SHOW-YA / GANUINE DIAMOND

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ALDIOUSなどの活躍によって注目を集める「女性によるHR/HMバンド」の先駆者であり、プリンセス・プリンセスなどと共に日本のガールズ/レディース・ロック・バンドの代表格として活躍してきたSHOW-YAの、2005年の再結成後、初となるアルバム。

レコーディング音源としては寺田恵子(Vo)不在で制作されたミニ・アルバム「THIS IS MY WAY」(1998)以来14年ぶり、フル・アルバムとしては寺田恵子脱退前の最後の作品で、RATTやWARRANTを手掛けたボー・ヒルをプロデューサーに迎え、オリコン4位に輝いた「HARD WAY」以来なんと22年ぶりとなる作品である。

本作の楽曲は先にライヴで何曲か耳にしており、なかなかいい出来になりそうだと予感していたが、これが予想以上の仕上がりで正直驚いた。

なんといってもアラフォーどころかアラフィフのおばさんバンド(失礼)であるとは思えないほどの勢いがアルバム全体に漲っているのが凄い。2005年の再結成以降、すぐにアルバムを作らず、ライヴ活動を積み重ねてきたのが功を奏したのだろうか。

デビュー当初かなりポップだった音楽性が次第にハードになっていき、後期には「メタリック」とさえ形容できるほどハード&へヴィになっていたが、本作は当時にも劣らぬエネルギッシュな作風で、アップテンポの楽曲が過半数を占めている。

古き良き歌謡曲を思わせるキャッチーなメロディや、時に80年代的、時に70年代的なサウンドで楽曲を彩るKeyサウンドも良いフックとして楽曲を魅力的にしているし、所々で聴かれる最近の若いHR/HMバンドからはほとんど感じることのないR&Rやブルースのフィーリングもまたいいスパイスになっている。

元プリンセス・プリンセスの富田京子が作詞を手掛けるバラード、#7「Life With You」などは年輪を重ねたからこその円熟の味わいだが、やはり今回は思わずアタマを振りたくなるようなエッジーでスピード感のある楽曲の出来の良さをこそ評価したい(特に後半#8、#9、#10の畳み掛けが圧巻)。

サウンド全体としてはさすがに80年代ほどオーバー・プロデュースではなく、90年代以降のナチュラルな音作りになっているが、スピッツなどを手掛けた名手、笹路正徳のプロデュースで、非常にバランスのいいバンド・サウンドにまとまっている。

初期の名曲「Fairy」のセルフ・カヴァーもいい感じで、リアルタイムのファンだったらほぼ100%満足の行く仕上がりじゃないかな。これほど期待に応える再結成アルバムというのはなかなか稀有だと思います。

てか、そもそも女性だけのバンドがデビューから30年近く経って(途中活動停止していた時期を含むとはいえ)オリジナル・メンバーのままでいるってのが色々な意味で凄いよね。男でもなかなか続けられないのに…。【85点】

◆本作収録「流星少女~Shooting Star 196X」のPV [YouTube]


◆本作でリメイクされている「Fairy」のライヴ映像 [YouTube]

冒頭の「うるさい!」がカッコいい(笑)。曲ももちろんカッコいい。


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最近気になったニュースなど

最近ちょっと忙しかったので、あえてスルーしていたニュースで、個人的にちょっと気になっていたものをいくつかまとめてピックアップしておきます。

RAGE「21」のチャート成績

ドイツ:27位
スイス:52位
オーストリア:62位
日本:81位

本国ドイツでは前作に引き続き27位。ドイツ語圏における安定した人気を感じさせるチャート・アクションです。

◆本作収録「Twenty One」のPV [YouTube]


※ニュースソース
http://legacy.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=170789



FREEDOM CALL「LAND OF CRIMSON DAWN」のチャート成績

ドイツ:59位
スイス:67位
フィンランド:74位
スウェーデン:89位

地味ながら、ドイツ、北欧といったメロディック・パワー・メタルが強いとされる地域での着実な支持を感じさせる数字です。
残念ながら日本での人気はいまひとつですが…。質は高いと思うんですけどね…。

◆本作収録「Hero On」のPV [YouTube]

こういうハッピーなノリ、これもまた「ジャーマン・メタル」ならではで悪くないんですけどね。

※ニュースソース
http://legacy.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=171175



