SERIOUS BLACK / MIRRORWORLD

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アーバン・ブリード(Vo : 元TAD MOROSE, BLOODBOUND他)、ローランド・グラポウ(G : 元HELLOWEEN, MASTERPLAN他)、ドミニク・セバスチャン(G : EDENBRIDGE)、マリオ・ロハート(B : 元VISIONS OF ATLANTIS, EMERGENCY GATES)、ヤン・ヴァシック(Key : 元DREAMSCAPE)、トーマス“トーメン”スタッシュ(Dr : 元BLIND GUARDIAN, SAVAGE CIRCUS)という、欧州メロディック・メタル・マニアには知られたメンバーの集合体ということで注目を集めたこのバンド(プロジェクト?)。

しかし、前作発表後、メンバーの中で最も知名度が高いと思われる二人、ローランド・グラポウとトーマス“トーメン”スタッシュが相次いで脱退してしまい、少なくともここ日本では前作より注目度が下がってしまった状況で(元々大して高くもなかったが…)、レコード会社のプッシュも弱い感じのセカンド・アルバムがリリースされた。

とはいえ、脱退した二人に代わって補充されたのは、主にFIREWINDで知られるマルチ・プレイヤー、ボブ・カティオニス(G)と、先ごろRHAPSODY OF FIREを脱退したことで話題になったアレックス・ホルツワース(Dr)という、少なくとも技術的には前任者に劣らない(というか上)の二人。

元々私がこのバンドに興味を持つきっかけだったアーバン・ブリードは残留しているし、ボブ・カティオニスの才能も高く評価しているので、前作に引き続き購入を決めた。

そして聴いてみると、これが予想以上に素晴らしい。期待感を煽るシンフォニックなイントロダクション#1から、実質1曲目である#2「As Long As I’m Alive」の劇的なイントロが流れ、80年代的なアレンジでKeyサウンドがオーセンティックなギター・リフに被ってきたのを聴いた瞬間に「これは!」という手応えを感じたが、その後に続く楽曲もフックに満ちた秀曲揃い。

基本的な音楽性に変化はないが、全体的に前作より(おそらくローランドのギター・ワーク由来と思われる)無骨さが減少し、より叙情的かつドラマティックな印象が強化されており、私のような欧州メロディック・メタル・ファンのストライクゾーンにドンズバである。

メロディの哀愁が強化され、メロディアス・ハードのファンが楽しめそうなメロウなキャッチーさを備えた楽曲が増えているのも本作の特徴。この辺はボブ・カティオニスのセンスなのではないかという気がする。

冒頭述べた通り、何となく本作の注目度が低い気がするが、私のような欧州メロディック・メタル・ファンであればこれは聴いておいたほうがいいと断言できる充実作。今年のダークホースですね。

なお、本作の基本仕様は9曲入りで、デジタル・ダウンロードでの楽曲は少なめなのですが、日本盤は6曲ものボーナス・トラックが入っており、欧州限定デジパック盤は7曲のボーナス・トラックが入っているので、CDでの購入がオススメです。

さらに言うなら欧州限定デジパック盤のボーナスのうち2曲は本編収録曲のアコースティック・バージョンなので、純粋な新曲は日本盤が一番多く、どれも本編に劣らぬクオリティなので、購入するなら日本盤がオススメです(残念ながらレコード会社からは何ももらっていません)。【87点】

◆本作収録「As Long As I'm Alive」のリリック・ビデオ


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LOUD PARK 16 二日目の感想

実は前日の一日目は、疲れが溜まっている中、朝食もとらずにすきっ腹でいきなり飲んだのが悪かったのか、最初のビールを飲んだ後、頭痛になってちょっと体調不良でした。

その反省を活かして(?)、地元駅のカフェで優雅にモーニングなど食べていたらまんまと遅刻、せっかく今年から始まった企画、「出れんの?ラウパ」バンドを2日連続で見逃してしまいました。

建前上の1バンド目であるSAVAGE MESSIAHがプレイを開始した直後、会場に到着、例によって自分の指定席に向かいました。ちょうどいいことに、SAVAGE MESSIAHがプレイするBIG ROCK STAGE側なので、そのまま座って鑑賞。

SAVAGE MESSIAH
LOUD PARKへの出演が発表される前あたりからTwitterで日本人のメタラーを盛んにフォローしていた彼ら(私のアカウントにも何度もフォロー/リムーブを繰り返していましたが、無視してしまいました…)。日本でライブをやることに対してはかなりモチベーションを高くしていたと思われます。

そして実際、充実のパフォーマンスでした。NWOBHMをちょっとスラッシュ寄りにしたような、現代のイギリスのバンドとは思えないピュア・メタルな音楽性でマニアの注目を集めていましたが、その実力がフロックではないことをこの場で証明しました。

完璧なまでにメタルであり、(相対的に)フレッシュな若手であるこういうバンドが1バンド目に来るのはすごく適役な感じがします。朝っぱらからサークル・ピットも生まれ、盛り上がっていました。何ともすがすがしい、気持ちのいいライブでした。


NOCTURNAL BLOODLUST
日本のヴィジュアル系エクストリーム・メタル・バンド。割と評判がいいのでサブステージであるEXTREME STAGEに足を伸ばしてみました。

元々はメタルコア・バンドとしてスタートし、ヴィジュアル系の装いは後付けだったらしいですが、メンバーの皆さんイケメンで、中でもよく回る上手(かみて)のギタリストはかなりコテコテのメイクをしていらっしゃる。

そして度々モニターに抜かれる最前列では、いわゆる「バンギャ」な皆さんが一心不乱にヘドバンをしており、その後ろでエクストリーム・ミュージック好きの若者がサークル・ピットや、バンドに煽られるウォール・オブ・デスを繰り広げている。

「オレらこんなオープニングアクトなんて扱いに納得する気ねえからよ」「2016年ラウドパークに出ました、なんて肩書きはいらねえンだよ」みたいなヴォーカルの人のイキり散らかしたオラオラなMCはV系の伝統としてもちょっと若気の至り感がハンパなく、苦笑せざるを得ませんでしたが…。

目をつぶって聴けば楽曲や演奏はエクストリーム・メタルとして充分なクオリティに達しており、普通にカッコよかったです。こういうイケメン兄ちゃんがどんどんメタルやってくれれば、日本におけるメタルの扱いもちょっと変わるのかもしれません(?)。

