屍忌蛇 / DUAL WORLD

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当サイトにおける98年の年間ベスト・アルバムは、屍忌蛇のカヴァー・アルバム「STAND PROUD!」でした。

屍忌蛇のことは、たまたまGARGOYLEを聴いていた友人が身近にいたおかげで高校1年生くらいの頃には認知しており、その泣きのフレージングにはすっかりヤられておりました。

その後アニメタルで知名度を上げるわけですが、個人的にギター・ソロが少ないアニメタルでは屍忌蛇の魅力が100%発揮されていたとは思えませんでした。

しかし、その「STAND PROUD!」は、HR/HMクラシックのカヴァー・アルバムながら、随所で屍忌蛇のセンスが炸裂したギター・ソロを聴くことができ、選曲の良さもあって当時、超ヘビーローテーションで聴いていました。

そして本作「DUAL WORLD」は、その「STAND PROUD!」の続編とも言うべき内容のカヴァー・アルバム。

まず、選曲は以下の通り。

01. Nightmare (Original Intro)
02. Banish From Sanctuary (BLIND GUARDIAN)
03. Starlight (ACCEPT)
04. Miracle Man (OZZY OSBOURNE)
05. Carry On (ANGRA)
06. Metal Heart (ACCEPT)
07. Wild Frontier (GARY MOORE)
08. Back To Back (PRETTY MAIDS)
09. Cold Sweat (THIN LIZZY)
10. Painkiller (JUDAS PRIEST)
11. Thundersteel (RIOT)

いや~、ベタベタですね~(だがそれがいい)。

BLIND GUARDIANはともかく、ANGRAみたいな明朗系のメロスピってあんまり屍忌蛇さんは好きそうじゃないので、ちょっと意外でした。

あとはまあ順当というか。前作で「Fast As A Shark」をカヴァーしていたACCEPTを今回あらためて2曲取り上げて偏愛を示してみたり、前作で「Thunder And Lightning」を取り上げていたTHIN LIZZYは、今回「Cold Sweat」で、ははあ、屍忌蛇さんもTHIN LIZZYで一番好きなアルバムは「THUNDER AND LIGHTNING」なんですね、ということを窺わせてみたりと、ファンにとってはいろいろと納得できる選曲です。

アルバムの「締め」をRIOTにするあたりも、前作の流れを汲んでいますね。

ただ、前作は一応(?)メジャー・レーベル(エイベックス)から、アニメタルの仕掛け人である久武頼正氏をプロデューサーに迎えてリリースされた作品だけあって、プロダクションもそれなりだったし、ゲスト・ミュージシャンも豪華でした。

今回は、前作にも参加していたNOV(AION, VOLCANO, 地獄カルテット)に坂本英三(元ANTHEM, ANIMETAL)こそ参加しているものの、あとは屍忌蛇さんの「お友達」関係と思しきいささかマイナーな(失礼)顔ぶれ(蛇足ながら、先日急逝したUNITEDのベーシスト、横山明裕氏も参加している)。

まあ、音楽は名前でプレイするものではないとはいえ、有名になる人というのはやはりそれなりの何かがあるから有名になるわけで、その辺が微妙に、しかし確実に本作のクオリティに影響している感は否めない。

やはり一番のポイントはヴォーカルなんでしょうね。ピーター・クラッセンという謎の(?)外人シンガーが「Carry On」や「Painkiller」という超ハイトーン曲で頑張っていますが、前作の小野正利、森川之雄、二井原実といった顔ぶれの豪華さには及ぶべくもなく。

屍忌蛇さんの泣きのギターは相変わらず冴え渡っていますが、前作でSCORPIONSの「Blackout」のギター・ソロに「荒城の月」のメロディをブチ込む、とか、ジョージ・ウィンストンのピアノ曲をメロデス風にアレンジする、みたいな意外性はなく、ごくストレートというか、失礼な言い方をすれば想定の範囲内というか。

この選曲に惹かれるようなオーセンティックなHR/HMのファン、および屍忌蛇さんのファンには安心して薦められるアルバムですが、前作と比べてしまうと諸手を上げて「最高!」とは絶賛しかねるのが正直な所です。

