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2018年 印象に残った10枚

今年は『BURRN!』誌的にはJUDAS PRIESTの『FIREPOWER』一択、みたいな年なのだと思いますが、個人的には近年稀に見る豊作の年でした。

ここ数年は10枚選ぶ必然性さえ感じなかったのですが、今年は逆に10枚に絞るのが大変でしたね。


THOUSAND EYES "DAY OF SALVATION"
当サイトが2004年にオープンして以来の最高点を付けた作品です。
フラストレーションを抱えがちだった思春期にこの音が欲しかった。
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AZRAEL "MOONCHILD"
年末ギリギリに投下されたメロスピ最終兵器。
→レビューは年明けに



Unlucky Morpheus "CHANGE OF GENERATION"
これまた中二ハートを抱えた思春期に出会っていたら、この音に中毒死していたことでしょう…。
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浜田麻里 "GRACIA"
まさかここまで世代下のメタル・ファンを虜にする作品を送り出してくるとは…恐れ入りました。
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PRIMAL FEAR "APOCALYPSE"
今回も会心のメタル・アルバム。もはや言うことなし。
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POWERWOLF "THE SACRAMENT OF SIN"
ドイツ新世代メタルの第一人者。楽曲充実の隙無しアルバム。
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GIOELI-CASTRONOVO "SET THE WORLD ON FIRE"
今年一番曲がいいと思えたメロハー作品。エモーショナル。
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ANGRA "OMNI"
ファビオ・リオーネなしでは成しえかったかどうかはともかく、久々にらしさが発揮された名盤。
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CREYE "CREYE"
この80年代フィーリングに満ち溢れたサウンド…好きです。
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BONFIRE "TEMPLE OF LIES"
これこそ80年代型HR/HMの王道、と言いたくなる作品。
→レビューは忘れてたのでそのうち


上記の他にも陰陽座、RIOT、AMORPHIS、KAMELOT、DESTINIAなど、例年であれば10選に入ってもおかしくないようなアルバムが今年はゴロゴロありました。当たり年ですね。

ここ数年の傾向ですが、国産メタルの質の高さが際立っていました。そろそろ日本でもメタルが盛り上がってほしいのですが。

ブライテスト・ホープはイタリアのFROZEN CROWN、ベスト・ドラマーはガールズロックバンド革命のJUNNAちゃんで。

それでは皆さん良い年をお迎えください。
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GHOST / PREQUELLE

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年内最後のレビューは、メタル界隈における今年最大の話題作のひとつであるGHOSTの最新作。

本国スウェーデンの他、ノルウェー、フィンランドという北欧3国では軒並みチャート1位を獲得、ドイツで2位、アメリカで3位、イギリスでもTOP10入りと、今年最もチャート的な成功を収めたメタル作品です。

しかしそんな話題作もここ日本では国内盤のリリースさえなし。

デビュー当時はかなりレトロ・サイケなアンダーグラウンド感を醸し出していた(何しろデビュー作のリリース元はリー・ドリアンの『Rise Above』だ)が、前作『MELIORA』(2015)で一気にメジャー感を増し、商業的にも(それ以前から成果を出していたが)一気に飛躍、2016年にはグラミー賞の「ベスト・メタル・パフォーマンス」部門に輝き、名実ともに国際的トップ・メタル・バンドとなった。

一方で、昨年2017年に「Nameless Ghouls(名もなきグールたち)」と呼ばれるバック・バンドのメンバーからギャラや待遇の問題で訴えられ、それまで「パパ・エメリトゥス」と架空のキャラクターを演じていたヴォーカリストが公開された訴状などからトビアス・フォージという、初期CRASHDIETのメンバーでもあった(!)人物だということがバレてしまうというスキャンダルが発生したものの、特に人気に悪影響は及ぼさなかった模様。

やはりこのインターネット時代、バンドのキャラ設定などというものがエンターテインメントに過ぎないということが理解できないほどリスナーもナイーブではない、ということでしょうか。

