DGM / SYNTHESIS

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イタリアのプログレッシヴ・パワー・メタル・バンド、DGMのライヴDVDとリメイク・ベストをカップリングした商品。ライヴは2010年の4月24日に行なわれたローマ公演のテイクで、選曲は以下の通り。

01. Heartache (From the album 'Frame', 2009)
02. Enhancement (From the album 'Frame', 2009)
03. No Looking Back (From the album 'Frame', 2009)
04. Hereafter (From the album 'Frame', 2009)
05. Some Day, One Day (From the album 'Different Shapes', 2007)
06. Not In Need (From the album 'Frame', 2009)
07. In A Movie (From the album 'Frame', 2009)
08. Away (From the album 'Frame', 2009)
09. Brand New Blood (From the album 'Frame', 2009)
10. New Life (From the album 'Different Shapes', 2007)
11. Is Hell Without Love? (From the album 'Misplaced', 2004)

基本的には現在のVoが加入した最新作からの楽曲が中心で、それ以外の曲もラストの#11を除くと、現在の音楽的中心人物であるシモーネ・ムラローニ(G)加入後の楽曲で占められている。

この映像で観られるパフォーマンスは、ルックスやステージングこそいささか華に欠けるものの(失礼)、非常にテクニカルでスリリングなプレイはイタリアのローカル・バンドとは思えない高い水準に達している。

残念ながらオーディエンスはあまり熱狂的に盛り上がっているようには見えないが、それは彼らのあまりの激テクに呆然としてしまっているのかもしれない(?)。

いや、真面目な話、それほどたくさんのライヴを行なえているとは思えないにもかかわらず、これだけのパフォーマンスができるのは卓越した演奏力があってこそだろう。テクニック派にとって観応えは充分、ファンであれば必見だろう。

CDの方は、現Voのマーク・バジル加入以前の楽曲を現在のラインナップで再録した10曲入りの内容で、選曲は以下の通り。

01. Just Like Before (新曲)
02. The Only One (新曲)
03. A Day Without The Sun (From the album 'Hidden Place', 2003)
04. Living On The Edge (From the album 'Misplaced, 2004)
05. Dreamland (From the album 'Dreamland', 2001)
06. Eternity (From the album 'Dreamland, 2001)
07. Save Me (From the album 'Hidden Place', 2003)
08. Guiding Light (From the album 'Wings Of Time', 1998)
09. Through My Tears (From the album 'Misplaced', 2004)
10. Is Hell Without Love? (From the album 'Misplaced', 2004)

#1と#2は先日日本盤がリリースされた彼らの新作「MOMENTUM」の日本盤ボーナスとして収録されている。

ディエゴ・レアリ(G)が主導権を握っていた時代の楽曲のリメイクについては、基本的にはオリジナルを尊重しつつも、よりエッジの効いた音作りとストレートなアレンジによって、メタリックな印象が強化されている。

オリジナルのどこか輪郭のハッキリしない幻想的なムードとまろやかな味わいが薄れ、より硬質でパワフルなサウンドになっていることをプログレッシヴ性の減退と受け取る人もいるかもしれないが、個人的には新しいバージョンの方がアグレッシヴでカッコいいと思える。

いや、マジでこれだけの実力を持ったバンドがほとんど無名のままってもったいないな。昨年CIRCUS MAXIMUSがあれだけ受けたんだから、ぜひLOUD PARKに彼らを出演させてほしいですね。

◆前作「FRAME」収録の「Hereafter」のPV [YouTube]


◆新作「MOMENTUM」収録の「Reason」のPV [YouTube]



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『週刊朝日』にフィンランドのメタル・バンドが登場

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VICTOR ROCKSさんのツイートで、今週売りの『週刊朝日』にTURISASが登場していることは認知していました。

が、「ケッ、どうせイロモノ・バンドとしてネタにされてんだろ」と被害妄想を働かせ、スルーしていました。

しかし今日、会社のビルに入っているコンビニで夕食のパスタを温めてもらっている間、フラッと雑誌コーナーに来てみると、その『週刊朝日』が置いてある。

「べっ、別に見たいわけじゃないんだからね! ただ、今ちょっと手持ち無沙汰だから、10秒くらいなら見てあげてもいいかな…なんて、ホントにただそれだけなんだから!」と心の中で呟きつつ、ページをめくる。

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「バ…BATTLELOREがカラー扉…だと…。BURRN!でもモノクロ扱いでしか登場したことがないのに…」

(30秒後)

「すみません、これも下さい。Suicaで払います」

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扉ページ合わせてカラー5ページの露出。まさかここまでボリュームのある記事として扱われているとは正直予想外でした。

