NIVA / GRAVITATION

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かつてSWEDISH EROTICA、TRACY GOES CRAZY、LION’S SHARE、AXIAといったバンドで活動したことがあるヴォーカリスト、トニー・ニヴァを中心としたバンドのサード・アルバム。

このバンド自体は1992年に、かつて彼が在籍していたAXIAのメンバーと結成されており、1994年にリリースされたデビュー作「NO CAPITULATION」は、今はなきゼロ・コーポレーションから日本盤もリリースされていた。

デビュー作発表後、実質解散状態になっていたNIVAだが、その後T’BELLやGRAND ILLUAIONなどの活動で知られるロジャー・ラングレン(G)、マーカス・パーソン(Key, B, Vo)をパートナーに迎えて再結成、2011年に17年ぶりのセカンドとなる「GOLD FROM THE FUTURE」をリリースし、メロディアス・ハード・ファンの間で好評を博した。

2年ぶりの新作となる本作はBURRN!誌のレビューで伊藤政則氏に「TNTの黄金時代に匹敵する力を持っている」と評され、88点という高評価を獲得している。

TNTの黄金時代に匹敵とまで書かれると、北欧メロディアス・ハード・ファンとしてはチェックせずにはいられないが、聴いてみてちょっと肩透かし。極上のメロディアス・ハードであると同時に、北欧随一の個性派でもあったTNTと比べると、いたってオーソドックスなメロディアス・ハードで、むしろそのサウンドはGRAND ILLUSIONに近い。

もちろんGRAND ILLUSIONも優れたバンドであるし、このバンドも北欧らしい哀愁を漂わせつつも、基本的には溌剌としたメロディアス・ハードを展開していて、「泣き」に頼らないあたりはたしかにTNTに近いかもしれない。

中心であるトニー・ニヴァの歌唱については、過不足ない実力ながら、個人的な感覚ではメロディアス・ハードを歌うには少々野暮ったい声質なのが気になると言えば気になる。

とはいえ高品質なメロディアス・ハード作であることは確かなので、その手の音が好きな人にとっては要チェックの一作だろう。【82点】

◆本作のサンプル [YouTube]



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GLAMOUR OF THE KILL / SAVAGES

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マネージメントを移籍し、ギタリストであるマイク・キングスウッドがBULLET FOR MY VALENTINEのマット・タック(G)のプロジェクトAXEWOUNDに参加するなどの課外活動を交えつつリリースされたセカンド・アルバム。

プロデューサーにTHE DEVIL WEARS PRADAや、ASKING ALEXANDRIAを手掛けたジョーイ・スターギスを迎えている。

前作はBULLET FOR MY VALENTINEのメタル度を下げたようなサウンドで、メタルというよりはエモ/スクリーモに近い印象のアルバムだったが、本作ではだいぶヘヴィなエッジを増し、メタル・ファンにとっては馴染みやすいサウンドになっている。

1曲目のツカミがやや弱いが、先行シングルである#2、それに続く#3と、勢いもありつつキャッチーなメロディが冴える曲が続いて引き込まれる。

モダンなデジタル・エフェクトなども使用した楽曲もあり、キャッチーなコーラスとあいまって、本人たちがインタビューで語る通り「ポップ・メタル」的ではあるが、全体的に勢いがあるのでそれほど軟弱な印象は受けない(Voのエモっぽい歌声がダメ、という人はいるかもしれないが…)。

それぞれの楽曲を差別化しようという試みが、楽曲のクオリティのバラつきにつながっている観があり、バラエティとクオリティを両立が課題として残るものの、個人的には(一番似ているバンドである)BULLET FOR MY VALENTINEの最新作より印象はいい。【83点】

◆本作収録「Second Chance」のPV [YouTube]



OPERADYSE / PANDAEMONIUM

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南フランス出身の、Key奏者を含む5人組。本作は2009年に発表されたEPに続くデビュー・フルレンス・アルバムで、EPの時とはVoが交代している。

