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『BURRN!』21年3月号の感想

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『BURRN!』が聖飢魔IIを表紙にする。そんな日が来るなんて誰が予想したでしょうか。

もっとも、聖飢魔IIのこともよく知らないような若い方にとっては何のことやら、という感じでしょうが、そもそもそんな若い方は『BURRN!』のことさえよく知らない、というのが2021年の現状かもしれません(苦笑)。

『BURRN!』というのは初期(創刊から最初の10年くらいですかね)は割と物議を醸すレビューを掲載する雑誌で、レコード会社のディレクターたちにめんどくさがられていたそうですが、最も有名なレビューのひとつが、この聖飢魔IIのデビュー・アルバムに対する当時の編集長、酒井康氏の「0点」という評価でした。

「0点」という評価の理由は、そのメタルのイメージをカリカチュアライズしたかのようなバンド・コンセプトがヘヴィ・メタルの冒涜に当たるから、という話もありつつ、実際の所は当時の聖飢魔IIのスタッフが酒井氏の逆鱗に触れるような失礼な行ないをしたことが一番の原因だったようです。

いずれにせよ、当時『BURRN!』は日本のメタル・ファンのバイブルであり、そのレビューを鵜呑みにしたピュアな読者は聖飢魔IIをキワモノ扱いし、一方で聖飢魔IIはメジャー・シーンで紅白歌合戦に出場するほどの人気バンドとなり、そのことで逆に「硬派なメタル・ファン」=『BURRN!』誌の読者からは嫌われるという構図が出来上がっていました。

とはいえ、私のように90年代に入ってから『BURRN!』を読み始めたような人間にとっては完全に昔話、「そういうことがあった」という話は知っていても、実際に聴いてみた聖飢魔IIの音楽は控えめに言っても高品質なヘヴィ・メタルで、好きになる理由はあれど、嫌いになる理由は見当たらず、『BURRN!』とは一切関係なくファンになりました(信者というほどのテンションではありませんでしたが…)。

この聖飢魔IIを表紙にする「前フリ」として、昨年末に広瀬編集長が聖飢魔IIの広島公演に登場し、正式に「0点」事件の謝罪をしたというニュースがネット上で報じられていました。

そして実際、こうして表紙を飾り、巻頭および巻末に及ぶ大特集となったわけですが。なぜこのタイミングだったのか、と考えると、この雑誌は基本、日本である程度の売上実績のあるアーティストを、ニュー・アルバムを出す、もしくは来日公演を行なうタイミングで表紙にすることでこれまで回してきたわけだが、いよいよそういうバンドのアルバム・リリースのペースが落ち、さらにこのコロナ禍で来日公演も行われなくなった結果「表紙にできるネタがなくなった」ための苦肉の策だったのではないかと思われます。

そのことは今月号のレビューで、クロスレビューされているアーティストがひとつもないことで裏付けられているといえるでしょう(当然ながらライブ・レポートも皆無ですし)。

皮肉にも、ほぼ同じタイミングでアレキシ・ライホ(元CHILDREN OF BODOM)が亡くなったことで、実際には聖飢魔IIと和解せずとも表紙に起用できるアーティストが出てきてしまったというのは、同誌にとっては色々な意味で残念な事実に違いない。

聖飢魔IIの大特集は全構成員(メンバー)がキャリアを総括するようなインタビューに答えており、今だからこそ言えるような話なども語られているので、信者(ファン)にとってはなかなか興味深い話かと思われます。

『THE OUTER MISSION』(1988)がほぼ全ての構成員にとってキャリアを代表する重要な作品として捉えられており、それ以外で印象に残っている作品として複数の構成員が『PONK!』(1994)や『NEWS』(1997)を挙げている点は、作り手側と聴き手側の意識の違いを端的に示す事実だなと思いました。

「1999年に解散する」ということがあらかじめ決められていたことに対する各構成員の意識の違いもなかなか興味深く、こういう意識や温度感の違いがバンド活動の難しさで、バンドによってはそれ自体が解散や分裂の原因になるんだろうな、などと思ったり。

