GALNERYUS / BEGINNING OF THE RESURRECTION -Digital EP-

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6月23日発売予定の、小野正利を含む新ラインナップによる初めてのフル・アルバム「RESURRECTION」に先駆けて、配信限定でリリースされる3曲入り先行EP。

前作からのシングル「Shining Moments」も配信オンリーでしたが、きっとこのクラスのアルバム・オリエンテッドなアーティストだと、もはやシングルに関してはCDをプレスしていたら利益が出ないんでしょうね。淋しい世の中です。

1曲目「Destiny(MV MIX)」は小野正利のハイトーンが存分にフィーチュアされたメロディック・パワー・メタル・チューンで、随所にテクニカルなプレイが詰め込まれ、間奏などはプログレ・メタルさながらにスリリングという、「歌がめちゃくちゃキャッチーで、演奏パートがめちゃくちゃ充実している」というSyu(G)がGALNERYUSの音楽を説明するときに使用する表現そのままの曲。

新生GALNERYUSのポテンシャルを証明するに充分な密度の濃い曲で、ここ2作ほどの彼らのアルバムが気に入っている向きにとってはたまらない一曲だろう。

2曲目は小野正利の加入を知ったときから絶対やるだろうと思っていた小野正利の代表曲「You're The Only...」のカバーで、「You're The Only...2010」。
ギターのフィーチュア度が上がり、間奏も長くなっているが、思いのほかオリジナルに忠実なアレンジ。

かつてミリオンセラーを記録し、紅白歌合戦でも歌われた大ヒット曲だけに、私のようなアラサー世代以上の人間にとっては「嫌でも耳に入ってきた」レベルの曲なので、私などには良いとか悪いとか言う以前に、「懐かしい」という感情が先立つ。

ただ、オリジナルを知らないような若いメタル・ファンにとってどう響くのかにはちょっと興味があるな。
やはり単なるJ-POPに聴こえてしまうのか、良質のパワー・バラードとして響くのか。

3曲目は日本テレビ系アニメ『RAINBOW -二舎六房の七人-』エンディング・テーマとして使用されている「A Far-Off Distance (RAINBOW MIX)」。

アニメの内容を知らないので作品に合っているのかどうかはわからないが、バラード系の明るめな曲で、キャッチーといえばキャッチーだが、正直メタル・ファンにはヌルい。

アニメ・ファンとメロディック・パワー・メタルは相性がいいと言われるし、実際たまにアニソンで私の耳を引くような哀愁のある楽曲を耳にすることもあるので、もっとGALNERYUSらしい曲をぶつけても受け容れられるような気がするんですけどね。

それぞれの楽曲がそれぞれ異なる意味でシングルとして成立する豪華なEPで、だからこそあまり好きではないダウンロード購入をしたわけですが、個人的な満足度としてはちょっと微妙かな。

ま、とりあえずアルバムに期待、ということで。

◆GALNERYUS公式サイト
http://galneryusyumacher.com/
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WICKED SENSATION / REFLECTED (2002)

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今回AVANTASIAのレビューに合わせて、恐らくAVANTASIAのインスピレーションになったと思しき、ゲスト歌手満載のロック・オペラ・プロジェクトAYREONのレビューも本サイトに掲載してみたので(と言っても、私が聴いていたビクター在籍時のアルバムまでですが…)、それに便乗したレビューをこのブログに書いてみます。

そういう意味で、大げさに言えば前エントリーのTHE SNAKESのレビューとの連動企画であるとお考えください。

本作はオランダのハード・ロック・バンドが2002年に発表したデビュー作。

ヴォーカルはAYREONのアルバムに参加していたロバート・ズーターブックで、本作のソングライティングや、ヴォーカルの録音にもAYREONの中心人物であるアルイエン・アンソニー・ルカッセンが関わっている。

音楽性はこの時期には珍しい80年代に「アリーナ向け」などと言われたようなメジャー感あるハード・ロックで、恐らく聴いた人の大半が後期のアメリカで成功していた時期のWHITESNAKEを想起するだろう。

サウンド全体のきらびやかな雰囲気もさることながら、ロバートの歌唱がこれまたビックリするほどデイヴィッド・カヴァデールに似ており、そのそっくりさんぶりはTHE SNAKESにおけるヨルン・ランデをさえ凌駕するのではないかと思われるほど。

オランダ人のほか、ドイツ人やタイ人(ギタリストの片割れ)を含む国際色豊かな他のメンバーの演奏力も確かで、サウンド・プロダクションも含め、欧州インディーとは思えない非常にメジャー感のあるサウンドである。

