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CYHRA / LETTERS TO MYSELF

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元IN FLAMESのイエスパー・ストロムブラード(G)と、先日AMARANTHEを脱退したジェイク・E(Vo)によるニュー・グループのデビュー作。ちなみにバンド名は「サイラ」と発音するようです。

そして、本作においてはその二人の名前から期待される音楽が提示されていると言っていいだろう。AMARANTHEを思わせるモダンなメロディック・メタル・サウンド(ただしエレクトロ・ミュージック的な要素はこのバンドには殆ど無い)に、かつて「イエスパー節」と形容されたメロディックなギター・ワークがフィーチュアされたスタイルは、イエスパーの名前にデス・メタルをを期待した人以外の期待に応えることだろう。

ジェイクとイエスパー以外のメンバーも、これまた先日IN FLAMESを脱退したピーター・イワース(B)に、ANNIHILATORやAT VANCE、AXXIS、LUCA TURILLI’SRHAPSODYなどの活動で知られるアレックス・ランデンバーグ(Dr)という実力者が揃っており、演奏面に穴はない。AMARANTHEを手掛けたジェイコブ・ハンセンによるプロデュースも極上で、素晴らしく洗練された、ヘヴィでありながら聴きやすいサウンドに仕上がっている。

そして何より哀愁を湛えつつキャッチーさ全開の楽曲の出来が素晴らしく、ALL ENDSでこういう曲が書けることは知っていたが、イエスパーの作曲センスはやはり並々ならぬものがある。そして当代メタル・シーンきってのイマドキなイケメン・ヴォイスの持ち主、ジェイク・Eのヴォーカルがこのキャッチーなスタイルにバッチリとハマっている。

やはり、これだけ歌える人がAMARANTHEという1/3にしかなれないバンドに収まるってのは難しかったんでしょうね。ぶっちゃけあのバンドのメイン・ヴォーカルは明らかにエリゼ・リードだったから、実質的には1/3以下の存在感だったわけですし。

まあ、ちょっとポップ過ぎるんじゃないの、と感じる人もいるかと思いますが、この音であればどこへ出しても恥ずかしくないというか、メタラー以外の人、特に若い人にもアピールする普遍的な魅力があるのではないかと思います。オススメです。【86点】

◆本作収録「Karma」のMV


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OUTRAGE / RAGING OUT

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LOUD PARK 17で観たことがきっかけで購入したCDその2(その1はCRY VENOM)。

2015年にリリースされた日本の古いロック・バンドのカヴァー曲と新曲半々で構成された『GENESIS I』以来、約2年ぶりにリリースされた、バンドの通算13作目、橋本直樹(Vo)復帰後では4作目、ユニバーサルミュージック移籍後3作目となるアルバム。

基本的には日本でレコーディングされているが、ミックスとマスタリングはピーター・テクレン(HYPOCRISY, PAIN)が手掛けている。アルバムのジャケットは彼らのアルバムのアートワークとしては異色なイラストだが、往年のパスヘッド風を狙ったものだろうか。

私がLOUD PARK 17の演奏を聴いて気に入ったリーダー・トラック#1「Doomsday Machine」はヘヴィでありながらも、メタルらしい起承転結のあるキャッチーな楽曲だったが、アルバム全体としてはメタル的な構築感よりは、誤解を恐れずに言えばパンク/ハードコア的な荒々しさを感じさせる作風。

いや、やはりパンク/ハードコアというのは妥当じゃないな。やはりこれはアンダーグラウンドだった頃のスラッシュ・メタルが帯びていた類の攻撃性と言うべきだろう。#6「Hysteric Creature」などはかなりあからさまにMOTORHEAD風だが、その辺に通じる荒っぽい勢いが前述の#1以降は支配的である。

ゴリゴリバキバキのスラッシュ・チューンから、このバンドが90年代以降、特に橋本直樹離脱期に強く打ち出していたガレージ・バンド的なブルース/R&Rフィーリングのある楽曲まで、彼らのキャリア、年齢を考えると驚異的なまでに荒ぶっており、耳に、いや全身に叩きつけられるアグレッションは聴いていて爽快ですらある。

今回、橋本直樹の歌唱がこれまでにもまして気合いが入っており、時にヤケクソかと思えるほどの凄絶な咆哮を聴かせており、そのいい意味で荒っぽい歌い方が、本作に漂うガラッパチな(褒めてます)印象を強めている。一方で阿部洋介(G)のギター・ワークはHR/HMならではの旨味がたっぷりで、勢いだけの若いバンドには出せない深みもちゃんとある。

いや本当に、これだけカッコいい爆音出しているバンド、今の日本にそんなにいないと思いますよマジで。彼らに興味がない人でも、音だけ聴かせたらカッコいいと思う人は結構いるんじゃないかなあ。こうなるとむしろ彼らの「伊藤政則とBURRN!誌お墨付き」みたいなイメージが逆に足を引っ張っている気さえします(本作のブックレットのクレジットにも”SUPERVISOR : MASA ITO”という記載がある)。

初期の楽曲2曲(「Death Trap」と「Step On It」)のスタジオ・ライブ音源はともかく、とてもエモーショナルなバラードの「Mother (Coming Home)」は初回限定盤だけでなく通常盤に収録しても良かったのでは。

私にとっての「スラッシュ四天王」はKREATORとTESTAMENTとANNIHILATORとこのバンドです。【86点】

◆「Doomsday Machine」のMV


◆「Hammer Down and Go」のMV(Short Ver.)



