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FROZEN CROWN 来日公演 at TSUTAYA O-WEST 2019.4.12 感想

魅惑の女性メンバー2人を擁するイタリアのメロディック・パワー・メタル・バンド、FROZEN CROWNの来日公演を渋谷にあるTSUTAYA O-WESTに観に行ってきました。

今日の仕事のスケジュールなら余裕かと思いきや、やはり色々あって開演時間の19時前ギリギリに到着。

場内のトイレに行って戻ってくるとほどなく照明が落ち、新作収録の神秘的なインスト曲、"The Wolf And The Maiden"が流れ出す。

そしてメンバーが登場すると、それまでほぼ満員状態に見えていた場内だったが、一気に前方に人が詰め、私のいる後方には若干余裕ができる。とはいえこの程度のスペースしか空かないようであれば、ほぼほぼ満員に近い人入りなのではないだろうか。

そしてメンバーが登場して演奏を始めたのは、新作1曲目のイントロ的なインスト曲、"Arctic Gates"。

おいおい、イントロは"The Wolf And The Maiden"だけで充分なんじゃないかい? 個人的にはあまりこういうイントロダクション的な曲をライブの1曲目で本人演奏する意味を感じない。

やっぱり1曲目からヴォーカル入りの曲で一気にボルテージを上げたいが、インスト曲だといかにカッコいい曲でもなんだか「聴く」姿勢になってしまうんですよね。かつてRIOTが"Narita"でショウを始めた時にも同じことを感じましたが…。

そしてせめてそのイントロから勢いよくなだれ込むように歌入りの曲に入ってくれればともかく、続く"Neverending"がプレイされるまでにも妙な間が空いてしまう。アルバムで聴く時の曲間より長いよ!(フェデリコのギターのチューニングが少しおかしかったのを修正していた可能性はあるが)。

しかしまあ、ようやくヴォーカルのジャーダ“ジェイド”エトロが登場し、ザ・メロディック・パワー・メタルな楽曲が始まったことでようやく心のギアが入る。

サウンドは悪くないし、演奏も破綻がない。ドラムはかなりパワフルだ。そしてメンバーが皆グッド・ルッキンかつキャラが立っていて、ステージ自体に華があるのがこの手のメロディック・パワー・メタル・バンドとしては稀有である。

続いて前作デビュー・アルバムからの"To Infinity"がプレイされた後、ヴォーカルのジェイドが軽く挨拶程度のMCを入れ、その後は前作と新作の曲を織り交ぜてプレイしていく。

気になるのは、曲と曲の間に常に妙な間があり、その間オーディエンスが静かになって、シーンとした妙な空気が生まれてしまうこと。これはある意味自業自得ながら、バンドを不安にさせてしまうのではないかと心配になってしまった。

たぶんジェイドはMCを聞く限りあまり英語が得意ではないと思われ、初めての日本でのライブということで緊張していることもあって、うまく喋れなかった部分もあるのだろう。

であれば、もっと次々とスムーズに楽曲を繰り出してくれればよかったのだが、たぶんそういう阿吽の呼吸でプレイできるほどにライブの経験を積んでいないのだろうということは明らかだった。

とはいえ、個々の楽曲は破綻なくプレイできており、パフォーマンスもちゃんと動きがあって、楽曲単位の練習、リハーサルはちゃんとやってきたんだろうな、という印象で、アルバムで感じた楽曲の魅力はちゃんと伝わってきた。

彼らの楽曲で一番YouTubeの再生数が多い人気曲"Kings"をプレイする前には「みんな一緒に歌ってね。"Over And Over Again"」というサビにフレーズを歌った後、急にオーディエンスにアカペラでの歌唱演習を求めたのは「え?今歌うの?」と思ったし、それ以外にもアンコール前の本編ラスト曲(?)がドラム・ソロというのもかなり謎な構成だったりと、ステージ進行についてはだいぶ違和感があったのも事実だが…。

そしてそのドラムソロから、インタールード的に"The King's Rest"が流れた後、バンドの音楽的中心人物であり、BE THE WOLFのリーダーでもあるフェデリコ・モンデッリ(G, Vo)が1人で登場し、アコースティック・ギターの伴奏でX JAPANの"Tears"を(なかなか達者な日本語で)歌ってみせる。

