HELLOWEEN 来日公演 “PUMPKINS UNITED WORLD TOUR 2018” 3.27 at Zepp DiverCity 感想

というわけで観てきました、HELLOWEENの“PUMPKINS UNITED WORLD TOUR 2018” in JAPAN最終日。

通常チケット発売日に寝坊した結果論ではありますが、初日と最終日を観られるというのは悪くなかったな、と思ってます。

ただ、今日は前回と違って仕事が片付かず無念の遅刻。到着した時には2曲目の「Dr.Stein」がプレイされていました。

2曲目と言っても、1曲目は大作「Halloween」なので、まあまあ遅刻している。
てか、マジで初日オンタイムで行けてよかったです。1回しかないチャンスで「Halloween」を見逃していたら、悔やんでも悔やみきれませんでした。

遅刻しているので入り口付近の後ろの方で鑑賞(整理番号は結構若かったのですが…)。パッと見満員っぽい感じながら、よく見ると人口密度はそこまでギュウギュウではないので、頑張ればもうちょっと前に行けそう。

とはいえ、コインロッカーが全部埋まっていたのでバッグを持ち込まざるをえず、スーツ姿でもあったので無理のない範囲でじりじりと真ん中の方へにじり寄っていくくらいが関の山でした(苦笑)。

ライブの大まかな流れは、初日に観た時と一緒なので、本日は省きます。

セットリストは毎回ちょっとずつ変わっていたようですが、終わってみて見比べると、私が行った初日が一番イレギュラーなセットリストだったようです(と言っても8割がた同じですが)。

「Where The Sinners Go」は本日だけプレイされたスペシャルな曲ですが、正直なぜこの曲?、って感じ。
個人的にはHELLOWEENの全楽曲の中でも下から数えたほうがいいくらいの曲だと思っているのですが…。

他に、前回プレイしなかった曲に限って触れると、「Kids Of The Century」と「I'm Alive」という古めの曲2曲はやっぱり盛り上がりましたね。

特に後者は私を洋楽ヘヴィ・メタルにのめりこませ、ギターまで買わせるきっかけになった「衝撃の曲」なので、その感動はひとしおでした。

というか、私が行った初日以外は「I'm Alive」をプレイしていたみたいなので、これで今日プレイしなかったら成仏し損ねるところでした(笑)。

2回観に行ったにもかかわらず一番観たかったこの曲がプレイされなかったら、私は死後永遠にお台場を漂う地縛霊になっていたことでしょう。

私はこれまで1アーティストのツアーを複数回観に行ったことはほとんどありませんが(1999年の聖飢魔IIと、2002年のARCH ENEMYくらいでしょうか)、今回は2回観ておいて大正解でした。

まあ、その「I'm Alive」に関して言えば、割と荒っぽい演奏でしたけどね。
というか、本日は初日に比べて全体的に粗が目立ったかな。さすがにメンバーも7公演目ということでお疲れだったのでしょうか。

と言っても疲れが見えたのはヴォーカルをやっている三人、カイ、マイケル、アンディの3人だけですが。

特にカイの歌は、初日より結構アレでしたね。まあ2000年前後にはかなりマシになっていた歌声も、近年どんどんラフになっていますし、元々カイの歌唱に対する期待値というのはそれほど高くないので別にいいのですが。カイ時代の曲をやってくれるというだけでアーライ!です(笑)。

カイとヴァイキーのツイン・リードのハモリもかなりグダグダでしたが、一番の見せ場と言っても過言ではないアンコールの「Keeper Of The Seven Keys」の後半のツイン・リードはかなりキレイにハモれていたので、最終的には満足です(笑)。

私は「Eagle Fly Free」より「I'm Alive」、「Power」より「Where The Rain Grows」という、ちょっとだけ主流派ではないファンですが、やはりライブにおける「Eagle Fly Free」と「Power」の盛り上がりは頭一つ抜けてましたね。特にマイケル・キスクの歌う「Eagle Fly Free」は、これを聴けただけでチケット代の元が取れたと感じた人も多いのではないでしょうか。

「Eagle Fly Free」、失礼ながらアンディが歌うと低空飛行な感じに響くのですが、マイケル・キスクが歌うと大空高く羽ばたいているように聴こえるんですよね。ヴォーカルってやっぱり大きいです。

