LIV MOON / GOLDEN MOON

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前作から中心人物であるアカネ・リヴ(Vo)と西脇辰弥(Key)以外のメンバーを一新してリリースされたセカンド・アルバム(カヴァー・アルバムは除く)。

前回のライヴの際に参加していた大村孝佳(G)、前田秋気(Dr)に加え、ベースに元アニメタルのMASAKIを迎えた、あからさまに前作より「メタル度」を増した編成に。

アカネ・リヴ嬢の大胆なヌード・ジャケットがインパクト大の限定盤は、DVD付のため価格設定の安いAmazonで予約していたが、震災の影響なのかなんなのか、発売日を3日も過ぎてから「入荷に時間がかかっており、お届け予定日がまだ確定しておりません」というファックオフなメールが送られてきたため、やむなくキャンセルの上HMVで購入。

このプロジェクトに関しては、なまじ「The Phantom Of The Opera」のカヴァーでデビューしただけに「日本版NIGHTWISH」を期待してしまったため、個人的にはデビューアルバムでは「外された」感があり、今ひとつのめり込めなかった。

メンバーが替わったとはいえ、先行してPVが公開されたオープニングの「死の舞踏~ディエス・イレ」は、ブラスト・ビートや速弾きギター・ソロを導入してメタリックな装いになっているものの、曲調自体は前作の延長線上にあるもので「まあこんなもんか」という感じだった。

なので、まあ音楽的中心人物(西脇氏)はそのままだし、あまり期待せずに聴いてみようと思って再生ボタンを押した。

ところがどっこい、良くなってる! 外部ソングライター導入が効いていて、前作に比べてよりメタル・ファン好みのドラマティックなメリハリとキャッチーなコーラスのある楽曲が大幅に増えている。

中でも「えっ、これがアカネ嬢の声?」と驚かされる、低音をメインに歌われる#4なんて相当にカッコいいし、#11はNIGHTWISHの「Nemo」や「Amaranth」といったシングル曲に通じる雰囲気があり「こういうのを待ってたんだよ!」という感じ(なおこの曲にはMASAKIと同じく後期アニメタルにおけるメンバーでもあったGALNERYUSのSyuが、先日のソロ・アルバムにアカネ・リヴ嬢が参加した縁もあってかゲスト参加している)。

V系っぽいヴァースと、陰陽座を思わせるサビが印象的な#8もいいですね。元MR.ORANGEのSHONE作のバラード#13も、特にLIV MOONである必然性のないややベタなパワー・バラードですが、それだけに誰でも感動できる曲になっている。

ただ、モロにQUEENな#10などはまあいいとして、MARILYN MANSONの「Beautiful People」を思わせる#5やエレクトロなアレンジを使用した#6などはアルバムにバリエーションを出すためのアクセントと捉えるにしてもちょっと個人的にはこのプロジェクトに望む路線じゃないな(悪い曲ではないけど)。

大村孝佳のギター・ソロはテクニカルながらやはりこれまでの彼のプレイの印象と大きく変わらない淡白なものだが、前任者の無機質なプレイに比べればナンボかマシだし、とりあえず速いのでメタル・ファンにとって聴き所のひとつになりえるだろう。

そもそもNIGHTWISHにしたってWITHIN TEMPTATIONにしたって別にギターは大したことないから、HR/HM然とした音さえ出してくれればそれでいいのだ。MASAKIのベースも「全開」ではないものの、随所で印象的なフレーズやテクニカルなソロを聴かせてくれる。

もちろんアカネ・リヴ嬢の声域・歌唱力は近年多い女性Voメタルの中でも群を抜くレベル。
ただ、あまり技巧的に歌っていない曲の方がメタラー的にはなじみやすいような気も…。

とまあ、なかなかいいねえ、と聴き進んで来たわけですが、極めつけはアルバムラストの14曲目、#14「アマラントスの翼」。これはキた! 往年のRHAPSODYやKAMELOTを思わせる劇的かつ勇壮なイントロで始まるこの曲は私のツボにどストライク!

