MOTLEY CRUEが引退ツアーを発表

MOTLEY CRUEがかねてより噂になっていた引退ツアーを正式に発表しました。

“どんな悪事もいつかは終わりを迎える(ALL BAD THINGS MUST COME TO AN END)”をキャッチフレーズに、7月2日(どうでもいいですが私の誕生日です)からALICE COOPERをオープニングに(豪華!)計72公演が北米で行われ、その後2015年に世界各国を回るワールド・ツアーが予定されています。

ということで日本に来るのは2015年ということになりそうです。東京公演はさいたまスーパーアリーナあたりでしょうか?

フェアウェル・ツアーというものが全く信用できないのは主にKISSのせいですが、JUDAS PRIESTもあたかも解散するかのようなことを謳っておきながら「大規模なツアーはやらない」というだけで新作も出るし、単発のライヴやフェスティバルへの出演はする、などと言っているし、最近のインタビューを読むとSCORPIONSも引退を撤回しそうな雰囲気に満ちています。

ぶっちゃけ、普通にツアーするよりも「解散ツアー」と銘打ったほうが集客がいいのでしょうし、普通にだらだらと活動を続けるよりも、一度解散して、折を見て再結成した方が話題性が出てビジネス的においしい、というのが現実なのでしょう。

元々大物のベテラン・アーティストなどというのは往々にして活動自体スロー・ペースなので、オフの間は「解散」しているようなものでしょうしね(笑)。

しかし、今回のMOTLEY CRUEについては、2015年以降はモトリー・クルーの名前を語らない、という法律的な誓約書にそれぞれがサインしており、「絶対に再結成しない」ことを誓っているそうです。

実際の所、ミック・マーズ(G)は硬直性脊髄炎という難病を患っており、肉体的に限界を迎えているので、いずれにせよオリジナル・ラインナップでの活動は限界に近づいているのでしょう。

トミー・リー(Dr)は「俺たちのヴィジョンは、ずっと最後にでっかい花火を上げて終わらせるっていうものであり続けたわけで、オリジナル・メンバーが1人とか2人とかになった状態でクラブとか田舎のお祭りに出るようなことはしたくないんだ。俺たちのやるべきことはこれで終わるんだよ」とカッコいいことを言っているそうで、同期のバンドの中には耳の痛い人たちも多いことでしょう(笑)。

まあ、このバンドはなかなか商売上手で、近年もかなり儲けているようなので、老後の心配も一切ないでしょうし、潔く散れるのでしょうね。

個人的には現在の彼らのライブ・パフォーマンスはちょっとヴィンス・ニール(Vo)のフェイクがキツすぎて見るに堪えないものがあり、おそらくツアーに足を運ぶことはないと思いますが、個人的には思い入れの深いバンドなので、敬意をもって見守りたいと思います。

◆ニュースソース
http://www.blabbermouth.net/news/motley-crue-announces-the-final-tour-details/

◆関連記事
http://ro69.jp/news/detail/96295

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BURRN!14年2月号の感想

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表紙は若かりし日のロブ・ハルフォード。先月のイアン・ギランに続き過去の写真です。巻頭インタビューの写真と見比べると、年を取るということについて考えさせられます。

てか、まさかこれからBURRN!の30周年記念号までずっとこういう「過去の写真」が続くのでしょうか? たまたま(この雑誌が考える)大物アーティストの新作リリースがない「谷間」の時期だからこういう形で穴埋めをしているという可能性もありますが…。

ページをめくると、新春恒例のステッカーが。今回は切れ目が入っていて、自分で切らずとも使える仕様になっている(使わないけど…)。

もともとこのステッカーに切れ目が入っていなかったのは、人気バンドのロゴやジャケットだけが店頭で盗まれるからという理由だったようですが、もはやこの雑誌の読者にそこまでセコいガキはいなくなった、ということでしょうか。

