BURRN!13年12月号の感想

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表紙は来月に来日公演を控えたBON JOVI。10月号のMETALLICA同様、ライヴ写真が表紙に使用されている。

METALLICAの時には大物ゆえに表紙用の撮影をすることができなかったのではと勘繰っていましたたが、これまでBURRN!の「ルールとレギュレーション」を定めていた酒井康氏がこの雑誌の運営から手を引いたことでそのルールが緩和された結果なのかな、という気もします。

もっとも、巻頭のインタビューを読む限り、あまりオフィシャルな感じの取材ではなかったようなので、物理的にちゃんとしたフォト・セッションができなかった結果なのかもしれません。

とはいえ、以前ならそういう状況であればBON JOVIは表紙にならなかったはずで、やはり「バーン・コーポレーション」という会社が消滅し酒井氏が左遷されたことと、ライヴ写真が表紙になっていることは恐らく無関係ではないのでしょう。

個人的にはやはりライヴでプレイしている姿こそがミュージシャンが一番輝いている瞬間であり、その姿を表紙にすることは悪いことではないと思っています。

病気でツアーを離脱していたティコ・トーレス(Dr)の復帰公演となった北米フレズノ公演のレポートに続く伊藤政則氏によるBON JOVIの巻頭インタビューは、カジュアルな取材であることを伝えつつ、「俺ってジョンに信用されてるんだぜ」的なアピールを感じる序文に苦笑。

インタビューについては、4作目のアルバムに「NEW JERSEY」というタイトルを付けてしまったことがジョンにとって「唯一のミステイクで、唯一の後悔」であるという話が興味深かったですね。

そのタイトルによって特に地元でブルース・スプリングスティーンと比較されることになってしまったことがその後悔の理由だそうで、ジョンが当時の自分たちの音楽を「分厚いヴォーカル・ハーモニーはJOURNEYから、ショウマンシップに関してはVAN HALENから影響を受けていた」と述懐しているのを読み、たしかに初期の彼らの音楽はJOURNEYとVAN HALENの中間に位置するものだなあ、と納得しました。

全体的にジョンの人生観というか、彼が世の中をどう見ているかということがよく伝わってくるインタビューで、ジョンのファンであれば一読の価値がある内容です。個人的にはジョンの物の考え方については無条件に首肯しかねる部分も多いのですが、成熟した成功者ならではの強さを感じるインタビューでした。

ただし、BON JOVIのファンにとって最大の関心事であろうリッチー・サンボラ(G)の件については一切触れられておりませんので悪しからず。

続くは最近やけにフィーチュアされている増田勇一氏によるKISSの幕張メッセ公演のレポート。入稿タイミングの問題か割とあっさりした内容で、どうやら次号でより大々的に今回の来日公演が大々的に取り上げられるようだ。

その頃にはすっかり観に行った人たちの熱も冷めて「思い出」になってしまっていると思いますが…。

続くはMOTLEY CRUEのラスヴェガスにおける2回目のレジデンシー公演のレポートで、「BON JOVI、KISS、MOTLEY CRUEって、いつの雑誌だよ」と苦笑せずにはいられませんでした。

MOLTEY CRUEのセットリストはほぼ完璧と言っていいもので、これにド派手なパイロなどのステージ演出があったとなれば、盛り上がらないはずはないでしょう。

続くは今月ソロ・プロジェクトがクロスレビューのトップで扱われているアンディ・デリスのインタビュー。

アンディ・デリスという人はそれなりに有名なロック・バンドのフロントマンにしては妙にリアリスティックな人で、あまり面白いインタビューをする人ではない。ただ、HELLOWEENについて、メンバーはお互い持っているアイディアは全て見せ合うというのが暗黙のルールになっている、という話はなるほど、と思わされました。

