GALNERYUS / UNDER THE FORCE OF COURAGE

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通算10作目にして、Syu(G)が書いたという少年向けアニメ/マンガ的なストーリーのファンタジー・ストーリーを基にした意外にもバンド初のコンセプト・アルバム。

LOUD PARK 15で本作収録の#3「Raise My Sword」がプレイされ、あまり音響の良くないライブのサウンドで聴いても一発で名曲だとわかる素晴らしさに、本作の出来もきっと間違いないだろうと予測していたが、期待に違わぬ力作である。

基本的に彼らの音楽というのは極めて濃厚で押しの強いもので(Syuはやっぱり関西人なんだなあ、と感じています/笑)、その大仰なメロディとドラマティックな盛り上げは時にクドく感じることもあるし、常に全力投球であるがゆえにやや一本調子に感じられることもあるのだが、本作ではストーリー性を表現することを意識したのが功を奏したのか、これまで以上に起伏とメリハリがついているのがいい。

そして、これを評価するかどうかはその人の感性次第だが、小野正利加入後爽やかさを増していた彼らのサウンドが、これも中二病臭いストーリーに引っ張られてか再び初期の「三部作」の頃を思わせる「熱さ」を蘇らせているのが個人的には胸躍る(いや、小野正利加入後のサウンドも好きですけどね)。

あえて難癖をつけるとしたらストーリーの必然からこういう曲順になっているのだと思いますが、イントロダクション的な#1に続いていきなりプログレッシヴ・メタル的なインストが2曲目に続くにはいささか気勢を削がれるような…。もちろん単体で見ればカッコいい曲なのですが。

全9トラック、イントロ#1とインスト#2を除くと歌入りの曲は全7曲と、その数字だけ見るとコンパクトに見えるが、組曲形式の曲(うち1曲は14分超え)を2曲含む上、前述した通り彼らの曲は基本的に濃厚(#1、#2を除くと6分以下の曲がない)なのでこれくらいが腹八分目(九分目?)のちょうどいいボリュームかと思う。

件の名曲#3「Raise My Sword」から熱くクサく疾駆するサビでいきなりソウルをバーニングさせる#4「The Voice Of Gravious Sky」 で一度ハイライトを迎えつつ、緊張感を保ったまま辿り着くクライマックス、小野正利の本領発揮な日本語バラードの#8「Chain Of Distress」(エンディングのギター・ソロがたまらない)、そして14分超えの組曲であるタイトル曲が劇的で、ストーリーに入り込むことができた人であれば鳥肌を禁じ得ないだろう。

そしてエンディングで旗(Flag)を掲げちゃうあたりがね、GALNERYUSファンにはたまらないですね(笑)。アルバムのラストでイントロに還るRHAPSODYの「POWER OF THE DRAGONFLAME」攻撃も、作品のドラマティックな印象を高めるのに効いている。

前作が個人的にはちょっとヌルい出来で、ひょっとしてこのまま小野正利のVoを活かしたAORメタル(なんだそりゃ)路線に向かうのか…と危惧していたが、その杞憂を吹き飛ばす「原点回帰、それ以上」な傑作。

ただ、このMANOWARの同人誌バージョンみたいなジャケットだけはどうにかならなかったものか…。一見さんを完全にふるい落しているでしょこれ…。一万歩譲って同じコンセプトで描くにしても、ポーズを変えるだけで結構印象変わると思うのですが。【88点】

◆本作収録「Raise My Sword」のMV


◆本作のトレーラー映像



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レミー(MOTORHEAD)が死去

2015年も暮れようかというタイミングでとんでもないニュースが飛び込んできましたね。

MOTORHEADのレミー・キルミスター(Vo, B)が12月28日、亡くなったそうです。26日に進行性の癌が発見されたばかりだったそうです。

今年何度か体調が悪くて公演をいくつかキャンセルした、という話は聞いていましたが、「まあ、歳だし、体調悪い日もそりゃあるよね」くらいに軽く受け止めており、レミーが死ぬわけない、くらいに考えていたのですが…。

レミーが死ぬくらいならむしろ先月入院が報じられたギタリストのフィル・キャンベルの方が先に逝くんじゃないかとさえ思っていました(不謹慎)。

実際レミー本人も今月「明日もう死ぬんですか的な質問にはうんざりだ」てなことを言っているんですよ。

そう、MOTORHEADが今年リリースしたアルバム「BAD MAGIC」は久しぶりに本国イギリスでTOP10入り、ドイツやフィンランドといったメタルが強い国では1位を獲っていますし、日本にもフジロック '15で来日してますし、現役バリバリですよ。今月だって北欧とドイツで6本ライブをやっていますし、1月のライブだって決まっていたんです。