事件の影響か、トビアス・フォージがパパ・エメリトゥスというキャラクターを捨て、新たに「コピア枢機卿」というキャラクターを演じる本作も、前作の流れを受け継ぎ、アンダーグラウンド臭をやや抑えた、持ち前のポップ・センスを生かしたキャッチーでオールド・ファッションなヘヴィ・メタル・サウンドを展開している。

いやでもホント不思議なんですよ、このバンドが売れてることって。日本にいるとさっぱり理解できません。

SLIPKNOTとかDISTURBEDとかAVENGED SEVENFOLDなどは、個人的な好みとは関係なく、売れている理由というのは、それまで売れていたものの文脈を見ればなんとなく理解できるんです。

しかし、このバンドについては、音楽的には完全にNWOBHM時代のHMで、アメリカで人気のあるオルタナティブ・メタルはおろか、スラッシュ・メタルの要素すらありません。バンドのイメージに反して(?)デス・メタルやブラック・メタルなどのエクストリーム・メタル的な要素もなし。

スウェーデン出身ということも踏まえれば、私が大好きな(しかし英米でほとんど人気のない)欧州メロディック・メタルに含まれる音楽性と言っても過言ではありません。

それがこのローマ法王パロディみたいな設定だけでここまで売れるのか(イタリアやフランス、アイルランドなどカトリックが強いエリアでは全く売れていないようなので、ポイントはやはりそこなのではないでしょうか)? 

現地の人に聞いたわけではないので確信はありませんが、これはいわゆる「メタル文脈」で売れたというよりは、BABYMETALのような「突然変異」なのではないかと考えています。カギは「意外性」と「わかりやすさ」の両立でしょうか。

いずれにせよ、このバンドがビジュアル含めて表現する反キリスト的な世界観と、意外なほどキャッチーな楽曲のマッチングが、キリスト教圏の人たちにとっては斬新かつ面白かった、ということなのではないかと。

本作の楽曲も非常にメロディアスかつキャッチーで、コンパクトさを増したこともあって、ある意味「ポップ・ロック」とさえ言えてしまう親しみやすさがある。

個人的には、このバンドの持つメロウなムードというのはあまりメタルに求めるものではなく、もっと熱いメタルが趣味なのですが、楽曲のクオリティの高さは認めざるを得ない、という感じですかね。

このバンドの成功を見ると、モダンな要素のないクラシックなヘヴィ・メタルでも売れる可能性がある、と考えることもできる一方、普通に音楽をやっているだけではクラシックなヘヴィ・メタルは売れない、ということがわかってしまった観もあり、個人的にはやや複雑な感情をこのバンドに対して抱いています。【85点】





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SEASON OF GHOSTS / A LEAP OF FAITH

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元BLOOD STAIN CHILDのヴォーカリストだった(というよりはアルバム『EPSILON』で歌っていた、くらいの表現の方がしっくり来るが…)ギリシャ人女性シンガー、ソフィアが帰国後新たに結成したギリシャ/イタリア人混成バンドのセカンド・アルバム。

2015年のデビュー・アルバム『THE HUMAN PARADOX』で体現していたエレクトロな要素の強いヴォーカル・オリエンテッドなメタル・サウンドを継承しつつ、より「バンド感」が強まっている印象。

女性ヴォーカルをフィーチュアしたエレクトロなメタル・サウンド、と聞くとAMARANTHEあたりをイメージする人もいるかもしれないが、あれほどダンサブルな要素や、実験的なニュアンスはなく、エレクトロなサウンドはイマドキ「風」を演出する味付けとして装飾程度に使われており、アンサンブルの中心となっているのはあくまでソフィアの歌声。

ソフィアのヴォーカルは声域や技量が特別凄いというわけでもないが、非常に聴きやすい、耳触りのいい歌声で、バックのサウンドがさほどヘヴィでないこともあり、メタル・ファンでなくても楽しめそうな音。

