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Evoken Fest 2019に行こう!

今週末はパワー・メタルの祭典、Evoken Fest 2019があります。このブログを読んでいる人の7割以上はパワー・メタルのファンだと思いますので(?)、ぜひ足を運びましょう!

…などと柄にもないことを言ってみました。このブログでは個人的なおすすめはしても、「買え!」とか「行け!」といった強めな物言いはなるべくしないようにしているのですが、プロモーターであるEvoken de Valhall Productionの代表、YamaDB氏の下記ツイートを見て、つい訴えかけてみたくなりました。



私が観に行ったEVOKEN FEST 2018の集客が2017の半分だったというのがまず衝撃。

2017のヘッドライナーであるFREEDOM CALLより2018年のヘッドライナーだったNOCTURNAL RITESの方が集客力があると思っていたのですが…。

そしてその2018は1000人も入らない恵比寿リキッドルームがソールドアウトせず当日券が出ていたのですが、その半分となると相当に寂しい集客なのでは…という気がします。

実際の所、上記のツイートは20日くらい前のものなので、その後、当日のスケジュールが見えてきた人が買って(私もそうです)チケットも多少売れてきていると思うのですが、前日である今「ぴあ」を見ても土曜日の公演が「余裕あり」の二重丸。

会場である渋谷ストリームホールは700人収容と謳っているので、まあいいとこ500人くらい、下手すると400人もいかない状況かもしれません。

今年のヘッドライナーはALESTORM。欧米での人気はFREEDOM CALLやNOCTURNAL RITESを大きく上回りますが、日本での知名度は一番低いかもしれず、その辺がやはり苦戦の原因なのかも。

日本のメタル・ファンにとっての知名度だけで言ったら23年ぶりの来日となるGRAVE DIGGERの方が上だと思うのですが、フェスのイメージ上、GRAVE DIGGERよりALESTORMの方がヘッドライナーとして適切と思われたのでしょう。

昨年も一昨年も出演しているDERDIANはともかくとして(?)、BLOODBOUND、NORTHTALE、VICTORIUS、MANTICORAといったバンドは個人的にはYamaDB氏の言う通り「悪いラインナップではない」。

というか、まさかこのクラスのバンドのライブを日本で観ることができるとは…と感涙にむせんでもいい。マニア的には。

ただまあ、このクラスのバンドをライブで観たい、という人はやはりマニアでしかないというのも事実。この面子でビジネスができると考える感覚はちょっと危険と言わざるを得ない(苦笑)。

しかも、クラウドファンディング出資者のリクエストによるというロシアのEPIDEMIAの招聘なんて、マジで狂気の沙汰(褒め言葉)ですよ。現地ロシアでは一公演に千人単位のオーディエンスを動員できる人気バンドながら、日本では完全に無名なだけに…。

▼EPIDEMIAによるHELLOWEEN "I Want Out"カバー動画


先日、このブログでも触れたとおり、Evoken de Valhall Productionは2,000万円という生々しい負債額を公表してプロモーター事業の休止を宣言。このイベントも今年が最後と言われています。

たとえ復活することがあるにせよ、恐らくここまで濃い形での復活はさすがにビジネス的にありえないと思いますので、パワー・メタルのファンを自認する方であれば一生の思い出として足を運ばれてはいかがでしょうか。LOUD PARKもないことですし(苦笑)。

Evoken Fest 2019特設サイト

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SABATON "Bismarck"のMV

前回のエントリーである“THE GREAT WAR” のレビュー文中で触れた、SABATON が今年の4月に公開した"Bismarck"のMVについても何か書いておきたくなりました。

"Bismarck"とは第二次世界大戦中のドイツ海軍の大型戦艦であるビスマルク(この名前はもちろんドイツ統一の立役者である、プロイセン王国の首相を務め「鉄血宰相」の異名をとったオットー・フォン・ビスマルクに由来している)のことで、この戦艦が撃沈された1941年のイギリスとの海戦のエピソードは、バンドが最も頻繁にファンから歌詞に取り上げることをリクエストされていたテーマだという。

そして実際公開されたこの楽曲はたちまち1000万回以上の再生を記録し、欧州のメタル・ファンの間では大きな話題となった。

前エントリーのレビューでも述べた通り、当時のドイツにおける戦艦ビスマルクの存在は、日本における戦艦大和のそれのようなもので、現代のドイツ人にとって、当時のナチス・ドイツ体制自体は肯定できないものの、ビスマルクが敵国艦隊の猛攻を受け沈んでいく姿(を想像すること)にはセンチメンタリズムを伴う愛国心を刺激されてしまうようだ。