とりあえず3、4曲観てメインステージに帰還。


KUNI
LOUD PARK皆勤賞である私が、歴代の中でも屈指のワースト・アクトだったと感じているKUNIを観にわざわざNOCTURNAL BLOODLUSTを途中抜けしてメインステージに戻ったのは、決してKUNIのラスト・ステージだったからではありません。

それは、今回KUNIのバンドのヴォーカリストを務めているのが、かつてKUNIのアルバムに参加したことがあるジェフ・スコット・ソート様だったからです(ちなみに他のメンバーはダレン・スミスにトニー・モンタナ)。

イングヴェイのRISING FORCEの初代ヴォーカリストであり、TALISMANをはじめ数々のプロジェクトでの活動実績を持つジェフ・スコット・ソートは私のフェイバリット・シンガーの一人で、近年はなかなか来日できるような活動をしていないため、この機会にぜひ一度観てみたいと思っていました。

そしてこうして観てみると、やはりジェフは堂々としてカッコいい。楽曲はいささか類型的で、KUNIのギターは相変わらず大学のサークル活動に毛が生えたレベルだが、ジェフが歌うことで説得力が生まれている。こうして考えると前回のマーク・スローターはちょっと「軽かった」のかもしれません。

モデルみたいなお姉ちゃんがステージに登場するなど、業界人ならではのコネをフル活用したステージは、とりあえず前回よりマシだったような。

最後に演奏されたKISSのカヴァー、「Rock And Roll All Night」がプレイされた後、KUNIが「引退宣言」を喋り始めたが、そのコメントが終わらないうちにジェフがMCでカットインして強制終了させてしまったのには失礼ながら笑ってしまいました。


THE DEAD DAISIES
ジョン・コラビ、マルコ・メンドーサ、ブライアン・ティッシー、ダグ・アルドリッチ等、往年のHR/HMファンであれば名前くらいは聞いたことがあるはずの面子によるオールド・ファッションなハード・ロック・バンド。

彼らのルーツなのであろう70年代スタイルのブルージーでロックン・ロールなハード・ロック・サウンドは、特筆すべき何かがあるわけではありませんが、安定感のあるパフォーマンスで、ビールを飲みながらまったり観るにはいい感じでした。


TERRORIZER
グラインド・コアの元祖のひとつとも言うべきバンド。エクストリーム・ミュージックにおける伝説のドラマーであるピート・サンドヴァル見たさに再びEXTREME STAGEへ。

ピートが着ている明るい色のタンクトップに面喰いつつ、その強烈な轟音ブラストを浴びてきました。
ただ、さすがに50代になってこのドラミングはちょっとしんどいのではないか、という観もありましたが…。

正直なところ私にはどの曲も同じに聞こえるので、3~4曲でメインステージに引き返す。


LACUNA COIL
前回出演したLOUD PARK07の二日目においては、個人的にはANTHEMと並ぶベスト・アクトであり、その日のライブを収録したDVDも購入してしまったほど気に入ったイタリアのゴシック系オルタナティヴ・メタル・バンド。

今回は何やら「バイオハザード」(バンドではなくゲーム/映画のほう)のようなというかSLIPKNOTのようなというか、ホラー映画風の白いツナギみたいな衣装にメンバー全員が身を包んでいる。

髪を赤く染めたクリスティーナ・スカビア(Vo)は、さすがにモニターのアップで観るとちょっとオバサン化していたものの、それでもなお充分にチャーミング。

アメリカでも成功を収めたバンドに相応しい安定感のあるライブを繰り広げていたものの、前回観たときには今まさにピークに達せんとする「勢い」のようなものが感じられたのですが、メンバー・チェンジのせいかセットリストのせいか、今回はちょっとそういう特別な何かは感じられなかったのが残念。


RIOT
前回出演時から新作を出したわけでもないのに再びの出演。なんでも、『FIRE DOWN UNDER』完全再現を条件にクリエイティブマンからオファーがあったのだという。

たしかに同作は初代ヴォーカリストであるガイ・スペランザ在籍時のアルバムの中では楽曲の平均点が高い作品だが、完全再現するほどの作品かというと…?

恐らくはギャラの安そうな割にある程度の集客力がありそうな彼らを呼ぶための「口実」だったのでしょうね。一応同作がリリースされてから35周年という「節目」だし。

ただ、個人的には前回と同じセットリストでよかったというか、『FIRE DOWN UNDER』は地味な曲もあるので、途中眠くなってしまったというのが正直な所。せっかく当時のギタリストであるリック・ヴェンチュラ氏までお越しいただいたのに申し訳ないですが…。

しかし、完全再現終了後にプレイされた「Thundersteel」と「Warrior」、この2曲がプレイされるだけで「いいライブだった…」と思えてしまうのですから、名曲を持つバンドは強いですね。その1、2曲だけで何十年も食えそうです(いや、恐らくRIOTのメンバーはバンドだけでは食えていませんが)。


SIXX A.M.
ニッキー・シックスのバンド。建前上は「ソロではなくバンド」のようだが、ステージ上での存在感を見る限り、やはりこのバンドは「ニッキー・シックスのバンド」という感じである。存在感が段違いだ。

80年代の良さと90年代の良さを統合・止揚した21世紀ならではの普遍的なハード・ロック・サウンドをプレイしており、その辺のバランス感覚はさすがにニッキー・シックス。ジェイムズ・マイケル(Vo)にD.J.アシュバ(G)というメンバーの人選も、そのニッキーの狙いどころを実現するにあたって最適な人材といえよう。

全米チャートでもそれなりの成果を出しており、80年代のHR/HMスターが名前を変えて成功した数少ない例になっているあたりは、さすがニッキーというべきか。

エロそうなお姉ちゃんも登場してのステージは、80年代ほど享楽的でないにしても(むしろちょっと内向的な暗さも表現されている)、当時のファンが楽しめるものに違いない。

でもやっぱり、MOTLEY CRUEほどの「バンド・マジック」は感じられなかったかな…。


ULI JOHN ROTH
伝説のギター仙人、ウリ・ジョン・ロート。正直、こういったいわゆる「メタル・フェス」にはあまり似つかわしくないアーティストだが(?)、一度観てみたいとは思っていたので、こうして出演してくれることはありがたい。

