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GLORYHAMMER “LEGENDS FROM BEYOND THE GALACTIC TERRORVORTEX” アルバム・レビュー

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スコットランドの「パイレーツ・メタル」バンド、ALESTORMのクリストファー・ボウズ(Key)が中心になり結成されたシンフォニック・パワー・メタル・バンドGLORYHAMMERの通算3作目となるアルバム。

本作でもデビュー・アルバム”TALES FROM THE KINGDOM OF FIFE”から続くストーリーの続編が展開され、前作” SPACE 1992 : RISE OF THE CHAOS WIZARDS”で宇宙にまで飛び出した彼らの物語は本作でも時空を超えて壮大に展開されている。

音楽的には完全に初期RHAPSODY(OF FIREが付く前)のフォロワーと言っていい、ピュアなシンフォニック・パワー・メタル路線が本作でも貫かれているが、もはや本家が失ってしまった勇壮さとキャッチーさを兼ね備えた「わかりやすさ」がこのバンド最大の武器で、2019年現在、こういうパワー・メタル系シンフォニック・メタルの入門に彼ら以上に相応しい存在はいないだろう。

#5 “Power Of The Laser Dragon Fire”のようなスネア裏打ち疾走系の楽曲は、かつてRHAPSODYに望んでほとんど得られなかったタイプの楽曲だけに、「これだよ、これ」と溜飲が下がる。

もちろんそれ以外の楽曲もフック充分、ライブで盛り上がる様子が目に浮かぶアツさがあり、大抵の曲はドラマティックでありながら5分以下とコンパクトにまとまっているのもクリストファーの優れた作曲センスを感じさせる。

一方で本作のクライマックスを飾る#10 “The Fires Of Ancient Cosmic”のような12分以上に及ぶ大作も退屈さを感じさせることなく構築してみせるあたり、MVこそネタめいて見えてしまうが(苦笑)、エピック・メタル・バンドとしての彼らの実力は本物である。

前作収録の” Universe On Fire”のようなダンサブルと言ってもいいようなノリノリの#8 “Hootsforce”のようなキャッチーな楽曲もバンドの世界観の一部にする辺りは、大陸欧州のシンフォニック・パワー・メタル・バンドよりも器用で、そういう懐の深さがあってこそドイツのナショナル・チャートで6位まで上昇するという成功につながっていると言えるだろう。

日本でもようやく大手キングレコードからの国内盤リリースとなったことだし、ブレイクを期待したいところ。なお、輸入盤のデラックス・エディションは、本作収録曲全曲のシンフォニック・アレンジ・バージョンがボーナス・ディスクとして付帯。【88点】





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GYZE "ASIAN CHAOS" アルバム・レビュー

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「UNIVERSAL Music Japan/Virgin Music」から、セカンド・アルバムのリリース元だったビクター・エンタテインメントに復帰してリリースされたGYZEの通算4作目となるフル・アルバム。

前作からバンドのラインナップに変更があり、Ryoji(Vo, G)のギターの師匠筋であるSHINKAIがマニピュレーター兼ギタリストとして加入、そして(メンタル的な?)体調不良によってバンド活動が困難になったRyojiの弟、Shujiに替わり、サポートメンバーとしてHannyaがドラムをプレイしている。

前作"NORTHERN HELL SONG"の時点で、(彼らの出身地である北海道という)ルーツへのこだわりを見せていたが、本作では北海道というローカルなレベルではなく、日本を代表せんとする気概を見せるかの如く、「和」の要素を強く打ち出した作風となっており、楽曲名にも「ASIAN」「EASTERN」「JAPANESE」といった単語が頻繁にちりばめられている(ヒロシマまで持ち出すのには多少あざとさも感じないではないが/苦笑)。

海外でのライブ活動なども積極的に行なっている彼らゆえ、日本のバンドとしての「勝ち筋」は北海道などという、欧米人に認知されていない狭いエリアにこだわるよりも、わかりやすく「日本」を押し出すことだと感じたのかもしれない。

千歳神社の雅楽会による雅楽の楽器をフィーチュアしたオープニング#1"Far Eastern Land"に始まる本作は、真の意味で「日本のフォーク・メタル」とでも言うべきサウンドであり、それでいて元々彼らが持っていた優れた叙情センスを持つメロディック・デス・メタルとしてのクオリティを完全にキープ、いやさらに磨き上げている所が素晴らしい。