ロブ・ハルフォードのインタビューは、ファンにとっては興味深く、そうでもない人にとっては長すぎる代物(これは毎回そうですが)。

ロブがかつてJUDAS PRIESTを脱退した理由など、興味を引く話もありますが、「契約上、JUDAS PRIESTを脱退しないとソロ活動ができないことになっていたから」と言われてしまうと「なるほどそうですか」としか言いようがなく…。

まあ、とりあえず今年出る予定の新作にはそこそこ期待しています。

幅さんの愛に満ちたマイケル・モンローのライブ・レポートとインタビューは、すみませんがスルーさせていただき、先日このブログでアルバムの感想を書いたジェイク・E・リーの新バンド、RED DRAGON CARTELのインタビューを読む。

ジェイクはやっぱり何だかちょっと難しそうな人で、あれだけの腕前と、元OZZY OSBOURNEというキャリアがありながら、なかなか表舞台で出てこなかったのも、彼のパーソナリティーによるものかなぁ…などと思いました。

一方でシンガーに起用されたダレン・スミスは、かつてVELVET REVOLVERのオーディションにもデモを送るなど、かなり本気でシンガーとしてのチャンスを狙っていたようだ。

なまじHAREM SCAREMを知っているだけに、どうしてもダレン=ドラマーというイメージで見てしまうが、シンガーとして成功したいからこそHAREM SCAREMを辞めたようで、彼の本来の目標はやはりヴォーカリストなのだろう。

アルバムで聴いた彼の歌について、「ちょっとオジーの歌い方を意識しているっぽいな」と感じていましたが、やはりそれは意識的にそうしていたようですね。

あぐらをかいたマシュー・ヒーフィー(TRIVIUM)が扉に使われた30周年カウントダウン特集、今月の編集長との対談相手は劇団☆新感線の演出家、いのうえひでのり氏。

劇団☆新感線といえば日本の劇団の中でもトップクラスの人気劇団ではありますが、演劇というジャンル自体が日本ではマイナーなので、果たしてBURRN!読者にどれだけの認知度があるかというとやや疑問。

ただ、対談の内容は、「この人本気でメタルが好きなんだな」というのが伝わってきて、とても好印象でした。WITHIN TEMPTATIONやLACUNA COILなども好き、という「現役ファン」な感じがいいですね。

劇団☆新感線の『メタル・マクベス』はDVDを購入して観ていますが、シンフォニック・メタルでミュージカルを作りたい、という思いのもとに制作したという『SHIROH』も機会があったら観てみたいですね。

編集部の自問自答企画『HM/HR界の素朴なギモン30』は、知らない話も多く、それなりに楽しく読みました。キャンディス・ナイト(BLACKMORE’S NIGHT)が元バドガールだったというのが一番「へぇ」って感じでした。

二番目に面白かったのはCRIMSON GLORYの仮面が東○ハ○ズとかで売っているような紙製のパーティー・グッズで、メンバー自らハサミで切って調整していたという話ですかね(笑)。

ドン・ドッケンのネタは悪ノリの類というべきで、これは必ずしも器が小さくない人でも気を悪くするのではないかと思います(苦笑)。

続く2013年総括記事のうち、「編集部員が選ぶスゴかった人たち」は、「イングヴェイんとこのベースの人」だけが圧倒的に無名であることが笑い所ですね。

昨年は来日公演はなかなか充実していましたが、「主な出来事」に挙げられているニュースはやはり小粒なネタが多かった印象。まあ、訃報だの解散だの、ネガティブな話題が多いよりは全然良いのですけど。

長年の読者にとっての最大の変化は、通常4月号の読者投票と一緒に公開されていた編集部員の選ぶベスト・アルバム/チューンがこの号で公開されていることでしょうか。

この時期に公開した方がタイミング的には旬であることは確かですが、この変化が読者投票に影響を与えるかどうかが個人的には興味があります。

各編集部員&ライターさんのセレクトについては、長年の読者であればまあ想定の範囲内というか。

個人的に感銘を受けたのは、長年この雑誌ではヘナチョコ・シンガー扱いされてきた(被害妄想?)ティモ・コティペルトをベスト・ヴォーカリストに選んでいる人(川合氏)がいたことです(笑)。