そして、何より屍忌蛇さんにはオリジナルをやってもらいたい、というのが一番の感想ですかね。もちろんVOLCANOは一応(?)活動しているとはいえ、もっともっと屍忌蛇さんの才能を活かした音楽を生み出してほしいと思います。

それがメロデスでも、正統的なHMでも、様式美HRでも、スタイルは何でもいいので、カヴァーなんぞやっている暇があったら、強烈なオリジナルでノックアウトしてほしい、というのが、かつてVOLCANOのファースト・アルバムにノックアウトされたファンの偽らざる気持ちです。

◆本作のトレーラー映像



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TIMO TOLKKI’S AVALON / ANGELS OF APOCALYPSE

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前作がティモ・トルキにとって久々となる成功を収め、勢いに乗って制作されたメタル・オペラ・プロジェクトの第2弾。

前作は3部作の最終章ということで、売れなかった場合はそのまま文字通り最終章となっていたのでしょうが、成功によって予定通り3部作として(あるいはそれ以上?)制作できそうということでモチベーションが上がったのか、この手のプロジェクトはライブをやることが困難であるためにアルバム作りしかやることがなかったというだけのことか、前作から約1年というかなり短いインターバルでリリースされた。

前作ではロブ・ロック(IMPELLITTERI)とエリーセ(AMARANTHE)がメイン・シンガー的な扱いだったが、本作ではファビオ・リオーネ(RHAPSODY OF FIRE)とフロール・ヤンセン(元AFTER FOREVER、現NIGHTWISH)がその任を担っている。RHAPSODY OF FIREにNIGHTWISHという、シンフォニック・メタルというジャンルを代表するバンドのシンガーを起用するとは、なかなかに豪華である。

そしてその二人にとどまらず、エピック・メタルというジャンルの元祖的な存在のひとつであるVIRGIN STEELEのデイヴィッド・ディフェイス、ドラマティックなメタルの代表格であるSAVATAGEの元シンガーだったザック・スティーヴンス(現CIRCLE II CIRCLE)、先日充実したアルバムをリリースし、NIGHTWISH、WITHIN TEMPTATIONに次ぐ女性Voメタル・バンドとしての地位を固めたEPICAのシモーネ・シモンズなど、期待感のあるゲスト・シンガーが参加している。

さらに、STRATOVARIUSのオリジナル・メンバーであるトゥオモ・ラッシーラ(Dr)と、日本デビュー時のメンバーだったアンティ・イコネン(Key)の参加も、STRATOVARIUSのオールド・ファンの関心を引くかもしれない。

音楽的には基本的には前作を継承する、STRATOVARIUSの音楽をややシンフォニックに味付けしたようなメロディック・メタルで、シンガーの資質もあってか、よりシンフォニック・メタル然とした印象を受ける。

ファビオ・リオーネによるアカペラの小曲でスタートするなど、この手の作品にありがちなマンネリ感が出ないように心を配ったと思われるアレンジや工夫がアルバムの各所に感じられるのは好印象。

ただ、そのアカペラの小曲に続くオープニング・ナンバーが、ファビオ・リオーネの伸びやかな歌唱を全く生かしていない、ティモ・トルキがプロデュースしてきたVISION DIVINEに通じるいささか退屈な楽曲であり、アルバムのツカミが悪いのは減点材料。

そして、デイヴィッド・ディフェイスをフィーチュアした#4「Rise Of The 4th Reich」は、楽曲としてはティモ・トルキらしい曲なのだが、残念ながら全くデイヴィッドの歌唱に向いておらず、『BURRN!』誌で「笑っちゃうほど酷い」とまで言われてしまう、楽曲にとってもデイヴィッドにとっても残念な事態に。

一方、ザック・スティーヴンスをフィーチュアした#8『Neon Sirens』は、ザックの個性を生かそうと、SAVATAGEを思わせる無骨なヘヴィさを打ち出しているが、残念ながらティモにこういう曲にスケール感を与える才能はなく、メロディック・メタル・ファンにとってはやや退屈な曲になってしまっている。

