WORK OF ART / FLAMEWORK

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もはや当代随一の北欧AOR系メロディアス・ハードをクリエイトするバンドと言っても過言ではないであろうWORK OF ARTの3年ぶりのサード・アルバム。

#1「Time To Let Go」のイントロのKeyサウンドで胸の高鳴りを抑えられないが、アップテンポかつ印象的なコーラス・ワークが映えるそのサウンドは、アルバムのオープニングを飾るに相応しい躍動感がある。

その後も適度なエッジを備えた、爽快感と哀愁を程よく含んだ良質な楽曲が並び、ラーズ・サフスンドの絶品の歌唱もあって、聴いていて心地良いことこの上ない。

メロディアス・ハードというのは往々にして野暮ったさと紙一重になりがちだが、このバンドは北欧出身というのが信じられないほど洗練されたセンスを誇っており、北欧のメロディアス・ハードにありがちな垢抜けなさは皆無で、普通に街角のBGMとして流れていても違和感のない都会的なムードを放っているのが素晴らしい。

それでいて単なるBGMにはならないプログレッシヴな要素やテクニカルな演奏も随所にちりばめられていて、ちゃんと聴けば聴き応えも充分にあるのがWOAの美味しい所。

とはいえ、その辺の美点はデビュー・アルバムの時点で既に完成されていたバンドであり、本作において別段目立った進歩や変化があるわけではない。もっとも、進歩や変化よりも単純に良質なソングライティングだけが求められるジャンルなので、そのことは問題にならないが。

本作のサウンドの位置付けは、AOR色の強かった1stと、メロディアス・ハード色の強かった2ndのほぼ中間にあり、どちらが好みだった人も楽しめる一方、本作が一番好き、という人が想像しにくいというか、アルバムとしてのキャラが立っていないのは気になる所。

個人的には前作「IN PROGRESS」があまりにも好みにどストライク過ぎたので、前作に比べるとインパクトが弱く感じるというのが本音ですが、それでもこのスーパー・メジャー・クオリティで文句を言ったらバチが当たるというものでしょう。世が世なら全米TOP10入りしても全然おかしくないレベルですよ、この音。

ただ、中心人物であるロバート・サール(G)が、「本作がデビュー作以来の3部作の最終章」と、ラスト・アルバムであるかのようなことを仄めかしているのが気になる所ですが…。【85点】

◆本作収録「Can't Let You Go」のMV


◆本作収録「The Machine」のMV



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AMARANTHE / MASSIVE ADDICTIVE

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「MASSIVE ADDICTIVE」というタイトルを最初に目にしたとき、このバンドの音楽にピッタリだな、と思った。「ガッツリ中毒性あり」。まさにヘヴィかつキャッチーであり、ダンサブルな要素さえあるフィジカルに訴えてくる彼らのサウンドに相応しいタイトルだ。

しかし、グロウル・ヴォーカルの担当をアンディことアンドレアス・ソルヴェストロームから元SCARPOINTのヘンリック・エンゲルンドに交代させてリリースされた本作は音楽的にはこれまでの2作とはいささか趣を異にする作品になっている。

いや、ヘヴィでキャッチー、かつダンサブルというコンセプトに変化はない。ただ、その「キャッチーさ」という概念の幅が広がっている。これまで彼らの音楽におけるキャッチーさというのはほぼ「メロディの良さ」とイコールだったが、本作で演出されるキャッチーさというのはもっとリズム・コンシャスでモダンな、誤解を恐れずにいえば英米のメインストリームなポップ・ミュージックに通じる要素が導入されている。

『BURRN!』誌のインタビューによると、メイン・ソングライターであるオロフ(G)は本作を制作するにあたってTOP100などのチャートものを聴き込み、もっとモダンなものを作るべきだ、と意識して臨んだのだという。

そのアプローチの成果はアルバムのオープニングを飾る「Dynamite」から明らかで、シングルとなった「Drop Dead Cynical」、タイトル曲など、アルバムのキーとなる楽曲で特に顕著である。

