DERDIAN / REVOLUTION ERA

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2013年の4thアルバム「LIMBO」から加入したヴォーカリストのイヴァン・ジャンニーニが、前作「HUMAN RESET」発表後に脱退し、シンガー不在の状態となっているイタリアのメロディック・パワー・メタル・バンド、DERDIAN。

本作は彼らの初期3作、「NEW ERA」Part1からPart3までの名曲を再録した初期楽曲のリ・レコーディング・ベストで、Voの不在を逆手に取って(?)全曲にゲスト・ヴォーカルを迎えるという企画性を持たせている。

以下が収録曲で、カッコ内に表記されているのがその曲を歌っているゲスト・シンガーである。

1. Overture(アポロ・パパサナシオ / 元FIREWIND、現SPIRITUAL BEGGERS)
2. Burn(へニング・バッセ / 元METALLIUM、現FIREWIND)
3. Beyond The Gate(Gianluca Perotti / EXTREMA)
4. Battleplan(Davide Damna Moras / ELVENKING)
5. I Don’t Wanna Die(D.C.クーパー / ROYAL HUNT)
6. Screams Of Agony(マーク・バジーレ / DGM)
7. Lord Of War(ファビオ・リオーネ / RHAPSODY OF FIRE)
8. Forevermore(エリサ・C・マルティン / 元DARK MOOR & Terence Holler / ELBRITCH)
9. Eternal Light(ロベルト“ラモン”メッシーナ / 元SECRET SPHERE)
10. The Hunter(ラルフ・シーパース / PRIMAL FEAR)
11. Black Rose(Andrea Bicego / 4TH DIMENSION)
12. Incitement(リオウ・フィガロ / MINSTRELIX)
13. New Era(エリサ・C・マルティン / 元DARK MOOR)
14. Cage Of Light(アポロ・パパサナシオ / 元FIREWIND、現SPIRITUAL BEGGERS)

選曲が妥当か否かは彼らに対する思い入れ次第でしょうが、個人的にはゲスト・シンガーが意外と豪華で驚きました。

基本的にはイタリア・ローカルのバンドなので、ファビオ・リオーネをはじめとしてイタリア人のシンガーが参加していることは理解できますが、D.C.クーパーやラルフ・シーパースといったあたりはちょっと意外。かつてフェスとかイタリア公演の前座としての共演などの接点があったのでしょうか。

特にエリサ・C・マルティンやロベルト・メッシーナといったあたりは日本においては「あの人は今」状態なので懐かしさもありますね。エリサはDARK MOOR時代より上手くなっている気がしますし、ロベルト・メッシーナについては、SECRET SPHEREは彼の声域をあまり考慮せずに曲を作っていたんだなあ、と思わされました(笑)。

そう、正直このゲスト・ヴォーカリスト陣の名前には、2000年代初頭におけるクサメタル・ブームのノスタルジーを掻き立てられてしまい、ついポチっとしてしまったというのが事実です。もはや個人的にはクラシック・ロックです。

私個人のクオリティ尺度からいくと彼らの音楽はいささかB級過ぎ、本作もややB級なシンガーが歌っている曲の方が「馴染んでいる」印象を受けるのですが、15年前のデビュー以来、路線変更もパワー・ダウンもなく劇的でファンタジックなメロディック・パワー・メタルを追求し続けている希少な存在であることは紛れもない事実。

もはやマニアにとっては「クサメタル最後の牙城」とさえ呼べる存在なわけですが、そのB級感も含めて「クサメタル」を愛している人たちにとっては楽しめる楽曲が揃っています。

ファビオ・リオーネがゲスト参加した#7だけは新曲ですが、それ以外の楽曲と並んで何の違和感もない仕上がり(個人的には劇的な成長を感じさせてもらえるとさらに嬉しかったのですが/苦笑)。

てか、このバンド、サシャ・ピートとかチャーリー・バウアファイントみたいな、この手の音楽に強いプロフェッショナルなプロデューサーを招いて、良いスタジオでレコーディングすれば化けると思うんですけどね。

とはいえ、このゲスト・ヴォーカリスト陣を見て「豪華だ」と感じることができる人であれば充分楽しめる一枚と言えるでしょう。【82点】

◆本作のトレーラー映像


◆ファビオ・リオーネが歌う新曲「Lord Of War」のリリック・ビデオ



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RUN FOR VICTORY / GAME OVER

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プロジェクト名やアルバム・タイトルのセンスがややアレな感じながらも、「BURRN!」誌で94点を獲得した(レビュアーは藤木氏)話題の1枚。

同誌のレビューは、クロスレビューになるような大御所関してはもはや「盛られる」のが当たり前、という印象だが、単独の編集者によるレビューであれば、その人の嗜好が自分に近いと思われる限りにおいてはまだ興味喚起につながっている。

