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Nozomu Wakai’s DESTINIA METAL SOULS Live in Japan at TSUTAYA O-EAST 2019.1.21

コンポーザー、デザイナーとしても活躍するマルチタレントなギタリスト、若井望のソロ・プロジェクトDESTINIAのライブを観てきました。

最新作『METAL SOULS』は若井氏の他、RAINBOWのヴォーカルに抜擢されて一躍注目を集め、様々なプロジェクトで精力的に活躍するロニー・ロメロ(Vo)、BLUE MURDERやSYKES、再結成THIN LIZZYやWHITESNAKEなど、なんとなくジョン・サイクス周りのプロジェクトで活動してきた印象のあるマルコ・メンドーサ(B)、OZZY OSBOURNEやWHITESNAKEなどでの活躍で知られるトミー・アルドリッジ(Dr)と豪華なメンバーで制作されていましたが、本公演はそのメンバーをそのままキャスティングしていることが目玉。

バラバラに活動しているこれらのメンバーのスケジュールを合わせ、都内のそれなりの会場が空いているタイミングというのはそうそうないのだろうと思われるので、月曜日という(主にサラリーマンにとって)あまり気乗りしない日程になってしまったことはやむをえないのでしょうが、案の定仕事が片付かず15分ほど遅刻して当日券で入場。

場内に入ると、後ろの方まで人は入っておりガラガラではないものの、密度はそこまで高くなく、その気になれば前半ブロックに突入できそうな雰囲気。とはいえ荷物を持ったままだったので無理なく進める位置まで前進して鑑賞。

私が入場して始まった曲が終わると若井望氏がMCで滔々と自身がデザインしたマーチャンダイジングの紹介を始める。

アイテム数も多く、割と饒舌なタイプなので話が長い(苦笑)。ロニー・ロメロがオーディエンスに「彼は何を喋ってるんだ?」と問いかけ、若井氏の傍に寄って腕時計を指差してみせたのは、半分冗談ながら半分本気だったのではないでしょうか。

長いセールストーク明けにプレイされたデビュー・アルバムからの"Still Burning"からシームレスにトミー・アルドリッジのドラムソロ。まあ「いつもの」ドラムソロなのですが御年68にもなってあの素手でドラムをひっぱたくワイルドなドラミングを継続できるのはお見事としか言いようがありません。昔から見た目は老けていたのでルックスも変わりませんし(笑)。

ただ、そのトミー・アルドリッジ翁、やはり1回限りのショウということでのリハーサル不足か、ちょっとミスが目立ったのも事実。この夜、楽曲の入りを間違ったのは1度や2度ではなく、その都度若井氏の表情が曇ったのを私は見逃しませんでした。

極めつけは"Metamorphosis"でロニー・ロメロが歌詞を忘れたのか曲の構成を忘れたのか不明ですが、楽曲の大半のパートで歌無し状態になってしまうという、文化祭の学生バンドなどではともかくプロのバンドではまず観ることのない大失態が発生。

とはいえ以前LOUD PARKで観た時より髪が伸びてミュージシャンっぽくなったロニー・ロメロの声はよく出ていたし、歴戦のメンバーと並んで存在感負けしない若井氏のパフォーマンスも文句なく素晴らしかったのですが。

素晴らしかったと言えば本日一番(?)素晴らしかったのはPAで、とてもクリアでバランスのいい音響が実現していました。

これだけミスが目立つとステージの雰囲気が悪くなりそうなものですが、マルコ・メンドーサのラテン系らしい陽気で人懐こいキャラクターが場内の空気を温かく和やかなものにしていたと思います。

J-POP(というかアニソン?)にアレンジできそうなキャッチーな歌メロが印象的な"The End Of Love" で本編を終え、衣装を変えてのアンコールへ。

アンコール・パートのメインは、公演前から匂わされていたHR/HMクラシックのカヴァーで、まずはTHIN LIZZYの大ヒット曲"The Boys Are Back In Town"。