ただ、楽曲はそれなりによく出来ているものの、やはりというかWHITESNAKEほどのインパクトには欠け、やや優等生的な印象を受けてしまうのも事実。

そういう意味で、デニス・ワードによるミックスのせいもあるのか、最近のPINK CREAM 69に非常に近いものを感じる。

逆に私は本作を聴いてあらためてPC69は後期のWHITESNAKEに通じる雰囲気があるな、ということに気付かされたのだが、良質ながら今ひとつ突き抜けるもののない楽曲が惜しい一枚。

完成度の高さだけで言えば話題になってもおかしくないクオリティだったが、メロディアス・ハードのレーベルとしてマニアに知られていた「MTM」のプロダクトとしては、日本人好みの叙情性に欠けていたためか、さして話題にならなかった。

次作ではVoが元VICTORYのフェルナンド・ガルシアに交代してしまったため、本作の最大の聴き所である(?)ロバート・ズーターブックのデビカバそっくりさん歌唱が聴けないのが残念。

デイヴィッド・カヴァデールのファンであれば一聴の価値あり。【80点】


THE SNAKES / ONCE BITTEN... (1998)

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本サイトでレビューを掲載したAVANTASIAの新作「THE WICKED SYMPHONY」、「ANGEL OF BABYLON」でも、「主役」であるトビアス・サメットに次ぐ登場頻度でその強力な歌声を響かせているヨルン・ランデ。

現在でこそMASTERPLANをはじめとする数々のプロジェクトによってシーン屈指の実力の持ち主として欧州HR/HMファンに広く知られる彼だが、彼が元TNTのギタリストであったロニー・ル・テクロの新バンドVAGABONDのヴォーカリストとして登場した時点ではさほど注目される存在ではなかった。

それはまだ彼自身が発展途上だったことや、VAGABONDの楽曲が彼の個性を生かすものではなかったこと、そして何よりVABABOND自体があまり売れなかったことが原因と思われるが、ロニー・ル・テクロは「BURRN!」誌のインタビューの中で「彼は本当に凄い才能の持ち主なんだ。僕がヘテロでなければ彼と結婚したいぐらいさ!」という彼らしい悪趣味すれすれのユーモアのセンスをもって絶賛していた記憶があり、それを考えると当時からそのポテンシャルはズバ抜けていたのだろう。

そんな彼が一躍日本での知名度を上げるきっかけになったのが98年発表のこのアルバム。

初期WHITESNAKEのギタリストとして知られるミッキー・ムーディとバーニー・マースデンが(なぜか)ノルウェーで結成したバンドのデビュー作。

バンド名から察しがつく通り、本作で聴ける音楽性はまんま初期のWHITESNAKEで、「懐かしい」と感じるか苦笑してしまうかはその人の感覚次第だと思うが、個人的にはこれくらいのクオリティが備わっていれば、初期WSのファンであればつい心躍らせてしまうのではないかと思う。

冒頭を飾る「Labour Of Love」からして、WHITESNAKEで発表したとしても名曲と呼ばれること確実のカッコいいブルージーなハード・ロック・チューンで、その他の楽曲も確信犯的に古巣の楽曲を思わせつつ、クオリティの高い楽曲を揃えてきている。

しかし何より衝撃的だったのは、本作では「ジョニー・ランダ」と英語風の表記をされているヨルン・ランデの歌唱で、そのデイヴィッド・カヴァデールにそっくりのパワフルかつソウルフルな歌声は、黙って聞かされれば「本人?」と思ってしまう人も多いだろう。

そのそっくりさんぶりは、DEEP PURPLEファミリーマニアとして知られる「BURRN!」誌の広瀬編集長をして、「本作をデイヴィッド・カヴァデールにもし聴かせたら『はて、これはいつレコーディングしたんだろう? 思い出せない…』とでも言うに違いない」と言わしめるほどだった。

それほどの出来にも関わらず、当時世界的にこの手の音楽はサッパリだったため、本作は日本だけでリリースされているというのが実にもったいない話。

ちなみにBとDrもノルウェー人で、プロデュースはロニー・ル・テクロ。そういう意味では北欧産だが、北欧というよりはまさにブリティッシュ・ハード・ロックで、初期WHITESNAKEのファンの方にはぜひ聴いていただきたい一枚。【83点】


TOBIAS SAMMET's AVANTASIA 「THE WICKED SYMPHONY」「ANGEL OF BABYLON」のチャート成績

トビアス・サメッツ・アヴァンタジアの2枚同時発売の新作、「THE WICKED SYMPHONY」「ANGEL OF BABYLON」の各国におけるチャート・アクションは以下の通り。

ドイツ:2位
ハンガリー:5位
チェコ:6位
スイス:7位
スロベニア:7位
オーストリア:9位
フィンランド:18位
ノルウェー22位
スペイン:32位
フランス:74位