広瀬編集長のセレクトに関しては、自己申告しているリメイク系の作品が3枚入っていることでもなく、アルバム、チューンとも、4割が日本のアーティストであることでもなく、FAIR WARNINGのアルバムタイトルが間違っていることが問題だと思います。

白黒ページで印象的なのは、他にたくさんあるもっと規模の大きいメタル系フェスはほとんどレポートされないのに、これだけは毎回レポートされている気がするイギリスのメロディック・ロックのフェス、「FIREFEST」のレポート。

THE MAGNIFICENT、EDEN’S CURSE、WORK OF ART、DARE、HAREM SCAREM、NATION、VON GROOVE、HEAVEN’S EDGE、TREAT、H.E.A.T、HARDLINE、ECLIPCE、BRIGHTON ROCK、PROPHET、ALIEN、メロディアス・ハードが好きな人にとっては、このメンツは豪華過ぎるでしょ。特に私みたいな北欧メロディアス・ハードのファンには垂涎の顔ぶれ。

しかしこんな強力なフェスも、スポンサーが付かないために今年の10月に行なわれるのを最後に終わってしまうとか…。LOUD PARKは大丈夫でしょうか。

後半カラーページでは、ROYAL HUNTのインタビューが今月号である意味一番衝撃的な内容かもしれません。何せ今回のアルバムが最後のアルバムになる可能性が高い、という旨の発言がなされているわけですから。

まあ、ここまでマーケット事情が悪化していて、しかもアンドレ・アンダーセンにはテレビの音楽制作などの仕事がちゃんとある、となれば、まあ無理してバンドを続ける意味もないよなあ…。

となると既に決まっている来日公演は、ひょっとしたら最後の来日公演になってしまうのでしょうかねえ…。

ベスト・アルバムを出した陰陽座は、『ロッキング・オン・ジャパン』ばりの2万字インタビュー。彼らの商業的実績を考えれば妥当なボリュームですが、個人的には最近彼らのファンが所謂「メタラー」なのかどうかは確信が持てません。

そんな私が編集部員の「今月のおすすめ」コーナーで一番興味を引かれたのは、幅さんが紹介している『ヴィジュアル・ロック・パーフェクト・ディスク・ガイド500』という本だったりするわけですが(笑)。

後半、NIGHTWISHがカラー5ページで扱われているのは、この雑誌としては前向きな取り組みだと思いましたが、その一方でクロスレビューのトップであるWITHIN TEMPTATIONのインタビューが2ページしかないのは物足りない気がしました。

まあ、クロスレビューでWITHIN TEMPTATIONがトップを飾っているということも、「進歩」なのでしょうね。昔は彼(女)らのような「ビッグ・イン・ヨーロッパ」なバンドに対しては冷淡な雑誌だったという印象が強いので…。

というわけで今月のマスト・バイはそのWITHIN TEMPTATIONに、広瀬編集長が90点を付けているPRIMAL FEARの新作です。

ICED EARTHとRING OF FIREはどうしようかな…という感じの迷い具合。

しかし今月気になったのは、輸入盤レビューの多さに対して、国内盤リリースの少なさ。クロスレビュー含めて4ページ分もないですからね。

それもBOSTONだのDAUGHTRYだの、HR/HMと呼ぶべきか微妙なアーティストも含めてこの数。これが単なるリリースの谷間の月だから、ということであればいいのですが、これが日本盤リリースの減少傾向を端的に示しているのだとしたら由々しき事態ではないでしょうか…。

◆発行元であるシンコー・ミュージックのWebサイト
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=2175011402