個人的に、先輩格のギタリストを迎えた、という話を聞いて、なんだかかつてローペ・ラトヴァラを迎えたCHILDREN OF BODOMみたいだなあ…とか、フォーク・メタル的な路線にシフトしてきたことについては、CHILDREN OF BODOMのフォロワーだったNORTHERのメンバーから、フォーク・メタル・バンドであるENSIFERUMのフロントマンになったペトリ・リンドロスを思わせるなあ…などと、未だに彼らをCHILDREN OF BODOMに結び付ける発想ばかりが浮かんでしまったのだが、日本のバンドとしてのアイデンティティにこだわった本作を聴くと、もはやCHILDREN OF BODOMとの比較は無意味と考えるべきだろう。

「和」の要素の配合度合いや、アグレッションの強弱によって、金太郎飴状態になってしまいがちなこの手のサウンドにちゃんとメリハリがついており、どちらかといえばメロウな#6 "Camellia"のような楽曲が、単なる箸休めではなくアルバム中でもトップクラスに印象的な楽曲に仕上がっている辺りが本作の充実を象徴している。

新世代ジャパニーズ・メタルの代表的存在として、メロディック・デス・メタルのファンのみならず、幅広いメタル・ファンに聴いてもらいたいサウンド。哀愁派の方ならきっとビシビシ琴線に触れてきますぜ。

早速曲名に「REIWA(令和)」をフィーチュアした#8 "The Rising Dragon - Reiwa-"には、DRAGONFORCEのマーク・ハドソン(Vo)が日本語歌唱でゲスト参加。【88点】



BLOOD STAIN CHILD "AMATERAS" アルバム・レビュー

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日本のメロディック・デス・メタルにおける先駆者的存在のひとつであるBLOOD STAIN CHILDの、オリジナル・アルバムとしては2011年の"EPSILON"以来約8年ぶりとなる6作目のフル・アルバム。

前作から8年のブランクがあるとはいえ、何枚かのEPと、リ・レコーディング・ベスト・アルバム"LEGEND"(2018)を挟んでいるので、これまで何の活動もしていなかったわけではない。

ただ、やはり8年間オリジナル・フル・アルバムを出せなかったというのはバンドのコンディションの悪さを感じさせ、実際ここ数年の彼らの活動というのは、少なくとも私のようにバンドの内情に通じない、外から見ているファンにとっては「迷走」にしか映らないものだった。

"EPSILON"で歌っていたギリシャ人女性シンガー、ソフィア脱退後に加入したKiKiなる女性は、ライブが良くなかったのか(私は未見)何やらネット上では不評の嵐だったし、その後に加入したSAIKAなる男性Voは名前やルックス、クリーンVoパートの歌声などがいかにもV系で、新曲はともかく過去の楽曲においては相当な違和感があった。

そのことを中心人物であるRYU(G)自身がどの程度自覚していたのかは不明だが、結局は客観的に彼らが一番「乗っていた」頃のヴォーカリストだったSADEWを復帰させて制作されたのが本作。

トランス系EDMサウンドとメロディック・デス・メタルの融合というサウンドは、現在でこそ珍しくはないアプローチだが、彼らは間違いなくそのパイオニア的存在であり、本作はあらためて「元祖」としての貫禄を感じさせる、EDMならではの快感とメタルならではの快感という異種の快感が掛け算でハイブリッドされた、強力なサウンドを展開している。

正直な所、かつてSADEWが歌っていた"MOZAIQ"(2007)の頃にあった「バンドとしてのケミストリー」のようなものはここにはないが(やはりそれはRYOの不在が大きいのだろう)、ソングライティングやサウンド・プロダクションはレベルアップしており、元々メロディやアレンジのセンスにおいては非常に優れたものを持っているだけに、聴き応えのある作品に仕上がっている。

THOUSAND EYESやGYZEなど、新世代バンドの台頭著しい日本のメロディック・デス・メタル・シーンだが、やはり彼らのサウンドは個性とクオリティの両面で今なお際立っている。

