GALNERYUS / ULTIMATE SACRIFICE

galneryus13.jpg

担当ディレクターがバップからワーナー・ミュージック・ジャパンに転職したことを受け、同じディレクターが担当していたFear, and Loathing in Las VegasやColdrainと共にワーナー・ミュージック・ジャパンに移籍したGALNERYUSの、オリジナル・アルバムとしては通算11作目となるフル・アルバム。

レコード会社を移籍して心機一転、というわけでもなく、本作はコンセプト・アルバムだった前作『UNDER THE FORCE OF COURAGE』のストーリーのその後を描く続編的なコンセプト・アルバムである。

とはいえ、ドラマーが長年在籍していたJUNICHIからFUMIYAに代わっていることも含め、連続性がありながらも新たな出発、という印象もある作品だ。

前作が素晴らしい作品だったので、その続編となると、多くのシリーズ物の映画が2作目になるとテンションが下がるように、聴き劣りしてしまうのではないかと危惧していたが、それは全く杞憂だった。

『ULTIMATE SACRIFICE』、「究極の犠牲」なんていうタイトルからしていかにもだが、メタルにしか表現できない悲壮美がアルバムを貫き、典型的なメロディック・スピード・メタル・チューンからプログレッシヴ・メタル・タイプの曲、メロディアス・ハード風の楽曲、フォーク・メタル的なテイストを持った楽曲まで適度にバラエティを持たせつつも、これまで以上にエピカルなクサいメロディに対するこだわりが徹底されている。

こういう悲劇的な世界を歌い上げるには小野“SHO”正利の歌声はちょっと明るすぎる気もするが、これで過剰にエモーショナルな歌声の持ち主が歌い込んでしまったらちょっとクドくなりすぎる可能性もあるので、これくらいでバランスがいいのかもしれない。

圧巻は三部構成、11分半におよぶ#8「Brutal Spiral Of Emotions」から全5章12分半から成るタイトル曲#9というクライマックスで、普通であれば胃もたれしそうな濃密な大作が続くにもかかわらず、その劇的な展開が一切長さを感じさせない。

描かれるストーリーは正直ベタの極みと言うか厨二病全開なのだが(失礼)、だからこそここまでストレートに感情に訴えかける作品になったとも言えるだろう。

RHAPSODY OF FIREなど、欧州のエピック・メタル・バンドの描くストーリーはやはりマイケル・ムアコックなどの海外ファンタジー小説からの影響が強く感じられるのに対し、Syu(G)の描くストーリーというのはある種ジャンプ的な熱い少年マンガの雰囲気があって、その辺は国民性を感じてちょっと面白い。

まあ率直に言って、日本のメロディック・メタル・バンドとして他の追随を許さないほど突き抜けた境地に達してしまったなーという感じです。ジャケットが落ち着いているのは、前作のアートワークが不評だったからですかね?(笑)【88点】


これは短く編集したバージョンで、オリジナルはこれの2倍以上ありますが、2倍以上聴き応えがあります。


スポンサーサイト