スカイ・ギターという特殊な機材を使っているせいなのか、ウリ以外にも2人、合計3本ものギターがあるせいか、サウンドチェックに時間がかかっていて開演が遅れる。定刻を10分以上遅れてスタート。

基本的には「Tokyo Tapes Revisited World Tour」の一環のステージということで、セットリストは全てウリがウルリッヒ・ロートと名乗っていた(というかこっちが本名?)SCORPIONS時代の楽曲のみ。個人的にはELECTRIC SUN時代の曲や、中途半端に頓挫している(?)シンフォニック・プロジェクトの曲も聴きたかったが、世の中的なニーズが大きいのはやはりSCORPIONS時代の楽曲なのでしょう。

複数の扇風機を足元に設置し、髪をたなびかせながら(もはやバンダナではごまかしきれないほど前頭部は後退していましたが…)他のバンドで使用されているそれと同じものとは思えない美しいトーンで陶酔するかのようにギターを奏でる様はまさに仙人。

その「仙人オーラ」を支えるのがスカイ・ギターにエフェクター、そして扇風機(笑)という、いわば「道具の力」(だけではないが)であるというのは味わい深い事実ですが、彼の音楽に知識も興味もない人であっても、そのギターの音色が特別であることは理解できたのではないかと思います。

ウリの脇を固める2人の弟子(?)ギタリストのうちの一人、ニクラス・ターマンがヴォーカルを兼ねていたわけですが、その歌声もなかなか強力で印象的でした。


SYMPHONY X
このブログを長年ご覧いただいている方の中にはご存じの方もいらっしゃると思いますが、このバンドのLOUD PARK出演はほぼ10年来の宿願でした。

なぜそこまでこのバンドをLOUD PARKで観たかったか。もちろん彼らの音楽や演奏力が素晴らしいから、というのはもちろん、「SYMPHONY X」という中二病めいたバンド名から「クラシカルで軟弱なメロディアス系マニア向けのバンド」という先入観・誤解を持っていそうな人たちに、彼らの音楽が下手なエクストリーム・メタル・バンドにも引けを取らないほどのアグレッションを備えた存在であることを見せつけてもらいたい、と思っていたからです。

そしてまあ、そういう誤った先入観を抱いていた人は、まるでプロレスラーかマフィアのようなラッセル・アレン(Vo)がステージに登場した瞬間に、彼らがそこらの単なる「メロディアス系」とは違うことを感じ取ったのではないでしょうか。

そして実際、ここで展開されたライブはその期待を裏切らないアグレッシヴなものでした(何しろ音がデカい!)。そういう客層の人たちは反対側のステージ前でKILLSWITCH ENGAGE待ちをするかEXTREME STAGEに行っていたのでサークル・ピットこそ発生しませんでしたが、個人的にはそういう盛り上がりがあってもおかしくないくらいのサウンドだったと思います。

最新作の曲が中心の前半も悪くはなかったですが、やはり名盤「PARADISE LOST」の曲が演奏された中盤でさらに盛り上がり、神盤「THE DIVINE WINGS OF TRAGEDY」からの「Out Of The Ashes」、「Of Sins And Shadows」、「Sea Of Lies」の3曲は感涙ものでした。

特にショウの後半、全体的にテンポアップしていたのは、前のウリ・ジョン・ロートで時間が押したせいでしょうか。

元々ちょっと孤高の雰囲気がある音楽の上、ギターもベースもほとんど持ち場を離れずにストイックに演奏に徹し、フロントマンは夜の街で会ったら財布を置いて逃げ出したくなるようなイカツさで、しかも本日のサウンドはあまり良くなかったため、どこまでファン以外の人たちにその魅力が伝わったかわかりませんが、彼らが単なる「メロディアス系」みたいな雑なカテゴリーに収まるバンドではない、という凄みのようなものは伝わったのではないかと思います。


KILLSWITCH ENGAGE
SYMPHONY Xで燃え尽きた後、いったんアリーナ外に出てスマホを眺めつつクールダウンしていると、視線を感じる。顔を上げると、このサイト/ブログの読者であるプロの音楽クリエイター/ミュージシャンの方だ。

ひとしきり今回のラウパの話題(主にDOKKEN/苦笑)で盛り上がると、その方が裏方の音楽制作で関わっており、先月にはかのアニサマで幕張メッセのステージに立ったという「BanG Dream!(バンドリ)」というコンテンツの宣伝をされました。来年あたりこのブログがバンドリ応援ブログに変わっていたらこれがきっかけです(笑)。

自分の指定席に戻ると、足元が濡れている。そして必然的に床に直置きしていたバッグの下がグッショリ。どうやら隣に座っている女性(暗かった上にまじまじと見たわけではないので年齢は不明ですが、自分が把握する限りポジティブな反応を示していたのがSIXX:AMとWHITESNAKEだけなのできっと私より年上でしょう)が床に置いていたドリンクのカップを倒したようだ。昨日の朝の女性といい、どうしてどいつもこいつも前のイスに付いているカップホルダーを使わないのか。

と、憤りつつ一旦外に出てトイレから少々トイレットペーパーを拝借、臭いからするとおそらくZIMAと思われる液体で濡れたバッグを拭きながらKILLSWITCH ENGAGEを観る。

このバンドは過去のLOUD PARKで2度ほど観ているが、ジェシー・リーチ(Vo)復帰後のステージを観るのは初めて。前任のハワードよりもエクストリーム・ミュージックのフロントマンらしい佇まいがあって、アダム(G)も以前観たときより落ち着いたステージングになっていた観があり、ステージ全体が引き締まった気がする。

そしてサウンドも先ほどのSYMPHONY Xより格段に良好で、何より剛柔のメリハリが効いた楽曲が大いにオーディエンスを盛り上げていた。指定席から観ていると終始アリーナ前方ブロックで大型のサークル・ピットが2つ渦巻いているのがよく見えて壮観。

人間誰しも第一印象というのは強いもので、私にとっての初LOUD PARKである06年には非常にメタルコア・バンドが多く出演していたために、個人的にはこういうバンドが普段なかなか見られない巨大なサークル・ピットを生み出すのがLOUD PARK、というイメージが今でも強かったりします。そのため、このKILLSWITCH ENGAGEのようなステージこそがLOUD PARKらしい、と感じますね。とても充実したパフォーマンス、オーディエンスの盛り上がりだったと思います。