そして実際、これが良い曲なんですよ。個人的にはSABATONの楽曲で5本、いや3本の指に入りますね。

SABATONがタイアップしているゲーム"World Of Tanks"(日本のアニメ『ガールズ・アンド・パンツァー』ともコラボしている)を開発したベラルーシのゲーム開発会社"Wargaming"社によって制作されたMVも非常にクオリティ高く、ドイツ人ならぬ私も思わず胸が熱くなってしまいました。

メタルに「哀しみ」を求めている人であればぜひ見てもらいたいMVです。



メイキング映像も、「へー、こうやって作ってるんだ」ということが垣間見えて興味深いです。



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SABATON “THE GREAT WAR” アルバム・レビュー

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昨年BABYMETAL主催のフェス(というと大げさかもしれませんが)“DARK NIGHT CARNIVAL”で来日したスウェーデンの大人気「ウォー・メタル」バンド、SABATONの、前作”THE LAST STAND”(2016)以来、通算9作目となるフル・アルバム。

デビュー以来戦争、あるいは戦闘を歌詞テーマに、そのテーマに相応しい勇ましいメタル・サウンドを特徴としてきた彼らだが、本作ではアルバム一枚を通して第1次世界大戦という「大ネタ」を扱っており、戦争の規模に相応しい(?)フル・コンセプト・アルバムとなっている。

約10年前の2010年に発表された”COAT OF ARMS”は第2次世界大戦を扱ったコンセプト・アルバムだったが、世界規模の大戦ネタが今後発生しないことを願うしかありません。

音楽的にはシンフォニックで勇壮でキャッチーな「SABATON節」が変わることなく展開されており、ヨアキム・ブローデン(Vo)の太く雄々しいヴォーカルがこの手のメロディック・パワー・メタルにおいては個性的であるがゆえに金太郎飴的に響かないでもない。

ただ、画一的な曲調にもかかわらず、楽曲のテンポやアレンジによって巧みに差別化され、どの曲にもその曲を特徴づけるフックが設けられているのは流石で、現在欧州随一と言っても過言ではない人気バンドであることも頷ける完成度の高さを誇っている。

このバンドについては毎回ながら、楽曲が3分台から4分台とコンパクトで、アルバムを全体でも40分程度に収まっているため、濃厚かつ画一的な作風でも聴き疲れすることがないのは、自らの音楽の強みと弱みをちゃんと理解しているのだろう。

そして本作については、オープニング・ナンバーである#1 ”The Future Of Warfare”(NIGHTWISHのフロール・ヤンセンがゲスト参加しているが、あまり存在感はない)が、ちょっと機械的な印象を受ける彼らにとっては変わった曲で、一聴時に「あれ、本作はちょっと今までと違う?」という良い意味での違和感を与えるのと、ちょうど中盤に当たる#6 “The Red Baron”のイントロのオルガン・パート(バッハのフーガですね)が一種の小休止的役割を果たしており、そしてアウトロの少年合唱団的な#11 “In Flanders Fields”の存在によって「特別なアルバム」として個性を形作っている。

前作のツアーから参加したトミー・ヨハンソン(G ; MAJESTICA)の名前がクレジットされているのは#8 “A Ghost In The Trenches”のみだが(たしかにこの曲は言われてみるとどことなくREINXEEDっぽいパートが多い)、本作では従来にも増してギター・ソロがメロディックに歌っている印象があり、そういう意味でトミー・ヨハンソンの貢献は小さくなかったのではないかと思われる。

本作は2014年の”HEROES”以来3作連続となる母国スウェーデンのチャート1位を獲得しており、さらに本作に先立って発表された、ドイツ人の愛国心を掻き立てる”Bismarck”(日本人にとっての戦艦大和である)のMVが評判を呼んだこともあってか、ドイツのチャートでも彼ら初となる1位を獲得している(もっとも前作も2位まで上昇していたが)。

あと、どうでもいいっちゃいいんですが、ジャケットのアートワークの雰囲気が前作と似すぎてませんかね? (苦笑)【85点】





TURILLI / LIONE RHAPSODY “ZERO GRAVITY” アルバム・レビュー

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アレックス・スタロポリ(Key : RHAPSODY OF FIRE)抜きで行なわれたRHAPSODYデビュー20周年のフェアウェル・ツアーは大成功を収め、メタルを離れてアコースティックな音楽、もしくはQUEENのようなロック・オペラを始めようと思っていたルカ・トゥリッリ(G)に「自分とファビオ・リオーネ(Vo)のコンビこそが、ファンの望む最強タッグである」という理解を促すことになった。

