EDGUY / MONUMENTS
ドイツのメロディック・パワー・メタル・バンド、EDGUYのデビュー25周年を記念したベスト・アルバム。
楽曲単位でダウンロードして聴くのが当たり前になっている現在、ベスト・アルバムなんてものにどれだけニーズがあるのかわからないが、個人的には「ちゃんと聴いてみたいが、どのアルバムから聴けばいいかわからない」アーティストへの入口としてそれなりに存在意義はあると思っている。
ベスト・アルバムをリリースするのは2004年の「HALL OF FLAMES」以来なので、今これからEDGUYを聴いてみたいと思っている人にとってはいい機会かもしれない。
ただ、そういうビギナーがいきなり2枚組なんていう重たい商品を買うかというといささか疑問で、個人的にはベストアルバムというのは1枚にまとめるべきだと思っている。長いキャリアの多い曲から、バランス良く選曲する編集センスこそがベストアルバムの付加価値だと思うので。
EDGUYの場合は楽曲の平均点が高いので、いくつかのライブ定番曲さえ押さえておけば、あとは極端に言えば適当に選曲してもそれなりに聴けるベストアルバムになると思われるが、こうしてあらためて聴くと速い曲からバラード、ドラマティックな長尺の曲からコンパクトでキャッチーな楽曲まで、クオリティの高さに感心させられる。
バラードの「Land Of The Miracle」と「Save Me」を聴き比べると、彼らがいかに垢抜けたかも端的に見えてくる。
新たに収められた新曲5曲も、彼ららしいメロディックかつエネルギッシュな楽曲に仕上がっており、ファンであればこの5曲のために買わざるをえないだろう。特に#4「Landmarks」は近年の彼らには珍しいストレートな疾走チューンで気持ちいいし、HELLOWEENの「I Want Out」を彷彿させるイントロ・リフの#5「The Mountaineer」もいい感じで、ここ10年でもトップクラスの楽曲だ。
1、2曲の新曲をエサに、全てのアルバムを持っているようなファンにベスト・アルバムを買わせるのはあこぎな商売だと思うが、5曲であればなんとか納得できるレベルだろう。トビアス・サメット(Vo)はその辺の気遣いができるタイプのような気がする。
そして2004年、「HELLFIRE CLUB」ツアーのブラジル・サンパウロ公演のライブDVDがオマケで付いているのも嬉しい(実際の所、私にとって最大の購入動機がこれだ)。部分的には商品化されていた映像だが、フルセットでの映像商品化は初めてのはず。
映像はHDではなく、現代の感覚で「キレイな映像」とは言い難いが、パワー・メタル・バンドとして一番輝いていた時期の、上昇気流に乗っているバンドならではのエナジーが伝わってくる素晴らしい映像。メロディック・パワー・メタル・バンドに求められるライブの在り方を示すお手本のようなライブだ。
この次のアルバムのツアーもブラジル・サンパウロ公演で映像化されているが、そのタイミングでは既に「成功したバンド」としての貫禄を感じさせるようになっているので、若いバンドというのは本当にアルバム1枚、ツアー1回で成長していくのだということを感じさせられる。
ブックレットに収められたヒストリー写真もバンドの成長が伝わってくる作りになっているし、本当に良心的に作られたベスト・アルバムである。ファンはもちろん、「ファン未満、関心あり」の方にもオススメ。2CD+DVDという仕様だけにちょっと高いけど。
◆本作のトレーラー映像
スポンサーサイト