BATTLE BEAST来日公演 at 赤坂BLITZ 2017.9.27

ここ最近、稀に見るほど充実したクサメタル祭りだった『Evoken Fest』や、『IMAGES AND WORDS』完全再現のDREAM THEATER、そして個人的に一番鋼鉄魂を掻き立てられるライブを見せてくれるACCEPTと、観たいライブを公私に渡る様々な事情で見逃していて、「今年はもうLOUD PARK観て終わりかな…」と思っていましたが、BATTLE BEASTがありました。

しかも会場は赤坂BLITZ。私の職場から徒歩圏内という最も近いコンサート会場であり、これは観に行かない手はない。

赤坂BLITZ、職場から近いのですが、実際にライブを観るのは2001年のARCH ENEMY以来ほぼ15年ぶり。その間に赤坂サカスが再開発されて建て替え(改装?)されているので、現在の状態で観るのは初めて。

この会場でメタル系のライブって少ないんですよね。近年だとIN FLAMESがLAMB OF GODやUNEARTHとジョイントで来たときと、DRAGONFORCE、GWARにBABYMETALくらい? いずれも行っていませんが、スカスカだったというGWARのときを除き、普段は有閑マダムとビジネスマンばかりの赤坂サカスに場違いなメタTの人々が多数ウロウロして違和感を振りまいていたのを目撃しています(笑)。

近いということでナメすぎていてギリギリまで仕事をしていたら遅刻。当日券を買うための万札1枚だけをワイシャツの胸ポケットに入れ、上着も財布も持たずに駆け込みましたが、オープニング・アクトであるGYZEのライブが既に始まっていました。

MAXで1400人くらい入るこの会場ですが後方の2段目は封鎖されており、フロアは前半ですらかなり余裕があったので、半分も入っていなかったと思われます。開演後の当日券で入った私の整理番号も400番台でしたし。

しかしGYZEってBATTLE BEASTの前座としてフィットしてるんですかね? もちろん私自身はどちらの音楽も好きですし、「メロディアス」という共通点だけで愛せる人は少なからずいるとは思うんですが、まあでも結構違いますよね。

実際、私が観ていたのが後ろの方だからかもしれませんが、正直「様子見」という感じの人たちばかりでした(もちろん最前列付近はそれなりに盛り上がっていましたが)。

彼らを観るのはLOUD PARK 15に出演した時以来ですが、その後海外ツアー含めライブ経験を積んでレベルが上がっている感じは見て取れたものの、あの時感じた問題点はそのまま。やっぱりこの音の隙間がないことが様になる音楽スタイルでギター1本、しかもVoと兼任は厳しいんじゃないですかね。CHILDREN OF BODOMをはじめ、彼らが恐らく直接的に影響を受けたであろうバンドだってたいがいギターは2本ですからね。

あとVoもね、デス声でわめいている時はまだしも、ノーマル・ヴォイスになると途端に「普通のお兄ちゃん声」になってしまうのがちょっと興ざめというか…。これはやっぱりギターを弾きながら歌っているが故という面もあると思うんですよね。さすがに専任シンガーを入れろ、というのはこのバンドの場合無理があると思いますが、もうワンランク上に行くためにノーマル・ヴォイスもイケるセカンド・ギタリストを入れることは真剣に検討したほうがいいのではないかと思います。

最新作『NORTHERN HELL SONG』はとてもいい出来だったし、そのアルバムからの楽曲を中心としたセットリスト(と言っても6曲しかプレイしなかったわけですが)には攻めの姿勢が感じられて、そういう意味では好印象でした。例え彼らの音楽に興味のなかった人たちでも、このバンドが、というかRyojiが奏でるギターがクサメロに満ちているということは伝わったのではないでしょうか。

GYZEのパフォーマンスが終わり、セットチェンジで照明がついたところで周りを見回すと、年齢層はかなり高め。白髪頭や、だいぶ寂しくなった頭髪が目立ちます。BGMでDEEP PURPLEの「Highway Star」などが流れた際などに身体が反応していました(笑)。つまりBATTLE BEASTはそういうクラシックなHR/HMファンのハートをつかんでいるということですね。

そしていよいよBATTLE BEAST。まずはいいカラダしたイケメンなドラマーのプル・ヴィッキがオーディエンスをひと煽りし、最新作『BRINGER OF PAIN』からの「Straight To The Heart」でスタート。

私が彼らのライブを観るのはこちらもLOUD PARK 14以来なのですが、そんな私の第一印象は「ノーラ、太ったな…」というものでした。これは本格的に女子プロレスラーめいてきました(いや、最近の女子プロレスラーにはスリムでキレイな女性も多いようですが)。ノーラさん、体型で前任者を意識しなくてもいいんやで…。BEASTっぷりは歌唱力で示してくれれば充分です。

