GLAMOUR OF THE KILL / THE SUMMONING

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ポストBULLET FOR MY VALENTINEの呼び声も高い、イギリス北部の都市ヨーク出身の4人組、GLAMOUR OF THE KILLのデビュー・フル・アルバム。

結成は2003年で、当初はTHE RED ROOM THEORYと名乗っていたそう。2007年に現在のバンド名に改名してリリースしたデモEPが『KERRANG!』誌で10点満点を獲得する好評を博して注目を浴びる。

私がこのバンドを知ったのは2008年、『KERRANG!』誌の付録として企画されたIRON MAIDENトリビュート・アルバム「MAIDEN HEAVEN」に彼らによる「2 Minutes To Midnight」が収録されていたためで、そのカヴァーの印象が良かったので本作も購入してみた。

私などより新しいバンドに敏感な人たちは同じ2008年に発売された彼らの正式なデビューEP、「GLAMOUR OF THE KILL」をいち早くチェックしたようで、同EPは輸入盤オンリーにもかかわらず日本だけで5,000枚を売ったらしい。このご時世では相当なセールスであり、彼らに対する期待の大きさが窺われます。

本作で聴けるサウンドは、よく比較されるBULLET FOR MY VALENTINEに近いが、あれほどメタリックではない。Voの声質もあって、BFMVが初期に持っていたエモ/スクリーモのようなポスト・ハードコアの要素を強く押し出しており、キャッチーな要素が強いこともあってより間口は広そう。

BFMVに比べるとキャッチーな曲とヘヴィな曲の落差が大きく、この辺は今後のトレンドの流れ如何によってどっちにでも方向性を振れるようにしているのでしょうか。

もちろん普通のエモ/スクリーモ・バンドに比べればメタリックな要素が強く、だからこそここで取り上げてみたわけですが、所々かなりイイ感じのツイン・リードのフレーズが出てきて(#5とか#9なんか特にいいですね)、個人的にはその辺が聴き所。

日本盤ボーナスの#12もメタリックな要素の強い佳曲で、輸入盤と迷っている方には日本盤がオススメです。

騒がれているだけあって、新人バンドにしては曲がよく練られているし、08年時点にマイスぺで試聴してみた頃に比べると「まんまBFMV」みたいな印象が薄れて個性も出てきている。

ただ、個人的には騒がれているほどに「持ってる」感じは受けなかったというのが正直な所ですが、ぶっちゃけ私が「可能性」を感じたバンドというのは必ずしもブレイクしていないので(苦笑)、ひょっとしたら今後大きく飛躍するかもしれません。

個人的にはもっとメタリックな要素を増強する方向で飛躍してくれることを希望します。【81点】

◆GLAMOUR OF THE KILLのMySpace
http://www.myspace.com/glamourofthekill

※リーダー・トラックである「Feeling Alive」のPV(YouTube)


サビの「Losing Our Mind」が「ルーシーおっぱい」に聴こえて仕方ない件。


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STRATOVARIUSの新作「ELYSIUM」が本国フィンランドで1位に

STRATOVARIUSのニュー・アルバム「ELYSIUM」が母国フィンランドのチャートで1位を獲得したそうです。

もちろん彼らはフィンランドでは押しも押されもせぬ大御所で、1位になること自体は初めてではないし、前作「POLARIS」も2位を記録しているから、そのこと自体は大騒ぎするほどのことではないかもしれません。

ただ、前作は中心人物だったティモ・トルキがいなくなって初めてのアルバム、という話題性および一種の期待感もあったが本作のチャート初動に関しては、ある意味その「POLARIS」における「新生STRATOVARIUSサウンド」が受け容れられたかどうかが問われる作品と言えるだけに、本人たちにとっては「意味のある1位」なのではないでしょうか。

実際、フィンランドではチャート上位の常連だったとはいえ、1位は恐らく彼らのキャリアにおけるある意味でのピークであった「INFINITE」アルバム以来だということも感慨深い所ですね。

