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RIOT V 来日公演 at クラブチッタ 2015.9.6

昨年のLOUD PARKでのライブの印象がすこぶる良かったので、RIOTの来日公演に足を運びました。

ちょっとモタモタしていたらギリギリの到着になり、場内に入ったのは開演予定時刻である17時を2、3分回ったあたりでしたが、幸いにもまだライブは始まっていない。日曜日ということもあってか9割がた埋まっているが、パッと見渡す限り30代以上の男性ばかりで、女性の姿は片手の指で足りるほど。

そのまま少し移動して真ん中やや下手(しもて)寄り後方に陣取ると、ほどなく暗転。ちょうどいいタイミングでした。そしてもはや恒例となりつつある「故マーク・リアリを偲ぶ映像(というかスライドショー)」が映し出される。

映像が終わると、いつも通り「Narita」でライブがスタート。毎回思うのですが、「Narita」はカッコいいインスト曲ですが、例えばJUDAS PRIESTの「Hellion」のように、序曲的な曲ではなく、必ずしも期待感の醸成するようには働かない気がするのですが…。一歩譲って期待感を煽る効果があるとしても、それは生演奏ではなくSEとして使って、ライブ自体は歌モノから始めた方がインパクトあると思うのですがいかがでしょうか。

そして最新作というか、新生RIOT(V)のデビュー・アルバム「UNLEASH THE FIRE」のオープニング・ナンバーだった「Ride Hard Live Free」でVoのトッド・マイケル・ホールが登場。新しい曲はまだ浸透していないのか、そこそこの盛り上がりでしたが、「Fight Or Fall」から「On Your Knees」というトニー・ムーア期の疾走曲2連発で会場は一気にヒートアップ。トニー・ムーアの超高音Voパートを難なく歌いこなすトッドの歌唱はやはり素晴らしい。

トッドも素晴らしいが、何気にドラムのフランク・ギルクリーストも素晴らしい。メタル界でも屈指の名手であるボビー・ジャーゾンベクと比較される厳しい立場だが、ボビーよりワイルドかつパワフルなプレイは、RIOTのサウンドにかつてない力強さを与えている。

「今日はたくさんの曲をプレイする。多くは語らないぜ」というMCの通り、MCは控えめに次々と曲をプレイしていく。基本的にはトニー・ムーア時代の曲とガイ・スペランザ時代の楽曲を中心としたセットリストだ。

さすがにこの2015年にRIOTのライブに来ているような人は「THUNDERSTEEL」以降のパワー・メタル路線なRIOTが好きな人達が大半だと思いますが、初期のRIOTが今でも好きで、80年代後半以降の彼らはよく知らないけど、来日公演があると聞いて足を運びました!みたいな年配の方がいらっしゃったとしたら、この怒涛のパワー・メタル・チューンをどう受け止めているんだろうな…などと、彼ら史上最速のバカっ速い「Wings Are For Angels」を聴いていてふと思いました(笑)。

途中、「Sign Of The Crimson Storm」でサビの合唱を求められましたが、これはやや不発気味(少なくとも場内後方は…)。

その後、次のアルバムに入る新曲ということでプレイされた「Far From The Sky」は、DIOの「We Rock」風というか、彼らの曲でいうなら「Black Leather And Glittering Steel」風のオーセンティックなHR/HMリフを持つ正統的なHMチューンで、疾走曲ではなかったので、かつて「IMMORTAL SOUL」リリース前の来日公演で「Wings Are For Angels」を聴かされたときのようなインパクトはなかったものの、次作も安心して聴ける作品になりそうだという手応えが感じられる曲でした。

ガイ・スペランザ時代の「Outlaw」(マイク・ディメオ時代にもセルフカヴァーしていましたが)を挟み、「特別な日本のために、以前はやったことがない曲をプレイする。『THE PRIVILEGE OF POWER』アルバムは知ってるか?」というMCに導かれて「Black Leather And Glittering Steel」がプレイされる。

カッコいい曲ではあるが、いささか盛り上がりというかメリハリに欠けるので、『THE PRIVILEGE OF POWER』アルバムからであれば彼ら随一のポップ・チューンである「Maryanne」をプレイしてほしかったかな。

マイク・ディメオ在籍時の曲からの唯一のセレクトとなったのは、マイク・ディメオ版「Thundersteel」というべき「Angel Eyes」。この曲はマイクのマイルドな歌声だと今一つ煮え切らなかったが、トッドが歌えばカッコよくなるのでは? と期待していたが、やはり原キーが低すぎてトッドの歌声をもってしてもさほど印象は変わらず。

マイク・ディメオ時代の曲であれば、『NIGHTBREAKER』アルバムのタイトル曲と、『THE BRETHREN OF THE LONG HOUSE』アルバムから「Ghost Dance」をお願いしたいです。この2作の頃はRIOTが文字通り日本だけで聴かれていた時期だと思いますしね。

