。

私は上手(かみて)後方で観ていたのですが、私のすぐ近くにやたらと熱く楽しそうに盛り上がっている一団がいて、この人たちのためだけでも、彼らが今回来日した意味はあったな、と思いました。


ALESTORM

これまで転換の時間に流れているBGMは専らパワー・メタル系の音楽ばかりだったのだが、GRAVE DIGGERが終わるとLED ZEPPELINをはじめとするクラシック・ロックばかりが流れ始めるようになる。

そしてQUEENの楽曲が立て続けに流れ始めると、場内のオーディエンスが合唱を始め、昨今のQUEEN人気の高まりを感じさせられました。

そんな中、メタル・バンドのものとも思えないファニーな垂れ幕の前に、巨大なアヒル(黄色いけど、たぶんヒヨコではなくアヒル)のビニール人形が運ばれ、普通であればドラムセットが置かれる位置に鎮座する。

噂によると前日はこのアヒルをステージ上で膨らませるのに時間がかかって開演が遅れたということなので、膨らんだ状態で運ばれてきたのは前日の反省を生かしたということなのだろう。かわいらしいが、やはりとてもメタル・バンドのステージには見えない。

そしてフロアのBGMがフェードアウトし、照明が落ちると大きな歓声と共に一気に前方への圧縮が起こり、後方に立っていた私の前に大きなスペースが広がる。

そして1曲目、"Keelhauled"が始まるなり、そのスペースにて押し合い圧し合いのモッシュが始まる。

私はALESTORMを、いわゆるメロディック・メタル文脈のバンドだと思っていたので、目の前で始まったエクストリーム・メタル/ヘヴィ・ロック系ノリに面食らう。

たしかに本日のオーディエンスを観て、あれ?意外と若い人が多いな、しかも結構可愛い女の子もいるな?、パワー・メタルのライブっぽくない(涙)ぞ? とは思っていたのだが、なるほど、ALESTORMはこういう層をつかんでいたんですね。

そういう意味では、「このバンドは暴れられるぞ」と気付いた、ここで暴れている人たちに比べて自分のセンスはだいぶ鈍いな、と反省させられましたね。

時折、暴れてる人たちが私の方にぶつかってくるので、それを避けたり押し返したりせねばならず、あまり音楽やパフォーマンスに集中できなかったのですが、メタル・バンドらしからぬカラフルでカジュアルな衣装はセンスがいいし、スタジオ盤で聴くと、個人的な趣味からはちょっと外れる、シリアスさに欠ける響きの曲も、ライブではフックの効いたキャッチーな曲として盛り上がりを誘っていたので、素直にこれはライブ・バンドとして素晴らしいな、と思いました。

途中、サメの被り物をしたゲスト・シンガーが出てきたり(誰?)、鎮座している巨大なアヒル隊長のようなバルーン以外にもエンターテインメントな趣向が凝らされていて楽しめましたが、何と言っても圧巻だったのは"Nancy the Tavern Wench"におけるヴァイキング・モッシュあるいはローイング・モッシュと呼ばれる、舟漕ぎのようなモッシュ(?)。

会場の前方3列ほどと、私を含む最後方列を除く大半のオーディエンスが床に座り、舟漕ぎのようなアクションをしている様は、これまで100本単位でライブを観ている私も初めて目にする異様な光景で(ネットを通じてその存在は知っていたが)、ついついスマホで動画撮影してしまいました(そしてその動画をTwitterで上げた所、私のアカウント史上最高のリツイートといいねを獲得しました)。


これができたという意味では、本日すし詰め状態のソールドアウトでなくてラッキーだったのかもしれません。興行主以外にとっては。

スコットランドの民族衣装であるキルトスカート姿にキャップを被り、ショルダーキーボードを弾きながら歌う、フロントマンのクリストファー・ボウズのMCは、英語ネイティブならではの流暢さのせいか、アーティストとオーディエンスのコミュニケーションが適切に疎通できていたかというとそんなことはなかったのですが(そのため、「左右に分かれた後、ゆっくり歩み寄って握手しよう」というクリストファーのチャーミングな指示にも関わらず、左右に分かれろ、というジェスチャーだけしか理解しなかった輩のせいで単なるWODになってしまった)、とりあえずフロアは終始盛り上がり、今日イチかと思われたNORTHTALEや、貫禄勝ちかと思われたGRAVE DIGGERの印象をかき消すほどの強烈なインパクトのライブを見せてくれました。