まあ、実際の所、私が危惧していた「イロモノ扱い」的なニュアンスはあって、取り上げられているのは冒頭のBATTLELOREや、TURISASの他、KORPIKLAANIやMOONSORROW、ENSIFERUMといったフォーク/ヴァイキング系のコスプレみたいなバンドや、LORDIやHEVISAURUSといった着ぐるみ系のバンドのような、見た目のインパクトが強いバンドばかり。

フィンランドのメタル人気の立役者というべきSTRATOVARIUSや、アメリカでゴールド・ディスクを獲得するほどの人気を誇るHIM、欧州を代表する人気バンドに育ったNIGHTWISH、エクストリーム・メタル・シーンで強い影響力を持つCHILDREN OF BODOMといった、いわゆるメタル・ファンがフィンランドのメタルと聞いて思い浮かべるようなバンドには全く触れられていない。

フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」について記事中で触れつつ、これまで一貫してその「カレワラ」をテーマにした曲をプレイし続けてきたAMORPHISにはノータッチ。

そういう意味ではやはり生粋のメタラーにとって満足できる内容とは言い難いのですが、「10代のみならず、40代、50代の大人も愛聴し、ラジオからは日常的にヘヴィ・メタルが流れ、カフェでも当たり前のように流れている」という状況や、国が「ヘヴィ・メタルのバンドが国外ツアーを行なうときに旅費を出すことも珍しくありません」といった「フィンランド事情」の話はなかなかに興味深い。

LORDIの紹介文には「着ぐるみは当初、女性メンバーの手縫いだった」という、心温まるちょっとした小ネタも。

LORDIの写真は来日時のものですが、その写真を提供した人のブログを発見。
「撮って皆ですぐ逃げた」に笑いました。明らかに器物損壊。

まあ、飯を食いながら眺める暇つぶしとしては悪くない記事でした。
次回は(あるのか?)もっと突っ込んだ続編記事を希望します。

ちなみに、コレを会社の席で読んでいるとき覗き込んできた後輩の言葉は、
「なんスか、このオンラインゲームみたいな人たちは?」でした…。

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◆この記事を担当した和田靜香氏のHP(2013年3月26日にこの記事についての文章あり)
http://homepage3.nifty.com/hypochon/

THOUSAND EYES / BLOODY EMPIRE

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LIGHTNINGのG、Kouta(Bach名義でTHOUSAND LEAVESという同人系プロジェクトでも活動)、AFTERZEROのDougen(Vo)、YOUTHQUAKEやVOLCANOでの活動で知られるAkira(B)、KNIGHTS OF ROUNDのJuhki(Dr)、TEARS OF TRAGEDYのToru(G)によるニュー・バンドのデビュー・アルバム。

2011年10月にKoutaによるプロジェクトとして誕生、翌2012年6月にメンバーのラインナップが固まり、THOUSAND EYESと名乗ることになる。

デモを制作しつつ、同年12月には「SPIRITUAL BEAST」との契約が成立、そこからMETAL SAFARIのHiroをミキシングとマスタリングに迎えてこの2013年3月に本作がリリースされたというから、(本人たちはどう思っていたかはともかく)随分トントン拍子に事が進んだものだという気がするが、それも納得の強力なサウンドだ。

本作におけるAT THE GATESやARCH ENEMYを彷彿とさせるアグレッシヴなメロデス/デスラッシュ・サウンドには一片の迷いも感じられず、全曲アップテンポで一気に聴かせてくれる。

もちろんアグレッシヴなだけなら私は興味を抱かなかっただろうが、本作の随所で時に絡みつくように、時にほとばしるように響き渡るメロディックなリード・ギターの煽情力と泣きは半端ではない。

この攻撃性と叙情性の類い稀な融合で真っ先に思い出したのは、屍忌蛇率いるVOLCANOの名作「VIOLENT」。奇遇なことに(?)、そのVOLCANOのメンバーもいるわけだが。

私にとってこれはまさにVOLCANOの「VOLCANO」以来の衝撃。ちょっと一本調子に感じられる部分もあるが、それすら潔さとして讃えたくなるような傑作だ。カタルシス・ミュージックとしての完成度は絶品。

今日びことさらに海外のバンドと比較してどうこう言うような時代ではないが、これは完全に世界レベル。日本のバンドだからという理由でスルーしているメタル・ファンは、エクストリーム派はもちろん必聴だし、メロディ派でもデス系がイケる人はぜひ聴いてみてもらいたい。【87点】

◆本作のトレーラー映像 [YouTube]