「Flight Of The Warrior」でも再びトッドはサビをオーディエンスに歌わせようとするが、これまた不発。やはり日本人には「曲名を叫ぶ」「オーオーという歌詞のないシンガロング」以上のことをやらせようとするとボロが出ますね。

「Bloodstreets」に「Take Me Back」という新旧の哀愁系チューン2曲を挟んで初期タイムへ。「Road Racin’」に始まり、「スペシャル・ゲスト」としてRIOTのデビュー・アルバムでマーク・リアリの相方を務めていたギタリストのL.A.クヴァリスが登場、「Tokyo Rose」、「Rock City」、そして本編ラストとなる「Warrior」に参加。

さっきも書きましたが、ここに来ている人の大半は「THUNDERSTEEL」以降のパワー・メタル路線なRIOTが好きな人達だと思われるので、デビュー・アルバム以降一切RIOTに関わっていなかった人が急に出てきても「誰?」って感じだと思いますが、バンドとしては精一杯「特別な趣向」を凝らしてくれたのでしょう。今のバンドの仕上がりをもってすればもはや「マーク・リアリ追悼」という「お題目」さえ必要ないのではないかという気さえしますが。

しかし何度聴いても「Warrior」は名曲ですね。「輝け、輝き続けろ、暗闇と痛みを越えて。輝け、輝き続けろ、戦士よ」こんなサビ、今日びアニソンでもないですよ(笑)。気恥ずかしいほどにカッコいい。合唱しながらちょっと泣きました。

盛大な「RIOTコール」に導かれて、さほどインターバルもなくメンバーが再登場。トッド・マイケル・ホールは着ていたシャツを脱ぎ、上半身裸になっているが、これがまた筋肉質に引き締まっていてカッコいい。顔立ちも整ってるし、ステージ・アクションもなかなかキマってるのに、イマイチ華がないのはなぜなんだぜ。

「よく知らないけど、『BURRN!』誌の年間投票で4位に選ばれたらしいね」というMCでプレイされたのは「Land Of Rising Sun」。日本のことを歌った曲ですが、こんなカッコいい曲を捧げてくれてありがとう、と言いたくなる名曲。グッと来ます。この時、彼らの恩人であるマサ・イトーが来場していることが告げられ、皆2階席を見上げましたが、私の角度からは見えませんでした。

アンコール2曲目は国際的に評価の高い『FIRE DOWN UNDER』アルバムのオープニング・トラックだった「Sword And Tequila」、そして圧巻のラストを飾ったのはもちろん超名曲「Thundersteel」。誰もが激しく頭を振り、アドレナリンを過剰分泌させながらサビを絶叫する。

平均年齢40歳以上(推定)の中年のオジサンたちが「雷鋼鉄!」というわけのわからない単語を絶叫する様は傍から見たら異様な空間だったに違いありませんが、あの瞬間の場内の一体感は凄かったと思います。一種のトランス状態でしたね。

楽曲自体の尺としては4分弱くらいはあるはずにもかかわらず、まるで一瞬のように感じた「Thundersteel」で終わってみると27曲もの楽曲がプレイされていた。てか、27曲目に「Thundersteel」を完璧に歌いきることができるトッド・マイケル・ホールは本当に凄いシンガーだ。

ライブが終わるとそそくさと帰る人が目立つ最近のライブには珍しく、多くの人がこれ以上プレイされることがないことを承知の上で場内に残り、メンバーに惜しみない拍手と喝采を送っていた光景が、本日のライブに対する満足度の高さを表していたといえるでしょう。

トッド・マイケル・ホールが素晴らしすぎたためについつい彼にばかり触れてしまいましたが、先に述べた通りフランク・ギルクリーストのドラムも良かったし、ニック・リーのギターも申し分なく、正直このバンドで生計を立てるのは難しいと思われるにもかかわらずこれだけのメンバーが集うRIOT(V)は「何か持ってる」と思わざるをえません。

本当に満足度の高いライブでした。また来日したら絶対に足を運びたいと思います。

◆本日のセットリスト

01. Narita
02. Ride Hard Live Free
03. Fight Or Fall
04. On Your Knees
05. Metal Soldiers
06. Johnny's Back
07. Wings Are For Angels
08. Fire Down Under
09. Hard Lovin' Man
10. Metal Warrior
11. Sign of The Crimson Storm
12. Fall From The Sky
13. Outlaw
14. Black Leather And Glittering Steel
15. Still Your Man
16. Angel Eyes
17. Altar Of The King
18. Flight Of The Warrior
19. Bloodstreets
20. Take Me Back
21. Road Racin'
22. Tokyo Rose
23. Rock City
24. Warrior
アンコール:
25. Land Of The Rising Sun
26. Swords and Tequila
27. Thundersteel

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