今年レミーは「ツアー中に死ぬだろう」みたいなことを言っていましたが、その予言が現実のものになってしまいました。

まあ、引退して10年とか20年とか経って老人ホームみたいな所で安らかに亡くなって、「そういえばそんな人もいたねぇ。むしろまだ生きてたんだ?」などと言われるような死に様なんてそれこそ想像できなかったし、いつ死んでもおかしくないくらい酒を飲んでいたようなので、そういう意味で「納得いかない」感じはあまりないのですが。

しかし今年でバンド活動40周年で、しかもレミーは柄でもなく(?)クリスマス・イブの12月24日生まれなので70歳になったばかり。キリが良すぎるでしょ…。

先月11月11日にはオリジナル・ドラマーだったフィルシー“アニマル”テイラーことフィル・テイラーが61歳で亡くなったばかり。今年は紛うことなくMOTORHEADファンにとって最悪の厄年となってしまいました(まあ、もうすぐ2015年は終わりますが…)。

私にとってのMOTORHEAD(すなわちレミー)との出会いは、ティーンの頃にベーシストでもないのにたまたま読んだ『BASS MAGAZINE』誌上で、これまた今は亡き諸田コウ氏(DOOM)が影響を受けたアルバムとしてMOTORHEADの「極悪ライヴ(当時の「NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH」の邦題)が「速い、うるさい、恐ろしい」の三拍子揃った名演として紹介されていたことに遡ります。

同時期に伊藤政則氏のラジオか和田誠氏のラジオ(たぶん前者でしょう)でMOTORHEADの「Overkill」がオンエアされ、その「終わりそうで終わらないエンディング」に興奮したことを憶えています。

実際に初めてアルバムを買って聴いたのは以前このブログで紹介した「BASTARDS」でした。

その後、LOUD PARK10で彼らのライブを観る機会にも恵まれ、レミーのドキュメンタリー映画『極悪レミー』もちゃんと映画館で観るなど、どう考えてもメロディック・メタル派である私の嗜好にはマッチしない音楽であるにもかかわらず、レミーの、MOTORHEADの存在感にはなんとも惹かれるものを感じていました。

うろ覚えながら、かつて映画『ウェインズ・ワールド』で「神様とレミー、戦ったらどっちが強い?」というなぞなぞに、「答えは神様=レミーなんだから戦えない」みたいなくだりがあったと記憶していますが、本当に神様になってしまいました。

HR/HMは、また一人偉大なカリスマを失ってしまった。

◆今年の「ROCK AM RING FESTIVAL」での「Overkill」


◆最新作「BAD MAGIC」より「Thunder & Lightning」のオフィシャル・ファン・ビデオ




LOUDNESS / THUNDER IN THE EAST 30th Anniversary Edition

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LOUDNESSのワールド・デビュー作となった「THUNDER IN THE EAST」の30周年記念リマスター盤。

とはいえ目当てはリマスター音源そのものではなく初回限定盤に付属する2枚のDVD映像。

彼らの世界進出の経緯を関係者のインタビューと本作に伴う初の全米ツアーのドキュメンタリー映像によって描き出した「A Documentary of THUNDER IN THE EAST」と、同ツアーのライブ映像を集めた「THUNDER IN THE EAST 1985 US TOUR LIVE」。

彼らの基本的なヒストリーというのは当然様々なテキストやインタビューなどで読んで知っていたが、やはり映像で観ると生々しさが違うし、関係者の話も興味深い。

LOUDNESSがアメリカのメジャー・レーベルと契約し、成功(本作が全米73位、次作「LIGHTNING STRIKES」が同64位、これが1980年以降における日本人アーティストのビルボード・アルバム・チャートにおける最高位である)することができたのは、むろん彼らが優れた実力を備えていたことに加え、当時ちょうどHR/HMのブームが起きつつあるタイミングにうまくハマったということが大きい。

そして何より、バンド結成時から世界的な成功を意識して活動していたという高崎晃と樋口宗孝の意識が大きかっただろう。それ以外のバンドは大抵「プロになる」くらいを目的にしていて、「世界進出」については「できたらいいな」くらいの気分だったと思われるからだ。

この時期彼らはMOTLEY CRUEの「THEATER OF PAIN」ツアーの前座として全米をサーキットし、日本人初のマジソン・スクエア・ガーデンでのライブも実現させたわけだが、そのツアーのさなか高崎晃は「(MOTLEY CRUEより)僕らのほうがイイでしょう?」とうそぶいており、こういう向こうっ気の強さは最近の日本人にはないよなぁ、と思いました。

まあ、その割にそのツアーにおける彼らのメイクや衣装は明らかにMOTLEY CRUEに影響受けまくりなわけですが(笑)。

90年代に入ってグランジやPANTERAが流行るとすぐにラフな服装になってヒゲを伸ばし始めたあたりを見ても、高崎さんは結構ミーハー?(笑)

