SLAYERが「最後のワールド・ツアー」を発表

SLAYERが「ファイナル・ワールド・ツアー」を行なうことを発表しました。

詳細な日程はまだ発表されていませんが、北米についてはANTHRAX、TESTAMENT、LAMB OF GOD、BEHEMOTHという、もはや既にちょっとしたフェスと言っても過言ではないほどの豪華パッケージで回ることが発表されています。

HR/HMのファン歴が長い人であれば、「ファイナル・ツアー」だの「フェアウェル・ツアー」だのといった言葉に対して、もはやそれほど重みを感じないというか「ホントに最後なの?」的な穿った見方をしてしまう人が多いのではないかと思います。

実際、SLAYERは別に「解散する」とは言っているわけではなく、JUDAS PRIESTのように「長期のワールド・ツアーはもうやらない」というだけ、という可能性もあります。彼らの年齢と、彼らの音楽が演奏者にかける体力的負担を考えれば、それは無理のないことでしょう。

とはいえ、ついにこの日が来たかという感もあります。私は別にダイハードなSLAYERファンではありませんが、「帝王」とまで称される彼らがワールド・ツアーというメタル・バンドにおける活動の最も大きなパートから退く、という姿はあまりリアルに想像できていなかったので、やはりちょっと衝撃を受けました。

BLACK SABBATHとか、KISSとか、SCORPIONSとか、JUDAS PRIESTみたいな70年代(あるいは60年代)から活動しているようなバンドが活動終了します、というのは「まあ、仕方ないよね」という気がします。と言っても今挙げたバンドの大半は活動終了してませんが。

しかし「80年代組」であるSLAYERが一線を退く、となると、これはいよいよHR/HMファンとしてはひとつの時代が終わり始めたことを感じざるを得ません。

繰り返しになりますがSLAYERの音楽というのは肉体的な負担が大きいもので、衰えた状態でプレイしてサマになる音楽でもないだけに、80年代メジャー・メタル・バンドの中で一番早く幕を引く、ということ自体は冷静に考えればある意味当然とも言えることです。老いさらばえてプレイするのが辛そうな帝王など、観ているファンも辛いでしょうし。

そういう意味では、80年代、HR/HMの黄金時代を彩ったバンドの全てが引退するのは、まだしばらく先のことでしょう(と、思いたい)。

そんな中、ほぼ同じタイミングでMEGADETHが35周年記念映像を公開し、今年1年に渡って特別なリリースやイベントを行ない、35周年アニバーサリーを祝う、というニュースを発表したのは偶然なのでしょうか。どう考えてもSLAYERのこのニュースに埋もれるような。

しかしこのパッケージ、LOUD PARKにこのまま来てほしいラインナップですよね…。
可能性があるとしたら今年というよりは来年でしょうか…。

◆ニュースソース(SLAYER)
http://www.blabbermouth.net/news/slayer-to-make-its-exit-after-one-final-world-tour/



◆ニュースソース(MEGADETH)
http://www.blabbermouth.net/news/megadeth-to-celebrate-35th-anniversary-with-special-releases-exclusive-merchandise-and-one-of-a-kind-events/

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B'z / DINOSAUR

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2018年一発目のレビューは、まさかの(?)B'z。昨年11月末にリリースされた、フルアルバムとしては通算20作目となる作品。

私が最後に聴いたB'zのアルバムは2000年にリリースされた11作目の『ELEVEN』以来なので、約18年ぶり、21世紀になってから初めて聴く彼らのアルバムだ。

いや、別に聴くのを避けていたわけではなく、単に積極的に聴くほどのモチベーションがなかったというだけなんですけどね。

てか、1997年の『SURVIVE』から『ELEVEN』までの3作も、CD屋でバイトしてなかったら聴かなかったな、きっと。いや、特に『SURVIVE』はかなりいいアルバムだと思いましたけどね(ビリー・シーンやパット・トーピーといったMR.BIGのメンバーが参加して話題となった『Brotherhood』もなかなか)。

今回のテーマは「70年代ハード・ロック」とのことで、全体的にキャッチーさを抑えた、力強いロック・サウンドでまとめられている。

アルバムのオープニングを飾るタイトル曲のイントロにおける、LOUDNESSの「Loudness」のそれを彷彿とさせる強烈なアーミングは、やはり恐竜の咆哮をイメージしたのだろうか。恐竜はこういうゴジラ的な声を出すような声帯は持っていなかったという説もありますが、まあその辺は雰囲気ということで(笑)。

