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GYZEがX JAPAN の「Forever Love」やレリゴーのカバー動画を公開している件について

北海道出身のメロディック・デス・メタル・バンド、GYZEが、X JAPANの名バラード「Forever Love」のカバー音源をMV化して公開していました。



パンク風メタル・カバーという謎の説明がなされており、バラードだった原曲がアップテンポになっています。

動画の説明文を見ると、「彼らへのリスペクトと一人でも多くの方にGYZEのスタイルの音楽を認知してもらうために作ってみました」とのことで、ご本人たちとしては、広告業界的な言い方をすると「認知拡大施策」のつもりでカバーをしてみたようです。

まあ最近、YOSHIKI絡みでX JAPANがメディアで話題になることも多いですし、小泉元首相のおかげで「Forever Love」は「紅」と並んで、彼らの楽曲で最も有名なものの一つであることは確かでしょう。

この動画の存在に気付いたのは、たまたまYouTubeの「あなたへのおすすめ」に出てきたからですが、どうやら最近これ以外にもいろいろとカバー音源映像を公開している様子。

まずは、「暑中見舞い」と称して、大ヒット映画『アナと雪の女王』のテーマ・ソングだった「Let It Go」をカバーしている。



まあ、北海道のバンドとして雪と親和性も高いので、と言いたい所ですが、これまたご本人たちとしては認知拡大を狙った「ネタ作り」でしょう。

さらには、先日ロシアで行なわれたサッカーのワールドカップのタイミングに合わせて、ロシア民謡「カチューシャ」のカバーなども公開していたり。



まあ、北海道はある意味ロシアと接していますし…というのはさすがに苦しい、時事ネタに便乗した話題作り。

しかも、この夏のさなかにRyojiがソロ名義でヴィヴァルディの「四季」から「冬」のカバーも披露していたり。



これは一般受けを狙ったというよりはギタリスト受けを狙ったものだと思いますが。

そんな中、先日このブログでも取り上げた「龍吟」を、DRAGONFORCEのVo、マーク・ハドソンが日本語で(!)歌っているバージョンのMVも公開されている。



動画タイトルに「English ver.」とありますが、これ、日本語バージョンですよね…? いや、「英国人が歌っているバージョン」という意味であれば確かに「English ver.」ですが…。

てか、そもそも日本語で歌わせる必要あったんですかね? 楽曲の完成度を損なうだけのような…。

…とまあ、最近やたらとツッコミどころのある動画を次々とアップしている彼ら。

もちろん、状況や立場によって例外はあるにせよ、「動かないよりは動いた方がいい」というのは人間社会における基本。

そういう意味で、彼らのこういうアクションを前向きなものと捉えることは可能でしょう。

しかし、いち広告屋として言わせてもらうと、「順序が違う」。

有名な人が変わったことをやれば、それは話題になります。例えばX JAPANが「Let It Go」をカヴァーしたら、それはかなりの話題になるでしょう。

しかし、ベースとなる認知がない人が変わったことをやっても、普通は誰も興味を持ちません。見ようと思いません。

つまり、

変わったことをやる→話題になる→有名になる

ではなく

有名になる→変わったことをやる→話題になる

なのです。

新垣結衣が変なダンスを踊るから話題になるのです。無名の女の子が変なダンスを踊っても、それは単なる変な子でしかありません。

このことは、先日の「だんご3兄弟」カバー、「めたる3兄弟」がスベった(と、本人たちが思っているかどうかはわかりませんが、少なくとも当初期待していたほどの再生回数には達していないはず)ことで学習していると思っていたのですが…。

たしかにX JAPANが有名になるきっかけは、バラエティ番組に出演するという「変わったこと」でした。ただ、それは圧倒的な人数に観られることが保証された「変わったこと」でした。視聴率が10%を超えるようなテレビ番組でプレイするのであれば、オリジナル曲よりも、「めたる3兄弟」や「Let It Go」や「Forever Love」の方が話題になることでしょう。

しかし、興味のない情報でも届けてしまうプッシュ型のメディアであるテレビと違って、インターネットは基本的にはプル型のメディアなので、せめてTrue Viewやプロモツイートなどで広告しない限り、単に動画を公開しただけでは、既存のファンが見るだけで、新規層は開拓できません。