KAWASAKI ROCK CITY 2014 at クラブチッタ 14/1/11

クラブチッタ25周年プレミアム来日公演第4弾として企画された、キッスの「デトロイト・ロック・シティ」にインスパイアされたと思しきネーミングのイベント「カワサキ・ロック・シティ2014」に行ってきました。

Y&T、WINGER、FIREHOUSEという、80年代から90年代の初頭にかけて活躍したアメリカのHR/HMバンドが3つ登場する「プチROCKLAHOMA」的イベント(最近のROCKLAHOMAは新しいバンドも出るようになっていますが…)。

いずれもその音楽は魅力的だと思っており、ライブにも定評のあるバンドながら、個人的には微妙に世代ではないバンドということもあり、単独であれば恐らく行かなかったと思いますが、同時に3つ観られるなら、というお得感でチケットを購入しました。

Y&Tは前日に単独でデビュー40周年記念ライブを行なっていますが、WINGER、FIREHOUSEとも、かつては単独でクラブチッタを埋めることができるだけの人気を誇っていたのに、その3バンドが土日に出演するというのにソールド・アウトしなかったという事実が時の流れを感じさせます。

とはいえ、当日券組も含めると9割以上入っている感じで、場内はかなりの人口密度。年齢層的には40代がメインという感じで、30代よりもむしろ50代の人の方が多いのではないかというアダルトな雰囲気。明らかに20代以下、という感じの若者は数えるほどしか見かけなかったような…。

この年齢層であれば、正直な所、渋谷公会堂とか中野サンプラザとか、椅子がある会場の方が集客できたのではないかと思いました

女性比率はそれなりに高かったあたりは、当時のHR/HMが女性に支持されていたことを今に伝える事実ですね。

以下、バンドごとの感想です。

FIREHOUSE

オープニング・ナンバーとなった「Shake & Tumble」は正直日本人好みの曲とは言い難く、2曲目の「All She Wrote」でオーディエンスにエンジンがかかった感じ。

耳を弾くのはやはりC.J.スネアの伸びやかかつパワフルなヴォーカル。ショウの随所で響き渡るロング・ノートのハイトーン・スクリームは「明日もライヴあるのにこんなに飛ばしていいの?」と思わず心配してしまうほど。

一方目を引くのはドラムのマイケル・フォスター。短髪になってしまったC.J.スネアや、プレイはカッコいいのに、見た目がどうにも地味なビル・レヴァティ(G)と違って、ロック・ミュージシャンらしいルックスで、パーマのかかった長髪を振り乱しつつダイナミックなシンバル・ワークと、頻繁にスティックを上方に放ることで(必ずしもキャッチ成功率は高くない)、ドラマーにもかかわらず相当な存在感を放っていました。

「When I Look Into Your Eyes」のようなバラードでは、C.J.スネア自身がキーボードの前に座って弾きながら歌う。こういう普遍性のあるラブ・バラードを聴かせてくれるHR/HMバンドって減りましたよね…。

必ずしもベスト選曲だとは思いませんでしたが、絶対聴きたい、と思っていた曲はひと通りプレイしてくれたし、一番聴きたかった、個人的にハード・ロックに求める「カッコよさ」がほぼ完璧な形で体現されている名曲「Overnight Sensation」が聴けたのは感激でした。

安定感に満ちた演奏とステージ運びは、安心して観ていられる一方、スリルには欠け、完全に初期2枚のナンバーで固めたセットリストも含めて微妙なロートル感があるのは否めないものの、C.J.スネアのなかなかに達者な日本語MCも好感度大で、文句なしに楽しめるステージでした。

ただ、C.J.スネアの歌声が未だ素晴らしいだけに、このまま懐メロを歌い続けてキャリアを終わらせてしまうのはちょっともったいないな…と思ってしまったり。


WINGER

こちらはデビュー25周年記念公演ということで、彼らの最大のヒット作であるセルフ・タイトルのデビュー作の完全再現が行なわれることになっていた。

ただ、WINGERの持ち時間は70分とアナウンスされており、ファースト・アルバムの曲だけでは間が持たない。

ということで1曲目は最新作「KARMA」収録の「Pull Me Under」でスタート。

80年代以来のファンが多いと思しき会場での認知度は必ずしも高くないと思われる曲だが、個人的には「予習」した際にそのカッコよさに驚き、スルーしていた「KARMA」をチェックしなければならんと思った曲ですね。

