KEE OF HEARTS / KEE OF HEARTS

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「心の鍵(Key of Hearts)」ではありません。「KEE」of HEARTSです。

KEEとは元EUROPEのギタリストとして知られるキー・マルセロのことで、そのキーとFAIR WARNINGのヴォーカリスト、トミー・ハートによるプロジェクトによるファースト・アルバム(と言ってもセカンドがあるかどうかは本作の売れ行き次第でしょうが)。

まあ、「KEE & TOMMY」とか「MARCELLO & HEART」よりは気の利いたプロジェクト名ですよね。悪くないと思います。

この手の「あのバンドの有名人とこのバンドの有名人をくっつけてできました」というプロジェクトの仕掛け人といえばもはやメロディックなHR/HMのファンにはおなじみのイタリアの『Frontiers Records』。

正直な所、『Frontiers Records』が送り出すプロジェクトというのはどれも高品質ながら、ちょっと人工甘味料めいた印象があってそんなに期待しておらず、ましてキー・マルセロというギタリストについても、技術的には相当高度なものを持っている人だし、ポップス畑の歌手に楽曲提供をしていたり、プロフェッショナルなミュージシャンだとは思っていたが、私個人のツボに入る音楽のクリエイターとしては認識していなかった。

まして、トミー・ハートが歌う曲に期待するのはどうしてもFAIR WARNING。SOUL DOCTORじゃダメなんですよ。

そんなわけでさほど期待せずにYouTubeにリコメンドされたアルバムのオープニング曲、「The Storm」を試聴してみたら、これはもうイントロからしてFAIR WARNING。サビの熱唱を聴く頃にはアルバムをポチっていました。

そして届いたアルバムを最後まで聴き、呟きました「これだよ、FAIR WARNINGに求めていたのは…」。

ブックレットのクレジットを見る限り、作曲にはトミー・ハートもキー・マルセロもタッチしておらず、プロデューサーであるアレッサンドロ・デル・ヴェッキオがソングライティングのイニシアティブを握っているようだが、結果としてこれだけ充実した楽曲が揃っているのであれば文句はない。

聴き込んでみればやはりFAIR WARINGに比べると洗練されたAOR風味が強いが、それでも充分にエッジがあって、近年のレイドバックした本家よりずっとメロディアス・ハード然とした「熱さ」がある(もっともその熱さを担っているのはやはりトミー・ハートの歌声だが)。ぶっちゃけ『GO!』以降のどのFAIR WARNINGのアルバムより楽曲が充実している。

キー・マルセロもさすがのギターを聴かせているものの、さすがにヘルゲ・エンゲルケやアンディ・マレツェクほどの強烈な泣きは発散しておらず、別にキー・マルセロである必然性はなかったのではないかという気もするが、これもまた結果良ければ全て良し。ベースやドラムも全然知らない人ですが、まったく問題なし。

しかし驚きなのは、FAIR WARNINGなんておよそ日本以外では全く無名だったはずなのに、ここまでFAIR WARNING然としたサウンドを人工的にクリエイトしてきたこと。90年代ならいざ知らず、このご時世に日本市場向けの商品なんか作る意味はないでしょうに。

やっぱり欧州でもこの熱き叙情に満ちた天空のメロディアス・ハードの魅力、わかる人はわかってたってことなんですかね。その辺、『BURRN!』誌はぜひインタビュー(トミー・ハートとキー・マルセロだけじゃなく、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオにぜひ話を聞いてほしい)してもらいたいものです。【87点】

◆本作収録「The Storm」のMV


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