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BEAST IN BLACK "FROM HELL WITH LOVE" アルバム・レビュー

メイン・ソングライターとしてBATTLE BEASTを母国フィンランドのチャートで1位に持っていくほどの成功に導きながら、他メンバーとの不和によって追放されたアントン・カバネン(G, Vo)率いるBEAST IN BLACKのセカンド・アルバム。

前作はキャッチーな曲からメタリックな曲まで、とにかく楽曲が素晴らしく、ある意味「新人バンド」ながらフィンランドでは28週に渡ってチャート・インする、メタル・バンドにしては珍しいロングセラーな売れ方で最高7位を記録。

そして本作はフィンランドでは初登場1位、欧州最大のマーケットであるドイツでは、前作はかろうじて57位に1週ランクインするのみだったが、曲の良さが浸透した結果か、本作は初登場6位を記録するヒット作となっている。

そんな本作も、そのチャート成績に相応しい佳曲揃いの充実作に仕上がっている。キャッチーなヘヴィ・メタルが好きな人であれば、先行シングルだった#3"Sweet True Lies"くらいまで聴いたあたりで無条件降伏を余儀なくされることだろう。

もちろん3曲目以降も素晴らしく、どの曲もサビが強烈に頭に残り、曲名リストを見ただけでどの曲か思い出せるインパクトの強い楽曲が最後まで続く、近年では珍しいほどに楽曲の印象が強いアルバムである。

いや、近年の、特に大手レーベルからリリースされるHR/HM作というのは、それほど有名なバンドでなくとも楽曲、演奏、サウンド・プロダクションとも、ひと昔前に比べるとはるかに平均クオリティが高く、大外れをつかまされることはほとんどないのだが、このバンドについてはそういう「欠点が少ない」作品とは一線を画す、楽曲の良さが否応なしに心に刻み込まれる力がある。

人によっては「ポップ過ぎる」「80年代的過ぎる」と感じるかもしれませんが、そういう人でも本作に収められている楽曲を2回目耳にした時、そのサウンドが記憶と心に刻み込まれていることに気が付くことでしょう。

私が学生だった20年前にメタルを聴いていた友人の多くはもう積極的に新しいメタルを聴くことはなくなっている(当時好きだったバンドを聴くくらい)が、そういう友人に「なんか最近良いバンドいるの?」と聞かれた時に、久々に「いるよ!」と自信を持って薦められるバンドが出てきたな、という感じです。

YouTubeのコメントで「JUDAS PRIEST meets ABBA」という表現を目にしましたが、それはこのバンドの音楽を完璧に表現する、とてもわかりやすい表現だと思いました。超キャッチーなメロディを備えつつ、決して軟弱にならない鋼鉄感(って何だ)を備えたメタル、そんな稀有なサウンドがここに実現しています。

現在HR/HMは超エクストリームなサウンドからAORみたいなサウンドまで多様化・細分化が極限まで進んでいますが、このバンドの音楽には一定のヘヴィさに耐性がある人であれば皆わかる魅力があるのではないでしょうか。聖飢魔IIのファンならニヤリとしてしまうアルバム・タイトル含め、オススメです。【89点】





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ANTHEM "NUCLEUS"が3月29日発売

結成40周年を間近に控えるANTHEMの、ワールドワイド・リリースとなるリ・レコーディング・ベスト・アルバム "NUCLEUS"が3月29日にワードレコーズから(欧州は『Nuclear Blast』、北米/オーストラリア/ニュージーランドでは『Golden Robot Records』から)リリースされます。

過去にもANTHEMはロサンゼルスでライブをやってライブビデオをリリースしたり、イギリスの名門レーベル"Music For Nations"からアルバムをリリースしたりした経験はあるものの、正直「バンドのキャリアに箔をつけた」以上の意味はなく、海外のオーディエンスに対して彼らの音楽をちゃんと発信するのはこれが初めてと言っても過言ではない。