ティモ・トルキのREVOLUTION RENAISSANCEがチャートに入ったという話は寡聞にして聴かないので、きっとティモ・トルキはハンカチを糸切り歯で噛んで引っ張りながら悔しがっているのではないでしょうか(笑)。

◆ニュースソース
http://www.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=152592


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BURRN!11年2月号の感想

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表紙はちょっと今さら感のあるマルムスティーン伯爵。

最近BURRN!の表紙を飾る方々の高齢化が進んでいるため、シワ隠しにライティング強めの写真が多いが、さすがにこれはちょっと不自然過ぎるのでは…ってくらい光を当てている(苦笑)。

で、その伯爵の巻頭インタビューですが、インタビュー自体は面白いです。この人は日本で言われるような意味での「コミュニケーション能力」が高いかどうかはともかくとして、自分および自分のやったことについて面白く話す才能がある。

私は彼の最新作を退屈だと感じましたが、このインタビューを読んで「もう一度聴いてみよう」と思いましたからね。
まあ、聴き直しても特に評価は変わりませんでしたが…(苦笑)。

ティム“リッパー”オーウェンズのVoについては気に入っていると言っていたものの、「今回彼とどういう作業をしたか」についてはやはり一切触れられていない。

一方でヨラン・エドマンはあらためてこき下ろされていてお気の毒。

新春恒例、「今年の展望」企画の「WHERE DO WE GO FROM HERE」。
2010年の来日アーティスト、主なニュース、リリースされた国内盤新譜の一覧が冒頭に付いたのはいいですね。

各編集部員の2011年の展望については、長い読者であれば「この編集者であればこのアーティストの名前を挙げるよね」って感じの内容が大半ですが、藤木記者からはどうやら「メロディ派の代表」から嬢(女子)メタルの代表」へと鞍替えしようという意図が感じられますね(笑)。

まあ、その方が今後しばらく仕事が増えそうだし、インタビューするにもメロハーやってるオッサンたちより女の子たちとおしゃべりする方が楽しいでしょうしね(笑)。

レコード会社のイチオシを見ると、今年も個人的には聴いてみたいアルバムが結構リリースされそう。
中でもSYMPHONY XとRIOTは相当楽しみだな。

残念ながらここでは名前を挙げられていなかったが、WORK OF ARTやECLIPSEといった北欧メロハーの期待株も今年新作のリリースがありそうなのでそれらも楽しみ。

しぶとく復活した「LAメタルの真実」は、実質11月にひそかに(?)来日公演を行なったLIZZY BORDENのインタビュー。
バンドの歴史をたどる、裏話(妄想っぽいものも多いが)満載のインタビュー自体はそれなりに興味深いが、なんかこの人はあの時代に成功しきれなかったことに対する未練たっぷりで、成仏できなそう(苦笑)。

モノクロのインタビューでは、GOLDEN RESURRCTIONのインタビューで、自身がレーベル・オーナーでもあるクリスチャン・リレグレンが、今年REIN XEEDのアルバムが通常の新作と、ABBAやROXETTE、ACE OF BASEなどの北欧ポップスのカヴァー・アルバムの2枚出ることを明かしており、トミー・ヨハンソン(REIN XEED)は本当に働き者だなあ、と思いました。

そして先月行なわれたAVANTASIA来日公演関連の記事(インタビュー&ライヴ・レポ)にカラーで10ページが割かれているあたりには編集部一の古株、大野記者の底力を見ましたね(笑)。

このインタビューを読むと今後もマイケル・キスクとカイ・ハンセンのコラボレーションの可能性は充分ありそうで、そちらも楽しみ。

一方、スティーヴ・リー(GOTTHARD)の追悼特集がカラーで7ページというのは、ロニー・ジェイムズ・ディオの追悼特集がカラー3ページ、モノクロ9ページだったことを思えば、かなり頑張った感じですね。