そのまま「Bringer Of Pain」に「Familiar Hell」と、最新作の楽曲がプレイされた後、セカンドからの「Into The Heart Of Danger」がプレイされる。この日のライブは現編成になった最新作からの楽曲中心のセットリストだったのだが、次に多かったのがセカンド『BATTLE BEAST』からの楽曲で、それはやはりノーラ加入第一弾で、まだ脱退したアントン(G, Vo)との確執も表面化していない時期の作品だからでしょうか。

とはいえ私が彼らの楽曲で一番好きな「Newromancer」はプレイしてくれなかったのですが(苦笑)。

GYZEのときはややおとなしかったオーディエンスもここにきて一気に盛り上がっている。私の前にいた女性も、GYZEのときは微動だにしなかったが、BATTLE BEASTが始まってからは別人のようにキレキレなダンスめいた動きを見せている。さっきまでは石化魔法にかかっていたのかもしれない。

LOUD PARKで観た時は持ち時間が少なかったこともあってか、押しの一手、という感じのパフォーマンスで、それはそれで良かったというか、だからこそ勢いが感じられて好印象だったのですが、本日のライブはトークや「遊び」があり、ライブ・パフォーマンス全体としてこなれてきたというか、本人たちがリラックスしてライブを楽しめているという印象を受けました。

なぜかバンドの「トーク担当」はベースのエーロ・シピラらしく、「日本のビールも楽しんでるよ! アサヒ、サッポロ、あと名前は忘れたけどドラゴンが描いてあるやつ」などという音楽とは関係のない話も色々としてくれました。まあ麒麟はドラゴンというよりは合成獣(キメラ)ですけどね(どうでもいい)。

しまいには「アサヒ・チャレンジ」と称して、ヤンネ・ヴィルクロト(Key)がショルダーキーボードで『スター・ウォーズ』の「帝国のマーチ(ダース・ベーダーのテーマ)」を弾きながら、エーロが口元に差し出したスーパードライの350ml缶を一気飲みするという余興まで披露。私がアサヒビールを担当していた時代にこれを見せてくれたら話のネタになったし、「CMとは言わないまでもWeb用の動画とかで使いませんか」と提案できたのですが(笑)。

こういう和気あいあいなムードが、中心人物だったアントンが追放されたからこそのものだとしたら、アントンの脱退はやむなしだったんだろうなあ…と思いつつ、ちょっとトークタイムはオーディエンスの人数や客層もあって静かになってしまいがちでしたし、個人的にはもっとガンガン曲をプレイしてほしかったというのが正直な所。

単純にそういうライブ運びの面を除いても、楽曲自体ノーラの歌唱をメインにしたポップ(と言っていいだろう)なものが増えているだけに、バラードやミドルテンポの楽曲、特に「ダンスは好き?」なんてMCに導かれて始まった前作収録のダンサブル・チューン「Touch Of The Night」のあたり、なんだかメタル・バンドというよりは女性シンガーのソロ・ライブを観ているような気分になってしまったのもまた事実で。

というのも、実はノーラ以外のメンバーは「普通のメタル兄ちゃん」という佇まいで、演奏が凄く上手い、というタイプのバンドでもないので、どうしてもノーラの歌唱とキャラクターだけが立ってしまうのだ。

とはいえ、本質的に楽曲志向のバンドであり、楽曲自体ライブ映えするキャッチーなものが揃っているので、盛り上がれることは間違いない。

そして実際、アンコール1曲目「King For A Day」では、オーディエンスの合唱ぶりを見たノーラが感極まって最後のほうは歌えなくなるほど。私だったらそもそもこのスカスカな会場を見て多少落胆する気持ちになりそうだが、彼ら、少なくともノーラにとっては充分感動的なオーディエンスだったようだ。

ライブの最後は新作で私が一番気に入った曲である「Beyond The Burning Skies」。この曲のちょっと切なさをはらみつつも力強く盛り上がるサビはクライマックスにピッタリですね。今後この曲がライブのエンディング定番になっていったりするのでしょうか?