DIZZY MIZZ LIZZY
前のKILLSWITCH ENGAGEが演奏中、反対側のステージにおけるステージセット/ステージ映像のチェックの様子が、ちょっと普通のバンドと違うぞ、と思っていました。そもそもトリ以外のバンドが映像を使った記憶がありません。

そして彼らのライブがスタートすると、なんと昨日のSCORPIONSでさえ使わなかったパイロがバーンと炸裂。各メンバーを映し出す映像がバックに配され、ライティングも含めまるでトリのような豪華セット。

なんでもこれらの機材は彼らが自腹で持ち込んだのだという。母国デンマークの人気バンドだからこそできる芸当だが、彼らが日本のファンを大切に思っていればこそ実現したものに違いない。ありがたいありがたい…と言いつつ、途中この後のNIGHTWISHとWHITESNAKEに備えて食事に抜け出したことは内緒です。

食事から戻ってくると「Rotator」が終わり、なんとWHITESNAKEの定番曲であるボビー・ブランドの「Ain’t No Love In The Heart Of The City」が歌われる、すわ、これはこの後出演するWHITESNAKEへのオマージュか、と思いきや、どうやら「Silverflame」につながる演出として他の公演でも歌っているらしい。それがこの後出演するデイヴィッド・カヴァデールに対するあてつけになってしまうことをこの時ティム(Vo / G)はまだ知らない…。

最後は名曲「Glory」。他の国でのライブではラストにやる曲ではないが、ここ日本ではこの曲が一番の人気曲ということでセットリストまでカスタマイズしている。本当に日本のファンに対して特別扱いをしてくれているなあ、と感銘を受けました。

途中抜けしていたので偉そうなことは言えませんが、パフォーマンスも非常にタイトで、ファンにとってはたまらないステージだったのではないでしょうか。


NIGHTWISH
SYMPHONY Xと並ぶ、本日のお目当てでした。今年行なわれた単独来日公演は仕事が忙しくて行けなかったので…。

何でも、フロール・ヤンセン(Vo)は現在妊娠中(お相手はSABATONのドラマーだそうな)とのことで、このツアーが終わったらしばらくバンドは活動停止するとのことで、そういう意味でも貴重なステージと言えるでしょう。

そして始まったステージは、過去に3度見たライブ同様、メタル大国フィンランドのトップ・バンドに相応しい貫禄と風格を感じさせる素晴らしさ。

クラシックと呼べる曲が「Wishmaster」と「Once」しかなかったのはやや物足りなかったものの、彼らの楽曲はどれも素晴らしいので、退屈する瞬間などは全くない。

フロールはターヤ、アネットという全く個性の違う前任シンガーの楽曲をどちらも大きな違和感を与えずに歌いこなすことができるという意味でも、186cmを超える女性としてはかなり大柄なその体躯が、160cmあるかどうかも怪しい小人のようなギタリストのエンプと絶妙な視覚的コントラストを生んでいるという意味でも、バンドに完璧にフィットしている。

最新作のエンディングを飾る20分超えの超大作「The Greatest Show On Earth」途中のシアトリカルなパートではゴリラのようなモンスター(?)の着ぐるみが登場したものの、どう考えてもフロールやマルコ・ヒエタラ(B, Vo)の方が強そうなので、あまり危機感が出ない。単にステッカーをアリーナにバラ撒いて帰っていっただけでした(笑)。

彼らがプレイする音楽は楽曲の新旧を問わず、たとえ初めて聴く人であってもそこにストーリーがあり、ドラマがあることを否応なしに感じ取れるであろうメロディ、展開、アレンジがある。特に映像などが使われているわけではないにもかかわらず、まるで映画か演劇を観ているような気分になり、感情が揺さぶられる。

なぜ音楽を聴いているか、それは感情を揺さぶられるからだ、という、とても根源的な事実に気付かせてくれる、メタルを超えた音楽として普遍的な魅力と圧倒的なスケール感に溢れるショウでした。陳腐な言葉ですが、感動のステージです。


WHITESNAKE
正直な所、NIGHTWISHのステージが素晴らしかったので、前回デイヴィッド・カヴァデールが衰えていることをまざまざと見せつけられていたWHITESNAKEの存在は、バンド名通り「蛇足」に思えてしまっていました。

とはいえ、私のフェイバリット・シンガーの一人であるミケーレ・ルッピ(元VISION DIVINE, 現SECRET SPHERE)がキーボード奏者として参加したラインナップを観るのは初めてなので、(反対側ながら)指定席でビールを飲みながら観ることにする。

期待値ほぼゼロで観始めたステージだったが、1曲目が「Bad Boys」。あのリフ、そして「アウアウアウ~!」を聴くと反射的に血沸き肉躍らざるをえない。一気にボルテージが上がる。デイヴィッドの声も思ったより出ているように思える。

まあ、実際にはデイヴィッドの声が出ているように感じたのは楽曲およびコーラス隊のフォローによる錯覚で、ショウが進むともはやデイヴィッドの声から艶や伸びが全く失われていることを否応なしに痛感させられる。声が伸びないのでシャウトに逃げるのだが、そのシャウトもカイ・ハンセンかブラック・メタルか、みたいな感じで痛々しいことこの上ない。

ただ、新しめの曲を排し、アメリカ進出後の商業的黄金時代の楽曲ばかりで固めたセットリストはやはり魅力的。特に本編終盤の「Crying In The Rain」、「Is This Love」、「Give Me All Your Love」「Here I Go Again」というアルバム『WHITESNAKE』ラッシュでは名曲を数多く持つバンドの強さを感じずにはいられませんでした。

このセットリストでいくとなれば、たしかにダグ・アルドリッチよりもNIGHT RANGERから引き抜いたジョエル・ホークストラのようなフラッシーなギタリストの方がサウンドにマッチする。心なしかジョエル・ホークストラはヘアスタイルや衣装など、ちょっとジョン・サイクスを意識していたようにも見えました。

ここしばらく白シャツなどのカジュアルな服装だったデイヴィッド・カヴァデールの衣装も黒のメタル・ミュージシャンの衣装っぽいものになっており、今回の『The Greatest Hits Tour 2016』というツアーのコンセプトは80年代後期の「ゴージャスWHITESNAKE」のリバイバルなのでしょう。