SECRET SPHEREからヴォーカリストが脱退

イタリアのSECRET SPHEREから、Voのロベルト“ラモン”メッシーナが脱退したそうです。
お互いの合意に基づく、友好的な別れとのこと。

彼らは新しいVoを見つけ、現在制作中の7作目のアルバムの完成に向けて邁進するそうです。
最近はあまりパッとしませんが、個人的に好きなバンド、好きなヴォーカリストだっただけにちょっと残念。

※ニュースソース
http://legacy.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=170945

◆SECRET SPHERE「More Than Simple Emotions」のPV [YouTube]

彼らのベスト・チューンとは言い難いものの、他にマトモなPVが存在しないようなので…。



マーク・ボールズ、ロイ・Z、ボビー・ロンディネリらによるニュー・バンド

マーク・ボールズ(Vo:元YNGWIE MALMSTEEN, RING OF FIRE, ROYAL HUNT他)、そしてブルース・ディッキンソンやHALFORDの作品に関わり、両者を正統的なメタルの世界に引き戻したことで知られるロイ・Z(G:TRIBE OF GYPSIES, BRUCE DICKINSON, ROB ROCK)、後期のRAINBOWやBLACK SABBATHに在籍したことで知られるボビー・ロンディネリ(Dr:元RAINBOW, BLUE OYSTER CULT, THE LIZARDS他)らがニュー・バンドを結成したそうです。

こういうベテランによるスーパー・グループというと、またANIMETAL USAのような企画モノかと思ってしまいましたが、COMMUNIONといういたってフツーなバンド名からして、ああいうファンの期待を外すようなサウンドにはならないのではないかと思います。

◆COMMUNION公式サイト
http://williebasse.com/Communion/comm/communion.html

※ニュースソース
http://legacy.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=171041



キンバリー・ゴスの近況

CHILDREN OF BODOMのアレキシ・ライホの元妻として知られ、SINERGYのヴォーカリストとして活動していたキンバリー・ゴスの近況がAOLの運営する「Noisecreep」の取材で明らかになりました。

かつてはBURRN!誌でコラムを手掛けるほどの人気者だったにもかかわらず、忽然とシーンから姿を消し、音沙汰のなくなっていた彼女ですが、現在はアメリカのイリノイ州で、テレビ番組のBGMなどを制作する会社で働くかたわら、ロックの学校(?)でパート教師をしているそうです。

彼女は今でも音楽に情熱を持っており、バンドをやりたいという気持ちも持っているものの、現在の彼女の人生におけるプライオリティは5歳になる娘の母親であることで、バンド活動をやるとしても気晴らし以上のものではなく、実際にはあまり現実的ではないようです。

アレキシ・ライホについては、今でも最も大切な友人の一人、と言いつつも、既に二人は全く別の人生を歩んでおり、「制作を始めていたSINERGYの4thアルバムを完成させたいという気持ちはあるけれど、この分じゃリリースされるのは2042年の6月になりそうね!」というジョークで今後一緒に何かやる可能性は低いだろうことをほのめかしています。

こうなると今後彼女が我々日本のHR/HMファンの前に現れることはなさそうですが、同世代の人間として、彼女がそれなりに幸せそうな人生を送っているのを知ってなんとなく安心しました。

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※ニュースソース
http://www.noisecreep.com/2012/03/20/kimberly-goss/

◆かつてキンバリーがやっていたSINERGY「Midnight Madness」のPV [YouTube]

コメントを読むと、既にキンバリーを知らない人も多そうなので追加してみました。

2012年3月31日付ビルボード・チャートが微妙にアツい

3月21日に発表された、3月31日付ビルボード・チャートが地味にアツい感じです。
HR/HM系でTOP10に入るような目立った動きはありませんが、以下の3アーティストはそれぞれ別な意味で興味深いランクインです。

38位 CANNIBAL CORPSE “TORTURE”  9,600枚

デス・メタルの権化というべきCANNIBAL CORPSEのニュー・アルバムがTOP40入り。ついに時代はここまで来たか、という感じですね。

もちろん実売枚数で言ったら、5th「Vile」(151位)以外TOP200にもランクインしなかった90年代の方が上だったのだろうと思いますが、それでも前々作170位→前作66位からのランクアップは、彼らの支持層がいかに確固たるものであるかを感じさせられます。

◆本作収録「Encased In Concrete」のPV [YouTube]


※ニュースソース
http://legacy.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=171540