左が初回限定盤、右が通常盤です。

CRY VENOM / VANQUISH THE DEMON

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ラスベガス出身のポスト・ハードコア/ポップ・パンク・バンド、FALLING IN REVERSEのギタリストだったジャッキー・ヴィンセントが結成したネオ・パワー・メタル/ハイブリッド・スピード・メタル・バンドのデビュー・アルバム。

キングレコードがそれなりに推していたこともあってリリース当時から存在は認知していたものの、なんとなくスルーしてしまっていたが、先日のLOUD PARK 17で1曲だけ観た印象が良かったので購入してみました。

そしてアルバムを聴いてみて、予想以上に良くてビックリしました。LOUD PARKでの評判は「Voが弱い」というもので、それはアルバムで聴いてわからなくはない感じではあるものの、音楽のクオリティを下げるほどでもない。出自ゆえかちょっとエモっぽい鼻にかかった感じがあるのは好き嫌いの分かれるところかもしれないが、個人的には気にならない。

基本的にはDRAGONFORCE以降のメロディック・スピード・メタルだと思う。疾走感溢れるキャッチーなパワー・メタル・サウンドを軸に、EDMやメタルコア、時にジェントなど、欧州の伝統的なパワー・メタル・バンドが取り入れないような新しいサウンドも貪欲に取り込んだハイブリッドな感性がイマドキである。

メンバーはDRAGONFORCEのほか、ANGRAや日本のGALNERYUSなども愛聴しているということで、アメリカ人としてはかなりマニアックなメロディック・パワー・メタル・フリークのようだ。そして本作の#6「Stronger Than Steel」にはGALNERYUSのSyu(G)がゲスト参加している。

そしてこのバンドの中心人物であるジャッキー・ヴィンセントも、ポール・ギルバートやジョー・サトリアーニに賞賛され、かのテクニカル・ギタリスト専門レーベルとして知られる「Shrapnel」からソロ・アルバムもリリースしているというだけあって、テクニカルかつフラッシーなプレイを随所で聴かせてくれる。

日本盤ボーナス・トラックはIRON MAIDENの「Aces High」。ベタの極みな選曲ながら、疾走感を増していてカッコいい。

激しく展開しつつも全体としては疾走感に溢れ、テクニカルなギターとキーボードの絡み、キャッチーなコーラスを備えつつ、EDMの要素が新鮮さと個性になり、これはポストDRAGONFORCEの最右翼と呼べる存在になり得るのではないだろうか。メンバーがまだ若く、グッドルッキンであることも含め、ブレイクが期待される。

1曲目を聴いたときはCDを間違えたかと思いましたけどね(笑)。ジャケットのアートワークが80年代のファミコンソフトみたいなのはご愛嬌。【86点】


◆本作収録「Wolfsbane」のリリック・ビデオ


◆本作収録「Second Wind」のMV


GALNERYUS / ULTIMATE SACRIFICE

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担当ディレクターがバップからワーナー・ミュージック・ジャパンに転職したことを受け、同じディレクターが担当していたFear, and Loathing in Las VegasやColdrainと共にワーナー・ミュージック・ジャパンに移籍したGALNERYUSの、オリジナル・アルバムとしては通算11作目となるフル・アルバム。

レコード会社を移籍して心機一転、というわけでもなく、本作はコンセプト・アルバムだった前作『UNDER THE FORCE OF COURAGE』のストーリーのその後を描く続編的なコンセプト・アルバムである。

とはいえ、ドラマーが長年在籍していたJUNICHIからFUMIYAに代わっていることも含め、連続性がありながらも新たな出発、という印象もある作品だ。

前作が素晴らしい作品だったので、その続編となると、多くのシリーズ物の映画が2作目になるとテンションが下がるように、聴き劣りしてしまうのではないかと危惧していたが、それは全く杞憂だった。

『ULTIMATE SACRIFICE』、「究極の犠牲」なんていうタイトルからしていかにもだが、メタルにしか表現できない悲壮美がアルバムを貫き、典型的なメロディック・スピード・メタル・チューンからプログレッシヴ・メタル・タイプの曲、メロディアス・ハード風の楽曲、フォーク・メタル的なテイストを持った楽曲まで適度にバラエティを持たせつつも、これまで以上にエピカルなクサいメロディに対するこだわりが徹底されている。

こういう悲劇的な世界を歌い上げるには小野“SHO”正利の歌声はちょっと明るすぎる気もするが、これで過剰にエモーショナルな歌声の持ち主が歌い込んでしまったらちょっとクドくなりすぎる可能性もあるので、これくらいでバランスがいいのかもしれない。

