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BEAST IN BLACK 来日公演 at 赤羽ReNY alpha

本エントリーのタイトルは、これまでのこのブログのフォーマットに則るのであれば、『SUOMI FEAST 2019 Day2 at 赤羽ReNY』になって然るべきなのですが、あえて『BEAST IN BLACK 来日公演』とさせていただきます。

開演後2時間後くらい経ってから会場入りしたため、5バンド出演するイベントのうち実質2バンドしか観ていないという事情もありますし、何よりBEAST IN BLACKが素晴らしすぎたため、この判断に至りました。

Twitterで最初のバンドがXの"Blue Blood"のカヴァーを披露したと聞いて、行けばよかったかな、とも思いましたが、後の祭り。

いや、EVP主催のイベントではよくあることですが、スタンディングで5バンドとか、普通に無理ですよ。20代ならともかく(苦笑)。

BEAST IN BLACKとSWALLOW IN THE SUN以外のバンドはまるで知らなかったので、ダイヤの原石である可能性はあるのですが、まあ研磨されてダイヤになってから観ればいいだろ、と割り切ることにしました。

というわけで私が会場である赤羽ReNY alphaに到着したのは19時ちょっと前くらい。3バンド目であるBLOODRED HOURGLASSがラストから2曲目をプレイしていたタイミングだ。

メロディック・デス・メタルという触れ込みだったが、デス声というよりはスクリームっぽいVoのスタイルや、短髪のメンバーが多いこともあって、どちらかというとメタルコアに近い印象を受けました。

ただ、楽曲の随所で切り込んでくる叙情的なリード・ギターのメロディは確実に「北欧の血」を感じさせるもので、なかなか悪くなかったのですが、会場の盛り上がりはちょっとお義理っぽい感じだったかな。メンバーはそれなりに盛り上がりに手応えを感じていたっぽいですが、それはお互いにとって幸福なことでしょう。

BLOODRED HOURGLASS終了後、人波をかき分けてドリンクカウンターに行き、ドリンクチケット(コイン)をミネラルウォーターに換える。スーパーに行けば2リットルのミネラルウォーターが6本は買える金額のチケットを500mlのいろはすに引き換えるのは複雑な気分ではあるが、この後まだ3時間はある公演で利尿作用のあるアルコールを飲みたいとは思えなかったので仕方がない(苦笑)。

ミネラルウォーターを抱えて、会場後方の一段高くなっているエリアへ移動。背の低い女性の後ろに陣取ることでステージは見やすい位置である。

キャパ600人の会場で、ほぼほぼ満員に見えるくらいに入っているので500人以上は入っているだろう。これが多いのか少ないのかと言えば少ない気がしますが、会場規模は適切だったと言えるでしょう。

近年のメタルのライブにしては年齢層が若い気がしますし(といってもアラサーが多いかな、というくらいですが…)、女性の比率も高かった(とはいえ10~15%程度と思われますが…)ように見えました。

そして照明が落ち、SWALLOW THE SUNが始まる。新しい会場なのでステージのバックはLEDでバンドロゴが映し出されている。

照明が落ちてBGMが止まると当然オーディエンスは沸くわけだが、なぜかなかなかメンバーが現れず、妙な静寂が訪れる。

しばらくして辛気臭い音楽が流れ出し、それがSWALLOW THE SUNのショウにおけるイントロダクションになっていた。

ようやくメンバーが登場し、奏で出した音楽は、およそショウのスタートに相応しくないスローで陰気な曲。

いや、私の知る限り彼らの楽曲に陽気でファストな曲などというものは皆無なのですが。

暗い。とにかく暗い。思春期(10代半ばから20代前半までは思春期でした/笑)の頃はこういう音楽に浸ることができたが、近年は正直ここまで暗い音楽に感情移入が難しい。

もちろん、最新作"WHEN A SHADOW IS FORCED INTO THE LIGHT"は母国フィンランドでチャートのNo.1に輝き、欧州最大のマーケットであるドイツでも33位まで上昇するヒットとなっている結成からもうじき20周年を迎えるバンドだけあって、ライブパフォーマンスや楽曲の水準は高い。

会場全体を漆黒のヴェールで包み込むかのような陰鬱なサウンドは日本のなんちゃってダークなバンドには出せない深刻な重さが醸し出されており、その点はさすがフィンランドのバンドだな、と思ったものの、個人的にはライブで聴きたいタイプの音楽ではなかったというのが正直な所。

とはいえ場内には首都圏のネクラが勢ぞろいしていたようで(笑)、楽曲が終わるごとに結構大きな歓声が上がり、その音楽性に反して(?)かなり盛り上がっていました。

SWALLOW THE SUNの世界観を存分に伝えたステージから、転換の20分ほどを経て、いよいよお目当て、BEAST IN BLACKのショウが始まる。

最新作"FROM HELL WITH LOVE"のオープニング・ナンバーである"Cry Out For A Hero"で始まったステージは、先ほどのSWALLOW THE SUNのステージとは打って変わったエネルギッシュなもので、さながら葬式からパーティーへの転換(笑)。

"Cry Out For A Hero"の歌が始まる瞬間に、ステージの袖から(さほど広いステージではないにもかかわらず)ダイナミックなジャンピング飛び込みで登場したヤニス・パパドプロスのヴォーカルが素晴らしい。