中心人物である柴田直人なんて既に還暦オーバーなわけで、そんな年齢になってもこういうチャンスが巡ってくるわけですから、人生いつ花を咲かせるかわからないものですね。

リ・レコーディング・ベストといっても、オールキャリアからの選曲ではなく、主に2001年の再結成後の曲、再結成前の曲はアルバム"DOMESTIC BOOTY"(1992)収録の"Venom Strike"のみということを考えると、「清水昭男加入後の曲」にこだわったということなのかもしれません。

個人的には再結成前の曲に思い入れが強いものの、再結成後の曲も充分クオリティが高いし、多少なりとも現代的なニュアンスもあるので、あえて古い曲を入れない、という判断もあながち間違いとは言えないでしょう。

果たして海外でここまでトラディショナルなヘヴィ・メタルの需要がどれくらいあるのかわかりませんが、彼らの「信念のヘヴィ・メタル」が少しでも多くの人に届くことを素直に願いたいと思います。







Download Festival Japan 2019 at 幕張メッセ 3/21 感想

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2003年にイギリスで始まり、今や世界有数の大型ロック・フェスティバルとしてフランス、スペイン、オーストラリアなどでも行なわれているDownload Festivalの、日本初開催となるDownload Festival Japan 2019に行ってきました。

正直、行くかどうかは結構迷いました。1日開催で2ステージ10バンドという規模のショボさもさることながら、初来日となるLIKE A STORM以外はいずれも観たことがあるバンドばかりで、新しい発見が期待できなかったためです。

そんな微妙なモチベーションが祟って、禁断の二度寝から目が覚めたら既に午後。

あえて観たいバンドを挙げるなら、観たことのないLIKE A STORMと、ニルス・モーリン(DYNAZTY)が加入して以降は観たことがないAMARANTHEかな…と思っていたのですが、既に終わっていました(苦笑)。

あ~、やってしまった。もう行くのやめようかな…と自暴自棄な気分になりましたが、冷静に考えると今回のチケット代はJUDAS PRIESTとSLAYERの単独公演の金額を足したより安いと思われ、まあこの2バンド観るだけでも損しないか、と思い直す。

さて何を着ていくかとTシャツを収納しているケースを開け、本日と同じくJUDAS PRIESTとSLAYERのロゴが入った10年前のLOUDPARK09のTシャツをチョイス。しかしANTHRAXとARCH ENEMYのロゴも入ってるし、10年前と被りすぎ。

OZZY OSBOURNEがキャンセルになっていなければOZZFESTのTシャツを着ていくという手もありました。MAN WITH A MISSIONのロゴも入ってるし。とはいえ、違うプロモーターのフェスTシャツを着ていくというのも失礼な話ですし、ラウパのものでよかったのではないかと思います。

HALESTORMのステージにはLOVEBITESのAsami(Vo)がゲスト参加した、などという情報をTwitterでキャッチしながら海浜幕張に向かい会場に到着すると、ちょうどARCH ENEMYが終わったタイミング。

予想と違ってかなり人出は多く、普通に前進できるのはせいぜいPAブースあたりまで。それ以上前に行きたければ荷物はクロークに預けて、それなりの覚悟を持って突入する必要がありそう。

というか、ちょっと人が多くてどのように柵でステージが区切られているのかよくわからないため、どこから前に行けるのかもわからない。こりゃ様子見だな、とBLOOD STAGE後方でとりあえず待機。

ANTHRAX

PANTERAの"Cowboys From Hell"のイントロ・リフがプレイされ、「え、いきなりカヴァー?」と思いきや、それが"Caught In A Mosh"につながってショウがスタート。

私は彼らの音楽に対してそれほど熱心ではないが、ライブはかなり良い。「スラッシュ四天王」などと呼ばれたバンドの中では断トツでステージングに貫録がないのだが、それは逆に言えば一番若々しいパフォーマンスをしているということで、メタルにおいてそれは重要なファクターである。

ウェットな感覚を排した大音量のザクザクしたギター・サウンドに身を浸していると、ああ、やっぱりメタル・フェスはいいな、という気分になってくる。

続く"Got The Time"、そしてライブ映えMAXな"Madhouse"を観たところで空腹に耐えかね離脱。キッチンカーの並ぶフードコーナーへ。

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LOUD PARKと総数では変わらないのかもしれないが、今回は一か所にまとめられているので、いつもより出店数が多いような気がする。とりあえず既視感のある屋台が少ないのが個人的には新鮮でいい。

お腹が空いていたので肉汁ソーセージタコスとマヨ玉焼きそばの二品を購入、オフィシャルバーでドリンクチケットをビールに換え、サクッと食事。

てか、肉汁ソーセージの店、まだ15時過ぎだというのに既にビール売り切れって、ちょっと来客数読み間違った?