そして実質もう一つの特集と言えるアレキシ・ライホの追悼特集もなかなか興味深い内容で、特に彼らのことを初期から知るフィンランド人ジャーナリスト、ティモ・イソアホ氏が語るCHILDREN OF BODOMのバンド・ヒストリーは、かなり裏事情的なことも語られていて、ファンであれば必読の内容になっています。

ただ、私が体験した名古屋公演のキャンセル事件について、"HATE CREW DEATHROLL"のツアーだったのに"FOLLOW THE REAPER"のツアーのこととして書かれていたりするので、内容的な信憑性についてはやや疑問があったりもするのですが(苦笑)。

日本盤がトイズファクトリーからリリースされていた、CHILDREN OF BODOMの初期の担当者である宮本哲行氏(現トゥルーパー・エンターテインメント代表)が語る初期のアレキシの素顔もなかなか興味深い話で、若いころのアレキシに「ワイルドチャイルド」という異名(自称)がイメージさせるようなロックンローラー的な印象はなく、酒の飲み方も普通で、純朴な北欧のメタル・ミュージシャンという感じだったという話はやや意外でした。

まあ、冷静に考えればロックンローラー気質な人があの若さであんなにギターが上手くなるはずもないのですが。

そしてイギリスやスウェーデンのミュージシャンは情に厚い人が多いが、アメリカやフィンランドのミュージシャンはビジネスライクな傾向、という話も個人的にはどの国の人とも交流の機会がないので関係ない話ながら、国民性に関する豆知識だなと思いました。

この聖飢魔IIとアレキシ追悼の2大特集の陰に隠れてしまった観はあるが、平野和祥氏による「ブルーズ・ロックのすすめ」なる企画も、ちょっと「お勉強」感は漂うものの、なかなか読み応えがあり、そういう意味で本号は近年の同誌の中ではかなり読み応えのある内容ではなかったかと思います。

もっとも、聖飢魔IIにもアレキシにも関心のない人にとっては「読む所がない」のかもしれませんし、Amazonのレビューを見ると絵に描いたような賛否両論になっていて、未だに『BURRN!』に「洋楽雑誌」であることを求めている、ある意味ピュアな人が現存しているんだな、とちょっと感銘を受けました(笑)。

蛇足ながら個人的に、この号に掲載されていたインタビューで印象に残ったのはTHERIONのクリストフェル・ユンソンの言葉で、「俺はもうヘヴィ・メタルの範疇に“オリジナリティ”があるとは信じていない。実際のところ、この10年か15年を振り返ってみても、音楽ジャンルとしてのヘヴィ・メタルが大きな進化を続けているとは思わない。(中略)メタル・シーン全体は停滞しているし、殆どのバンドは使い古したトリックを繰り返しているだけだ」という意見は、この『BURRN!』がこういう内容になっている理由を端的に表す、この号における隠れたハイライトなのではないかと思います。

そして「1990年代にはTHERIONはシンフォニック・ヘヴィ・メタルの革新者とみなされていたけれど、最近の俺たちはシンフォニックなメタルをプレイするバンドのひとつでしかない。(中略)だから最近は、自分たちだけのスタイルを磨いて完璧なものにする時期だと考え始めている。25年、30年と修練を積んだんだから」という発言は、アーティストというもののキャリアや存在感のあり方に関する、キャリアを切り開いてきた人ならではの含蓄のあるものだと思いましたし、これはアーティストだけに限らない、自分の人生についても考えさせられる話だと思いました。

長くなってしまいましたが、やはりこのブログとしてこの号については触れないわけにいきませんでした(笑)。

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『BURRN!』19年6月号の感想

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先日、Twitterをチェックしていたら「トレンドワード」(多くの人が話題にしているワード)に「BURRN!」というワードが上がってきました。

かれこれ10年近くTwitterやっていてこんなことは初めてです。

『BURRN!』も公式Twitterアカウントを持っていますが、まあ有効活用されているとは言い難いですし(編集部員の趣味を垂れ流すのは公式アカウントのオフィシャル感を損なうだけなのでマジでやめたほうがいいと思います)、「めたるったー」なる読者投稿企画も、一部の常連読者の承認欲求を満たすためだけに機能している印象しかありません。

てか、Web上に投稿されたテキストをわざわざ印刷物に起こすって、生産性ゼロどころかマイナスじゃないですか?