前回も感じましたが、全体的にゲスト扱いであるカイ・ハンセンとマイケル・キスクが立てられているというかフィーチュアされているという感じではありつつ、ちゃんと全員仲が良さそうで、ステージの雰囲気はすこぶる良い。

楽曲の曲調と、メンバーのキャラクターの双方があいまって、ヘヴィ・メタル・バンドとしてはあり得ないほどに親しみやすい空気があるのが、やはりこのバンドの絶対的な個性ですね。「なんかちょっと怖い感じで近づきにくい…」というヘヴィ・メタルのイメージを(特にここ日本で)変えたバンドという意味で、やはりHELLOWEENの存在感というのは特別な感じがあります。

ちなみに今日は2階席でなくフロアだからかもしれませんが、初日より女性客が多かった印象。

さすがに皆さんそれなりに妙齢な感じではありますが(笑)、HELLOWEENがいなかったら、この手のパワー・メタル系のバンドを聴く女性ってもっともっと少なかったのではないかという気がします。

そんなこんなで本日も大満足。強いて心残りを挙げるとすれば、ラストの「I Want Out」の時に投げ込まれたバルーンに全くタッチできなかったことでしょうか(笑)。前の方の皆さん、もっと後ろにも回してくださいよ(笑)。

あと本日別な意味で印象に残ったのは、私の近くでずっとスマホを掲げていた外人客。

人込みをかき分けてきたスタッフに注意されていましたが、「ワタシ日本語モ英語もワカリマセーン」という顔芸で軽やかにスルー(ここでスマホを奪い取る、みたいなことができないのが日本人の弱さですね)。

てっきり録画か録音をしているのかと思いきや、どうやらSkypeとかFaceTime的なもので友人にライブを見せていた模様。

どう考えてもその友人の分も金払えよ、って感じではあるのですが、現代ではこういうこともできるんだ、と妙な感銘を受けてしまいました(苦笑)。

まあ、そんなことは些細なことで、とにかく本当にいい体験でした。バンドの演奏やパフォーマンスの完成度でこのライブ以上のものというのはいくらでもあると思いますが、企画、演出、そして何よりこのメンバーでこの楽曲が聴ける、ということ自体に25年来のファンとしては感無量にならざるを得ません。

Web上の評判を見ても、ネガティブな感想はほとんど見られず、大好評と言っていいツアーだと思います。

実際、近年のメタル系のツアーとしては珍しいほどチケットの売れ行きもよかったと思いますし(福岡公演がなかったのが不思議なほど。空いてるハコがなかったんでしょうか)、これはそれほど遠くない未来にまたこのメンバーでのライブが観られるのではないかという気がします。

とりあえず、マイケル・キスクとカイ・ハンセンのいるHELLOWEENを観ることができた、メタラーとしての私はもうこれで成仏できると思います(笑)。

ずっとメタルを、HELLOWEENを好きでよかった、と心から思える素晴らしい体験でした。
集金でもいい。またやってほしい。
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HELLOWEEN 来日公演 PUMPKINS UNITED TOUR 2018.3.16 at EX THEATER ROPPONGI 感想

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カイ・ハンセン(G, Vo)とマイケル・キスク(Vo)がHELLOWEENのツアーに参加する、というニュースは、私のような『KEEPER OF THE SEVEN KEYS』をバイブルと仰ぐHELLOWEENファンにちょっとしたセンセーションを巻き起こしました。

これは行かねばなるまい、とニュースを聞いた瞬間に即断したわけですが、チケット発売日、うっかり前夜に深酒し、泥酔して目覚ましもかけずに寝て、起きた時には東京公演がソールドアウトしていました。

ZEPPじゃ狭すぎるとは思っていましたが、まさか発売開始から3時間を待たずして完売とは…。

PCモニターに映るイープラスの無情な画面を前にしばし石化し、しかたない、これは直前にヤフオクするか…と一時は諦めました。

しかし、私はこれまでの人生で何度か「自分は持ってるな」と思う体験をしたことがありますが、今回もそういう事態が起きました。

追加公演が、全日程に先駆けて発売されたのです。初日ですよ初日。そして今度はぬかりなく神速でGET。なんと2階指定席最前列です。

そして待ちに待った3月16日当日、客先での打ち合わせも18時ちょっと前に終わり、当然そのまま会場であるEX THEATER ROPPONGIへ。

つい先月ARCH ENEMYを観たばかりの会場だ。あの時は仕事が終わらなくて遅刻したが、本日は開演20分くらい前に到着。平日仕事終わりとしては自分史上最高と言っても過言ではないスムーズさで到着したあたり、自分とHELLOWEENの絆の強さを改めて感じる(錯覚です)。