ステージに戻ると、ラストの"Indians"を演奏中。エンディングはまたPANTERAの"Cowboys From Hell"の最後のパートが演奏されて終了。さながら"Cowboys From Hell"1曲を演奏したかのようなステージでした。これはどんな意味があるのでしょう?


GHOST

最新作"PREQUELLE"は全米チャートで3位と、欧米では既に人気バンドとしての地位を確立したGHOST。来日は2014年のSUMMER SONIC以来5年ぶり。ちょっと日本とそれ以外のエリアの人気の温度差がありすぎて、もはや単独で呼ぶことは難しくなってしまったバンドだけにこの機会は貴重だ。

中世の教会のようなステージ・セットに、顔のわからない衣装を着たバック・バンドというのは前回観た時と変わらないが、ヴォーカルが「パパ・エメリトゥス」というこれまた表情のわからないローマ法王風の衣装に身を包んだ衣装のキャラクターから、「コピア枢機卿」というちゃんと表情のわかるパンダメイクのキャラクターにチェンジしている(中の人は変わらない)のが、前回からの最大の違い。

その違いはちゃんとステージングに生きていて、動きが少なくて一方通行に感じた前回のステージに対し、オーディエンスに対してちゃんとコミュニケーションをとる双方向なスタイルに変わったことで、盛り上がりが生まれるようになっている。

世界観重視の人にとってそれがいいことなのかどうかはわかりませんが、とりあえずロック・コンサートとしてのエンターテインメント性は高まったのではないかと思います。

前回は(私も含め)オーディエンスに「様子見」感が漂っていましたが、今回はかなりオーディエンスに熱量があり、バンドの知名度や人気が上がっていることが肌で感じられました。

特に「一番ヘヴィな曲だ」と紹介された"Mummy Dust"から、打って変わってポップなダンス・ナンバー"Dance Macabre"という、楽曲のキャラ立ちが明快なクライマックスの流れで一気にオーディエンスが引き込まれていったと思います。

最後に投げキッス(!)の雨を降らせてステージから去っていったコピア枢機卿、次作もこのキャラでいくようですが、これだけオーディエンスと戯れられるのであれば、パパ・エメリトゥスに戻る理由はないでしょうね。


SUM41

2000年代前半から中盤にかけて大人気だったパンク・バンド。MAN WITH A MISSION同様、本日このラインナップの中に投入されたのはお気の毒様、という感じではあり、実際ANTHRAXの時より人は少ない気がするものの、必要にして十分なオーディエンスは集まっている。

1曲目、大ヒット・アルバム"DOES THIS LOOK INFECTIED?"からの"The Hell Song"でショウが始まると、オーディエンスは一気に沸き、前の方へ詰めかける人たちも多い。

フェスに来る中核的な世代にとっては「青春のバンド」だったりする気もするので、今現在メタルを中心に聴いている人の中にも「実は好き」な人は多いんじゃないでしょうか。

このバンドの音楽はパンク系のバンドの中ではメタル含有が高い方だし、マイナー調でアップテンポな曲は私も結構好きだったりするのですが、一度SUMMERSONICでライブを観た時には正直イマイチで、あまり期待はしていませんでした。

ただ、結論から言うと本日のパフォーマンスはその時よりも良かった。バンド自体のコンディションが良かったのか、サマソニのマリンステージが広すぎただけで、これくらいのステージの広さの方がこのバンドに合っているのかは判断つかないものの、メタル・バンドとは毛色の違うカジュアルなエナジーが感じられました。

