NOCTURNAL RITES / PHOENIX

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2000年代に日本でパワー・メタルを愛していた人間であれば、およそ10年ぶりとなる彼らの復活は、ここ数年で最も喜ばしいニュースだったのではないだろうか。

もっとも、バンドとしては別に解散していたわけではないとのことだが、生計を立てるための仕事や家族との時間を大切にするうちに10年も経ってしまったということのようだ。まあ、私もこの10年なんてあっという間に過ぎてしまったという感覚なので、そんなものかもしれない。

幸か不幸か、彼らはこのバンドで生計を立てていたわけでもなく、レコード会社に新作を待望されるようなポジションのバンドではなかったので、ニュー・アルバムを出せというプレッシャーも外部からはほとんどなかったのだろう。人間、締切のない仕事というのは往々にしてはかどらないものだ。

10年前の前作『THE 8 SIN』リリース後に脱退してしまったニルス・ノーベリ(G)の後任として迎えられたクリス・ローランド(G)は、数回のライブに参加したのみで、母国スウェーデンの大人気バンドであるSABATONにリクルートされ、当面は「掛け持ち」という形をとっていたものの、NOCTURNAL RITESの活動が本格化するとなると現実に掛け持ちは困難ということで脱退、後任には顔見知りであったSCAR SYMMETRYのペル・ニルソンが加入することになった。

本作のオープニングを飾る#1『A Heart As Black As Coal』のヘヴィなリフを聴くと、モダンなメロディック・デス・メタルであるSCAR SYMMETRYの要素がNOCTURNAL RITESに注入されたかのような印象を抱くが、こうしたモダンなヘヴィネスはジョニー・リンドクヴィスト(Vo)加入後の彼らにはずっと存在してきた要素であり、決して彼らの本質が変化したわけではない。

そもそもソングライティングはフレドリック・マンベリ(G)とニルス・エリクソン・リッドマン(B)の2人によって行なわれており(#2「Before We Waste Away」のみ、脱退してしまったクリス・ローランドが関与)、ペル・ニルソンは関わっていない。

そのペル・ニルソンはSCAR SYMMETRYや、先日フレドリック・トーテンダルの代役として出演したMESHUGGAHのLOUD PARK 17のステージでも明らかなように圧倒的なテクニックの持ち主であり、アルバム全編に渡ってこれまで以上にテクニカルなギター・ワークがフィーチュアされている(「泣き」の面ではニルス・ノーベリに軍配が上がると思われるが)。

そしてやはりジョニーの歌声が素晴らしい。こういう熱くエモーショナルに歌えるシンガーというのはパワー・メタル・シーンには少ないだけに、彼のシーン復帰は本当に喜ばしい(10年も休むのであれば、他のバンドで「課外活動」してくれてもよかったのだが)。

これまでの作品で最もヘヴィであることは間違いないし、わかりやすい疾走ナンバーが存在しないことも含め、これまでのNOCTURNAL RITESのファンが諸手を上げて喜ぶような作風ではないかもしれない。しかし全ての楽曲に息づく熱い叙情性にはなんの変化もなく、さながら「パワー・メタル版FAIR WARNING」とでも形容したくなるサウンドは健在である。

と、書いていてふと思いましたが、FAIR WARNINGもNOCTURNAL RITESも日本以外ではさっぱり人気がないのは、こういう熱い叙情サウンドは日本人の琴線に触れないのでしょうか? 出自も近い同期のバンドであるHAMMERFALLがあれだけ売れて、NOCTURAL RITESがさっぱり、というのは日本人の感覚ではイマイチ納得がいかないのですが…。【83点】

◆本作収録「Repent My Sins」のMV


◆本作収録「What's Killing Me」のMV


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