2曲目にセカンド収録の「Can’t Get Enuff」を挟んで、ついにファースト・アルバムの完全再現が開始。

アルバムの構成上「Madalaine」や「Seventeen」など、本来ショウのクライマックスに持ってくるようなヒット曲が前半に来てしまうのがライブの構成としてはややアンバランスな気がしたが、そういう企画なのでしょうがない。

FIREHOUSEのショウでも充分に演奏は上手いと感じたが、スタジオ・ミュージシャン上がりのハイテク集団として鳴らしたWINGERはそれ以上に上手い。

基本的にはキャッチーなハード・ロックでありながら、インストゥルメンタル・パートでは時にプログレばりの超絶技巧が炸裂するのがこのバンドの個性。

ポール・テイラー(Key, G)は完全に「フツーのオッサン」な見た目でしたが、キップ・ウインガー(Vo,B)やレブ・ビーチ(G)は未だに現役ロック・ミュージシャンのオーラをしっかり放っており、FIREHOUSEでちょっと感じたようなロートル感はほぼ皆無。

ロッド・モーゲンスタイン(Dr)の職人的プレイ・スタイルも、FIREHOUSEのマイケル・フォスターとは対照的。体格が小柄なこともあって、その姿はほとんどドラム・キットの陰に隠れてほとんど見えず、ビジュアル・アピールは皆無に近かったが、音だけで充分な存在感を放っていたのは流石。

レブ・ビーチのギターも、WHITESNAKEで観たときとはうって変わって主張の強いハイテクを随所で炸裂させ、この日一番の「ギター・ヒーロー」オーラを放っていた。きっとレブ・ビーチが日本語を話すことができたら「WHITESNAKEでは引いているぶん、WINGERでは弾いているのさ」とでも言ったことだろう(?)。

「ファースト・アルバムのラスト・ナンバーだ」というMCに導かれて始まったのは、彼ら屈指のヒット曲であるバラード、「Headed For A Heartbreak」で、CDには収録されているが、LPやカセットには入っていなかった「Higher And Higher」は、彼らの中では「ボーナス・トラック」扱いのようだ。

その後3rd「PULL」収録の「Down Incognito」と、セカンド・アルバム収録のヒット・シングル「Easy Come Easy Go」をプレイして終了。

レブ・ビーチ、ジョン・ロス、ポール・テイラーのトリプル・ギターによるアンサンブルも見事で、非常に聴き応えのあるライブでしたが、個人的に彼らの楽曲で1、2を争うほど好きな「Rainbow In The Rose」を聴けなかったのが唯一の心残りでした。


Y&T

イベントのトリを飾るのは、昨日デビュー40周年(前身バンドであるYESTERDAY & TODAY時代からカウント)ライヴを行なったY&T。

このイベントの出演順というのは完全にレコード・デビュー年からカウントしての年功序列制になっていて、日本的だなあと思っていました。

実際の所、Y&TはアメリカではTOP40にすら入ったことがなく、チャート成績的にはWINGERやFIREHOUSEの方が優れた成績を残している。というか、一番手で出たFIREHOUSEのほうが全米TOP10シングルを2曲も持っており、デビュー作はダブル・プラチナムに輝くなど、商業実績的には「格上」だ。

しかし、Y&Tはそんなつまらないことはどうでもいいと思わせる堂々たるパフォーマンスを見せ、トリであることを恐らく会場内にいた全てのオーディエンスに納得させた。

実は、私はY&Tはどちらかというと苦手でした。わかりやす過ぎる哀愁のメロディを、あまりにもベタなコード進行と曲展開に乗せて熱唱するその音楽性には、(海外のバンドにこのような例えをするのはいかがなものかと思いますが)昭和50年代の熱血ドラマを見せられているかのような気恥ずかしさがあったのです。

