STRATOVARIUS来日公演 at STUDIO COAST 2016.1.29

STRATOVARIUSは新作を出すたびに(前座扱いやフェスであることもあったが)来日するバンドであり、ここ日本では安定した人気を誇っているバンドである。

しかし来日公演が新木場スタジオコーストと聞いたときには「それはキツいでしょう」と思わざるをえませんでした。

だってスタジオコーストといえば最大2400人収容というかなりの大バコで、洋楽でいえばそれこそサマソニやフジロックの各ステージにおけるトリや準トリクラスがやるような会場。

土日のクラブチッタ(1300人収容)や、同規模のZEPP TOKYOでHELLOWEENと一緒だったときでさえソールドアウトしなかった彼らがやるには明らかにオーバーキャパシティ。

しかもオーディエンスの大半は社会人であろうと思われるにもかかわらず、平日である。てっきり集客力のある前座でもつくのかと思いきや、それもない。

さらに当日は雨、それも夜には雪に変わると予報されるという、「当日券で行こうかな…」という人たちの心を萎えさせる悪条件。ふと思い返してみると09年の来日公演も、11年のHELLOWEENとのカップリングのときも、13年のLOUD PARKに出たときも、全て雨でした…。雨男バンド?

しかしこんな悪条件のときにこそ支えるのがファンの務め。月末締日というサラリーマンにはかなり厳しい状況でしたが、なんとか仕事を早めに切り上げて会社を出るが、明らかに遅刻な時間帯。

この日、新木場にアクセスする有楽町線はダイヤが乱れていたようだが、私がホームに着いたタイミングでちょうど電車が来るなど、個人的には悪くない乗り継ぎで、15分ほどの遅れで済んだ。

場内に入ると、後方も左右も明らかにスペースが絞られており、ステージの真ん前、およそ全体キャパの半分くらいのスペースにオーディエンスが詰め込まれている。楽曲は「INFINITE」アルバムからの「Phoenix」がプレイされている。キメのパートでオーディエンスに両手を上げさせることが「お約束」になっている、割とプレイされる頻度の高い曲だ。

続くは新作からの「Lost Without A Trace」。彼らの楽曲の中でもどちらかというと地味な曲だと思うが、ティモ・コティペルトの歌唱が非常にエモーショナルに響く曲であることがこうして生で観てよく伝わってきた。

「『DESTINY』アルバムからのアルファベット3文字の曲だ」というMCに導かれて「S.O.S」がプレイされ、サビの「Save Our Souls」という箇所では大合唱が起きる。

ティモ・コティペルトは非常にフロントマン然としたアクションをしているにもかかわらず、時にそのティモ以上の存在感を放つ華のあるベーシスト、ラウリ・ポラー。この手のバンドのベーシストにしては珍しい、派手なスラッピングを見せ場にしつつ、彼の曽祖父にあたるシベリウスの代表作である「フィンランディア」で幕を閉じるユニークなベース・ソロ・タイムに続いたのは『VISIONS』収録曲の中で最もポップな「Paradise」。

私が来る前には「Eagleheart」もプレイされたようなので、本日のセットリストは彼らのポップ・サイドを強調したものといえる。彼らはいわゆるパワー・メタル・バンドにカテゴライズされるバンドの中では最もコンパクトでキャッチーな曲を書くことに長けているバンドなので、そういう面を押し出したライブがあってもいいだろう。

ティモ・コティペルトが「自分が加入して一番最初のアルバムである95年の『FOURTH DIMENSION』からの曲だ」と紹介して「Against The Wind」が始まる。素晴らしくキャッチーなサビを持つ大好きな曲ではあるが、個人的には既にライブ体験済みな曲なので、同アルバムからであれば「Distant Skies」が聴きたかったな(笑)。

続くは最新作のラスト・ナンバーであり、10分を超える大作である「The Lost Saga」がプレイされる。その荘厳かつスケール感に満ちたサビはCDで聴くと非常に魅力的だが、合唱が難しいという意味で、同じ大作系ナンバーの「Visions」や「Destiny」に比べるとライブ向きではなく、恐らく今後のツアーでプレイされる可能性は極小であろうという意味で、この曲が今夜のハイライトか。