個人的には、ようやくRYUはこのバンドでメタルの枠組みを超えたメジャーな存在になることを諦め、そういう路線はYUZUKINGDOMなど他のプロジェクトで行なうことで、このバンドを「メタル・バンド」として「再生」することに腹をくくったということなのではないかと思っているが、本作を聴く限りその決断は吉と出たと言えるだろう。

アニメ『ドラゴンボールZ』のテーマ曲として有名な"CHA-LA HEAD CHA-LA"のカヴァーは、個人的にはやや蛇足感があるが、これはかつて"MOZAIQ"に収録されていたtrfの"Ez Do Dance"のカヴァー同様、ボーナス・トラックというか、オマケ的に楽しむべきものだろう。

しかしこのジャケットはもう少しどうにかならなかったものか。【85点】





#(ハッシュタグ)「今日見かけたメタT」1年間の結果報告

ここ1年以上このブログをコンスタントにご覧になっている方、そして私のTwitterをフォローしている方は、私が街でメタルTシャツを着ている人を見かける都度(必ずしもリアルタイムではありませんが)、#(ハッシュタグ)「今日見かけたメタT」と共に、見かけたTシャツのバンド名をツイートする、という一人遊びをしていることをご存知かもしれません。

まあ、これは本当に自己満足というか、特に何か目的があって始めたわけではなく、ただやりたいからやってみただけの「戯れ」と言っていい行為です。

とはいえ、一応このブログでわざわざ宣言して始めた以上、このブログで何らかのフィードバックをするのが責任あるオトナの行ないというものなのではないかと思いました(?)。

しかも、私以外の人も何人かこのハッシュタグを使ってくれていたりするので、これを「ただの一人遊び」というのはある意味失礼かもしれません。

そこで、昨年2018年の7月18日にこの企画(?)を開始し、ちょうど1年経ったので、どのバンドのTシャツを多く見かけたのか、集計してランキングを作ってみることにしました。

本日2019年7月18日時点においてTwitterのハッシュタグ検索で追える限りの集計ですが、このハッシュタグによって申告されたバンド(フェスTなど、バンドではないものも一部含む)の総数は133でした。

うち、私自身によるものが約半分の64で、残り69が他の方によるものでした。

寒い時期には当然街中では見かけないので(ライブ会場では見かけますが、ライブ会場で見かけたものをいちいちツイートしていたらキリがないので、それはしていません)、実質12ヶ月未満の期間で64回も見かけることができたのは、私が人の多い都心に住んでいて、都心で営業をしているサラリーマンだからでしょう。

前置きが長くなりましたが、以下がランキングになります。ベスト10にするほどのサンプル数ではないので、ベスト5で。

1位:METALLICA 14回

2位:GUNS N' ROSES, IRON MAIDEN 11回(同数)

4位:SLAYER 8回

5位:KISS, SLIPKNOT 6回(同数)

次点:HELLOWEEN 4回

まあ、案の定というかMETALLCAが1位でした。世界一有名で世界一売れているメタル・バンドですから、ある意味当然ですね。

ただですね、METALLICA、GUNS N' ROSES、KISSといったあたりは、ユニクロやG.U.という大量流通しているファストファッションチェーンでコラボTが販売されていたので、それが数を押し上げたのではないかと思われるわけですよ。

ランクインこそしませんでしたが、DEF LEPPARDが3回と、意外に(?)多かったのもそういう理由ではないかと。同じくコラボTが出ていたAEROSMITHはあまり目撃されていませんでしたが。

そういう意味では、純粋にメタルTシャツを買って着たいバンドとして支持が高かったのはIRON MAIDENとSLAYERだったと言っていいのではないかと考えます。

どちらも決してファッショナブルどころか日常の風景になじむことすら難しいメタルTシャツ以外の何物でもないデザインながら、これだけ目撃する機会が多かったというのは、「俺はメタラーだ」とわかりやすくアイデンティティを示したい人にとって最適なバンドだったのだと言えるでしょう。

AC/DCなんかはKISSと並んで普通にオシャレアイテムになり得るバンドなのでもっと目撃するかと思っていましたが、集計したら3回でそれほどでもなく、逆の意味で意外でした。