この日、特別何かトラブっていた印象はないのですが、終演は予定の22時から大幅に遅れて22時40分にずれ込み、私は翌日のEXTRA-SHOWも観に行く予定だったのでそそくさと帰りました…と言いたい所ですが、ALESTORMのライブでさんざん「酒を飲め」という歌を聴かされてしまったので、ついついラーメン屋に立ち寄ってビールを頼んでしまいました(笑)。

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BEAST IN BLACK 来日公演 at 赤羽ReNY alpha

本エントリーのタイトルは、これまでのこのブログのフォーマットに則るのであれば、『SUOMI FEAST 2019 Day2 at 赤羽ReNY』になって然るべきなのですが、あえて『BEAST IN BLACK 来日公演』とさせていただきます。

開演後2時間後くらい経ってから会場入りしたため、5バンド出演するイベントのうち実質2バンドしか観ていないという事情もありますし、何よりBEAST IN BLACKが素晴らしすぎたため、この判断に至りました。

Twitterで最初のバンドがXの"Blue Blood"のカヴァーを披露したと聞いて、行けばよかったかな、とも思いましたが、後の祭り。

いや、EVP主催のイベントではよくあることですが、スタンディングで5バンドとか、普通に無理ですよ。20代ならともかく(苦笑)。

BEAST IN BLACKとSWALLOW IN THE SUN以外のバンドはまるで知らなかったので、ダイヤの原石である可能性はあるのですが、まあ研磨されてダイヤになってから観ればいいだろ、と割り切ることにしました。

というわけで私が会場である赤羽ReNY alphaに到着したのは19時ちょっと前くらい。3バンド目であるBLOODRED HOURGLASSがラストから2曲目をプレイしていたタイミングだ。

メロディック・デス・メタルという触れ込みだったが、デス声というよりはスクリームっぽいVoのスタイルや、短髪のメンバーが多いこともあって、どちらかというとメタルコアに近い印象を受けました。

ただ、楽曲の随所で切り込んでくる叙情的なリード・ギターのメロディは確実に「北欧の血」を感じさせるもので、なかなか悪くなかったのですが、会場の盛り上がりはちょっとお義理っぽい感じだったかな。メンバーはそれなりに盛り上がりに手応えを感じていたっぽいですが、それはお互いにとって幸福なことでしょう。

BLOODRED HOURGLASS終了後、人波をかき分けてドリンクカウンターに行き、ドリンクチケット(コイン)をミネラルウォーターに換える。スーパーに行けば2リットルのミネラルウォーターが6本は買える金額のチケットを500mlのいろはすに引き換えるのは複雑な気分ではあるが、この後まだ3時間はある公演で利尿作用のあるアルコールを飲みたいとは思えなかったので仕方がない(苦笑)。

ミネラルウォーターを抱えて、会場後方の一段高くなっているエリアへ移動。背の低い女性の後ろに陣取ることでステージは見やすい位置である。

キャパ600人の会場で、ほぼほぼ満員に見えるくらいに入っているので500人以上は入っているだろう。これが多いのか少ないのかと言えば少ない気がしますが、会場規模は適切だったと言えるでしょう。

近年のメタルのライブにしては年齢層が若い気がしますし(といってもアラサーが多いかな、というくらいですが…)、女性の比率も高かった(とはいえ10~15%程度と思われますが…)ように見えました。

そして照明が落ち、SWALLOW THE SUNが始まる。新しい会場なのでステージのバックはLEDでバンドロゴが映し出されている。

照明が落ちてBGMが止まると当然オーディエンスは沸くわけだが、なぜかなかなかメンバーが現れず、妙な静寂が訪れる。

しばらくして辛気臭い音楽が流れ出し、それがSWALLOW THE SUNのショウにおけるイントロダクションになっていた。

ようやくメンバーが登場し、奏で出した音楽は、およそショウのスタートに相応しくないスローで陰気な曲。

いや、私の知る限り彼らの楽曲に陽気でファストな曲などというものは皆無なのですが。

暗い。とにかく暗い。思春期(10代半ばから20代前半までは思春期でした/笑)の頃はこういう音楽に浸ることができたが、近年は正直ここまで暗い音楽に感情移入が難しい。

もちろん、最新作"WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT"は母国フィンランドでチャートのNo.1に輝き、欧州最大のマーケットであるドイツでも33位まで上昇するヒットとなっている結成からもうじき20周年を迎えるバンドだけあって、ライブパフォーマンスや楽曲の水準は高い。