しかし本作については、個人的にはちょっと期待した音とは異なっていた、と言わざるを得ない。

本プロジェクトは、スウェーデン出身のソングライター/マルチ・プレイヤーであるエリック・リボムのソロ・プロジェクト。

エリック・リボム氏はスウェーデン人でありながら、基本的にはJ-POPおよびK-POPのアーティストに楽曲提供をしており、嵐やKis-My-Ft2、TOKIOにV6といったジャニーズ系、三代目J-Soul BrothersをはじめとするEXILEファミリー、そしてBoAやKARA、少女時代、FTISLANDといった韓国のアーティストの大ヒット曲を数多く手がけ、オリコンNo.1獲得数は40曲を超えるという。

欧米の音楽よりJ-POPが好き、というマーティ・フリードマンみたいな人なのである。

ちなみに、これまでなぜか今年のLOUD PARKで来日予定のMASTERPLANに何曲か楽曲を提供しており、彼のディスコグラフィーにおけるHR/HMとの接点はそれくらいだ(あとはDEGREEDやCYNTIAに関わっているくらい)。

「BURRN!」誌のレビューでは「キラキラ輝く胸キュン・メロディと重厚なハーモニー、カラフルなアレンジと予想外の展開美を持ったハード・ポップ」とのことで、まあ実際本作を言葉で表現するとそんな感じではあるのだが、そもそもこれはハード・ポップなのか、という所から疑念が残る。

同レビュー内でA.C.Tに例えられているが、ロビー・ヴァレンタインの描く世界にも近く、HR/HM的な要素は確実に存在するものの、音楽の根底に流れる一番ベーシックな感性がHR/HMのそれとは異なる感じ。

間奏部がネオ・クラシカルだったり、ちょっとデス声が入ってみたり、プログレッシヴ・メタル的な変拍子を取り入れていたり、2バスで疾走してみたりと、HR/HMファンをくすぐるパートは随所に登場するのだが、楽曲の骨格がちょっとポップすぎるかな。

あらためて聴いてみると1曲目(「Shred Is Not Dead」というタイトルは良いのですが)のイントロがファニー過ぎてズッコケるのと、冒頭3曲が特にポップかつコンパクトな曲で、すっかり出鼻をくじかれてしまうのが本作の印象を悪くしている気がする。

#7「The Hunt」のようなモロにネオクラ路線の曲とはいわないまでも、せめて#5のタイトル曲や#6「Day After Day」くらいにはエッジとフックのある曲が1曲目だったら多少印象が良くなった気もするのですが。

エリック・リボム氏の歌声も、よく聞けば結構「北欧タイプ」の甘いハイトーンなんだけど、本作のメインを占める明るめのメロディを歌ってしまうと単にチャラい声に聞こえてしまうかも。

まあ、職業ソングライターによるハード・ポップ・アルバムということで、勝手に「Frontiers Records」から濫発されているような作品の上質なやつを期待していたのが悪かったのでしょう。

とても個性的なサウンドであり、かつ音楽としてのクオリティは高いのですが、ちょっと期待したものとは違っていたために不満を感じることになってしまったという不幸な事例です(苦笑)。

Amazonのレビューも不評な感じ。これが80点台前半から半ばだったら誰も文句言わなかったと思うのですが、そもそもその点数だったら買わなかったというヤツですかね(苦笑)。

◆本作のティザー映像



聖飢魔II / 荒涼たる新世界 / PLANET / THE HELL

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リリースから既に2か月近く経っており、もうすぐ新しいシングル…じゃなかった小教典「呪いのシャ・ナ・ナ・ナ」がリリースされようというタイミングですが、あえて今言及します。

まあ、単にLAメタルについての文章を書く(およびそのために過去作を聴き返す)ために積みCDになっていたというだけなんですけどね。ちなみにGWにDANGER DANGERだのポール・レインだののレビューをしていたのはLAメタルについての文章を書くにあたっての「アウトテイク」みたいなものでした(笑)。どうでもいい話ですが。

本盤は地球デビュー30周年を記念して期間限定再集結した聖飢魔IIによる、1999年の「20世紀狂詩曲」以来実に17年ぶりの小教典。

1999年の解散後もちょいちょい再結成…じゃなくて期間限定再集結して新録やら再録やら音源も出していたので17年ぶりと言われると意外だが、ディスコグラフィーをチェックすると、たしかに小教典は出ていない。

小教典としても久方ぶりであるが、今回の楽曲についてはバンドの創設者であり、彼らの初期の楽曲の多くを手掛けたもののメジャー・デビュー前にバンドを去ったダミアン浜田陛下による作曲というのもファン…じゃなかった信者の間で話題。

今回の楽曲は、TVアニメ『テラフォーマーズ リベンジ』主題歌になっており、これは後付けのタイアップではなく原作者の強い要望で聖飢魔II(もしくはデーモン閣下)の曲が主題歌として望まれたらしく、アニメ主題歌であることが前提に書かれている。

