EDEN’S CURSE / CARDINAL

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スコットランド出身のメロディック・メタル・バンドの5作目となるフル・アルバム。10年のキャリアで5枚目だから、かなり順調なリリース・ペースと言えるだろう。

しかし、個人的にはこのバンドがこのバンドがこれだけコンスタントな活動を続けられるのが不思議で、どっかの国のチャートに入ったという話も寡聞にして聞かないどころか、何しろ英語のWikipediaすらないという有様。どう考えても儲かっているとは思えない。

90年代はこういうバンドを日本のメタル・マーケットが支えていたりしたものだが、20世紀も遠くなった今となってはそういうこともあるまい。

しかし、内容は相変わらず非常にハイクオリティなのである。パワー・メタル的な曲からメロディアス・ハード風の曲までバラエティに富んだ楽曲はどれも適度にキャッチーかつ叙情性な歌メロとフックに満ちており、演奏も上手く、サウンド・プロダクションもバッチリ。

イントロでベースのスラッピングをフィーチュアした#6や、このバンドの楽曲では最長となる8分近くに及ぶドラマティックな#12など、10年選手となった今でも新たなチャレンジを続けているのも好印象。

なお、キーボーディストが元POWER QUESTのスティーヴ・ウイリアムスから、ADMANTRAやEPICRENEL、IRON SPHEREといったバンドでの活動で知られるフィンランド人プレイヤーのクリズムに交代しているが、音像に目立った影響は見られない(#7の作曲クレジットにはスティーヴ・ウイリアムスの名前がある)。

高音域でパワフルに声を張るとトビアス・サメット(EDGUY, AVANTASIA)そっくりになるのが特徴的な、前作より加入したセルビア人シンガー、ニコラ・ミイッチのヴォーカルもより馴染んできた印象。

このバンドはデビュー以来、アルバムにゲストを迎えなかったことがないが、本作においても#10「Unconditional」でデュエットにリヴ・クリスティーン(元THEATER OF TRAGEDY, LEAVE’S EYES)を迎えている。

デビュー以来『BURRN!』誌では一貫して高い評価を獲得しており、本作もレビューで90点を記録しているが、あまり話題になっていない観は否めない。

もしこのバンドが90年代にデビューしていたら、少なくとも同じ英国のTENと同等かそれ以上の成功を収められたと思うのですが…。

こういうバンドの人気が日本においてさえ出なくなったあたり、『BURRN!』の影響力が落ちたというか、『BURRN!』的な「こういうバンドこそが正統的である」価値観というのが廃れたんだな、という気がします。【85点】

◆本作収録「Sell Your Soul」のMV


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「RHAPSODY」によるフェアウェル・ツアー?

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先日のRHAPSODY OF FIREからファビオ・リオーネ(Vo)とアレックス・ホルツヴァース(Dr)が立て続けに脱退するという衝撃のニュースはファンの記憶に新しい所だと思います。

そしてつい先日新ヴォーカリストとしてジャコモ・ヴォリなる人物の加入が発表され、(少なくとも日本では)無名の新人ながら、サンプルを聴く限りまずまずの歌唱力の持ち主だったので、胸を撫で下ろしたばかりでした。

そんな折に飛び込んできたのがこのニュース。

「RHAPSODYが"20th Anniversary Farewell Tour" を行なう」

20周年さよならツアー?

え、新ヴォーカリスト入れたばっかりなのにやめちゃうの?

と思ってよく読んでみたら、ファビオ・リオーネ(Vo)、ルカ・トゥリッリ(G)、ドミニク・ルアキン(G)、パトリス・ガース(B)、アレックス・ホルツヴァース(Dr)というメンバーで、『SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS』リリース20周年ツアーを行なうのだという。

来年は2017年、20周年といえば1997年リリースの『LEGENDARY TALES』じゃないの、と一瞬思いつつ、リリース年から数えて20年目なのは1998年の『SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS』だからこれでいいのだ。とはいえなぜデビュー20周年のタイミングである今年でなく来年なのだと思いつつ、そこはまあ大人の事情というか、20周年であることではなく、ファビオとルカが揃うことができるタイミングありきで決まったツアーだからなのでしょう。

そしてこれが「OF FIRE」ではないRHAPSODY名義でメンバーが集うのを観ることができる最後の機会なのだという。

公式Facebookの煽り文句によると「これはステージで一緒に演奏するバンドを見る唯一の最後のチャンスとなるだろう」とのことですが、RHAPSODY名義だった頃にはドミニク・ルアキンはいませんでしたよね?

