BRAINSTORM / DOWNBURST

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30歳になっても自分の好きなタイプのメタルがBURRN!誌で90点以上を獲得すると買わずにはいられない学習能力のないヤツは、どこのどいつだーい?

…あたしだよっ!



…すんません、普通にレビューします。

ドイツの中堅メタル・バンド(近作は本国のチャートで70位台まで上昇しているようだ)の、BURRN!誌で90点を獲得した7作目のアルバム。

基本的な音楽性はこれまでと変化なく、絵に描いたような正統派パワー・メタルを貫いている。

骨太なパワー・メタルでありながら本作では決してパワーやスピード一辺倒ではないフックを備えた楽曲が揃っていることが高評価のポイントか。

痛みと悲しみに満ちた歌詞に相応しく、力強いサウンドの中にメランコリーと哀愁が漂っているのも良い。

KAMELOTやRHAPSODYを手掛けるサシャ・ピート&ミロのプロデュースならではのシンフォニックなアレンジが、控えめながら楽曲を効果的に引き立てている。

興味深いのがボーナス・トラックで、#11はSTATIC-Xなどを思わせるモダンかつグルーヴィなヘヴィ・ロック・チューンなのに対し、#12はそれまでのアルバムの流れからすると冗談かと思うほどドイツのバンドらしいメロディック・スピード・メタル・チューンであるなど、意外な振り幅の大きさを見せてくれる。

そして#13はハンガリーのシングル・チャートで1位を獲得した(!)という本作のリーダー・トラック#2のインダストリアル・リミックスで、メタルが市民権を確立した国ではこういうオールド・ファッションなバンドでもこんなことができるのね…と妙な感慨を覚えてしまった。

正直日本人にはちょっと愛嬌が足りないサウンドかもしれないが、こういう硬派なメタルが受け入れられる国っていうのが真の意味で「メタルが盛んな国」なのだと思う。【83点】
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VINDICTIV / VINDICTIV

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学生コンパのノリで「北欧メタルファン、ちゅうもーく!」と言いたくなるメンツのアルバム。
いや最近高田馬場で飲んだら我が母校の後輩と思しき学生たちが相も変わらず「学生ちゅうもーく!」とやっていたのでなんとなく懐かしくて。

このVINDICTIVはスウェーデン人ギタリストのシュテファン・リンドホルムを中心としたプロジェクトで、DrはALIENでのプレイ経験があるミカエル・ヴィクマン、Bは再結成TREATのベーシストであるナーレ・ポールソン、そしてVoはMr.北欧ヴォイス、ヨラン・エドマン(元MADISON~JOHN NORUM~YNGWIE MALMSTEEN~GLORY他)。

もうこの名前を目にした瞬間にMADISON+TREAT+ALIENという北欧メタルの理想郷サウンドを妄想ですよ。あ、一応というか当然Keyもいます(笑)。北欧メタルの必須アイテムですからね。

で、実際の所は…ちょっと微妙(苦笑)。いや、サウンドのタッチは透明感のある100%北欧メタルで、その点について裏切りはないんですよ?

ただ、ネオ・クラシカル様式美というよりは、ややフュージョン寄りのプログレ・ハードといった感じの楽曲群にちょっとキャッチーさが足りないというか、サビが盛り上がりに欠けるんですよね…。

多分、「実は洗練されたポップ・シンガー」ヨラン・エドマン先生に歌メロを書かせてしまったのではないかと(苦笑)。

いや、決してつまらないわけではなく、聴き込むと味わいの増すスルメな音楽性なのですが、個人的には北欧メタルにはもっと哀愁バリバリのクサいメロディを期待してたりして(ただ、もしこのプロジェクトがコテコテの北欧メタルだったら、逆にヨランは参加しなかったのではないかと思う)。

ヨラン先生のテクニカルで表情豊かな歌唱は冴え渡っているので、彼のファンとしてはそれなりの満足感はあるんですけどね。この人はブルース・ディッキンソン(IRON MAIDEN)同様、年齢を重ねて衰えるどころかむしろ「パワフルに聴かせる技術」に磨きをかけている気がします。