そして、さらに言うならアートワークや曲タイトル、PVのセンスなども含めて、ぶっちゃけ「ダサい」と思っていました。いや、HR/HMなんて基本的にはどれもダサさと紙一重ではあるのですが、このバンドについてはちょっと個人的な閾値を超えていたというか…(苦笑)。

しかし、そんな私でも本日のライブ・パフォーマンスにはブッ飛びましたね。デイヴ・メニケッティの歌とギター、どちらも圧巻としか言えない凄みがありました。その迫力と風格は、充分に良いパフォーマンスを見せてくれたFIREHOUSEやWINGERが霞むほど。

特に歌唱には強い感銘を受けましたね。近年は「ライブとCDの歌が違うのは当たり前。どうカッコよくごまかすかがシンガーの腕の見せ所」くらいに思っていましたが、デイヴの場合はCDそのまんまなんじゃないかという完璧さと、ライブならではのエモーショナルな表現力まで加わって「ああ、これが本当に歌が上手いということなんだ」と痛感させられました。私がこれまでに観た数多くのヴォーカリストの中でも1、2を争う歌唱力と言っても過言ではありません。

しかもこれでギターも滅茶苦茶上手いですからね、まさに天は二物を与えた感じですよ。これだけ上手く歌えて、ギターが弾ければ、音楽やることが楽しくて仕方ないだろうなあ、と思ってしまいます。

幸いなことに(?)、ルックスはあまりカッコ良くないので、そこでバランスは取れているわけですが(笑)。

ただ、エモーショナルなギターを弾く人は皆そうですが、デイヴ・メニケッティもかなり「顔で弾く」タイプで、思わずその百面相的な表情に目を奪われてしまいました(笑)。

デイヴ・メニケッティの脇を固めるギタリストとベーシストも、演奏技術、コーラスとも申し分のない実力者で、ドラマーも含め、非常にレベルの高いバンドに仕上がっていました。ギターとベースがブロンド・長髪で、見栄えの点でも貢献していたことも見逃せません。

個人的にはギターのジョン・ナイマンが歌うロックン・ロール・ナンバー「Squeeze」はこういうフェス形式のステージでは蛇足なような気がしましたが…。

基本的にはグレイテスト・ヒッツ的なセットリストながら、2010年に出ている最新アルバムからの曲もプレイしており、それらの新しい曲も過去のクラシックと比べて聴き劣りしないほどに良かったので、今度チェックしてみようかな、と思いました。

トリだけにこのバンドだけアンコールがあって、代表曲である「Forever」で締めたわけですが、個人的なハイライトは「Rescue Me」でしたね。


キャリアの長いバンドのライブは、たまにその衰えにガッカリさせられることもありますが、今回についてはいずれのバンドも純粋に「さすがベテラン」と思わせられるプロフェッショナルなパフォーマンスで、非常に充実したイベントでした。しかもサウンドも概ね良好で、空調も快適に保たれていて、そういう意味でも良かったです。

こういう懐メロフェスみたいなものをダサいと思う人もいると思いますが、個人的には単なるノスタルジー以上の刺激を感じることができたイベントでした(そもそも私は世代じゃないのでこれらのバンドにノスタルジーは持っていないわけですが)。

RED DRAGON CARTEL / RED DRAGON CARTEL

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元OZZY OSBOURNE~BADLANDSのギタリストとして知られるジェイク・E・リーのニュー・バンドのデビュー・アルバム。

元々は所謂ソロ・アルバムであったようで#3にロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)、#5にポール・ディアノ(元IRON MAIDEN他)、#7にマリア・ブリンク(IN THIS MOMENT)、#9にサス・ジョーダンと、複数のゲスト・ヴォーカルが起用されている。

