OUTRAGE / THE FINAL DAY (1991)

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2010年「最後の日」に何を書こうかなと思ったとき、昨日からの流れ的にこのアルバムかな、と思いました(笑)。

本作は1991年に発表された、OUTRAGEの4thアルバム。

90年代初頭のこの時期は、80年代にスラッシュ・メタルをプレイしていたバンドたちの多くが「方向性の見直し」を行なった時期である。

METALLICAなどの成功によってメタル・シーンにスラッシュ・バンドが溢れ返り、粗製濫造とマンネリがシーンに蔓延してしまったことに対する反動である。

その結果、みな一様にスピードを落として「ヘヴィさ」を強調し始めたわけだが、その大半は単につまらなくなって文字通り失速し、そのまま消えてしまったバンドも多い。

逆に、そのスタイルの変更によって大成功を収めたバンドもいる。
言うまでもなく「ブラック・アルバム」を発表したMETALLICAであり、MEGADETHの「COUNTDOWN TO EXTINCTION」もシフトチェンジの成功例のひとつに数えてもいいと思う。

そして、OUTRAGEのこのアルバムも、その数少ない成功例のひとつに数えられるべき名盤である。

個人的には、OUTRAGEは「日本を代表するスラッシュ・メタル・バンド」と認識しており、デビュー作「BLACK CROUDS」は欧米の著名バンドの名盤に劣らない優れたスラッシュ・チューンの宝庫だと思うし、個人的に一番好きな曲は2nd「BLIND TO REALITY」のタイトル曲である。

普通、そういう素晴らしい過去のスタイルを変えることはあまり歓迎されることではない。

しかし、本作に関しては、そのような「過去のスタイルへの未練」など吹き飛ばしてしまうだけのパワーがある。

プロデューサーに元ACCEPTのステファン・カウフマンを迎え、バンド史上初となる海外レコーディングによって制作された本作は、その事実から想像される通り、世界進出を見据えて制作された渾身の一作。

ドラマティックなイントロから始まる、スラッシーな勢いと構築美を兼ね備えた名曲#1「My Final Day」からゾクゾクするほどエキサイティング。

そして続く#2「Madness」のノリは、これを聴いて暴れたくならない人間はいないのではないかという麻薬めいた危険な中毒性があり、もはやメタルだパンクだという枠を超え、全ての激しいロックを好む人であれば必聴の一曲。

その他にも静と動の対比があまりにも鮮やかな#7「Veiled Sky」や、黄泉の国へと還って行く人間に対する弔いの歌を思わせるバラード#8「River」などの名曲を収録しつつ、90年代のトレンドをしっかり押さえたへヴィでダークな楽曲、パンク/ハードコアのエッセンスを感じさせる楽曲も収めた本作は、もしアメリカのバンドがこれをリリースしていたら一大センセーションを巻きこしていたのではないかと思わせる驚異的な仕上がり。

さらに言うなら、もしクリフ・バートンが生きていれば、METALLICAのブラック・アルバムはこういうスタイルになっていたのではないか、なんて妄想してみたり。

大げさかもしれませんが、日本のHR/HMバンドが生み出した作品で「世界レベル」に達した作品は他にもいくつかあれど、(商業的成果はどうあれ)HR/HMシーンにおけるその時代の最先端といえる水準に達したアルバムは本作だけではないかと思っています。


それでは皆様よいお年をお迎えください。
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OUTRAGE / OUTRAGE (2009)

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橋本直樹(Vo)復帰後第一作となる通算10作目のアルバム(EPは除く)。

発売と同時に聴いてはいたものの、こういうバンドを私がレビューしても説得力ないよな、と思ってあえてレビューしませんでしたが、映画を観てやはり何か書きたくなりました。

本作発表時、既にLOUD PARK 07で健在は確認していたものの、93年の「SPIT」以降のOUTRAGEの音楽は個人的にはメタルらしい構築美が不足していてあまりピンと来なかったし、今回復帰した橋本もしばらく音楽から遠ざかっていただけに、正直期待より不安の方が大きかった。

しかし、静かなイントロから始まる、往年の名曲「My Final Day」を思わせる#1「Rise」でオオッと思い、続くスラッシーな#2「You Care? I Don’t Care」でOUTRAGE完全復活を確信した。