彼のようにいろいろなタイプの曲を書くことができる人であれば、バンドに向いていると自分で思える曲も思えない曲も生まれてくると思いますが、「HELLOWEENが僕たちのメイン・バンドで、僕たちはこれで生計を立てているわけだから、出し惜しみをしたら全くもってアンフェアなことになる」という発言は非常に真っ当な考え方だと思います。

実際にバンドに合う/合わないを判断するのはプロデューサーや他のメンバーであり、究極的にはファンをはじめとするリスナーですからね。

続くはPLACE VENDOMEで新しいアルバムを出したマイケル・キスクのインタビュー。アンディ・デリスにマイケル・キスクという新旧HELLOWEENのヴォーカリストのインタビューを並べたのは意図的なものでしょうね。

マイケル・キスクはインタビュー中でPLACE VENDOMEは「これが最優先事項になることはない」とか「UNISONICほど大切じゃない」「プロジェクトとしてとどめておきたい」と明言していて、商売っ気のない、正直な人だな、思いました(苦笑)。

マイケル・キスクが言うにはUNISONICやAVANTASIAのツアーの聴き手はティーンエイジャーが大多数と言っており、実際欧州では若いメタル・ファンが多いと伝え聞きますが、日本にいるとにわかに信じ難い話ですね。

創刊30周年カウントダウン特集で、今回広瀬編集長の対談相手は、90年代、メタルを熱心にリリースしていた時期のビクター・エンタテインメントで洋楽担当をしていた堀内清悟氏。

現在はビクターの「Colorful Records」で家入レオやCYNTIAを手掛けているとのことですが、最近HR/HMについてはビクターの影が薄いのはこの方が担当から外れたからなのでしょうか。

私のように90年代にメタラーとして青春を過ごした人間にとってビクター・エンタテインメントはとてもなじみのあるレコード会社で、CDラックのかなりの割合をこのビクターのCDが占めていました。

それだけになかなか個人的な思い出のある作品の名前が数多く登場し、馴染み深い内容ではあるのですが、ここ10年以内にメタルを聴き始めたような人にとっては遠い昔話を聞かされているような気分になるかもしれません(笑)。

HELLOWEEN以外で10万枚以上のセールスを記録したのはANGRAの「ANGELS CRY」だけで、2~3年かけてゴールドに達したとか、GAMMA RAYで一番売れたアルバムは「INSANITY AND GENIUS」で9万枚弱だったという話は、当時それらのアルバムを聴きまくっていた身としては非常に興味深く読めます。

バンドと契約するにあたって各レコード会社が競合していたという話も、なかなか一般リスナーには窺い知ることのできない世界の話で非常に興味深かったですね。

ゼロ・コーポレーションは企業規模が小さいので逆に利幅が小さくても会社を経営していくことができたためにFAIR WARNINGやJUDAS PRIESTなどに高額な契約金を積むことができ、ビクターは引かざるをえなかった、なんて話はかなり生々しい話だと思います。

もう一つの30周年カウントダウン特集、「鋼鉄炎上ニュース30大事件」は、音楽的な意味での大事件ではなく、割としょうもないゴシップ寄りの話ばかりではありますが「ああ、そんな話あったねえ」という感じのエピソードが多く、楽しく読めました(いや、胸痛む悲報もあるのですが)。

あとはザック・ワイルドのカラー5ページに及ぶ、彼のキャリアを総括するようなインタビュー、そしてHAREM SCAREMの来日公演とそのインタビューなどが主な読みどころでしょうか。

HAREM SCAREMの「MOOD SWINGS II」に伴うライヴは、できれば観に行きたいと思っていたのだが都合がつかず見送ったのですが、「完全再現」ではなかったんですね。しかも90分程度のコンパクトなショウだったそうで、観に行かなくて正解だったかも、などと自分を納得させている今現在。

ピート・レスペランス(G)のインタビューを読むと、「俺は当時とはかなり違うギタリストになっているから、おさらいしないといけなかったんだ。新しく録り直す際には、何も損なわないよう心掛けた」と発言しており、「MOOD SWINGS II」が予想以上にオリジナルの面影を残していた理由がわかったような気がしました。

あとはSTRYPERやGALNERYUSのインタビューも、買ったアルバムに関するものだけに興味深かったですね。

どうでもいいですが、なぜTHE DUTSUNSはライヴ・レポートとインタビュー記事が離れた台割で掲載されているのでしょう?