前作「THE SCARECROW」は本国ドイツで8位、EDGUYのドイツでの最高位も「ROCKET RIDE」の8位だから、自己最高記録を更新しましたね。

しかもチャート・インしているのはバラ売りされているアルバムではなく、2枚をパッケージした豪華ブックレット入りボックス仕様(↓の写真参照)だというから、この人気は本物でしょう。

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いや、実際どちらも素晴らしい作品です。昨年リリースされていたら間違いなくベスト・アルバムの1、2位に選出していましたね。

多忙につきレビューはまだできていませんが、もうじき…。

◆ニュースソース
http://www.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=138628


※引退表明で話題のSCORPIONSのクラウス・マイネ(Vo)との共演ソング↓もチャート好調に一役買ってるのでしょうか?



HUMMINGBIRD / HUMMINGBIRD

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日本のメロディック・パワー・メタル・バンドのファースト・アルバム。

バンドといっても、実質的にはVo&Gで、全曲の作詞作曲を手掛ける山崎泰央のソロ・プロジェクトである。

山崎氏は日本を代表するプログレッシヴ・メタル・バンド、VIGILANTEのギタリストである大本浩史のレッスン生で、その縁から本作のプロデュースはその大本が担当し、リズム隊はVIGILANTEのメンバーである海野真(B)と藤野隼司(Dr)が務めている。

プロフィールによると、山崎氏がギターに目覚めたきっかけは16歳のときに聴いたVAN HALENの「Eruption」だったという古式ゆかしいものだが(と言ってもリアルタイムの話ではなく、「BEST OF Volume1」で聴いたということだから1996年以降の話だろう)、本作で聴ける音楽性は冒頭に記した通りいわゆるメロディック・パワー・メタルにカテゴライズされるものである。

とはいえ、Keyがキラキラしてたりシンフォニックだったりというモダンなタイプではなく、割とオーソドックスなギター・リフを中心にした正統派寄りというか、ひと昔前の「ジャーマン・メタル」を思わせるサウンドだ。

全曲日本語詞であることもあって、いわゆる「ジャパメタ」の雰囲気も漂っている…のは日本人なのだからある意味当然か。

勢いのあるパワー・メタル・チューンを中心に、ヴァイオリンを取り入れた8分に及ぶ大作や、スラッシーなヘヴィ・リフに一部デス声を取り入れた楽曲(これはあまり様になっているとは言いがたいが…)まで、意欲的な楽曲にもトライしている。

全体的に楽曲がやや未整理で冗長な印象があり、アルバムを通して聴くとややダレるが、バンド名を冠した#2を筆頭に個々の楽曲はそれなりによくできているし、耳に残るメロディも多い。

日本のメタルにおいてネックとなりがちなヴォーカルに関してはやはり微妙だが、「副業」だと考えればかなり健闘しており、これくらい歌えれば下手な専任Voを迎えるより自分で歌いたくなるのも無理はないかな、という感じ。

HURRY SCUARYの南安秀を思わせる声質自体は、個人的には好きな部類です。

ただ、一語一語を丁寧に歌い過ぎて「ロックらしさ」を損なっている観があるので、次作ではもっとリラックスして歌ってもいいのではないかという気もしました。

サウンド・プロダクションは奥行きに欠けるものの、自主制作であることを考えれば悪くない方で、この辺は低予算でのレコーディング経験豊かな(?)VIGILANTEのメンバーをプロデュースに迎えた効果といえるかも。

ただ、実は一番VIGILANTE人脈効果を感じたのはリズム隊で、強力なリズム・セクションがサウンドを引き締め、アルバムの完成度を1ランク上げていると思います。
やっぱり普段プログレをやってる人にとってはこういうストレートなメタルはお茶の子さいさい、って感じなんでしょうかね。

良くも悪しくも「イマっぽい」音ではないが、リリースの形態も今時珍しい典型的な「自主制作」の形をとっており、ヴィジュアル系のブレイク以降一般的になった「インディーズ」とも毛色が違い、最近メタル・ファンにも知られるようになってきた「同人音楽」とも無縁という、良く言えば地に足のついた、悪く言えば不器用な売り方をしている(情況・資質的にそうせざるを得なかった、ということだと思いますが)。

そういった売り方から、歌詞、そしてもちろん音楽まで、この人は本当にピュアなHR/HMが好きで、自分の好きな音楽に真面目に取り組んでいるんだな、という印象を受ける、好感度の高い作品。

◆HUMMINGBIRDのMySpace
http://www.myspace.com/hummingbirdmetal

◆HUMMINGBIRD公式サイト
http://www.hummingbirdmetal.com/Top.html