とはいえ、20分前でも入場口には結構な待機列ができていて、やはりクリエイティブマンの仕切りか…と。まあ、指定席の人間はスッと入れるようになっていたので、その点はありがたかったのですが。

ドリンクチケット(コイン)がSUICAで買えるのがいいですね。新しい会場ならではです。

ドリンクチケットを飲み物に換えようかと思ってドリンクカウンターに向かいましたが、えらい並んでいたので、万が一にも開演に間に合わなかったら悔やんでも悔やみきれない、と思い、終演後にしようと断念しておとなしく席に向かう。

2階席からフロアを見下ろすと、ソールドアウトしているだけあって場内はごったがえしている。ただ、上から見た感じ、男ばっかり。かつてはHELLOWEENのライブってメタル系としては珍しいほど女性が多かったものですが(といってもせいぜい3割程度ですけどね)。

場内ではDEF LEPPARDやらRAINBOWやら、オヤジメタラー向けのクラシックなHR/HMがBGMとして流れている。そしてOZZY OSBOURNEの「Bark At The Moon」が流れた後、全く毛色の違う、ロビー・ウイリアムスの「Let Me Entertain You」がそれまでのBGMより大きな音量で流れて、ショウの幕開けが近いことを予感させる。

この「PUMPKINS UNITED」ツアーは、昨年10月のメキシコ公演を皮切りに、かなりの数のライブを重ねていますが、あえてセットリストなど事前情報はチェックしてきませんでした。

それはもちろん、自分にとって新鮮かつ特別な体験にしたいからで、結果的にそれは正解だったと思っています。

ということで、これからこのツアーを観る、という人は、いったんここでブラウザのタブを閉じてください。ネタバレがあります。というか全てがネタバレです。当ブログの駄文を読むのは、ライブが終わった後で全く問題ありません。

スマホだとPCと違って追記機能がないので、画像置いて先の文章を遮断しておきますね。

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RIOT来日公演 'Thundersteel 30th Special In Japan' at 川崎CLUB CITTA 2018.3.11

RIOTの1988年の名盤、『THUNDERSTEEL』30周年記念の来日公演を観に行ってきました。

・通常セットと同作完全再現の二部構成による感動的なライブ。

・トッド・マイケル・ホールのハイトーンは驚異的。

・披露された新曲も素晴らしく、来月発売の新作はマストバイ。

以上、感想を3行でお届けしました(スマホだと3行に収まってないと思いますが、PCで書いているので…)。

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ARCH ENEMY 来日公演 at EX THEATER ROPPONGI 2018.2.21

ARCH ENEMY来日公演、東京2日目に行ってきました。

平日ということで、当然仕事との戦い。働き方改革の流れで早く帰ることが推奨される空気感は生まれているものの、さすがに19時前に仕事を切り上げることは物理的に厳しい。

開演時間直前にパソコンをシャットダウンし、会社を出る。会社からEX THEATER ROPPONGIまでは、直線距離にするとかなり近いのですが、電車を使って行こうとすると結構めんどくさく、そもそも六本木駅からそれほど近いわけではないので、遅刻時間を最小にするためにタクシー使用。

EX THEATER ROPPONGIはフロアに行くまでに地下3階まで降りなくてはならないのが難点。地下2階に下りた時点で、「Ravenous」のあの印象的なイントロが聞こえてくる。

フロアに入ると、最大1700人収容の、昨今のメタル系としては大きめの会場ながらそこそこ人は入っており(8割くらい?)、バッグと上着を抱えた状態であまり前方に行ける感じではなかったので、おとなしく下手後方で鑑賞。

そしてステージに目をやると、たちどころににショウに引き込まれる。

やっぱりカッコいい。プレイされている「Ravenous」のサビの曲名が叫ばれる箇所ではついつい合唱(唱?)、ギター・ソロ後のイントロのフレーズのラストでは皆拳を突き上げる。