基本的には掲げたテーマ通り、シンプルなリフを軸にしたハード・ドライヴィンなロック・サウンド中心に構成されており、時折スパイス程度にファンキーだったりジャジーだったりするのは、70年代当時、まだロックのジャンル分化が今ほど明確ではなかった時代ならではのハード・ロックを志向していればこそ、だろう。

ただ、ぶっちゃけ私が好きなB’zサウンドというのは『RISKY』(1990)から、『RUN』(1992)くらいまでの一番ポップだった頃のもので、好きな楽曲を3つ挙げろと言われたら「BAD COMMUNICATION」、「BLOWIN’」、「孤独のRunaway」というかなりチャラめなもの。

あ、彼らを好きになるきっかけとなった「LADY NAVIGATION」も外せないですね。これも彼らの曲の中でも最もチャラい部類のものですが。でもこのシングル、表題曲はもちろん、B面曲、いや彼らの用語でいう「2nd beat」の「Pleasure ‘91~人生の快楽」も時代を感じさせてまたイイんですよ。最初に聴いた中学生の頃は歌詞に出てくる「マーシャル」の意味さえ知らなかったんですが(笑)。

話が逸れましたが、そういう私個人の嗜好的な意味でいうと本作の楽曲は正直な所ちょっと地味である。いや、サウンドはハードなので、ある意味派手だけれども、キャッチーさ、ありていに言うと歌謡曲っぽさに欠ける。

前作『EPIC DAY』から本作までの間にリリースされたシングルの全てが収録されているわけではないあたりも含め、売れ線のアルバムを作ろうという意識はなかったのだろう。

もっとも、彼らの場合キャッチーな売れ線のシングルはフルアルバムに収録されないことが多く、先に私が好きだということで挙げた楽曲もベスト・アルバムにしか収録されていなかったりするので、それは今に始まったことではないのですが。

ただ、聴き込んでいくと今回、松本氏のギター、特に何気ないバッキングのプレイなどが骨太な感じで凄くいいなあ、と。サウンドも相変わらず聴けば一発で彼だとわかる独特のトーンで、こんなにギターの存在感があるJ-POPは今時なかなかない。

とはいえ一聴して耳を引くのはシングル曲である#2「CHAMP」のイントロやAメロなどに顕著なキャッチーな哀愁感で、やはり彼らの最大の魅力はこういうちょっと都会的な哀愁だと思うんですよね。B’zに「ロック」を期待する人には満足度の高いアルバムだと思いますが、個人的にはもっとこういうキャッチーな哀愁を盛り込んでほしかったかな。

ちなみに本作では、レギュラーのサポート・メンバーであるシェーン・ガラース(Dr : YNGWIE MALMSTEEN, MICHAEL SCHENKER GROUP他)にバリー・スパークス(B : YNGWIE MALMSTEEN, MICHAEL SCHENKER GROUP, DOKKEN他)の他、JANE’S ADDICTIONのクリス・チェイニー(B)、元ROB ZOMBIE、現OZZY OSBOURNEのトミー・クルフェトス(Dr)が参加している。

なお、本作の初回限定盤には『ROCK IN JAPAN 2017』における、彼らのライブステージ映像(DVD / Bru-ray)が特典として付属している。このステージはROCK IN JAPAN 2017参加者の間でかなり評判が高く、実はこれを観たかったので本作を購入した次第です(笑)。

彼らのライブはかつて一度観たことがありますが、その音圧、パフォーマンスは完全にHR/HMのそれです。正直『ROCK IN JAPAN』というか、その運営元である『ROCKIN’ ON』がプッシュ/サポートするアーティストというのはB’z的なアリーナ・ロックというか、スタジアム級のロック/ポップ・アーティストに対するアンチテーゼだと思っていたのですが、平成も終わりに近づき、もはやポップ・ミュージックにメジャーとマイナーの境界線がなくなったということでしょう。