そして私のような「既存のファン」が望み、広めたいと思うのは、余興のようなカバー動画ではなく、彼らの才能が表現されたオリジナル作品です。

例えば、最新作からのこのMV(リリック・ビデオ?)、これは上記で紹介したどのカバー動画よりも私の心を震わせます。



もちろん私個人はファンなのでカバー動画も楽しみました。ファン・サービスとしてはこういうのもいいと思います。

ただ、もしこれらの動画で新しいファンが獲得できることを期待しているとしたらそれはいささか甘い考えで、新しいファンを開拓したいのであれば、オリジナルで新たな名曲を書くことに邁進し、より多くの人の目に触れる場でライブをすべき、というのが私の意見です。

ネタがネットでバズって通知が止まらん、みたいな話に比べると遠回りな話に聞こえるかもしれませんが、才能のあるバンドにとって実はそれが一番確実な成功への道だと思います。「本業」の時間を削って「ネタの仕込み」をするなどというのは「才能の無駄遣い」以外の何物でもありません。

一介のサラリーマンが彼らのような才能ある若者に言うのもおこがましいのですが、彼らにはイギリスの哲学者、フランシス・ベーコンの「高みに上る人は、皆らせん階段を使う」と、「一番の近道は、たいてい一番悪い道だ」という言葉を贈りたいと思います(えらそうですみません。しかし言わずにはいられませんでした)。
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DOLL$ FESTA 2018.7.29 at クラブチッタ 感想

以前一度書きましたが、私が2010年代に入って最も気に入っているバンドの一つがDOLL$BOXXでして、今回ボブ・ディランに惹かれつつもフジロックを蹴ってDOLL$BOXX主催のフェス(というか対バンイベントですが)DOLL$ FESTAに足を運んできました。

この週末は台風ということで、先週はどうなることやら、と危惧していましたが、メンバーの心がけが良かったのか首都圏については台風の影響は大してなく、今日は普通に晴れていた(とはいえ、西日本から来ようとしていた人は影響を受けたのかもしれません)。

このブログの読者にはあまり馴染みがないかもしれないので一応説明しておくと、DOLL$BOXXとは国内きってのテクニカルなガールズ・バンド、Gacharic Spin と、元LIGHT BRINGER、現Fuki Communeのヴォーカリスト、Fukiによるプロジェクトで、このイベントはそのDOLL$BOXXをヘッドライナーに、Gacharic SpinとFuki Commune、さらにFukiが掛け持ちで在籍しているUnlucky Morpheus、そしてGacharic SpinとSHOW-YAのヴォーカリスト、寺田恵子によるプロジェクト、寺田リック・スピンの計5バンドが出演するというもの。

つまり、出演5組のうち3組のヴォーカリストがFuki、3組の演奏陣がGacharic Spinという、出演バンドの割には出演者の少ないイベントです(笑)。

このイベントの前に買い物などしていたら到着が予定より遅れてしまい、開演時刻ギリギリの15時に到着。当日券込みでソールド・アウトになった(した?)場内は盛況で、前の方に進むこともできず入り口近くの後方で開演を迎えることに。

ちなみに客層は40代~50代と思われる男性が大半で、典型的な嬢メタルの客層。このイベントのTシャツ着用率の高さが高いロイヤリティと「お布施」に対する高いモチベーション(タニマチ意識?)を感じさせる。

Fuki Commune

1バンド目はFuki Commune。アルバムは未聴だったが、YouTubeでちょろっと聴いた曲でアニソンみたいなポップな曲をやるプロジェクトなんだな、と高を括っていたら、意外とメロスピな曲が多くて耳を引かれる瞬間が多かった。

ドラムが非常に私好みのタイム感の持ち主なのを筆頭に演奏のクオリティも高く、音量がいささか大きめで耳栓なしでは厳しかったが、普通にメタルのライブとして楽しめた。「Bloody Rain」なる新曲もカッコよかったし。

赤いドレスをまとったFukiも魅力的だった…と言いたい所だが遠くてあまりよく見えず。クラブチッタは天井高いんだからステージをもっと高くしてほしい。「お立ち台」に立った時だけ見えたパフォーマンスは、なんとなく仕事で何度か観た声優アイドルを思わせるものだったが、オーディエンスがサイリウムを振り回すようなことはなく一安心…だったのですが。この時点では。




寺田リックスピン

Fuki Commune終演後、タバコ組やトイレ組が場外に出たのに乗じてフロア中央あたりまで進出する。

2番手はイベントでSHOW-YAとGacharic Spinが共演したことをきっかけに結成された、SHOW-YAのヴォーカルである寺田恵子とGacharic Spinのコラボ・プロジェクト(ロゴがなぜかBABYMETAL風)。