82位 SOULFLY “ENSLAVED” 5,900枚

一方でSOULFLYは前々作66位→前作73位からの82位ですから、こちらは下降傾向が顕著。実売枚数でいえば前作とほとんど変わっていないんですけどね。

◆本作収録「World Scum」のPV [YouTube]


※ニュースソース
http://legacy.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=171541




70位 ADRENALIN MOB “OMERTA” 6,600枚

そして、マイク・ポートノイ(Dr:元DREAM THEATER)とラッセル・アレン(Vo:SYMPHONY X)による注目のニュー・バンド、ADRENALIN MOBのデビュー作「OMARTA」は70位に初登場。

SYMPHONY Xの最新作のチャート最高位(76位)よりは上ですが、正直DREAM THEATERの最新作のチャート最高位(8位)と比べるとかなり地味な売れ行き。

マイク・ポートノイはDREAM THEATERの中心人物でしたが、やはり音楽のクオリティが保たれてしまうとブランド・ネームがある方が強いですね。
そういう意味ではANGRAやSTRATOVARIUSと同じ道をたどってしまいそうな観も。

ギター・マニアックスの間では評価の高いマイク・オーランド(G)や、全米No.1の常連バンドであるDISTURBEDのベーシストをメンバーに迎えるなど、話題性はそこそこあると思うんですけどね。

◆本作収録「Undaunted」のPV [YouTube]


※ニュースソース
http://legacy.roadrunnerrecords.com/blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=171539


MINSTRELIX / TALES OF HISTORIA

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2004年にTakao(G)を中心に結成されたメロディック・パワー・メタル・バンドのサード・アルバム。バンド名は「Minstrel(中世吟遊詩人)」と「Relic(遺跡・遺物)」を掛け合わせた造語。

デビュー・フル・アルバムおよび、過去音源のリメイクを中心としたセカンド・アルバムではLolaなるアメリカ人女性がVoを務めていたが、本作では、マニアの間で彼らの認知・評価を一気に高めた名曲デモ「Thirst For…」および、オークションでは数万円の値段がつくという初期音源EPを歌っていたLeo Figaroの復帰作となっている。

私の知っている初期のLeo Figaro在籍時にはもう少し欧州のメロディック・パワー・メタル・バンドからの影響がダイレクトに感じられたが、本作ではGALNERYUSとDRAGON GUARDIANを7:3の割合でミックスしたような、ある意味日本的な(主に歌メロのセンスの点で)メロディック・パワー・メタル・サウンドを鳴らしている。

スピード・チューンを中心に、プログレッシヴな要素をちりばめ、時にメロディック・デス・メタル的なエッセンスや欧州民謡を思わせるアレンジなど、この手の音楽のファンが好む要素でサウンドをまとめているあたり、やっている当人たちもこの手のサウンドが好きなのだろうな、と感じさせられる。

楽曲の平均点は高く(中でも#11はお気に入り)演奏、サウンドともインディーズのバンドとしてはまずまずのクオリティに達しており、日本のバンドにおける課題となりがちなVoも安定していて、そういう意味では安心して楽しめるアルバムに仕上がっている。

ただ、このバンドならではの個性というのはそれほど感じられず、今ひとつ突き抜けるものを感じないのも事実で、その辺りはちょっと歯痒い所。

初期に比べ安定感を増したLeoのヴォーカルも、自分の声が美しく響く声域で朗々と歌おうとした結果、やや一本調子な感もあり、それが私にとってこのバンドが突き抜けることができない一因となっているようにも思われる。

ネオ・クラシカルな美味しいフレーズを連発するギターといい、楽曲を煌びやかに飾り立てるKeyといい、本来であれば私のストライクゾーンど真ん中であるはずのサウンドで、もし90年代にこのレベルのバンドが出てきていたらきっと感涙にむせんだと思うが、シーン全体に厚みが出て底上げされた現代にあっては国内良バンドのひとつ、というか、意地悪な言い方をすればGALNERYUSの縮小再生産に思えてしまうのがもったいない。

まあ、同系他バンドとの比較の中でそのサウンドを評価するのはあまりフェアじゃないかもしれませんが、このフィールドで勝負する限り、GALNERYUSがひとつのベンチマークとなることは確かで、彼らを凌駕するか、差別化する何かを打ち出さないと「マニアの間で好評」以上の評価を獲得するのは難しいのでは。