実際、私は2度ほど『ROCK IN JAPAN』に行ったことがありますが、そこに集まる若者たちは、お気に入りのバンドはあれど、ジャンルにはこだわりのなさそうな感じの、良くも悪しくも「普通の若者」という感じで、目の前にあるものが楽しそうなら観る、というスタンスに感じられました。そしてB’zはちゃんと彼らのハートをつかみ、アウェー感のない盛り上がりが映像に収められています。私も「Ultra Soul」で「ハァイ!」したい(笑)。

しかし稲葉氏はイケメンなのにチャラさがなくて、歳をとってもハゲずデブらず、ロックスターなのに高学歴と、マジで女性にとっては理想の旦那さんですよねえ。この音楽性でMCが敬語なのが個人的には違和感なのですが(笑)。

◆本作収録「Dinosaur」のMV

イントロで松本氏が使っているのはLOUDNESSの高崎晃氏のランダムスター。やっぱり「オマージュ」なんですね。

◆本作収録「CHAMP」のMV


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2018年 新年ご挨拶

遅くなりましたが、新年あけましておめでとうございます。

2017年は、理屈ではなく素直に「これ良いじゃん」と思える作品が多く、個人的には豊作な年でした。
前エントリーでピックアップしたアーティストは、どれも学生時代に聴いていたら今以上にドハマリしたであろう、素晴らしい作品群だったと思います。

ただ一方で、客観的にはというか、ワールドワイドな音楽ビジネス上においては、2017年のHR/HMはあまり活況だったとは言い難い年だったような気もします。

全米チャートでTOP10に入ったHR/HM系の作品というとQUEEN OF THE STONE AGEの「VILLAINS」(3位)、MASTODONの「EMPEROR OF SAND」(7位)、STONE SOUR「HYDROGRAD」、EVANESCENCE「SYNTHESIS」(8位)くらいで、いずれも過去最高位ではなく、当サイト/ブログの読者的には「そもそもそいつらってHR/HMなん?」という感じのバンドばかりです。

まあ、単純に2016年のMETALLICA、BON JOVI、MEGADETHのような大物アーティストのリリースがなかったから、と言ってしまえばそれまでですが、そういう「リリースの谷間の年」ができてしまう程度の層の厚みしか、もはやHR/HMというジャンルには役者が存在していないというのは一面の事実です。

2000年代以降にデビューしたバンドで、全米TOP10にランクインした実績があるAVENGED SEVENFOLDやFIVE FINGER DEATH PUNCH、MASTDONといったバンド群も、かつてそれこそBON JOVIやMETALLICAが獲得したようなマスな大衆的人気を持っているとは言い難く、あくまで熱心なファンをある程度のボリュームで抱えているだけ、という感じです。

今年話題になった若手バンドとしてはCODE ORANGEやPOWERTRIPなどが挙げられると思いますが、この辺もマニア受けの域を出ず、彼らが今後全米TOP10に入るようなバンドに育つかというと(バンドのポテンシャルの高さとは関係なく、世情的に)甚だ疑問で、2010年代のHR/HMは2000年代よりさらにマニアックな方向に向かっている気がします。

STEREOGUMやPitchfolkといった有名音楽Webメディアでメタルとして高く評価されているバンドの多くは、前世紀に確立された「クラシック・ロック」としてのHR/HMが好きな人間にとってはあまりピンと来ないことが多く、こういう音楽が「メタル」として認知されるようになると、いわゆる『BURRN!』読者的な意味でのHR/HMファンと新世代のファンの間に、かつてそういう「オールド・ウェイブ」なメタル・ファンがNU METALやメタルコアに対して感じた以上の、大きな断絶が生まれる気がしてなりません。

アメリカ、日本に続く世界第3位の音楽市場であるドイツではKREATORがデビューから30年以上の時を経て初のチャートの1位に輝き、ビッグ・イン・ジャパンだと思われていたARCH ENEMYの新譜が3位にランクインするなど、比較的オールド・ファッションな意味でのメタルというジャンル自体が他の音楽マーケットに比べて強い印象ですが、それも結局は熱心なメタル・ファンが発売と同時に購入するからであって、そこから大衆に広がっていく、ということはまずありません。

そういう意味で、このストリーミングを中心とした新しい音楽ビジネスのスキームの中で、HR/HMというのは完全にマニア向けの音楽というポジションに収まってしまったのだと思います。