音楽性はKeyによるシンフォニックなアレンジをフィーチュアしたメロディック・パワー・メタルで、フランスという地理的条件からか、ドイツのバンドとイタリアのバンドのちょうど中間のような音である。

バンド単位で言うと、DARK MOORとHEAVENLYを足して2で割ったような印象もある。

ややギターのサウンドが細く、良く言えば優美、悪く言えば力強さに欠けるが、その辺はこの手の音楽の常として(?)むしろ好ましく聴ける人も多いだろう。

声質もピッチも甘めなヴォーカリストのやや弱々しい歌唱もB級な韻書を与えるものの、この適度なヘナチョコ加減も、マニアにとってはむしろ「らしい」と受け止められるかもしれない(個人的にもむしろ好きなタイプである)。

気持ちいい疾走パートが随所に出てくるし、心くすぐられるクラシカルなフレーズやドラマティックな展開もボチボチ出てくるのだが、逆に展開の多さが仇になって1曲通して緊張感が持続しない所がもったいない。女声Voや、ときにブラスト・ビートなども取り入れて起伏を付けようとしているのが伝わってくるのだが…。

全体的に軽いというか、明るめな所が彼らの個性であり、好みの分かれるところかもしれないが、マニアであればチェックしておくに値するポテンシャルは感じる。【78点】

◆本作のプレビュー映像 [YouTube]


◆本作収録「Pandaemonium」[YouTube]

この映像で明滅しているキャラクターは「ダーク・エンジェル」なるヒネリに欠ける名前のキャラクター(ジャケットに描かれている騎士の変じた姿?)で、ライナーノーツ上でメンバーはこのキャラクターの「コスプレを見ることが出来ることを願ってる」と言っています。

コスプレしてくれた方は、彼らのWebサイトに掲載してくれるそうなので、ふるって送りましょう(笑)。


TRIVIUM 「VENGEANCE FALLS」のチャート成績

先日のLOUD PARK 13でも、今年唯一の前方アリーナ入場規制となるなど、高い人気を見せつけて大いに盛り上がったTRIVIUMの新作「VENGEANCE FALLS」のチャート・アクションは以下の通り。

オーストラリア:8位
ドイツ:10位
オーストリア:10位
フィンランド:11位
アメリカ:15位
日本:18位
イギリス:23位
ニュージーランド:25位
スイス:27位
アイルランド:39位
フランス:78位

なぜかオーストラリアで強いのは相変わらず。
日本では総合チャートでは18位ながら、洋楽チャートでは2位と健闘しています。

アメリカでは前作の13位から15位へ、イギリスでは前作の16位から23位へ、ドイツでは前作の8位から10位へと、欧米主要国で軒並み前作以下の数字しか残せていないのが気になるところですが、まあいずれも誤差の範囲で、彼らの人気が安定期に入ったことを示すチャート・アクションと言っていいでしょう。

願わくば全米TOP10に入る所まで伸びてほしいのですが、そこまで行くにはちょっと曲がメタルとしてストイック過ぎるかなぁ…。

このままいい中堅バンドで終わってしまうのか、ここからもうひと皮むけるのか、日本のメタル・ファンであればこれからもキイチ君から目が離せませんね。

◆ニュースソース
http://www.blabbermouth.net/news/trivium-more-vengeance-falls-chart-positions-revealed/
ほか、Wikipediaやオリコンのサイトなど。

◆本作収録「Strife」のPV [YouTube]



LOUD PARK 13を振り返って

LOUD PARKから早くも一週間が経ってしまいました。なんだかもうだいぶ昔のことのような気がするのは私が年を取ったからなのでしょうか。

意外と06年、07年、08年など、昔のLOUD PARKのことも一週間前のLOUD PARK同様、かなり鮮明に思い出せる(光景もある)んですけどね。

これまで幕張メッセからさいたまスーパーアリーナへ会場を移したり、2日開催を1日に縮小したり、チケット代が変わったりと、そこそこ伝統のあるロック・フェスの中では年によって割と仕切りが変わるのがLOUD PARKの特徴でした。

