STRYPER / SECOND COMING

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LOUD PARK 11における好演の記憶も新しい、クリスチャン・メタルの元祖として知られるSTRYPERの初期楽曲のリ・レコーディング・アルバム。

オビなどのには「リ・レコーディング・ベスト・アルバム」と謳われているが、収録曲がデビュー作「YELLOW AND BLACK ATTACK」からサード・アルバム「TO HELL WITH THE DEVIL」までの3作に限定されており、彼らのディスコグラフィーを網羅するものになっていないため、個人的に「ベスト」という表現には抵抗がある。

これまでの経験からするとリ・レコーディング音源がオリジナルを超えていたことなどほとんど記憶にないので購入は見送ろうかと思っていたが、Web上で聴いた「Soldiers Under Command」が存外良かったので買ってみた。

全体としてはかなりオリジナルに忠実なリ・レコーディングで、当時より録音技術が進歩した分、少なくとも若いリスナーにとってはオリジナルよりサウンド・プロダクションが良くなったと感じられるだろうし、初期においてはかなりドタバタしていたロバート・スウィートのドラムに安定感が増しているため、「初期楽曲をより良い状態で聴かせる」という目的は達成されているのではないかと思われる。

とはいえ、オリジナル音源に慣れてしまっているオールド・ファンにとっては、ややギターが前に出てヘヴィさを増したアレンジに、「あのちょっと線の細い所が良かったのに…」と感じる人も少なくないのではないか(てか、それは私なのですが)。

いずれにせよ、LOUD PARK 11でも依然衰えぬ美声を披露したマイケル・スウィートの歌唱もあり、これだけオールド・ファンの「美しい思い出」を汚さない作品に仕上げているのはやはり立派というべきで、オールド・ファンが買って失望するようなアイテムではない。

個人的には「TO HELL WITH THE DEVIL」収録の名バラード「Honestly」が外されていること(恐らくあまりに80年代的でポップな甘口バラードだからだろう)、そして個人的にはアルバム単位では一番好きかもしれない「IN GOD WE TRUST」、歌詞テーマがキリスト教を離れ、音楽的にも多様性を増した異色作「AGAINST THE LAW」(でも「Caught In The Middle」など従来路線の佳曲もあった)の楽曲が収められていないことは不満ではあるが、実際ライヴでプレイされているクラシックがこの辺の楽曲だけなのだとしたら、新たな入門者にとっての「予習アイテム」としては充分意味があるのかも。

「クリスチャン・メタル」というのはあくまで歌詞テーマやバンドの姿勢の話であって音楽性を規定するものではない(何しろ今はキリスト教について歌うブラック・メタルさえ存在しているというのだから!)。

しかし、STRYPERのメロディアスでスウィートでありながら、決して単なる「メロディアス・ハード」や「ハード・ポップ」にはならない(楽曲単位ではそういう曲もないではないが…)独自の清潔なメロディック・メタル・サウンドは今聴くと「ありそうでない」音であり、やはり黄色と黒の縞々の衣装や、ステージから聖書を投げるパフォーマンスといった色物めいた部分を除いてもメタル史に何らかのインパクトを残す存在だったのだな、と再確認させられます。

なお、本作に収められた新曲のうち#15「Bleeding From The Inside Out」は正直メロディ派のリスナーにとってはつまらない曲ですが、#16「Blackend」はブリッジからサビにかけての流れとコーラス・ワークはそこそこメロディアスなのでまあまあ聴けます。

◆メロディ派のメタル・ファンで未聴の方にはぜひ聴いてもらいたい名曲「Soldiers Under Command」[YouTube]



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GAMMA RAY / MASTER OF CONFUSION

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GAMMA RAYの「シングル」が日本でリリースされるのは久しぶりだ。2001年の「Heaven Or Hell」以来だろうか。

今回このシングルがリリースされたのはGAMMA RAYの人気が再び上向いてきたから、というわけではなく、既にブッキングされているHELLOWEENとの「HELLISH ROCK Part II」ツアーにニュー・アルバムの完成が間に合わず、とりあえずツアーに期待を持たせるための「つなぎ」のアイテムとして発表されたのだろう。

かつてであれば新曲2曲に、カヴァー曲2曲で充分「商品」として成立したことだろうが、この音楽不況のご時世だけにライヴ音源を6曲プラスしてボリューム感を出している。

とはいえこのライヴ音源は、昨年リリースされたライヴ作品「SKELETONS & MAJESTIES LIVE」の、「映像には入ってたもののCDには収められていなかった曲」でしかなく、このEPのために用意された音源ではないので、やはり「オマケ」感は否めない。