アルバムを聴き進めると必ずしもスラッシュ一辺倒というわけでもなく、90年代に聴かせていたようなモダンな(?)要素や、橋本不在時に鳴らしていたようなサウンドのエッセンスも感じられ、単純に初期に回帰したわけではない。これは「今のOUTRAGEだからこそ鳴らせる音」であることは間違いない。

出音も至って強力で、プロデュースを手掛けたフレドリック・ノルドストローム(ARCH ENEMYやIN FLAMES、HAMMERFALL等)の手腕もさることながら、橋本脱退後もバンドを続けてきた「継続」こそがこの強靭なサウンドを支えていると思う。

初期のようなストレートなスラッシュ路線に回帰した訳ではないとはいえ、ドゥーミーな#3、バラードの#8を除けば(#9は続く#10のイントロ的なインスト)勢いは充分で、往年のファンから若手のスラッシャーまで熱狂させるパワーがある。

#8「Shine On」は映画を観た人であればより一層グッと来るであろう、バンド史上最もエモーショナルな名曲。

個人的には青春時代に聴いていた分、初期の4枚に思い入れがあるが、そういう過去への思い入れがない人にとってはOUTRAGE健在どころか、最高傑作とさえ感じられるかもしれない快作。

◆OUTRAGEのMySpace
http://www.myspace.com/outrageousjapanese


映画『シャイン・オン-トラベローグ・オブ・アウトレイジ』の感想

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日本を代表するスラッシュ・メタル・バンド(と、単純にカテゴライズするのは微妙なのだが)、OUTRAGEのドキュメンタリー映画「シャイン・オン -トラベローグ・オブ・アウトレイジ-」を観てきました。

場所は、先日「極悪レミー」を観に行ったばかりのシアターN渋谷。
ただ、「極悪レミー」が75席のシアター1だったのに対し、こちらは102席のシアター2だ。

とはいえ21:10からのレイトショーのみなので、公開規模はこちらの方が小さい(当たり前かもしれないが…)。

公開開始から既に一週間以上たっているので、熱心なファンの方はもう一通り観てしまって、今日などはもうガラガラなんじゃないかと思っていたが、まあまあ入っている。6割ちょっとくらい? 当然ながら男性客ばかり、平均年齢高め。

毎週水曜日はこの映画館のサービスデーで料金が1000円に割引されるので、それを狙って来た人も結構いるのかな?(私はたまたまこの日にしかスケジュールの都合がつかなかっただけで、別に割引を狙ったわけではないですが)

予告編が15分と結構長い…しかも2月公開のbloodthirsty buchersのドキュメンタリー映画以外は特にロックと関係ない普通の映画の予告編ばかり。

ミニシアターだけに、B級っぽい作品が多い。R15、R18指定の映画が多かったように思うのはOUTRAGEファンの属性を踏まえて、でしょうか(多分考え過ぎ)。『孫文の義士団』がちょっと面白そうだった。

映画は、「アンヴィル!」のヒット以降、色々なバンドがドキュメンタリーを制作しているようで、これもそのひとつ、ということになるのだろう。

初期の彼らについてはほとんど映像素材が存在しないらしく、最初は写真のスライドショー状態。このまま最後までこんなんだったらどうしようと思いましたが、さすがにそれはなかった。ただ、相当安く作っているのは素人目にも明らか。

メインで語られるのはメンバーたちの「現在の心境」で、ファンにとっては色々と感慨深いだろうと思うが、正直彼らに関心のない人がこれをどう受け止めるかは微妙な所。

かなり赤裸々な実生活が描かれているので、ある種の共感を覚えるかもしれないし、なんとなく「地元に根差しつつ、地道に頑張って、自分たち的にはそれなりに満足してます」的な「ほどほど感」を「あまりロックっぽくない」と考える人もいるかもしれない。

もう少しライヴ・シーンを充実させて、ライヴ・ビデオ的な仕立てにすればファン向けのDVD映像作品としてはなかなか面白いものになったかもしれないが、いずれにせよ「映画」としてはちょっと平坦な感が否めない。

恐らくそれは、彼らにのキャリアにメタルについて知識のない人でも単純に凄いと思えるような「明確なハイライト」が無いからなんですよね。
もちろん80年代後半から90年代初頭の彼らにはそれなりの栄光と可能性があったことをファンは知っているけど、客観的に世界はおろか日本でも「ブレイクした」とは言い難い。