会場全体を漆黒のヴェールで包み込むかのような陰鬱なサウンドは日本のなんちゃってダークなバンドには出せない深刻な重さが醸し出されており、その点はさすがフィンランドのバンドだな、と思ったものの、個人的にはライブで聴きたいタイプの音楽ではなかったというのが正直な所。

とはいえ場内には首都圏のネクラが勢ぞろいしていたようで(笑)、楽曲が終わるごとに結構大きな歓声が上がり、その音楽性に反して(?)かなり盛り上がっていました。

SWALLOW THE SUNの世界観を存分に伝えたステージから、転換の20分ほどを経て、いよいよお目当て、BEAST IN BLACKのショウが始まる。

最新作"FROM HELL WITH LOVE"のオープニング・ナンバーである"Cry Out For A Hero"で始まったステージは、先ほどのSWALLOW THE SUNのステージとは打って変わったエネルギッシュなもので、さながら葬式からパーティーへの転換(笑)。

"Cry Out For A Hero"の歌が始まる瞬間に、ステージの袖から(さほど広いステージではないにもかかわらず)ダイナミックなジャンピング飛び込みで登場したヤニス・パパドプロスのヴォーカルが素晴らしい。

ウド・ダークシュナイダー(ACCEPT, U.D.O)を彷彿させる金属的なスクリームから、女性かと聞き紛うかのようなソフトなファルセットまで、文字通り七色の歌声をライブでもしっかりと使い分け、エモーショナルにオーディエンスを盛り上げる。

楽曲がどれもキャッチーであるため、オーディエンスとしても盛り上がりやすく、フロア全体で拳を突き上げ、メロイックサインを掲げ、手拍子し、サビやリード・ギターのフレーズを合唱する。正直このバンドのポテンシャルに対して小さすぎる会場ではあったと思うが、この規模だからこその一体感があったと言えるだろう。

アントン・カバネン(G, Vo)、カスペリ・ヘイッキネン(G)、マテ・モルナール(G)の弦楽器隊は、メタル・ライブ名物(?)の、「楽曲のキメに合わせて揃ってネックを持ち上げる」というアクションを何度も披露、カスペリとマテは「背中合わせで演奏」という腐女子歓喜の(?)パフォーマンスも何度か見せてくれて、「そう、これがメタルのライブだよ!」という醍醐味を感じさせてくれました。

新作から加入したドラマーのアッテ・パロカンガス(元BEFORE THE DAWN, THUNDERSTONE)も、スティックを回したり放り上げたり、自分の頭を叩いてみたりという「見せる」ドラマーで、その躍動感あるリズムのみならず、パフォーマンスでも見せ場を作っていました。

もちろん、単にパフォーマンスがいいだけではなく、天才アントンと、フィンランドを代表するシュレッドの使い手、カスペリ・ヘイッキネンのテクニカルな速弾きソロの応酬はテクニカルな見地からも見所たっぷり。

まだ2作しかアルバムを出していないものの、どちらも名曲揃いなので、中だるみする瞬間がない。本来ならBATTLE BEASTの初期曲だってプレイしようと思えばプレイできるのではないかという気がするが、あえてそれをせずともセットリスト上まったく問題がない。

個人的に彼らの楽曲に多いダンサブルというかディスコティックなリズムの楽曲が大好きで、予想通りそれらは非常にライブ映えしていた。こういう曲はメタラー以外にもアピールするのではないかと思っているが、イメージ的には完全にメタルである彼らの楽曲がメタラー以外に聞かれるきっかけがないのが今の世の中かもしれません。

バラードの"Ghost In The Rain"なんてハリウッド映画のエンディングなどで流れてもいいくらいのポピュラリティとクオリティがあると思うんですけどね。この日のライブでも、とても先ほどまで強烈なスクリームをカマしていた人とは思えない(笑)甘い歌声で魅了してくれました。まさに虹色ヴォイス。

そんな彼が「めったにプレイしない曲で、俺にとって歌うのが難しい曲だ」と言ってプレイしたのはデビュー作収録で、彼らの持ち歌で最も攻撃的なパワー・メタル・チューン"Zodd The Immortal"。

漫画『ベルセルク』(ヤニスは「アニメ」と言っていましたが)に登場する「不死身のゾッド」をそのままモチーフにしたこの曲が、日本の今夜のオーディエンスに対する特別なプレゼントだったようです。

