EUROPE / WAR OF KINGS

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前作「BAG OF BONES」発表後、LOUD PARK 13に、「WINGS OF TOMORROW」完全再現の単独公演を含む「KAWASAKI(NAMBA)ROCK CITY Vol.3」への出演と、2回に渡って来日公演を行なった彼らの、再結成後5枚目、通算10枚目となるフル・アルバム。

かなり渋めのブルーズ・ハード・ロックだった前作に比べるとブルーズ臭が薄れているが、70年代のブリティッシュ・ハード・ロックに根差したサウンドであるという点については前々作「LAST LOOK AT EDEN」からの路線を踏襲した作風と言える。

MVも制作されたタイトル曲#1は北欧のヴァイキングをテーマにした曲だが、もちろんヴァイキング・メタルではない(笑)。この曲のリフがアルバム最後の泣きのインスト#12「Vasastan」が終わった後に再登場するが、別にアルバムの冒頭に回帰する…みたいなコンセプトがあるわけではなく、単に収録に当たってカットした部分をシークレット・トラック的に収録しただけとのこと。

#7「Days Of Rock ‘N’ Roll」は、元々88~89年くらいに「The Final Countdown」の続編として書かれたものの、お蔵入りになっていた曲を作り直したものだという。たしかに言われてみるとイントロのオルガン・リフを80年代的なKeyのサウンドにして、シャッフルになっているリズムをギャロップ・ビートに変え、歌メロのキーを変えたらそれっぽい曲になりそうだ。

#9「Rainbow Bridge」は、その名の通り日本のレインボー・ブリッジの景色にインスパイアされて書かれた曲だそうだが、それで入ってくるのがこのアラビアンなテーマ・メロディだとしたら、やはりヨーロッパ人にとっては日本も中国もインドもアラブも「東洋」でひと括りなんだなあ…などと思ってしまったり。

…などといくつか曲の感想などを書いてお茶を濁そうとしてみたものの、やはり解散前と同じだけの枚数をリリースした今、そろそろ言わねばなるまい。

EUROPEというバンド名に期待されるのはヨーロピアンな音楽なんですよ。ブルーズとか、アメリカンな音楽はEUROPEというバンドに求めていないんですよ。クラシカルでドラマティックなハード・ロックを聴かせてほしいんですよ。

もう少し現実的というか具体的な話でいうと、本作で体現されているLED ZEPPELLINやBLACK SABBATHやDEEP PURPLE(の渋い曲)やUFOやTHIN LIZZYみたいなサウンドではなく、RAINBOWの北欧的解釈、みたいな音楽をこそ彼らには望んでいるんですよね。個人的には。RAINBOWの振れ幅であれば初期でも後期でもOKです。

正直ブルージーなハード・ロックなんぞをやられるくらいであれば、まだJOURNEYとかFOREIGNERとか、AOR路線に進んでいただいたほうがマシというか。要はメロディ重視の音楽をやってほしい、これに尽きるんです。ジョーイの歌声もブルージーな曲よりもメロディアスな曲の方が絶対合うと思いますし。

まあ、インタビューなどを読んでも彼らは意図的に80年代的な色を排しているようなので、私が望むようなサウンドを彼らが再び出す日は来ないんでしょうけどね…。

◆本作のタイトル曲「War Of Kings」のMV



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GYZE / BLACK BRIDE

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日本のメロディック・デス・メタル・バンドの、いや、国籍やジャンルに限らず全メタル・シーンの中でも最も期待しているとさえ言える私的ブライテスト・ホープGYZE待望のセカンド・アルバム。

デビュー作で感じさせてくれたポテンシャルが期待通り順当に発揮された素晴らしいアルバムで、重層的に織り上げられた美旋律が激烈に疾走していく様には久方ぶりに「悶絶」という言葉を使いたくなる。

どの曲もキラーだが、あえてピックアップするなら凄絶なテンションが炸裂する#4と、テーマ・メロディが泣き泣きの#7が特にお気に入り。これでもう少しリズム面のアレンジに面白みが出てきたら全盛期のCHILDREN OF BODOMに迫るのではないか(今の疾走をメインにしたアレンジも好きですが)。

制作時点からJVCケンウッド・ビクターエンタテインメント(長い…)というメジャー・レーベルからのリリースが決まっていたことで、前作に散見されたV系っぽいノーマル歌唱パートが増えるのでは? などと邪推していたが全くの杞憂で、ノーマル歌唱パートはエットレ・リゴッティが日本語で(!)歌った#3のサビのみ。前作以上に純度の高いメロディック・デス・メタル・アルバムに仕上がっているのが心強い。

逆にここまで保守的なスタイルで、ジャケットまでこういうクサメタル(死語?)みたいなデザインってバンドのポテンシャルに対して間口を狭めてしまうのではないかという危惧さえあるが、まだ2作目ということでバンドの基本スタイルを確立・表明しようという「心意気」の発露であると好意的に解釈したい。