アントン在籍時に観た前回のライブに比べるとやはり鉄分が少なくなっていて、そういう意味では期待していたものが提供されたとは言い難いのだが、いいライブだったことは間違いなく、こういう親しみの持てるキャラクターのバンドというのは日本では人気が出やすい気がする。楽曲も日本の80年代型HR/HMファンには親しみやすいものだし、新たなビッグ・イン・ジャパンになれるポテンシャルをひしひしと感じました。

いや、最新作は(前作も)母国フィンランドのチャートで1位だし、欧州のメイン・マーケットであるドイツでも14位と成功しているので、むしろ日本の人気は控えめに過ぎるという状況だったりするのですが。

そしてライブ終演から15分後には会社のデスクで業務に復帰していた私です。いや、最近は働き方改革の声がうるさくてそんなに遅くまで残業はしませんでしたけどね。

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ARCH ENEMY / WILL TO POWER

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前作『WAR ETERNAL』はメロデスの傑作と言っていい良質なアルバムだった。前々作『KHAOS LEGIONS』 が(彼らにしては)地味な仕上がりだったのは、人気フロントマンだったアンジェラ・ゴソウからアリッサ・ホワイト=グルーズへのVo交代をファンに納得させるための意図的な仕業だったのではないかと勘繰ってしまうほどに…。

初代シンガー、ヨハン・リーヴァを迎えて初期曲のみをプレイするBLACK EARTHでの活動を挟み、アリッサ・ホワイト=グルーズ加入後第2作目となる通算10作目のフル・アルバム。

#1「The Race」は、こりゃまたずいぶんと単刀直入に来ましたね、という感じの怒涛のスラッシュ・チューン。思わずアタマを振らずにいられない、問答無用のカッコよさ。

その後、#2「Blood In The Water」、#3「The World Is Yours」、#4「The Eagle Flies Alone」と、ヘヴィだがモダンではないギター・リフとメロディアスな「アモい」リード・ギターが絡み合う実に彼ららしい曲が立て続き、個人的には彼らに求めているものがバッチリ提供された満足感に浸ることができた。

そして#5「Reason To Believe」は、なんとアリッサのノーマル・ヴォイスによる歌唱をフィーチュアした、バラードと呼んでもいいような曲。以前インタビューでマイケル・アモット(G)はこのバンドではノーマル・ヴォイスによる歌唱は取り入れない、というようなことを言っていたような気がするが、どういう心境の変化なのか。

まあ、マイケルが忌避していたのはメタルコアのような「リフはヘヴィなのにサビで突然ポップス」みたいな方法論であって、ノーマル・ヴォイスによる歌唱そのものを嫌悪していたわけではないということですかね。

まあ、SPIRITUAL BEGGERSは全編ノーマル・ヴォイスな訳で、そりゃそうですね。実際、バラードといっても決して甘口な売れ線曲や、北欧のバンドにありがちなトラッド/フォーク路線ではなく、ブルーズの影響さえ感じられる70年代ロック・バラードといった趣な曲。個人的には甘口バラードやフォークっぽい曲の方が好みだが、これはこれでアルバムのアクセントとしては悪くない。

そして#6「Murder Scene」、これは個人的にはストライクゾーンど真ん中。このサビで鳴り響いているようなリード・ギターが大好物なんですよ、僕は。

イントロ的な小曲インストの#8「Saturnine」に導かれる#9「Dreams Of Retribution」はまるでSTRATOVARIUS(と言ってもティモ・トルキ在籍時ではなく近年の)のような、彼らにしては珍しいほどストレートに疾走する曲で、KeyのアレンジまでSTRATOVARIUSっぽい…と思ったらゲストでイェンス・ヨハンソン(STRATOVARIUS)がプレイしていました(笑)。ええ、STRATOVARIUSの大ファンである私はもちろんこの手のスピード・チューンはツボです。

アルバムのエンディングとなる#11「A Fight I Must Win」は、クライマックスに相応しい劇的なイントロと、80年代HR/HM的なダシの効いた展開が美味しい楽曲で、充実のアルバムの幕切れに相応しいスケール感のある楽曲。

全体的にリフやアレンジが現代的だった前作に比べるとシンプルかつわかりやすい作風で、ひょっとすると若いメタル・ファンには前作の方がエクストリーム・メタル然としていてカッコいい、と感じられるかもしれないが、私のようにこのバンドの魅力は70年代、80年代のクラシックなHR/HMの要素が強く感じられることだと思っている人間にとっては過去最高級の満足度が得られるアルバムである。

なお、本作の日本盤は本編のラストがオリジナルの海外版では1曲目のイントロダクションとなっている「Set Flame To The Night」になっているのだが、アウトロとして使うにはあまりにもイントロっぽい曲で、なぜこの曲順に変更したのかは謎。「The Race」のインパクトを最大化したかったからなのか、あるいはまさか日本盤ボーナス・トラックであるPRETTY MAIDSのカヴァー、「Back To Back」のイントロにしたかったから、じゃないですよね?【90点】