いや、マジこの1曲にアルバム1枚分の金を払っても全然惜しくないですよ。もしこの曲が昨年発表されていたら、昨年の年間ベスト・チューンはこの曲でした。高揚感溢れるサビが熱いんですが、特に4:05あたりからの「愛を信じてここまで来たんだろう? 諦めないで、さあ」という箇所には鳥肌が立ちましたね。

歌詞含めちょっとアニソンっぽい所もある曲なんですが、この曲を作曲した坂部剛という人はアニメ「ゼロの使い魔」の主題歌「I SAY YES」で作曲家デビューし、今クール放送中のアニメ「GOSICK」のOP、EDなども手掛けている、割と「そっち寄り」の世界で活躍している人のようだ。

この人の曲はこの「アマラントスの翼」1曲だけだが、次の作品ではもっとこの人の曲を聴きたいな。

まだちょっと焦点が定まりきっていないような観もありますが、前作より明らかに良くなってるし、個人的にイチオシの名曲も含んでいるので、興味のある方はもちろん、私のように前作に物足りなさを感じた人にもぜひ聴いてもらいたいですね。

なお、このプッシュは、断じて先日握手してもらったからではありません(笑)。

◆LIV MOON公式ページ
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Artist/A022867.html

◆岡本茜オフィシャルブログ
http://blog.livedoor.jp/akaneokamoto/


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SIRENIA / THE ENIGMA OF LIFE

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日本デビュー作となった前作「THE 13TH FLOOR」に続く通算5作目のフル・アルバム。

これまでアルバムごとにVoが交代してきたが、本作では前作で歌っていたスペイン出身のシンガー、アイリンが引き続きVoを務めている。

これまで同様、レコーディングにおいては全ての楽器パート(Drは打ち込み)を中心人物であるモルテン・ヴェランが手掛けており、前作では一応「ライヴ・ギター」「ライヴ・ドラムス」としてツアー・メンバーがクレジットされていたが、本作ではその記載もなくなり、完全にアイリンとモルテンのデュオ状態になっている。

音楽的方向性はこれまでと同様WITHIN TEMPTATIONあたりを思わせるメロディアスな女声Voをフィーチュアしたシンフォニックなゴシック・メタルで、悲愴感を湛えつつもキャッチーなメロディの充実はこのシーンにおいてもトップ・クラスかと思われる。

今作ではセカンド以降変わらぬ「THE SIRENIAN CHOIR」による荘厳なクワイア、そしてモルテンによるグロウルを残しつつも、アイドル発掘番組出身であるアイリンの個性を活かすためか、よりメロディがキャッチーになっており、モダンな感触のアレンジも多くなっている。

キメ曲というほどの楽曲はないため、インパクトにはやや欠けるが楽曲の平均点は高く、前作ではいかにもアイドル、といった風のひたすら甘く可憐な歌声を聴かせていたアイリンの歌唱がよりエモーショナルな表現力を増しているのはプラス要因。

いや、マジで女性シンガーをフィーチュアしたメロディック・メタルとしてはLEAVES’ EYESやEPICAなどと共にNIGHTWISH、WITHIN TEMPTATIONに次ぐポジションに達していると思います。

ボーナス・トラック扱いの#13「Oscura Realidad」はアイリンが母国語であるスペイン語で歌う楽曲で、さらに海外では配信オンリーで本作タイトル曲のスペイン語バージョン「El Enigma De La Vida」が発売されている。

モルテンがアイリンを「続投」させたのはそのルックスや歌声もさることながら、世界の人口で考えると「大票田」であるスペイン語圏における成功の可能性も見込んでいるのでしょうか。【84点】

◆SIRENIAのMySpace
http://www.myspace.com/sirenia




AION / HUMAN GRIEFMAN (1990)