本人たちは「世界最長のシングル」などと言っているが、少なくとも日本盤は「シングル」とは呼び難い価格設定がされているので、そういう意味でも本人たちが狙ったほどの「お得感」はあまりないかも。

肝心の音楽についてだが、来年発売されるニュー・アルバムのタイトル曲となる予定の#1「Empire Of The Undead」はJUDAS PRIESTのエッセンスを感じさせつつ、アグレッシヴなパワー・メタルに仕上がっており、メタル・ヘッズであればイントロ・リフの時点で興奮を誘われることだろう。

続く本シングルのタイトル・トラック「Master Of Confusion」はGARY MOOREの「Out In The Fields」を思わせる(つまりHELLOWEENの「I Want Out」と同系統の)、「カイ・ハンセン流のシングル・タイプの曲」。

個人的にはここ数作同様、カイ・ハンセンのヴォーカルが90年代よりもラフなことが気になるが、楽曲自体のクオリティはさすがの安定感で、ファンであれば安心して楽しめるだろうし、ライヴで盛り上がることは確実。

カヴァー曲のうち1曲は、NWOBHMのムーヴメントの一翼を担ったバンドとしてマニアの間では知られるHOLOCAUSTが81年に発表したデビュー・アルバム「THE NIGHTCOMER」からの「Death Or Glory」のカヴァーで、かつてこのバンドの「Heavy Metal Mania」をカヴァーしたことからも、カイ・ハンセンはよほどこのバンドが好きなのだろう。

もう1曲のカヴァーは、70年代英国で人気のあったグラム・ロック・バンド、SWEETが77年にリリースした「OFF THE RECORD(邦題:明日なき青春)」に収録の「Lost Angels」のカヴァーで、70年代のブリティッシュ・ロックにもかなり影響を受けていると思われるカイ・ハンセンらしい選曲。

ただ、現在の彼らのファンってこういうのを聴いて「オリジナルを聴いてみよう」と思うのかどうかについては個人的にはやや懐疑的で、なんとなくアーティスト側の自己満足になってしまっているような観も。

日本盤ボーナスは彼らの人気曲「SEND ME A SIGN」のドイツ語バージョン「Sag Mir Bescheid」。まあ、一般的な日本人にとっては英語もドイツ語もパッと聞きでは意味がわからないことに変わりはないと思うので、ドイツ人にとってはともかく、日本盤向けのボーナスとしての価値は「?」ですが、ライヴ風のアレンジを面白いと感じる人はいる…かも。

まあ、ぶっちゃけ「HELLISH ROCK PART II」ツアーに行く予定の人向けの「予習用」アイテムですね。特にツアーに行く予定がなく、上記の「本作のみに収められた音源」に興味のない、温度低めなファンの方は来年発売されるアルバム待ちでもいいんじゃないでしょうか。

◆「Master Of Confusion」のリハーサル風景を使用したリリック・ビデオ [YouTube]



BURRN!13年5月号の感想

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表紙はお忍びで日本に長期滞在していたというデイヴィッド・リー・ロス(VAN HALEN)。

6月に延期されたVAN HALENの来日公演にはまだ2ヶ月もあり、何でこのタイミングに? という気もするが、インタビュー自体1月に行なわれたもののようだし、「ネタのない月」のために用意されていた記事と写真なのかもしれない。

BURRN!という雑誌の立ち位置や日本のマーケット状況として、(クロス・レビューの)AMORPHISやFAIR WARNING、LORDIなんかを表紙にすることは難しいということなのでしょうが、こうなると本当にこの雑誌が表紙にできるアーティストというのは限られているんでしょうねえ…。

80年代にデイヴィッド・リー・ロスが東京に滞在していたら、「お忍び」と言えど忍びきれなかったと思われますが、今のこの風貌であれば、サングラスをして帽子を被られたら、30年来のファンといえど(あるいは古くからのファンだからこそ?)なかなか「ダイアモンド・デイヴ」だとは気付かないでしょうねえ…。

巻頭インタビューの内容も、意味の有るような無いようなおしゃべりが延々と続き、個人的にはデイヴがEXILEの存在を認知し、『るろうに剣心』の映画を2回観た、ということ以外、別段何も残らなかったというのが正直な所。

あとは、「キミの質問はグレイトだ」「将来いいジャーナリストになれる」「感銘を受けたよ。参った。感動的!」と褒め殺しにされた幅氏がその後デイヴと個人的に親密になる機会を得ることになったのかどうかという点にちょっぴり下世話な関心があります(笑)。