AMARANTHE / THE NEXUS

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デビュー作が好評を博した彼らのセカンド・アルバム。

基本的には前作の流れを順当に受け継ぐ作風であるが、前作発表後、数多くのライヴをこなしたことが影響しているのか、よりタイトで強靭なサウンドを聴かせてくれる。

伝統的なセンスとモダンなセンスがハイブリッドされたメタル・サウンドをベースに、エレクトロなKeyアレンジが彼らの個性を主張し、そこにメインストリームのポップスをさえ思わせるエリゼの歌唱と、ジェイクのイマドキなイケメンヴォイス(なんだそりゃ)と、アンディのスクリームが織りなすそのサウンドは、若者にとっては適度な刺激とわかりやすいキャッチーさが共存した「新しい音楽」として響くことだろう。

メタル・サウンドとダンス・サウンドのミックスに挑んだかのようなそのサウンドは自称「センスのいい人」にとっては悪趣味の極みかもしれないが、ここまでの完成度に達していれば自称音楽通の批判などがその人気を妨げることは難しいはず。

即効性のあるキャッチーさという点では前作の方がやや優れているかもしれないが、フューチャリスティックな世界観を含め、より細部の完成度を上げてきた至極真っ当な「衝撃のデビュー作に続くアルバム」だ。近未来的なサウンドでありつつ、エリゼのエモーショナルな歌声によって、変に人工的な印象を与えないのもいい。

このままメタル・ファンの境界線を超えるポテンシャルを秘めたこのサウンドで突っ走って全世界でブレイクしてもらいたいですね。

この出来なら来日公演もぜひ観たいのですが、その後強烈な来日ラッシュだしなあ…。しかもハコがクアトロだし…(あんまり好きな会場ではないのです)。【85点】

◆本作のタイトル曲「The Nexus」のPV [YouTube]



METALLION Vol.45の感想

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久しぶりにMETALLIONを買いました。

BURRN!本誌で「メロディック・ロック特集」という告知を見たときに、ついにMETALLIONに異動になった藤木氏が自分のやりたいことをやったか、と思いましたね。

この号の目玉はFAIR WARNINGとROYAL HUNT。私のような90年代からHR/HMを聴き始め、メロディックなものを中心にCDを買っていたようなクチにとってはもはや「御用達」とも言えるバンドです。

どちらも「ビッグ・イン・ジャパン」の代表として語られるMR.BIGなどより徹底した「ビッグ・イン・ジャパン・オンリー」なバンドゆえ、増刊とはいえ、この2バンドがメインになりうる雑誌など日本以外ではありえないでしょう(苦笑)。

FAIR WARNINGのインタビューは、正直あんまり面白くありません。昔から不思議だったんですけど、彼らってどうやって生計を立てているのかさえ謎に思えるほど日本以外では全然売れていないはずなのに、インタビューだけ妙に大物アーティストっぽいんですよね。

大物アーティストっぽいというのは、要はファン以外にとっては全くもってどうでもいいオレ様ワールドを語るばかりってことで、それはまあそれでアーティストとしてのブランディングとして間違っていないとは思うのですが、かなり熱心なファン以外にとっては興味を持ちにくいかな、と。

彼らの新作「SUNDANCER」は、かつて日本で大ヒットしたセカンド「RAINMAKER」と対をなすような作品とのことで、当時「RAINMAKER」に感動した身としては本来期待すべきなのでしょうが、ここ数作の出来や、今回のインタビューを読む限り今ひとつ期待感が湧いてこないというのが正直なところです。

一方、ROYAL HUNTのインタビューはかなり面白い。新作ではなくバンドの歴史にフォーカスしたインタビューであるため、「裏話」的なネタが多いのがミソ。まあ、「裏話」なんてのは「表の話」を知っていて初めて楽しめるものなので、そういう意味ではこのバンドのインタビューもまたファン向けであることは間違いないのですが。

アンドレが「PARADOX」のことを「あまりいいと思っていない」ということは、我が国に多い「PARADOX」信者にとっては驚きでしょうが、私はレビューをご覧いただいている方ならお察しの通り、それほど飛び抜けた出来だとは思っていないのでわからなくもありません。

しかし、一番のお気に入りが「FEAR」であると思われる発言をしていることにはひっくり返りそうになりました。よりにもよってアレですか?