彼らの特徴であったエレクトロでダンサブルな要素も、これまでは単純にEDMのエッセンスを加えました、という感じだったのに対し、上記の楽曲にはダブステップなど、より先鋭的なサウンドのエッセンスが導入されている。

メロディアスな歌メロのフィーチュア度がやや減退し、全体的に楽曲のスピード感が落ちてヘヴィさが増したため、個人的には日本のメロディック・メタル・ファンにとってはやや「わかりやすさ」が減じたのではないかという気もするが、一方で個人的に前作・前々作に感じていた「軽薄さ」もあまり感じられなくなっており、しばらく聴き込むとこれはこれで悪くない。

まあ、個人的には#5「Digital World」や#10「Skyline」に代表される、前作までの路線を踏襲したアッパーな楽曲の方が好みであるのもまた事実ですけどね。

この路線変更(というか拡大)の狙いはより幅広いオーディエンスの獲得と思われるが、果たして彼らがその器なのか、バンドの真価が問われる新境地。本人たち曰く「AMARANTHE 2.0」とのことですが、「2.0」を謳ってスベったものはいっぱいありますからね。【83点】

◆本作収録「Drop Dead Cynical」のPV



KNOTFEST JAPAN 2014 二日目の感想

KNOTFEST JAPAN 2014の二日目に行ってきました。

全部ガッツリ観ようかな、という気持ちもありつつ、先週仕事が忙しく疲れており、また来週も忙しくなりそうなので、オープニング・アクトを含めて5バンド目であるAMON AMARTHからでいいや、という余裕の重役出勤。

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なんでしょう、このファンシーなモニュメントは…。

直前にマキシマム・ザ・ホルモンがキャンセルになったので、AMON AMARTHの出演も14時からに後ろ倒しされており、休日の早起きが苦手な私でも余裕…と思いきや、余裕をカマし過ぎたというか、リストバンド受取所から入口までの会場導線が異常に遠回りを強いるものになっており、想定外のタイムロスによって14時にさえ遅刻。クロークに上着や荷物を預ける余裕もなくライブエリアへと突入する。

AMON AMARTH

スウェーデンのヴァイキング・メタル・バンド。このフェスに出演している「メタル・バンド」の中で唯一「モダンなヘヴィ・ロック」としての要素を一切持たないピュア・メタル(正統派メタルという意味ではない)・バンドで、そういう意味で最も場違いなバンドである。

彼らが呼ばれる理由といえば、最新作が全米チャートで19位にランクインするほど、アメリカで人気を高めていることくらいしか思いつきません。基本、「売れてるヘヴィなバンド」が出るフェスですからね(日本のバンドはまた別ですが)。

「きっとKNOTFESTのオーディエンスの多くはランチタイムにしてしまっているんだろうな…」と思っていたら、さにあらず、遅れて入ってきた私のような人間がバッグを身に付けたまま前方に行くことなど到底不可能な混雑ぶり。

まあ後方には死体と地蔵が満ちていたことも確かではあるが、前方の盛り上がりはなかなかのもの。まったくアウェー感はない。

バンドのパフォーマンスもかつてLOUD PARK 10で観たときに比べると格段に風格を増しており、素直にカッコいいと思いました。

名曲「Twilight Of The Thunder God」でその盛り上がりはピークを迎えたわけですが、ラストに割と渋めのミドル・チューン、「Guardians Of Asgaard」をプレイしたのはやや蛇足だったような気が。


FIVE FINGER DEATH PUNCH

ここ3作連続で全米2位を記録し、AVENGED SEVENFOLDあたりと並んで最もアメリカで成功しているメタル・バンド。

その人気の秘密はライブにあるのかもしれないと思って、今回一番期待していました。かつてLOUD PARKに出る予定だったのにキャンセルになってしまったんですよね。

AMON AMARTHが終わって上着と荷物をクロークに預けに行き、「クローク1000円、途中取り出し不可」という非人道的な貼り紙に鼻白みながら「まあ別に取り出さないし」と思って預けるも、クロークまでの導線がまた無駄に長く、荷物を預けている間にライブが始まってしまう。ファック。