そしてデイヴのインタビューの後に来る記事が現KISSのドラマーであるエリック・シンガーの「独占インタビュー」というこれまた「何故に今?」という記事ですから、今月号のネタ不足感は相当にあからさま。

そりゃ他にニーズもないでしょうし、「独占」インタビューになるでしょうよ。

特集も先日DVDが発売されたIRON MAIDENの「MAIDEN ENGLAND ‘88」の宣伝みたいな記事と、「お友達」であるOUTRAGEの丹下氏との対談形式による、先日病死したクライヴ・バーの追悼記事、そしてしぶとく続く「LAメタルの真実」。

しかし「LAメタルの真実」、これホントにリアルタイムのファンは楽しんでるんですかね? 私なら若い頃好きだったミュージシャンがこんな落ち目感満載のうら寂しいインタビュー受けてるのを見たらちょっとヤだな(苦笑)。

DAFF McKAGAN’S LOADEDやらBFMVやらTHRASH DOMINATION 2013やらJOURNEYやらVOICE OF RAINBOWやらALL THAT REMAINSやらのライヴ・レポートは基本的に「行った人・行きたかった人」向けの記事なので楽しめる人は楽しめると思いますが、個人的には流し読みする程度。

いや、マジこの号で読む所って新作に期待が持てるAMORPHISのインタビューと、P133のドリス・イエの写真が魅力的なCHTHONICのライヴ・レポート&インタビューくらいだ。

秀作だが似通った作風のアルバムばかりをリリースしていたAMORPHISが、自ら「ルーティン・ワークに陥っていた」と言っているのは立派だなと思いましたね。別に落ち目になっていたわけでもないのに、自発的に「成功のルーティン」から脱するというのはなかなかできないことですよ。

CHTHONICに関しては、個人的な見所はまあドリスなわけですが、来日こぼれ話で「伝説のすた丼」とかラーメン屋とか、妙にジャンクなものばっかり食べている様子が報じられている。

親しみが持てるといえばそうですが、レコード会社ももっと良いモノ食わせてやれよ、という気も(笑)。

ドリスが大好きというラーメン屋は、写真の雰囲気とドンブリのデザインからするに「一蘭」でしょうね。私も博多ラーメンのチェーン店の中では一番好きかも。

で、例によってディスク・レビューによって今月買うものを物色するわけですが、とりあえずAMORPHISの新譜はだいぶ前から予約済み。

あと個人的なマスト・バイはオーストラリアのLORDとオーストリアのSERENITY。両者ともサンプルが良かったので結構期待してます。

GAMMA RAYのEPも、ちょっと高けーな、と思いつつまあ買ってしまうのでしょう。

FAIR WARNINGとLORDIももちろん検討していますが、どちらも全盛期からのパワーダウン感が否めないのがちょっと躊躇してしまうところ。

どちらも過去のアルバムや楽曲は本当に好きですが、それだけに「だったら良かった時期の作品だけ聴いてればいいんじゃないの?」という「心のツッコミ」が自分に対して入ってしまうのは否めない。

まあ、それは別に彼らに限ったことではないのですが…。とはいえ曲単位では今なおホームランを打つポテンシャルは持っていると思うだけに、そのかすかな期待感のために買ってしまうのがマニアの悲しい性ですね(笑)。

あとはHIMとVICIOUS RUMORSの新譜もちょっと気になります。
今月はそんなところかな。

◆発行元であるシンコー・ミュージックのWebサイト
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=2175011305

TOBIAS SAMMET's AVANTASIA 「THE MYSTERY OF TIME」のチャート成績

EDGUYのフロントマン、トビアス・サメット(Vo)がプロデュースするメタル・オペラ・プロジェクト「AVANTASIA」の新作「THE MYSTERY OF TIME」のチャート・アクションは以下の通り。

ドイツ:2位
スウェーデン:9位
フィンランド:9位
オーストリア:11位
ハンガリー:15位
ノルウェー:19位
フランス:51位
日本:56位
オランダ:85位
イギリス:97位

見事なまでにドイツ以東、以北での人気に偏ってますね(笑)。

本国ドイツでは前作に引き続き2位。
SCORPIONS以来の自国HR/HMアーティストによる1位獲得はなりませんでした。残念。

まあ、それでもACCEPT、HELLOWEEN以上ですから大したものですが。

日本ではぶっちゃけAMARANTHE以下のセールス動向ですが、ゲストのパワーもあって品川ステラボール公演が可能になるわけですね。

(ちなみにAMARANTHEの新作「THE NEXUS」のチャート成績はフィンランドで4位、スウェーデンで6位、日本で31位)