要はGacharic Spinのメンバーをバックに寺田恵子がSHOW-YAの曲とGacharic Spinの曲を歌うという、プロジェクト名通り「そのまんま」な企画。

そしてGacharic Spinの曲がプレイされると、オーディエンスの1/4くらいがサイリウムを振り回し始める(苦笑)。

SHOW-YAの曲は、SHOW-YA自身もライブではプレイしたことがないという「地下水道の月」(名バラードです)みたいなレアな曲もプレイされ、「その後で殺したい」なんかはだいぶアレンジが変わっていて面白い。

AC/DCの「Whole Lotta Rosie」のカヴァーなんかもカッコよかったが、思いのほかメタルTシャツ着用率の低いこの会場でどれくらいニーズがあったのかは?

寺田恵子のためにあるような曲、「年齢不詳の魔女になりたい」は、途中に聖飢魔IIの「蝋人形の館」が挟まれ(「お前も蝋人形に…してやらない」)、個人的には非常に楽しめた。

SHOW-YAの代表曲、「私は嵐」と「限界LOVERS」はかなりオリジナルに忠実なアレンジで、オリジナルよりキレのいい演奏で楽しませてくれました(笑)。


Unlucky Morpheus

ゴシック・シンフォ風味のメロディック・スピード・メタル・プロジェクト。Fukiは先ほどのFuki Communeとは打って変わって黒い衣装を身にまとい、金髪のカツラをかぶっている。

どうやらいわゆる同人系のプロジェクトらしく、GALNERYUS / THOUSAND EYESのドラマーでもあるFUMIYAを除くと、メンバーが全員陰キャな感じ(笑)。

素に近いと思われるFukiのMCは、アッパー系コミュ障みたいな妙なテンションが個人的にはちょっと見ていて(聞いていて)落ち着かない(苦笑)。

でも音楽はクラシカルなメロディック・スピード・メタルとして非常にクオリティが高く、この手のサウンドは学生時代の私だったら思いっきりハマったと思われます(もちろん今も好きですが)。




Gacharic Spin

Unlucky Morpheus終演後、いったん場外に出て、ドリンクチケットをコーラに変えてカフェインと糖分をチャージ。ソールドアウトと言いつつギュウギュウではないので、再び先ほどと同じ真ん中辺りのポジション取りに成功する。

そして始まったGacharic Spin。いや、メチャクチャ楽しいですね、これ。彼女らの音楽はメタル指数でいったら本日一番低いのかもしれませんが、もはやジャンルとか関係なく全人類が楽しめるエンターテインメントという感じ。

キャッチーな楽曲、キレッキレの演奏、そして何よりメンバーが凄く楽しそうに演奏していること。寺田リックスピンの時から思っていましたが、特にギターの笑顔が素晴らしいですね。日々のビジネスで荒んだ心が癒されます。

昨年「コンサートに頻繁に行く人は幸福度が高いことが科学的に証明」という眉唾なニュースがありましたが、このバンドのライブは確かに幸福度を上げる気がします(笑)。

中でもハンバーガーの着ぐるみ(?)を着た、歌って踊れるキーボーディスト、オレオレオナの振り切ったパフォーマンスはインパクト絶大。

キーボードを前に傾けて弾いている時の運指を見せる、というのはイェンス・ヨハンソン(RISING FORCE~STRATOVARIUS)および彼に影響を受けたHR/HMキーボーディストによってよく見ますが、キーボードを横に(いや、縦というのか、あれは?)立ててソロをプレイするのは初めて見ました。

さらに、ダンサー(肩書はパフォーマー)がリュックのようにキーボードを背負い、四つん這いになった状態で背中のキーボードをオレオレオナが弾く、というのも私にとって斬新なパフォーマンスでした。メンバー全員歌えるだけに、まさに全員主役状態でステージ上が百花繚乱のごとく、「常にどこかで何かが起きている」状態。

このむやみやたらな全力投球感、かつて一度映像作品で観たことがある、ももクロのステージに通じるものを感じました(褒め言葉になっているかどうかわかりませんが…)。

本日に関しては私の右隣にいた人がずっと「振り付け」を踊り続けていて、しばしば私の方に勢いよく振り出されてくるその腕の動きをよけることに神経を使う必要があったのが若干の難点でしたが(苦笑)。ライブで楽しみたい、という人はこのバンドのライブを観るべきです。マジで。