身軽になったので前方を目指して突入していく。しかし人口密度が高く、PAブースの脇あたりに進むのがやっとで、とても前方ブロックには突入できない。

前方に背の高い人が多く、あまりよく見えないものの、ライブ・パフォーマンス自体はもちろん高いレベルで安定している。しかし演奏やステージングにそれほど特別な何かがあるようには見えない(ただサウンドは本日観た中で一番良かった)。

しかし、ショウが進むと、フロントマンであるアイヴァン・ムーディーのオーディエンスとのコミュニケーション能力の高さに舌を巻くことになる。

MCもゆっくりハッキリ、わかりやすく喋ってくれるし、度々ステージから下りて最前列の観客とタッチや握手、ハグなどをして積極的かつ親密なコミュニケーションをとる。

「Burn MF」ではオーディエンスを指名してステージに上げる。最初に上がった人は急に大観衆の前に上げられて頭が真っ白になってしまったようでオドオドしてしまってちょっとお気の毒。それを見かねたのかアイヴァンはもう一人ステージに上げ、その若者は覚悟ができていたのか、頑張ってサビのコーラスを歌っていた。

さらに印象的だったのは、BAD COMPANYのカヴァーである「Bad Company」をプレイした際、「ライターの火をくれ」というMCに対して次々と皆ライターの火を掲げ、ちょっと日本のライブではあまり見ることのできない光景が広がったことですね。

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わかるかな~。iPhoneの写真じゃわかんないよなあ…。結構きれいだったんですけどね。

アルバムではロブ・ハルフォード(JUDAS PRIEST)がゲスト参加していた「Lift Me Up」のギター・ソロ・パートでゾルタン・バソリーの弾くフラッシーなフレーズに大歓声が上がっている様を目にして、かつて「ギター・ソロ? ダッセー」という時代に青春を過ごした身としてはちょっと感慨深いものがありました。

曲間には常に「Five Finger!」「Death Punch!」コールが巻き起こり、正直このバンドがここまで日本で人気があるとはちょっと意外でした。アイヴァン・ムーディーの兄貴肌なパフォーマンスの好感度はかなり高く、ショウが進むにつれ、盛り上がりが増していったような印象があります。

バンド名のセンスやメンバーのアピアランスはともかく、楽曲は適度に哀愁もあって、ヘヴィ・ロックというよりは明らかにメタルなサウンドであり、そういう音楽がこれだけ若者の心をつかんでいるというのは頼もしい事実ですね。


IN FLAMES

メタル者的には目玉のひとつである彼ら。近年のアルバムについてはモダンなヘヴィ・ロック、あるいはオルタナティブ・メタルとしてアメリカでの評価も高く、このフェスに出ることに対しては全く違和感がない。

ただ、実際にSLIPKNOTのファン、さらに言ってしまえば(キャンセルになったとはいえ)マキシマム・ザ・ホルモンやMAN WITH A MISSIONのファンが集まるこの会場でどれだけ受けるか、ということについては個人的にはやや疑問視していた。彼らの持つウエットなムードってちょっとダサく映るのではないかと危惧さえしていました。

最新作の曲から始めるかと思いきや、意外なことに「SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE」からの「The Quiet Place」でスタートした本日のセットリストは完全にアメリカで売れるようになってからの楽曲オンリーで、最近のライブでも頻繁にプレイしている「Only For The Weak」さえなし。メロデス時代のファンを完全に無視した選曲だ。

キャップに白シャツ、という相変わらず謎のファッション・センスであるアンダース・フリーデンの歌唱は、スクリームこそまずまず声が出ていたが、最近重視しているというメロディック歌唱パートについては貧弱極まりない。サウンドがあまり良くないこともあって、これならサビでは同期音源でコーラスをつけるべきなのでは…という余計なお世話なことを考えてしまいました。

ビヨーン・イエロッテのギターもちょっとワウを効かせ過ぎで、せっかくのフレーズの良さが殺されてしまっていた感があるのもマイナスポイント。

アンダースはちょいちょいサークルピットを作れ、というような煽りをしていたが、果たしてピットはできていたのでしょうか? 私がいた位置からは見えませんでしたが…。

中盤の「Through Oblivion」から「With Eyes Wide Open」というメロウが楽曲2連発の流れは最高にダレたな~。ここらでガツンと速い曲をぶつけてくれたらショウの印象もだいぶ変わったと思うんだけど…。

