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X "BLUE BLOOD" リリース30周年に寄せて

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X(現X JAPAN)のメジャー・デビュー作となった、オリジナル・フル・アルバムとしては2作目となる"BLUE BLOOD"がリリースされてから、本日2019年4月21日が30周年の記念日となるそうです。



せっかくの機会なので、あらためてアルバムを通しで最初から最後まで聴いてみました。

楽曲単位では近年でもコンスタントに聴いていますし、移動時間などにiPodで(いまだに)アルバムをチョイスすることもありますが、アルバム通しで最初から最後まで聴くのは数年ぶりかもしれません。

こうしてあらためて聴いてみると、やはりもうこの曲順含めて脳に、身体に、心に、DNAレベルで沁み込んでしまっており、全ての歌詞が(掛け声みたいなコーラスや「語り」を含めて)口をついて出てきて、いたいけな(?)中学生だった当時の気持ちが一気にフラッシュバックしてきました。

こういう「うるさい音楽」というのはきっと若い時期にしか聴かないものだろう、と当時は思っていましたが、今となっては間違いなく一生聴き続けることになると確信していますし、何なら人生で最後に聴くアルバムはこれでありたい、とすら思っています。

サイトのプロフィールにもある通り、私が「メタル」にカテゴライズされる音楽を(少なくとも意識的に)初めて聴いたのは、当時普通にオリコンチャート上位に入り、歌番組にも出る存在だったこのXで、私と同世代のアラフォーな人ならそういう人も結構多かったのではないかと思います。

私はどちらかというと真面目な優等生タイプだったので、当初は彼らのヴィジュアルショックな見た目で「自分たちには縁のない人たち/音楽」だと思っていましたが、一方で「怖いもの見たさ」というか中学生ならではの「イキがりたい気持ち」もあって、友達からCDを借りてみた所、見事にハマってしまいました。

そして「他にXみたいな音楽はないのか」と探し求めた結果、HELLOWEENに出会い、あとは芋づる式にHR/HMにハマっていったわけですが、原点がこのアルバムだったことは間違いありません。

ここに収められた楽曲についてはもう様々な所で語り尽くされているので、あえてここで「全曲レビュー」みたいな野暮なことはしません。

ただ、私にとって重要なのは、このアルバムについて、リアルタイムと現在では異なる評価をし、異なる価値を見出し、その上でかけがえのないアルバムになっている、ということなのです。

中学生当時は、まず理屈なしで好きでした。この音を身体が求めていました。思春期ならではのフラストレーションやこじらせた思いを全て受け止めてくれる音がこれだったのです。激しいサウンド、哀しみをたたえた美しいメロディ、自己陶酔的な歌詞、全てが当時の私にハマっていたのです。

当時から理屈っぽいタイプだったので、「クラシックの影響が」とか「様々な音楽性が」みたいな聴きかじったような言葉で、このアルバムの素晴らしさを自分なりに理論武装して理解しようとしていたような気がしますが、実際の所はもはやジャンキーが薬物に溺れるようにこのアルバムをただ聴き狂っていました。

ただ、自分も成長し、様々な音楽、アーティストに触れて知識を付け、冷静にこのアルバムを聴き返すと、音質、演奏力、歌唱力といったわかりやすい所から、楽曲やアレンジの過剰さ、洗練されなさなど、客観的な視点での粗が色々と見えてくるようになりました。

しかし、そうしてあらためて思ったのは、そういう欠点を含めて、このアルバムは自分にとって最高であり、特別である、ということでした。

私は元々完璧主義的なところがあり、欠点のないものを好む人間で、『ドラえもん』の登場人物で誰かになれるなら出木杉君になりたい、というタイプでしたが、20歳を過ぎてこのアルバムを聴き、その欠点を含めて、いや、時にはその欠点こそが魅力になっていることを理解して、その完璧主義的な理想の持ち方というものが、人生というものをわかっていないコドモな価値観だったということを思い知らされたのです。

このアルバムは、完璧ではないからこそ、過剰であるからこそ、最高なのです。そして、この音楽が一番「響く」時期に出会い、何百回、ひょっとすると千回単位で聴いたからこそ、かけがえのない音楽になったのです。「最高の音楽」というのは、「ここではないどこかにあるもの」ではなく、自分の体験と記憶で作っていくものなのです。それは家族や友人のような人間関係と同じものと言えるでしょう。

このアルバムが、今の若い人にとって、私が感じたような感動を提供してくれるものなのかどうかということはわかりません。

というか、むしろそうである方が例外的で、それぞれの人にそれぞれの、私にとっての本作のような音楽があるのでしょう。

彼らに思い入れのないメタル・ファンには、正統派メタルも、スラッシュ・メタルも、アメリカン・ハードロックも混在する本作の音楽性を散漫と感じられるかもしれませんし、音質が悪くて古臭いと思うかもしれません。

そもそも、若い人にはもはや「アルバム単位で音楽を楽しむ」という習慣自体が薄れていると思うので、先ほど私が約1時間に渡って浸っていたような「体験」自体、滅びゆく体験価値なのではないかと思います。

私はそれほど頭の固いタイプではない、少なくともそうなりたくはないと思っているので、「アルバム単位で聴かなきゃダメだ」みたいなことを言うつもりはありませんし、「最近の若い者は…」みたいなことを言うつもりはありません。最近の若い人は若い人なりの「特別な体験」をするのでしょう。

ただ、自分にとって、思春期に入るタイミングでこのアルバムに出会えたことは「奇跡」だったと思っていますし、欠点を含めて心から最高だと思い、愛することができるものを持つことができたことは、人生を豊かにしてくれたと思っています。

まだまだ語りたいことはありますが(実際あれこれ書きましたが、蛇足っぽい感じになったので消しました)、もはや言うべきことはことは「ありがとう、X。ありがとう、"BLUE BLOOD"」という感謝の言葉だけで充分だと思います。

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