一部の役所とか古い企業では、Excelで表組みだけ作って、中に入れる数字は電卓で手計算して入力する、みたいなスーパー非効率な仕事をしているというホラーみたいな都市伝説を聞いたことがありますが、それに近いものを感じます。

話が逸れましたが、そんな『BURRN!』がTwitterのトレンドに上がるなんて「すわ、これはついに休刊か」と思ってタップしてみたら、なんのことはない(?)、B'zが表紙になります、というだけの話でした。

元々は洋楽誌というカテゴリーだった『BURRN!』ですが、『BURRN! JAPAN』が復活してからも普通に日本のバンドは載っているし、LOUDNESSにANTHEMと、日本人が表紙になる「布石」は着々と打っていたわけで。

それでもトレンドに上がってきたのは、単純にB'zファンが表紙になることに反応している(最近はB'zが表紙を飾れるようなJ-POP雑誌ってあまりないですからね。『WHATS' IN』とか『CDでーた』とかがご存命の時であればいざ知らず)のと、恐らくオールド・ファンや、狭量なメタル・ヘッズによるものと思われる『BURRN!』が彼らを表紙にすることに対するネガティブな意見がそれなりに盛り上がっていたからですね。

まあ、この雑誌の売上が低下していることは皆薄々感じているであろうこの状況でB'zを表紙にするというのは販売部数の減少に耐えかねてJ-POPアーティストの軍門に下って靴を舐めた、という風に映るであろうことは想像に難くなく、「この雑誌も終わった」と感じる人もいるだろうとは私も思いました。

特にB'zと言えば、批判的な人からは常にHR/HMアーティストの楽曲のパクリがあげつらわれる、「いわくつき」の存在だけに尚更。

私は彼らはパクっているわけではなく、オマージュであるという意見の持ち主であり、そのことはかつてこのブログでも書いたことがあります。

とはいえ、この雑誌を未だに買い続けているような熱心なHR/HMファンにとってB'z、ひいてはJ-POPというのは否定すべき存在であろうことは言うまでもなく(?)、この表紙によってそういうコア読者からの支持を失ってしまうのではないかという危惧が生まれたとしてもおかしくありません。

まして今でもこの雑誌を買い支えている人というのは、どちらかというとそういう「メタル純血主義」みたいな意識の強い人たちなのではないかと思われ、そういう読者に配慮してきたからこそ、この雑誌は保守的な誌面作りをしてきたのではないかと思っています。

それが、これまで一度も掲載したことのないB'zをいきなり表紙にする、というのはかなりの勇断。

これは、令和という新しい時代を迎えるに当たって、ついに編集方針を変更したのか、誌面刷新かと、ちょっと期待して買って読んでみました。

しかし、結果論から言うと、全体としては何も変わっていませんでした。ただ巻頭にB'zのインタビューがあるというだけ。

そのインタビューも、特にB'zのお二人が持っているであろうHR/HMなルーツの話に触れることもなく、新譜と今後のライブに関する当たり障りのないやり取りだけ。まあ、もしかするとそれ以外の話題に触れることはNG、みたいな条件でのインタビューだったのかもしれませんが。

インタビュアーは広瀬編集長ですが、B'zの旧譜を全然聴いていなくても(実際大して聴いていないと思いますが)できるような質問・話しかしておらず、恐らくB'zのファンにとっては物足りない、薄味な内容だったのではないかと思います。

インタビューの後に、メタル・ファンにオススメなB'zのアルバムや楽曲の紹介、音楽面におけるB'zとHR/HMの接点、みたいな記事でも付いていればまだしも、そういった工夫もなく。

B'zのインタビューの後に、彼らのファンにもなじみが深いであろうAEROSMITHのラスヴェガス公演のライブ・レポートという、特に今掲載する必然性のない記事を持ってきていることが言ってみれば「配慮」なのかもしれません。