「The Lost Saga」からイェンス・ヨハンソンのキーボード・ソロにつながる。両端に黄色いアヒルさんが光るキーボードから繰り出されるソロが、イェンス独特の硬質でトレブリーなサウンドからハープシコードの音色に変わるとき、ファンは「Black Diamond」が始まることを知る。

おそらく彼らのライブで必ず演奏される曲というのは「Hunting High And Low」とこの「Black Diamond」の2曲だろうが、それだけの人気曲だけあって何度聞いても盛り上がる。パワー・メタルとは美しい音楽なのだ、ということを理解させるのにこの曲以上にわかりやすい曲はそうないだろう。

ギターとキーボードの速弾きが応酬されるソロ・パートはこの曲の大きな聴き所だが、ソロの間、ティモ・コティペルトがステージ袖から投げ込まれる水のペットボトルを片手キャッチし、オーディエンスに投げ込むというパフォーマンスで注目を奪う。

本編ラストとなったのは「NEMESIS」からの「Unbreakable」。これまた近年の彼らの楽曲の中で最も大衆的といえるキャッチーな曲で、今夜のライブ(というか今回のツアー)は意図的にそういう選曲にしているのだろう。

アンコールで登場したティモ・コティペルトは「あと2曲プレイする」と宣言。ここまで完全に海外のライブと同じセットリストで、当然アンコールも同じように「Forever」、「Shine In The Dark」、「Hunting High And Low」という3曲だろう…と予想していたが、1曲少ない?

そして始まったのは、SONATA ARCTICAを思わせる哀愁のメロディが印象的な「Shine In The Dark」。ありゃー、「Forever」なしか。あのバラードの合唱は結構ライブのハイライトなのにな。まあとりあえず「Shine In The Dark」は良い曲である。

予告通りラスト・ナンバーとなった「Hunting High And Low」はお約束の掛け合いも含めて大盛り上がり。掛け合いというのはしつこすぎるとうんざりしてくるものだが、ティモはほどよいタイミングで切り上げるので印象がいい。かなりの大合唱ではありましたが、ティモが要求するメキシコやブラジルのオーディエンスには恐らく及ばなかったのではないかと思われます(苦笑)。

「アリガトー!」「スバラシイ!」と適度に日本語を交えて(今回の新技は「オイシー!」)盛り上げるティモ・コティペルトは、そのマイクを一瞬空中に浮かせて反対側の手でキャッチする仕草や、頭の上で大きく手を叩いて手拍子を煽る様など、メタル・バンドのフロントマンとして本当に優秀な人ですが、本日は歌唱のコンディションも極めて良好で、特にティモの声域をちゃんと慮って作られていると思しき近年の楽曲はほぼ完璧でしたね。

終わって時刻を見ると20時半ちょっと前。到着したのが19時15分くらいなので、わずか1時間15分。フルで観た人でも90分というのはいささか物足りないボリュームなのではないでしょうか。欧州ではGLORYHAMMERが前座についていたようなのでこれくらいでちょうど良かったのかもしれませんが単独であれば新作からもう2~3曲は聴きたかったというのが正直な所です。

この物足りなさは来月行なわれるCAIN'S OFFERINGの来日公演で埋め合わせたい所ですが、その時期とても忙しくなりそうなことが不安ではあります。

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私の好きなHR/HM名曲

このエントリーが、当ブログにおける1000本目のエントリーになります。

URLの通し番号を見ると既に1000を超しているのですが、実際には書き損じみたいなエントリーは公開されることなく消しているので、公開されているものとしてはこれが1,000本目です。

半ばTwitterみたいな使い方をしている人であれば1,000本なんて余裕なのでしょうが、毎日終電近くまで働いて、そして1本あたりそこそこ文字量のある文章を書いていることを考えると結構がんばったんじゃないかと自分で思ってます(笑)。