ただ、今回なんと彼らがテイチクの「METAL MANIA」レーベルに在籍していたときに担当ディレクターを務めていた岸本正彦氏のインタビューなども掲載されているのですが(これもまた一般リスナーが知りえない裏話満載で非常に興味深い)、それらも合わせて考えると、やはり当時のアンドレ・アンダーセンは相当D.C.クーパーに対するフラストレーションが強かったようなので、それが「PARADOX」と「FEAR」の評価に影響しているような気がしますね。

その他のインタビューとしては、まずは私が長年(ひっそりと)応援してきたSECRET SPHEREがカラー3ページで掲載されていることに感銘(笑)。

そのインタビューで、私の愛する彼らのセカンド「A TIME NEVER COME」を、ミケーレ・ルッピ(元VISION DIVINE)を迎えた現在の編成で録り直すという話があり、それは俄然楽しみですね。当時とKey奏者が替わっていることが若干の不安要素ですが…。

続くW.E.Tのインタビューも興味深かった。W.E.Tを構成する「E」であるECLIPSEのエリック・モーテンソン(B,Vo)が一番好きなアーティストがAC/DCで、メロディック・ロックはほとんど聴かない、というのも驚きですが、日本人が一番驚くのは以下のやり取りではないでしょうか。

インタビュアーの「スウェーデン出身のメロディック・ロック・バンドはとても多いのに、実質的にはこの手の音楽はスウェーデンでは人気がありませんからね」という発言に対し、エリックは世界中から来るメールで「一体どうしてスウェーデンからこんなに沢山の良いバンドが出てくるんだ?」と訊かれ、「スウェーデンはメロディック・ロック安息の地だと思われてる」と言いつつ、以下のように答えていて、それは記事の見出しにもなっている。

「スウェーデンにはメロディック・ロックのシーンがあると思われているけど、実際にはないし、そんなシーンは世界のどこにもないと思うよ」

…という身も蓋もないお話でした。まあ、実際の所HAMMERFALLやSABATONのようなパワー・メタル・バンドや、IN FLAMESをはじめとするエクストリーム・メタル系のバンドこそスウェーデンのチャートで成功しているという話を聞きますが、いわゆるメロハー、AORのバンドでそういう成果を上げたという話は寡聞にして聞きませんからね。実際は彼の言う通り「メロディック・ロック・ファンの小さなコミュニティが世界中のあちこちにあって、それがインターネットで繋がっている」だけなのでしょう。

しかし、W.E.Tを構成する「W」のWORK OF ARTのロバート・サール(G, Key)なんて、ここ数年で出てきたミュージシャンの中でも屈指の優れたメロディック系ソングライター(そして演奏も上手い)だと思うのに、そんな人がミュージシャンとして生計を立てられず、アーティストとして食べていくことを諦めてしまっているという話を聞くと、「世も末だなー」と思わずにはいられませんね。

まあ、私もコンテンツ産業に関わっている人間なので、今後娯楽の分野においてはお金を取ってコンテンツを提供するプロフェッショナルというものはなくなっていき、Webを通じて無料で提供されるもの(ニコニコ動画の「~してみた」やニコ生などがその典型)が人々の娯楽の中心を占めるようになっていくのが大局的な流れだということは理解しているのですが…。

その他、BURRN!本誌であればモノクロ2ページ、下手すれば1ページで「処理」されるような、(セールス的な意味で)泡沫的なアーティストのインタビューがカラー2ページで読むことができ、そこにヴィジュアル系バンド専門誌であれば逆にもう少しいい扱いが得られるであろう摩天楼オペラのインタビューも紛れているのが面白い。

あと、個人的には「Frontiers Records」のオーナーであるセラフィノ・ペルジーノ氏のインタビューが載っているのが興味深かった。案の定、心の底からメロディック・ロックを愛していること、そして自分の好きな音楽を世に出していくことに対する信念が感じられるインタビューでした。

オールド・ファッションな音楽ばかりをリリースしているレーベルだけあって、売上の90%以上を(デジタル・ダウンロードではなく)CDが占めているという話を聞いてさもありなん、と思いました。自分もそうですが、この手の音楽を好む人は音楽に対する向き合い方からしてオールド・ファッションなんでしょうね。

別に新しモノ好きな人たちをdisるつもりはありませんが、そういうオールド・ファッションな音楽趣味の持ち主の方が本当の意味で自分の感性に忠実に音楽そのものを愛していると思いますね。「この音楽を聴くことがオシャレ」とか「このバンドを聴くことがカッコいい」とか「このアーティストのメッセージに共感する」とか「メンバーのキャラクターが魅力的」みたいな思考と無縁であるという意味で。

ただちょっと残念だったのは、セラフィノ・ペルジーノ氏はこのレーベルでPLACE VANDMEやALLEN / LANDE、W.E.Tといった優れたプロジェクトを企画して世に送り出してきたのに、自分たちのレーベルが送り出した最高の作品として挙げているのはJOURNEY、TOTO、WHITESNAKE、ELO、YESといったベテランアーティストの作品ばかりだということ。