せめて今回うっかり買ってしまうだろうB'zのファンの興味を引くような特集でも組んでいるならまだしも、特集はこの雑誌の35周年カウントダウン企画「編集長が語るBURRN!の35年間」って、もはや私くらいの年齢の読者の感覚的にはつい先日まで30周年企画を2年くらいに渡ってやってましたよね…? というウンザリ感に満ちたもの。

てか、編集長の思い出話なんて企画でもなんでもない代物が「特集」扱いって、作り手として色々と終わり過ぎなのでは…。

もし、B'zが表紙になったことに憤っているこの雑誌のコア読者(80年代組)の人たちを慮ってこういう懐古的な文章を特集にしたのだとしたら、他にできることがあったんじゃないかと思います。

こういういつもとは違う読者の獲得ができそうな表紙のタイミングでクロスレビューのトップにPOSSESSEDという、過去最高レベルにマイナーなバンドをピックアップしているあたりも、「攻めの姿勢」というよりは、天邪鬼にしか見えないのがこの雑誌の人徳のなさですね。

肝心のB'zはレビューしない、というのはアーティスト側の意向なのか、編集部の意向なのか。

実際、今月めぼしいアーティストのリリースがなく、過去最高級にネタがなかったためにこういう表紙になったのかもしれません。

個人的にはせっかく『Download Festival Japan』のレポートが載っているんだから、SLAYERにしておけばよかったんじゃないのという気もしますが、断られたのでしょうか(さすがにJUDAS PRIESTは2月号で表紙になったばかりなのでインターバル短すぎですし…)。

以前、編集長だったかそれ以外の編集部の誰だったか忘れましたが「読者からなぜ日本のこのバンドを『BURRN!』は扱わないんだ、という問い合わせをもらうことがあるが、バンドや事務所側から『BURRN!』では扱わないでくれ」と言われていることも多い」というような話をしていた記憶があります。

「ハードな音、ヘヴィな音は出しているがバンドのイメージとして古臭いHR/HMだと思われたくない」というアーティストもいるでしょうから、それは理解できなくもないですが、もしかするとB'zもかつてはそういうスタンスだったのかもしれません。

今この雑誌の大広告主である某レコード会社の社長はB'zとゆかりの深い人なので、その人が仲立ちをすることで今回の表紙とインタビューが実現したのかな、などと勝手に妄想していますが、これは結局誰が得したんだろう…という感じです。

近年とみにこの雑誌の表紙がベテランばかりなのは、結局CHILDREN OF BODOMやDRAGONFORCEを表紙にした号は売れ行きが悪かったから、ということなのだろうと思いますが、聞く所によると『ボヘミアン・ラプソディ』人気にあやかってQUEENを表紙にした1月号はいつもより売れ行きがよかったらしいので、やはり表紙の間口は広げるべきだ、と思ったのかもしれません。

ただ、この雑誌の場合QUEENやB'zにつられて買った、ジャンルとしてのHR/HMには興味がない人が、そのまま「面白い雑誌だな」と買い続けてくれることが期待できる内容ではないだけに、むしろ半ば惰性で買っている古参の固定読者に「買うのをやめる理由」を作るだけになってしまいそうな気がします。

まあ、もうこれ以上減りようがないだろう、という所まで固定読者も減っているのかもしれませんが。

あんまりクサしていても仕方がないので良かったと思う所にも触れておくと、GHOST、SAVAGE MESSIAH、MYRATH、BATTLE BEAST、HALESTORM、FROZEN CROWNといった比較的新しめの注目バンドはちゃんとカラーで扱っている、という所でしょうかね。

GHOSTなんかはもっと大きく扱ってもいいくらいだったんじゃないかと思いますが。

あと、『2』になってから初めてなんじゃないかというくらい超久しぶりに『ROCKOMANGA!2』でちょっと笑いました。『Download Festival Japan 2019』に行っていない人には笑えないかもしれませんが…(笑)。


▼終わり5年ほど欠けてますが、平成を振り返るのにピッタリな映像ですね。


▼アマゾンのレビューも、星1つと5つが拮抗する絵にかいたような賛否両論で面白い。

BURRN! ONLINEのスタートについて思うこと

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先月、3月の下旬に『BURRN! ONLINE』というサイトが始動しました。