それは少なくともRHAPSODY時代から彼らを支持する私のようなファンにとって完全に事実で、「今更それに気づいたのかよ」という感じなのだが(苦笑)、結果的にルカ・トゥリッリという才能がこういう形でメタルのフィールドに留まってくれたことは喜ばしい。

ルカ・トゥリッリとファビオ・リオーネ以外のメンバーもドミニク・ルアキン(G)、パトリス・ガース(B)、アレックス・ホルツワース(Dr)という元RHAPSODY OF FIREのメンバーなので、どうしても「アレックス・スタロポリのいないRHAPSODY OF FIRE」というか、むしろメンツ的にはこっちが本家で、現RHAPSODY OF FIREの方がパチモンのように映ってしまうが、本作を聴けば音楽的に”RHAPSODY”というブランドに期待されているものを継承しているのがアレックス・スタロポリの現RHAPSODY OF FIREであることが明確にわかる。

本作で展開されている音楽はシンフォニック・プログレッシヴ・パワー・メタル(長い)とでも形容すべきもので、現RHAPSODY OF FIREに比べるとやや複雑で、語弊を恐れずに言えば高尚な印象を与えるものである。

アルバムのタイトルやアートワーク、バンド(ルカいわくプロジェクトではなくバンドだそうです)のロゴデザインなどを見るとちょっと近未来的な印象で、これまでルカ・トゥリッリが制作してきた作品の中で見られたSF趣味が強く押し出された、デジタルな音色がフィーチュアされたサウンドになるのかと予想していたが、パッと聴きそういう印象は薄く、その点は意外。

そういう意味ではファビオと組んでいた時期のRHAPSODY(OF FIRE)のサウンドを再現するものというよりは、LUCA TURILLI'S RHAPSODYのサウンドを発展させたものであり、バンド名がLUCA TURILLI'S RHAPSODYではなくTURILLI / LIONE RHAPSODYなのは単にファビオ・リオーネの顔を立てたというか、マーケティング的な思惑によるものでしかなさそうだ。

シンフォニック・アレンジのクオリティはさすがこのジャンルのオリジネイターと言うべきクオリティで、この手の音楽でこれ以上のレベルに達しているものはほぼ皆無だと思われる。

サウンド・プロダクションの上質さも本作のクオリティに大きく貢献しており、そこはミキシングとマスタリングを手掛けたシモーネ・ムラローニ(DGM)の手腕に帰せられる所が大だろう。

そしてクレジットによると本作のリズム・ギター・パート(つまりバッキングのギター)はルカ・トゥリッリによって書かれてはいるものの、演奏はシモーネ・ムラローニが担当しており(いくつかの曲でギター・ソロも)、もはやルカ・トゥリッリはギタリストとしての自己主張は捨て、プロデューサー/コンポーザーとしてこのプロジェクトのクオリティアップに徹している。

作曲者が演奏者としての自分に重きを置いていないことで、プログレッシヴ・メタルにありがちな楽器のソロ・パートばかりが延々と続いて10分とか20分とかのやたらに長い曲になる、という私の苦手なパターンが回避されているのは、シモーネ・ムラローニというルカ・トゥリッリが自らの代わりに演奏を託すに相応しいと思える人材がいたことの副産物と考えることもでき、そういう意味で本作におけるシモーネ・ムラローニの貢献は大きい(もう一人のギタリストであるドミニク・ルアキンは立場がないが)。

楽曲は複雑ながら随所に耳を引くメロディも存在しているので、退屈することはないどころか聴くたびに新たな発見があり、聴き込めば聴き込むだけ入り込むことができる音楽作品であると言えるだろう。

一方で、これだけ大量の音楽が世の中に供給され、Webサービスを介して低コストで次々と新しい音楽を聴くことができる環境においては、ひとつの作品を何度も聴き込むという向き合い方はなかなか難しく、本作の真価が広く理解されることは難しいような気がしないでもない。

「聴き込みたい」というモチベーションを作るにはやはりそれなりのファースト・インパクトを与えなくてはならず、恐らく本作を手に取るリスナーの大半を占めるであろう「オリジナルRHAPSODYのファン」が期待する「勇壮なシンフォニック・パワー・メタル」のスタイルではない本作がそこまでのモチベーションを喚起できるかというと、なかなかそれは難しいのではないかというのが正直な所。

そういう意味で、今年リリースされたRHAPSODY OF FIREの”THE EIGHTH MOUNTAIN”が彼らの主戦場であるドイツのチャートで過去最高の22位を記録し、本作が51位にとどまったのは、リスナーが”RHAPSODY”というブランド名にどのようなサウンドを求めているかを端的に表す事実だと思う。【85点】