彼らの楽曲では異色のスピード・ナンバーで、ACCEPTを思わせる剛直なギター・リフがフィーチュアされた楽曲だが、こうしてライブで聴いてみると、やはりメロディックなサビのパートなどはSTRATOVARIUSに通じるフィンランドのパワー・メタルらしさがあって非常に私好み。この曲がプレイされたのは今夜のみということで、「当たり」を引いた気分(笑)。

また、本日はベーシストであるマテの誕生日だったようで、アンコールのタイミングでサプライズのケーキが登場。ただ、ケーキを持ってきたスタッフは何を考えていたのか(あるいは何も考えていなかったのか)肝心のローソクに火が点いておらず、「どないせぇっちゅうねん」状態(苦笑)。

とりあえずオーディエンスでハッピーバースデーを合唱し、和やかに盛り上がりましたが(ケーキはそのまま何もされず撤収)。

アンコールでプレイされた、彼らの名前を全世界のメタル・マニアに知らしめた名曲"Blind And Frozen"はまさにハイライトで、「リフ良し、メロ良し、ドラマあり」な彼らの音楽(この3つが全て高いレベルで共存できているバンドって少ないんですよね)をあらためて強く印象付け、ラストは"End Of The World"で締め。この曲でショウを終えるのが今のところ「お約束」のようです。

場内を何度も満たした"BEAST IN BLACK"コールをはじめとするオーディエンスの熱狂ぶりはメンバーにも感銘を与えたようで、実際YouTubeでライブ映像を見てみてもその盛り上がりはチャート的には日本よりはるかに成功している母国フィンランドやドイツのそれに引けを取るものではなく、限られたマニア限定とはいえ、日本のファンのロイヤリティをバンドに強く印象付ける一夜になりました。

実際、近年のメタル・バンドというのは全体的に楽曲や演奏はハイレベルですが、ここまで日本人好みなバンドというのは稀。久しぶりに他人に薦めたくなるバンドがライブでも魅力的であることを確認できた、充実のライブでした。

終演後場内を見渡すと、これだけポップでキャッチーなサウンドにもかかわらず、メロデス系を中心にエクストリーム系のバンドのTシャツを着たファンがかなり多く、そういう層も巻き込めるバンドという意味でも、このバンドは日本のファンと特別な関係を築くことができるバンドになりそうだという予感がします。

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Metal Female Voices Fest Japan 2019 at 新宿BLAZE 4/21感想

2003年からベルギーで行なわれてきた女性ヴォーカルのメタル・バンドの祭典、Metal Female Voices Festの日本版、Metal Female Voices Fest Japan 2019に行ってきました。

と言っても、私が観たのはVUURとLEAVE'S EYESの2バンドだけなので、フェスを楽しんだとはとても言えず、VUURが前座についたLEAVE'S EYESの来日公演を観た、という感覚です。

ぶっちゃけ私は女性ヴォーカルのメタルのファンというわけではなく、もちろんNIGHTWISHとかWITHIN TEMPTATIONクラスの、もはやメタル・シーンを代表するレベルのバンドを別格とすると、あまり積極的に聴いてはいません。

一応断っておくと、別に女性ヴォーカルのメタルが嫌いなわけではなく、男らしいパワー・メタルの方が好きなので、そちらを優先的に聴いてしまうというだけの話です。

ただ、今や数多く存在する女性メタル・ヴォーカリストの中でも、アネク・ヴァン・ガースバーゲン(VUUR, 元THE GATHERING)という人の歌声は個人的にHR/HMの女性ヴォーカリスト史上最も魅力的だと思っており、その歌声を一度生で聴きたい、という思いだけで足を運んだという感じです。

私が会場である新宿BLAZEに到着したのは、まさにVUURのショウが始まる直前の19:30頃。

元々この日は用事があり、最初から観ることは不可能でした。しかもついつい30周年に寄せてXの"BLUE BLOOD"を聴き、それに関するブログ記事まで書いてしまったので、それを諦めれば、その前のMARY'S BLOODには間に合ったのではないかと思いますが、あのエントリーはあのタイミングで書かずにいられなかったので仕方ありません(?)。

集客に苦労しているという噂は聴いていましたが、オーディエンスは会場キャパの5~6割といったところ。日本ではやっぱり女性ヴォーカルのメタルってイマイチ人気ないですよねえ。NIGHTWISHとかWITHIN TEMPTATIONのようなトップ・バンドでさえ、本場欧州に比べるとだいぶ盛り上がりに欠けますし。