かつて『BURRN!』誌のコラムでX JAPANへの愛を熱く語っていたフェデリコなので、十数年前にSONATA ARCTICAが日本のレコード会社の担当者にそそのかされて"Silent Jealousy"を(ちょこっと)プレイしたのとは違ってガチな歌い込みである。

フェデリコは「FROZEN CROWNの音楽とX JAPANの音楽には共通点がある」というようなことを言っていたので、恐らく本日のオーディエンスは皆X JAPANのことをよく知っていて、きっと好きだろうと思ってこの楽曲をプレイしたに違いないが、場内の反応はやや微妙。

日本のメタル・ファンにとってX JAPANというバンドは賛否両論な存在であるということまでイタリア人であるフェデリコが知らなかったとしても、それは責められないことだろう。単純に"Tears"という選曲が微妙だったという説もあるが。

さらにフェデリコは「BE THE WOLFで6月に来るよ!」と自身のもうひとつのバンドの宣伝をした後、ジェイドが「ヘヴィ・メタルに戻るわよ」と呼びかけて、デビュー作からのMV曲のひとつ"I Am The Tyrant"をプレイ。

この日のステージはよくあるバンドロゴや新作アートワークのバックドロップすらない非常に簡素なものだったが、この曲ではMVに登場する「FC」と書いてある赤い旗をジェイドが持って現れ、数少ない「ステージ演出」となった。今後IRON MAIDENのライブにおける"The Trooper"のイギリス国旗のような存在になるのかもしれない。

この頃にはメンバーも、日本人は静かになるからといって楽しんでいないわけではない、自分たちはちゃんと歓迎されている、ということが理解できたのか、かなりリラックスしてステージを楽しんでいる様子で、ラスト2曲"Netherstorm"から"Shieldmaiden"というスピード・チューンの畳み掛けは素晴らしかった。

終わってみると、リリースした2枚のアルバムのほぼ全曲をプレイする約2時間のショウで、選曲やボリュームについては文句なし。彼らがこれまでに行なってきた8回のライブではいずれも10曲程度しかプレイしていなかったようなので、この公演が特別なものであったことは間違いない。

終演後にも「Frozen Crownコール」が起きるなど、オーディエンスの反応も良好で、非常にいい雰囲気のライブでした。

ここに記した通り、ショウ運びについてはかなりアマチュア臭く、改善の余地は大いにあったものの、それでもショウ全体に対する印象は決してネガティブなものではなく、楽曲の良さとメンバーのキャラクターによって「また次も観たい」と思わせる魅力があり、オーディエンスに「このバンドの成長を見守りたい」と思わせるものがあったと思います。

フェデリコいわくイタリアのメタル・ファンというのは、日本のメタル・ファンと同様、自国のバンドに冷たいそうですが、それなら我々日本のファンが暖かく応援してあげましょう。いいじゃないBIG IN JAPANでも。

どうでもいいですが、ライブの途中に起きるメンバーへの呼びかけコールの大半が2000年生まれ、ピチピチ18歳の女性サウスポーギタリストのタリアへのものばかり(まだ若くてシャイなのか反応薄でしたが/笑)で、Voのジェイドが嫉妬しなかったかどうかが気がかりです(笑)。





やっぱりイタリア語だといっぱい喋るんですね、ジェイドさん…。


BURRN! ONLINEのスタートについて思うこと

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先月、3月の下旬に『BURRN! ONLINE』というサイトが始動しました。

『BURRN!』の公式Twitterアカウントおよび同誌編集者である前田岳彦氏のTwitterアカウントで告知されていたのは3月24日ですが、そもそもこのサイトは完全な新規サイトではなく、"METALLIZATION.JP"という、国内バンドを中心に扱うバンドとして数年前から存在していたサイトが、どういう経緯か『BURRN!』のオンライン版としてリニューアルしたもので、オープンから1ヶ月も経っていないにもかかわらず、それ以前からの記事がサイト内に存在しています(ただ、全てのアーカイブが残っているわけではない模様)。