私が好きな曲は"No Reason"と"Still Waiting"くらいしかプレイしませんでしたが、途中にBLACK SABBATHの"Paranoid"をちょろっとプレイしてみたり、最近ホットなQUEENの"We Will Rock You"をカバーしてみたりと、幅広いオーディエンスへのアピールを狙っているように映ったあたりはフェス向けのバンドだな、と思いました。

北米で行なわれた直前の公演ではIRON MAIDENの"The Trooper"なんかも(多分ちょこっと)プレイしていたようなので、今回の客層を踏まえてその辺も期待していたのですけどね。あるいは"The Bitter End"みたいなメタリックなレア曲をプレイするとか。



SLAYER

今回のツアーがラストということで、このライブを観るために来た、という人も多いことでしょう。実際、SUM41も意外と盛り上がってるなー、と思いましたが、SLAYERのステージに切り替わったときに轟き渡った歓声と「SLAYER」コールはその比ではなく、明らかに今日一のものでした。

逆さ十字や五芒星などの照明演出から始まったライブは、これで引退するバンドのものとは思えない、「これまで通り」なもの。

特にセットリストが前回LOUD PARK 17で観た時と6割以上被っていることもあり("Repentless"で始まり、3曲目に"Diciple"そして5曲目"Hate World Wide"から"War Emsamble"という流れはほぼデジャヴのようでした(苦笑)。

しかし小手先のセットリスト変更などを「帝王」に求める者はいないだろう。ヘヴィでソリッドなサウンドが隙間のない不思議なグルーヴ感と共に金属的に迫ってくる音の壁に、もはや黙って身を委ね、アタマを振るしかない。

毎度SLAYERのライブというのは、フェス終盤であるために疲労から眠くなってしまいがちなのですが、今回遅刻してまだ4バンド目であること、そしてSUM 41の途中でちょっと抜けて、モンスターエナジーのブースで無料配布されているモンスターエナジー(飲んだことない味だったけど、コーラっぽかったからモンスターキューバーリブレかな?)でチャージしたことが効いてか、眠くはない。

ただ、熱心ならぬファンの悲しさで"War Emsamble"以降、速い曲が少なく、新しめの曲が多いショウの中盤はちょっと退屈。しかしそんな不信心者に喝を入れるのは、いつだって「あのイントロ」だ。

そう、"Raining Blood"である。曲名通り、真っ赤な照明に満たされた会場に響くあの不穏極まりないイントロ・リフ。思い起こせば同じ幕張メッセで行なわれたLOUD PARK 06で初めてメタル・フェスというものを体験し、ペース配分も知らないまま疲労困憊で迎えた2日目の夜、「もう限界だ…」と立ったまま寝そうになっていた私を覚醒させたのもこのイントロだった。

その後、LOUD PARKのトリを何度もSLAYERが務めてこの体験をリマインドさせられたことで、もはや私にとって"Raining Blood"はフェスにおいてラストスパートをかける合図の曲となっている。

しかしもう、この感覚を味わうことはない。そう思うと、自分の中で「ひとつの時代」が終わったような気がして、何とも言えない喪失感が胸に満ち、自然と涙が浮かんできました。

後はもう、"Raining Blood"から"Chemical Warfare"、そして最後にステージのバックドロップが(ファンであればご存知の)ハイネケンのロゴを模した「Hanneman」ロゴになって演奏されたラストの"Angel Of Death"まで、ひたすら泣きながらヘドバンです。

熱心なファンからは程遠い私がこれなのですから、前方にいる方々は皆号泣だったのではないでしょうか。フロアはきっとサークル・ピットを走り回っている人たちの汗と涙でビショビショだったことでしょう。なるほど、だからこのステージはTEARS STAGEと名付けられたのか。

終演後、トム・アラヤ(Vo, B)が一人ステージに残り、オーディエンスを穏やかな、しかし少し寂しげな表情で見渡す。

いいんだぜトム。いつも通り「アリガトウ、オヤスミナサイ」で締めくくって、しれっと再来年あたりまた来ても、と思ったのも束の間、トムは手にした原稿を静かに日本語で読み上げた。