ウド・ダークシュナイダー(ACCEPT, U.D.O)を彷彿させる金属的なスクリームから、女性かと聞き紛うかのようなソフトなファルセットまで、文字通り七色の歌声をライブでもしっかりと使い分け、エモーショナルにオーディエンスを盛り上げる。

楽曲がどれもキャッチーであるため、オーディエンスとしても盛り上がりやすく、フロア全体で拳を突き上げ、メロイックサインを掲げ、手拍子し、サビやリード・ギターのフレーズを合唱する。正直このバンドのポテンシャルに対して小さすぎる会場ではあったと思うが、この規模だからこその一体感があったと言えるだろう。

アントン・カバネン(G, Vo)、カスペリ・ヘイッキネン(G)、マテ・モルナール(G)の弦楽器隊は、メタル・ライブ名物(?)の、「楽曲のキメに合わせて揃ってネックを持ち上げる」というアクションを何度も披露、カスペリとマテは「背中合わせで演奏」という腐女子歓喜の(?)パフォーマンスも何度か見せてくれて、「そう、これがメタルのライブだよ!」という醍醐味を感じさせてくれました。

新作から加入したドラマーのアッテ・パロカンガス(元BEFORE THE DAWN, THUNDERSTONE)も、スティックを回したり放り上げたり、自分の頭を叩いてみたりという「見せる」ドラマーで、その躍動感あるリズムのみならず、パフォーマンスでも見せ場を作っていました。

もちろん、単にパフォーマンスがいいだけではなく、天才アントンと、フィンランドを代表するシュレッドの使い手、カスペリ・ヘイッキネンのテクニカルな速弾きソロの応酬はテクニカルな見地からも見所たっぷり。

まだ2作しかアルバムを出していないものの、どちらも名曲揃いなので、中だるみする瞬間がない。本来ならBATTLE BEASTの初期曲だってプレイしようと思えばプレイできるのではないかという気がするが、あえてそれをせずともセットリスト上まったく問題がない。

個人的に彼らの楽曲に多いダンサブルというかディスコティックなリズムの楽曲が大好きで、予想通りそれらは非常にライブ映えしていた。こういう曲はメタラー以外にもアピールするのではないかと思っているが、イメージ的には完全にメタルである彼らの楽曲がメタラー以外に聞かれるきっかけがないのが今の世の中かもしれません。

バラードの"Ghost In The Rain"なんてハリウッド映画のエンディングなどで流れてもいいくらいのポピュラリティとクオリティがあると思うんですけどね。この日のライブでも、とても先ほどまで強烈なスクリームをカマしていた人とは思えない(笑)甘い歌声で魅了してくれました。まさに虹色ヴォイス。

そんな彼が「めったにプレイしない曲で、俺にとって歌うのが難しい曲だ」と言ってプレイしたのはデビュー作収録で、彼らの持ち歌で最も攻撃的なパワー・メタル・チューン"Zodd The Immortal"。

漫画『ベルセルク』(ヤニスは「アニメ」と言っていましたが)に登場する「不死身のゾッド」をそのままモチーフにしたこの曲が、日本の今夜のオーディエンスに対する特別なプレゼントだったようです。

彼らの楽曲では異色のスピード・ナンバーで、ACCEPTを思わせる剛直なギター・リフがフィーチュアされた楽曲だが、こうしてライブで聴いてみると、やはりメロディックなサビのパートなどはSTRATOVARIUSに通じるフィンランドのパワー・メタルらしさがあって非常に私好み。この曲がプレイされたのは今夜のみということで、「当たり」を引いた気分(笑)。

また、本日はベーシストであるマテの誕生日だったようで、アンコールのタイミングでサプライズのケーキが登場。ただ、ケーキを持ってきたスタッフは何を考えていたのか(あるいは何も考えていなかったのか)肝心のローソクに火が点いておらず、「どないせぇっちゅうねん」状態(苦笑)。

とりあえずオーディエンスでハッピーバースデーを合唱し、和やかに盛り上がりましたが(ケーキはそのまま何もされず撤収)。

アンコールでプレイされた、彼らの名前を全世界のメタル・マニアに知らしめた名曲"Blind And Frozen"はまさにハイライトで、「リフ良し、メロ良し、ドラマあり」な彼らの音楽(この3つが全て高いレベルで共存できているバンドって少ないんですよね)をあらためて強く印象付け、ラストは"End Of The World"で締め。この曲でショウを終えるのが今のところ「お約束」のようです。

場内を何度も満たした"BEAST IN BLACK"コールをはじめとするオーディエンスの熱狂ぶりはメンバーにも感銘を与えたようで、実際YouTubeでライブ映像を見てみてもその盛り上がりはチャート的には日本よりはるかに成功している母国フィンランドやドイツのそれに引けを取るものではなく、限られたマニア限定とはいえ、日本のファンのロイヤリティをバンドに強く印象付ける一夜になりました。

実際、近年のメタル・バンドというのは全体的に楽曲や演奏はハイレベルですが、ここまで日本人好みなバンドというのは稀。久しぶりに他人に薦めたくなるバンドがライブでも魅力的であることを確認できた、充実のライブでした。

終演後場内を見渡すと、これだけポップでキャッチーなサウンドにもかかわらず、メロデス系を中心にエクストリーム系のバンドのTシャツを着たファンがかなり多く、そういう層も巻き込めるバンドという意味でも、このバンドは日本のファンと特別な関係を築くことができるバンドになりそうだという予感がします。

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