もうここまでで充分満足でしたが、この後DOLL$BOXXがあるというのですから、6800円というチケット価格はきわめて良心的。




DOLL$BOXX

そして本命、DOLL$BOXX。約5年前にその存在を知ってから、ずっと観たいと思っていた夢が叶いました。

夢という割にはこれまでのライブを見逃していたのは、私があまり嬢メタル界隈のニュースを積極的に取らないという怠慢によるものですが(苦笑)。

そしてそのライブは5年越しの期待にバッチリ応えるものでした。

アルバムで私の心をとらえたFukiの歌唱は、本日3ステージ目にして(!)ピッチの安定感という面では最高のクオリティ。だんだん調子が上がってきたということなのか、ちょっと疲れているくらいのほうがパワーをコントロールしやすいのか、それともこのバンドの楽曲が一番合っているということなのかわかりませんが、心の琴線にダイレクトにドロップキックしてくるような強烈な歌声に、胸が熱くなるのを抑えられませんでした。

MCについては、何やら「クールなキャラ」を演じていましたが(とはいえ、わざと失言しては自らの頬を打つ、という小芝居で笑いを取ることは怠らない)、Fuki CommuneやUnlucky Morpheusの時のような素のトークよりもむしろステージMCとしては締まっていて、この人は歌手よりも声優の方が向いているのでは、という気がしてしまったり。

奇跡の歌声を持つFukiと、奇跡の演奏力を持つGacharic Spinのコラボレーションは、まさにマジカルと呼ぶに相応しいケミストリーで、FukiとGacharic Spinのメンバーの性格や音楽的な方向性はあまり合わない(少なくとも長期的にはどこかでぶつかりそう)と思われるだけに、レギュラーなプロジェクトにはならないだろうという意味でも非常に貴重なものを観た気分です。

メンバー全員カッコよかったですが、パワーもキレも女性離れしたテクニカルなドラミングをしながらヴォーカルもやり、時にスクリームし、時にラップし、要所ではスティック回しまでキメる はな さんにはつい恋に落ちそうでした(笑)。



アンコールでは出演者全員がステージに上がり、DOLL$BOXXのメンバーに、Fuki CommuneとUnlucky Morpheusのギター、そして寺田恵子御大を迎えてのセッション。

なお、DOLL$BOXXのTOMO-ZO(G)と、はな(Dr)は「疲れて帰った」とのことで(笑)、「たまたま通りかかった」北欧(の方)からメタルの素晴らしさを伝えに来た、METALLIC SPINのカワイ・トモーゾ(G)とノーズ(Dr)が代役として参加。この辺はこれまでの事情を知らない人には「?」な感じですね(苦笑)。

セッションでプレイされたのはM.S.G.の「Armed And Ready」。まさか「私は嵐」のリフに似ているから、という選曲でしょうか?。 METALLIC SPINらしい選曲といえばそうですが。

※METALLIC SPIN参考映像


5時間立ちっぱなしは少々しんどかったですが(約1か月後のEvoken Festはもっと長くなるのだろうか…)、とても素敵な「ひと夏の思い出」になるライブでした。どのバンドも、観るなら次は単独で観たいかな。

MANILLA ROADのリーダー、マーク “ザ・シャーク” シェルトンが死去

アメリカのヘヴィ・メタル・バンド、MANILLA ROADの創設者であるギタリスト、マーク “ザ・シャーク” シェルトンが7月27日午前、『Headbangers Open Air』(我らが日本のLOUDNESSも出演していました)出演のために滞在していたドイツで死去したことが、バンドのヴォーカリストであるブライアン・パトリックのFacebookページで告知されました。

MANILLA ROADは日本では(恐らく日本に限りませんが)有名とは言い難いので、こういうほぼメタルのことしか書いていないブログの読者の方でさえ「誰?」という方が大半なのではないかと思います。

しかし、彼らはその筋ではカルト的な支持を誇るバンドで、どの筋かというと「エピック・メタル」と呼ばれる音楽の界隈で、MANILLA ROADはこのジャンル(?)におけるパイオニア的な存在としてマニアには高く評価されています。

…ということは、私も一時期「エピック・メタル」について掘り下げていた時期に初めて知ったことですが。

エピック・メタルというのは、訳すと「壮大な・叙事詩的メタル」ということで、日本で比較的よく知られたバンドでいうとMANOWAR、BLIND GUARDIANやRHAPSODY OF FIRE、KAMELOTあたりの音楽はこのジャンルに属するものとみなされています。この辺のバンドはこのブログの読者の方にはファンだという方も多いのではないでしょうか。