しかし、本作の制作作業を経て、これを1回限りのプロジェクトにするのはもったいないと考えたジェイクと、その旧友だったロニー・マンキューソ(B)が、パーマネントな活動をするためのメンバーを募り、ダレン・スミス(Vo)とヨナス・フェアリー(Dr)が加入し、晴れて「バンド」としてのRED DRAGON CARTELが誕生した。

シンガーとして起用されたダレン・スミスは、日本ではHAREM SCAREMの元ドラマーとして知られており、HAREM SCAREM在籍時からしばしばリード・ヴォーカルをとっていた。

LAメタルの流れにあるアメリカのメタルが90年代以降極めてダウントレンドだったこともあって(ジェイクはかつてRATTの前身バンドやROUGH CUTTに在籍していたバリバリのLAメタル人脈の人物である)、BADLANDS解散後のジェイクの活動は決して順調とは言い難く、リリース自体もそれほど多くなかったし、発表された作品も大きな話題になることもなかった。

2005年に「RETRACED」というソロ・アルバムを出してはいたが、実質的には1996年のソロ・アルバム「FINE PINK MIST」以降のジェイクはほぼ引退状態だったと言っていいだけに今回の「復活」は往年のファンにとっては感慨深いものがあるだろう。

期待を高めたのは、先行してWeb上で公開された本作のオープニング・トラック「Deceived」で、これがあざといほどあからさまにOZZY OSBOURNE時代の代表曲である「Bark At The Moon」を彷彿させるソリッドなナンバーだったことで、私を含め多くのファンが(私は後追いですが)「Jake Is Back!」を実感した。

そして期待に胸を膨らませつつ満を持してドロップされた本作を聴いてみた。

…まあ、悪くはない。が、予想を超えるほど良くもないというか、ハッキリ言ってしまえば期待していたほどに良くはない、という表現の方が適切か。

前述の#1はたしかにカッコいいんだけど、当初の触れ込みだった「オジー時代の路線」と言い切れるのはその曲くらいで、それ以外の曲は中途半端にモダンな(90年代的、というべきですかね)雰囲気のあるヘヴィ・ロック・チューン(あるいはちょっとBADLANDSを思わせる曲もある)でやや肩透かし。

楽曲の出来自体は、この手の音楽のファンではない私のような人間でも退屈しないレベルに達しているのでまあ聴けるのだが、若いファンが飛びつくようなサウンドとは言い難いし、それだったらLAメタル路線全開で、往年のファンの期待に応えてほしかったというのが本音。

サウンド・プロダクションもイマイチだし、ベース&ドラムのリズム隊のキレもイマイチ。一番の聴き所であるジェイクのプレイも、所々かつて「ジェイク・フェイク」と呼ばれたトリッキーと呼べるほどにフラッシーなプレイの面影はあるものの、やはり全盛期の輝きを取り戻しているとは言い難い。

とりあえず半数以外の曲を歌っている「メイン・シンガー」のダレン・スミスも、まあ無難と言えば無難は歌唱を聴かせているものの、個性は薄いし、正直HAREM SCAREMを聴いていた身からすると「でもあなたドラマーですよね?」という思いがどうしても拭えない(いや、名シンガーと言われる人の中にも、かつて他のパートを担当していたという人はぼちぼちいるので、これは言いがかりみたいなものですが…)。

いずれにせよ、ゲスト・シンガーたちの歌唱の方が印象的であることは確かです(苦笑)。

余談ながら、ジェイクはいわゆるハイトーン系やクリーンな声のヴォーカルは好きじゃないんだな。彼がかつて選んできたレイ・ギランやマンディ・ライオンといったシンガーも、今回起用しているシンガーも、みんなハスキーで癖のあるタイプばかりである。

まあ、ジェイクが復活するとしても、きっとBADLANDSの流れにあるブルージーで渋い(あのバンドの音を渋いなどといったら、本格的なブルーズのファンには怒られると思いますが)「オトナ路線」だろうと思っていたので、これだけパワフルなロック・サウンドを聴かせてくれたことは単純に嬉しいのですけどね。