とはいえ90年代、あれだけ不評でもわけのわからないサイケデリック・ヘヴィ・ロック路線を貫き、2000年代に入ってオリジナル・メンバーで実質再結成しても、オールド・ファンが求める「80年代回帰」はせずに、自分が今カッコいい、尖っていると感じるサウンドを追求する姿勢からしてロックというか「商売人」ではないなぁと感じるわけですが、こういう人だからこそ「世界のアキラ・タカサキ」と呼ばれるほどのギター・ヒーローたりえたのかもしれません。

そして他のメンバーもアメリカ人の大観衆を前にして全然気後れしているように見えないですしね。なんとなく昭和の日本人は平成の日本人より概して強気な気がします(いや、私も生まれは昭和ですが、育ちは平成なので…/笑)。

まあ、何だかんだいって同じ日本人としてこうして日本のバンドがアメリカ人のオーディエンスに受けている様子を見るのはネトウヨならずとも胸が熱くなるものがあります。私が学生時代、野茂英雄がメジャー・リーグで活躍したり、中田英寿がセリエAのデビュー戦で2ゴールを決めたときに感じたような高揚感を当時のメタル・ファンは感じていたのではないでしょうか。

ライブ映像は正直かなりクオリティの低い、通常であれば商品にならないようなものも含まれており、同じ曲(特に「Crazy Doctor」)を何度も聴かされる(苦笑)という難点もあるものの、ファンであれば充分楽しめるはず。

とにかく、本作は日本のHR/HMファンであれば聴いておくべき一枚ですし、彼らのファンならずとも日本の音楽ファンとしてこの映像も観ておくべきなんじゃないですかね。 なかなか立派な商品なので、ちょっとお高いですけど!(笑)

◆LOUDNESS 『THUNDER IN THE EAST』30周年公式サイト
http://columbia.jp/loudness/

◆本作のトレーラー映像




GLORYHAMMER / SPACE 1992 : RISE OF THE CHAOS WIZARDS

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スコットランドのパイレーツ・メタル・バンドとして高い人気を誇るALESTORMのVo & Keyであるクリストファー・ボウズ(このバンドではKeyに専念)がサイド・プロジェクト的に始めたシンフォニック・パワー・メタル・バンドのセカンド・アルバム。

前作「TALES FROM THE KINGDOM OF FIFE」の時点で海外のプレスやマニアには高く評価されており、日本でも一部のマニアの間では注目されている存在。

そして満を持して発表された本作、これはなかなかの強力盤である。

当初公開されていた「Rise Of The Chaos Wizards」のMVを観て、あまりのネタ臭さに基本的にはシリアスなメタルを好む個人的な感性からはちょっと合わないかな…とも思ったし、実際アルバムを耳にしても、いささかわざとらしさを感じてしまったのが事実。

しかし何度か聴き込むうち、そのキャッチーなコーラスをついつい口ずさむようになっている自分を発見。気付かぬうちにすっかり虜である(笑)。

そう、近年のシンフォニック・メタルはアレンジばかりがどんどん荘重になって、メタルとしての基本的なキャッチーさがないがしろにされていると感じていたが、このバンドにはそうしたバンドが失ったキャッチーさがある。

タイトル(邦題は「栄光の宇宙大作戦1992」)から想像がつく通り、本作はコンセプト・アルバムで、同じくコンセプト・アルバムであった前作のストーリーから千年後の世界が描かれ、銀河を舞台にゴブリンやユニコーンやレーザー・ドラゴンが駆け巡る。

勇壮かつドラマティック、そしてキャッチーなメロディが描くコズミック・ヒロイック・ファンタジー・ワールド。こんなにエンターテインメント性の高いシンフォニック・パワー・メタルを聴いたのはもう何年ぶりか…という気がします。

なお、輸入盤のデラックス・エディションおよび日本盤には、アルバム収録曲を全曲オーケストラ・アレンジ(なぜか曲名は変更されている)した映画のサントラのようなボーナス・ディスクが付属しています。

音楽のクオリティは高く、バンドのキャラも立っていると思うのですが、惜しむらくは日本での所属レーベルがマイナー・レーベルということでろくなプロモーションが期待できないということ。『BURRN!』でもレビューさえされていない(ですよね?)。

欧州では大手インディー「Napalm Records」所属で、ドイツでは既にナショナル・チャートの53位に食い込む成功を収めているわけですから、せめてマーキーかキングレコード(あるいはワードレコーズ?)あたりから出してもらえばネクストブレイク・アーティストになれるのではないかと思います。【86点】

◆本作収録「Rise Of The Chaos Wizards」のMV

ついつい映像に印象が引っ張られてしまいますが、よく聴けば高品質なシンフォニック・パワー・メタルであることに気付かされるはず…。

◆本作収録「Universe On Fire」のリリック・ビデオ

全メタラーにオタ芸ダンスをさせてしまいそうなノリノリディスコティックチューン。