最後は「Take This Life」でアグレッシヴに締めてくれたものの、最近の彼らの魅力である内省的なメランコリーはやはりライブではあまり魅力的にプレゼンテーションできない(少なくともアンダースの歌唱力では…)類のものではないか、と思わされるライブでした。まあ、とりあえず危惧していたほどダサくは映らなかったと思いますが。


TRIVIUM

IN FLAMESの後に出たWAGDUG FUTURISTIC UNITYの時間帯は失礼ながら休憩時間にさせていただき、飲食の屋台を中心に会場見物の時間にさせていただきました。

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とある飲食ブースでツマミ的なフードと共に購入したビールが泡ばかりで量が少なく、怒り心頭です。あとまあ全体的に混み過ぎで、落ち着いて休憩ができないのが難ですね。盛況なのはいいことですが…。

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これ、まだひと口も飲んでいないんですよ…。

あらためて場内を見回すと、まず女性が多い。LOUD PARKに来ている女性はだいたい男性の連れ、という感じだが、若い女の子の2人組・3人組や、男女混合で4、5人という、LOUD PARKではあまり見かけない(ROCK IN JAPANやサマーソニックでは珍しくありませんが)集団が目立つ。

そして外人が多い。観客の5%くらいは欧米人なんじゃないかと思うほど。円安効果ですかね。そしてアジア圏からのお客さんと思しき人たちも結構見掛けました。グローバル化ですね。

まあ、日本人で「Wacken Open Air」や「Sonisphere Festival」に遠征する人も最近は珍しくないから、その逆があってもおかしくないか、などと思いつつビールを飲み終えてTRIVIUM待ちへ。これまで割とステージの中心正面あたりの位置にこだわってきましたが、後ろから見るならむしろ斜めに角度をつけて観たほうがよく見えるのでは? と思い、上手(かみて)側に寄って陣取る。

ショウが始まるとドッと人が前に押し寄せ、TRIVIUMってこんなに人気あったのか、とちょっと驚く。LOUD PARKに出演したときよりもオーディエンスの熱気が凄いような気がする(とはいえ、LOUD PARKに前回出演したときに観た際はスタンド席から観ていたので、オーディエンスの熱気を体感できていないのですが)。

最新作からの「Strife」で幕を開け、前作からの「Black」へ。前回LOUD PARKで観たときよりもさらにマシュー・ヒーフィー(Vo, G)から自信というか余裕のようなものが漂っていて、もはや貫禄さえ感じさせる。

「こんばんは、トーキョー! オレたちTRIVIUMです! 元気デスカー!?」(歓声)「ナニ?」(聞こえないふり)「元気デスカー!?」(大歓声)と日本語でオーディエンスを煽る。かつてガイジン発音だったのも今は昔、現在はかなり流暢になっている。ちゃんと勉強してるんですね。

その後も「叫べ!」など、日本語の煽りを交えて盛り上げていく。そして自分が山口県の岩国市出身であり、日本はホームタウンである、ということを(これは英語で)述べて、喝采を浴びる。

「SHOGUN」からの「Down From The Sky」に続き、「セカンドからの曲だ」というアナウンスと共に「Dying In Your Arms」がプレイされる。

「Dying In Your Arms」はメロディアスでとても好きな曲なのですが、IN FLAMESの時と同様、サウンドがあまりよくないので、肝心のメロディアスなリード・ギターのフレーズがよく聴こえず、楽曲の魅力が伝わらないのが残念。

再び新しめの曲がプレイされた後、「みんなに捧げるぜ」というMCに導かれて初期の人気曲である「Anthem(We Are The Fire)」がプレイされ、大いに盛り上がる。