以下のTwitterのタイムラインログを見ると、やはり3月20日から23日の間くらいにサイト移行が行なわれたようですね。

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『BURRN!』誌については、このインターネット全盛、雑誌冬の時代にオンライン版が存在しなかったことがむしろ不思議で、そのことが『BURRN!』誌の、引いてはメタルの若年層への浸透を妨げていると思っており、同誌と縁の深い某レコード会社の方に「"BURRN!"にWeb版を作ってもらってそこでプロモーションをするべきだ」と進言したこともあるのですが、その方は「うーん、あの雑誌は体質が古いからなあ…」と、難しそうな反応でした。

しかしこうして曲がりなりにも「WEB版」が登場したことは、やはり全盛期の1/3以下に部数が減少し、海外のメタル雑誌である"KERRANG!"にせよ"METAL HAMMER"にせよ、もはやWEB版が主戦場になっているという現実を踏まえての(苦渋の?)決断なのでしょう。

運営会社が『BURRN!』誌の発行元であるシンコーミュージックではなく、記事を書いているのも同誌の編集者ではないという事実は、単純に同誌の編集者にはWEBメディアを運営する余力もノウハウも(あるいは意欲も)ないということを意味していると思われます。

ただ、同誌編集者である前田氏の下記ツイートを見る限り、今後は同誌の編集者たちもこのサイトでライター的に記事を書くことになる模様。




個人的な予測では広瀬編集長が定年になったら雑誌としての『BURRN!』は終焉を迎えるのだろうと思っているので、残された編集者たちはいずれここで記事を書くことをメインにしつつ、ライター的な存在になっていくのかもしれません。

まあ、まだ始まったばかりなのでこのサイトの評価はできないのですが、『BURRN!』誌の価値というのはほぼ全てのHR/HM国内盤がレビューされ、国内で行なわれる来日公演のほぼ全てがレポートされ、国内盤がリリースされるアーティストの大半のインタビューを取ることができるという「網羅性」にあり、このサイトがどこまでそういう情報量を備えることができるかが注目されます。

海外アーティストにも周知されている『BURRN!』のブランド名によって、それこそMETALLICAとかIRON MAIDENクラスのバンドの独自インタビューを取れるようになるとしたら、日本最強のHR/HMメディアになることでしょう。

ただこれが、本誌では掲載できないような趣味的な記事が垂れ流されるだけの場になるようであれば『BURRN!』の名を冠する意味はなく、頼むから「LAメタルの真実」みたいな記事とか嬢メタルのプッシュ記事ばかりが掲載される場にするのはやめてくれ、と願うばかりです。

個人的には、そこは有料コンテンツになってもいいので、『BURRN!』創刊号以来の全レビューと全ライブレポート、全インタビュー記事をWEBアーカイブ化してくれると、このサイトの価値は爆上がりだと思うんですけどね。

そうすると現在大御所になっているアーティストや名盤認定されているアルバムを低評価していたこと(あるいはその逆)があらためて掘り返されて批判を浴びるリスクはありますが、それはそれで話題になるだけ御の字なんじゃないでしょうか。粗探しのために課金させるという、アンチからお金を吸い上げるビジネスモデルができると思います(笑)。

いずれにせよ、日本には「オフィシャル感」のあるHR/HMサイトというのはこれまでほとんど存在しなかったので、そういうサイトがこうして出来上がったことについては素直に喜び、今後に期待していきたいと思います。

BURRN! ONLINE

SOULSPELL METAL OPERAによるカバー動画

たまたまYouTubeの「あなたへのおすすめ」に出てきたブラジルのメタル・オペラ・プロジェクト、SOULSPELL METAL OPERAが自身の公式チャンネルで公開しているカヴァー動画がなかなか良かったので取り上げたいと思います(マニアな方は既によくご存じかと思いますが)。

まずはラルフ・シーパース(PRIMAL FEAR)とティム・オーウェンズ(元ICED EARTH他)という、かつてJUDAS PRIESTのオーディションに落ちた人と受かった人のデュエットによるANGRAの"Spread Your Fire"。



そしてティム・オーウェンズ、マイク・ヴェセーラ、ブレイズ・ベイリー他、男女合わせて10名以上のゲスト・シンガーを迎えたHELLOWEENの"We Got The Right"。