DESTINIAの音楽とはやや距離のある選曲で、個人的にはTHIN LIZZYをやるなら『THUNDER AND LIGHTNING』アルバムの楽曲をやってほしかった。

続くはJOHN SYKESの"Please Don't Leave Me"。これまた名曲ながらちょっと意外な選曲。

私はPRETTY MAIDSのカヴァーでこの楽曲を知った世代なので、オリジナルのフィル・ライノットのヴォーカル・ラインを踏襲するロニー・ロメロの歌にちょっと違和感。ロニーも自分のキーよりだいぶ低いだけに歌いにくそうで、むしろPRETTY MAIDSバージョンでプレイした方が聴く側である私はもちろん、歌う側であるロニーにも良かったのではないかという気がしました。

「オジー・オズボーン・ソングを聴きたいか?」というロニー・ロメロのMCに導かれて始まったのは"Over The Mountain"。

トミー・アルドリッジのキャリアに敬意を表して、ということなのでしょうが、、この曲、スタジオ音源でプレイしているのは、先日余命短いことが宣告され、オジー・オズボーンがプラチナ・ディスクを贈ったことがニュースになっていたリー・カースレイクですよね…。

この曲自体は私も好きなのですが、ライブで聴くと意外に盛り上がりに欠ける曲で、"Bark At The Moon"の方が良かったのではないかなあと思ってしまいました。

ラストはWHITESNAKEの"Fool For Your Loving"。ドラムがトミー・アルドリッジなので当然(?)、『SLIP OF THE TONGUE』収録バージョンだ。

実際の所、若井氏のギター・プレイはテクニカルではあるもののエモーショナルとは言い難く、そういう意味でもオリジナル・バージョンよりも『SLIP OF THE TONGUE』バージョンの方が適性があったということだろう。

ずっとステージの端っこでひっそりとプレイしていた、若井氏のお弟子さん、あるいは舎弟のような(笑)、おとなしい感じのサポート・ギタリストがここではソロの前半を弾き、遠慮がちにスポットライトを浴びる。

マルコ・メンドーサに「ノブ・ゴンザレス」と紹介されていた(ゴンザレスは多分冗談でしょう)彼、本当にシャイな感じで、最後のカーテンコールに参加することさえ躊躇いがちな感じでしたが、どうしてこんな奥ゆかしい人がHR/HMギターを弾いているのでしょう。HR/HMギターなんて「歌えないけどステージで目立ちたい」人が志すものなのに…(?)。

あるいは若井氏から「ステージで目立ったらクビだ」とイングヴェイ的な脅しを受けていたのでしょうか(笑)。

全体的には高品質なメロディック・メタルが、キャリア豊かなミュージシャンのパフォーマンスによって楽しめる貴重なライブだったと言えるはずなのですが、リハ不足による結構大きな粗が目立ってしまったために、手放しで「良いライブだった!」と絶賛しかねるのが正直な所でした。

この日のライブは撮影されていましたが、もしDVDなどでリリースされる場合、いくつかの楽曲はカットせざるを得ないのではないかという気がします。

なお、ロニー・ロメロについて若井氏は「次のアルバムもコイツと作る予定です」とMCで話していました。

実力的には申し分ないので、次作もきっと高品質なメロディック・メタル作品になることが期待できますが、それだとなんだか、飛躍する気がしないんですよね…。

若井氏は苗字とパッと見ほどには若くないので、DESTINIAのサウンドはデビュー・アルバムの時点でほぼ完成されていましたが、非の打ち所がない完成度の楽曲を作っている一方で、このバンドだからこそ、という特別な何かがない優等生的な印象があるのが正直な所。

ロニー・ロメロの歌はそういう優等生的で予定調和な印象をむしろ助長することになるような気がします。

充分上手いし、たぶん若井氏と同世代で性格も良さそうだし、RAINBOWのおかげで欧米での知名度もそこそこあって、とはいえ大御所というほどでもないだけにきっとギャラもそこそこなんだと思うので(笑)、今後欧米を中心に活動していくことを目指すのであればロニー以上の選択肢というのはそうそう見つからないというのもわかるのですが。







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