ARMORY / EMPYREAN REALMS

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2007年に発表されたファースト・アルバム「THE DAWN OF ENLIGHTENMENT」が、アメリカのバンドらしからぬピュアなメロディック・パワー・メタル・サウンドだったことで一部マニアの注目を集めたマサチューセッツ州出身の6人組のセカンド・アルバムにして日本デビュー作。

前作から7年という決して短くない年月が経過しており、私の中ではとっくに解散したと思っていただけに、ここに来て新作が発表されるというのは嬉しい驚きだった。

基本的な音楽性は大きく変わっておらず、アメリカのバンドには珍しい欧州型のメロディックなヘヴィ・メタル・サウンドが展開されていて、その変わらぬ姿に安堵する。

とはいえよく聴くと、前作に比べてプログレッシヴな要素がフィーチュアされた楽曲が増えており、メジャー調の明るいメロディ(といってもそれは決して「アメリカ的」なものではない)が顔を見せるケースも心なしか増えたように感じる。

個々の楽曲はある意味前作より複雑に練り込まれているし、グッと来るパートやメロディも随所に登場するのだが、全体として前作において私の琴線に触れてきたエピカルで勇壮な雰囲気がやや減少しているのが個人的にはちょっと残念。

このバンドは自主レーベルからアルバムを発表するインディー・バンドで、アメリカにおいてはこの手のサウンドがマイナーであるがゆえに恐らくメンバーはこのバンド以外の仕事で生計を立てていると思われ(このバンドは副業というか、半ば趣味?)、そのためにアルバムの制作に7年もの歳月を要してしまったことについては、もったいないと思わずにいられない。

このバンドが欧州のバンドで、「AFM」とか「LMP」とか、それなりのレーベルに所属して、資金や制作環境面でのサポートを得られていればもっと短いスパンで、さらに質の高い作品を送り出せたのではないかと思われるのですが、どうなんでしょうね。

日本盤ボーナス・トラックはRIOTの「Thundersteel」、HELLOWEENの「Where The Rain Grows」、そしてVIRGIN STEELEの「Love Is Pain」のカヴァーで、(VIRGIN STEELは正直それほどでもないが)実に私のツボを押さえた選曲。

このバンドもRIOTやVIRGIN STEELEのように、本国アメリカではさっぱりでも、欧州や日本で人気を博してメタル史に歴史を刻むバンドになってくれるといいのですが…【79点】

◆本作のサンプラー映像



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ARMORY / THE DAWN OF ENLIGHTENMENT (2007)

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2001年にチャド・フィッシャー(G)とジョー・カーランド(G / Dr)を中心に、アメリカのマサチューセッツ州タウンゼント出身のメタル・バンドのファースト・フル・アルバム。

00年代にマサチューセッツというと、数多くのメタルコア・バンドを輩出し、「MAメタル」などという言葉が生まれるほどメタルコアが盛んな地だったが、このバンドがプレイしているのは、バンドのバイオグラフィーにある「ヨーロッパのメロディック・パワー・メタル、或いは80年代的な伝統的ヘヴィ・メタルに大きな影響を受け」「エピックかつエネルギッシュでメロディ主導のヘヴィ・メタル」という表現そのままの音である。

彼らの初音源となる本作は、3年間の年月をかけて作り上げられ、2回に渡ってデモがレコーディングされるが、メンバーはその仕上がりに納得がいかず、デモはお蔵入りしていた。

2005年にミックスとマスタリングにプロフェッショナルなスキルを持つピーター・ルッチョのもと、あらためてレコーディングされた「三度目の正直」音源が、2007年になってようやく世に出たわけである(なお、ピーター・ルッチョはKey奏者としてバンドに加入している)。

それだけ時間をかけて作られただけあって、本作はこの手の音楽の本場とは言い難いアメリカのインディー・バンドの自主制作盤としてはかなりレベルの高い作品に仕上がっている。

ドラマを予感させるイントロダクションの#1から、「イャーーーーーーーーーーーーー」というハイトーン・スクリームと共に高速の2バス・ドラムとKeyを絡めたリフがスタートした時点でガッツ・ポーズですね。

「ブルース・ディッキンソンの物真似をしているトビアス・サメット」みたいなVoも、あまり上手くはないが、このバンドが得意としている(と、私が勝手に評価している)勇壮な曲調にはマッチしていて悪くない。