橋本直樹が脱退してから10年、解散せずに3人で耐え抜いたのは本当に凄いと思います。
かつて世界進出を本気で狙える所まで行ったバンドが、1桁~十数人の客を相手に地方のライヴハウスをドサ回りして、時に泊るホテルさえもない、なんて境遇、20歳かそこらならともかく30代、40代でそれですからね。よほどの信念がなくては耐えられません(一方で、大した成功を経験しなかったからこそ、その状況に耐えられたという面もあるのかもしれませんが)。

この辺についてはANVILにも負けない「どん底の苦労話」になり得るはずなのですが、彼らの場合そのどん底と対比するような「栄光」がないせいで、今ひとつそのエピソードが引き立たない。単純に「橋本直樹が戻ってよかったね」で終わってしまう。

そもそも事情を知らない人には何故橋本直樹が脱退するに至ったのかがこの映画を観ているだけではよくわからない、というのが問題。

私のようにリアルタイムで彼らの動向を見てきた人にとっては当時の彼らが抱えていたであろう「行き詰まり感」がなんとなくわかるのだが、映画としてオープンに公開する以上、そういう昔からのBURRN!読者でなくてはわからない事情を「これを観に来るような人は皆知ってるでしょ?」みたいな感じで流してしまってはいけないと思う。その辺の葛藤を描くのは「物語」を作り上げる上では結構重要だったんじゃないでしょうか。

そういう意味でやはり映画としては「アンヴィル!」とは比較にならないなあ、という感じ。
現在進行形のバンドとしてはANVILより勢いがあると思いますけどね。

まあ、それでもOUTRAGEが好きなら結構楽しめることは確かなんですけどね。
丹下さんのお母さんが微笑ましいなあ、とか、橋本さんの奥さんはかわいらしいなあ(でも意外と気が強そう:笑)、とか。

ただ、これを面白いと言ってしまうなら、それなりのキャリアがあるバンドで、栄光と苦悩があり、現状が悪くなければどのバンドでもそれなりに面白いドキュメンタリー映画は作れるということでもあるんですが。

個人的にはLOUDNESSのドキュメンタリーを観てみたいのですが、バンドの現状が良いとは言い難いだけにどうオチをつけるかが問題になりそう(苦笑)。

◆OUTRAGE公式サイト
http://www.outrage-jp.com/




MR.BIG / WHAT IF...

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オリジナル・メンバーによるスタジオ・アルバムという意味では96年1月にリリースされた「HEY MAN」以来、約15年ぶりとなる「復活アルバム」。

今年IRON MAIDENに93点、NEGATIVEに94点、RATTとISSAに95点、SLASHに96点、OZZY OSBOURNEに97点と、点数を「大盤振る舞い」したBURRN!の広瀬編集長が、「バンド史上の最高傑作」と断言し、「世紀の大傑作」「もしもデビュー時にこれほどの大傑作をリリースしていたら、ロックの歴史は変わっていただろう」などと歯の浮くような美辞麗句でもって絶賛、今年最高の98点を献上している。

個人ブログなどにおいてはこういう「マスコミ」へのアンチテーゼとして、こういう作品をこき下ろした方が「ウケる」のかもしれないけど、残念ながら普通に良いと思いました。バンド史上の最高傑作かどうかはともかく…。

とりあえず歌メロがいい。エリック・マーティン(Vo)がここしばらくJ-POPのカヴァー・アルバムを作り続けていた成果がフィードバックされたのかとさえ思うほど、全曲に渡って日本人好みのメロディを聴かせてくれる。

そして、かつて日本のバンド少年たちが一番注目していたポール・ギルバート(G)とビリー・シーン(B)のプレイに関しても、スリリングな弾きまくりを随所で聴くことができ、その点についても納得が行く人が多いのでは。

一方でロックの生命線であるリフが今ひとつ印象に残らない点については、全盛期からその傾向があったのでこれはもうこのバンドの限界ということで諦めるしかないのでしょう。

「To Be With You」の二番煎じみたいな曲が収録されていないのはきっと意識的にそうしたんでしょうね。
アコースティック・バラードが入っていたら誰もが「あ~、また柳の下のドジョウを狙ってるね」と思うもんね。よしんばそれが売れた所で幸せにならないことは身をもって体験しているわけだし(苦笑)。