◆本作のプレビュー映像 [YouTube]


◆本作のリード・シングル「Sleepwalking」のPV [YouTube]

1:28あたりからサビに行くまでのアレンジにグッと来ますね。

◆個人的に本作で1,2を争うお気に入り「Invoke The Machine」のリリック・ビデオ [YouTube]

ロニー・アトキンスをゲストに迎えているだけあって、PRETTY MAIDSっぽいのがポイント。


マグナス・カールソンのソロ・プロジェクト

元LAST TRIBE、現PRIMAL FEARのギタリストとして知られるマグナス・カールソンのソロ・プロジェクト、"MAGNUS KARLSSON'S FREE FALL"のアルバムが6月11日に北米で、6月14日に欧州でリリースされるそうです。

マグナス・カールソンと言えば、近年では「Frontiers Records」のお抱えソングライター的な存在として有名で、これまでALLEN/LANDE, STARBREAKER, BOB CATLEY, TONY O'HORA、CODEX、KISKE/SOMERVILLEなど、数多くのプロジェクトに関わり、「Frontiers Records」のカタログの充実とビジネス的躍進における立役者の一人と言っていい存在。

まあ、ここ数年の間にメタルを聴き始めた人にとってはPRIMAL FEARのギタリスト、という認識かもしれませんが、個人的にはやはりLAST TRIBEで残した3枚のグレイトなアルバムの印象が今でも鮮烈です。

今回のソロ・プロジェクトでは、彼がこれまでにコラボレーションしてきた数多くのシンガーが参加しており、メロディックなHR/HMのファンにとってはなかなかそそられるアルバムとなっている。

収録曲と、それぞれの楽曲のリード・ヴォーカルを務めるシンガーの一覧は以下の通り。

01. Free Fall feat.ラッセル・アレン (SYMPHONY X, ALLEN/LANDE)
02. Higher feat.ラルフ・シーパース (GAMMA RAY, PRIMAL FEAR)
03. Heading Out feat.マグナス・カールソン
04. Stronger feat.トニー・ハーネル (TNT, STARBREAKER)
05. Not My Saviour feat.リック・アルツィ (AT VANCE, MASTERPLAN)
06. Us Against The World feat.デヴィッド・リードマン(PINK CREAM 69)
07. Our Time Has Come feat.マーク・ボールズ (YNGWIE J. MALMSTEEN, RING OF FIRE, CODEX)
08. Ready Or Not feat.マグナス・カールソン
09. Last Tribe feat.リカルド・ベンソン (ARMAGEDDON, LAST TRIBE)
10. Fighting feat.ハーマン・サミング (A.C.T.)
11. Dreamers & Hunters feat.マイク・アンダーソン(STAR ONE, FULL FORCE)
12. On Fire feat.マグナス・カールソン

マグナス自身が歌う曲も3曲収録。

LAST TRIBEのサード・アルバム(にして現時点におけるラスト・アルバム)、「THE UNCROWNED」の日本盤ボーナス・トラック「Blessed By The Dark」をお聴きになったことがある方であればご承知の通り、マグナスは歌もかなり上手いのです。

マグナスはギタリストとしても卓越したテクニックの持ち主なので、1曲くらいインスト・ナンバーがあってもよかったのではないかという気もしますが、まあ恐らく現在本人の興味はそういう所にはないのでしょう。個人的にはLAST TRIBEのファーストに収められていたインスト・ナンバー「The Ritual」はかなりの名曲だと思っているので残念ですが。

しかし何と言ってもLAST TRIBEのファンにとって楽しみなのは、LAST TRIBEのシンガーだったリカルド・ベンソンが歌う、その名も「Last Tribe」という楽曲の存在。

これが「Black Widow」や「The Uncrowned」並みの名曲だったらシビれるな~。もうあんなに弾きまくらないだろうとは思いつつ期待してしまう。

以上、このブログを読む方のうちどれだけの人数がマグナス・カールソンという人物に注目しているか、そもそもその存在を認知しているかわかりませんが、個人的にはかなり興味を引かれたのでこの場で取り上げさせていただきました。

まだアナウンスされていませんが、日本盤…出るよね?

「Frontiers Records」のアルバムは、以前はほとんどキングレコードからリリースされていたのに、最近はスピニングから発売されているような気がするから、スピニングに期待すればいいんですかね?

◆ニュースソース
http://www.blabbermouth.net/news.aspx?mode=Article&newsitemID=188340

◆本作の公式サンプル [YouTube]