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現在VOLCANOや地獄カルテットでも活躍するNOVのメイン・バンド(…だよね?)のデビュー・アルバム。

と言っても本作はNOVの前任シンガー(NOVはこのバンドの8代目シンガーである)によって録音された「DEATHRASH BOUND」(未CD化)のヴォーカル・パートを差し替えた作品なので、純粋なデビュー・アルバムとは言い難い面もある。

内容は基本的にスラッシュ・メタルで、メジャー・デビュー後に顕著なヴィジュアル系に通じるキャッチーさは希薄。非常にアグレッシヴなサウンドである。

とはいえNOV加入前の「DEATHRASH BOUND」はこれよりさらにスラッシーだったそうで(未聴)、そう言われてみればNOVの二井原実(LOUDNESS)そっくりなハイトーン・スタイルのヴォーカルが良くも悪しくもジャパメタっぽさを感じさせるのは確かかも。

ブックレットには、後年のヴィジュアル系とは似て非なるひたすら過激なメイク&髪型をした若かりしメンバーの写真とともに、「爆獣暴動」というまるで暴走族のようなセンスのコピー(?)が躍っている。

このキワモノっぽさが当時BURRN!読者のような「硬派な」メタル・ファンには受け容れられなかったようだが、私のような後追い世代の人間にしてみれば本作の音楽性はメタル以外の何物でもない。

BURRN!誌においては、当時日本のスラッシュ・メタルといえば1にOUTRAGE、2にUNITEDというのが「定説」だったが、個人的には少なくとも歌唱力・演奏力においてはAIONの方が当時のUNITEDをはるかに凌駕していたと思う。

(NOVが優れたメタル・シンガーであることはVOLCANOや、Syuのソロ・アルバムにおけるSYMPHONY Xのカヴァーなどによって最近のメタル・ファンにも周知のことと思いますが、ギタリストであるIZUMIのテクニックも非凡なものがあり、こと速弾きにかけては当時ジャパニーズ・メタル・シーン全体においても屈指の腕前と言われていました)

当時のインディーズ・シーンにおいては「東のX、西のAION」などと、かのX JAPANと並び称される存在であった。その証拠に本作はオリコン・インディーズ・チャートの1位に輝き、続くミニ・アルバム「MA-G-MA」も同様にオリコン・インディーズ・チャートの1位を獲得、91年にはBMGビクターからメジャー・デビューを飾っている。

ただ、90年代の日本では現在と違って「メジャーに行く」ということは「キャッチーにならなくてはならない」というのがほぼ不文律のようなものであり、幾多のバンドがその不文律に従わされた結果アイデンティティを失って失速していった。

X JAPANは元来アグレッションよりメロディに魅力の本質があり、中心人物YOSHIKIのキャラクターもある種のアイドル性があったため上手く成功できたが、AIONはその本質が攻撃性にあったため、メジャーにおいては音楽的に迷走。結局メジャーからドロップすることになってしまった。

紆余曲折を経て現在もバンドは存続しているものの、全盛期の輝きは取り戻せていない。

◆本作の冒頭を飾る強力スラッシュ・チューン「Think Ever After」



CHILDREN OF BODOM 「RELENTLESS RECKLESS FOREVER」のチャート成績

ここ日本では割と好意的に受け止められているような肌感覚があるCOBの新作「RELENTLESS RECKLESS FOREVER」の各国におけるチャート・アクションは以下の通り。

・フィンランド:1位
・日本:20位
・ドイツ:20位
・オーストラリア:29位
・アメリカ:42位
・スイス:43位
・スウェーデン:47位
・イギリス:71位

※ソースは英語版WikipediaおよびORICON STYLE

…とまあ、アメリカで22位、イギリスで44位を記録した前作「BLOODDRUNK」のチャート成績に比べると正直見劣りする成績になっています。

これを「BLOODDRUNK」がイマイチだったから、そこで離れたファンが多かったに違いない、という推論をすることも可能なわけですが、ひょっとするとそれは短絡的・楽観的に過ぎるかもしれません。