『BURRN!』の公式Twitterアカウントおよび同誌編集者である前田岳彦氏のTwitterアカウントで告知されていたのは3月24日ですが、そもそもこのサイトは完全な新規サイトではなく、"METALLIZATION.JP"という、国内バンドを中心に扱うバンドとして数年前から存在していたサイトが、どういう経緯か『BURRN!』のオンライン版としてリニューアルしたもので、オープンから1ヶ月も経っていないにもかかわらず、それ以前からの記事がサイト内に存在しています(ただ、全てのアーカイブが残っているわけではない模様)。

以下のTwitterのタイムラインログを見ると、やはり3月20日から23日の間くらいにサイト移行が行なわれたようですね。

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『BURRN!』誌については、このインターネット全盛、雑誌冬の時代にオンライン版が存在しなかったことがむしろ不思議で、そのことが『BURRN!』誌の、引いてはメタルの若年層への浸透を妨げていると思っており、同誌と縁の深い某レコード会社の方に「"BURRN!"にWeb版を作ってもらってそこでプロモーションをするべきだ」と進言したこともあるのですが、その方は「うーん、あの雑誌は体質が古いからなあ…」と、難しそうな反応でした。

しかしこうして曲がりなりにも「WEB版」が登場したことは、やはり全盛期の1/3以下に部数が減少し、海外のメタル雑誌である"KERRANG!"にせよ"METAL HAMMER"にせよ、もはやWEB版が主戦場になっているという現実を踏まえての(苦渋の?)決断なのでしょう。

運営会社が『BURRN!』誌の発行元であるシンコーミュージックではなく、記事を書いているのも同誌の編集者ではないという事実は、単純に同誌の編集者にはWEBメディアを運営する余力もノウハウも(あるいは意欲も)ないということを意味していると思われます。

ただ、同誌編集者である前田氏の下記ツイートを見る限り、今後は同誌の編集者たちもこのサイトでライター的に記事を書くことになる模様。




個人的な予測では広瀬編集長が定年になったら雑誌としての『BURRN!』は終焉を迎えるのだろうと思っているので、残された編集者たちはいずれここで記事を書くことをメインにしつつ、ライター的な存在になっていくのかもしれません。

まあ、まだ始まったばかりなのでこのサイトの評価はできないのですが、『BURRN!』誌の価値というのはほぼ全てのHR/HM国内盤がレビューされ、国内で行なわれる来日公演のほぼ全てがレポートされ、国内盤がリリースされるアーティストの大半のインタビューを取ることができるという「網羅性」にあり、このサイトがどこまでそういう情報量を備えることができるかが注目されます。

海外アーティストにも周知されている『BURRN!』のブランド名によって、それこそMETALLICAとかIRON MAIDENクラスのバンドの独自インタビューを取れるようになるとしたら、日本最強のHR/HMメディアになることでしょう。

ただこれが、本誌では掲載できないような趣味的な記事が垂れ流されるだけの場になるようであれば『BURRN!』の名を冠する意味はなく、頼むから「LAメタルの真実」みたいな記事とか嬢メタルのプッシュ記事ばかりが掲載される場にするのはやめてくれ、と願うばかりです。

個人的には、そこは有料コンテンツになってもいいので、『BURRN!』創刊号以来の全レビューと全ライブレポート、全インタビュー記事をWEBアーカイブ化してくれると、このサイトの価値は爆上がりだと思うんですけどね。

そうすると現在大御所になっているアーティストや名盤認定されているアルバムを低評価していたこと(あるいはその逆)があらためて掘り返されて批判を浴びるリスクはありますが、それはそれで話題になるだけ御の字なんじゃないでしょうか。粗探しのために課金させるという、アンチからお金を吸い上げるビジネスモデルができると思います(笑)。

いずれにせよ、日本には「オフィシャル感」のあるHR/HMサイトというのはこれまでほとんど存在しなかったので、そういうサイトがこうして出来上がったことについては素直に喜び、今後に期待していきたいと思います。