そういう記念すべき(?)エントリーなので、いつもは書かないようなエントリーにしようと思います。

ということで、「私をHR/HMにハマらせた曲」を淡々と列挙するだけのエントリーです。

いや、普段音楽のことを書いていないブログであれば「自分の好きな曲を紹介します!」みたいな素朴なエントリーが成立するのですが、曲がりなりにも毎回音楽のことを書いているブログだとかえってそういう芸がないエントリーというのは書きにくいのです(笑)。

では、思いついた順、いわゆる順不同で。

HELLOWEEN - I'm Alive

「人生を変えた曲」という意味ではまずコレ。この曲がなければここまでメタルにのめり込むことも、こんなサイトをやることも、ギターを買うこともなかったことでしょう。

MOTLEY CRUE - Kickstart My Heart

少年時代の私の考える「ロックのカッコよさ」を体現している曲ですねー。

BON JOVI - Livin' On A Prayer

一聴時のインパクトは「Runaway」や「Born To Be My Baby」の方が強かったが、やはりこの曲の名曲度は圧倒的。今ではもちろんぶっちぎりで好きです。

MR.BIG - Daddy, Brother, Lover, Little Boy 

40代前半~30代後半のHR/HMファンはみんな通っているんじゃないでしょうか。こういう曲をもっとやってほしかったなぁ…。

SKID ROW - Youth Gone Wild

この辺も問答無用系のカッコよさですね。こういう「青春のアツさ」みたいな臭いのする曲がなくなったのが「若者のHR/HM離れ」を招いているのではないかと(笑)。

EUROPE - The Final Countdown

劇的で勇壮、という私がHR/HMに求めるものを、最もポップかつわかりやすく表現した曲じゃないですかね。

NIGHT RANGER- Don't Tell Me You Love Me

天下のジャニーズ様がパクったわけですから、楽曲としての完成度は折り紙つきです。

FIREHOUSE - Overnight sensation

今でもメロハー系のバンドにはこういう曲をアルバムに1曲は入れてほしいと思っています。

RAINBOW - Kill The King

70年代にこんなカッコいい曲があったなんて!と衝撃を受けました。

Guns N' Roses - You Could Be Mine

やっぱりカッコいい。わかりやすさではこのバンドの楽曲でも随一でしょう。

メジャー系のド有名曲ばかりじゃないかって? 最初はみんなそういうものではないでしょうか。こういう普遍的な魅力を持つ曲にどれだけ多く出会えたかで、その人がどこまでそのジャンルにのめり込めるかが決まる気がします。これらの曲によって、私は恐らく一生HR/HMを愛することになりました。

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浜田麻里 / MISSION

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昨年のLOUD PARKに出演したことが再びメタル・ファンに注目されるきっかけになったと思われる浜田麻里。

私はその前年、サマーソニックで彼女のライブを初体験。この日はA7XやMEGADETHをはじめ、かなりメジャーなHR/HMバンドが数多く出演していたが、正直な所彼女のライブ以上に感銘を受けるものはなかった。

こうして俄然浜田麻里に興味を持ち、ネットで色々と調べてみると2000年代に入ってからロック色が再び強まっており、2008年ごろにはメタル的な楽曲への回帰が進行していたようで、その後にリリースされた作品にはどれも私好みのメロディックなメタル・チューンが収録されていた。

そしてLOUD PARKのステージについては当初から期待して臨み、ご覧になった方はご存じのとおり充実のステージを展開。あらためてその歌唱力と楽曲の魅力を思い知らされました。

そんなわけで前置きが長くなりましたが、私が積極的な興味を持つようになって(にわかと呼ばれるのを恐れずに言うと「ファンになって」)初めてリリースされたオリジナル・アルバムが本作。

基本的には前々作「AESTETICA」、前作「LEGENDA」の路線を継承するHR/HM色の強い作風でほぼほぼ期待通り。

ただ、前作・前々作は2曲目にスピード・メタル・ナンバーが来て、序盤からアガったが、本作では速い曲が3曲目まで登場せず、1曲目、2曲目が割と重厚かつドラマティックな曲なので、即効性的なインパクトは少々落ちるかもしれない(個人的には2曲目と3曲目は入れ替えたほうが良かったと思う)。

