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ANGRA / OMNI

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MEGADETHに加入したキコ・ルーレイロ(G)が実質脱退し(本作では1曲のギター・ソロのみに参加。ラファエルの表現を借りると、「ファミリーではあるがメンバーではない」)、後任にマルセロ・バルボーザ(KHALLICE, ALMAH)を迎えて制作された、ファビオ・リオーネ(元RHAPSODY OF FIRE)加入後第2作目。

前作「SECRET GARDENS」は、プログレッシヴ・メタル色が強く、ラファエル・ビッテンコート(G)がリード・ヴォーカルをとる曲が4曲もあったこともあり、ややラファエルのソロ・アルバム的な趣があったが、本作はファンがANGRAと聞いて期待するサウンドが全方位的に(そしておそらく意図的に)表現されている。

日本のファンがイメージする、明朗なメロディック・パワー・メタルと、テクニカルなプログレッシヴ・メタルを主軸に、シンフォニックなアレンジ、母国ブラジルの民族音楽のエッセンスを随所に取り入れた黄金のANGRAサウンドは、その楽曲タイプの収録バランスや曲順、コンセプト・アルバムという仕立てまで、制作のイニシアティブをとったラファエルが、名作「TEMPLE OF SHADOWS」を意識していることが端々から伝わってくる。

#5「The Bottom Of My Soul」に#9「Always More」と、バラード系の楽曲を2曲も収録しているのも、「TEMPLE OF SHADOWS」から「Wishing Well」というバラード系の楽曲が母国ブラジルでヒットしたことと無関係ではないかもしれない(特に前者を自分で歌ったことは、あわよくば自分が歌った曲をヒットさせたいと思っている?)。

もはやオリジナル・メンバーが自分だけ、そして前作が好評とは言い難かった状況だけに、「失敗できない」というプレッシャーは相当なものだったに違いない。

過去の名盤を再現しよう、などという「守りの姿勢」に入った試みは往々にして失敗しがちなものだが、本作については「TEMPLE OF SHADOWS」を超えているとは言えないまでも、それがかなり高いレベルで成功していることは間違いない。

非常に音楽的密度が濃く、複雑に構築された音楽ながら、随所に彼ららしい伸びやかなメロディと心地よい疾走感のマリアージュが存在するため、それほど難解な印象を持たずに聴き通せるのが良い。

キコ・ルーレイロの代役という重任を任されたマルセロ・バルボーザも、ALMAHで披露していたバカテクを遺憾なく発揮しており、おそらく過去曲の再現も問題ないであろうという安心感を与えてくれる。

アンドレ・マトスやキコ・ルーレイロというスター性のあるメンバーの陰に隠れがちだったラファエルの「してやったり」という表情が透けて見えるような充実作である。

デビュー以来のオールド・ファンとしては、ファビオの歌唱に「コレジャナイ感」もないわけではないのだが(とはいえもちろん過去のシンガーに比べて実力的に劣る所は全くなく、しかも前作に比べれば「ANGRAっぽく」歌おうとしているように感じられる)、久々に新しいファンを獲得できそうな、優れた仕上がりのアルバムであることは間違いない。【88点】

◆本作収録「War Horns」のMV


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