疾走するスピード・メタルから、ギャロップ・ビートで勇壮に押していく曲、エモーショナルなバラードから13分に及ぶ大作まで、どの曲にもドラマティックなムードが漂い、この手の音楽に滅法弱い私のツボを突いてくる。これはこの手の音楽を心底愛していないと作れないサウンドですよ。

日本盤ボーナス・トラックはIRON MAIDENの「Flight Of Icarus」と、カプコンのゲームソフト「ロックマン2」(当地では「MEGA MAN2」)の楽曲で、当時日本でもMAD動画などで再評価されていた「Dr.Willy」のメタル・カヴァーで、この辺のセンスも心憎い。

ちょっと脱線しますが、Keyのピーター・ルッチョは彼のソロ・プロジェクトであるVOMITRONというバンドで、「ゼルダの伝説」「Ninja Gaiden」「悪魔城ドラキュラ」などの楽曲をカヴァーした「NO NES FOR THE WICKED」(2011)というアルバムを発表して一部でかなり話題になっていたりもします

当時は、今ではすっかり廃れてしまったMySpaceというSNSがとても流行っていて、そこでマイナーなバンドをチェックするのが一種のトレンドだったのですが、このバンドはそういう「埋もれた良バンド探し」の中で見つけたバンドで、当時このブログで記事にもしていました。

最近はそういう「マイナーな良バンド探し」なんてのはあまりにも効率が悪くてやらなくなってしまいましたが(玉石混交とはいいますが、あまりにも石ばかり…)、あれはあれで楽しかったですね。

IRON MAIDENがメロディック・パワー・メタルに接近したかのようなサウンドは、この手のバンドのファンであればぜひ一度聴いてもらいたい、B級ならではの魅力に満ちたサウンドです。【83点】

◆本作のプレビュー映像

なんか今一つ「おいしい所」を抽出できてないサンプラーのような気がする…。

◆本作収録「Dr.Willy」のカヴァー音源

なお、冒頭部とラストのゲームSEは当然ながらCDには収録されておりません(笑)。


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LOUD PARK 14とKNOT FEST JAPAN 2014の第2弾アーティストが発表に

4月25日午前0時にLOUD PARK 14とKNOT FEST JAPAN 2014の第2弾アーティストが発表になりましたね。

基本的にこのブログを読んでいる人の大半は「LOUD PARK派」だと思いますが、今回発表されたメンツはなかなか期待できるのではないでしょうか。

◆ARCH ENEMY
◆DRAGONFORCE
◆RAGE
◆THUNDER
◆DEATH ANGEL
◆SOILWORK
◆BELPHEGOR
◆VANDENBERG'S MOONKINGS
◆BATTLE BEAST
◆PERIPHERY

若手からベテラン、伝統的なハード・ロックからモダンでエクストリームなもの、メジャーなものからコアなものまで幅広く、バランス良く含んだ、なかなか全面的な批判はしにくいラインナップです。

ARCH ENEMYなんかはもはやこのフェスにおいては「お約束」みたいなものですが、今回は新Voをフィーチュアしているということで新鮮味もありますしね。

個人的には実は見たことがないRAGEと、昨年の来日公演を観損ねたBATTLE BEASTが嬉しいですね~。

もう後はSYMPHONY Xの発表を待つだけです(ただの願望)。


一方、KNOTFEST JAPAN 2014の追加ラインナップはKORNとLIMP BIZKIT。

どっちもかつて(不評気味だったとはいえ)LOUD PARKのトリを務め、アルバムのトータル・セールスは千万枚単位の超メジャー・アクト。これは豪華ですわ。

しかし、KORNもLIMP BIZKITもSLIPKNOTの先輩格なのに「トリ前」(ですよね?)に甘んじるとは、アメリカ人にはやっぱり「年功序列」的な概念は薄いんですねえ(?)。


これまではLOUD PARKに伝統的なメタル・バンドもモダンなヘヴィ・ロック・バンドも出ていましたが、こうして明確に棲み分けられたとき、どのような結果になるかが興味深いですね。

今の所、SNSでの拡散数などを見る限り、発表されたアーティスト数は少ないにもかかわらずノットフェスの方が話題になっているように見えます(まあ、発表されたアーティストの知名度自体ノットフェスの圧勝ですが)。

とはいえ、伝統的なメタル・ファンのほうが年齢層が高く、夜更かしをしてネットをしないとか、そもそもSNSに親しみがない、という可能性もあるので、単純にネット上での反響だけでは測れない部分もあります。

