GYZE / NORTHERN HELL SONG

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外資系メジャー「UNIVERSAL Music Japan/Virgin Music」に移籍してリリースされた3作目のフル・アルバム。

前作発表後、CHILDREN OF BODOMのサポートとしての中国ツアー、DRAGONFORCEのサポートとしての台湾公演、ドイツの『SUMMER BREEZE Open Air』、スロバキアの『MORE THAN FEST』への出演を行ない、DIZZY MIZZ LIZZYやSONATA ARCTICA、マイケル・シェンカーやウリ・ジョン・ロートなども所属する欧州のツアー・ブッキング・エージェンシー『DRAGON PRODACTIONS』と契約するなど、デビュー以来の(デビュー・アルバム自体イタリアのレーベルからだった)「海外志向」を着実に実現させ、本作もSENTENCEDやKALMAH、SONATA ARCTICAなどが使用したフィンランドの名門スタジオ『Tico Tico Studio』でミキシングを行ない、さらなる「世界志向」のサウンドに仕上がっている。

とはいえ、彼らの音楽スタイルというのはデビュー時から一貫しており、身も蓋もなく言えば「初期CHILDREN OF BODOMのフォロワー」なのだが、もはや本家自体がそのスタイルを放棄した(恐らくCOB自身、あのスタイルをあのクオリティで新しく再現することは不可能だろう)今、このスタイルを現役で、このクオリティで聴かせてくれるのは彼らくらいのもの。

厳密にいえばKALMAHあたりも今なお近しい音楽スタイルを保っているが、(失礼ながら)彼らにかつてのCHILDREN OF BODOMが持っていたような「華」はなく、その辺の「バンドのアピアランス/存在感のカッコよさ」も含めて、神がかっていた初期CHILDREN OF BODOMの魅力を現代に伝えてくれるのは彼らのみだろう。

すなわち激しく疾走していくリズムに乗って乱舞するかの如く歌い続けるリード・ギターのメロディックなフレーズの数々。この快感指数の高さは半端ではなく、3作目となる本作においてもその煽情力は衰えることがない。

本作では「カムイ(神)」や「シュマリ(狐)」、「ウパシ(雪)」など、アイヌ語を持ったタイトルを持った楽曲を数多く収め、「北海道」という彼らのルーツを表現することによって己のアイデンティティを確立しようという意識も垣間見える。

アルバム・タイトルの「NORTHERN HELL SONG」にある「NORTHERN(北)」というのはもちろん北海道のことを表しているのだろうし、彼らの音楽に多大なインスピレーションを与えたバンドの出身地である北欧にそのイメージを重ねていることも想像に難くない(ひょっとすると、「NORTHERN HELL」という響き自体は日本におけるメロディック・デス・メタルの先達BLOOD STAIN CHILDの『SILENCE OF NORTHERN HELL』にインスパイアされたのかもしれない)。

トリオというバンド編成上、私の好きな「ツイン・リードのハモり」とか「クラシカルなフレーズにおけるキーボードとの掛け合いやユニゾン」みたいなものは(ライブで再現できないからか)あまりフィーチュアされないのが物足りなくはあるのですが、文句なしに今日本で一番カッコいい若手メタル・バンドでしょう。

「海外のメタル・フェスのヘッドライナーになる」という「夢」を掲げ、実際に本作のリリースに先立って欧州で(会場規模こそ小さいものの)30公演を超えるツアーを行なっているという行動力も素晴らしいと思います。こういう「ファンが夢を託し、共有できる」バンドってとても魅力的だと思うし、さらなる飛躍を願ってやみません。

ちなみに私が本作で一番好きな楽曲は#2「Horkew」(アイヌ語における狼であり、そのイメージに託された「狩りの神」のことも指す言葉)なのですが、これ、歌詞カードを見るまでは全然気づきませんでしたが、日本語詞なんですね(笑)。ぜひ歌番組にこの曲で出演して、歌詞テロップと実際に聴こえてくる歌とのギャップで笑いをとってほしいと思います(笑)。【88点】

◆本作収録「The Bloodthirsty Prince」のMV


◆本作収録「Northern Hell Song」のOfficial Video



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