BURRN! ONLINE

93点三連荘

本日5月7日は『BURRN!』の発売日でした。

このブログで感想こそ書かなくなりましたが、今でもちゃんと買ってます。

もはやレビューのページを(どれを買うかの)チェックリスト的に使うばかりですが…。

そして今月、レビューで93点という高得点を獲得したアルバムが3枚あります。

クロスレビューされるような大御所のアルバムに90点オーバーの点数がつくのは、きっと色々と大人の事情があることでしょう、と忖度し、心の中でマイナス15点して読むようにしていました。

しかし、クロスレビュー・タイトルではないアルバムの90点超えは、少なくともレビュー担当者的に思い入れなり琴線に触れるものがあると受け止め、「外された」ことも多いとはいえ、注意を払うようにしています。

(ただし、私は性格が悪いので、男性編集者の嬢メタル・バンドへの高得点はキャバ嬢に指名を入れるような感覚で行われているに違いないと邪推していますが/笑)

しかし今回の93点は全て女性編集者である大野氏によるもの。

以下、大野氏が93点をつけた3アーティストです(アルファベット順)。

BAD WOLVES "DISOBEY"
カリフォルニア出身、元DIVINE HERESYのVo、元GOD FORBIDのG、元IN THIS MOMENTのB、元DEVILDRIVERのDrといったキャリアのあるメンバーが集ったニュー・バンドのデビュー・アルバム。




FIVE FINGER DEATH PUNCH "AND JUSTICE FOR NONE"
ここ3作連続で全米2位を記録している、今最もアメリカで人気があるヘヴィ・メタル・バンドのひとつ。この曲はパンク・バンドであるTHE OFFSPRINGのカヴァーですが、彼ららしさは出ていると思います。



SHINEDOWN "ATTENTION ATTENTION"
LOUD PARK 15に出演し、観た人からはかなり好評を博していたフロリダ出身のポスト・グランジ/オルタナティブ・メタル・バンドのコンセプト・アルバムとなる新作。直近3作はいずれも全米TOP10入りの人気バンド。



このサイト/ブログでもアーティストの作品に100点満点制の採点方法を採用していて、「81点と82点に差なんてあるのかよ」などと言われたこともありましたが、実際のところ、採点する側には感覚的ながら意外と明確な意識の差があります。

大野氏がこれら3作全てに93点をつけたのが何か意図的なアピールなのか、それとも「たまたま同じ点数になった」のかはわかりませんが、いずれにせよこれらのアルバムをプッシュしたいという意志があったことは確実と思われます。

思うに、大野氏は編集部最年長ながら、編集長になることはない(と思われる)立ち位置の人なので、あえてこの雑誌における「乱数」となることを自らに任じているのかもしれませんね。編集部内オルタナティブというか。

かつて80年代末には、玄人筋からは受けが悪かった「ジャーマン・メタル」を持ち上げたり、90年代には旧態依然としたHR/HMの枠には収まらない存在だったTHE WILDHEARTSへの偏愛をアピールしたりとか、この雑誌が「王道」とするHR/HMからはちょっと外れたものをプッシュすることが多かったのも、いささか権威主義的な傾向のあるこの雑誌にダイバーシティをもたらすことが自分の役目である、という使命感のもとにやっているのではないかと思っています(もちろん、実際にその音楽が好きであることも嘘ではないのでしょうけど)。

まあ、考えすぎかもしれませんが(笑)。

いずれにせよ、これまで25年くらいこの雑誌を読んでいて、大野氏がいなかったらスルーしていたであろう音楽というのは結構あります。そういう意味で、彼女のスタンドプレー的な文章にはある程度意味があるのではないかと思います。

と言いつつ、『BURRN!』編集部の中で自分とストライクゾーンが一番近いのは広瀬編集長なんだろうな、と感じる保守的な私です。


BURRN! 17年4月号メモ

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一昨年昨年と、この雑誌の感想を書くことはやめていましたが、記録用に読者人気投票の結果だけは残しておこうとメモっていました。

もはや総投票数を聞いたら相当お寒いことになりそうなこの投票にどれだけの価値があるかわかりませんが、それでも日本において一定以上の人数によって選ばれたHR/HMに関する年間ランキングってこれだけだと思いますしね。

