AMARANTHE / AMARANTHE

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デビュー作にしてBURRN!誌でカラー6ページの露出を獲得し、インタビューを担当した藤木記者をして「もしこれが売れなかったら、僕は帽子を食ってみせる(笑)」と、かつてイギリスのプレスがデビュー当時のQUEENに対して放った言葉をパロった表現で絶賛させた新人バンドのデビュー作。

スウェーデンはイエテボリ出身のメロディックなデス・メタル・バンド…というと、またぞろIN FLAMESのフォロワーが出てきたか…と思われるかもしれないが、さにあらず。

たしかに彼らの音楽にはデス・ヴォイスも使用されているが、それ以外に男女2人のノーマル・ヴォイスで歌うシンガーがフィーチュアされており、比率として一番目立っているのは女声シンガーだ。

そもそも彼ら自身完全な新人ではなく、中心人物であるオロフ(G)はDRAGONLANDのメンバーだし、ジェイク(Clean Vo)はDREAMLANDのメンバーである。

その経歴だけを聴くとメロディック・パワー・メタルかと思ってしまうかもしれないが、ここで展開されているのはありがちなメロディック・パワー・メタルやメロディック・デス・メタルとは一線を画す新しいサウンドである。

強いて例えるなら近年のNIGHTWISHやLACUNA COILとIN FLAMESやSOILWORKをミックスし、トランス/テクノ風のKeyアレンジを取り入れたような…という感じだろうか。ぶっちゃけて言うと、BLOOD STAIN CHILDの最新作が最も音楽的に近いアルバムだと思う。

モダンな要素の強いヘヴィ・リフにメロディックなヴォーカル・ハーモニーが絡む楽曲は、デス・ヴォイスなどエクストリームなエッセンスを持ちつつも、多くの曲が3分台とコンパクトにまとまっていることもあって非常にキャッチーで聴きやすく、2008年にMySpaceに音源を公開して以来数多くのレコード会社から引き合いがあったというのも納得のクオリティである。

女性シンガーのエリゼはかつてDRAGONLANDやDREAM EVILなどのアルバムにゲスト参加したことはあるようだが、正式なフロントマンとしての活動は本作が初めてとのことで、かつてマライア・キャリーやクリスティーナ・アギレラ、ビヨンセなどにも影響を受けたというのもさもありなん、というメジャー感溢れる彼女のVoこそがこのバンドを他のバンドから差別化する大きなポイントになっている。

日本盤の発売前に発表された来日公演は原宿アストロホールという小さい会場とはいえアッという間にソールド・アウトしたそうで、まずは幸先も良し。願わくばそのサウンドの大衆性の高さに相応しい商業的な成功を期待したい。【84点】

◆本作収録「Hunger」のPV[YouTube]




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イランのプログレッシヴ・ロック・ギタリスト、“サリム”

先週は週に4回徹夜、土曜日も打ち合わせで仕事、と入社以来最も過酷かもしれない日々を過ごし、その激務は今週も続く勢いですが、そんな中、サイトのメールフォームに一通のメールが来ていました。

メールの送り主はイラン在住のSalim Ghazi Saeediというミュージシャンで、彼の最新アルバムである「Iconophobic(アイコノフォビック)」という作品をレビューしてほしい、というものでした。

これまでにも国内外のミュージシャン、もしくはマネジメント/プロモーターから作品をレビューしてほしい、という打診を受けたことは何度かありましたが、その多くは一方的なプレスリリースの送りつけに近いものでした。

今回の件もそういう「プレスリリースの送りつけ」に近いものではありましたが、イランという恐らくロックを演奏するどころか、聴くことに対してさえ理解があるとは思えない国の方から、「日本語で」依頼のメールをいただいたことには心を動かさずにいられませんでした。

正直、KING CRIMSONというかロバート・フリップのソロ・プロジェクトなどに通じる彼の音楽は私にとってはあまりにもプログレッシヴで、歌なしのインストものということもあって、このサイトでレビューするにはあまりにも違和感があり、また、私自身にこの音楽をレビューする力量はないと感じています。

ただ、このサイト/ブログは私よりも音楽的キャパシティの広い方もご覧になっているようですので、この場を借りて紹介だけでもさせていただこうと思い、このエントリーを書いてみました。

◆比較的HR/HM色の強いと思われる楽曲のPV


・公式サイト: http://www.salimworld.com
・日本語ウェブサイト: http://www.salimworld.com/inter/ja/
・Facebook: http://www.facebook.com/Salim.Ghazi.Saeedi
・Twitter: http://twitter.com/salimgs
・MySpace: http://www.myspace.com/salimghazisaeedi
・新作「Iconophobic」試聴サイト: http://salimghazisaeedi.bandcamp.com/album/iconophobic
・購入リンク: http://cdbaby.com/cd/SalimGhaziSaeedi


BLACK VEIL BRIDES / SET THE WORLD ON FIRE

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前作「WE STITCH THESE WOUNDS」が全米インディー・チャート1位に輝き、ビルボードでも36位まで上昇するヒット作となったBLACK VEIL BRIDESが、メジャーの「UNIVERSAL / LAVA」に移籍して発表する所謂メジャー・デビュー・アルバム。

