BURRN! 17年2月号の感想

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久しぶりに『BURRN!』の感想を書きます。何しろこの表紙ですからね。

先日の「PUNPKINS UNITED」ツアーのニュースを受けてのマイケル・キスク、カイ・ハンセン、マイケル・ヴァイカートの3者が揃い踏み。
赤い髪のカイ・ハンセンには思わずマイケル・アモットとフュージョンしたのかと二度見せずにいられませんでしたが(笑)。

マイケル・キスクも潔くせずに被っていいんですよ?(「も」という助詞に深い意味はありません/笑)

まあでもミッヒに関してはもうちょっと痩せてもらわないとアレかな。
初来日公演を観たという女性は「まるで王子様のようだった!」と言っておりましたが、今の彼にその面影はありませんよねえ…。その女性も近年のミッヒに対しては「ジャガイモみたいになっちゃった」と言っていました(苦笑)。
P33~34のモノクロ写真に当時の面影は見てとれますが。

インタビューは三者会談ではなく、カイ・ハンセンが体調を崩して別日で仕切り直しになったため、マイケル・キスク&マイケル・ヴァカートの2者インタビュー+カイ・ハンセンの単独インタビューという変則的な形になっている。

今回の話のある意味「言いだしっぺ」はマイケル・キスクだったそうで、マイケル・キスクとマイケル・ヴァイカートが直接の対面をしたのは2013年にフランスで行なわれたフェス(HELLFEST?)のバックステージだったという。とはいえ最初のミーティングが開かれたのは2015年1月だったそうで、それなりに時間をかけて進められた話のようだ。マイケル・キスクにとっても、現行メンバーにとってもナーバスな話だけに無理もない。

私はてっきりマネージメントが音頭を取って始まった話かと思っていましたが、やはり感情的な問題が障壁だったがゆえに、その障壁が一番大きいマイケル・キスクが言い出さないことには始められなかった、ということなんでしょうね。

AVANTASIAにUNISONICというマイケル・キスクにとっての一種のリハビリ、そしてカイ・ハンセンとマイケル・ヴァイカートの「和解」を示した『HELLISH ROCK TOUR』と、長年の伏線が結実し、「KEEPER OF THE SEVEN KEYS Part I」リリース30周年の年にこの「PUNPKINS UNITED」が実現したというのはファンにとって本当に感慨深いものがあります。

とりあえず経緯はどうあれ、この三者が揃ったラインナップで「KEEPER OF THE SEVEN KEYS Part I&II」の楽曲を聴けるのは本当に楽しみですし、アンディ時代の曲をマイケル・キスクが歌い、カイ・ハンセンがギターを弾くことも考えているとのことなので、何気にそれも楽しみです。

HELLOWEENのみならずGAMMA RAYに、マイケル・キスク参加作品(AVANTASIAのようなゲスト参加ものは除く)を網羅したディスコグラフィーに、これまで行なわれてきた来日公演の基本セットリストまで網羅したクロニクル記事と、ファンおよびこれから入門する人にとっては必携の充実した内容と言えるでしょう。

「ドイツ人ジャーナリストが見た『守護神伝』の時代」というハンス=マーティン・イスラー氏によるコラムは、期待していたのですがちょっと肩透かしな内容。GAMMA RAYとPINK CREAM69はともかく、BLIND GUARDIANやRUNNING WILDやGRAVE DIGGERの紹介(それも中途半端な)なんていらんでしょ。とりあえずこの人が「カイ・ハンセン派」で、「KEEPER OF THE SEVEN KEYS Part II」はポップ過ぎると考えていることはわかりました。

「担当ディレクターに訊く“HELLOWEENの真実”」は、過去のビクターの担当ディレクターへのインタビューだが、「僕はメタルに関してはぶっちゃけ門外漢だったし」とか「(『守護神伝』の2作は)何度も何度も出し直してるんで、最終的にはあの作品が何枚売れたのか、途中で僕らも判らなくなっちゃってるんですよ」みたいな発言から、「いいかげんな人たちだな」という印象しか受けませんでした(苦笑)。

まあ、私自身広告会社の人間という立場からレコード会社の人たちとも何度か仕事をしていますが、他の業界の人たちに比べて明らかにスケジュールや予算の管理についていいかげんな人たちが多い印象を受けているので、意外ではありませんでしたが…。実際音楽についても自分が直接担当しているアーティストとその界隈以外についてはそれほど詳しいわけではない、という感じでしたし。