いやまあ恐らく単に巻き込まれただけのドミニクには別に罪はないですが、そもそも明らかにオリジナルRHAPSODYの要の一つだったアレックス・スタロポリ(Key)がハブられてますよね?

これはどう考えてもファビオ・リオーネ(Vo)とアレックス・ホルツヴァース(Dr)がRHAPSODY OF FIREを脱退したことと無関係ではないと思われます。

このツアーを主催するという「TOP LINK MUSIC」なるブラジルのプロモーター/マネジメントにそそのかされた感が否めないですね。てかこの会社、ファビオが現在所属するANGRAのマネジメントですね。うーん、ろくでもないことを企画する会社の臭いが…。

ルカ・トゥリッリによると「Beyond the Gates of Infinity」や「Wings of Destiny」や「The Dark Tower of Abyss」といった、これまで演奏されたことがない曲がプレイされるとのことなのでそれはつまり『SYMPHONY OF ENCHANTED LANDS』を完全再現するということなのでしょう。

ルカ曰く「これは私の音楽活動の重要な一章の終わりを意味している。将来、私の新しいLuca Turilli's RHAPSODYや他の重要なプロジェクトに専念する」とのことですが、まあRHAPSODY OF FIREを脱退した時点で元々そういう話だと思っていたし、いつかは「アレックス・スタロポリとの和解(?)によるリユニオン」というカードも残っているよなー、なんて擦れた考えも浮かんでしまったり。

まあ、「ファビオとルカが一緒にプレイするのを観たい」とか「ファビオの歌う『Emerald Sword』を聴きたい」というニーズは確実に存在すると思うので、このツアーである程度の集客は見込めるのでしょう。

このツアーが日本にも来るのかどうかは定かではありませんが、どうもちょっと先日のHELLOWEENの次回ツアーの話のような「いい話」に聞こえないというのが正直な所です。

まあ、LOUD PARKに出るというならもちろん観ますけどね。
あらためてファビオもルカもアレックス・スタロポリも揃っていた彼らの初来日公演を観ることができた自分は勝ち組だったという確信を強めました(笑)。

しかしこの告知ビジュアルのドラゴンのデザインはひどくないですか。
実際にツアーが始まる頃には『シン・ゴジラ』みたいに進化するのでしょうか。

◆ニュースソース
http://www.blabbermouth.net/news/rhapsody-announces-20th-anniversary-farewell-tour/

AMARANTHE / MAXIMALISM

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EDMとメタルコアを融合したサウンドでデビュー以来一躍注目を浴びたスウェーデンのハイブリッド・ポップ・メタル・バンド、AMARANTHEの通算4作目となるアルバム。

セカンド・アルバムまでは中心人物がDRAGONLANDのメンバーであるという事実を、言われればなんとなく納得するような欧州メロディック・メタル風のクサめのメロディが随所にフィーチュアされていたが、前作『MASSIVE ADDICTIVE』では一気に洗練され、より先鋭的なEDMの要素が強まっていた。

個人的にその路線はアメリカ市場を狙いにいったものと映ったし、事実アメリカでは過去最高のチャート・アクションを記録したが、それまでTOP10入りしていた本国スウェーデンで失速した(最高18位)ことを意識したのか、本作では再び歌メロが強化されている。

とはいえ、ファースト、セカンドへの回帰というよりは、よりコマーシャルなポップ・ミュージックのメロディ・センスが打ち出され、時に母国の大先輩であるABBAの音楽を彷彿とさせる普遍的な魅力を備えた高品質なサウンドに仕上がっている。正直もはやあのB級メロディック・パワー・メタルだったDRAGONLANDと楽曲の制作者が同じだと聞いても信じられないレベルのスケール感、メジャー感である。

#2「Boomerang」や#5「On The Rocks」、#7「Faster」#10「Supersonic」など、耳に残るサビを備えたキャッチーな曲を中心に、QUEENの「We Will Rock You」へのオマージュかのようなファースト・シングルの#3「That Song」、タイトル通りもはやメタルというジャンルの限界を消失させるかのような#6「Limitless」、アグレッションが強く出た#7「Fury」、それとは対極にもはやハリウッド映画のエンディング・テーマのタイアップでも狙おうとしているかのようなエリースの単独歌唱による壮大なバラードと、楽曲のクオリティ、バラエティ、共に申し分ない。