LOUD PARKの運営元であるクリエイティブマン的には、近い時期にKNOTFESTがあるというのはアゲインストな現象として受け止められるかもしれませんが、ここはいっそ実験の年と位置付けて、中途半端なモダン・ヘヴィ・ロックなど呼ばずにBURRN!読者に歓迎されるバンドばかりで固めてどれくらい動員できるのか、試してみるべきではないかと。

これまで、「観たくないモダンなヘヴィ・ロック・バンドが混じっているから」という理由で来なかった人たちが、そういうバンドを排除することで来るようになって実は来場者数が増えるのか、単純に今まで数少ないモダンなヘヴィ・ロック・バンドを目当てに来てくれていたお客さんをノットフェスに持って行かれて動員減となるのか、興味深いところです(後者のような気がしますが…)。

フェスというのは経済的には年配(伝統的なメタルファン)に有利で、体力的には若者(SLIPKNOTも15年選手なのであくまで相対的ですが)に有利な性格のイベントなので、この2つのイベントの動員の差は、そういうマーケティング的な意味でも興味がありますね。

いずれにせよ、この2つのフェスの今後の追加アーティストを興味深く見守っていきたいと思います。

◆LOUD PARK 14公式サイト
http://www.loudpark.com/14/

◆KNOT FEST JAPAN 2014公式サイト
http://knotfestjapan.com/

サイトの作りだけ見ても、ノットフェスの方が圧倒的に予算がかかっているのが一目瞭然で悲しい(苦笑)。
プロモーション映像まで作れとは言いませんから、せめてSNSでシェアするためのボタンくらい設置しましょうよ。

6月前半の来日ラッシュがすごい

GAMMA RAYの来日公演が発表されましたね。

◆6月10日(火)東京:TSUTAYA O-EAST
◆6月11日(水)東京:TSUTAYA O-EAST
◆6月12日(木)名古屋:ボトムライン
◆6月14日(土)大阪:梅田クラブクアトロ

http://ameblo.jp/tokyoonkyorock/entry-11825610833.html

ここで元GAMMA RAYのVo、ラルフ・シーパースのいるPRIMAL FEARの来日公演の日程を確認してみましょう。

◆6月3日(火)東京:TSUTAYA O-EAST
◆6月4日(水)名古屋:ボトムライン
◆6月5日(木)大阪:梅田クラブクアトロ

http://ameblo.jp/tokyoonkyorock/entry-11761172153.html

なんと、前の週ではありませんか。

そして(GAMMA RAYと)同じ週には12年ぶりに、現名義では初となる来日となるこんなバンドの公演も。

<RHAPSODY OF FIRE 来日公演>

◆6月11日(水)大阪:梅田クラブクアトロ
◆6月12日(木)東京:TSUTAYA O-EAST

http://www.mandicompany.co.jp/pg251.html

うーん、被ってますね~(カイ・ハンセンの頭部とは一切無関係な発言です。誤解なきよう)。

元々GAMMA RAYとRHAPSODY OF FIREは一緒に欧州ツアーを回っているので、スケジュールがシンクロしていて当たり前なのですが、だったら日本でも一緒にやってくれよ、と(笑)。

とはいえ、2バンドで、ということになると、どちらかが前座扱いになって(キャリアを考えるとRHAPSODY OF FIREがそうなるんでしょうね)セットリストが削られることになるので、個々のバンドのファンにとってはそれぞれフルサイズのショウを観られるほうが好ましいとは思いますが。

個人的にはPRIMAL FEARとGAMMA RAYこそ共演にピッタリで、招聘元も同じ東京音協なのだし、何とかならなかったものかという気がします。

ラルフ・シーパース在籍時のGAMMA RAYの人気が高かった日本では、その共演となるとより大きな関心を呼んだと思うのですが。

ま、GAMMA RAYとPRIMAL FEARではファン層は半分以上被っているでしょうし、別々に公演した方が両方に足を運ぶ延べ来場者数は増えて儲かる、ということかと思いますが…。

ただ、さすがに日程が近すぎると思うんですよね。PRIMAL FEAR、GAMMA RAY、RHAPSODY OF FIREが半年とかせめて3か月おきに来日してくれたら全部行く、という人も、さすがに2週間ほどの間にまとめて来られてしまうと、スケジュールや金銭的な問題でどれか切らざるをえないんじゃないかと。