こういうクラシックなメタルならではの一体感を得られるライブって、エクストリーム系のバンドだと結構少ないんですよね。

その代わりということなのか、モッシュとか、サークルピットとか、クラウドサーフとか、そういうエクストリーム系ならではの激しいノリはあまり見られず(前方では起きていたのでしょうか?)、オーディエンスは良くも悪くも行儀がいい。

フロントマンが女性だからなのか、結構女性のオーディエンスも多く、かなり年配とお見受けする方も来場されていて、そういう意味ではエクストリーム系のメタル・ファンよりもクラシックなメタルのファンが多かったということなのかもしれません。

まあ、かく言う私自身がそうなのですが。

続く「Stolen Life」のリフ・ワーク、起伏の明確な展開なんかも、明らかにクラシックなメタルが好きな人のツボに入る感じですよね。またまた無条件にカッコいい。唯一の難点は私の右前方に背が高い人が立っていて、上手(かみて)のジェフ・ルーミス(G)が見えないこと(苦笑)。

ジェフ・ルーミスは、ギター・ソロの際にセンターに出てきて、マイケル・アモット(G)と背中合わせでソロをプレイする(その絵がやっぱりメタルのライブならではのカッコよさですよね)ことはあっても、下手(しもて)の方に出張ってくることはなく、マイケル以外のメンバーと絡むこともほとんどないため、ちょっと「お客様」感を感じてしまいました。

マイケル以外のメンバーにとってはまだ「友達の友達」的な感覚なのかな~、などと思ってしまいました。

ウォーレル・デイン(Vo)が昨年末に急死したことでかつて在籍していたNEVERMORE復活の可能性もなくなったので、自分でバンドを立ち上げるのでなければジェフにとってARCH ENEMYは悪くない就職先だと思いますが、ソングライティングに関与せず、必然的にマイケル・アモットがソロのおいしい所を全部プレイする現在の状態だと、いつまでたっても「ジェフ・ルーミスの無駄遣い」と言われてしまうと思うので、ジェフにはもっと自己主張してもらいたいな、と思います。

一方、アリッサ(Vo)は前回LOUD PARK 15で観た時よりバンドに馴染んでいたと思います。冷静に場と自己をコントロールしていた観のある前任のアンジェラよりもエモーショナルな歌唱とパフォーマンスは、その印象的なブルーの髪色もあって、キャラの立った名プレイヤー揃いのこのバンドにあっても確かな存在感を放っており、ヨハン派、アンジェラ派の人から見ても、好き嫌いはあれ、パフォーマンスの質について文句は言わせない迫力がありました。

前述した通り、オーディエンスはおとなしめだったので、「I Can't Hear You(聞こえねーぞ)」という煽りを連発していたのが、我々の盛り上がりに不満を感じていらっしゃるのかな、とちょっとドキドキしましたが(苦笑)。

「Stolen Life」に続いて最新作の冒頭を飾る怒涛のスラッシュ・チューン、「The Race」がプレイされる。個人的に大好きな曲で、最新作のオープニングということで1曲目にプレイされていたらどうしよう…と思いましたが、実際には「The World Is Yours」だったようでこうして聴くことができました。ええ、思う存分頭を振らせていただきましたとも。

その後も、アリッサ加入後の2作からの楽曲を中心にショウが進んでいく。アンジェラ期の曲はちょいちょい挟まれることはあるが、ヨハン期の曲が皆無なのは、前作発表後にBLACK EARTHの活動を挟んでいたからだろうか。

まあ、ヨハンの方が個性が強く、しかもマニアのこだわりも強いので、アリッサとしてはやりにくい、ということもあるのかもしれませんが。特に欧米ではヨハン期の知名度が低くて、当時の曲をプレイしてもあまりウケない、という事情もあるようですし。

途中、メンバーが全員袖に引っ込んだと思ったら、彼らの日本での所属レコード会社であるトゥルーパー・エンターテインメントの宮本社長が登場。何事かと思いきや、ARCH ENEMYが3月5日発売のBURRN!誌における読者投票のある部門で1位を獲得したので、メンバーとオーディエンスの写真を撮りたい、とのことでした。それ、今このタイミングじゃなきゃダメなん?(苦笑)