このコンパクトでキャッチーでモダンなメジャー・サウンドを前に、世界最大のメタル・データベース・サイト「The Metal Archives」はこのバンドをそのデータベースから削除したが、わざわざヒット・チャートを毎週「研究」して制作している(オロフ談)という「超売れ線狙い」サウンドだけに、もっと爆発的にヒットしてくれないと浮かばれないというものではなかろうか(現状は本国スウェーデンおよび隣国フィンランド以外で目立ったチャート・アクションは記録していない)。

なお、本作発表後、男声クリーン・ヴォーカルを担当していたジェイクがツアーからの離脱を発表。それを知ってあらためて本作を聴いてみるとジェイクのフィーチュア度が低いのは離脱の原因なのか結果なのか。【84点】

◆本作のリーダー・トラック「That Song」のMV

どうも前作の「Drop Dead Cynical」といい、このバンドの楽曲の中では異質な曲をリーダー・トラックとしてピックアップしていることが、バンドの評価を妨げているような気がしてならない。

HELLOWEENの最新ツアーにマイケル・キスクとカイ・ハンセンが参加

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それは、あまりに突然のニュースでした。

前触れは、正式な発表のわずか5時間ほど前に出された以下の思わせぶりなバナーのみ。

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いやまあ、知ってる人は知っていたのでしょうが、私にとってはまさしく寝耳に水でした。

「HELLOWEENのツアーにカイ・ハンセンとマイケル・キスクが参加する」

!?!?!?!?

ええ、HELLISH ROCKツアーで、HELLOWEENとカイ・ハンセンの共演は観ましたよ。

そしてUNISONICのライブで、マイケル・キスクとカイ・ハンセンの共演によるHELLOWEENクラシックも聴きました。

でも、HELLOWEENの名の下にマイケル・キスク、カイ・ハンセン、マイケル・ヴァイカート、マーカス・グロスコフが一堂に会することはもはやないだろうと諦めていました。アンディをフィーチュアしたHELLOWEENの状態が良好に見えただけに。

いやもちろん、あらゆるリユニオンが実現しているこんなご時世ですから、いつかはこんなこともあるんじゃないかとは思っていました。しかしそれはもうHELLOWEENが衰えきって、過去の遺産にすがらざるを得なくなる遠い未来(20年後くらい?)のことだと思っていました。

それが、まだメンバーが充実した壮年期にあるこのタイミングで実現するとは…。
感無量です。

これはあくまで「スペシャルなツアー」という位置づけで、「再結成」ではない、ということですが、アンディの歌うHELLOWEENも好きで、リアルタイムという意味ではむしろアンディ派であると言ってもいい私としては、アンディをクビにしての強引な再結成というのは望むところではないので、これはこれでいい。

私が洋楽メタルにのめり込むきっかけとなった、名作『KEEPER OF THE SEVEN KEYS PT.I』の冒頭を飾る「I'm Alive」。
この曲をHELLOWEENの名の下に、マイケルの歌声とカイのギターで聴くことができたら、もはやメタラーとして思い残すことはありません。成仏できます。

現状、具体的な公演日程は2017年10月28日のブラジルはサンパウロ公演が発表されているのみですが、来年にかけて南米、ヨーロッパ、アジア、北米の選ばれた都市を回るということで、そこに日本が含まれることはほぼ間違いないことでしょう。

むしろひょっとすると、全世界に先駆けて日本のLOUD PARKで初演、なんてこともあり得るかもしれません(?)。

私にとって、人生の節目となる時が迫りつつあります。

◆特設サイト
http://pumpkins-united.helloween.org/jp/pumpkins-united.html

◆ビクター・エンタテインメントの告知
http://www.jvcmusic.co.jp/-/Information/A016944.html?article=news30#news30

◆本ツアーのプロモーション映像

DGM&ELVENKING来日公演 at 新宿MARZ 2016.11.6

先週末はメタラーにとって熱い週末でした。

何しろKNOTFESTとJAPANESE ASSAULT FESTが同日に開催され、さらにDGMとELVENKINGの来日公演まで行なわれたのですから。

微妙に客層はバラけているとはいえ、私としてはKNOTFESTではDISTURBEDを観てみたかったですし、JAPANESE ASSAULT FESTではANCIENT BARDSを観てみたかった。