そういう意味で、今年はさいたまスーパーアリーナでの2日開催という意味では、実績ベースの開催であり、スキーム的に大きな変化はなく「いつも通りのLOUD PARK」だったと言えるでしょう。

ただ、2日目のトリであったKING DIAMONDがキャンセルになってしまったという件は、イングヴェイがある意味トリに相応しい存在感を放ってしまったがためにうやむやになってしまった観もありますが、やはり普通に考えてフェスにとってヘッドライナー不在という事態は大事件でしょう。

そもそも、カルト的な人気があるとはいえ、現在日本のレコード会社との契約すらないKING DIAMONDがトリという時点でいささか疑問符はついていました。

個人的には、フェスの楽しみというのは「朝から酒を飲みながら1日中メタルに浸ることができる」ということと、「普通であれば観ることのできないバンドをたくさん観ることができる」という点に尽きると思っており、必ずしもトリが個人的に興味がないバンドでもかまわないと思っています。

ただ、やはり一般論として「観たいバンドが出るから行く」というモチベーションの人も数多くいる(むしろそちらの方が多いかもしれない)ということを考えると、多くの人に「観たい」と思われるようなバンドが最後にトリとして控えていることは、イベントとしての動員=成功を左右する大きな要素だと思います。

メタルの難しい所は、ジャンルの細分化が進みすぎてしまったがために、「メタル・ファンの万人が認める大物バンド」というバンドが極めて少ない(そういうバンドは単独で大きな会場をソールド・アウトにできてしまうために、こういうフェスのトリに抜擢するのが難しい)ということです。

さらに、世界的に見たときの人気と日本における人気に温度差があることも多く、例えば昨年のケースでいうと、日本におけるアルバムのセールスだったらSLAYERよりもHELLOWEENの方が上ですが、世界的な実績を考えるとHELLOWEENをヘッドライナーにすることをSLAYERは恐らく良しとしないだろう、などという事情もあります。

そういう状況ゆえ、今年のSTONE TEMPLE PILOTSにKING DIAMONDというヘッドライナーの選択は、なかなか冒険というか、かなり実験的なものであったと思われます。

今年はOZZFESTという恐らくクリエイティブマン的には想定外の(?)要素にBLACK SABBATHやSLIPKNOTなど恰好のトリ候補を持って行かれてしまったので、いつもの年以上に呼べる駒が限られてしまったという事情もあるかもしれません。

そしてもちろんアーティストもスケジュールというものがあり、残念ながらLOUD PARKを中心にスケジュールを考えてくれるバンドというのは大物になればなるほどほとんどいないでしょうし、今年は同日にブラジルで大規模なメタル・フェスがあったこともLOUD PARKの出演者集めの上では苦労する要因になったと思われます。

過去、MARILYN MANSONやSLIPKNOT、KORN、LIMP BIZKITといった、日本では(というかBURRN!読者には)メタルと見做されていないバンドがヘッドライナーを務めた際もかなりの賛否両論を呼び、実際彼らの出演時にかなりの人数のオーディエンスが会場を後にする光景を目の当たりにしました(私もMARILYN MANSONのときは1曲だけ観て帰ってしまいました…)。

それでも、彼ら目当てと思われるオーディエンスがそれなりの数で来場しており、そういう意味で普通に保守的なメタル・ファンに喜ばれるバンドだけを呼ぶよりも動員という面ではプラスになったと思われます。

しかし、今年のSTONE TEMPLE PILOTSに関しては、レポートに書いた通りかなり寂しい盛り上がりで、集客効果は相当に限定的でした(それでも動員のプラスはゼロではなかった、と言い張るのかもしれませんが、ちょっとバンドに対して失礼だったと思います)。

かなり話が逸れましたが、KING DIAMONDのキャンセルについては、色々と事情があったようですし、我々はクリエイティブマンの事務的なアナウンスと、KING DIAMOND側のクレームに近い言い分から真実を推測するしかなく、どちらにより非があるかということについて公正な判断を下すことは困難です。