VUUR

それだけに、2016年に結成されたばかりのVUURがどれだけ盛り上がるのか、個人的には心配していました。その音楽も、女性ヴォーカルのメタル以上に日本では(DREAM THEATERを除き)人気のないプログレッシヴ・メタルということで、THE GATHERINGの人気もあまりなかった日本で彼らが受け容れられるのか、正直不安でした。

しかし、ライブが始まってみると、その心配は完全に杞憂でした。オーディエンスは少ないとはいえ、ちょっとビックリするくらい盛り上がっていたのです。

そして、その盛り上がりの理由がアネク・ヴァン・ガースバーゲン、その人であることは明白でした。

とにかく圧倒的な存在感とカリスマ性。バックを固める演奏陣も、皆非常にテクニカルで、ルックスも悪くない(特にベースはカッコよかった)のですが、視線はもうアネクに釘付けでした。

アネクは私より4つくらい年上なので、もう40代半ば、客観的には「オバサン」。実際ちょっと体型は崩れてきていて、二の腕などはパンパンなのですが、そんなルックスの劣化(とはいえ、彼女が若い頃美しかったことを疑う人間はいないだろう、というくらいにはちゃんと美しさの面影がありますが)など気にならないほどに存在自体が輝いている。

とにかく笑顔が素敵なのですが、「この笑顔を守りたい」「この人の笑顔を曇らせてはいけない」「このライブを盛り上げることはもはや我々の義務だ」と、オーディエンスに自然に思わせてしまう何かがあるのです。これをカリスマ性と言わずしてなんと言いましょうか。

プログレッシヴ・メタルなので、リズムは決してノリやすいものではなく、そのメロディもコーラスしやすいキャッチーさとは無縁。しかしそれでもオーディエンスは熱く盛り上がり、アネクが手拍子やフィストバンギングを求めれば皆おざなりではなく全力でその呼びかけに応える。

その盛り上がりを目にしたアネクが見せる笑顔がまた超チャーミングで、ああ、ヨーロッパで歴史上国民に愛された女王様、王女様というのはこういう人だったんだろうな、などと思ってしまいました。さすが90年代、欧州のメタル・ファンの間で「お嫁さんにしたいミュージシャンNo.1」に選ばれたという魅力はハンパではない。

THE GATHERING時代の楽曲や、アルイエン・アンソニー・ルカッセン(AYRION)とのプロジェクト、THE GENTLE STORMの曲も含めて、およそ日本人好みとは言えないものでしたが、そのショウに対する満足度は、わずか7曲しかプレイしなかったとは思えないほどに高いものでした。

どうでもいいですが、「アネク・ヴァン・ガースバーゲン」という名前の響き、メチャクチャカッコよくないですか?




LEAVE'S EYES

VUUR終演後、ドリンクカウンターでチケットとハイネケンに換え、MANOWARの"SIGN OF THE HAMMER"の巨大ワッペンが貼られたGジャンを着ていたオジサマが、外人に「マノウォー、チョーダサイネー(日本語)」とイジられているという心温まる(?)国際交流を横目に眺めつつ、ビールを飲み終えてフロアに戻る。

そしてこのMetal Female Voices Fest Japan 2019のヘッドライナーとして登場したのは、本場のMetal Female Voices Festでも常連的出演者であるLEAVE'S EYES。

LEAVE'S EYESは、アネク・ヴァン・ガースバーゲンのいたTHE GATHERINGと同様90年代中期、女性ヴォーカルを擁するゴシック・メタルの先駆者だったTHEATER OF TRAGEDYのメンバーだったリヴ・クリスティンが、同バンドを解雇されたことを機に、夫だったアレクサンダー・クルル(Vo, Key)が率いるATROCITYのメンバーと始めたバンド。

2016年、リヴ・クリスティンとアレクサンダー・クルルが離婚したことを機にリヴ・クリスティンが脱退、後任にフィンランドのメロディック・メタル・バンド、ANGEL NATIONのメンバーだったエリナ・シーララを迎えている。

個人的にはこの界隈のパイオニアであるアネク・ヴァン・ガースバーゲンとリヴ・クリスティンの揃い踏みを見たかったという思いはあるが、こればかりはままならない。

問題は、私が聴いたことがある彼らのアルバムはリヴ・クリスティン在籍時のものしかない、ということであるが、今日はあくまでアネク様に拝謁するために来たのであって、個人的にはLEAVE'S EYESはオマケ、良かったら儲けもの、くらいの気分で後方から観ることにした。