どのバンドもファンは社会人がメインだと思うだけに、全て平日(東京は)というのも厳しいし、スタンディングのライブが立て続くというのも体力的にしんどい。

かく言う私も、新譜の出来や、これまで観たことがあるかどうか、などの判断基準から消去法でPRIMAL FEARだけに絞ろうかと思っています…。

昨年の来日ラッシュも稀に見るものでしたが、今年もかなりの勢いです。音楽は「CDよりライブで稼ぐ」時代になったと言われますが、そういうことなのでしょうか。

同時期には何気にEXTREMEなんかも来日してますしね。嬉しい悲鳴を通り越して、本当に悲鳴を上げる人が出そうです(笑)。

SAVAGE MESSIAH / THE FATEFUL DARK

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前作「PLAGUE OF CONSCIENCE」がBURRN!誌の輸入盤レビューで奥野氏に95点という高い評価を受け、評判となったイギリスの4人組(VoがGも弾くツイン・ギター編成)のサード・フル・アルバムにして日本デビュー作。

ヘヴィ・メタルという音楽の発祥の地と言われつつ、その後はすっかりアメリカや大陸ヨーロッパの国々にそのお株を奪われ、JUDAS PRIESTやIRON MAIDENといった発祥当時からの大物を除くと、世界的にも最もヘヴィ・メタルが廃れた国となっているイギリス。

しかし、このバンドがプレイしている音楽はそんな現代イギリスから出てきたとは思えないほどメタルらしいメタル。端的に言うとスラッシュ・リフを多用する正統派メタル、という感じか。さらにわかりやすく言うなら初期METALLICAとIRON MAIDENを融合した感じと言うか。

こんなバンドがイギリスから再び出てくるとは…と思っていたら、ベースのステファノ・セルバティコとドラマーのアンドレア・ゴリーオはイタリア人で、イタリアでKAMELOTのトリビュート・バンドをやっていた人物だという。

同じイギリス出身のDRAGONFORCEなどもそうだが、やはり生粋のアングロ・サクソン人でメタルをやろうとする人は少ないのだろうか、などと思いつつ、まあ良い音楽をやってくれるのであれば実際の所国籍や民族、人種などは一切関係ないわけで。

ドラマティックなイントロから切れ味鋭いスラッシュ・リフになだれ込む#1「Iconocaust」からイケてるが、スラッシーなリフ・ワークと、私のようなメロディ重視のメタル・ファンをもときめかせるツイン・リードが随所に登場し、メタル魂を鼓舞してくれる。

私は、スラッシュ・メタルは嫌いではないものの、「ジャンル全体が好き」とは言えないヌルメタラーですが、初期のMETALLICAやTESTAMENT、ANNIHILATORのような正統派メタルや様式美のエッセンスが感じられるバンドは好きで、このバンドもそれに近い感覚で好きになれる(このバンドの方がより正統派寄りでメロディックですが)。

歌メロがクサくならないあたりが大陸ヨーロッパのバンドとの違いで、個人的にはクサい方が好みですが、これくらいの微妙な湿り気具合の方が好ましい、と感じるメタル・ファンも多いのでは。あまりイカツくない軽めの歌声も聴きやすくて悪くない(ちょっとライヴだと弱そうな雰囲気も感じるが…)。

映画のタイトルから取ったというバンド名も、曲名のセンス、ジャケットのアートワークやメンバーのルックスなんかもとてもトラディショナルなメタルっぽくて好感が持てる。あまりそういう語られ方はしていないようだが、同じ「Earache Records」所属のENFORCERやWHITE WIZZARDなどと同様、NWOTHMの文脈で語ることのできるバンドかもしれない。

楽曲のあちこちに「あのバンドのあの曲みたい」なオマージュ・パートが出てくることも、既に伝統芸能であるヘヴィ・メタルならではの楽しみで、それらのいくつかは日本盤ライナー・ノーツで奥野氏に指摘されているが、個人的には#10「The Cursed Earth」のAメロがIRON MAIDENの「Where Eagles Dare」に似てるなー、と思ったり(笑)。

日本盤にはそのIRON MAIDENの「Be Quick Or Be Dead」、DIAMOND HEADの「Lightning To The Nations」、MOTORHEADの「Killers」、METALLICAの「Of Wolf And Man」という、ベタ過ぎず、マニアック過ぎない絶妙のカヴァーが4曲収録されていて楽しめます。特にIRON MAIDENの選曲は世代的にドンピシャで嬉しいですね。【85点】

◆本作収録「Hellblazer」のPV [YouTube]