もちろんそれらのアーティストは偉大なアーティストで、今なおそんじょそこらの若手には決して作れない優れたアルバムを生み出しているとは思いますが、もうちょっと自分たちが育てたプロジェクトに誇りを持ってもいいんじゃないですかね。ALLEN / LANDEやW.E.Tのファーストは充分それらに比肩する作品だったと思いますよ。

その後、ALDIOUSやCYNTIAといったガールズ・バンドのライヴ・レポート、および私も足を運んだMELODIC METAL CIRCLE VOL.14のレポートを挟んで、渋谷にあるメロディック・ロックをかけるバー、「SWEEET ROCK」の紹介記事(パブリシティ?)。

オーナーであるAkiさん(女性)のフェイヴァリット・アルバムにTRIUMPHの「SURVEILLANCE」、LUCIFER’S FRIEND IIの「SUMO GRIP」という、普通の名盤ガイドではまず選ばれない、しかし個人的にはかなり好きなアルバムがチョイスされていて思わずニヤリ。今度行ってみようかな。

最後は表紙にも謳われている「メロディック・ロック必聴盤ガイド112枚」という特集。なぜ112枚なのかは不明。

冒頭に色々な所で紹介される機会の多いメジャーアーティストの定番作品はあえて除外しているとの断り書きがあり、その辺にもマニア気質の強い藤木氏ならではのこだわりが感じられますが、その「定番作品」の例として挙げられているのがまたへそ曲がりの(?)藤木氏らしい。

ASIAは「ALPHA」、BOSTONは「DON'T LOOK BACK」が挙げられているが、どちらも一般的にはデビュー作でしょうし(藤木氏は昔からそれらのアルバムをより評価していましたし、少なくともBOSTONに関しては私も同感ですが)、BON JOVIもファーストが挙げられていますが、定番はサードの「SLIPPERY WHEN WET」でしょう。

M.S.G.の「BUILT TO DESTROY」やPRETTY MAIDSの「JUMP THE GUN」、TOTOの「ISOLATION」、UFOの「MISDEMEANOR」なども定番扱いするのはちょっと疑問なセレクトですね(笑)。

そもそも定番として除外されているバンドのうちMAGNUMや38 SPECIALなどは既にバンドの知名度自体が日本のHR/HMファンにとってはかなり怪しいような…。

それでいてEVANESCENCEの「FALLEN」なんて世界で1000万枚以上も売れたような超メジャー作品や、この雑誌の表紙を飾っている、日本のメロディック・ロック・ファンにとってはまさに「定番」というべきFAIR WARNINGのアルバムが選ばれていたり、この辺の線引きはかなり疑問(まあ、実際「線引きは難しい」と自分で言っていますが)。

いわゆる「メロディアス・ハード」に限らず、パワー・メタル系のアルバムやネオ・クラシカル様式美、そして先述の通りEVANESCENCEなども選ばれていますが、BURRN!誌を長いこと読んできた人であれば「ああ、このアルバム推されてたな」と感じるアルバムが目白押し。

古い作品の中には今聴くと結構しんどいアルバムもあるような気がしますが、まあマニアであれば聴いて損のないアルバムが数多く紹介されていると思います。

ただ、マニアでない人(そんな人がこの雑誌を読むとは思えませんが)に何よりも言っておきたいのは「まずは定番から聴け」ということに尽きますね。

やはり定番とされる作品は「マニア受け」のアルバムより格段にレベルが高いことが多いので、まずはそこを押さえておかないことには自分の中の基準がおかしなことになってしまいます。

自分にとって「良い音楽」基準がちゃんと高い所に設定されていないと、「何でも良いものに思えてしまう」という事態になりかねません(それはそれである意味幸せなことかもしれませんが…)。

こういうサイト/ブログをやっている人間がこんなことを言うのはいかがなものかと思いますが、音楽以外にも楽しいこと、やるべきことはたくさんあるはずで、時間もお金も有限である以上、自分の人生にとって本当に有益なものは何なのか、その価値観をちゃんと養った上で音楽に向き合うことが大切だと思います。

単なる雑誌の感想のはずが、なんだか妙に説教臭い文章になってしまいましたが、その辺はかつてマニアックな作品に手を出して相当なお金と時間を無駄にしてしまったと感じている人間の経験に基づくおせっかいなアドバイスとお考えください(笑)。

◆発行元であるシンコー・ミュージックのWebサイト
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=2175021304