まあ、何せブランクが長かったのでいきなりの「完全復活」を望むのは酷と言えば酷かもしれません。

コンスタントにライヴなどを重ねてリハビリ(?)し、往年の勘を取り戻してもうひと花咲かせてほしいと思っています。【78点】

◆本作のリーダー・トラック「Feeder」のリリック・ビデオ



2014年 新年ご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
今年もMETALGATEとこのブログをよろしくお願いいたします。

昨年はLOUD PARKも2日開催に戻り、メタルフェスというよりはヘヴィ・ロック・フェスという感じだったOZZFEST(ももクロちゃんはオマケということで)が行なわれ、SUMEER SONICにもMETALLICAをはじめ、かなりメタル寄りのアクトが数多く出演しました。

単独でも、VAN HALEN、AEROSMITH、KISS、BON JOVIと、アメリカの大御所が何故かまとめて来日。アベノミクスによる円安がこれ以上進行する前に、という「駆け込み来日」だったのでしょうか(笑)。

そういう意味で、興行的には近年稀に見る豪華な年だった2013年。私もひと通りのフェスと、一番レアなVAN HALENには足を運びましたが、HELLOWEEN&GAMMA RAYのHELLISH ROCK PART IIと、これこそ激レアであろうDARK MOORを観損ねたことが昨年の心残りではあります。

来日公演の豊富さに比べると、アルバム・リリースの面ではそれほど強烈な話題作があったという印象はなく、全米チャートでTOP10に入るようなアルバムもBON JOVI、DREAM THEATER、MEGADETHなど、大御所ばかり。

相対的に若いバンドでいうと、AVENGED SEVENFOLD、FIVE FINGER DEATH PUNCH、BLACK VEIL BRIDES、AUGUST BURNS REDなどが気を吐いていますが、A7Xを除くと日本ではさっぱり、というのが現実。

海外のメタル・サイトで好評価を得ているDEAFHEAVENやQUEEN OF THE STONE AGE、GORGUTS、GHOST B.C.なども日本ではほとんど話題にならず、日本と海外の温度差は90年代以降ほとんど変わらない状況です。

問題なのは、温度差があることではなく、海外の人気バンドが90年代以降コンスタントに入れ替わっているのに対し、日本で人気があるバンドというのはほとんど変わっていないことかなあ、と思っています。

ただ実際の所、私自身もバンド単位ではともかく、音楽性としての嗜好はほとんど変わっていないので、やはり若い人がどれだけ流入し、ファン層の新陳代謝が進んでいるか、ということが問題なのでしょう。

また、昨年は大きな解散、メンバーチェンジ、訃報などが少ない、ニュース的な意味では良くも悪しくも平穏な年でした。私のように忙しい人間にとっては更新しなくてもいいのである意味ラクでしたが、日々ネタ探しをしているような人にとってはつまらない1年だったかもしれません(笑)。

『BURRN!』読者のような従来のHR/HMファンにとって今年最大のニュースというのはひょっとするとバーン・コーポレーションが消滅し、酒井康氏が『BURRN!』の運営から排除されたことかもしれませんし、世の中一般的にはBABYMETALが一番ホットな話題だったかもしれないというのが少々寂しい所です。

もちろん小ネタはいろいろとあったのですが、ブログで取り上げるほどのものはあまり無かったので、Twitterで軽く触れるくらいにとどめました(ご興味のある方はTwilogでまとめておりますのでよかったら覗いてみてください)。

HR/HMに限らず、音楽業界・ミュージックシーン自体が今後の見通しを立てづらい状況だけに、2014年については、今の所何を期待すればいいのかわからないというのが正直な所ですが、とりあえず私の好きなタイプのバンドがコンスタントに良作を出してくれればそれで充分かな、と思っています。

それでは今年も皆さんにとって良いメタルに出会える年になりますように。