しかし、トータルな楽曲のクオリティではハイレベルだった前作・前々作に勝るとも劣らないクオリティを実現しており聴き応えは抜群。プログ・メタル調からメロディアス・ハード風、現代ヘヴィ・ロック調まで適度にバラエティを持たせつつも、どの曲にもドラマティックな展開と旋律が配されており、それが浜田麻里の表現力豊かなヴォーカルで歌い上げられたとき、日本人の琴線に触れる輝きを放つ。ぶっちゃけ哀愁系のアニソンとか好きな人にもアピールするんじゃないかな。

ゲストとしてLOUD PARKのステージにも客演していたLOUDNESSの高崎晃(#1、#2、#3)、VOWWOWの厚見玲(#1、#3)、MR.BIGのビリー・シーン(#1、#3、#8)、デヴィッド・リー・ロスやジョー・サトリアーニのバンドなどへの参加で知られる超有名セッション・ドラマーのグレッグ・ビソネット(#7と#9以外の全曲)が参加しているが、音楽自体が強力なので、きっと元々凄腕揃いである彼女のレギュラー・バック・バンドが全曲プレイしていたとしても本作の魅力は変わらないだろう。

個人的には最近『BURRN!』誌でも注目されている若井望が関わったスピード・チューンの#7「Rainbow After The Storm」から本作で一番J-POP的なメロディアス・ハード・チューン#8「In Your Hands」の流れが最初に気に入ったが、何周か聴き込むうち、#4「Rin」や#9「Carpe Diem」などにもグイグイ惹かれており、今後さらに聴き込むとまた新たな魅力が発見できそう。

若い人にとって30年以上のキャリアを持ち20作以上のアルバムを発表している、日本の50代の女性アーティストに関心を持つというのは容易ではないかもしれませんが(私自身もそうでした)、メロディアスでドラマティックなHR/HMサウンドを愛する人であればここ数年の浜田麻里の音楽に触れずにいるのはもったいないですよ、と声を大にして言いたいです。

そしてさらに言うなら、ライブではさらに圧巻の凄みを体験できますよ、と。単独公演に足を運んだことのない私が言うのもアレですが(笑)。

◆本作のダイジェスト試聴用映像




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MARCHING OUT / ROCK WILL NEVER DIE

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バンド名がイングヴェイのアルバム、アルバム・タイトルがM.S.Gのライブ・アルバムのタイトルと同名、これで「そういう音」でなかったら逆にどうしていいのかわかりませんが、安心してください、そのまんまの音ですよ!(笑)

YNGWIE MALSTEEN、M.S.G、RAINBOW、WHITESNAKE…こういった70~80年代の様式美系ハード・ロックそのままのサウンドを出しているバンドのデビュー・アルバム。

今日びこんな時代錯誤なサウンドを出すなんて、どんな新人バンドやねん…と思ったら、全くもって新人などではありませんでした。

ヴォーカルのKazu Rockこと中山一弘氏を中心に2012年に結成されたこのバンドのドラムは「手数王」の異名をとる日本を代表するセッション・ドラマー、菅沼孝三。

キーボードの石黒彰氏は、日本を代表するフュージョン・グループのひとつであるPRISMやそのギタリストである和田アキラ氏のサポート、そして聖飢魔IIの準構成員「レクターH.伯爵」として知られるセッション・キーボーディスト。

ギターの林剛史氏、ベースの藤田圭一郎氏もともに音楽学校における講師も務める、キャリア、テクニックともに充分なセッション・ミュージシャンである。

まあ、これは実際のところ「オヤジの趣味バンド」みたいなものなんでしょうね。きっとメンバーの皆さんこのバンドで日本のミュージック・シーンの頂点を目指そう、オリコン1位とってやろう、みたいなことはきっと考えていらっしゃらないと思います。