あと、ぶっちゃけトゥオモ・ラッシーラのドラムは前作に参加したアレックス・ホルツヴァース(RHAPSODY OF FIRE)に比べてパワー、テクニックの両面で相当に見劣りし、サウンド全体の迫力が前作よりショボくなってしまっているのも、この手のジャンルの音楽においては結構なマイナスポイント。やはりかつてこの人を切ってヨルグ・マイケルを迎えたことがSTRATOVARIUSの成功にとって相当デカかったと思う。

ファースト・シングルになった#3「Design The Century」などはなかなか良曲で、こうした曲を聴くと、やはりティモ・トルキという人はこういうメタル・オペラのような壮大な作風よりも、もっとコンパクトでキャッチーなメロディック・メタルの方が向いているように思えるのだが…。

『BURRN!』誌が言うように「全ての面において前作を下回ってしまっている」とは思わないが、トータルで見るとたしかに前作の方がメロディック・メタルとして締まっていたかな。シンフォニック・メタルとしては本作の方がこなれているとも思うけど。【81点】

◆本作の先行シングル「Design The Century」のPV




ARCH ENEMY「WAR ETERNAL」のチャート成績

フロントマンをアリッサ・ホワイト=グルーズにチェンジした、新生ARCH ENEMYの最新作「WAR ETERNAL」の各国におけるチャート・アクションは以下の通り。

フィンランド:5位
ドイツ:9位
オーストリア:13位
スイス:16位
日本:17位
オランダ:36位
スウェーデン:40位
アメリカ:44位
イギリス:85位

アメリカ、イギリス、ドイツといった、主だった市場で前作以上のチャート成績を記録し、幸先のいいスタートを切った新生ARCH ENEMY。

彼らがこれからどこまでビッグになれるか、期待を込めて見守りたい所です。

※ニュースソース
http://www.blabbermouth.net/news/arch-enemys-war-eternal-cracks-u-s-top-50/

◆本作収録「No More Regets」のPV


◆本作収録「You Will Know My Name」のPV


◆本作収録「War Eternal」のPV



BURRN!14年7月号の感想

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懐古表紙第7弾は、若かりし日のデイヴ・ムステイン(MEGADETH)。

ムス大佐は今でも年齢(と、おそらく不摂生であろう生き様)の割には崩れてないほうだと思いますが、やはりこの頃の美しさは格別ですね。この人がいなければ、ただでさえ少ない日本でスラッシュ・メタルを聴く女性がさらに半減していたのではないかと思います。

しかし「8月にサマソニで来るから」という理由での表紙抜擢はどう考えても不自然で、ニッキー・シックス→イングヴェイ・マルムスティーン→フィリップ・アンセルモからのデイヴ・ムステインという流れは、どう考えても「顔で選んでいる」と考えざるを得ません。

果たしてこの4か月で女性読者の呼び戻し/獲得はできたのでしょうか…。

というわけで単なる過去の振り返りインタビューになっているわけですが、これまで「通説」とされていた話がいくつか否定されていたり、新たな事実が語られていたりと、ファンにとっては楽しめる内容でしょう。

続く、新ヴォーカリスト、アリッサ・ホワイト=グルーズを迎えたARCH ENEMYのインタビューは、新作リリースのタイミングということもあり、順当に興味を引く内容と言えるだろう。80年代リアルタイム組ではない身としては今一つありがたみのない30周年企画がなければ、このインタビューが巻頭であり、アリッサとマイケル・アモット(G)が表紙を飾るはずだったと思うのですが…。

ARCH ENEMYの新作は良い出来だったと思いますが、アリッサのクリーン・ボイスも聴きたかったと思っている人は私の他にも結構いるのではないかと思います。それに対してアリッサは、メンバー全員が女性のプロジェクトで歌うからARCH ENEMYでは必要のないことはしない、と言っていますが、別に私はアリッサのクリーン・ボイスが聴きたいのではなく、ARCH ENEMYにクリーン・ボイスのパートが入ることでどのようなマジックが生まれるか、に興味があるんですけどね。