HR/HMの全英No.1獲得作品

SLIPKNOTの通算6枚目となる新作"WE ARE NOT YOUR KIND"が全米・全英チャートともに初登場1位を獲得したというニュースが話題ですが、それとともに全英チャートでメタル系のアルバムが1位になるのは2015年にリリースされたIRON MAIDENの"THE BOOK OF SOULS"(2015)以来で久しぶりで、めったにないレアなことだ、と報じられていました。

そこで、このブログではかつて全米1位に輝いたHR/HM系のアルバムをまとめたことがありましたが、今回は全英1位を獲得したHR/HM系のアルバムがどれだけあるのか調べてみました。

調べたといっても、ウィキペディアで1位になっていそうなアーティストをしらみつぶしにチェックしただけなので、抜け漏れはあるかもしれません。もし抜けているアーティスト、漏れているアルバムがあったらご指摘いただけると幸いです。

なお、タイトル末に★マークが付いているアルバムは、全米1位も獲得していることを表しています。

■AC/DC
・BACK IN BLACK(1980)
・BLACK ICE(2008)★

■ALICE COOPER
・BILLION DOLLER BABIES(1973)★

■AVENGED SEVENFOLD
・HAIL TO THE KING(2013)★

■BLACK SABBATH
・PARANOID(1970)
・13(2013)★

■BON JOVI
・NEW JERSEY(1988)★
・KEEP THE FAITH(1992)
・THESE DAYS(1995)
・CRASH(2000)

■DEEP PUEPLE
・FIREBALL(1971)
・MACHINE HEAD(1972)

■DEF LEPPARD
・HYSTERIA(1987)★
・ADRENARIZE(1992)★

■GUNS N' ROSES
・USE YOUR ILLUSION II(1991)★

■IRON MAIDEN
・THE NUMBER OF THE BEAST(1982)
・SEVENTH SON OF A SEVENTH SON(1988)
・FEAR OF THE DARK(1992)
・THE FINAL FRONTIER(2010)
・THE BOOK OF SOULS(2015)

■LED ZEPPELIN
・LED ZEPPELIN II(1969)★
・LED ZEPPELIN III(1970)★
・LED ZEPPELIN IV(1971)
・HOUSE OF THE HOLY(1973)★
・PHYSICAL GRAFFITI(1975)★
・THE SONG REMAINS THE SAME(1976)
・PRESENCE(1976)★
・IN THROUGH THE OUT DOOR(1979)★

■METALLICA
・METALLICA(1991)★
・LOAD(1996)★
・DEATH MAGNETIC(2008)★

■MOTORHEAD
・NO SLEEP 'TIL HAMMERSMITH(1981)

■SLIPKNOT
・IOWA(2001)
・WE ARE NOT YOUR KIND(2019)★

JUDAS PRIESTやWHITESNAKEはおろか、AEROSMITHやKISS、VAN HALENといった超メジャー・バンドでさえイギリスでは1位を獲っていないんですねえ。

BON JOVIの"SLIPPERY WHEN WET"(1986)やGUNS N' ROSESの"APPETITE FOR DESTRUCTION"(1987)といった、世界で数千万枚売れたメガヒット作が1位になっていないのもビックリでした。

アメリカでは大人気で、ビルボードNo.1に輝いた作品も多いNU METALもイギリスではKORNやDISTURBEDすら1位は獲れておらず、わずかにLIMP BIZKITの"CHOCOLATE STARFISH AND THE HOT DOG FLAVORED WATER"(2000)くらいです(LINKIN PARKは3作が1位になっていますが、既にメタル色が後退してからの作品ばかりです)。

ポスト・グランジまで含めてもNICKELBACKの"SILVER SIDE UP"(2001)とSTAINEDの"BREAK THE CIRCLE"(2001)くらいでしょうか。 あ、FOO FIGHTERSは4作も1位になってますね。凄い。

ちなみにQUEENは7枚のアルバムが1位になっていますが、ここにはカウントしていません。「QUEENはHR/HMではない」という立場に立つとLED ZEPPELINなんかもHR/HMにカテゴライズしていいのかという問題が出てくるのですが(そんなこと言ったらBON JOVIも?)。

いずれにせよ50年に及ぶHR/HMの歴史でたったこれだけであることを考えると、ヒットチャートの1位を獲るというのがいかに至難の業であるかがよくわかりますね。

そういえば先日BRING ME THE HORIZONの最新作"AMO"が全英1位になっていましたが、もはやメタル色は皆無だったのであれはノーカンですかね。