しかし、そういう商業的な思惑がないからこそ、ここまでピュアな様式美に徹することができたのではないでしょうか。

というか、ピュア過ぎて元ネタそのままじゃないですか、という曲ばかりなのですが(笑)、まあこれくらいのキャリアのある人たちが、売れ線を狙わずにやっているわけなので「パクリ」ではなく「オマージュ」と解するべきでしょう(笑)。やってて楽しそうです。

日本の正統的なHR/HMバンドにおいてネックになりがちなヴォーカルについても、英語の発音こそネイティブならぬ私が聴いてもちょっとアレですが、張りのあるパワフルな声で堂々と歌い込んでおり、音楽のクオリティを下げることにはなっていません。

「こういう音こそHR/HM」、という意識を持っているのはアラフォー以上、下手すると50代くらいの年齢の方々かもしれませんが、そういう方にとってはなかなか楽しめるアルバムなのではないかと思います。

ボーナス・トラック扱いのタイトル曲の別テイクにはLOUDNESSの二井原実(Vo)と山下昌良(B)、田川ヒロアキ(G)、ドゥギー・ホワイト(Vo: RAINBOW, YNGWIE MALMSTEEN, M.S.G , TANK他)がゲスト参加している。

どう考えても『BURRN!』誌好みド真ん中の音なのに現在の所完全スルーなのはやはり広告出稿がないからなのでしょうね。

あと、細かい話ですが、#3「Burnin’ Fire」にそこはかとなく聖飢魔IIの「1999 Secret Object」っぽい香りが漂っているのは、やはりレクター氏がいらっしゃるからなんですかね?(笑)

◆本作の全曲試聴用サンプル



期待のエンターテイン・メタル(ネタメタル?)バンドたち

昨年はLOUD PARKでSABATONが大受けし、ドイツの人気バンドだったPOWERWOLFの日本盤リリースが実現するなど、新世代の(といってもどちらのバンドももはや結構なキャリアですが)バンドに注目が集まった年でした。

両バンドをはじめとする新世代のバンドの特徴というのは、メタルという音楽スタイルを利用して、オーディエンスを楽しませようという姿勢が明確なところですね。

もちろん過去のバンドにそういった姿勢がなかったわけではありませんが、どちらかというとオーディエンスを楽しませようという意識よりは「自分たちの世界観を表現すること」「自分たちがやりたいことをやること」が重視されていて、「お客様目線」というのは二の次だったように思えます。

こう言うとSABATONやPOWERWOLFが「ウケるために自分たちのやりたいことではないことをやっている」と誤解されそうですが、そうではなく、彼らの音楽やライブからは「自分たちの世界観が、ひいてはメタルという音楽をどうすれば面白く見せられるか?、楽しんでもらえるか?」という意識が伝わってくるということです。要は「見せ方」や「サービス精神」に対する意識の差ですね。

私は広告の仕事をしており、同じものでも見せ方ひとつで伝わり方やイメージが全然変わることを日々感じさせられています。そういう意味で、最近の人気バンドは「よく考えているな」という感じがしてとても感心しています。

そう、これだけバンドの数が増えた世の中にあっては、単に「良い音楽をプレイすることにベストを尽くします!」というだけではよほどの才能があるバンドでない限り突き抜けられないのです。どうしたら自分たちのサウンドが魅力的に見せられるか、オーディエンスに受け入れられるか、ということについて、一種のマーケティング的な戦略が求められています。

SABATONは幸いなことにLOUD PARKというプレゼンの場を与えられたことでその魅力を日本のオーディエンスに伝えることができましたが、それでもまだ充分でははく、それ以外のバンドについてはなおのことなので、個人的にネクストブレイクを期待したいバンドをここでいくつかピックアップしたいと思います。

SABATON
このサイト/ブログをご覧になっている方であればその存在はご存じであろう、スウェーデンの大人気バトル・パワー・メタル・バンド。1999年に結成され、2005年にデビュー。歌詞テーマに戦争を用い、ミリタリーっぽいコスチュームに身を包んでのライブ・パフォーマンスは熱狂的な支持を集めている。