一応本作の主役、シュテファン・リンドホルムのギターについても触れておくと、これがビックリするほどイングヴェイで、楽曲の随所で必ずしも必要とは思えない速弾きを炸裂させている。

そう言うと時代遅れのエゴ丸出しギタリストに聞こえるかもしれませんが、速さはともかく、トーンやタッチの面においてここまでイングヴェイに肉薄したプレイヤーって実は結構稀かも。ただ、フレージングに泣きはあまり強くなくて、そういう意味でも北欧メタル的な満足度は高くない。【78点】


BFMV/SCREAM AIM FIRE のレビュー

ブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインのニュー・アルバム「スクリーム・エイム・ファイア」のレビューを本サイトにUPしました

あんまりゴリゴリしてなくて曲も適度にキャッチーだし、ヴォーカルもイケメンだし、バンド名やロゴデザインもカッコいいし、という優等生ぶりで一般受けが良さそうなバンドなので、売れそうですね…というと何故か褒めてるように聞こえないかもしれませんが、実際聴きやすくて結構気に入ってます。こういうバンドにこそ入門用メタル・バンドとして期待がかかりますね。

特にこのバンドに関してはエモ/スクリーモのファンや、LOST PROPHETSあたりのファンにも訴える力があると思うので、ある意味TRIVIUMなんかより間口は広いと思われます。

その手の音楽のファンの感性というのは、比較的メタル系の音楽に対しても親和性が高く、イメージの壁さえ乗り越えられれば、いい同胞になってくれるような気がしています(実際私もスクリーモやLOST PROPHETSはどちらかといえば好きなタイプのサウンドだし)。

ヴォーカルの声質は、私のようなメタル耳の持ち主にはナヨっちく聞こえますが、おそらく前述のような系統の音楽ファンにはむしろ親しみやすいものでしょう。

ちなみに日本盤の解説は有島博志氏なのですが、90年代、HR/HMの人気が廃れるとサクッとオルタナ系ヘヴィ・ロックに鞍替えした彼が「メタルという音楽がとてもホットでカッコいいものだということを、これまで以上に多くの若年ロック/メタル層に広め、浸透させていく、原動力的作品になることは間違いない」などと述べていることに失笑。

ま、この人はきっと風見鶏ライターとして生きていく覚悟(?)なんでしょうから、彼の再度の「改宗」はある意味メタルが「来てる」ことのバロメータになっていいかもしれませんw
悪意のない揶揄として言わせてもらえば、彼の節操のなさはある意味ロックだ(笑)。

しかし今週は結構欲しいアルバムのリリースが集中していたので、なかなか全ての作品を聴き込む時間が取れません。
今週は他にトビアス・サメットのAVANTASIAや、BRAINSTORMの新譜、VINDICTIVのアルバムなどを購入したので、聴き込み次第レビューをUPしていこうと思います。

GRIM REAPER / ROCK YOU TO HELL

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LIONSHEARTについての記事を書いたので、スティーブ・グリメットつながりでGRIM REAPERについても書いてしまおう。

このGRIM REAPERはいわゆるNWOBHMの流れから出てきたバンドで、音楽的にもNWOBHM王道の、ちょっと悪魔的なイメージを打ち出した、正統派のHMバンドだ。

デビューは83年と、NWOBHMの中では後発組に当たるが、逆に当時アメリカでHMが盛り上がっていた時期だったため、マネージャーの手腕にも恵まれ、デビュー・アルバムがなんとNWOBHMのバンドとしては異例のビルボードTOP100入り(最高53位)を記録した。

本作は87年に発表された3枚目のアルバムで、メジャーの「RCA」からOZZY OSBOURNEやMEGADETHを手掛けた大御所、マックス・ノーマンのプロデュースでリリースされている。