と言えばおわかりになると思いますが(ていうかこのブログエントリーのタイトルを見れば一目瞭然ですが)、私はDGMとELVENKINGの来日公演を選びました。

DISTURBEDかANCIENT BARDSは土曜日に観れただろ、もしANCIENT BARDSの出演時間が19時半以降であれば両方掛け持ちも不可能ではない、と言われそうですが(?)、土曜日は仕事のイベントがあって無理だったのです。

そして日曜日も休日出勤からの会場入り。前売り券はソールドアウトしているとのことながら、当日券があることを信じて会場である新宿MARZに向かう。

仕事が終わって会場に着いた時間は、開場時間どころか開演時間を大きく過ぎた18時前。案の定当日券はあったが、さすが前売りがソールドアウトしているというだけあってかなり混雑している。

オープニングアクトとしてRAKSHASAおよびANCIENT MYTHという2つの日本のバンドが付くことになっており、告知物の表記順からてっきりRAKSHASA→ANCIENT MYTHという出演順かと思っていたら、ANCIENT MYTH→RAKSHASAという出演順だったそうで、私がフロアに降りたタイミングでプレイしていたのはRAKSHASAでした。

RAKSHASA

全然知らないバンドでしたが、それもそのはず、まだ正式なアルバムはリリースしていない新しいバンドのようです。

とはいえド新人というわけでもなく、本日のプロモーターであるEvoken de Valhall Productionの主宰者であり、20年近いキャリアを持つもはやベテランと言ってもいいシンフォニック・ブラック・メタル・バンドETHEREAL SINのYama Darkblaze氏による新しいバンドとのこと。

自分で企画したイベントで自分のバンドをプロモーションする、という構図でしょうか。

そのサウンドはメロディック・パワー・メタルに和テイストを持ち込んだ、世の中的には「陰陽座フォロワー」と思われそうな音楽性で、個人的には好きな音。

特に最後から2曲目に演奏された「彼岸の月」という曲はなかなかカッコ良かったですが、正直な所女性ヴォーカルがちょっと弱いかな…。高音パートは悪くないのですが、中低音域がかなり説得力不足でした。

とはいえショウが進むほど場内の反応は良くなっていき、このバンドのサウンドがオーディエンスに受け入れられていった感じは確実に見て取れました。


ELVENKING

本日3バンド目(私にとって2バンド目)はイタリアのフォーク・メタル・バンド、ELVENKING。今回が初来日となる。

RAKSHASAがプレイしていたときは混雑していたので階段を下りてすぐの所で観ていましたが、転換の際の人の動きに乗じて奥の方へズズイと進み、センター後方あたりへ侵入。

ELVENKINGは買って聴いたのは、当時の「クサメタル」ブームの中で話題になっていたデビュー作のみで、その後は時々ネットでチェックしていた程度。正直日本ではあまりパッとしないバンドで、よくこんなマニアックなバンド呼んだものである。

DGMとの接点はイタリア出身で、メロディック・パワー・メタル的な要素がある音楽をプレイしている、ということくらいでしょうか。

転換が終わって幕が上がると、フォーク・メタル独特のメイクをしたメンバーたちが登場、ヴァイオリン奏者の存在もまたフォーク・メタルを主張している。

フォーク・メタルというと日本ではデス声をフィーチュアしたタイプのバンドが有名だが、このバンドは基本的にノーマル・ヴォイスで歌われている。

彼らのレパートリーの中でも最もヘヴィな部類に入る「The Scythe」で幕を開け、最新作のリーダー・トラックだった「Elevenlegions」がプレイされると、後方にいた私の周りでも合唱が起き、かなりコアなファンが駆けつけていることを窺わせる。

率直に言って演奏はあまり上手くなく(特にドラム…)、ちょっとB級な感じは否めなかったが、側頭部を大胆に刈り上げたエモっぽいルックスのイケメン・シンガー、ダムナゴラス(メンバー全員「エルフの王」というバンド名通り、エルフっぽい芸名を名乗っている)がなかなか巧みにオーディエンスを煽っていて、場内は結構盛り上がっていた。

このバンドの場合、「ヴァイオリンをフィーチュアしたフォーク風味」という体裁はキープしつつも、音楽性は時期によって結構ブレているため、パワー・メタリックな曲からメロディアス・ハードのような曲、エモ/パンクみたいな曲まで楽曲は良くも悪しくもバラエティに富んでいたが、オーディエンスの反応が一番いいのはフォーキッシュなメロディが奏でられる瞬間だったように思われ、そういう意味ではバンドの個性の部分が評価されていたと言える。