ただ、いずれにせよ最終的なキャンセルの判断はクリエイティブマン側がギリギリのタイミングで下した、ということだけは事実で、個人的には「本当はもっと早くにキャンセルの判断は下すことができたのに、代わりのヘッドライナーを見つけられる見込みがなく、ヘッドライナーがキャンセルということでチケットのセールスに影響が出ることを恐れてギリギリまでキャンセルの決断を引き延ばしたんじゃないの?」という邪推をしています。

それはそれでビジネス的な観点(というか興行主側の都合)からは理解できなくもありませんが、正直な所、観に来るお客さんに対して誠実な態度ではないなあ、と思います。

KING DIAMONDの件の影に隠れてしまっていましたが、LAST IN LINEにジミー・ベイン(B)が参加しない、ということだって絶対もっと早くわかっていたはず(何しろ代理のベーシストがちゃんと立っているわけですから)なのに、開催直前になってから発表されたのも、同じように「(ファンが)行かない理由」を作らないように隠蔽していたとしか思えません(ジミー・ベインが来ないことによる影響は軽微だったと思いますが…)。

まあ、BURRN!同様、日本におけるメタル・ビジネスというのは競争原理の働かないフィールドなので企業姿勢の改善を求めるのは難しいのかもしれませんが…。

そして実際、私が観た範囲ではイングヴェイ以外のバンドはどれもなかなかいいライヴを見せてくれましたし(イングヴェイは常識的な感覚ではともかく、ある意味伝説のステージだったと思います)、悔しいことに(?)基本的には満足してしまっています。

ただ、細かい不満を言わせてもらえばこれはいくらでもあって。

音が悪い
→毎年バンドによってバラつきはありましたが、さいたまスーパーアリーナでここまでまんべんなく音が悪かった(全体的にデカすぎ)のは初めてでは。

クロークが外にしかない
→個人的には指定席を使っていたので困らなかったのですが、分散させたほうが一刻を争っている人もいるであろう帰り際に効率的なのでは。

指定席チェックがない
→別にそれで迷惑はしませんでしたが、これ、その気になれば誰でも空いている指定席に座れてしまうんじゃないの? とは思いました。

バンドとバンドの間が短すぎる
→全部観たい、という場合食事も休憩もできないのがちょっと…。バンドがプレイしている最中に次のバンドがサウンドチェックをしているというのもいかがなものかと…。

バンド以外の見所がほとんどない
→個人的にはライヴだけ観られればいいんですが、他にもっと何かアトラクション的なものがないとフェスとしての魅力が生まれず、結局バンドのメンツだけで行く、行かないが判断されるイベントになってしまう気がします。

飲食の屋台が変わり映えしなすぎる
→特殊なイベントだし、集客も微妙なだけに出店を希望する店も少ないのかもしれませんが…。ケバブにタイラーメンに台湾焼きそばに、ワイルドターキー。いいかげんもう見飽きました…。
まあこれは私のように毎年行っているヘビーユーザー以外には別に気にならないと思いますが。

物販周りについては全く見ていないのでなんとも言えませんが、昨年のように異常な行列ができていた感じはしないので、何かしら改善されていたのでしょうか?(単に昨年より人が少なかっただけかもしれませんが…)


まあ、色々言いましたが、まずは来年以降も続けてもらうことを最優先にお願いします(そんなことを言っているといつまで経っても何も改善されないのかもしれませんが)。

このイベントに参加することでメタルに対する愛や関心が深まる人って結構いると思いますし、なかなか1つのバンドのライヴのために遠出する気になれない地方の方にとっても、フェスであれば泊りがけで行こう、というモチベーションが生まれるのではないかと思うので…。

あ、個人的なベストアクトは初日はEUROPE、二日目はSTRATOVARIUSです。曲や演奏がいいバンドは他にもたくさんありましたが、フロントマンのパフォーマンス(必ずしも歌唱力のことではありません)の素晴らしさがどちらのバンドも群を抜いていました。普通ですみません。


◆LOUD PARK 13公式サイト
http://www.loudpark.com/13/