「コレガ ワタシタチノ サイゴノ ショウ。トテモ カナシイ。サヨナラ。イツカ マタネ」

あらかじめ予想していた、覚悟していた言葉だったとはいえ、やはり実際にその言葉を耳にするとたまらなく悲しい。その「いつか」はきっと来ないだろう。最後の別れとはだいたい「いつかまた」とか、「また今度」なのだ。

私にSLAYERの音楽を評価することはとてもできないが(なのでレビューもしていない)、ひとつだけ証言しよう。SLAYERは最後までSLAYERだったし、帝王だったと。


JUDAS PRIEST

SLAYERを失った悲しみから余韻に浸る間もなく場内に流れるBLACK SABBATHの"War Pigs"、それは鋼鉄神JUDAS PRIEST降臨の前触れである。

前回、昨年の11月の来日ツアーから半年もせずに戻ってくるとは意外で、実際にOZZY OSBOURNEがキャンセルにならなければ観られなかったのかどうかはちょっぴり怪しいと思っていますが、最新作"FIREPOWER"は昨年のメタル・シーンを代表する名盤と評価されており、ツアーもなかなか好評だったのでこうして観られるのはありがたい。

ライブはその最新作のタイトル・トラックである"Firepower"でスタート。

その後"Delivering the Goods"、"Sinner"、"The Ripper"と、初期の曲が立て続く。早くもサングラスを外してスクリームするロブ・ハルフォードは絶好調で、復帰後に何度か見た彼らのライブの中でも最高レベルに声が出ている。

そのヴォーカル含め、バンドの演奏は至って良好だが、問題は私の前に3人の背の高い男性が壁を作るかのように立ちはだかっていて、視界が至って良好ではないこと(苦笑)。ぶっちゃけリッチー・フォークナー(G)しか見えないので、不本意ながらステージ両サイドのモニターをガン見ですよね。

最新作からの楽曲を都度挟みつつ、70年代~80年代のクラシック・ソングをプレイするというのが基本的な構成になっており、ステージ後ろのスクリーンに、その楽曲が収録されているアルバムのジャケットが映し出されるという演出になっている。

"Bloodstone"が聴けたのはラッキーだったし、個人的には好きな"Turbo Lover"もライブで聴くのは初めてなので(昨年の来日公演でもプレイしたようですが)楽しめたのですが、"Devil's Child"とか"Killing Machine"って、相当地味じゃないすかね? "DEFENDER S OF THE FAITH"のアルバム・ジャケットが映し出されて"Some Heads Are Gonna Roll"がプレイされた時には心の中でズッコケましたよ、私は。他に名曲がいくつもあるだろ他に。

そんなこんなでお約束のハーレーにまたがっての"Hell Bent For Leather"から、スコット・トラヴィス(Dr)のMCに導かれての(本当は曲名をコールしてほしかったのだと思いますが、「外人が何か喋ったらとりあえず“イエー!”と言っておけ」という日本人の悪い癖が出てしまっていました)"Painkiller"。

ここまでかなり好調を維持してきたロブ・ハルフォードでしたが、さすがにこの曲はちょっと苦しそう。あの発声練習みたいなオーディエンスとのコール&レスポンスは余計だったんじゃないですかね?(苦笑)

この曲は本当にメタルというジャンルを代表する化け物みたいな名曲だと思いますが、これを還暦を超えた人間に歌わせるというのは一種の老人虐待でしょう。歌い切った後のロブはこのまま天に召されてしまうのではないかという表情だったので、そろそろセットリストから外した方がいいのではないでしょうか。

とはいえ、私のように何度か観ているならいざ知らず、初見の人はやはりこの曲を聴きたいのでしょうし、その思いに応えるあたりが彼らのメタル・ゴッドたる所以でもあるという気はしますが。

アンコール、というほどのインターバルもなく(時間が押していたのでしょう)、"The Hellion"のあの荘厳なギター・サウンドが流れ、"Electric Eye"に。