ただひとつ理解に苦しむのは、リリースされてから1ヵ月近い期間が経ってなお、本作をプロモートするための映像が公開されず、公式サイトも「準備中」になっていること。こちとらMVが公開されるまでレビューを控えようと思っていたのですが、レコード会社やマネジメントはやる気あるのかと。

ぶっちゃけ当サイトがサイトでの新譜レビューをやめ、新譜はブログのみで扱うことにしたのは今日び必ずトレーラーやリーダー・トラックのMVがWeb上で公開されるようになり、それらを貼って紹介した方が明らかに読者にとって伝わりやすいと考えたからだというのに、こうして文字のみで本作を紹介せざるを得ないのが歯痒い。本作などまさに百聞は一見にしかずというか、「百読は一聴にしかず」という作品なのに…。

次作のリリース時にはサイトも映像も万全の状態でお願いしますよ!(誰に言ってるんだ)【87点】


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BURRN! 15年4月号メモ

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表紙および巻頭インタビューはSCORPIONS。結成50年に及ぶバンドの還暦オーバーなメンバーによるものとは思えぬエナジェティックな表紙になってますね。彼らが表紙になったのって1991年の1月号以来? 

となると私がこの雑誌を買い始めて以来初めてなわけで、彼らほどの実績とステイタスがあるバンドがこれほど表紙になる機会に恵まれなかったのはタイミングの問題か、それともフロントマンがフォトジェニックではないからか。

インタビューは今度こそ最終作?な「RETURN TO FOREVER」のリリースにまつわるありがちな大御所インタビューで、クラウス・マイネ(Vo)の「日本で行なわれる『LOUD PARK』というフェスティバルにも出演することになるんじゃないかな」という発言がハイライト。この発言の掲載可否ってちゃんとクリエイティブマンに許可取ってるんでしょうか?

いつまでも続く「創刊30周年記念スペシャル企画」、今回のお題は日本で行なわれたフェスについてで、どうやら編集部の皆さんはあまりフェス、特にLOUD PARKのような大量のバンドが出るフェスは「くたびれるから好きじゃない」というのが本音であろうことが透けて見える雰囲気。

ただ、1984年から現在までに日本で行なわれたHR/HMフェスとその出演バンドがまとめられていることについては、なかなか資料性の高い企画でいいと思います。こういう情報は雑誌みたいな使い捨ての情報にせず、Webに上げてもらっていつでも参照・更新できるほうがいいような気がしますが。

『BURRN!』が持ってる情報って整理してWebにアーカイブしたら相当アクセス集められるものになるような気がするんですけどね。そんな気はさらさらなさそうですね。

細かいインタビューにはいちいち触れませんが、NIGHTWISHはカラーで扱ってほしかった。ちゃんとクロスレビュー扱いなのにこの処遇は、きっと編集部に彼らのファンがいないから、なのでしょうね。

読者投票結果は今年も昨年に続いて後半の地味な台割で発表されている。各部門20位までしか発表されていないあたり、投票数がいかに少なくなっているかも窺い知れ、もはや「大発表!」みたいなものではなくなってしまった結果なのでしょう。

ベスト・グループ:MR.BIG
ベスト・ヴォーカリスト:エリック・マーティン(MR.BIG)
ベスト・ギタリスト:マイケル・アモット(ARCH ENEMY)
ベスト・ベーシスト:ビリー・シーン(MR.BIG)
ベスト・ドラマー:パット・トーピー(MR.BIG)
ベスト・キーボーディスト:ジョーダン・ルーデス(DREAM THEATER)
ブライテスト・ホープ:NOZOMU WAKAI'S DESTINIA
シャイニング・スター:アリッサ・ホワイト・グルーズ(ARCH ENEMY)
ソングライター:マイケル・アモット(ARCH ENEMY)
ライブ・パフォーマンス:MR.BIG
ベスト・アルバム:ARCH ENEMY 「WAR ETERNAL」
ベスト・チューン:ARCH ENEMY 「War Eternal」
アルバム・カヴァー:JUDAS PREIST「REDEEMER OF SOULS」
DVD/Blu-ray:WHITESNAKE「LIVE IN '84」

上記の結果はもう完全にMR.BIGとARCH ENEMYという「BIG IN JAPAN」祭りであり、1位以外の結果を見てももはやこの雑誌のコアな読者というのは「BIG IN JAPAN」なバンドの支持者と、JUDAS PRIESTやWHITESNAKEなど80年代以前の、いわゆる「クラシック・ロック」のファンと、「嬢メタル」をはじめとする日本のバンドのファンなのだな、というのが浮き彫りになった結果でした。