ギターの主張が強くない一方で、ベースが妙にうねうね動いて存在感を放っている辺りは、何となく日本のV系バンドに通じるものを感じなくもない。

当然彼女が在籍していた頃のBLOOD STAIN CHILDに通じる雰囲気もあり(もちろん基本がメロディック・デス・メタルであるブラステに比べると格段にソフトだが)、そういう意味では、あの時期のブラステを愛していた私のような人間の期待にある程度応える音楽性である。

前作『THE HUMAN PARADOX』はイントロを除く実質的オープニング・チューンの"Genesis -The Phoenix Syndrome"のインパクトが強く、その後ややおとなしくなっていって竜頭蛇尾な印象だったが、本作も聴き始めは「おお、これはなかなか良いぞ」と思わせて、その後は今一つ盛り上がりに欠け(個々の曲がつまらないわけではない)、全体的にはややおとなしい印象。

まあ、ソフィアの歌声自体あまりパワフルではないので、あまりアグレッシブなサウンドに傾くわけにもいかないのでしょうが。

全体的な印象としては最近のWITHIN TEMPTATIONをちょっとスケールダウンさせた感じという所だが、これはこれで欧州メタル・ファンとしてはなかなか美味しいサウンドで、聴いて損したとは思いませんでした。

ジャケットのソフィアはちょっと詐欺気味というか、盛り過ぎだと思いますが(笑)。【83点】





せっかく日本語バージョンも作ってくれてるのに日本盤も出ず、再生回数も寂しい限り(公開から1ヶ月強経った2018年12月30日現在で760回でした)なので、日本のみんなは観てあげましょう(日本語なのはサビだけですが…)。


WARKINGS / REBORN

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えー、年末に海外旅行に行くべく早めに仕事を納めたらインフルエンザになって海外旅行もキャンセルすることになった管理人ですこんばんは。

レビューを書く気力はありませんでしたが、久々に音楽を聴く時間がまとまって取れたので(苦笑)ぼちぼちレビューしていきます。

先日このブログで取り上げた、恐らく『Napalm Records』企画のプロジェクト・バンド、WARKINGSのデビュー・アルバム。

オーディンの導きによって真の戦いとヒロイズムの物語を伝え広めるために地上に使わされた英雄たち、という設定で繰り広げられる、その設定とジャケットのアートワークのイメージ通りのエピカルな欧州型パワー・メタルが展開される、期待通りのアルバムでした。

スピード・チューンもありつつ、力強いリフで押していくタイプの曲も多く、この手のバンドにしてはめずらしく過剰なシンフォ装飾に走らず、ギター・リフを主軸にした正統的な曲作りは、ピュア・メタル・ファンとして好感が持てます。

バンドの世界観に忠実な、キリスト教化以前のヨーロッパの雰囲気を醸し出す古代っぽい(?)エキゾチック・アレンジをちりばめた、ひたすら戦いをテーマにしていると思われる楽曲にマッチする勇壮な曲調はデビュー作にして完成の域に達しており、この手のサウンドのファンであれば安心して聴ける仕上がり。

ヴォーカルがSERENITYのゲオルグ・ノイハウザーであることは半ば明かされているようなもので(それなりに特徴のある歌声なので隠しようもないわけですが)、恐らく他のメンバーもSERENITY、もしくは『Napalm Records』所属バンドのメンバーなのではないかと推察される、危なげのない演奏力の持ち主揃い。

仲でもギターの"Steelwing"氏はなかなかこの手のバンドには珍しい、テクとエモーションを両立させた旨味のあるソロを弾いており、キャリアを感じさせます。基本的にオーセンティックなヘヴィ・メタルであるこのバンドの楽曲にフックをもたらしているのは氏の弾くリード・ギターのフレーズであると言っても過言ではないでしょう。

個人的にゲオルグ・ノイハウザーはかなり好きなタイプのヴォーカリストなのですが、こういうMANOWAR的な世界観を背負ったバンドであればもっと漢らしい歌声の持ち主の方がハマったのではないかという気も。

このクオリティで国内盤が出る気配がないのが現在の日本の厳しい所ですが、まあSERENITYでさえ売れてる感じはしないので無理もないのでしょうか。

欧州メタル・ファンであれば一聴の価値がある佳作です。SpotifyやApple MusicやAmazon Musicで普通に聴けると思いますので、ご興味ある方はぜひ。【85点】