開演時間になりメンバーが登場、エリナ・シーララの第一印象は「細っ!」でした。超スレンダー系。

しかもなかなかキレイな顔立ちをしていて、正直ルックスだけで言えば、年齢を重ねてちょっと魔女めいてきていた(失礼)リヴ・クリスティンよりも現時点では上。

しかし、無いのだ、華が。アネク・ヴァン・ガースバーゲンと比べると壊滅的に。

いや、あまり人と人を比べるのは良くないが、なにせ直後だけにどうしても比較してしまう。女王と町娘くらいにオーラが違うのだマジで。

心なしかオーディエンスのテンションもVUURの時に比べると低いように見える。

しかし、ヴォーカル・パートの比率でいうと2割程度しか貢献していないアレクサンダー・クルルが、空いている8割の時間を駆使してオーディエンスを煽る煽る、煽りまくる。

人間、楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなるのだ、という心理学の話がありますが、半ば無理やりにでも手拍子をし拳を振り上げて盛り上がったフリをしていると、次第になんとなく本当に盛り上がってくるのだから、やはりオーディエンスを煽り、リアクションを促すというのはフロントマンの大切な仕事だ。

セットリストは予想以上に現Voに代わってからリリースされた最新作"SIGN OF THE DRAGONHEAD"からの楽曲が中心で、ぶっちゃけ殆ど知らない曲ばかりだった。

しかし、リヴ・クリスティン在籍時より俄然ゴシック/シンフォニック・メタル色が後退し、元々存在していたフォーク/ヴァイキング・メタル風味が大幅に強化されたそれらの楽曲はなかなかにキャッチーで、思いの外楽しめている。

途中、EVPのスタッフ(バイト?)と思われる日本人が4人ほどヴァイキングの恰好で登場してステージ上を賑やかしてみたり(超弱そうでした/笑)、アレクサンダー・クルルが「俺にとって日本は特別な国なんだ。ガキの頃DEEP PURPLEの"MADE IN JAPAN"に夢中だったからな。そんな国でプレイできて感激だよ」などと熱い長めのMCをしてみたり(ちなみその時ギターの人がちょろっと"Woman From Tokyo"のリフをプレイしてくれた)、ショウを盛り上げようという工夫と努力が感じられたのも好印象。

ひたすら可憐なエリナ・シーララは、ピッタリした黒レザーの衣装含め、勇壮なヴァイキング・メタル調の楽曲にミスマッチな気がしたが、これはもはや「普通の可愛い子がヴァイキング・メタルを歌っている」というギャップに萌えるべきなのだと途中から思い直しました(笑)。

てか、このエリナ、アレクサンダー・クルル(48)の娘くらいの年齢かと思っていたら、調べてみると35歳なんですね。白人女性は30越えると太るか皺が目立つようになるか、いわゆる「劣化」が早いことが多いですが、彼女は若々しい。MCなんかも良い意味でフツーの女の子っぽくて、好感度大でした。

15年以上のキャリア、7枚のアルバムをリリースしたバンドともなると、普通は本編ラストやアンコールには「初期からの代表曲」がプレイされるものだと思いますが、このバンドの場合どちらも最新2作からの楽曲がプレイされ、それがちゃんと「その位置」に相応しい楽曲として響いたあたり「まだまだこれからのバンド」としてのポテンシャルがあることを感じさせられました。新作もチェックしたいと思えましたね。収穫でした。



というわけで2バンドしか観なかったとはいえ、チケット代(当日9,500円)分は充分に楽しめたのですが、この満足度に対してやはり集客は寂しかったと言わざるを得ません。

てか、ヘッドライナーがLEAVE'S EYESでフェスが成立すると思っていたとしたらEVPはちょっと強気過ぎるか、ビジネスセンスが無さすぎます(苦笑)。

NIGHTWISHやWITHIN TEMPTATION、LACUNA COILは無理でも、最低限EPICAとかAMARANTHEとか、日本で単独公演が成立するクラスのバンドは必要だったのではないでしょうか。

この客入りだと、このイベントの「次」があるかどうかは甚だ怪しいですが、とりあえず個人的にはアネク様に拝謁する機会を与えてくれて非常に感謝しています。

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