同時期にメジャー・タイトルのリリースがなかった関係で久々にクロス・レビューのトップになったSTRATOVARIUSのインタビューに関しては、まだアルバム全部を聴いていないので、インタビューで語られていることが妥当かどうか判断しかねますが、とりあえず写真がカッコいいですね。小ティモが着ているシャツもオシャレ。

NELSONのネルソン兄弟のインタビューも意外と(?)興味深かった。セラフィノ・ペルジーノというイタリアのメロハー・マニアが半ば自分の趣味のためにやっていると思っていた「Frontiers Records」が世界でトップのインディペンデント・レーベルになろうと決め、最初にBON JOVIと契約した人物を雇ってアメリカ支部を作った、なんて話は特に。

個人的に2nd以降のカントリー・ロック路線はちょっと退屈で、2nd以降彼らの音楽からは遠ざかっていましたが、インタビューを読むと、新作は名盤「AFTER THE RAIN」(1991)の流れをくむ作品になっているようで、ちょっと聴いてみたくなりました。ネルソン兄弟は育ちがいいからか、インタビューから伝わってくる人柄もいいですね。

HR/HM業界で一番計画的に創作活動を行なっている人間と思われる瞬火(陰陽座)のインタビューも相変わらず仕事に対するヴィジョンの明確さ、と自らに課す「基準」の高さ、そしてそれがデビュー以前から一貫していたことに感心させられる。

橘高文彦(筋肉少女帯, X.Y.Z.→A)のデビュー以来の歴史をたどるインタビューも興味深い。大槻ケンヂが「俺にとってのオジー・オズボーン」という認識には「なるほどなあ」と思ったし、彼のソロ・プロジェクトだったEUPHORIAが「今でいうヴィジュアル系バンドがやっているような音楽を、俺の様式美ギタリスト的なスタイルを駆使して生み出してみる」ことにチャレンジした「今で言うとVELSAILLESなんかに近い」邦楽を意識したHMアルバム、という話も納得。

そしてそのEUPHORIAでは「GACKTを次のシンガーにしようと考えてたけど、MALICE MIZERが“来てた”から邪魔しちゃいけねえな、と思ってやめた」という話も今だから言える(?)裏話。

Castle Of Pagan」の(インタビュー中では「BELLFASTのシンガー」と表現していたけど)Kohさんこと西野(幸一郎)氏との出会いや、当時はドラマーだったというKohさんと一緒に2年くらいRACER Xみたいなバンドをやっていた、なんて話も「へえー」って感じ。

というわけで個人的に今月号は読み所の多い充実した号でした。

なお、広瀬編集長、WHDの担当ディレクターである深民氏、ウドー音楽事務所の方がトライアングルでMR.BIGの新作「WHAT IF...」を激賞しているのは相変わらず失笑を禁じ得ませんが、さすがに「MR.BIGが世界を変える! と言い切ってしまおう」とまで言われると、もはやネタ、あるいは「釣り」でやっているのではないかと思ってしまいますね(苦笑)。

◆発行元であるシンコー・ミュージックのWebサイト
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=2175011102

FORGOTTEN TALES / WE SHALL SEE THE LIGHT

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カナダにおけるメロディック・パワー・メタルのパイオニア、FORGOTTEN TALESの実に6年ぶりとなるサード・アルバム。

何しろ6年、すっかり私の中では彼ら自体が「忘れられた物語」になっており、てっきり解散したものと思っていた。

しかし、実態としては1年間のオフの後DrとKeyにメンバー・チェンジが発生し(その後Keyは出戻っている)、そして本作の曲作りにじっくりと時間をかけただけで、07年にはいくつかライヴもこなし、09年にはSTRATOVARIUSのカナダ公演のサポートなども務めていたようだ。

彼らについては「明朗なメロディック・パワー・メタル」というイメージを持っていたが、本作では冒頭からそのイメージを覆すヘヴィでダークなサウンドが展開される。

ジャケットのアートワークもダークな感じ(チープだが)になっているし、「しっかりもののお姉さん」という雰囲気だった赤毛の看板シンガー、ソニア・パインオールトがタトゥーだらけのSM女王様のようなルックスに変貌していることもそういう「変化」を象徴していると言えよう。