ヴァイオリン・ソロなど他のHR/HMバンドのライブではなかなか観られないものを観ることができた物珍しさ的な部分も含め、彼ら目当てで来場したファンにとってはかなり満足感のあるショウだったのではないでしょうか。

個人的には終始腕を上げるようなコーラス・パートでほのかに漂ってくるワ○ガの香り、そして途中至近距離で炸裂した屁の臭いで文字通り「クサメタルで悶絶」することになったのですが…。


DGM

当然ながらと言うべきか、基本的にはこのバンドがお目当てでした。今の時期も結構忙しいので、ちょっと足を運ぶのが億劫な気分もあったが、前回の来日時には別件があって行けなかったので、今回は観ておきたかった。

そしてまたELVENKINGからの転換時に起きる人の流れを利用して会場のほぼ真ん中辺りまで進出する。今日のBGMはなぜかずっとM.S.Gだ。

ステージに垂れ下がっている薄い幕の向こうでスキンヘッドが蠢いているのがシルエットでフロアからも見て取れ、マーク・バジーレ(Vo)本人がマイクなどのセッティングをしているのが丸わかりである(笑)。

そして準備が終わり、20時を少し回った頃、ショウがスタート。

音がデカい。RAKSHASAの時点ではあまり良くなかったサウンドがELVENKINGではかなり改善されていたが、DGMについては、サウンドが悪いわけではない(というかこの規模のライブハウスとしては良好な部類だろう)が、とにかく音がデカい。これは耳栓なしでは危険な音量である。

そしてやはり上手い。上手いのはスタジオ・アルバムを聴くだけでも容易に想像がついていたので、スタジオ盤ではどれだけ上手いのかよくわからなかったSECRET SPHEREの時のような意外な驚きはないが、音量はともかく歌唱も含めてほぼスタジオ音源通りである。中でも下手(しもて)に立っているシモーネ・ムラローニのプレイの正確さ、トーンの再現度といったら、スタジオ音源をそのまま流しているのではと勘繰りたくなってしまうほど。随所で繰り広げられるキーボードとのユニゾンもまさに「一糸乱れぬ」という形容に相応しい。

そしていかにもイタリア人らしい濃い顔立ちのヴォーカリスト、マイク・バジーレのフロントマンぶりも特筆に値する。ミケーレ・ルッピから過剰な艶を抜いてより男性的にしたかのような歌声も完全無欠の素晴らしさだが、ボクサーを思わせる独特のアクションで終始オーディエンスを煽り続け、フロアの盛り上がりをキープし続ける。

前に出たELVENKINGのダムナゴラスも悪くないフロントマンだったが、フロアの後方から2階席まで、その場にいるオーディエンス一人一人と目を合わせようとするかのごとく全方位的にコミュニケーションをとるマーク・バジーレのほうがより会場全体に気を配っていたことは間違いないだろう(ちょっと暑苦しさを感じなくもなかったが/苦笑)。

ショウの途中、オーディエンスの歓声を浴びて、感無量といった面持ちで言葉を失ってしまうあたり、この人は本当にエモーショナルな人なんだな、と思いました。実際、ライブ中何度も「DGMコール」が巻き起こるなど、フロアの熱気はかなりのもので、会場こそ小さいものの、その分濃いファンが集っていることがよくわかる。

最新作のオープニング・トラックである「The Secret」2部作で幕を開けたショウはマイク・バジーレ加入後の3作のアルバムの楽曲のみで構成されていた。それでも特に不満は感じさせない辺り、いかに現在の編成が充実しているかが伝わってくる。

いっそマイク・バジーレが加入したタイミングで、もっとキャッチーなバンド名に変えたほうがよかったのではないか…と思ってしまうほど。

アンコールでは、現在の編成になって最初の楽曲となった「Hereafter」の後、メイクを落とした後のELVENKINGのメンバーをステージに上げて(特にELVENKINGのメンバーは特にやることがないので手持ち無沙汰な感じでしたが)、アルバム『MISPLACED』に収録されていた「You Wa Shock!」(アニメ『北斗の拳』主題歌)のカヴァーを披露。日本のファンへのサービス精神を炸裂させてショウは幕を閉じた。

パフォーマンスの素晴らしさはもちろん、メンバー皆、楽器の上手い人にありがちな(?)気難しさを感じさせない「いい人」感に溢れていて、その辺も含めて好感を持たずにいられませんでした。次回はぜひLOUD PARKのような大舞台でその高い実力を大勢のオーディエンスに見せつけてほしいものです。