◆本作収録「The World Is Yours」のMV


◆本作収録「The Eagle Flies Alone」のMV


MASTERPLAN / PUMPKINGS

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元HELLOWEENのローランド・グラポウ(G)率いるMASTERPLANの、『NOVUM INITIUM』(2013)以来、通算6作目となるアルバムは、ローランドがかつて在籍したHELLOWEENで、ローランドが作曲した曲のリメイク・アルバムとなった。

なぜこのタイミングで、というと恐らくはHELLOWEENがカイ・ハンセン(G)&マイケル・キスク(Vo)をゲストに迎えての『PUMPKINS UNITED』というツアーを発表したことと無関係ではないだろう。

自分がそのツアーに声がかからなかったことに対するあてつけか、単に話題に乗っかろうという便乗商法かはともかく、あまり前向きなニュアンスは感じない。

とはいえ個人的にはローランドがHELLOWEENで残した楽曲には見るべきものがあると思っていたし、マイケル・ヴァイカート(G)にアンディ・デリス(Vo)という卓越したソングライターがいたがためにローランドの能力は過小評価されていた観もあっただけに、本作によってローランドの才能が再評価されるきっかけになれば、それ自体は悪くない話だと思う。

本作の収録曲は(例外も多いが)なんとなく時系列に並んでおり、アルバムの冒頭3曲はHELLOWEENにおけるローランド初参加作品となった『PINK BUBBLES GO APE』からの楽曲。この#1「Chance」、#2「Someone’s Crying」、#3「Mankind」という3曲を聴くと、同作のメロディック・パワー・メタル作品としての質を担保していたのはローランドだったことがよくわかる。

ローランドとしても当時は新メンバーとして、自分がHELLOWEENというバンドに期待されている楽曲を生み出すことができることを示す必要を感じていた、ということなのかもしれない。その後の楽曲はむしろHELLOWEENの多様性の部分を担うような楽曲が多いだけに、なおのことそう感じる。

特に『MASTER OF THE RINGS』(1994)収録の「Mr.Ego」や『THE TIME OF THE OATH』(1996)収録の「The Time Of The Oath」、『THE DARK RIDE』収録の「Escalation 666」などは、HELLOWEENのヘヴィ・サイドの楽曲として知られる楽曲であり、90年代にトレンドだったヘヴィ・サウンドを好むリスナーへのアプローチはローランドに一任されていたと言っても過言ではない。

もっともそのせいで日本ではローランドに対して「つまらん曲を書く奴」という印象がついてしまった観もあるが、「Mr. Ego」は欧州ではリード・シングルになっただけあって意外とキャッチーで耳に残る曲だし、「The Time Of The Oath」もリフや歌メロはともかくギター・ソロのパートはめっぽうカッコいい。

そう、本人の技術が必ずしも高くないだけにローランドについてあまりギタリストとして評価する声を聞かないが、個人的にはギター・ソロの「作曲」能力についてはかなり高いものがあると思っている。#6「Still We Go」のソロなんて学生時代一生懸命コピーしたものです(タッピングのパートが目立つ割に簡単で取っ掛かりやすかったんですよね)。

そして何と言ってもローランドがHELLOWEENに残した最高の名曲は「The Dark Ride」でしょう。日本ではアルバム『THE DARK RIDE』自体の評判があまり芳しくない印象なのであまり同曲についても充分に評価されていないような気がしますが、ドラマティックに疾走するサビ、絶品の展開と構築美を聴かせるギター・ソロと、ローランド一世一代の名曲でしょう。この曲が再評価されてこそ、本作が制作された意味も出てくるというもの。

まあ、正直な所#9「Music」みたいなつまらん曲も収録するくらいだったら、ウリ・カッシュ(Dr)が在籍しているうちに、ローランドだけでなくウリの楽曲も含めて選りすぐった楽曲でアルバムを作るべきだったと思うけど、まあタイミングというものがあるからやむを得ない所でしょう。

でもウリがいた頃ということは必然的にヨルン・ランデが歌っていたわけで、やはりその時に作っていたほうが良かったよなあ…。いや、現シンガーのリック・アルツィも充分な実力のあるヴォーカリストですが、ちょっと声質がガサツというか、ヨルン・ランデの方が器用に歌いこなしたと思うんですよね。

蛇足ですが本作のドラムは前作で叩いていたマーティン・スカロウプカ(CRADLE OF FILTH)から、リック・アルツィ同様AT VANCEのメンバーでもあるケヴィン・コットに替わっている。

◆本作収録「The Chance」のOfficial Lyric Video



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