ディスク・レビューに関しては、前述した通りアンディ・デリスの新たなソロ・プロジェクトであるANDI DERIS AND THE BAD BANKERSのアルバムがクロスレビューのトップになっていることから察せられるように、小粒な作品が多い印象。

マストバイと思えるようなアルバムはないが、CDがレビューされているANGRAのライヴはDVDを買おうと思います。

あとは、レビューはされていないものの、11月20日発売のROYAL HUNTを買うかどうか、ですかね。イエスパー・ストロムブラードやマグナス・カールソンがゲスト参加しているというANGELICAもちょっと気になりますね。

気が向けば、FIVE FINGER DEATH PUNCH、MICHAEL SCHENKER’S TEMPLE OF ROCKなどもチェックしてみたいですね。てか、この辺はクロスレビューしてもよかったのでは?

輸入盤レビューでは、ジョン・ウエスト(Vo)が参加するネオ・クラシカルなメロディック・パワー・メタルというARTLANTICAが日本盤出ないのか、と世知辛い気分になったり、NOT FRAGILEが新作を出していることに驚愕したりしました。

◆発行元であるシンコーミュージックのWebサイト
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=2175011312


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RECKLESS LOVE / SPIRIT

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前作が本国フィンランドでゴールド・ディスクに輝き、2012年にはイギリスのDownload Festivalに出演するなど、着々と活動を軌道に乗せつつある彼らのサード・アルバム。

近年北欧からはこの手の80年代ヘア・メタル・リバイバル的なバンドが数多く登場しているが、個人的には彼らが最もポテンシャルが高いと感じており、その印象を裏付けるかのような充実作である。

前作はどちらかというと彼らの作曲能力の高さを見せ付けるかのような作風だったが、本作ではワイルドでハイエナジーなロック・バンドとしての魅力が光る一枚になっており、EUROPEの「Rock The Night」を思わせるファースト・シングルの#1、MOTLEY CRUEの「Kickstart My Heart」を思わせるセカンド・シングルの#10などは本作を象徴するアンセムと呼べるだろう。

全体的にメタリックなエッジを増しており、#8「Metal Ass」などはまるでパワー・メタルだし、80年代メタル名曲のタイトルばかりで歌詞を構成した#3「I Love Heavy Metal」などは彼らのスタンスを明確にするステートメントに違いない。

一方で#5や#7、#9のような北欧のバンドならではの哀愁センスがほんのりと滲む楽曲もあったりして、それもMy琴線に触れてきて良い。

#6「Sex, Drugs & Reckless Love」のようにバンド名を冠した楽曲を擁しているあたりにも本作にかける意気込みが伝わってくる。

ボーナス・トラックの#12も80年代好きの人間をキュンキュンさせてくれる佳曲。

とにかく、過去のヒーローたちへのオマージュを満載しつつも、ノスタルジーやパロディには陥っていない所がこのバンドの素晴らしいところで、これはやっぱり業界のしがらみやら過去の栄光やら、諸々の手垢にまみれていない「本場」ではない北欧だからこそ出てくることができたバンドなのだろう。

この10月には9公演におよぶ英国でのヘッドライナー・ツアーが行なわれるとのことで、今後ますます飛躍を期待したい華のあるバンドだ。こういうバンドが売れてくれるとメタルにも大衆性が戻ってくるような気がするんだけどなあ…。【84点】

◆本作収録「So Happy I Could Die」のPV [YouTube]


◆本作収録「NIGHT ON FIRE」のPV [YouTube]