なお、アリッサについては、この青い髪を続けるのであれば、もう少しメイクをキツめにしたほうが違和感がなくなると思います。大きなお世話ですが。

そして続くは来日公演も盛況だったというCARCASSのライブ・レポートとインタビュー。MEGADETH、ARCH ENEMY、CARCASSという並びで、エクストリーム・メタル寄りのファンのハートをゲットだぜ!企画でしょうか(笑)。

30周年企画の特集ページについては、いよいよ「ネタ切れ感」が漂い始めたので、あまり触れないでおこうと思います…。

モノクロのインタビューについては、私の偏愛をさておいても、ティモ・トルキのものが群を抜いて面白いと思います。

ティモ・トルキがかつて受けていた自己啓発セミナーが、本人の人格の陶冶に一切寄与していなかったことは遠く日本にいるファン(私)にさえ明らかでしたが、どうやらようやく本人もそのことには気づいたようで、「良いことをやりたいのなら、本当に身近な人達に対する自分の態度を変えなくてはいけないんだってことに、ある時点で俺は気付いたんだ」と発言しています。

その割に、インタビュー内容から伝わってくる人柄が以前と変わらぬ尊大で失礼な人格のままである、というのが人間というものの業の深さを感じさせてくれます(苦笑)。

「昔のファンも新しいファンもSTRATOVARIUSがあの(『VISIONS』の時期の)ラインナップでまた一緒にやるのを是非観たいと思っているんだろうな」などと言っていますが、個人的には全く観たいと思っていません。今のティモ・トルキにはかつてのような才能のきらめきが感じられないのに対し、今のSTRATOVARIUSのラインナップは最高ですからね。

STRATOVARIUSの名曲「Black Diamond」の曲タイトルが、ティモ・トルキの作曲中にティモのつま先を舐めていた黒いビアデッド・コリー犬を「まるで黒いダイアモンドのようだ」と感じ、ティモ・コティペルトに「”Black Diamond”というタイトルで曲を書いてくれ」と依頼し、コティペルトが「ある日本人女性のことを歌詞にした」という興味深いエピソードが語られています。

このエピソードを聞いて、「”Black Diamond”とはきっと私のことだわ」と思った女性の方がいたらぜひお会いして、なぜそう思ったか、詳しくお話を伺いたいですね(笑)。

どうでもいいですが、ティモ・トルキがデヴィッド・ディフェイス(VIRGIN STEELE)の歌唱パートで編集時にカットした「犬が吠えているかのような声」とは、VIRGIN STEELEのアルバムでしばしば聴くことができる「ゥギャウ!」みたいなアレのことですよね(笑)。

ALDIOUSについては、新譜リリースに合わせて最近目立つようになってきたタイアップ広告記事のダシにも使われていて「いいように利用されているな」という印象です(笑)。前田氏入魂のインタビュー記事は来月も続くそうですが、来月もまたタイアップ広告記事に使われてしまう、ということでしょうか?

レビューについては、マストバイは購入済みのARCH ENEMYと、オリジナル・ラインナップによるALIEN。

他には「最高傑作」と評されているEQULIBRIUM、広瀬編集長がALIEN以上の点数をつけている北欧メロディアス・ハードのFAITH CIRCUSあたりを筆頭に、AMBERIAN DAWNやBROTHER FIRETRIBE、TITANIUMなども気になるものの、今月のダークホースは、このクラスのバンドにしては珍しく、説明書きではないキャッチコピー付の4C1P広告が入っている「歌舞伎メタル・バンド」WHISPEREDなのではないでしょうか。PV観ても結構カッコいいし、気になる…。

◆WHISPERED「JIKININKI」のPV


※発行元であるシンコーミュージックのWebサイト
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=2175011407

OUTLOUD / LET’S GET SERIOUS

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『BURRN!』誌で広瀬編集長から91点という絶賛を受けたFIREWINDのキーボーディスト/サイド・ギタリストとして知られるボブ・カティオニス率いるギリシャのバンドのサード・アルバム。

元々はボブが彼の教え子であるトニー・キャッシュを世に送り出すために始めたプロジェクトだったはずが、前作「LOVE CATASTROPHE」発表後、そのトニーがバンド活動に対するモチベーションを失って脱退してしまっている。

