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SOULSPELL METAL OPERA "THE SECOND BIG BANG" (2017) アルバム・レビュー

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以前一度カヴァー曲ネタで取り上げたプロジェクトですが、先日のアンドレ・マトス(元VIPER, ANGRA, SHAMAN)の訃報を受け、アンドレのWikipedia(英語版)を見てみると、アンドレが最後に参加したレコーディング音源がこのアルバムであるということだったので、あらためてちゃんと聴いてみることにしました。

SOULSPELL METAL OPERAというプロジェクトは、ブラジルのサンパウロでエレノ・ヴァーリ(Dr)が2004年に始めたプロジェクトで、2008年のデビュー作”A LEGACY OF HONOR”、2010年のセカンド・アルバム”THE LABYRINTH OF TRUTHS”は『SPIRITUAL BEAST』から日本盤もリリースされていたので、ご存知の方も多いでしょう。

初期においては地元ブラジルのメタル・ミュージシャンをゲストとして集めてアルバムを制作し、ユーリ・サンソン(元HIBRIA)やエドゥ・ファラスキ(元ANGRA)あたりが「目玉キャスト」となっていたが、インターネットの発達に伴いゲストが次第に豪華になっていき、前作”HOLLOW’S GATHERING”(2012)にはティム・オーウェンズ(元JUDAS PRIEST, ICED EARTH他)やブレイズ・ベイリー(元IRON MAIDEN)、マイク・ヴェセーラ(元LOUDNESS, YNGWIE MALMSTEEN)といった、曲がりなりにも(?)インターナショナルなビッグ・バンドのフロントマンを務めたメジャーな人材がゲスト参加していた。

そして前作から5年を経てリリースされた本作には、前作に参加していたティム・オーウェンズ、ブレイズ・ベイリー、マーカス・グロスコフ(B : HELLOWEEN)の他、アンドレ・マトス(元ANGRA)、ファビオ・リオーネ(ANGRA, TURILLI / LIONE RHAPSODY)、ティモ・コティペルト(STRATOVARIUS)、ラルフ・シーパース(PRIMAL FEAR)、キコ・ルーレイロ(G : 元ANGRA, 現MEGADETH)といったさらなる豪華ゲストが参加している。

日本盤が出ていた頃の作品については、基本的には私の好きなメロディック・パワー・メタルなので当然嫌いではなかったにせよ、「AVANTASIAごっこ」の枠を出ないというか、意地悪な言い方をするとスケール感と楽曲クオリティの足りないAVANTASIAという感じで、悪くはないものの正直特筆すべきものがなかった。

しかし、本作についてはむろん本家AVANTASIAには及ばないにせよ、プロダクションの向上(ミックス&マスタリングはデニス・ワードが手掛けている)と豪華ゲストの貢献の賜物か、パッと聴きの印象はA級バンドに引けを取らないクオリティを実現しているし、耳を引くフックの頻度も増して、これが日本盤で出ないというあたりに日本の現状を憂えざるを得ない。

中でも世界初のRPGゲーム(いわゆるテーブルトークRPGというやつですが)である”Dungeons And Dragons”をタイトルに冠した#4は、「これぞファンタジー系シンフォニック・パワー・メタルの王道!」という仕上がりだし、個人的にはエモーショナルな哀愁を湛えた#6” Father And Son”にグッと来た。

優れたシンガーが数多く参加しているため、ボーナス・トラック扱いであるデビュー作収録曲のリメイクを含め数曲にフィーチュアされているアンドレ・マトスの歌唱が特に際立っているわけではないが、王道のメロディック・パワー・メタルを歌うアンドレの歌唱を堪能できるという意味で、本作はファン必携のアルバムだろう。

どうでもいいけど、このプロジェクトの中心人物(というかこのプロジェクト唯一の「正式メンバー」ですが)エレノ・ヴァーリ氏、Encyclopaedia Metallumを見る限り、他に特に何の実績もないのにこういうゲスト多数の大掛かりなメタル・オペラだけやっているんですよね。音楽以外のビジネスで儲けているのか、実家が太いのか…。謎です。【84点】





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