マイケル・ヴァイカートは「変人」、マイケル・キスクは「ヴァイキーとは違った意味で“変わった人”」、カイ・ハンセンは「ロックン・ローラー」「常に明るくて、楽しけりゃいいやというところがありました」といった評価はまあファンが想像している彼らのキャラクターと遠からず、という感じですが、特にマイケル・キスクに関する「ミュージシャンには必要のない難しいことを色々考えている人で、本を随分読んでましたね」という発言はいかにもで、マイケルのそういう面が「再結成」を頑なに拒んでいたんだろうなあ…などと思いました。

ビクターエンターテインメント堀内氏の「自分はローランド・グラポウが苦手で…『俺はロック・スターだ』みたいな感じなんですよね。その根拠が何だったのかわからなくて(苦笑)」という発言には思わず笑ってしまいました。いやまあ、HELLOWEENのギタリストって一応ロック・スターと言ってもいいんじゃないですかね。基本的にローランドって「イングヴェイ・ワナビー」な人だし、他人に対して尊大な態度に出るのもイングヴェイを目指した結果でしょう(?)。

特集の「総括2016」は、後年に「2016年ってどんなことがあったっけ」と振り返るには便利な記事。編集部員および関わっているライターさんたちの年間ベストは、もはや何となく嗜好が読めているのでまあ予想通りというか。

一番バランスと多様性を意識しているように見えるのは増田勇一氏で、「本当に全部同じ温度感/ニュアンスで好きなの?」という疑念もありつつ、こういうバランス感覚のある人が90年代から編集長だったら日本のHR/HMシーンも少しは変わったものになっていたのかな? などと思ったり。

とりあえず今月号に投票ハガキが付いている読者投票については、今年はMETALLICAとMEGADETHが「ベスト・アルバム」のワン・ツー・フィニッシュになるのではと予想しています(笑)。

2016年11月号から始まった、『BURRN!』イチオシ(広瀬編集長イチオシ?)バンド、BE THE WOLFのフェデリコ・モンデッリ(Vo,G)による「親日コラム」、初回では日本のアニメ、そして2回目ではX JAPANに対する熱い愛を語り(その割に彼らの音楽にその形跡はないけれども)、共感を覚えていました。

そして先月号では「イタリア人はイタリア語で歌われる音楽しか聴かない。LACUNA COILやRHAPSODY OF FIREは世界的に活動しているが、イタリア人の90%は彼らのことを知らない。ファビオ・リオーネはメタルの伝説と言えるシンガーだが、ファンに囲まれる心配もなく通りを歩ける。実際、イタリアでは彼は殆ど無名と言った方が正しい」(これはつまり日本のメタル・シーンの状況と同じということだ)という興味深い事実を伝えてくれていたが、今回は寿司などのありがちな食べ物ネタで肩透かし。早くも(音楽的な意味では)ネタ切れか。

ディスク・レビューに関しては、KREATORがトップなのが素晴らしいですね。個人的にも期待しているアルバムです。

GOTTHARD(92点/幅氏)とFIREWIND(93点/広瀬氏)とPRIDE OF LIONS(91点/藤木氏)の高得点が目を引きますが、いずれも点数は(個人的な感覚では)盛り気味につける人によるものなので、真に受けるべきかどうか思案中(笑)。

あと、ちょっと気になっているのは、2016年11月号でKISSを大特集し、カラー48ページ、合計208ページの大増ページということで800円に値上げされていた価格が、次の12月号でもBON JOVIの表紙をエサに(?)引き続き48ページ増の208ページということで800円になり、先月の2017年1月号では、10月号以前の160ページより16ページ多いだけの176ページだったにもかかわらず、「新年特大号」ということで(?)引き続き800円、そして今月も176ページで800円と、完全に「800円の流れ」が生まれつつあることです(苦笑)。

今号で告知されている年間購読の金額を見る限り、今でも一応価格設定は670円が基本になっているっぽいですが…。
つーか「増ページ」といっても、2012年4月号までは198ページが基本だったと記憶しているのですが。

まあ、私自身は100円200円の話でガタガタ言うつもりはありませんが、多分お金のない学生時代だったらガタガタ言っていたと思います(笑)。

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2017年 新年ご挨拶

新年あけましておめでとうございます(私は喪中ですが)。

2016年はBON JOVIの新作とMETALLICAの新作は順当に全米No.1に輝き、結局アメリカにおいてHR/HMというジャンルを代表する存在とは80年代にデビューし、86年にエポック・メイキングなアルバムを発表したこの二組なのだな、ということをあらためて印象付けられました。