当時オールド・ファンはWHITESNAKEのゴージャス化を必ずしも歓迎しなかったようだが、この期に及んでWHITESNAKEにブルース・フィーリングが薄れることに文句を言う輩もいるまい。

当時と寸分たがわぬドラム・ソロを見せるトミー・アルドリッジは、さすがにソロ後半の素手で叩くパートあたりではちょっとしんどそうでしたが、ライブ全体を通してデイヴィッドより年長の66歳とは思えぬエネルギッシュなプレイをキープしており、ちょっと感心しました。

「裏お目当て」だったミケーレ・ルッピはBIG ROCK STAGE側の指定席からは全く見えず、時々モニターに映し出される姿を見るのみでしたが、衰えたデイヴィッドを手厚くサポートするコーラスの軸として確かな存在感を放っており、「いっそ代わりに歌ってくれ」とさえ思ってしまいました(もっとも彼の声はWHITESNAKEにはあまり合わないと思いますが)。

アンコールは「Still Of The Night」、そして「Burn」と、HR/HM史上に残る名曲2連発で締め。なんだかんだ言いつつもこれだけの名曲をやられたら満足せざるを得ませんね。

デイヴィッドの声に限界を感じつつも、前日のドン・ドッケンと違って「ファンを楽しませようと精一杯頑張っている」というプロフェッショナルな姿勢は伝わってきたので、その点にも納得はできました(むしろ、もはや余生を楽しむに充分なお金は稼いでいるだろうに、これだけしんどそうなステージを続けることの意味については疑問を抱かざるをえないのですが)。

そしてラウドガールのお姉ちゃんが何やらしゃべっているのを背に、満足感を抱いて会場を後にし、家路につきました。三連休で翌日休みというのが本当にありがたいですね。


しかし今年は例年にもまして充実したパフォーマンスを見せてくれるバンドが多く、宿願であったSYMPHONY X、そしてSCORPIONSを観ることもでき、個人的な満足度の高い年でした。

正直な所、もう積極的に観たいと思えるバンドはこれでひと通り見尽くしたかな、という感もあって、来年以降はもっとリラックスしてこのイベントを楽しめるな、という気がします。今までのようにガツガツと、できるだけ多くのバンドを観ることに執心するというよりは、時折外の「世界市」を覗きに行くくらいの心の余裕を持って臨みたいと思います(と言いつつラインナップによっては食事の時間も惜しんでステージに貼りつくことになるのだろうと思いますが/苦笑)。

でも本当に、このLOUD PARKというイベントのおかげで、自発的には観なかったであろうバンドの素晴らしいライブに沢山触れることができ、自分のメタル人生は明らかに豊かになったと思います。本当にありがとう、LOUD PARK。イベントが続く限り(そして諸々の事情が許す限り)通い続けたいと思います。

◆LOUD PARK 16 公式サイト
http://www.loudpark.com/16/

LOUD PARK 16 一日目の感想

ふと目を覚ますと既に9時過ぎ、慌てて飛び起きる。

ここ2、3日睡眠時間2~3時間の激務が続いており、昨夜帰り着いてからの記憶がほとんどない。ちゃんとベッドで寝ていたのが不思議なくらいだ。

当然目覚ましもかけていなかったのだが、普段土日は昼まで寝ているのが常なだけに、逆にこの時間に目覚めたのは奇跡的。やはり深層心理レベルでLOUD PARKがインプットされていたということなのでしょう(?)。

シャワーを浴びて歯を磨き、身仕度をして家を出る。あいにくの雨である。

さいたまスーパーアリーナに辿り着くと、ちょうど(オープニングアクトを除く)1バンド目であるSONS OF TEXASが最後の曲を演奏している所だった。パッと聴きでもなかなかカッコいい音を出していたので、最初から観られなかったことが悔やまれる。

指定席ユーザーなので、自分の席に向かうと、途中の席に座っているお嬢さんの飲み物のカップを倒してしまい、スニーカーがグッショリ。

てか何で前の席に付いているカップホルダーを使わずに足元に置いているんだ、という思いもありつつ、お金払いましょうか、と申し出るも断られ、いささか気まずい思いで着席。荷物を置いてアリーナに降りる。

今年はなんだか格闘技イベントのように女の子が開演前にバンド名が書かれたボードを持ってステージに表れる演出になっている。ツイート検索してみると柳いろはというグラドルで、ラウンドガールならぬ「ラウドガール」なのだとか。

個人的にはどうでもいいが、こういう華というかセクシーな要素がなくなったことがHR/HMに若いファンが入って来なくなった一因ではないかという気もするので、バンドに予算のしわ寄せが行かない範囲でどんどんやってください。

ZARDNIC
ベネズエラ出身のDJ。基本的にはEDMというか、いわゆるクラブ・ミュージック畑の人だが、ヘヴィなサウンドを持ち味とし、HR/HMバンドのリミックスも手掛けている。

冒頭、ACCEPTの「Metal Heart」のイントロ(チャイコフスキーの「スラブ行進曲」)が流れる中登場し、「つかみに来たな」と感じる。

そしてDJプレイが始まるが、正直一般的なHR/HMファンにとってDJというのはせいぜい開演前のBGMを流す人、くらいの認識で、「ショウはいつ始まるの?」的な微妙な空気が流れ続ける。

サウンド自体は結構カッコいいと思うものの、踊る気がない人間にはどう聴いていいかわからないというのが正直な所。次第にスペースに余裕があるやや後ろの方で身体を揺らし始める人が現れるものの、全体的な盛り上がりは今ひとつ。DJだけをするにはだだっ広いステージも、本人の表情が読み取れないマスクも、全てがこのフェスに対してはマイナスに作用していた気がする。

3曲ほど観て、LORDS OF BLACKがプレイしているサブステージ、「KINGDOM STAGE」
に向かう。


LORDS OF BLACK
ヴォーカルのロニー・ロメロが、新生RAINBOWのヴォーカリストに抜擢されたことで注目を集めたスペインのバンド。

サブステ後方の屋台でビールとツマミ的なものを買って、飲みながら観ていました。

ヴォーカルのみに注目が集まっているが、他のメンバーの力量も確かで、手堅いパフォーマンスを展開している。

正直サウンドがあまり良くないのだが、それでも埋もれずに確かな存在感を放つロニー・ロメロの歌唱はさすがで、安心して楽しむことができました。

個人的にはRAINBOWの曲をプレイしてくれることをちょっと期待していたのですが、40分程度の持ち時間しかなかったのでそれはなし。まあしょうがないですよね。


ALDIOUS
サブステージは転換の時間帯なのでメインステージに戻って、ガールズ・メタル・バンドの代表格、ALDIOUSのステージを観る。

以前観たときとVoとDrが変わっており、Drはかの超有名ドラマー、テリー・ボジオの義理の娘だという。

Voの水色のドレスを始め、メタル・バンドには珍しい華やかな衣装が目を引いたし、ピンクの衣装を着たToki(G)がいつスクリーンに抜かれても満面の笑顔なのが好感度高く、個人的には印象良かったです。