MANILLA ROADは1977年(私が生まれた年!)にカンザス州ウィチタでマーク “ザ・シャーク” シェルトンとそのハイスクールの友人を中心に結成され、1980年にデビュー・アルバム『INVASION』をリリース。

デビュー・アルバムの時点のサウンドはまだヘヴィ・メタルとは言い切れない(しかし、ヘヴィ・メタルでないとも言い切れない)、サイケデリック・ロック的な要素のあるハード・ロック・サウンドを鳴らしていたが、この時点でアルバムのアートワークにエピック・ファンタジーの象徴ともいえる「剣」が描かれており、13分超えの「The Empire」を筆頭に、長めの楽曲をプレイするという、後のエピック・メタルに通じる要素が確実に存在していた。

1982年にリリースされたセカンド・アルバムのタイトルが『METAL』であることから、当時イギリスからアメリカに伝わり、浸透しつつあったNWOBHMの影響を受け、己が取り組むべき音楽がヘヴィ・メタルであることを自覚していたと思われる。

サード・アルバム(1983)『CRYSTAL LOGIC』はエピック・メタルにおけるクラシックとして評価されている名盤で、近年のライブでもセットリストのハイライトとなっていたのは本作からの楽曲だった。

その後、80年代のHR/HMブームのさなかにあっても全く売れない、フォー・マニアック・オンリーな作品群をリリースし続けたものの、メタル暗黒期である1990年代に入り解散。その後、伝統的なメタルが復興した欧州で巻き起こっていた再評価の声に応えるかのように2001年に再結成、80年代当時と大きく変わらぬ作品群をリリースし、細々と活動を続けていた。

2015年のインタビューでマーク “ザ・シャーク” シェルトンは「私は死ぬまでこれをやるよ」と語っていたそうですが、その言葉通り、ライブのステージを行なったその翌日に亡くなりました。死因の詳細は発表されてはいませんが、心臓発作を起こしていたようです。

こんな文章を書いておきながら、私がこのバンドの音楽のファンだったかというと、とてもそうは言えないというのが正直な所で、先述のエピック・メタルを掘り下げていた時期にお勉強感覚で彼らのアルバムに耳を通しましたが、実際の所それはかなりの忍耐を伴う経験でした。

もちろんその音楽のムードは私の嫌いなものではありませんでしたし、楽曲単位ではいくつか楽しめるものもありましたが、彼らのシケシケなC級メタル・サウンドは、基本的には(上手い演奏、良好なサウンド・プロダクション、わかりやすいメロディを好むという意味で)メジャー志向である私にはかなり厳しいものがありました。

エピック・メタルの元祖的存在とはいえ、彼らがいなかったらBLIND GUARDIANやRHAPSODY OF FIREが存在しなかったか? と問われると多分そんなことはなかったと思われ、後続に影響を残さなかった先駆者に歴史的な意義があるかというと微妙な所ではあります。

しかし(恐らくは単なるマーク “ザ・シャーク” シェルトンの個人的趣味であった、ヒッピー・カルチャーの一環としての幻想文学ジャンルのひとつである)「剣と魔法」のファンタジーと、ヘヴィ・メタルの相性の良さを発見し、それをほぼ商業的成功には目もくれず生涯に渡って追求したという事実は、一人のアーティストの生き様としては尊敬に値すると思ったので、このブログで取り上げてみました。

そう、ドラマティックなヘヴィ・メタルにはファンタジーな歌詞が合うのです。たとえ幼稚と言われようとも。

だって劇的な盛り上がりの中、力強いハイトーンで歌い上げられる歌詞が「君と出会った夏のあの日、僕は運命の恋に落ちたのさ」とか「コーヒーを飲んだら、また歩き出そう。前を向いて、躓いてもいいから」みたいな歌詞(今私がアドリブで創作したもので、実在のアーティストの歌詞に似たものがあったとしてもそれは単なる偶然です)だと、例え英語でも脱力してしまいそうですからね(笑)。

話が逸れましたが、孤高のエピック・メタル・レジェンド、マーク “ザ・シャーク” シェルトンに黙祷を。

MANILLA ROADのオフィシャル・サイト

MANILLA ROADのYouTube公式チャンネル

※昨年のライブ映像(フル・コンサート)



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FROZEN CROWN / THE FALLEN KING

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先日のLIONE-CONTIに続き、半年前にリリースされたアルバムをレビューします。