さらにドラマーだったマーク・クロス(元METALLIUM, HELLOWEEN他)がイギリスに移住するために脱退してしまったため、同作のツアーには、ボブの知り合いであるアキレス・ディアマンテス(G)とタキス・インタス(Dr)がゲスト参加した。

その後、「LOVE CATASTROPHE」のアウトテイクを収録したEP「MORE CATASTOROPHE」をリリースしたのち、ギター・パートはボブ一人、ドラムはなんと有名デス・メタル・バンドであるNILEのジョージ・コリアス(彼もギリシャ人である)を迎えて制作されたのが本作。

本作完成後にジム・スコルディリス(G)、コスタス・ミロナス(Dr)という新メンバーを補充しているが、本作制作時にギタリストが一人だったためか、前作にも増してKeyが大々的にフィーチュアされており、ポップな曲についてはもはやメロディアス・ハードという言葉を通り越してAOR、産業ロックなどと呼ばれる音楽をさえ彷彿させる。

本作の冒頭を飾る「Another Kind Of Angel」なんて、80年代でさえここまで臆面もない使い方はそうそうしなかったんじゃないか、というほどのキラキラ・シンセ祭りで、その手のサウンドが好きな人間の胸をときめかせる。

続くリード・トラックの#2「I Was So Blind」もまた、80年代風味全開の哀愁歌謡ハード・ロックで、そのセンスは欧州のHR/HMというよりもむしろ日本の歌謡ロック・バンドに近いのではないかとさえ思わせる。なんてオヤジ殺しなサウンド。

もっとも、この恥ずかしげもない80年代メロディアス・ハード・ロックへの耽溺ぶりは、さすがにイマドキの若者にとってはちょっとダサ過ぎるのではないか、という気もしないでもないが…(苦笑)。

#4「Like A Dream」と#5「All In Vain」は元々はPLACE VENDOMEのアルバム用に作られた曲だったそうだが、採用されなかったので本作に収められたとのことだが、なぜ採用されたなかったのか理解に苦しむほどフックの効いた佳曲。このクオリティの曲をボツにできるほど『Frontiers Records』には良い曲が集まるのだとしたら、あのレーベルは当分安泰だと思われる。

欧州では#11「Death Rock!」というセンスがないにも程があるタイトルの曲がオープニング・トラックとなっているが、同曲はゲスト・ドラマーであるジョージ・コリアスをフィーチュアするために作ったとしか思えないアグレッシヴな曲で、この曲におけるドラミングのアグレッシヴさはメロディアス・ハード離れしている。

また、アメリカ人ヴォーカリストのチャンドラー・モーゲルの古い友人だというテクニカル・ギタリスト、マイク・オーランドがゲスト参加した#9「Toy Soldiers」などはパワー・メタル的な楽曲であり、本作は決して軟弱なAORアルバムなどではない。

一方で本作ではOMD(ORCHESTRAL MANOEUVERS IN THE DARK)の1980年の全英ヒット曲(日本でも当時テレビ朝日のニュース番組のテーマ曲に採用され、かなり知名度があった曲)「Enola Gay(邦題:エノラ・ゲイの悲劇)」をカヴァーしているあたり、本作における80年代風シンセの多用は確信犯でもあるのだろう。

アルバム・ジャケットの女性はボブ・カティオニスのガール・フレンドだそうだが、これまでのアルバムのジャケットに登場していた女性も全てボブの彼女だそうで、そのモテっぷりは日本でこの手のサウンドを好む人々の共感を呼ばないのではないだろうか(笑)。

しかし、ボブ・カティオニスは優れた作曲家であり、キーボーディストとしてもギタリストとしても一流の腕前であり、しかもカメラマンでもあり、グラフィック・アーティストでもあり、ビデオ・アーティストでもあるとのことで、このバンドに関するアートワーク周りの仕事は全てボブ本人が手掛けているという多才っぷりで、しかもかなりの男前とくればモテるのも仕方ない(苦笑)。

いずれにせよ、80年代テイストを愛するメロディ派のリスナーであればチェックすべき一枚であることは間違いない。【84点】

◆本作のリード・トラック「I Was So Blind」のPV