やはり彼らはライブが素晴らしいのでまずこの映像を。


メタルと「戦い」の相性の良さを生かした事例ですね。


POWERWOLF
2003年に結成され、2005年にデビューしたドイツのパワー・メタル・バンド。狼男伝説や吸血鬼伝説といった欧州のゴシック・ホラー的な世界観が特徴。ドイツではSCORPIONS以来のナショナル・チャートNo.1を獲得したHR/HMバンドとなった。


メタルとオカルト/ホラーとの相性の良さを生かした事例ですね。


GLORYHAMMER
イギリスのALESTORMのメンバーによるサイド・プロジェクトだが、もはやサイド・プロジェクトを超えた人気を博しつつあるシンフォニック・メタル・サウンド。


メタルとファンタジー/SFとの相性の良さを生かした事例ですね。


UNLEASH THE ARCHERS
5オクターブの声域を持つという女性Voを擁するカナダのメロディック・パワー・メタル・バンド。音楽的な完成度はドイツや北欧のバンドに比べるとやや荒削りだが、こういう音楽をやっても古臭さを感じさせないセンスは光るものがある。


どう見ても「マッドマックス」パロディなわけですが(笑)、ネタになることを恐れないこういうセンスは大切にしてもらいたいです。


BATTLE BEAST
こちらもLOUD PARKでそのパフォーマンスが高く評価されたフィンランドの正統派へヴィ・メタル・バンド。日本のコミック「ベルセルク」なども取り上げる歌詞テーマの設定、「ヘヴィ・メタルっぽさ」を過剰に振りまくパフォーマンスなど、単なる懐古趣味に陥らない「面白さ」がある。


このバンドの場合はマジなのかネタなのかちょっと微妙だし、メイン・ソングライターが脱退した今後どうなるのかも怪しいのですが、この流れに通じるものがある優れたセンスを持つバンドだと思います。


ORDEN OGAN
このバンドは元々は単なるBLIND GURARDIANフォロワーという感じでしたが、最近POWERWOLFに影響されたか、コスプレ色(?)を強めて自分たちのドラマティックなファンタジー・ワールドをより強く訴求する術を身に付け、欧州では人気上昇中。


ちょっと日本人好みではないかもしれませんが、日本では過小評価されているバンドだと思います(ここに挙げたバンドはどれもそうですが)。


ALESTORM
先に紹介したGLORYHAMMERのクリストファー・ボウズ(Key)のメイン・バンド(こちらではVo)である「パイレーツ・メタル」バンド。読んで字のごとく海賊をテーマにした、ヴァイキング・メタルとは似て非なる楽曲をプレイしている。


曲名が「Drink!(飲め!)」これからのメタラーの飲み会アンセムはこの曲に決定でしょう。てかこのMV最高です(笑)。


いかがだったでしょうか? 好みの問題はあれ、どれも観て楽しいバンド/映像ばかりだったと思います。
同じ音楽をやっているなら、こういうよりエンターテインメント性の高いバンドに注目が集まるのは当然のことでしょう(もちろんこういうのが嫌いな人もいるでしょうが、世の中一般の傾向としてはより「楽しいもの」が求められていると思います)。

くそ真面目に「いい音楽をプレイしていれば認められる」という時代ではなく、ヘヴィ・メタルという音楽をプレイしていること自体には新規性がなくなってしまった今、成功を収めるのはこういう「色物」と呼ばれることを恐れない、自ら進んで「ネタ」を提供するサービス精神溢れるバンドなのではないでしょうか。

こういうバンドが増えてきたのは、インターネットを通じてビジュアル、映像をアピールできる場ができた(そしてテクノロジーの進歩によって映像制作にかかるコストもグッと下がった)こと、そして面白いものはSNSなどを通じてシェアされる世の中になったからこそ、でしょう。そういう意味でも現代的なバンドたちなのだと思います。

上記のバンド群は主に欧州人の趣味に合わせたコンセプトを展開しているため、日本でどのくらい受けるかは未知数ですが、どのバンドも純粋に音楽も優れているので、ぜひ興味を持ったバンドの音楽はチェックしてみてください。