この曲も私の好きな曲だったのですが、正直今日の会場のノリに対してはややオールド・ファッションな楽曲と感じられたことも事実で、そう感じた自分にちょっと驚いたり。

ラストは最近のライブのエンディングの定番である「In Waves」。「一緒に歌ってくれ、たった2語(In Waves)だ」とマシューは言うものの、これだけ気合の入ったスクリームを発するのはちょっと一般人には難易度が高いです(苦笑)。周囲からもちょっと情けない叫び声が聞こえてきていました。

FIVE FINGER DEATH PUNCHに比べるとちょっと線が細いし、AVENGED SEVENFOLDやBULLET FOR MY VALENTINEあたりに比べるとややキャッチーさに乏しいのですが、ヘヴィさとキャッチーさのバランスでいうと、彼らくらいのバランスが今の日本の若いメタル・ファンには「メタルらしい」と感じられるのかもしれないな、と思いました。


この後MAN WITH A MISSION、KORN、SLIPKNOTと観ていくことも考えており、実際SLIPKNOTの新譜を購入して「予習」していたりもしたのですが、明日普通に仕事ということを考えると、ちょっと疲れが個人的に危険な水準に達しており、未練を残しつつも大人の判断で撤退しました。

基本的には昨年のOZZFESTと変わっていないので、単純に客が多すぎただけなのかもしれませんが、トイレの大行列、ゆっくりメシを食えるスペースの少なさ、会場動線の悪さなど、ちょっとフェスとしてのアメニティが悪すぎて、出演しているバンド云々よりもその辺に不満を感じてしまうフェスでした。

ただ、客層がLOUD PARKよりも明らかに若く、それでこの人数が集まり、私が観たいと思ったようなバンドでも盛り上がっていた、という事実は明るい材料かもしれません。このフェスをきっかけにメタルが好きになる人が増えるといいな、というのがいちメタラーとしての希望です。

◆KNOTFEST JAPAN 2014 公式サイト
http://knotfestjapan.com/

ACCEPT来日公演 at EXシアター六本木 2014/11/11

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平日のライブとは毎回時間との闘いである。開演時間の20分前に会社を飛び出し、タクシーを拾って「EXシアター六本木へ!」と告げる。

すると年配の運転手「いーえっくす…? 何ですかそれ?」などと抜かす。ざっくり六本木ヒルズのはす向かいであると指示すると、よりによっていかにも一番混んでいそうなルートで現地に向かう。これはハズレのタクシーだ。

おかげさまで5分前くらいには着いているはずが、ギリギリの到着に。ここは地下3階まで下りないといけないから、着いてからまた時間がかかるのが難点。

フロアに入ると、ちょうど1曲目、「Stampede」が始まったところ。メンバーが出てくる、期待感が一番盛り上がる瞬間を見られなかったのは残念だが仕方ない。

予想していたより人は入っており、人ごみの中をすり抜けて中央後方に陣取る。サビでは「Stampede!!」の合唱が起こる。曲名である単語を叫べばいい、というのは一番叫びやすくていいですね。これが四語以上になると急激にハードルが上がり、場内の合唱に勢いがなくなる気がします(笑)。

4曲ほど再結成後の曲がプレイされた後、「Losers And Winners」、「London Leatherboys」、「Starlight」とクラシックがプレイされる。再結成後の楽曲と比べて何ら古さを感じない、今なお充分通用するアグレッションとフックを備えている。

ただ、「Starlight」は大好きな曲なのだが、かつてLOUD PARK 10で聴いた時と同様オリジナルのヒステリックな歌唱は全く再現できておらず、唯一マーク・トーニロに不満を感じる曲になってしまっている(もっとも、ウド・ダークシュナイダーがこの曲をライブでアルバム通りに歌っていたのかどうかは知らないのですが…)。

まあ、とはいえあのスリリングな中間部のブレイクからツイン・リードの流れを聴いてしまうと、そんな不満なんて吹っ飛んでしまうんですけどね。

音は前回のステラボールの時のほうが良かったような気がするが、それでもACCEPT独特の鋼鉄サウンドは充分に素晴らしく、ザクザクと刻まれるリフの響きだけで恍惚としてしまいそうである。