この作風には、前作リリースからの6年間、創作活動の行き詰まりやメンバー・チェンジなどに悩まされたことなども影響しているようで、本作のテーマは「ダークで邪悪なオカルトの世界」らしい(ジャケットもチープだがそんな感じだ)。

むろんダークでヘヴィとは言ってもコア系のバンドのようなそれではなく、あえて言うならKAMELOTやICED EARTHといったバンドの雰囲気に通じるドラマティックで充分にメロディックなもので、そういう意味で音楽の基本線に変更はない。

ただ、こういうダークな世界を描くには正直サウンド・プロダクションの軽さが音楽の説得力を大きく損なっていると言わざるを得ない。

イマイチな曲もあるが、#2「Guardian Angel」や、#5「Diviner」のような楽曲にはこれまでにはなかったスケール感・本格感を感じるし、より表現力を増したソニア・パインオールトの情念に満ちたヴォーカルは素晴らしいだけに、この音質のチープさは惜しまれる。

なお、どうでもいいことかもしれないがディスクユニオンのオリジナル特典でもらったDVD-Rの内容が当たり障りの無いメンバーの挨拶と、前作に収録されていたCDエクストラ映像をそのまま流用したお粗末な内容で怒り心頭。割引クーポンにしとけばよかった。【77点】

◆FORGOTTEN TALESのMySpace
http://www.myspace.com/forgottentales2004



FORGOTTEN TALES / ALL THE SINNERS

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「北米に本格的なメロディック・パワー・メタルを」というコンセプトの元に生まれたカナダはケベック州出身5人組のセカンド・アルバム。

前作はラストに組曲形式の大作を配していたが、本作ではいきなり冒頭から6部構成の大作(とはいえ各パートは独立した楽曲なので冗長ではない)で始まる。この辺りにも「前作とは違う作品を」という意欲が感じられるのは好ましい。

アルバム全体としても進歩の跡は確実に見てとれる。前作はやや一本調子だった楽曲に起伏がついて緩急を心得るようになり、9分に及ぶ大作#7「Three Wishes」も間延びせず一気に聴ける。

前作でも光っていたソニア・パインオールトの歌唱力の高さは本作でも際立っているが、全体的な演奏力も向上しており、インスト・ナンバーの#5「The Message」はそれを見せつける一曲と言えるだろう。

サウンド・プロダクションに関しては未だ軽いが、前作に比べると広がりと奥行きが感じられ、改善されていることは確か。

とまあ、基本的には成長を感じさせるアルバムに仕上がっているのだが、前作より満足度が大きく向上しているかというと意外とそうでもなく、むしろ音楽が技巧的になったことで彼らの持っていた清々しく溌剌とした伸びやかさといった美点が減退してしまったようにも感じられたり。

身も蓋もないことを言ってしまえば、その成長ぶりが「想定の範囲内」を超えなかったということなんでしょうね。前作は「初の北米からのメロスピ!」というインパクト補正もあっただけに、その辺は前作の脳内評価が少し甘くなっていた部分もあるかも。

Key奏者がハープシコード(チェンバロ)の音色を多用する所とか、結構私好みではあるので、決して悪くないんですけどね。

日本盤ボーナスとして1991年に書かれたという彼らの母国語であるフランス語の楽曲#11「Jeux D’enfants」と、CD-EXTRAで2002年4月9日に地元のクラブで行なったFORGOTTEN TALESとしての初ライヴの模様が3曲分収められている。

初ライヴとはいえ、それ以前からカヴァー・バンドとしてキャリアを積んでいただけあって、なかなか安定したライヴ・パフォーマンスです(ギターの弾く位置が高過ぎてちょっとカッコ悪いけど:笑)。

なお、重箱の隅をつつくようだが、日本盤ライナーおよびオビは#9「My Soul」と#10「Magic Fountain」の曲名が入れ替わって誤植されている。【80点】