写真を撮るということは掲載されるのか、メンバー全員が写る写真ということはベスト・グループに選ばれたのか? 発売は2週間後だから、今日入稿すればギリギリ間に合うか…などと思いつつ、後方だけに写るはずもないメロイック・サインを掲げる(後日談としては、掲載されていなかったし、ベスト・グループではなかったのですが)。

そんなちょっと和気あいあいとした時間を挟みつつも、再開されたショウはそれまで通りの緊張感を保っているのがやはりプロフェッショナル。アリッサの性格によるものだろうが、変にオーディエンスとなれ合うようなコミュニケーションがないのが個人的には肌に合う。メタルはやはり緊張感があってナンボです。友達のバンドのライブを観に行くような気安さのようなものは求めていないのです(あくまで個人の意見です)。

やはりこのバンドの緊張感を支えているのは、ダニエル・アーランドソンの正確無比なドラミングでしょうね。

個人的にはライブでは突っ込み気味、ハシり気味のドラムが好きだったりするのですが、バンドがタイトな演奏をする上ではドラムが正確であることが絶対条件なので、このバンドのプロフェッショナルなパフォーマンスは彼のドラムあってこそでしょう。

最新作でバンド史上初めて収録されたノーマル歌唱によるバラード系の「Reason To Believe」もちゃんとプレイされ、アリッサの確かな歌唱力をあらためて示していました。今後もアルバムに1曲くらいは彼女のノーマル歌唱をフィーチュアしてもらいたいものです(あくまで個人の意見です)。

本編ラストは「We Will Rise」。アメリカ市場での認知を獲得し始めた時期の曲なので、彼ら的には思い入れがあるのでしょう。
歌えと言わんばかりのサビですが、私の周囲ではあまり歌っている人は見受けられず、ひょっとしたら割と新しいファンが多かったのかもしれません。

引っ込んですぐに出てきたアンコールは「Avalanche」で始まり、「Snowbound」でマイケルがたっぷりとギターを泣かせた後、私の知る限り、この手のデス・ヴォイスで歌われる楽曲の中で最もベタなサビをもつアンセム・チューン、「Nemesis」で締め。やっぱりこの曲が一番人気なんでしょうかね。One For All, All For One!

LOUD PARKでしょっちゅう来ていたこともあって、多分私が人生で一番多くライブを観ているバンドというのがARCH ENEMYで、何回も見ている分、渇望感というか待望感というか、ライブに行くまでのワクワクというのは正直もうほとんどないのですが、それでも観ると毎回「やっぱりカッコいいな!」と満足させられる、そんなバンドが彼らです。

SECRET SPHERE 来日公演 20th Anniversary Show at 新宿BLAZE 2017.12.8

まさかの3年連続来日。一昨年、もう二度と来日しないだろうから、という理由で名古屋遠征までした自分に、タイムマシンで翌年も、さらにその翌年もSECRET SPHEREは来日するよ、と伝えたい気持ちでいっぱいですが、SECRET SPHEREが3年連続で来日する、なんて、当時の私に言っても絶対信じなかったでしょうね(笑)。

そんなわけで行ってきました、SECRET SPHEREの結成20周年公演@新宿BLAZE。
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前座は同じイタリアのARTHEMISに、日本のCROSS VEIN、そしてMARCO ANGELOなるソロ・ギタリストが付く豪華仕様…なのはいいのですが、平日に開場17:00って、どんな会社でもギリギリ定時ですがな。

正直オーディエンスは学生さんより社会人の方がはるかに多いと思われるだけにかなり厳しいスケジュール。

MARCO ANGELO氏はともかく(失礼)、CROSS VEINは観たい所でしたが、16時から打ち合わせがあったため、案の定間に合わず。到着した時にはARTHEMISがプレイしていました。フロアの入り口に向かう途中の通路で、ミケーレ・ルッピが普通にスタッフ?と立ち話をしていたのがライブハウスならでは。

会場の新宿BLAZEは、公称キャパシティはMAX800なので、まあまあ大き目のハコだ。正直SECRET SPHEREとARTHEMISではガラガラなのでは…と危惧していたが、どうにかカッコが付くだけの客入り。仮にもメジャー所属であるCROSS VEIN効果でしょうか。