ウルフ・ホフマンのギター・ソロは相変わらず官能的なトーンでもってメタルヘッズたちの琴線にグイグイと触れてくる。ハーマン・フランクは時折前に出てウルフとツイン・リードを奏で、時にソロも弾くものの、なんとなく「サイド・ギタリスト」という感じで一歩引いている印象。

ツイン・ギターの片割れであるハーマンがややおとなしい分、ステージをウルフの独壇場にさせじと動き回って存在感を放っているのがピーター・バルテス(B)。未だに80年代風の長髪をキープしているこの人は「これぞメタル・ベーシスト」というカッコよさがある。

ACCEPT復活の立役者、マーク・トーニロは、大阪・名古屋からの三連戦の最終日であることもあってか、心なしか疲れが見えていたが、相変わらずの男臭い佇まいでカッコよかった。正直ステージ上の存在感はウルフやピーターに及ばず、フロントマンとしての存在感が抜群、というわけではありませんでしたが、そこは「新入り」として遠慮している部分もあるのかもしれません。

中盤の「Shadow Soldiers」から「From The Ashes We Rise」のあたりで個人的には若干ショウのテンションが落ちるのを感じたものの、「Restless And Wild」で一気に盛り返し、再び盛り上がっていく。

「Restless And Wild」のような、メイン・ヴォーカルと掛け合いでの男声コーラス・パートがある曲はやっぱりライブで映えますね。男声コーラス・パートはそんなに高くないのでオーディエンスとしても歌い(叫び?)やすいですし。

「Princess Of The Dawn」はひたすらシンプルなリズム・パターンに乗せてシンプルなリフが刻まれる、聴きようによっては単調な曲なのになぜこんなに高揚していくのか。マジックを感じる曲である。

フックの効いたメロディが魅力的な新作からの「Dark Side Of My Heart」、そしてこれまたサビで曲名を叫びたくなる「Pandemic」を聴くと、再結成後の彼らが80年代の全盛期に匹敵する楽曲を生み出し続けていることをあらためて痛感させられる。カッコいい。モダンな要素なんて皆無に等しいのによくこれだけシンプルでカッコいいリフを作れるものだと感心しきりである。同じことをやっていて複雑化させずにクオリティを保つって凄いと思います。

しかしやはり一番会場がヒートアップするのは「Fast As A Shark」である。イントロの東プロイセン民謡『銅貨1枚、銀貨1枚』の「Heidi, heido, heida」から大合唱でしたが、マークの絶叫シャウトから疾走するツーバスに乗せてあの凶暴極まりないリフが刻まれると、もはや噴出するアドレナリンを抑えきれず、ヘッドバンギングに没頭せざるを得ません。

演奏を終えた彼らは「Good Night!」とステージを去ったものの、これだけアドレナリンを出させられてすんなり終われるはずがない。すぐさま「ACCEPTコール」が巻き起こってアンコールを求める。

そう、彼らにはまだ「Metal Heart」と「Balls To The Wall」が残っている。これらの曲をプレイせずしてACCEPTのライブは終われない。しかしこれだけキラー・チューンを持っているバンドは本当に強いな。

個人的に「エリーゼのために」(「Metal Heart」のギター・ソロ)を歌わされることについては未だに恥ずかしさを感じるのですが(苦笑)、「Balls To The Wall」で「God Bless Ya!」と「Hey!」を叫び、サビを叫んで、中間部の「オーオ、オーオオ、オーオオオー」を歌うと物凄い一体感が生まれるんですよね。

相変わらず満足度の高いライブでした。真面目な話、ヘヴィ・メタルのライブでここまで高い満足感を与えてくれるのはIRON MAIDENと彼らだけだと思います。

今の所彼らに衰えは見られませんが、彼らも決して若くはないだけに今後さらにパワフルになっていくとは想像し難く、メタル・ファンにもかかわらず未だ彼らのライブを体験したことがない、という不幸な方はぜひ次回の来日公演に足を運ぶことをオススメいたします。

しかし11月11日という「メタルの日」にACCEPTのライブが観られるというのは素晴らしいことですね。ポッキーの日? 何ですかそれは?