というわけで読者人気投票の結果は以下の通り。

ベスト・グループ:IRON MAIDEN
ベスト・ヴォーカリスト:ブルース・ディッキンソン(IRON MAIDEN)
ベスト・ギタリスト:マイケル・シェンカー(MICHAEL SCHENKER'S TEMPLE OF ROCK)
ベスト・ベーシスト:スティーブ・ハリス(IRON MAIDEN)
ベスト・ドラマー:ミッキー・ディー(SCORPIONS)
ベスト・キーボーディスト:イェンス・ヨハンソン(STRATOVARIUS/CAIN'S OFFERING/RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW)
ブライテスト・ホープ:SONS OF TEXAS
シャイニング・スター:ニッキー・シックス(SIX:A.M.)
ソングライター:JAMES HETFIELD/LARS ULRICH(METALLICA)
ライブ・パフォーマンス:IRON MAIDEN
ベスト・アルバム:METALLICA「HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT」
ベスト・チューン:METALLICA「Hardwired」
アルバム・カヴァー:MEGADETH「DYSTOPIA」
DVD/Blu-ray:MOTLEY CRUE「THE END」

予想通り、ベスト・アルバムはMETALLICAとMEGADETHのワン・ツー・フィニッシュでした。

というかあらゆる部門が予想通り過ぎてなんというか。
編集部員が推しているBE THE WOLFとか嬢メタル・バンドがちょいちょいランクインしているあたりも含めて、もはや(ある程度投票を参照しつつ)編集部で補正(捏造?)しているのではと疑いたくなるレベルです(笑)。

ベスト・グループは昨年は新作、今年は来日公演ということでIRON MAIDENが連覇ですし、プレイヤー部門も半分以上昨年と同じ。

マイケル・シェンカーが「MICHAEL SCHENKER FEST」というイベントの効果か、意外にも初の(彼の人気絶頂期にはまだ『BURRN!』が創刊されていなかったため)ベスト・ギタリストに選ばれているが、まあ「今さら?」って観は否めず。

ベスト・アルバムの1位から5位がMETALLICA、MEGADETH、DIZZY MIZZ LIZZY、BON JOVI、DREAM THEATERという恐ろしいほどの保守性もさることながら、ベスト・チューンのうち3曲がMETALLICA、2曲がBON JOVI、2曲がDIZZY MIZZ LIZZYということで、実質6アーティストの曲しか選ばれていないというあたり、これに投票している人たちが一体昨年何枚の新譜を聴いているのか知るのがちょっと怖いです(苦笑)。

せめて1部門で複数候補を選べるようにしないと多様性が確保できない投票者数になっているのではないでしょうか。

ただDIZZY MIZZ LIZZYに関しては大健闘ですね。そんなにこの雑誌の読者好みのサウンドだとは思えないのですが、とりあえずLOUD PARKでのパフォーマンスは私も良かったと思いますし、新譜も何しろ20年ぶり(!)ですし、ファンとしては「ここで投票せずにいつ投票するのだ」という気分だったことでしょう。

記事自体は正直流し読みしかしてないのですが、先月号(METALLICA韓国公演のレポート)に続き、GUNS N' ROSESの来日公演のレポートで、サポート・アクトとして出演したBABYMETALのライブ・レポートが一応ちゃんと掲載されている(そして上記の読者投票にもアルバム部門で『METAL RESISTANCE』が、DVD/Blu-ray部門で『LIVE AT WEMBLEY』がランクインしている)のが、この雑誌なりに時代に「譲歩」したのかな、と(笑)。

昨年に続き、X JAPANネタ(映画『WE ARE X』)がニュース欄で取り上げられているのも、この雑誌の一種の「軟化」を表しているのかもしれません。

とはいえ、この雑誌についてはもはやIRON MAIDENをベスト・グループに選び、METALLICAやBON JOVIのアルバムに最高傑作だとは思っていなくても票を投じるような人たちと心中するしかないんだろうなあ、って気がしますけどね。

とりあえず今月レビューされているアルバムで私が購入予定(あるいは既に購入済み)なのはANCESTRAL DAWNとGYZEとONE DESIREの3枚です。