どうでもいいですが、映画『グラディエーター』も、メタラーの琴線に触れる名作ですね。


どうでもいいですが、映画『300』も、メタラーを熱くさせる映画ですね。

LOVEBITES / CLOCKWORK IMMORTALITY

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毀誉褒貶はあれども、BABYMETALの大成功は、間違いなく日本の女性HR/HMアーティストに海外での成功の道を開いた。

BAND-MAIDや、このLOVEBITESがワールドワイドで評価されているという現状は、BABYMETALの存在なしでは成しえなかったとは言わないが、もしそれがなかったらもっと遠回りを強いられたことだろう。

いずれにせよ、チャンスをつかめるのは実力があってこそ。ドイツの『Wacken Open Air』やイギリスの『Bloodstock Open Air』といった大規模フェスでの反応も上々だったという話だし、イギリスの老舗メタル雑誌『METAL HAMMER』誌上の『Golden Gods Awards』において『Best New Band』に選出されたという事実も、「日本の、女性だけのメタル・バンド」という物珍しさによるところは少なからずあるだろうが、それだけで選ばれるものであればこれまでにいくつもの嬢メタル・バンドが存在していたわけで、彼女らのサウンド、パフォーマンスがある一定の水準以上に達していたからこそ達成できた成果に違いない。

前作から約1年ちょっとでのリリースは、間にEP『BATTLE AGAINST DAMNATION』を挟んでいることを考慮すれば短く、じっくり作り込むというよりは「鉄は熱いうちに打て」という感覚で制作したのではないかと思われる。

その分、前作に比べると楽曲が少ないこともあって、一聴した感じではややあっさりした印象を受けた。

しかし、IRON MAIDENのような正統派メタルや、時に往年のMETALLICAをすら彷彿させるスラッシーなタッチも聴かせるピュア・メタルなサウンドには充分なフックがあり、前作に比べると元ネタがモロ見えな点にも垣間見える、練り込み不足に感じられる部分も勢いで聴かせるソリッドさがある。むしろライブでは本作の楽曲の方が映えるかも。

デビューEP以来のミッコ・カルミラ&ミカ・ユッシラによるプロダクションも、特にKeyの絡め方やギターのハーモニーの録り方など、私が愛してやまないフィンランドのメタル・サウンド特有の透明なエッジがあって耳に心地よい。

個人的にasami(Vo)の歌声は(声域こそメタルを歌うに充分な広さだが)極めてJ-POPシンガーっぽいと感じているが、今の時代ワールドワイドで勝負するに当たっては「日本人っぽさ」はむしろ個性であり、武器だろう。

一方で、キャッチーさを保ちつつ、ジャパメタ・バンドが陥りがちな「歌謡曲っぽさ」を漂わせたり、日本のガールズ・バンドがやりがちな甘さに流れたりすることがない辺りは、よほど本人たちがメタル好きなのか、ちゃんとしたブレーンが付いているのかわかりませんが、このバンドが世界各国のメタル・ファンに受け容れられる大きな要因と思われる。

前作に引き続き今回も終盤が強力で、STRATOVARIUSライクな#8 "The Final Collision"、メロディック・パワー・メタル・ファン歓喜のスピード・チューン#9 "We The United"、そしてうら若い(年齢は知りませんが)女性が弾いているとは思えないエモーショナルな泣きのギター・ワークが冴える7分を超えるドラマティックなパワー・バラードの#10 "Epilogue"の流れはExcellent.

どうでもいいっちゃいいことですが、ガールズ・メタル・バンドなのにメンバーの写真をジャケットに出さない姿勢を貫いているのも個人的には好感度高いですね。

そういえば最近Voが脱退したあのバンドに代わってこのバンドが台頭してきてからは、「嬢メタル」というワードはあまり使われなくなって、「ガールズ・メタル」という呼称の方が使われるようになっているような気がするのは気のせいでしょうか。【85点】