こちらは約243万回再生(2019年4月時点)と、同プロジェクトの公式チャンネル史上最も再生数の多い動画になっていますが、HELLOWEENの楽曲の中ではどちらかというと地味な曲であるこの曲のドラマティックな側面を最大限に引き出した秀逸なカヴァーとなっています。



どのシンガーも見事なパフォーマンスですが、ギターではなくヴォーカルで参加しているアルイエン・アンソニー・ルカッセン(AYRION)の着ている「一番星」Tシャツについつい目を奪われてしまいがちなことは否めません(苦笑)。

続いて、映画『タイタニック』の主題歌として大ヒットした90年代を代表する名曲のひとつ、セリーヌ・ディオンの"My Heart Will Go ON"のカヴァー。

こういうメチャクチャ歌が上手い人が歌っているポップスの有名曲をメタル・バンドがカヴァーすると大抵スケールが小さくなって残念なことになりがちですが、Daisa Munhoz(VANDROYA)とPedro Campos(HANGER, AGE OF ARTEMIS)のヴォーカルがとにかく素晴らしく、聴き応え充分の優れたカヴァーになっています。



やはりこの曲は超の付く名曲ですね。映画『タイタニック』があれだけ大ヒットした理由の30%くらいはこの曲の素晴らしさに負っていると思います。予告編にこの曲が乗るだけで感動が約束されている感じがしましたからね。

そしてもちろん映画自体も感動的だったのですが、当時街中で流れていたこの曲を聴くとたちまちその感動がフラッシュバックして、「もう一度観たい!」という気分になりリピート鑑賞した人も多かったのではないかと思います。

先日ドン・ドッケン(DOKKEN)がこの曲をカヴァーしたというニュースを目にしましたが、正直大惨事になる予感しかしません(苦笑)。


個人的にはオリジナルのストーリーを描くための手法と考えているメタル・オペラ・プロジェクトが他人の曲をカヴァーするというのはなんだかちょっと本筋から外れている気もするのですが、出来が良ければ全て良し、でしょう(笑)。

LAHMIA "Elegy For A Dying Sun"のMV

全然知らないイタリアのメロデスですが、結構カッコいいと思いました。ちょっと前のダートラ系かな?

Voの声がちょっと好みじゃないんですが、メロデスに歌声の良さは別に求めていないので(良いに越したことはないですが)、これは全然アリです。

このクオリティで日本盤出ないんだから世知辛い世の中ですね。最近の『Scarlet Records』レーベルのプロダクトはだいたい日本盤出していいクオリティだと思うんですけどね。




ANIMAL DRIVE "BACK TO ROOTS"の選曲がガチ

東欧クロアチア出身のハード・ロック・バンド、ANIMAL DRIVEがリリースしたカヴァーEP、"BACK TO ROOTS"の選曲がかなりガチで感銘を受けたので紹介します。







SKID ROWとWARRENTとWHITESNAKEという選曲で「お前いくつだよ」という感じですが、中心人物であるヴォーカリストのディノ・イェルシッチは1992年生まれとのことで、これらの楽曲が発表された時には生まれてさえいない。

これでまだ選曲が"Youth Gone Wild"と"Heaven"と"Here I Go Again"とかだったらまだわかりますが、"Monkey Business"に"Uncle Tom's Cabin"に"Judgement Day"って、これは本当に好きじゃないと選べませんよ。

このディノ・イェルシッチは6歳にして初ステージを経験、幼少期から母国のTVオーディション番組やJunior Eurovision Song Contest 2003等に参加し神童と呼ばれ、故ポール・オニールに見出されてTRANS-SIBERIAN ORCHESTRAの全米ツアーに参加するなどの実績を積み重ねている実力派で、このANIMAL DRIVEのデビュー・アルバム"BITE!"はマーキー・インコーポレイティドから日本盤もリリースされている。

オリジナル曲のMVはもはや東欧らしさなんて皆無、それこそNIRVANAブレイク寸前のアメリカのHR/HMそのものという感じ。


今でもこういう音こそロックだな、と感じるオールドファッションな私です。