とはいえ余裕はたっぷりで(苦笑)、その気になれば簡単に前の方に行けそう。いったんフロアの外に出て、コインロッカーにキルティングジャケットとビジネストートを押し込むと、再度入場し、前の方に進んでARTHEMISを鑑賞。

ARTHMISは、個人的には既に興味を失ったバンドで、長らくアルバムは聴いておらず、「予習」は本日に備えてYouTubeに上がっている最近のMVを3曲ほどチェックしてきた程度。

その「予習」で、彼らが日本デビュー当時のようなメロディック・パワー・メタルとは全く異なる音楽性になっていることは承知しており、そのスタイルは必ずしも私好みではないにせよ、ライブで観ればカッコよさそうだったのでそれなりに楽しみにしていた。

そして実際好演と言っていいライブだった。パフォーマンスはキャリア相応の安定感があったし、イタリア人らしい男の色気と愛嬌があるヴォーカリストのファビオ・デッシがなかなか好感の持てるフロントマンぶりで、オーディエンスを上手く味方にしていた。

今年リリースされた彼らの最新作の邦題が「カクメイノノロシ(革命の狼煙)」だというのはこの日この場で知りました(笑)。

Aクラスに行くにはややフックと個性不足ではあるものの、それなりにキャッチーでイキのいいヘヴィ・メタル・サウンドは観ていて気持ちが良かったし、ある意味失礼な物言いかもしれないが、前座として理想的な会場の温め方をしていたと思う。

私が予習した曲のひとつ、「Vortex」でARTHEMISのステージが終わると、会場内のSEとしてDOMINEの超名曲「The Hurricane Master」が流れて個人的な心のボルテージがARTHEMISの演奏中より高まる。「アイ、アム、ズィハリーケンマストァ」というサビは口ずさまずにいられないし、ギター・ソロ前の「So, Here I Go!」ももはや意識せずに口をつく。エンディングで「A Justice Is Done」というスクリームがどんどん高くなっていく様にはエクスタシーを禁じ得ない。危うくライブ中でもないのにパンツを汚すところでした。

その後もDRAGONLANDやらDRAGONFORCEやらELEGYやら、私のような往年のメロディック・メタル・ファン感涙の選曲が続き、気持ちの高まりを持続させてくれる。

そして、そのBGMがフェードアウトし、客電が落ち、SECRET SPHEREのショウがスタート…するかと思いきや、もう一度客電が点き、BGMが流れ出す。誰かトイレにでも行きたくなったのでしょうか(苦笑)。

そんなこんなで事前に告知されていたタイムテーブルより遅れてSECRET SPHEREのショウがスタート。前回観た時には長かったアルド・ロノビレ(G)の髪が短くなっている。生え際がだいぶキているので、落ち武者にならないよう潔く断髪したのでしょうか。てかこの人、髪の毛短くなるとニコラス・ケイジにそっくりだわ。

前半は、事前に聞いていた通り、最新作であるコンセプト・アルバム『THE NATURE OF TIME』の完全再現。

もはや純然たるプログ・メタル・スタイルとなった同作のサウンドは必ずしもライブ映えするとは思えないものだったが、やはりミケーレ・ルッピの歌唱が素晴らしい。いや、他のメンバーのプレイも非常にプロフェッショナルなのだが、やはりルッピは次元が違う。

声自体の美しさ、声量の豊かさもさることながら、ちょっとした息遣いのひとつひとつにまで歌心が満ちていて、聴き惚れざるを得ない。SECRET SPHEREのことを全然知らない、なんならメタルは嫌いという人でさえ、ここに連れて来たらミケーレ・ルッピというシンガーが非凡であることだけはたちどころに理解することだろう。

スピード・メタル・チューンである「Courage」におけるオーディエンスの熱い反応から、何だかんだ言って「そういう曲」が好きなオーディエンスが(私も含めて)集まっていたと思われるが、メロウな曲ではミケーレ・ルッピの卓越した歌唱に、プログレッシヴな曲では楽器隊のスリリングな演奏によって、まったく退屈させられることがない。

「Kindness、君たちのようなね」というMCに導かれて始まった「Kindness」ではあまりのミケーレ・ルッピの歌声の素晴らしさに、思わず涙ぐんでしまいました。

もし、地上では歌うことが許されない天上のメロディというものがあったとして、それが地上でただ1回だけ歌うことが許されるとしたら、その任はこのミケーレ・ルッピが担うべきだろう。そんなとりとめのない妄想が浮かぶような素晴らしい歌唱だった。