Yoshi(G)のあまりまとまってない感じのMCも、「思い」みたいなものは伝わってきました。てか彼女らももう7年目なのですね。J-POPとしての成功を望むのはなかなか難しそうなのがちょっと残念ですが。


MYRATH
本日SCORPIONSと並ぶ最大の目当てと言っても過言ではないチュニジアのプログレッシヴ・メタル・バンド。

イントロのアラビアンなSEが流れる中、日本人のベリーダンサーが登場。大層美しい。ベリーダンサーが登場する演出は海外のライブでもやっているようだが、まさか日本の、30分程度のステージでもやってくれるとは感謝感激。

そしてクラウドファンディングで制作した傑作MVが印象的な、最新作のオープニング・トラックである「Believer」でショウがスタート。

いや~、演奏も上手いし、ヴォーカルのフロントマンとしてのオーディエンス・コントロールも慣れたもんだし、とてもチュニジアなんていう片田舎(失礼。実際には首都など大都市は結構都会なのだろうと思います)のバンドとは思えないレベルの高さ。

途中ベリーダンサーの再登場もあり、その旋律のエキゾチックなムードもあって、ひょっとすると彼氏に無理矢理連れてこられた彼女や奥さんのような「メタルに興味がない人」にとっては一番インパクトのあるライブだったのではないでしょうか。

時間が短いのと、サウンドが今ひとつだったのが残念ですが、個人的な期待には100%応えてくれる素晴らしいショウでした。再来日希望!


CAIN’S OFFERING
カルト・レジェンドCANDLEMASSはフルで観たかったものの、私の生き様的にこのバンドを完全に切ることはできない。MYRATH終演と同時に再びサブステに走る。

サブステに辿り着くと、ちょうどヤニ・リマタイネン(G)が「Stolen Waters」の長いギター・ソロを弾きまくっているところでした。

「Oceans of Regret」、「Antemortem」そして「I Will Biild You Rome」と、何とか3曲をフルで観ることができ、あらためてこのバンドの楽曲が自分好みのメロディで満ちていることを再認識。


CANDLEMASS
CAIN’S OFFERINGが終わると、今度はメインステージにダッシュ。忙しい。

エピック・ドゥームの開祖としてマニアの評価は異様に高い伝説のカルト・バンド。欧州では確固たる支持基盤があり、2005年の再結成(2回目)後はコンスタントに活動していたが、ドゥーム系のバンドの人気が低い日本ではその姿を目の当たりにすることはできなかったが、LOUD PARK担当者の趣味で(?)夢の来日が実現した。

ドゥームとはいえ、彼らの音楽はCATHEDRAL以降の「ドゥーム・デス」とは異なり、リフ・ワークこそヘヴィなれども歌メロもあれば、アップテンポなパートもあるし、結構聴きやすい。

特に現在ヴォーカルを務めるのは日本では「YNGWIE MALMSTEENの『FACING THE ANIMAL』で歌っていた人」という認識が一番強いであろうマッツ・レヴィンで、その普遍性のある上手いヴォーカルはこのバンドの「意外な聴きやすさ」をわかりやすく観衆に伝えていたのではないかと思われます。

個人的に「家や通勤時に聴きたい音楽」ではないのですが、ライブ自体はかなりカッコよく、自己判断の結果ではありますが、最初から観られなかったことが惜しまれます。


MASTERPLAN
RAGEとMASTERPLANが丸被りという、独産メタル・ファンにとっての悩みどころで私はMASTERPLANをチョイス。

同じドイツのパワー・メタル・バンドではあるものの、その音像は結構異なっているので好みが明確であれば迷うことはない…というよりは、単に来日がレアである方を選んだというのが正直な所ですが。

最新作からの「Keep Your Dream Alive」と、かつてローランド・グラポウ(G)が在籍していたHELLOWEENで書いた「The Chance」のカヴァーを除き、全てデビュー・アルバムからの楽曲という「超初期重視」なセットリストは、自分たちの音楽が一番日本で受け容れられていた時期を正しく理解した結果なのでしょう。

初期のヴォーカリストはかの歌神ヨルン・ランデだが、現シンガーのリック・アルツィもヨルンに劣らぬパワーの持ち主で、その声量はヨルンに勝るとも劣らない。

ただ、なにぶんサウンドが(これまで全体的に良くなかった中でも)最悪で、今ひとつ彼らの音楽の魅力が伝わりにくかった上、これは以前観に行った単独公演の際にも感じたのだが、彼らのステージ・パフォーマンスというのは「盛り上がりに欠ける」もので、今ひとつ胸が熱くならなかったというのが本音。

ラスト曲として「Crawling From Hell」がコールされたタイミングでサブステを後にし、メインステージに戻る。


RAGE
メインステージに戻ると、RAGEがラスト曲と思しき「Higher Than The Sky」をプレイしている。とりあえずあのサビは歌わずにいられない。

するとその「Higher Than The Sky」の途中でDIOの「Holy Diver」が挿入され、ギターの人が歌い出す。そしてその歌が超上手くてビックリ。声もいいし、もはやピーヴィーよりこの人に歌わせた方がいいんじゃないか? と思ってしまいました(笑)。

ぶっちゃけMASTERPLANよりRAGEを観た方が満足度高かったかも…。


ARMOURED SAINT
まさかこのバンドを日本で観ることができるとは思っていませんでした、というCANDLEMASSと並ぶ本日の「レアモンスター」枠。

まあ、元ANTHRAXのヴォーカリストが在籍しているということである程度の知名度はあるので、その辺を評価しての抜擢でしょうか。

最近の楽曲に中途半端なモダンさがあるのと、ジョン・ブッシュはともかく、なぜかジョーイ・ヴェラ(B)までANTHRAXに影響されたかのような服装・ステージングなのがちょっと気に食わないが、2人のギタリストの佇まいに「80年代B級正統派」の残り香がプンプンしているのは良い。このバンド名でモダン化するのは良くないと思います(笑)。