やはりロブはもう限界なのか、サビはオーディエンスに丸投げ。これはもうしょうがないと受け止めるしかないですね。

お次にプレイされたのは"Breaking The Law"だが、いつもの「Braaking The What?」「Law!」という掛け合いが省略されていたのは時間の都合だったのか、それともロブの喉が限界だったのか。

ラストは定番の"Living After Midnight"で明るく締め。終演後に流れたQUEENの"We Are The Champions"も、フェスの締めくくりに相応しい。

SLAYERがあまりにも感傷的だったので、正直JUDAS PRIESTのライブがちょっと蛇足にさえ感じてしまいましたが、これでSLAYERで終わっていたら帰りの京葉線が(みんな黒服だけに)お通夜になってしまいそうだったので、やはり今夜はJUDAS PRIESTで終わることができてよかったのだと思います。


一方向からしか入れない上に、入る人と出る人がぶつかり合う会場動線はもう少しどうにかならなかったのかという気がしますが、とりあえず観たライブはどれも良かったし、お客さんも入っている感じで、LOUD PARKの平均値よりも盛り上がっていた気がするのはオールスタンディングだったからでしょうか。

終了後ほどなく、公式Twitterに「SEE YOU NEXT YEAR!」という、来年の開催を約束するような画像が上がっており、本日の客入りを見ても、来年も続けられそう、という感じはしました。

後期のLOUD PARKに比べて若い人、特に若い女性が多く見かけられた(と言っても1割もいないわけですが)のがMAN WITH A MISSION、SUM 41効果なのだとしたら、やはり異ジャンルのアーティストを呼ぶことは集客的にプラスであるという証明になったのではないでしょうか。

とはいえ、私がマンウィズのメンバーだったら、「俺らの出る時間帯、どう考えても昼飯時じゃねーか」と気を悪くしたと思いますし、SUM 41のメンバーだったら「俺らの出る時間帯、どう考えてもSLAYER、JUDAS PRIESTの前の腹ごしらえに使われるやん」と思ったはずですので、ここまでメタラー偏重にするのもさすがに失礼なんじゃないかという気もしますが…。

まあ、いずれにせよ、欧米のアーティストはアジアとオセアニアの地域を一緒にツアーするスケジュールを組みがちなので、10月にやるよりはオーストラリアのDownload Festivalに合わせてこの時期にやる方がアーティストを揃えやすい、というのは事実なのだろうと思います。

てか、それならせめてオーストラリアと同規模でやってほしいですけどね(苦笑)。やはりフェスの醍醐味は観るアーティストを悩む楽しみがある複数ステージ、そしてできれば複数日での開催だと思うので。

とはいえ、そうやって規模を拡大してしまうとチケット代が上がって、コスト感覚にうるさい若者には敬遠されてしまうんですかねえ。

オーストラリアなんて日本の1/4くらいの人口しかいないのに、シドニーとメルボルンの2都市でやっているわけで、どうせやるなら日本も東京と大阪でやるくらいの気概を見せてもらいたいと期待しています。

…てなことを、帰りの電車のピークタイムを外すために入った海浜幕張駅近くのラーメン屋で考えました(笑)。


Downlord Festival Japan公式サイト

URIAH HEEP 来日公演 at Billboard Live TOKYO 2019.3.20 2nd SHOW

1969年結成という、LED ZEPPELINやDEEP PURPLE、BLACK SABBATHといったHR/HMのオリジネイターとされるレジェンドたちと「同期組」であるブリティッシュ・ハード・ロック・バンド、URIAH HEEPの来日公演がビルボードライブ東京で行なわれると聞いて、最初は何故にこの場所で? と思ってしまったのが正直な所です。

昨年、元KISSのギタリストであるエース・フレーリーの来日公演がここで行なわれていましたが、HR/HM系のライブがこの会場(というか正確にはレストランですが)で行なわれるのは極めて稀。