ライブ・レポートというよりは単なるミケーレ・ルッピのヨイショ記事みたいになってしまっているが、実際目も耳もミケーレに釘付けだったのだから仕方がない。ついでにちょっと痩せて、前回観た時より腹が引っ込んでいた気がします。

アルバム同様、曲と曲の間にはストーリーを暗示するSEが流れるのだが、これは正直スタジオ音源を聴いている分には想像力が働いて雰囲気があるものの、ライブ会場ではなんだかメンバーも手持ち無沙汰な感じでちょっと微妙。イメージ的なものでいいので、何か映像が欲しかったですね。まあ、コンセプトアルバム再現の合間にベラベラMCされるよりは手持ち無沙汰な方がマシだったとは思いますが。

そして『THE NATURE OF TIME』完全再現が終わると、「この後は違うバンドが出てくるよ~、チャオ!」というミケーレのお茶目な挨拶と共にバンドはいったん引っ込む。

ここからはバンド結成20周年記念公演ということで過去の楽曲をメインにプレイされることになっている。プロモーターであるEvoken de Valhall PRのTwitterではプレイしてほしい曲のリクエストを募っていた。

そして流れるデビュー・アルバムのイントロ、「Dawn Of Time」が流れる。非常に幻想的で美しい、数あるメタル・アルバムのイントロの中でも個人的に1、2を争うほど好きな序曲だ。

この曲が流れるということはまさか、のまさかで始まった「Age Of Wizard」…だが、メンバーたちの様子がおかしい。みんな動物の被りものに、「オヤジギャグ製造機」だの「自分、何松?」だの「動けるデブ」だのといった日本語が書かれたいわゆる「ネタTシャツ」に身を包んでいる。
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そしておかしいのはメンバーの服装だけでなく、「Age Of Wizard」に歌が乗らない(苦笑)。ミケーレ・ルッピが完全に入るタイミングを間違ったようだ。まあ恐らくライブでプレイするのは初めての曲だから無理もないといえば無理もないが…。

というわけで、アマチュアのライブであればしばしば目にするものの、プロのライブで目にするのは珍しい「もう一回最初からやり直し」が発生。あのイントロから続くから感動的なのに…。

そしてやり直しての「Age Of Wizard」も、ミケーレ・ルッピの歌はヨレヨレ(苦笑)。まあ、正直この曲の歌メロは前任Voであるロベルト・メッシーナ独特の歌い回し満載で、普通の人にはいささか歌いにくそうであろうことは素人目(耳)にもなんとなく想像がつくが、やはりミケーレほどに歌が上手い人であっても苦手な曲があると知ってなんとなく安心しました(笑)。

そして続くはデビュー・アルバムからの流れ通り、「Recall Of The Valkyrie」。この曲名がコールされるとフロアが大いに沸き、人気曲であることが窺われる。個人的にもATHENAの「Twilight Of Days」やSKYLARKの「Belzebu」、HIGHLORDの「Frozen Heaven」などと並ぶB級イタリアン・クサメタル・ブームを象徴する名曲のひとつとして前述のTwitterでリクエストしていた曲のうちのひとつだ。

しかし「Age Of Wizard」以上に「ロベルト・メッシーナ節」全開のこの曲もやはりミケーレには歌いにくいらしく、歌メロは大幅に改変されていた。そして「Age Of Wizard」もそうだったが、ミケーレ・ルッピは足元のカンペを見まくり(苦笑)。

まあ、それでもライブで「リコール・オブ・ザ・ヴァルキ~リア!」の合唱ができる日が来るとは思っていなかっただけに、感無量である。演奏に関してはちょっとKeyの音色が地味になっているものの、ほぼ完コピだしね。

その後「ファストでハイな曲をやるぜ」というMCの後に「Loud & Raw」がコールされると、場内に妙な沈黙が満ちる。私もそうだったが、皆「どの曲だっけ?」と記憶を掘り返していたのかもしれない。

いささか気まずく始まった「Loud & Raw」だったが、もちろん実際に演奏が始まれば盛り上がる。ただ、『HEART & ANGER』アルバムからプレイするなら「Where The Sea Ends」にしていただきたかったというのが個人的かつ率直な思い(笑)。