全体的には中堅らしい可もなく不可もない無難なパフォーマンスだったが、「March Of The Saint」のイントロ(ムソルグスキーの『キエフの大門』)を省略したのはいただけない。

途中、メンバーの子供と思われる小学生くらいの少年がギターを抱えて登場してました。


DANGER DANGER
裏でやっているEXODUSの方がこのイベントらしく盛り上がるのだろうと思いつつ、個人的な趣味嗜好を優先してDANGER DANGERを選択。

1曲目から私の好きな「Crazy Nights」で始まり、彼らの楽曲で一番好きな「Rock America」もプレイ、ラストは「Bang Bang」に「Naughty Naughty」という、曲名だけ見るとちょっとバカっぽい彼らの代表曲2連発と、ファンのニーズを正しく理解した初期曲中心のセットリストで満足度高し。

ヴォーカルのテッド・ポーリーは常にプロフェッショナルな笑顔をキープして素敵なフロントマンを演じており、演奏陣のプレイもハイレベル。特にロブ・マルセロのギターは「ある一線を超えた人」だけが出せるスーパー・テクニカルな速弾きの連発で、「ちょっと弾きすぎじゃね?」と思いつつもエキサイトさせられました。

ただ、途中そのロブのギターがトラブって、他のメンバーが無理矢理トークでつなぐことになったり、足元の扇風機が故障?してステージ上にずっとスタッフが修理で居座ったりと、なんだかトラブルが多くて気の毒なステージでした。


SHINEDOWN
一応メインステージには戻ってみたものの、EXODUSがまさに終了する瞬間で、その後SHINEDOWNまでしばらく待ち。

そしてSHINEDOWNが登場すると、なぜかドラムを除くメンバーがまさかのスーツ姿。

これはもしかしてバンド名の「SHINE」と「社員」を掛けているのか!? だとしたら日本人向けのサービスとしてはレベル高すぎるぞ! と思いつつ(真偽は不明)、そういった演出も含め、アメリカの現役人気バンドならではのパフォーマンスは非常にハイレベルで、音楽の趣味とは関係なく楽しめました。

ただ、次のQUEENSRYCHEのために4曲ほどで移動せざるをえませんでしたが…。


QUEENSRYCHE
かつてHR/HM史上に残るコンセプト・アルバム「OPERATION : MINDCRIME」で絶大な評価を獲得し、「EMPIRE」では全米TOP10シングルも生まれ、300万枚に及ぶ売上を記録したこのバンドが、サブステ、しかもトリですらない扱いとは、時の流れの非情さを感じさせずにはいられません。

しかし、さすがというべきか、裏のSHINEDOWNとファン層が被っていないためと言うべきか、このサブステにおける人集まりは本日最高。正直トリのBLIND GUARDIANより人が多かったです。

このバンドもDANGER DANGER同様、デビュー作から「EMPIRE」までという初期楽曲で固めた(1曲目のみ最新作から)、「自分たちはクラシック・ロック」と腹を括ったセットリスト。

「I Don’t Believe In Love」と「Another Rainy Night」が聴きたかったというのは個人的なわがままとしても、アルバム「RAGE FOR ORDER」から「Screaming In Digital」をやるくらいなら「Walk In The Shadows」のほうが良かったのでは?

演奏はタイトで、かつては全米をアリーナ規模で回っていたバンドならではのキャリアを感じさせられましたが、中でも看板シンガーであったジェフ・テイトに代わって加入したトッド・ラ・トゥーレの「ジェフそっくりさん」ぶりは(YouTube等で観て知っていたとはいえ)驚きの域で、「Queen Of The Reich」の冒頭のハイトーン・スクリームでは皆度肝を抜かれたのではないでしょうか。本日のベスト・ヴォーカリストは彼ですね。

しかしベースのエディ・ジャクソンがいなかったのはナゼ…?


BLIND GUARDIAN
QUEENSRYCHE 終了後にメインステージに戻ればCHILDREN OF BODOMも観られたはずなのですが、さすがに往復にくたびれたのと、今観ておかなければ晩ごはんを食べるタイミングを逸しそうなので、そのままサブステ後方の屋台で適当に食事。

そして始まるBLIND GUARDIAN。QUEENSRYCHEの時に比べて人が減っていて少し寂しい。

どうせ1曲目は最新作からの曲で始まるんだろ、と高を括っていたら、いきなり響き渡る私が高校生の時に身体に刻み込まれたリフ。

最近のライブで「IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE」の完全再現をやっていることは把握していたが、まさか持ち時間の少ないラウパでそれをやるとは。

最近の彼らの楽曲と違ってしっかり覚えている曲ばかりだし、彼ら自身のパフォーマンスもかなり垢抜けて、いちパワー・メタル・バンドとして優れたライブを展開していた。実際前回出演した(07年)ときより引き締まったパフォーマンスだったと思う。

ただ、彼らの音楽世界って、本当は映像やらセットやらが豪華に使われていた方が引き立つと思うんですけどね。

完全再現が終わった後、ラストに名曲「Mirror, Mirror」をプレイしたのですが、持ち時間が余っていたっぽいので「Varhalla」もやってくれればよかったのに…。オーディエンスが少なかったからご機嫌を損ねたのでしょうか。


DOKKEN
BLIND GUARDIANが終わってメイン・ステージに戻ると、DOKKENの「MR.SCARY」がプレイされていた。

インストのその曲を聴いている分には何の問題もないが、続く「It’s Not Love」で、私が危惧していた問題が何ら解決されていないことを知る。

ドン・ドッケンの声が出ていない。いや、聴いていない人が想像するようなレベルではなく、本当に出ていないのだ。サビのコーラスはジェフ・ピルソンをはじめとした他のメンバーがフォローしてくれるからまだしも、ドンが一人で歌うパートは聴くに耐えない。