その他MEGADETH(3位)、KILLSWITCH ENGAGE(6位)、VOLBEAT(4位)、DEFTONES(2位)、ROB ZOMBIE(6位)、ANTHRAX(9位)、ALTER BRIDGE(8位)、AVENGED SEVENFOLD(4位)といったあたりが全米TOP10入りしているし、AMON AMARTH(19位)、GOJIRA(24位)、MESHUGGAH(17位)、といったあたりは、その大衆性に乏しい音楽性にもかかわらず確実に支持を獲得していて、アメリカにおけるメタルの支持層は、もはや日本などより世代的にも幅広く、熱量も高そうな気がします。

アンダーグラウンドにおいてはスラッジ/ドゥーム系、ポスト・ブラック系、テクニカル・デス・メタルなどがここ数年マニアたちの評価を得ていますが、これらのシーンで評価されているバンドが「次世代のメタル・ヒーロー」になるかというとそんな感じは全くなく(実際本人たちもそんなものは目指していないだろう)、かといってさらに目新しい動きが生まれているかというとそんな感じもないので、やや停滞感があることは否めません。

ていうか、爆発的な成功を記録したNU METAL以降、「メタル」と名のつく(あるいは「メタル」にカテゴライズされる)音楽で商業的にある程度の実績を出したのはメタルコアくらいのもので、ジェント系のバンドがいくつかそこそこの数字を出しているものの、まあ「コアなファンに支持されている」という域を出ておらず、「メタル」がジャンルとしてよりマニアックな方向に向かっているように映るのが個人的には心配です。

転じて日本を見ると、久方ぶりにIRON MAIDENの来日公演があったし、BABYMETALが日本人アーティストとしてほぼ半世紀ぶりにビルボードTOP40入りを達成するなど、例年に比べればメタルのネタは充実していたほうではないかと思います。

LOUD PARKも、2015年に比べればやや渋めのメンツだったにもかかわらず、充実したパフォーマンスが多く、来場した人たちの満足度はかなり高かったと思われます。個人的にも長年の宿願だったSYMPHONY X と、「一度は観ておきたい最後の大物」だったSCORPIONSを観ることができて大満足でした。

一方、かつて保守派の不評を買いつつも、クリエイティブマンの一種の「チャレンジ」として招聘していたようなモダンなヘヴィ・ロックのアーティストはKNOTFEST/OZZFESTに出る、という流れが定着しつつあり、保守派と革新派の断層が深まっていることをどう捉えるかは難しい所と言えるでしょう。

保守派と革新派は基本的に音楽に対する感性というか、「音楽に何を求めるか」が異なっていると思われるので、はじめから分断したほうがお互いにとって幸せ、という考え方もある一方、「多様化は勢力の拡大・発展につながるが、細分化は勢力の縮小・衰退を招くだけ」という考え方に基づくと、HR/HM的な音楽がよりマニアックなものになり、商業的なパイが小さくなってバンドや関係者が食えなくなっていく、という負のスパイラルを生みかねないと思います。

ただまあ、足元を見ると実は日本の若手には結構いいバンドが育っている気がしますし、昨年優れたアルバムを発表し、LOUD PARKで好演したチュニジアのMYRATHのように、これまでHR/HMとは縁がないと思われていた地域から優れたバンドが登場したりしているので、欧米を中心としたHR/HMの先行きが不透明であっても、HR/HMという音楽自体は世界のどこか、あるいはインターネットによって統合された世界中の好き者たちの間で確実に生き残っていくのかな、という気もします。

このブログ的には、昨年より忙しかった分、ちょっと更新頻度が上がりました。というと意味不明かと思いますが、旅行に行ったりするようなまとまったレジャーの時間が取れなかった分、このブログを更新する程度の時間しか自分の時間がとれなかった、ということです。

ただ、今年は読んで下さる方の参考になるほどの量をこなせない新譜レビューなどより、昨年書いたLAメタルについての文章のような、ブログではなく本サイトに残しておきたいまとまった文章を書くことにその時間を割きたいという気持ちがあり、このブログの更新頻度は下がるかもしれません。

まあ、世界情勢も、日本の社会も、メタル・シーンも、このサイト/ブログも、いろいろと見通しは不透明ですが、今年もゆるゆるマイペースでやっていきますので、お付き合いいただける方は引き続きよろしくお願いいたします。