その後にプレイされた前任Vo時代の曲は「The Scars That You Can’t See」に「Legend」、そして「Lady Of Silence」と、過去2回の来日公演でもプレイされたいわば定番曲。もちろん「Legend」はこのバンドで1、2を争う人気曲なので、この日最高の盛り上がりを見せたし、「Lady Of Silence」では、オーディエンスをしゃがませて、曲に合わせてジャンプさせるという、あまり経験のない演出があり、印象深い体験になりました(ミケーレ・ルッピ自身も素直にしゃがむオーディエンスに感銘を受けたようだった)。
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前述のネタTシャツは、少なくともミケーレ・ルッピとアルド・ロノビレは普通のTシャツの上から着ていたので途中で脱いだのですが、アルド・ロノビレが脱ぐときにはミケーレが「Naked! Naked!(裸になれ!裸になれ!)」とコールを掛けたり(もちろん裸にはなりませんでした/笑)、演奏中に最前列にいたファンの持っていたスマホを借り、しばらく動画撮影をしながら歌って返すなど、フランクなステージを観ることができました(あの時のスマホの持ち主の方、動画YouTubeにアップしてください/笑)。

そういう意味ではアルド・ロノビレは前半の「完全再現」はそれなりに緊張していたようで、終始表情が硬かったが、この後半では笑顔が多く見られ、やはりこの後半パートは「ファンサービス」というニュアンスだったんでしょうね。

メンバー紹介では、メンバー自身が驚くほどの大歓声が彼らを包み、場内のムードはすこぶる良く、メンバー自身もご満悦な感じでした。本国や、まして欧州の他の国ではここまで暖かい反応は珍しいのかもしれません(そもそも彼らはそんなに多くのライブをやっていませんが)。

終盤はミケーレ・ルッピ加入後の「Union」、「Lie To Me」、そしてアンコールのような形で「Healing」がプレイされて終演を迎えたわけですが、どうも本来はもっとプレイするつもりだったよう。

というのも、その時点で既に終了予定時刻である22時を15分近く過ぎており、「もう1曲プレイしていい? あ、ダメ?」みたいなやり取りがステージ上のミケーレとステージ袖のスタッフの間で行なわれていたからです。

結局時間切れということで「じゃあ、写真、写真を撮ろう!」と、最近のライブではどのバンドでもお約束になりつつある「オーディエンスを背景にしての写真撮影」が行なわれて本日のライブは幕を閉じました。アルド・ロノビレはちょっと不満そうでしたが(笑)。

そんなちょっとグダグダな感のある終わり方ではありましたが、演出からハプニングまで様々な「印象に残るポイント」があり、そしてもちろんパフォーマンスがこのクラスのバンドとしてはありえないほどに充実していたので、ライブトータルでの満足度はかなり高かったです。

心残りは、リクエストした曲のうちのひとつ「The Brave」がプレイされなかったことと、そのリクエストキャンペーンに参加したことでメンバーのサイン入りポストカードが当選していたのですが、引き換え場所である物販ブースが見つけられずに結局受け取れなかったことですね(苦笑)。CROSS VEINの音源とグッズを売っているブースは見つかったんですけどね。

終演後、ドリンクチケットと引き換えたビールを飲みながら場内を歩き回ったのですが、コインロッカーしか見当たらず。いったい物販ブースというのはどこにあったのでしょう。

まあ、別にポストカードが欲しくて楽曲のリクエストをしたわけではないので別にいいのですが。

しかしやはりミケーレ・ルッピの歌は絶品でした。今度、元RHAPSODY OF FIRE、現ANGRAのVoであるファビオ・リオーネと、LUCA TURILLI'S RHAPSODYのVoであるアレッサンドロ・コンティによるプロジェクト、LIONE/CONTIのアルバムがリリースされるそうですが、個人的にはミケーレ・ルッピとファビオ・リオーネのコラボ・アルバムも聴いてみたいですね。

個人的なイメージではファビオ・リオーネは「騎士の声」、ミケーレ・ルッピは「貴族の声」という印象を(勝手に)持っているので、プロジェクト名は「KNIGHT & NOBLE」でお願いします(誰に言っているんだって? そりゃ『Frontiers Records』のオーナー、セラフィノ・ペルジーノ氏ですよ/笑)。