GALNERYUSが10万枚売れる世の中であれば確実にメジャーに行けるクオリティではあるが、実際には日本にこの手のバンドがメジャーに2つも3つも存在できる余地はないと思われるだけに、このレベルに甘んじていては上に行けない…などと余計なことを考えてしまうのは、いいセンスを持っていると思えばこそ。

歴史上の著名な女性をテーマにした(なぜか「天空の城ラピュタ」のシータが混じってるけど/笑)ことに由来するというアルバム・タイトルはナムコ(現バンダイナムコゲームス)の人気RPGシリーズへのオマージュでしょうか。【81点】

◆本作のクロスフェード・サンプル [YouTube]



摩天楼オペラ / JUSTICE

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VERSAILLESに続くシンフォニック・メタル風ヴィジュアル系バンドとして一部メタル・ファンの間でも注目を集めているKeyを含む5人組のメジャーからのリリースとしては初となるフル・アルバム(本作の前にインディーズで1枚のアルバムと2枚の企画盤、メジャーでミニ・アルバムのリリース実績あり)。

メロディック・スピード・メタル・マニアの間で評価の高かったMASTERPIECEの元メンバー(GとDrおよび脱退済みの前任Key)を擁していたり、Voが専門学校時代に元MAKE-UPの山田信夫のレッスンを受けていたなど、経歴的にもメタルとの接点は多く、実際メンバーたちはメタルからの影響を公言している。

私がこのバンドを知ったのは、昨年リリースされた現代のV系バンドたちによる90年代ヴィジュアル系バンドのトリビュート・アルバム「CRUSH! -90's V-Rock best hit cover songs」でXの「紅」をカヴァーしていたことがきっかけ。

彼らのオリジナル音源をちゃんと聴くのはこれが初めてで(YouTubeなどで多少聴いたことがある程度)、どんなもんでしょとCDの再生ボタンを押してみると、やや薄っぺらなKeyサウンドと軽いDrサウンドにちょっと肩すかし。

ただ、その後クワイアやギターの速弾きが入ってきたりして盛り上げた後、なかなかよく通る声のヴォーカルが入ってくると結構悪くない感じ。

「シンフォニック・メタル」というにはVERSAILLESほどコテコテではなく、バンドのコンセプトであるという「現代的なもの(摩天楼)と伝統美(オペラ)の融合」というバンド名が表す通り、ややモダンなアレンジもかなり使用されている。

全体としてはX JAPANやSEX MACHINEGUNS、VERSAILLESのように「こりゃ完全にメタルだな」と思える領域まで吹っ切れてはおらず、かつてSIAM SHADEやJanne Da Arc、Dあたりを聴いたときに感じたような「HR/HM色の強いJ-ROCK」というのが個人的な印象。

それはまあ曲調の幅の持たせ方やアレンジ、Voが前に出た音作りなど様々な要因があるものの、最大の理由はやっぱりV系特有のヴィヴラートを強調したヴォーカル、ということになるんでしょうね。

声域はまずまず広そうだし、歌唱力もなかなか高そうながら、やはりこの歌唱スタイルに抵抗がある人はいるでしょうねえ。

個人的には歌唱スタイルよりも、なまじよく通る声だけに#7「21mg」のような青臭いモラトリアム全開の歌詞が耳について気になってしまったのですが(苦笑)。

とはいえヴォーカル面の問題(聴き手側のものです)を無視すれば、演奏の随所にはメタル魂を感じるし、インスト・ナンバーの#9や、それに続く疾走シンフォニック・メタル・チューン#10「アポトーシス」などはメロディック・メタル・ファンの耳を引くことでしょう。

個人的には彼らのモダンな側面が強く出た#5、#6、#8といった楽曲も嫌いじゃないというか、むしろこの手の楽曲の方が完成度が高い気がするし、日本のロック・シーンで売れていくためにはこっちの路線を強化したほうが見込みあるかも。

最近あまりこの手のV系ロックを積極的に聴いていなかったので、最初のうちはちょっと拒絶反応めいたものもあったのですが、何度か聴いているうちにかつてのV系魂(笑)が蘇ってくると、そのメタルっぽさよりもむしろキャッチーな楽曲作りのセンスに魅力を感じるようになりました。

いわゆるヴィジュアル系の音楽に抵抗がない方であれば一聴の価値ありかも。

◆本作収録「Justice」のPV [YouTube]


◆本作収録「Helios」のPV [YouTube]

この曲は結構シンフォニック・メタルっぽい方かも。