圧巻は三部構成、11分半におよぶ#8「Brutal Spiral Of Emotions」から全5章12分半から成るタイトル曲#9というクライマックスで、普通であれば胃もたれしそうな濃密な大作が続くにもかかわらず、その劇的な展開が一切長さを感じさせない。

描かれるストーリーは正直ベタの極みと言うか厨二病全開なのだが(失礼)、だからこそここまでストレートに感情に訴えかける作品になったとも言えるだろう。

RHAPSODY OF FIREなど、欧州のエピック・メタル・バンドの描くストーリーはやはりマイケル・ムアコックなどの海外ファンタジー小説からの影響が強く感じられるのに対し、Syu(G)の描くストーリーというのはある種ジャンプ的な熱い少年マンガの雰囲気があって、その辺は国民性を感じてちょっと面白い。

まあ率直に言って、日本のメロディック・メタル・バンドとして他の追随を許さないほど突き抜けた境地に達してしまったなーという感じです。ジャケットが落ち着いているのは、前作のアートワークが不評だったからですかね?(笑)【88点】


これは短く編集したバージョンで、オリジナルはこれの2倍以上ありますが、2倍以上聴き応えがあります。


NOCTURNAL RITES / PHOENIX

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2000年代に日本でパワー・メタルを愛していた人間であれば、およそ10年ぶりとなる彼らの復活は、ここ数年で最も喜ばしいニュースだったのではないだろうか。

もっとも、バンドとしては別に解散していたわけではないとのことだが、生計を立てるための仕事や家族との時間を大切にするうちに10年も経ってしまったということのようだ。まあ、私もこの10年なんてあっという間に過ぎてしまったという感覚なので、そんなものかもしれない。

幸か不幸か、彼らはこのバンドで生計を立てていたわけでもなく、レコード会社に新作を待望されるようなポジションのバンドではなかったので、ニュー・アルバムを出せというプレッシャーも外部からはほとんどなかったのだろう。人間、締切のない仕事というのは往々にしてはかどらないものだ。

10年前の前作『THE 8 SIN』リリース後に脱退してしまったニルス・ノーベリ(G)の後任として迎えられたクリス・ローランド(G)は、数回のライブに参加したのみで、母国スウェーデンの大人気バンドであるSABATONにリクルートされ、当面は「掛け持ち」という形をとっていたものの、NOCTURNAL RITESの活動が本格化するとなると現実に掛け持ちは困難ということで脱退、後任には顔見知りであったSCAR SYMMETRYのペル・ニルソンが加入することになった。

本作のオープニングを飾る#1『A Heart As Black As Coal』のヘヴィなリフを聴くと、モダンなメロディック・デス・メタルであるSCAR SYMMETRYの要素がNOCTURNAL RITESに注入されたかのような印象を抱くが、こうしたモダンなヘヴィネスはジョニー・リンドクヴィスト(Vo)加入後の彼らにはずっと存在してきた要素であり、決して彼らの本質が変化したわけではない。

そもそもソングライティングはフレドリック・マンベリ(G)とニルス・エリクソン・リッドマン(B)の2人によって行なわれており(#2「Before We Waste Away」のみ、脱退してしまったクリス・ローランドが関与)、ペル・ニルソンは関わっていない。

そのペル・ニルソンはSCAR SYMMETRYや、先日フレドリック・トーテンダルの代役として出演したMESHUGGAHのLOUD PARK 17のステージでも明らかなように圧倒的なテクニックの持ち主であり、アルバム全編に渡ってこれまで以上にテクニカルなギター・ワークがフィーチュアされている(「泣き」の面ではニルス・ノーベリに軍配が上がると思われるが)。

そしてやはりジョニーの歌声が素晴らしい。こういう熱くエモーショナルに歌えるシンガーというのはパワー・メタル・シーンには少ないだけに、彼のシーン復帰は本当に喜ばしい(10年も休むのであれば、他のバンドで「課外活動」してくれてもよかったのだが)。

これまでの作品で最もヘヴィであることは間違いないし、わかりやすい疾走ナンバーが存在しないことも含め、これまでのNOCTURNAL RITESのファンが諸手を上げて喜ぶような作風ではないかもしれない。しかし全ての楽曲に息づく熱い叙情性にはなんの変化もなく、さながら「パワー・メタル版FAIR WARNING」とでも形容したくなるサウンドは健在である。

と、書いていてふと思いましたが、FAIR WARNINGもNOCTURNAL RITESも日本以外ではさっぱり人気がないのは、こういう熱い叙情サウンドは日本人の琴線に触れないのでしょうか? 出自も近い同期のバンドであるHAMMERFALLがあれだけ売れて、NOCTURAL RITESがさっぱり、というのは日本人の感覚ではイマイチ納得がいかないのですが…。【83点】

◆本作収録「Repent My Sins」のMV


◆本作収録「What's Killing Me」のMV