本作においては、前作にあったエモ/スクリーモやメタルコアなどのモダンな要素が後退し、より王道のHR/HM的なサウンドに近づいているのが最大の特徴。

前作においては女性だったドラマーが男性に交代したことが効いており、アタックの強いメタリックなドラミングがサウンド全体の印象を逞しくしている。

アンディ“シックス”ビアサックのヴォーカルも、前作にあったナヨナヨヌメヌメ感が薄くなり、スクリームも控え目にした結果、時にジェイムズ・ヘットフィールド(METALLICA)を思わせる、かなり男らしいヴォーカルを聴かせるようになったことも、「脱ポスト・ハードコア」を印象づけている。

前作に比べ、ナルシスティックで耽美的なドラマ性や、メロディックなツイン・リードが減少したことは、そこが気に入っていた身としては若干残念ながら、一般的な感覚ではメジャー感が出てきた、と解釈されることだろう。

こんなルックスゆえ、海外の硬派なメタル・ヘッズにはボロクソに叩かれているようだが、キャッチーでありながら意外と骨太なサウンドは次世代のロック・ヒーローとしてのポテンシャルを感じさせるものだ。

最近のこの手のバンドには珍しく、ギタリストの弾くソロが「ただの間奏じゃ終わらねぇぞ!」という気概を感じさせるのもイイ。

先日MURDERDOLLSのサポートとして来日した際、単独公演の日程は3月11日、つまり東日本大震災の当日に組まれていたため、彼らの単独ライヴを観ることができたのは数十人にとどまったようですが、そのレアなショウを目撃することができた人は、近い将来彼らがブレイクした暁には「伝説の目撃者」としてひとつ「自慢のネタ」ができるんじゃないでしょうか。

◆本作のリーダー・トラック「Fallen Angels」のPV[YouTube]


◆個人的には曲としてはこっちが好き「Legacy」のPV[YouTube]



SYMFONIAからウリ・カッシュが脱退

震災の影響で来日公演がキャンセルになったSYMFONIAから、ドラマーのウリ・カッシュが脱退したそうです。

すわ、早くも内輪もめかと思わせつつ、実際は先日報じたウリの腕の神経痛の回復が思わしくなく、今年いっぱいはドラムをプレイすることができそうもなく、これ以上バンド活動の停滞を避けるためにバンドとウリの双方が下した苦渋の決断だっただそうです。

正式な後任は未定ながら、今後しばらく決定しているライヴは先日のデビュー・ライヴで代役を務めたアレックス・ランデンバーグ(AT VANCE, ANNIHILATOR, MEKONG DELTA他)がそのままプレイするそうですので、そのまま正式メンバーになる可能性もあるかもしれません。

「ネーム・バリューのあるメンバーを集める」というティモ・トルキ(G)のビジョンに早くも狂いが生じてしまいましたが、とりあえずファンとしてはウリ・カッシュの病状が気がかりですね…。

◆ニュースソース
http://www.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=159322

ANAL CUNTの中心人物が死亡

史上最低のバンド名と、史上最狂のグラインド・コア・サウンドによって、私のようなメロディ重視派のリスナーにさえその存在を印象付けていたANAL CUNT(日本での表記はA×C×)のフロントマン、セス・プットナムが、去る6月11日、心臓発作で亡くなったそうです。享年43歳。

あれだけグチャグチャの音楽をやっていた人だから、きっと生活もグチャグチャだったのではないかと(勝手に)推測していたので、なんとなく納得してしまいますが、私と10歳しか違わないと思うと早すぎる死であることは間違いありませんね…。

80年代にはスラッシュ・メタル・バンドをやっていたそうですし、ANAL CUNTのアルバムでもいくつか人を食ったようなメタルのカヴァーや、メタルをネタにした楽曲をプレイしていました。さらにはPANTERAの「THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL」アルバムにもバック・コーラスで参加していたそうで、多分、私などとは嗜好は異なるにせよ、この人もまたメタルが好きな人だったのだろうと思っています。

メタルを聴く動機のひとつに、「より過激な音楽を聴いてみたい」というものがあると思います。

若い頃の私にもそれは少なからずあり、このサイトでは意図的にその辺には触れていませんが、スラッシュやデス、当時モダン・ヘヴィネスなどと呼ばれていたバンドなども積極的に聴いていた時期がありました。

そんな時期に聴いたバンドの中でもこのANAL CUNTは一番突き抜けており、人力で作りうる中では最大限にカオスな音楽(には聴こえませんでしたが/苦笑)を創造した人じゃないかな、などと思っています。

今、彼らの初期音源をコンパイルしたアルバムで5,643曲入りEP(12分程度です)などを聴いていますが、やはり私にはただの轟音にしか聴こえません(苦笑)。

しかし、どういう形にせよ私に何らかのインパクトを与えてくれたことは間違いなく、そういう意味で私個人としては謹んで追悼の意を表したいと思います。

◆ニュースソース
http://www.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=159315