なお、このライブの後、管理人は転職する会社の同僚(というか後輩)の送別会に向かい、テキーラ一気で撃沈した模様。

◆本日のセットリスト

01. Stampede
02. Stalingrad
03. Hellfire
04. 200 Years
05. Losers and Winners
06. London Leatherboys
07. Starlight
08. Dying Breed
09. Final Journey
10. Shadow Soldiers
11. From the Ashes We Rise
12. Restless and Wild
13. Ahead of the Pack
14. No Shelter
15. Princess of the Dawn
16. Dark Side of My Heart
17. Pandemic
18. Fast as a Shark

アンコール:
19. Metal Heart
20. Teutonic Terror
21. Balls to the Wall

SABATON / HEROES

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1999年に結成され、2005年にアルバム・デビューしたスウェーデンのパワー・メタル・バンドの通算7作目(日本デビューは前々作となる2008年の5th「COAT OF ARMS」から)となるアルバム。

前作「CAROLUS REX」は本国スウェーデンで4万枚以上を売り上げ、同国のプラチナムに認定されるなど「スウェーデンのメタル・バンド史上最大の成功」を収める大ヒット作となったにもかかわらず、同作リリース後、VoとBを除く4人のメンバーが脱退するという大規模なメンバー・チェンジが発生、新メンバーを補充しての「新生SABATON」の第一弾となるアルバムである。

大規模なメンバー・チェンジがあったと言っても、音楽的な中心はVoのヨアキム・ブロデンであり、バンド運営を担っているのはBのペル・サンドストロームのため、まったくサウンドが揺らぐことはなく、歴史上の戦争や戦闘を歌詞モチーフに、勇壮なパワー・メタルを展開するという従来のSABATONサウンドはそのまま再現され、むしろこれまで以上にキャッチーに磨き上げられている。

Keyサウンドを効果的に絡めたパワー・メタル・サウンドは、クラシックやケルト音楽/トラッド・フォークなどの欧州的なエッセンスを交えつつ、歌詞テーマに相応しい勇壮さを演出しており、楽曲は3分台から4分台のコンパクトなものが大半ながら、劇的な印象を与える盛り上がりもあり、一方で時にダンサブルと呼べるようなノリの良さもあって、音楽的には日本のメロディック・メタル・ファンにも受ける要素は充分にある。

本作も本国スウェーデンでは当然のように1位に輝き、欧州最大のマーケットであるドイツでも3位にチャート・インする大ヒット作となっているが、日本ではさっぱりで、現在日本と欧州で人気に温度差があるバンドの筆頭格になってしまっている。

実力があって欧州で人気があるけど日本ではイマイチ人気が出ない、というバンドはこれまでにも数多く存在し、そういうバンドの多くは日本人の感性からするとメロディに歌謡曲的なメロディ・センスが不足していて地味、というケースが多いのだが、このバンドに関してはメロディのキャッチーさについては申し分ないだけに、もっと知られれば人気が出るポテンシャルは充分あると思われる。

まあ、モヒカン(?)にサングラス、というヴォーカルの出で立ちや声質がダミ声気味であることがあまり日本のメロディック・メタル・ファンの琴線に触れないというのはあるのかもしれないが…。

ちょっと単独で来るには日本と欧州の温度差が大き過ぎる(何しろポーランドでフェスティバルでは彼ら見たさに50万人の観客が集まったというのだから!)ので、LOUD PARKなどに出演して、ぜひそのド派手でパワフルと噂されるライブを体験できたらと思います。

本作の日本盤にはMETALLICAの「For Whom The Bell Tolls」、そして先日LOUD PARKで来日したBATTLE BEASTの「Out Of Control」のカヴァーがボーナス・トラックとして収録されています。

なお、新加入したツイン・ギターの片割れ、クリス・ローランドはかつてニルス・ノーベリの後任としてNOCTURNAL RITESに加入したはずの人物なのですが…。これだけ大規模なツアーを行なうビッグなバンドに加入してしまっては、掛け持ちは無理ですよね…。【86点】

◆本作収録「To Hell And Back」のPV