SCORPIONS / RETURN TO FOREVER

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前作発表時に解散を表明したSCORPIONSが、解散ツアーでの反響の大きさと、自分たちの好調さを踏まえて解散を撤回しての復活アルバム。

解散表明後も、そのツアーの模様を収めたライブ作品「LIVE 2011: GET YOU STING & BLACKOUT」、彼らのルーツを辿ったカヴァー・アルバム「COMEBLACK」、そしてMTVアンプラグド史上初の屋外ライブ収録作となった「MTV UNPLUGGED IN ATHENS」と旺盛なリリースを続けていたが、本作はそのとどめとなるバンド結成50周年記念アルバム。

(私が)30代も後半になると、もはや20周年くらいではヒヨッ子扱い、30周年でようやくまあまあベテランかな、という老害になってしまうわけですが(笑)、50周年と言われるともう黙ってひれ伏すしかありません。しかも途中解散とか活動休止とかないですからね、このバンド。

スタジオ・アルバムといっても純粋な新曲だけのアルバムではなく、#1、#2、#5、#8、#11、そしてボーナス・トラックの#13、#15、#16が新曲で(日本のデラックス盤ボーナスの2曲は不明)、あとは80年代半ばから90年代にかけて書かれた楽曲のよう。

とはいえ、アーティストのアルバムに古いマテリアルだけが入っているかどうかなんてリスナーにはわからないことなので、未発表の曲ばかりが入っているという意味では「純粋な新作」と考えても問題ないだろう。

前作「STING IN THE TAIL」に引き続きミカエル・ノード・アンダーセンとマーティン・ハンセンのスウェーデン人チームが手掛けており、作曲の面でも両名が多くの楽曲に関わっている。

とはいえ外部ライターが関わっているのは今に始まったことではないし、結果として良い曲が揃うのであれば何の問題もない。誰が曲を書こうと、クラウスの個性的な美声と、ルドルフのリズム・ギターがあればSCORPIONSらしさは充分に保たれる。

もちろんHR/HMとしてのエッジや勢いについては往年の名盤に及ぶべくもなく、欧州的な要素よりはアメリカナイズされたセンスが目立つが、この年齢でこれだけ活気のある作品を作れるのであればまだまだ引退している場合ではないと考えるのも当然だろう。

過去の曲はどれも当時のアルバムに入っていてもおかしくないくらいのクオリティはあるものの、やはり目玉曲になるほどの名曲というわけでもないので、『BURRN!』誌やオールド・ファンなどが褒めそやすのは、解散を撤回してくれた喜び補正がかかっているのではないかという気もするが、50周年云々をさておいても良作であることは間違いない。

日本盤のみのボーナス・トラック2曲の出来が本編に劣らずいいのも嬉しい。【82点】

◆本作収録「We Built This House」のMV




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SERIOUS BLACK / AS DAYLIGHT BREAKS

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Vo:アーバン・ブリード(元TAD MOROSE, BLOODBOUND他)
G:ローランド・グラポウ(元HELLOWEEN, MASTERPLAN他)
G:ドミニク・セバスチャン(EDENBRIDGE)
B:マリオ・ロハート(元VISIONS OF ATLANTIS, EMERGENCY GATES)
Key:ヤン・ヴァシック(DREAMSCAPE)
Dr:トーマス“トーメン”スタッシュ(元BLIND GUARDIAN, SAVAGE CIRCUS)

このラインナップを見ただけで90年代~00年代にメロディック・パワー・メタルのマニアをやってきた人間であれば興味を引かれるのではないか。

2013年の夏にスペインで行なわれたMASTERPLANのライブでローランド・グラポウとマリオ・ロハートが出会ったことで始まったプロジェクト(バンド?)のデビュー・アルバムが本作。

アルバムの楽曲クレジットはメンバー全員になっているが、ローランドがいることもあってか、MASTERPLANに近い、歌重視のメロディック・パワー・メタル路線。アーバン・ブリードの歌声が似ていることもあって、マイク・ディメオが歌った「MK-II」アルバムが一番印象としては近いか。

メロディック・パワー・メタルといっても疾走感に重点は置かれておらず、2バスを連打するようなパート/楽曲も、あくまで楽曲やアルバムにメリハリをつける役割を果たしているという印象。

Keyのフィーチュア度が高く、アーバン・ブリードのエモーショナルな歌唱もあって、全体的にドラマティックで叙情性が高いのがポイント高い。タイトル曲#8のようなバラードも堂に入った仕上がりで聴き応えがある。

個人的に購買動機のメインとなった、マイ・フェイバリット・シンガーであるアーバン・ブリードの歌声がちゃんとフィーチュアされており、歌メロもフック充分なので、そういう意味では期待に応えてくれた感はある。際立った個性はないが、ヨーロピアン・メタル・ファンであれば一聴の価値のある良質なアルバム。【84点】

◆本作収録「High And Low」のMV