先日、00年代、欧米におけるHR/HM人気の復活に大きな役割を果たしたとされるアクティビジョン・ブリザードの人気ゲームシリーズ「GUITAR HERO」が、セールスの低下によって新作の開発中止が発表されました。

その理由としては「音楽業界の継続的な衰退」が挙げられているそうですが、音楽ビジネスが衰退しているかどうかはともかく、北米での音楽ゲームの売上が「BLOODDRUNK」がリリースされた2008年を頂点に急降下しているのは事実です。

単にあの単調なゲームシステムが飽きられただけじゃないの、という気もするのですが、ひょっとすると、私が08年末に危惧したように、00年代に入ってから継続的に回復・成長を続けてきたHR/HMのマーケットは既に下降局面に入っているということなのかもしれません。

その考えが杞憂であるかどうかは、00年代のHR/HM人気の復活を牽引してきたA7X、BFMV、TRIVIUM、DRAGONFORCEらの次作のチャート・アクションの動向がひとつの指標になる気がしています。

個人的には、いい作品がちゃんと評価され、売れてくれるならジャンルとしてのトレンドはどうでもいいんですけどね…。

TRIBUZY / EXECUTION (2005)

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PASTOREを聴いていて、ブラジル出身で、シンガーの姓がバンド名になっているバンドって他にもあったな、と思い出してCDラックから引っ張り出したのがこのアルバム。

本作はアンドレ・マトス脱退後のANGRAにおける後任候補の一人だったという噂のあるレナート・トリビュジー(元THOTEN)のソロ・プロジェクト(バンド?)のデビュー・アルバム。

音楽性は正統派のパワー・メタルで、ちょっとプログレ・メタル風の部分もあり、ブラジルのバンドということで期待される、ANGRAのようなメロディック・パワー・メタル的な愛想の良さは薄い、硬派な(地味な?)サウンド。

しかし、音楽性云々もさることながら、本作はとにかくゲストのメンツが凄い。

THOTENのアルバムの制作にも関わっていたキコ・ルーレイロ(G:ANGRA)はほぼレギュラー・メンバーの如く大半の曲のソロを弾いており、#5にはマイケル・キスク(Vo:元HELLOWEEN)、同じく#5および#6にはローランド・グラポウ(G:元HELLOWEEN~MASTERPLAN)がゲスト参加。

#7「Nature Of Evil」はSINNERのカヴァーで、「本人」であるマット・シナー(SINNER, PRIMAL FEAR)とのデュエットを聴かせる(ラルフ・シーパースも参加)。

極めつけは#9における超大物、ブルース・ディッキンソン(Vo:IRON MAIDEN)とのデュエットで、しかもギターはなんとロイ・Zとキコ・ルーレイロのツイン・ギターである。全くもって豪華極まりない。AVANTASIAもビックリだ。

そしてもっと凄いのが、これらのメンツをほぼ全員(マイケル・キスク以外)ブラジルに集めてライヴを行ない、ライヴ・アルバムまで制作してしまったという事実。絶対コイツ、どっかの財閥のドラ息子だ…と思いましたね(笑)。

Voもちょっと線は細いもののそこそこ上手いし、曲もまずまずだけど、どう考えても「凄い」というレベルではないだけに、ゲスト全員のギャラを支払ってなお充分な利益が残るほど売れるとは思えないもん。

そもそもリリース元も「Art Records」なる聞いたこともないレーベルで(自主レーベル?)、普通に考えればこんな豪華ゲストを呼べるほどの制作費が出せるはずがない。

ゲストの豪華さという目くらましに惑わされずに聴くと、ギター・リフや歌メロにフックが足りないかな、という感じ。

ちなみにミックスはANGRAでおなじみ、デニス・ワード(PINK CREAM69)が担当している。【80点】

◆TRIBUZYのMySpace
http://www.myspace.com/tribuzyband