それこそアメリカのビルボード・チャートでは全盛期でさえTOP40がやっとだったURIAH HEEPが出演するというのは、いささか場違い感が否めませんでした。

ただ、個人的にはだからこそ興味を持ったというのが正直な所。アメリカよりもドイツや北欧で人気が高かったというのも頷ける彼らの音楽性は私好みであるものの、なにぶん世代ではないので、この来日公演が普通にクラブチッタとかクアトロでやっていたら、恐らく私は行かなかったことでしょう。

しかしレストランで、飲食しながら観るHR/HMのライブとはいかなるものかを体験してみるレアな機会と考えるなら乙なもの。

ぶっちゃけスタンディングのライブは年々しんどくなっているし、どうせ飲み食いするなら安くてそこそこの店より高くても美味い店がいい、というタイプでもあるので、そういう意味では悪い話ではない。平日であれば1日2回公演で、遅い回は21:30からというのも仕事終わりに行きやすいし、そもそも東京ミッドタウンであれば渋谷や川崎より会社からも近い。

というわけで仕事終わりにタクシーで駆け付ける。基本的に1人で来ることが想定されていない場所なので(苦笑)、見知らぬ人が座っているテーブルの空いている場所に着席。フィッシュ・アンド・チップスと隅田川ゴールデンエールを注文し、飲みながら開演を待つ。

そして定刻になると、私が下りてきたのと同じ階段からメンバーが登場、歓声と拍手の中ステージに立つ。もちろんレストランだけに席から立ち上がる人はいない(おそらく立ったらウエイターに他の客の邪魔になるので座れと言われることでしょう)。

オープニングは最新アルバム"LIVING IN A DREAM"のオープニング曲でもあった"Gazed By Heaven"。現代に通じる魅力を持つ力強いハード・ロック・ナンバーだ。

実は会場が会場だけに、ハード・ロックな曲はプレイせずにアコースティックなアレンジにしたり、メロウな楽曲中心になったりするのではないか…と予想というか危惧していたが、全然そんなことはない。演奏もステージングも、恐らくクラブチッタでやっていたとしても今観ているものと同じだっただろうと思う(笑)。

2曲目は彼らにとって80年代最大のヒット作である(と言っても全英34位、全米56位)14thアルバム"ABOMINOG"からの"Too Scared To Run"。日本のファンにとってなじみ深い曲とは言い難いように思うが、これまたハード・ロックな曲で、今夜彼らがこの会場をロックする気でいることが伝わってくる。

その後"Living In A Dream"に"Knocking At My Door"と、最新アルバムからの曲が続き、この公演がビルボード・ライブ向けの「懐メログレイテスト・ヒッツ・ショウ」などではなく、あくまで最新アルバムに伴うツアーの一環としてのライブであることが示される。

とはいえ、その後は70年代前半の全盛期からの楽曲ばかりだったのですが(笑)。

私の前方の席に座っていた外人さんが、新しい曲がプレイされるたびに曲名を手帳にメモしていて、こういう人がsetlist.fmに投稿してくれているのかな、などと思ったり(笑)。

唯一のオリジナル・メンバーであるミック・ボックス(G)は、71歳の立派な「お爺ちゃん」だけあって、髪の毛などは真っ白で年齢を感じさせないと言ったら嘘になりますが、老け込んだ感じはなく、未だに「現役のロック・ギタリスト」感は充分。

ヴォーカルのバーニー・ショウも、デヴィッド・バイロンやジョン・ロートンといった過去の名シンガーほどに評価されている感じはないものの、その安定感のある歌唱とステージングは、さすがこのバンドにおける歴代最長のフロントマンらしい存在感に溢れていて、この人がいたからこのバンドは続けられたんだろうな、という気がしました。

リズム隊がヴォーカルおよびメロディ楽器(ギター&キーボード)より若い(と言ってもドラムのラッセル・ギルブロックは54歳らしいので、決して凄く若い、というわけではないですが/苦笑)だけあって、結成50年という年月を感じさせないパワフルさがパフォーマンスから漲っていました。これで本日2回目のステージですからね。