個人的に「こりゃーレアだね!」とインパクトを受けたのはやっぱりある意味この企画を始めるきっかけになったと言っても過言ではないVOW WOWと、FIGHTですね。どちらもかなりの年代物でした。

最後に私以外にこのハッシュタグを頻繁に(5回以上を「頻繁」と定義しています/笑)使ってくださっている方のアカウントを御礼の意味を込めて紹介してこの誰得なエントリーを締めたいと思います。

ゴンベさん(@furyroad_v8)

ラトルヘッドさん(@sgame_kaidanji)

ナッシュさん(@nush_HRHM)

Halldinさん(@GeierKultur)

ナミ子さん(@gyouninzaka)

凛ちゃんさん(@bakatenmaru0905)

(彼氏彼女の事情)有馬総一朗(なりたい)さん (@arimasou16)


こんな全く何も得をしない企画に乗っていただきありがとうございます。もし、本ブログでのこういう紹介がご迷惑になるようでしたら、お手数ですがコメント欄かTwitterのDMなどでご申告ください。

ちなみにこの企画はこの記事で終わるわけではなく、私が飽きるまで続きます(笑)。

インドのメタルが結構すごい

3月の下旬にスタートし、このブログでも触れた『BURRN! ONLINE』

個人的には『BURRN!』誌のWeb版に求めるものとはちょっと(いや、かなり)違う方針で運営されていて、あまり頻繁にチェックはしていないのですが、小笠原和生氏によるアジア圏のメタル情報は興味深いと思っています。

2018年の11月、すなわち『BURRN! ONLINE』がまだ『METALLIZATION.JP』というサイト名でやっていた頃から、今年の4月まで6回に渡って連載されていた「仰天!インドのメタルシーンの今」という記事は、インドという国のポテンシャルを感じさせられました。

現時点で興味のある人は少ないのではないかと思いますが、個人的に「これはなかなか」と思ったバンドの映像をいくつか取り上げたいと思います。

KRYPTOS
『Wacken Open Air』にも出演経験があり、ドイツの『AFM』からアルバムもリリースされているNWOBHMっぽいオールドスクールなヘヴィ・メタル・バンド。Voがかなりのダミ声なので好き嫌いは分かれそうだが、映像冒頭の小芝居も面白い。



DEMONIC RESURRECTION
これも『Wacken Open Air』や『Bloodstock Open Air』など、欧州の大型フェスに出演経験があり、イギリスの『Candlelight』と契約したシンフォニック・デス・メタル・バンド。この映像の曲ではデス声は控えめだが、メロディのセンスはなかなか。



SKYHARBOR
何の縁か、マーティ・フリードマンがゲスト参加したこともあるというプログレッシヴ・メタル・バンド。サウンドのスケールが大きくて惹きつけられました。Voも魅力的。



BLOODYWOOD
ボリウッド音楽や海外のヒット曲など非メタルな音楽をパロディ的にメタル・カヴァーするプロジェクトのようだが、オリジナルでインドの伝統音楽の要素を取り入れたヘヴィ・ロックをプレイしていて、これがどうしてどうしてカッコいい。



UNDYING INC
こういうエクストリーム・メタル系も欧米のバンドに負けない迫力がある。



◆GRISH & THE CHRONICLES
古き良きロケンローな感じ。ヴォーカルがいい。



AROGYA
最近は都内のコンビニなどでネパール人の店員をよく見るようになってきましたが、そのネパールを中心に活動しているバンド。ちょっと日本のV系バンドっぽい歌謡センスがあって聴きやすい。



LAST RITUALS
一方、これはもうインドならではという感じですね。インドの伝統宗教の経典である『ヴェーダ』をテーマにしたお経メタルというか。これはこれでなんだか凄い。



インドは英語が公用語のひとつだし、民族ルーツ的にもゲルマン系の欧米人に近かったりするので、正直な所、中国や東南アジアはもちろん、日本のメタル・バンドより欧米っぽい本格感というか、力強さを感じるバンドが多いなと思いました。

情報の偏りによるものか民族性によるものかは不明ですが、エクストリーム系とプログレッシヴ系が強い印象です。

より詳しく知りたい方は『BURRN! ONLINE』の元記事をご覧ください。

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