楽曲の(主にメロディ的な意味での)平均点は高いが、個人的に一番気に入ったのはギター&ベースの高速ユニゾンとキャッチーなコーラスがコンパクトに共存している#10「Around The World」。この曲が一番「わかりやすい」のでは。

正直「Daddy, Brother, Lover, Little Boy」のようなソリッドでハード・ドライヴィンな曲も欲しかったが、今の彼らにそれを望むのはいいトシしたオッサンに「MEN'S KNUCKLE」に載っているような服を着てくれと頼むようなものなのでしょう。

とまあ、大筋で悪くないと思っている本作ですが、気に食わないのはサウンド。
なんか押しつけがましいというか、暑苦しいというか、演奏が前に出過ぎているような。

ビリーのベースの高音が強調され過ぎてやかましいのはこのバンドの必要悪なのかもしれませんが、ポールのギターの音も妙にラフな感じで…。
ここ最近の彼のアルバムは聴いていないのですが、今のポールはこういう音が「普通」なんですかね?

プロデュースを手掛けたケヴィン・シャーリーお得意の「生っぽい音作り」の結果なのかもしれませんが、何か逆に不自然な感じ。

てか、このケヴィン・シャーリーの手掛けたアルバムを聴いて音が良いと感じたのはせいぜいDREAM THEATERくらいで、あとはIRON MAIDENにせよ、AEROSMITHにせよ、JOURNEYにせよ、どれもイマイチな音作りだと思うのですが…仕事がしやすい人なんでしょうかね、この人気は。


最近気になったニュースなど

わざわざ単体で記事にするまでもないけど、ちょっと気になるニュースが最近多かったのでまとめてメモしておきます。

DIVINEFIREが来春に復活アルバムを発表
http://www.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=151385

クリスチャン・リレグレン(Vo)率いるDIVINEFIREが、「EYE OF THE STORM」と題されたニュー・アルバムで「復活」するそうです。

「Farewell」したのはほんの2、3年前なのでかなり早い「復活」ですが…ここ最近AUDIOVISIONにGOLDEN RESURRECTIONと、ずいぶん働きすぎじゃないですか?>クリスチャン

日本先行発売で、来年3月下旬にキングレコードから。その他の地域は4月に発売されるそうです。


TYTANが復活
http://www.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=151470

NWOBHM後期に登場し、名盤「ROUGH JUSTICE」1枚を遺して解散したTYTANが2012年、ドイツの「KEEP IT TRUE FESTIVAL」で復活ライヴをやるそうです。

再結成メンバーは以下の通り。

Vo:カル・スワン(元LION, BAD MOON RIGING)
G:スティーヴ・マン(元M.S.G.)
G:スティーヴ・ギブス
B:ケヴィン・リドルズ(元ANGEL WITCH, SAMSON)
Dr:サイモン・ライト(元AC/DC, DIO)

うおー、カル・スワンだって。懐かしい。BMR解散後引退したと聞いていたけど…。
一夜限りの企画なんでしょうか? ちょっと観たいかも。

どうでもいいけどBAD MOON RIGINGを「バムライ」と略していたのは私の周りだけですかね?(笑)


ANVILの「Metal On Metal」がスウェーデンのチャートで4位に
http://www.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=151487

映画で有名になったANVILの代表曲である「Metal On Metal」が先週、クリスマス週のスウェーデンのシングル・チャートで(シングル化されていないにもかかわらず)4位に輝いたそうです。デジタル配信チャートでは1位でした(つまりデジタルダウンロード販売のみでチャートインしたということですね)。

なんでも、Facebook上で行なわれた「ANVILを助けよう」キャンペーンの結果こういう事態が起きたそうで、ネット上の呼びかけでここまで「成果」が出るのだから「時代」を感じますね。


THAURORODにミケーレ・ルッピが加入
http://www.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=151397

AMBERIAN DAWNから脱退したメンバーが中心となって結成され、この10月にデビュー・アルバムが日本発売されたばかりのフィンランドのフォーク/メロディック・パワー・メタル・バンドTHAURORODからVoが脱退し、後任にイタリア人シンガーであるミケーレ・ルッピ(元VISION DIVINE)が加入したそうです。

BURRN!のレビューでも「Voがやや野暮ったい」と評されており、私もこのVoがダメで購入を見送ったのですが、ミケーレが歌うなら次作は要チェックですね。

※THAURORODのMySpace
http://www.myspace.com/thaurorodtheband