基本的な音楽性は前2作と同じ正統派のヘヴィ・メタルだが、メジャー移籍効果で音質がグッと向上、メロディもよりキャッチーになり、聴きやすくなっている。

1曲目のタイトル曲から高品質のナンバーが並ぶが、#4のようなクサい曲もあり、メロディック・パワー・メタルを好むファンにも受け入れられやすいのではないだろうか。

スティーブ・グリメットの艶とハリのある歌唱が楽曲のちょっと凡庸な部分も覆い隠してしまうほど素晴らしく、個人的には非常に気に入っているアルバムである。

ちなみに本作に伴うアメリカ・ツアーのサポートは当時「KEEPER OF THE SEVEN KEYS PART 1」を発表して上り調子にあったドイツのHELLOWEENと、LAメタル・ムーヴメントの真っ只中にあって正統派HMとして気を吐き、後にANTHRAXに加入するジョン・ブッシュ(Vo)を擁したARMARED SAINTだった…というと当時このバンドが現在では想像がつかないほどビッグだったということがご理解いただけるのではないでしょうか。【85点】

LIONSHEART / LIONSHEART

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先日のONSLAUGHTのレビューで名前を出したので、ついでと言ってはなんだがこちらの作品も紹介しよう。邦題は「獅子の咆哮」。

このLIONSHEARTは元GRIM REAPER~ONSLAUGHTの巨漢(というかデブ)シンガー、スティーブ・グリメットが結成した正統派ブリティッシュ・ハード・ロック・バンドで、本作は93年に発表されたデビュー・アルバム。

当時この手の音楽に対して盲目的とさえ言っていいほど甘い酒井康氏が編集長を務めていたBURRN!で、新人バンドとしては異例のトップでのクロスレビュー&高得点を獲得したため、この時期にHR/HMのファンであった人ならかなり記憶に残っているバンド、アルバムである。

音楽は先述したように正統派ブリティッシュ・ハードで、全体として一番近いバンドは初期のWHITESNAKEであろう。ただ、日本でウケが良かったのはブルージーなそれっぽい曲ではなく、キャッチーな名曲#5「Can’t Believe」、ドラマティックな#6「Portrait」、イングヴェイの曲かとさえ思わせる疾走チューンの#7「Living In A Fantasy」という、このバンドとしては恐らく例外的に様式美色の強い楽曲であった。

これらの楽曲を産み出したギタリストのマーク・オウアーズ(G)は、イギリス人には珍しいハイテク型のプレイヤーで、正直本作の大半を占めるブルージーな楽曲群においてはやや「弾き過ぎ」気味なプレイとメタリックなトーンで楽曲をぶち壊していたりもするのだが、先述の様式色の強い楽曲においては強い輝きを放っていた。

しかし、本作発表後、ツアーに出ることなく脱退、兄のスティーブ・オウアーズ(B)もそれに続いた。

スティーヴ・グリメットはマークの脱退について、本人の精神面の弱さの問題と説明していたが、後年のBURRN!誌のインタビューで「後から入ってきたスティーヴが中心人物のように振舞ったことによる人間関係の問題」だったことが理由だったと明らかにされた。

本作はBURRN!誌および伊藤政則氏の強いプッシュによって日本ではかなりのヒットを記録(当時実家で取っていた読売新聞紙上のCDセールスランキングで、なんと本作が7位を記録、キャリアのないハード・ロック・バンドとしては異例の3万枚を売り上げたという記事が載っていた)、当然来日公演が行なわれた。

しかし、マーク・オウアーズの後任として加入したニック・バー(G:元KILLERS)が全くマークのハイテク・フレーズを再現できず演奏はボロボロ、スティーブ・グリメットもカンニングペーパーに頼りっきりという情けないパフォーマンスで一気に評判を落としてしまった。

普通来日公演というのはファンを増やす効果をもたらすものだが、このバンドについては逆効果で、次作が基本的な音楽性や楽曲の平均点においては本作と大差ないものを呈示したにもかかわらずセールス不振に陥る一因(主因はあくまで様式色のある楽曲が消滅したことだと思う)になってしまった。

そしてバンドは次第にフェイドアウトしていくわけだが、本作に関しては今聴いてもスティーブの艶のあるパワフルな歌唱は素晴らしく、私も先に挙げた様式色の濃い楽曲ばかり好んで聴いていたクチだが、楽曲も全体的に良くできている。

現在は廃盤だが、当時よく売れただけあって中古盤屋にはかなり安く転がっていることが多いので興味のある方はどうぞ。#5「Can’t Believe」(マジで90年代以降最高のブリティッシュ・ハード・ロック・チューンだと思う)だけでもモト取れると思いまっせ!