ダミアン浜田陛下は戦闘系アニメの主題歌を作ることが夢のひとつだったらしく、昨年3月にオファーをもらった際、「やるやる、絶対やる!」と即答したほどモチベーション高く取り組んだそうで、そのモチベーションの高さは楽曲の出来にも明確に現れている。

「荒涼たる新世界」はいわゆるスピード・チューンで、かつてバンドのテーマ曲というべき「The End Of The Century」を手掛けたダミアンならではのメロディックなスピード・メタル・チューンに仕上がっている。

楽曲の出来は文句なしだが、デーモン閣下の声にやや衰えが感じられるのと、生っぽい今風なサウンド・プロダクションは個人的にはあまり趣味ではなく、その点はちょっぴり残念。

B面曲(?)である「PLANET / THE HELL」は往年の「Dead Symphony」や「怪奇植物」を彷彿させるヘヴィなリフが刻まれる曲で、疾走する間奏部がこれまたカッコいい。

結論としては「ダミアン浜田陛下、さすが!」という仕上がりで、私のような初期の彼らと「メフィストフェレスの肖像」アルバム(数曲にダミアン浜田が作曲で参加)を愛する(他の時期も好きですが)信者/元信者であれば要チェックの小教典と言えます。

◆「荒涼たる新世界」Short PV




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LAメタルについて書きました

本サイトを久しぶりに更新、LAメタルについての文章を書きました。

というか、LAメタルを飛び越えて、80年代におけるアメリカのHR/HMブーム全体について書いてしまった感じです。

L.A.メタルに始まる、アメリカにおけるHR/HMの栄枯盛衰(本サイトへのリンク)

実際はもっとLAメタル自体にフォーカスした文章にするつもりだったのですが、書いているうちにLAメタルと、その後に訪れるBON JOVIの成功に代表されるHR/HMブームは不可分であることに気付き、結果的には想定していたよりはるかに長い文章になってしまいました。

この長さは、おそらくスクロールバーの長さを見てそっ閉じされるレベルですね。往々にして力を込めて書いた文章ほど読まれないということが起きますが、これはそのケースでしょう。でもいいんです。こんなの自己満足ですから。

それはさておきLAメタル、って2000年代以降にHR/HMを聴き始めた人にとっては最もなじみのないHR/HMサウンドなんじゃないかって気がします。MOTLEY CRUEは別格としても、RATTとかQUIET RIOTなんかを聴くきっかけって殆どないですよね。ましてROUGH CUTTとかKEELとかね。

そして実際、この文章を書くに当たって私も久しぶりにこの手の音にマトモに向き合ったわけですが、正直時代錯誤な音だと感じてしまいました。

良いとか悪いとかそういう次元の話ではなく、今の時代の空気にマッチしないというか。

これはLAメタルに限らず、ある程度以上昔のヒット曲みたいなものに対して感じる共通の感覚なので、そういう意味ではLAメタルという音楽がその時代においてヒットし、その時代の空気とある程度一体化した結果なのかもしれません。

アルバム紹介については際限がないので、セールス実績などである程度「足切り」をせざるを得ませんでした。ゴールド(50万枚)はおろかプラチナム(100万枚)ですら際立っているとはいえない厳しい(というか贅沢な)時代でした。

そのため、BULLET BOYSとかGIUFFRIAとかFASTER PUSSYCATとかDANGEROUS TOYSとかL.A.GUNSとかKIXとかBRITNY FOXとかKINGDOM COMEとかLIONとかHURRICANEとかDANGER DANGERとかTRIXTERとかSTEELHEARTとかTYKETTOとかPRETTY BOY FLOYDなど拾いきれなかったアーティストも多数あります。

一方で、SAIGON KICKとかWARRIOR SOULとか、あの時期にちらほら存在した「オルタナになり損ねたバンド」をちゃんと拾っているのは、なかなかあまり他のサイトやブログでは見かけない「意欲的な取り組み」なのではないかと自負しています(笑)。

もっとも、この辺のバンドに今あらためて聴き返すだけの価値がどれだけあるかというと微妙な所ですが(苦笑)。

とまあ偉そうなことをいいつつ、1992年という、ちょうどこの辺の音楽が「終わった」後にHR/HMを聴き始めた後追いの人間が書いた文章なので、リアルタイムで聴いていた方の実感とは違う部分もあるのだろうと思います。

ただまあ、大学で歴史を学んだ身としては、リアルタイムではなく、あとから俯瞰的に見るからこそ浮かび上がってくる真実みたいなものもあると信じています(だからこそ?『BURRN!』誌も「LAメタルの真実」という懐古記事を延々と続けているのでしょう)。

ということで、リアルタイム組である諸先輩方も、あまり目くじらを立てずにお読みいただけると幸いです。長過ぎてそもそも読んでいられないかもしれませんが(笑)。

◆「L.A.メタルに始まる、アメリカにおけるHR/HMの栄枯盛衰」
http://www.metalgate.jp/C_hairmetal.htm