日本でもヒットしたサード・アルバム"LOOK AT YOURSELF(邦題:『対自核』)"からの"Look At Yourself"と"July Morning"がやはり一番受けていた感じで、私の近くで熱心に声援を送っていた女性は"Look At Yourself"の時に「座ってなんかいられない!」と言わんばかりに一番後ろの壁の、他の人に邪魔にならない場所に移動して立って声援を送っていました。

個人的にも最初に聴いた彼らの曲は、GAMMA RAYがカヴァーしていた"Look At Yourself"だったので、この曲がハイライトだったと言えるでしょう。

アンコールとして演奏されたのは"Sunrise"と、彼ら最大のヒット曲(全米39位)である"Easy Livin'"だったのですが、後者の際には「我らの友人で、JUDAS PRIESTのメンバーだ」と紹介されたリッチー・フォークナー(G)が登場、ゲストとして演奏に参加していました。

翌日行なわれるDownload Festival Japan 2019のために来日していることは承知していたものの、まさかここでJUDAS PRIESTのメンバーが現れるとは。宿泊は幕張のホテルじゃないんですかね?

リッチーがURIAH HEEPのファンだったのか、今後5月から6月にかけて行われるJUDAS PRIESTの北米ツアーのサポートがURIAH HEEPなので、「ご挨拶」感覚なのかは不明ですが、彼が参加したのはこの回だけだったようなので、どうやら私は「当たり」を引いたようです(笑)。

ただ、きっとプレイするだろうと思っていた"Lady In Black"をプレイしなかったのは意外だったし、個人的には"Rainbow Demon"をやるくらいなら、BLIND GUARDIANがカヴァーしていたので親しみがある"The Wizard"をプレイしてほしかったというのが正直な所。

とはいえ、1日2回公演のためか、1ステージ1時間強のコンパクトなセットリストだったので、「あれもやってほしい、これもやってほしい」という要望に応えるのは難しいのでしょう。

体験してみての結論から言うと、個人的にはやはりHR/HMというのは「食事のBGM」には適さないように思うし(消化不良を起こしそう/笑)、やる側のみならず、聴く側も頭を振ったり拳を突き上げたりと、アクティブに動きたくなる音楽なので、こういう会場は不向きだなあ、と思ったのが正直な所です。

NIGHT RANGERとかFIREHOUSEあたりがアコースティック・セットで出演します、とかであればハマりそうな気がしますが、そういう「企画公演」でないとちょっと無理があるかなと。

とはいえ、ちゃんとお客さんは入っていたし、こういう形でHR/HMを楽しみたい、という人が一定数いるのであれば、これはこれでHR/HMにおける新たなビジネスの在り方になり得ると思うので、今後どんどんマネタイズが難しくなる音楽ビジネスにおける新しい方法論の示唆があるのかもしれません。

HR/HMのライブとして物足りない部分はあったものの、なかなか珍しい体験ができたという意味では、チケット代(と、飲食代)に対して元は充分取れたかな、と思っています。



1973年の武道館公演の映像という凄い代物がアップされていました。


BATTLE BEAST "NO MORE HOLLYWOOD ENDINGS"が3月22日国内盤発売

フィンランドのメロディック・メタル・バンド、BATTLE BEASTの5作目となるフル・アルバム"NO MORE HOLLYWOOD ENDINGS"の日本盤が3月22日(金)にワードレコーズからリリースされます。

メイン・ソングライターだったアントン・カバネン(G, Vo)が脱退して制作された前作は、アントンの持っていたメタル趣味が消え、メロディアス・ハード色が強まった音楽性で母国フィンランドで1位(ちなみにその前作も1位)、ドイツでも14位に食い込むヒットとなりました。

そして脱退したアントンのバンドであるBEAST IN BLACKが先日充実したアルバムを発表し、母国フィンランドのチャートで1位、欧州最大のマーケットであるドイツでも6位というヒットを記録するなど、ちょっとした「BEASTフィーバー」状態が起きており(?)、本作は『BURRN!』誌のレビューでも90点を獲得、2週間前に公開された"Eden"のMVは公開から2週間で100万回再生を突破するなど、ここに来てさらなる人気の拡大が期待できそうです。