ぶっちゃけ、今年の1月から3月の前半くらいまで、あんまり熱心にメタル聴いてなかったんですよね。他のことにハマってたこともありまして。

私は飽きっぽい方ではありませんが(このサイトが2004年から続いていることでそれは証明されているかと思います)、そんな私でもさすがにモチベーションの波はあるわけで。

その後RIOTやHELLOWEENの来日公演、そしてTHOUSAND EYESのアルバムの素晴らしさで一気に再びメタル魂に火が点いて今日に至っているわけですが、火が小さくなっていた時期にリリースされ、なんとなくレビューせずにいたアルバムの中から、「これはレビューしておきたい!」と思ったものを今取り上げている、という次第です。

以上、お読みの方にとってはどうでもいい話でした。以下本題。

2015年にデビューし、『BURRN!』誌で高評価を得たイタリアのハード・ロック・トリオ、BE THE WOLFの中心人物であるフェデリコ・モンデッリ(G, Vo, Key)による別プロジェクトのデビュー・アルバム。

このバンドでは、BE THE WOLFでは表現しきれない自身のルーツのひとつである初期SONATA ARCTICA、NIGHTWISH、CHILDREN OF BODOMといったバンドの影響を表現することを目的にしているという。

このサイト/ブログを長いこと読んでいただいている方であればご存知の通り、その辺のサウンドは私の大好物。BE THE WOLFに対しては「悪くないね」くらいの印象しかなかった私ですが、そう聴くとチェックせずにいられない。

そしてYouTubeに上がっていた#3「King」のMVを観て悶絶、これは完全に2000年代初頭のフィンランドの音(というにはちょっとKeyのキラキラ度は控えめだが/笑)。1つの国に音楽の神の加護が集中していた時期の眩いサウンドだ。

フェデリコ、『BURRN!』誌のコラムでX JAPANへの熱い愛を語っていた時点でいい奴だとは思っていましたが、本作を聴いて彼を心の兄弟に(勝手に)認定しました。

楽曲パーツ的には結構モロにSONATA ARCTICAだったり、CHILDREN OF BODOMだったり、NIGHTWISHだったりするわけですが、それがひとつのバンドの音として違和感なく収まっているあたり、やはりあの時期のフィンランドのメタル・サウンドというのは根っこが同じだったんだな、と感じさせられます。

フェデリコも歌っている(主に時々出てくるデス声担当)ものの、ゴシック/ドゥーム・メタル・バンド、ASHES YOU LEAVEのシンガーでもあるメインのヴォーカルは女性で、なかなかの別嬪さん。

歌声も女性にしては良い意味で甘さ控えめで、パワー・メタルを歌うのに相応しい芯のある声である。

ついでにツイン・ギターの片割れも女性で、しかも黒人(イタリア人とキューバ人のハーフだそうな)、しかも左利き、そしてなんと本作収録時点で17歳という若さ。このタリア・ベラゼッカ嬢がまたスタイル抜群かつとってもチャーミングで、こんな娘がこういう音楽をプレイしているというだけでこのバンドが特別な存在に見えてくる。

曲が全体的にコンパクトで、ややあっさりしている感が無きにしも非ずだが、それは聴きやすさとトレードオフの関係なので好みの問題だろう。

とにかくこのサイト/ブログの読者で、私と感性が似通っていると思っている方にはぜひ聴いてもらいたい、メロディック・パワー・メタル・ファンが今年必ず聴くべきアルバムの1枚だ(またか)。今年のブライテスト・ホープほぼ確定。【87点】

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GIOELI-CASTRONOVO "SET THE WORLD ON FIRE"が7月25日国内盤発売

HARDLINEのヴォーカリスト、ジョニー・ジョエリと、REVOLUTION SAINTSのヴォーカリスト、ディーン・カストロノヴォ(ものすごく端折った紹介です/笑)によるプロジェクト、GIOELI-CASTRONOVOのデビュー・アルバム"SET THE WORLD ON FIRE"の日本盤が7月25日(水)にキングレコードからリリースされます。

先日レビューしたばかり(リリースされたのは半年前ですが)のLIONE-CONTIは「RHAPSODYつながり」で企画されたと思われるわけですが、この二人を結び付けたのは恐らく「HARDLINEつながり」。

ディーン・カストロノヴォがHARDLINEに在籍していたのは1991年から1992年にかけてのわずか2年ほどの短い間で、その後の交流は特になかったようで、同作から最初に公開された"Through"のMVではディーンのスマホにジョニー・ジョエリから19年ぶりに電話がかかってくるという小芝居が描かれています。

これが実に良い曲で、メロハーのファンであればマストバイな感じです。