続く名曲「In My Dreams」冒頭のあの印象的なコーラスも、ドンの声が欠けているために厚みに欠けるものに。

「In My Dreams」が終わるとドンがオーディエンスに「バイバイ」と声をかける。そのままバイバイしてくれて何の問題もなかったのだが、それはジョークだったらしく、最後に「Tooth And Nail」がプレイされる。他のメンバーのプレイに衰えが感じられないだけに一層ドンの衰えが引き立つ。

「今回は特別な再結成だから、ドンも一念発起して頑張るのではないか」というファンのかすかな期待を完全に裏切る惨状が呈されていたわけだが、当の本人は一切悪びれることなくニッコニコだったことに「人はここまで厚顔になれるのか」と戦慄を禁じ得ませんでした。


SCORPIONS
長年トリ候補に挙げられていながら、ギャラや会場などの条件面で折り合わないという噂で流れて続けてきたSCORPIONSがついにラウパ降臨。個人的にも現実に観ることが可能なHR/HM系の大御所としては「未だ見ぬ最後の大物」という感じで、非常に楽しみにしていました。

どうせなら全盛期である30年前に観たかった、というのは私の年齢的な問題で叶わぬ夢としても、せめて私がHR/HMを聴き始めた90年代に観ておければという思いはある。とはいえ結局2007年に行なわれた来日公演まで、何度かあった機会を全て見送ってきたのも事実で、「SCORPIONSなんてアルバム出せば来るんだからいつでも観れるだろ」と高を括っていた当時の自分に「観たいものは次観られる機会を得たときにすぐ観ること!」と説教したい気分でいっぱいです。

実際の所、衰えが全くないと言ったら嘘になる。ステージ・アクションも過去のライブ映像などで観られるようなキレはないし、クラウス・マイネの歌声もかつての張りは失ってちょっとのっぺりしている(もう「Virgin Killer」は歌えないでしょうね)。

しかし、彼らが60代後半の年齢であることを考えたら、このクオリティは驚異的(特に先にドン・ドッケンの惨状を目の当たりにした後では!)で、全盛期の面影は今なおちゃんとある。そしてクラウスの歌声には天性の声質によるマジックがまだまだ感じられる。若い頃にキレキレなのはある意味当たり前で、この年齢でこれだけのパフォーマンスができることこそが特別だとすれば、ある意味このタイミングだからこそ特別なものを観ることができたと言えなくもない。

本公演は一応「50th Anniversary Tour」の一環としてのショウで、基本的なセットリストは同ツアーの基本構成を踏襲している。この期に及んでも最新作から3曲もプレイしているあたりの「現役感」に対する意識は凄いですが、このツアー中に正式メンバーになったミッキー・ディー(Dr)に敬意を表して(いや、建前上はレミーに対する追悼ですが、実際はそうでしょう)彼が以前在籍していたMOTORHEADの「Overkill」をセットリストに組み込む、といった柔軟さもまた特筆すべきでしょう。

そして日本公演の定番である「荒城の月」も当然のようにやってくれたし(それに続いたのが「Send Me An Angel」に「Wind Of Change」というバラード2連発だったために、ちょっとおとなしい時間帯になってしまいましたが)、やはり何よりスペシャルだったのはアンコール2曲目で登場したウリ・ジョン・ロート(G)との共演でしょう。

今回のラインナップが発表された時点で同じフェスに参加するということで予想はされていましたが、こうして実現してみると、リアルタイムのファンではない私のような人間でも「特別な瞬間を目の当たりにしている」という実感がありました。

そういうサプライズがなくとも、特別に花道が用意されたステージ・セットも含め、大御所ならではの貫禄と実力が充分に伝わってくる充実のライブでしたが、このウリのゲスト出演によって、我々日本のファンにとって「特別な記憶」として刻み込まれたことは間違いありません。

噂ではSLAYERの4倍と言われる過去最高額のギャラ(彼らのキャリアと成功の規模を考えれば当然ながら)が発生したという噂ではありますが、そのギャラに相応しい、過去最高の大団円を提供してくれた素晴らしいショウでした。

CRY OF DAWN Featuring GORAN EDMAN

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北欧メタルのファンであればもはや知らぬ者はいないであろう「MR.北欧ヴォイス」ヨラン・エドマンをフィーチュアしたプロジェクトのデビュー・アルバム。

本プロジェクトにメンバーとして名前を連ねるのは、マイケル・パレス(G & B)とダニエル・フローレス(Dr & Key)、ソーレン・クロンクヴィスト(Key)という、『Frontiers Records』からリリースされる作品をよくチェックしている人であれば見覚えのある顔ぶれ。同レーベルの最近のエース・ソングライターであるアレッサンドロ・デル・ヴェッキオなども楽曲を提供している

当然というべきか内容はいかにも『Frontiers Records』らしいピュアなAOR系メロディアス・ハードで、キラキラした瑞々しいKeyのフィーチュア度が非常に高く、個人的にはこういう80’Sっぽい音像は大好物である。

さすがに『Frontiers Records』のプロダクトだけあってサウンド・プロダクションも良好だし、マイケル・パレスを中心にしつつも複数ソングライターを起用しているだけに捨て曲がないどころか楽曲はどれも高品質、演奏も隙のない、良質な作品に仕上がっている。「これは!」というキメ曲がないためにいささか優等生的に響く、というのは贅沢というものだろう。

そして相変わらずこういうAOR的な楽曲を歌うヨランのヴォーカルは素晴らしい。透明感と芳醇な味わいを兼ね備えたその歌声と、独特のソウルフルな節回しは既に還暦を迎えたというにもかかわらずほとんど衰えを感じさせない(楽曲もヨランにとって無理のない声域で書かれていると思われる)。

歌う人が歌えばアメリカンになりそうな溌剌とした曲も多いのだが、ヨランが歌うだけでなんとなく北欧っぽい雰囲気が生まれるのだから、やはりこの人の声は特別だ。

どうでもいいですが、Web上で(本ブログを含めて)彼について「MR.北欧ヴォイス」と形容している例をしばしば見かけますし、本作の日本盤オビにもヨラン・エドマンについて「MR.北欧ヴォイス」と書いてあるなど、もはやこの呼称は「公認」状態です(?)。

一番最初に彼をそう呼んだのは旧Castle Of Pagan、現iMetalのKohさんだと思っているのですが、それ以前からそう呼ばれていた例はあるんでしょうかね? いずれにせよ共感されるワードだったから普及したんだと思いますが。【83点】

◆本作収録『Listen To Me』のリリック・ビデオ