とはいえ、それはHR/HMに限ったことではなく、一部の現在トレンドな売れ線のサウンドを除くと、ほぼあらゆるジャンルが現在そういう状態になっており、一定以上にディープな要素がある音楽は全てマニア向けの物になっていると言えるでしょう。

レコードやCDというパッケージで音楽を保有していた頃は、お金や保管場所の問題で聴ける音楽が限られ、それが逆に自分の持っている音楽、自分が選んだ音楽への愛着を生んでいましたが、聴きたい音楽がネット環境さえあればいつでもいくらでも聴ける状況では、次から次へと新しい音楽(それは必ずしも最新の音楽を意味せず、その人にとって未知の、過去のカタログも含む)に触れることができてしまいます。

そうなると、あらゆる音楽が良くも悪くもフラットに感じられ、特定のサウンド、アーティストへの偏った思い入れというのが生まれづらくなるのは仕方のないことでしょう。

ある意味それは、変なこだわりを持たずに偏見なしで音楽に向き合えるということにつながりますし、自分が知っている(購入できる)狭い世界に閉じこもることなく新しい音楽に触れることができるという意味で、健康的な状態であるとさえ言えます。

そしてそれはポジティブに考えれば、HR/HMもかつて90年代に受けたような疎外と迫害を受けることなく、フラットに受け入れられる可能性がある、ということだと思いますし、実際、最近の若い人はリアルタイムで80年代、90年代を体験した人に比べ、メタルという音楽に対する偏見は薄いように感じます。

とはいえ、自主的に音楽を深く掘らないような普通の人がHR/HMに興味を持つ「きっかけ」になるような、多くのメディア(SNSなども含む)で注目を集めるようなスターが生まれないことには、永遠にマニアックなままでしょう(そういう意味で、BABYMETALやX JAPANがいる日本はまだマシなのだと思います。真面目な話)。

そんな状況であっても、現時点においては私の好きな音楽(メロディックなHR/HM)は充分に供給されているので、ある意味問題はないのですが、長期的に見れば、HR/HMのファンが減少していくとやはりバンドが食えなくなって供給も細っていくと思いますし、新しいバンドがデビューし、活動していくのも難しくなっていくと思いますので、HR/HMにはもっと人気が出て売れてもらわないと困ります。

こういうHR/HMについてのブログなどをやっていても、「自己満足でやっているだけで、他の人に薦めているわけじゃないよ」というスタンスでレビューなどの文章を書いている方も多く見かけます。というか私自身基本的にはそういうスタンスです。そういうスタンスの方が責任がなくて楽ですからね。

ただ、とはいえ自分の書いた文章がきっかけでそのバンドに興味を持った、メタルがもっと好きになった、という人がいたら嬉しいですし、自分の好きなものが外部の人たちに高く評価されたら誇らしい、と感じる程度には俗物なので、できれば私が好きなタイプのメタルがもっと知られてほしいなあ、と思います。

なんだか書いていて思いのほか話が大きくなってしまったので、パーソナルなレベルに話を戻すと、昨年はACCEPTやDREAM THEATER、EVOKEN FESTなど、観たいライブを仕事の都合などでかなり見逃してしまいました(EVOKEN FESTは単にチケットが取れなかっただけですが)。

今年は既に発表されているだけでも、ARCH ENEMYや、『THUNDERSTEEL』30周年のRIOT、それにMYRATHが出るPAGAN METAL HORDEや、BEAST IN BLACKが出るSUOMI FEST、さらにNOCTURNAL RITESをはじめメロディック・パワー・メタル・ファン垂涎の顔触れが発表されているEVOKEN FESTなど、行きたいライブが目白押し。もちろんHELLOWEENの「PUMPKIN UNITED」ツアーは言わずもがな。

アルバムも、ANGRAをはじめ、昨年より大物感のあるバンドのリリースが多そうな気がします。STRATOVARIUSなんかもそろそろでしょうか。

昨年はサイトの更新に使っていたPC(古いOSでないと動かないサイト作成ソフトを使っています)が壊れたこともあって、本サイトの更新がまったくできませんでしたが、代替機を入手したので、今年はそちらも更新できるといいな、と思っています。

そんなこんなで「ご挨拶」というにはやたらと長くなりましたが、こんな文章を最後まで読んで下さるような方は今年もよろしくお願いいたします。